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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】電子機器筐体及び解錠冶具
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/03 20060101AFI20221018BHJP
   E05C 19/06 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
H05K5/03 D
E05C19/06 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018086009
(22)【出願日】2018-04-27
(65)【公開番号】P2019192845
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森山 慶一
(72)【発明者】
【氏名】松葉 健志
【審査官】柴垣 俊男
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/088468(WO,A1)
【文献】特開2014-119820(JP,A)
【文献】特開平06-245348(JP,A)
【文献】特開平09-072324(JP,A)
【文献】特開平11-163547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/03
E05C 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が開口部を有し該開口部を介して互いに接合し内部に収納空間を画定するベース部及び蓋部と、
前記ベース部及び前記蓋部のそれぞれの外側面に掛け渡され前記開口部を閉塞する施錠部と、を備え、
前記ベース部はその開口部に対向する側に設置面に固定される底部を有し、
前記施錠部は、前記蓋部の前記外側面に固定され前記ベース部の前記外側面に沿って前記底部側へ向け伸長すると共に前記ベース部の前記外側面に設けられた係止部に着脱可能に係合するロック片を有し、
前記ロック片は、前記設置面との間に隙間を画定する制限端部を有し、前記隙間からの前記ロック片及び前記ベース部の前記外側面の間へのアクセスを前記制限端部が制限するように、形成され、
前記ベース部は、前記ロック片の前記制限端部と前記設置面との間に前記外側面から突出する突出部を有する
ことを特徴とする電子機器筐体。
【請求項2】
各々が開口部を有し該開口部を介して互いに接合し内部に収納空間を画定するベース部及び蓋部と、
前記ベース部及び前記蓋部のそれぞれの外側面に掛け渡され前記開口部を閉塞する施錠部と、を備え、
前記ベース部はその開口部に対向する側に設置面に固定される底部を有し、
前記施錠部は、前記蓋部の前記外側面に固定され前記ベース部の前記外側面に沿って前記底部側へ向け伸長すると共に前記ベース部の前記外側面に設けられた係止部に着脱可能に係合するロック片を有し、
前記ロック片は、前記設置面との間に隙間を画定する制限端部を有し、前記隙間からの前記ロック片及び前記ベース部の前記外側面の間へのアクセスを前記制限端部が制限するように、形成され、
前記ロック片の設けられた前記ベース部の外側面において、前記ロック片及び前記ベース部の前記外側面の間へのアクセスを制限する、前記ロック片に沿って突出して伸長する伸長突出部が設けられている
ことを特徴とする電子機器筐体。
【請求項3】
各々が開口部を有し該開口部を介して互いに接合し内部に収納空間を画定するベース部及び蓋部と、
前記ベース部及び前記蓋部のそれぞれの外側面に掛け渡され前記開口部を閉塞する施錠部と、を備え、
前記ベース部はその開口部に対向する側に設置面に固定される底部を有し、
前記施錠部は、前記蓋部の前記外側面に固定され前記ベース部の前記外側面に沿って前記底部側へ向け伸長すると共に前記ベース部の前記外側面に設けられた係止部に着脱可能に係合するロック片を有し、
前記ロック片は、前記設置面との間に隙間を画定する制限端部を有し、前記隙間からの前記ロック片及び前記ベース部の前記外側面の間へのアクセスを前記制限端部が制限するように、形成され、
前記ベース部の前記係止部は凹部を備え、
前記ロック片は前記係止部の凹部に嵌合する凸部を備えている
ことを特徴とする電子機器筐体。
【請求項4】
各々が開口部を有し該開口部を介して互いに接合し内部に収納空間を画定するベース部及び蓋部と、
前記ベース部及び前記蓋部のそれぞれの外側面に掛け渡され前記開口部を閉塞する施錠部と、を備え、
前記ベース部はその開口部に対向する側に設置面に固定される底部を有し、
前記施錠部は、前記蓋部の前記外側面に固定され前記ベース部の前記外側面に沿って前記底部側へ向け伸長すると共に前記ベース部の前記外側面に設けられた係止部に着脱可能に係合するロック片を有し、
前記ロック片は、前記設置面との間に隙間を画定する制限端部を有し、前記隙間からの前記ロック片及び前記ベース部の前記外側面の間へのアクセスを前記制限端部が制限するように、形成され、
前記施錠部は、前記収納空間を挟んで対向するように少なくとも一対、配置されていることを特徴とする電子機器筐体。
【請求項5】
請求項に記載の電子機器筐体において、
前記ベース部は、前記突出部を貫通するネジを介して前記底部が前記設置面に固定されることを特徴とする電子機器筐体。
【請求項6】
請求項に記載の電子機器筐体において、
前記突出部は、前記設置面との間に介挿された前記外側面から突出する別体の板材の一部として設けられていることを特徴とする電子機器筐体。
【請求項7】
請求項1及び3乃至6のいずれか一項に記載の電子機器筐体において、
前記ロック片の設けられた前記ベース部の外側面において、前記ロック片及び前記ベース部の前記外側面の間へのアクセスを制限する、前記ロック片に沿って突出して伸長する伸長突出部が設けられていることを特徴とする電子機器筐体。
【請求項8】
請求項1、2及び4乃至6のいずれか一項に記載の電子機器筐体において、
前記ベース部の前記係止部は凹部を備え、
前記ロック片は前記係止部の凹部に嵌合する凸部を備えていることを特徴とする電子機器筐体。
【請求項9】
請求項乃至及び乃至のいずれか一項に記載の電子機器筐体において、
前記施錠部は、前記収納空間を挟んで対向するように少なくとも一対、配置されていることを特徴とする電子機器筐体。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の電子機器筐体の前記施錠部を開放する解錠冶具であって、
前記制限端部に着脱可能に嵌合する嵌合端部を一端に有しかつ前記ロック片に沿って前記係止部を越えて伸長する剛性伸長部と、前記剛性伸長部の他端に設けられた押圧端部と、を有することを特徴とする解錠冶具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内外の壁等の設置面に固定される通信機器等の電子機器の筐体及び解錠冶具に関する。
【背景技術】
【0002】
設置面に固定される通信機器は小型化、省電力化が進み、電池駆動方式が主流となってきている。かかる通信機器ではその内部の回路基板アセンブリにアクセスして、定期的な電池交換が必要である。壁面等の設置面に直接固定されている通信機器において電池交換等作業が発生する場合、作業者が通信機器の蓋のネジを緩め開放して交換作業を行い、作業終了後は蓋のネジ止め作業が発生するため、作業性が悪い。また、蓋であるアッパーケースのスナップフィットタイプの係合片の破損を防止する為に、アッパーケースの係合片に案内片のリブを設けた接合構造が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-223850公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術において、アッパーケース開放用の専用冶具がなくとも一般工具の平板やマイナスドライバの先端をアッパーケースの貫通孔へ差し込めば容易に筐体のロック解除が可能であった。従って、工事作業者以外の人でも一般工具を用いることで筐体が開けられてしまう可能性がある、という防犯性に対する問題がある。
【0005】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、定期的なメンテナンスのために筐体の開閉を必要とする設置済の電子機器において、防犯性を確保しつつメンテナンス作業者の作業性を向上させる電子機器筐体及び解錠冶具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子機器筐体は、各々が開口部を有し該開口部を介して互いに接合し内部に収納空間を画定するベース部及び蓋部と、
前記ベース部及び前記蓋部のそれぞれの外側面に掛け渡され前記開口部を閉塞する施錠部と、を備え、
前記ベース部はその開口部に対向する側に設置面に固定される底部を有し、
前記施錠部は、前記蓋部の前記外側面に固定され前記ベース部の前記外側面に沿って前記底部側へ向け伸長すると共に前記ベース部の前記外側面に設けられた係止部に着脱可能に係合するロック片を有し、
前記ロック片は、前記ロック片及び前記ベース部の前記外側面の間へのアクセスを制限するアクセス制限隙間を、前記設置面との間に画定する制限端部を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の解錠冶具は、上記の電子機器筐体の前記施錠部を開放する解錠冶具であって、
前記制限端部に着脱可能に嵌合する嵌合端部を一端に有しかつ前記ロック片に沿って前記係止部を越えて伸長する剛性伸長部と、前記剛性伸長部の他端に設けられた押圧端部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、前記ロック片の制限端部が前記ロック片及び前記ベース部の前記外側面の間へのアクセスを制限するアクセス制限隙間を、前記設置面との間に画定することにより、設置済の電子機器において、防犯性を確保しつつメンテナンス作業者の作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明による実施例1である電子機器の外観を示す蓋部側から見た斜視図である。
図2】実施例1の電子機器筐体と解錠冶具を示す概略分解斜視図である。
図3図1の線xxにおける電子機器の概略断面図である。
図4】実施例1の電子機器の一部(図3の破線部)を拡大した概略断面図である。
図5】実施例1の電子機器の一部(図3の破線部)と解錠冶具とを示す拡大した概略断面図である。
図6】実施例1の電子機器と解錠冶具の外観を示す蓋部側から見た斜視図である。
図7】実施例1の電子機器と解錠冶具の動作を示す概略側面図である。
図8】本発明による実施例2である電子機器の外観を示す蓋部側から見た斜視図である。
図9】実施例2の電子機器の一部と解錠冶具とを示す拡大した概略断面図である。
図10】実施例2の変形例の電子機器の一部と解錠冶具とを示す拡大した概略断面図である。
図11】本発明による実施例3である電子機器の外観を示す蓋部側から見た斜視図である。
図12】実施例3の電子機器の一部と解錠冶具とを示す拡大した概略断面図(図11のxx線を含む平面の断面の一部)である。
図13】本発明による実施例4である電子機器の外観を示す蓋部側から見た斜視図である。
図14】実施例4の電子機器の一部と解錠冶具とを示す拡大した概略断面図(図13のxx線を含む平面の断面の一部)である。
図15】本発明による実施例5である電子機器の外観を示す蓋部側から見た斜視図である。
図16】実施例5の電子機器の一部と解錠冶具とを示す拡大した概略側面図である。
図17】本発明による実施例6である電子機器の外観を示す蓋部側から見た斜視図である。
図18】実施例6の電子機器の一部と解錠冶具とを示す拡大した概略断面図(図17のxx線を含む平面の断面の一部)である。
図19】本発明による実施例7である電子機器を示す概略断面図である。
図20】実施例7の電子機器と解錠冶具とを示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ本発明による実施例の電子機器の筐体について通信機器を一例として説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、実施例において、実質的に同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【実施例1】
【0011】
(構成の説明)
図1は、実施例1である通信機器の筺体10の外観を示す蓋部側から見た斜視図である。図2は、該筺体10と解錠冶具20とを示す概略分解斜視図である。図3は、該筺体10を示す図1のxx線を含む平面の断面図である。
【0012】
図1に示すように、筐体10は略長方体形状を有している。筐体10は、互いに嵌合されたベース部11及び蓋部12から構成されている。
【0013】
ベース部11及び蓋部12のそれぞれの外側面11G及び12Gにおける一対の対向する部位には、これらに掛け渡された一対の施錠部13が設けられている。筺体10の内側には、図1に示すように電子部品又は電子装置等を含む回路基板アセンブリ14が収容される。ベース部11の施錠部13がある部位の残りの外側面11Gの対向側面には、これらから突出する一対のネジ留め突出部11GPが設けられている。該ネジ留め突出部11GPをネジScにより設置面Tに締結させることにより、筺体10のベース部11が設置面Tに固定される。
【0014】
蓋部12の短手方向の両側にある施錠部13は、該蓋部12とベース部11を接続する接続部材たる蓋部12から延びるロック片13Aを有する。ロック片13Aには、ベース部11の開口部近傍の凸部11Mが嵌合するように凹部13D(貫通する孔)が形成されている。
【0015】
筐体10のベース部11及び蓋部12の素材には、汎用プラスチックと呼ばれる熱可塑性の合成樹脂が使用される。汎用プラスチックとしては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン(PUR)、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS)、アクリロニトリルスチレン樹脂(AS)、アクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネイト(PC)等が挙げられる。また、筐体10には、エンジニアリングプラスチックも用いることもできる。また、ベース部11及び蓋部12は金属材料を用いて形成されても、或いは、金属と樹脂を一体化するインサート成形方法を用いて形成されてよい。
【0016】
図2に示すように、ベース部11は、その開口部11Kに対向する側に設置面Tに固定される底部11S(ネジ留め突出部11GP)を有し、底部11Sから立設した四方の周壁の外側面11Gを備えた平面視で略矩形の筒箱形状を有する。蓋部12も、その天面から立設した四方の周壁の外側面12Gを備えた平面視で略矩形の筒箱形状を有する。なお、筐体10は略長方体形状に限定されず、円柱や角柱の筒箱状形状であってもよい。
【0017】
図2に示すように、ベース部11及び蓋部12のそれぞれの開口部11K及び12Kには互いに嵌合できる相補形状の開口階段部STが設けられている。互いの開口階段部STが嵌合すなわち接合されることによって、図3に示すように、ベース部11及び蓋部12の内側に、電子部品又は電子装置等を含む回路基板アセンブリ14を収容できる密閉された収容空間SPが画定される。また、ベース部11及び蓋部12の開口階段部STの間にOリング等のシール材(図示せず)を挟み込ませてもよい。シール材を設ければ、筐体10に収納した回路基板アセンブリ14に対する防湿を向上できる。
【0018】
図1図4に示すように、施錠部13の各ロック片13Aは、蓋部12の外側面12Gに固定されベース部11の外側面11Gに沿って底部11S側へ向け伸長するように蓋部12と一体的に形成されている。施錠部13は、ベース部11の外側面11Gに設けられた係止部である凸部11Mをも含む。ベース部11の各凸部11Mは、その外側面11Gに一体的に形成され、ロック片13Aが、凸部11Mに着脱可能に係合するように、構成されている。
【0019】
具体的に、図4に示すように、ロック片13Aには、その先端側に制限端部13Rが設けられ、これを下向きとしたときに、制限端部13Rが最下端となる。制限端部13Rは矩形断面を有する、外側面11Gに沿って伸びる縁部である。そして、ロック片13Aは、蓋部12の基端13Bと制限端部13Rの間に外側へ突出して伸長する伸長部13Cを有し、この伸長部13Cがベース部11の凸部11Mに係合するようになっている。すなわち、本実施例では凸部11Mが先端を下向きとした三角断面形状に形成されており、この凸部11Mの下面と凹部13Dの上面とが掛け止めされるようになっている。これにより、凹部13Dがベース部11の外側面11Gに外側に突設された凸部11Mに着脱自在に係止されて接続するようになっている。
【0020】
ロック片13Aの制限端部13Rは、ロック片13A及びベース部11の外側面11Gの間にアクセス制限隙間ARCを、設置面Tとの間に画定する。アクセス制限隙間ARCはロック片13A及び外側面11Gの間へ人の指やドライバ等のアクセスを制限する空間であり、設置面Tからの制限端部13Rの最下端の高さは例えば1mm~6mm程度の間隙である。本実施例では、制限端部13Rにより、設置状態において人の指はロック片13Aの制限端部13Rと機器設置面Tとの隙間には入らない構造となっている。また、ロック片13Aの制限端部13Rと外側面11Gの間には、解錠冶具20の嵌合端部20Fの先端が入れられる空間が設けられている。
【0021】
本実施例では、通信機器の設置状態では、人の指等によりロック片13Aのロックを解除できず、固定用木ネジScを外さない限りロック片13Aのロック解除はできない構造となっている。すなわち、メンテナンスの度に固定用木ネジScを外していると壁面は穴だらけとなるため、現実的ではないので、蓋部12を開ける際には専用の解錠冶具20を用いてロック片13Aのロックを解除する。
【0022】
図5に示すように、電子機器筐体の施錠部13のロック片13Aを開放する解錠冶具20は略板状の剛性伸長部20LMからなり、その一端にロック片13Aの制限端部13Rに着脱可能に嵌合する嵌合端部20Fを有する。また、解錠冶具20は、剛性伸長部20LMの内側面に略コの字形状の突起部20Dを有する。嵌合端部20Fは、ロック片13Aの制限端部13Rに対して相補的形状となる溝部である。剛性伸長部20LMは、ロック片13Aに沿って接触して凸部11M(ベース部11の外側面11G)を越えて伸長し、その他端に設けられた押圧端部20PHを有する。押圧端部20PHには、指の当接部として線状凹凸部が溝部に平行に設けられている。突起部20Dは、ベース部11の凸部11Mからロック片13Aを外す際に、凹部13Dの縁に接するように構成されている。
【0023】
(動作の説明)
まず、回路基板アセンブリ14を収納する筐体10は、図1に示すように、そのベース部11のネジ留め突出部11GPをネジScにより設置面Tに締結させることにより、設置面Tに固定される。
【0024】
次に、メンテナンス等のために蓋部12を開ける際には、図6に示す白抜き矢印BAのように、解錠冶具20の嵌合端部20Fを筐体両側のロック片13Aの制限端部13Rに潜り込ませるようにして引っ掛けて挟む(図7(A))。そして図7(B)に示す矢印のように、2つの解錠冶具20の押圧端部20PHをそれぞれ通信機器側へ押すことにより、突起部20Dが凹部13Dの縁に接し、てこの原理によってロック片13Aをそれぞれ外側へ弾性変形させて、ベース部11の凸部11Mからロック片13Aを外すことが可能となる。これにより、蓋部12がベース部11から取り去り可能となる。このように、本実施例は、両側のロック片13Aを同時に外側へ広げる必要があるので、専用の解錠冶具20でないとロック片13Aのロック解除はできない構造となっている。
【0025】
次に、作業後に蓋部12を閉める際には、互いの開口部を合わせるように蓋部12をベース部11に下方向に押圧することで、ロック片13Aとベース部11の凸部11Mとの嵌合により、これらを一体的に固定状態とすることができる。
【0026】
以上、本実施例によって、樹脂製の蓋部12とベース部11の嵌合にネジが不要なため、通信機器のサイズを大きくする必要がなく、コストも抑えることができる。さらに、蓋部12のロック片13Aとベース部11の凸部11Mのみで嵌合しており、解錠冶具20で簡単にロックを解除することが可能であるため工事作業者の作業性が向上する。また、通信機器設置状態では蓋部12のロック片13Aの制限端部13Rと機器設置面Tとの間に指が入るほどの隙間がないように設定できるため、ロック片13Aのロック解除には解錠冶具20が必須となる故に、防犯性が確保できる。
【実施例2】
【0027】
(構成の説明)
本実施例は、実施例1のベース部11の対向する側壁に設けられている一対のロック片13Aに加えて、図8図9に示すように、各ロック片13Aの制限端部13Rと設置面Tとの間に外側面11Gから突出する突出部PTを設ける構成とした以外、実施例1と同一である。
【0028】
(動作の説明)
本実施例によれば、実施例1と同様の効果が得られると共に、ロック片13Aの制限端部13Rと設置面Tとの間のアクセス制限隙間ARCを更に狭くできるゆえに、防犯効果を高める効果が得られる。
【0029】
更に、図10に示すように、突出部PTを、設置面Tとの間に介挿された外側面11Gから突出する別体の板材PPの一部として設けることができる。例えば、ベース部11は、ネジSc等により締結された取付金具17によって、電信柱等の曲面設置面Tに板材PPを固定されるようにしてもよい。この場合、板材PPと取付金具17は、あらかじめ曲面設置面Tに固定される。この変形例によれば、機器の設置場所の自由度が拡大される。
【実施例3】
【0030】
(構成の説明)
本実施例は、実施例1のベース部11の対向する側壁に設けられている一対のネジ留め突出部11GPに代えて、図11図12に示すように、各ロック片13Aの制限端部13Rと設置面Tとの間に外側面11Gからを突出する突出部PTを設け、突出部PTを貫通するネジScを介して底部11Sが設置面Tに固定される構成とした以外、実施例1と同一である。
【0031】
(動作の説明)
本実施例によれば、実施例1と同様の効果が得られると共に、ロック片13Aの制限端部13Rと設置面Tとの間のアクセス制限隙間ARCを更に狭くでき、さらに、ロック片13Aを解除しない限り、機器全体を外すことができなくなるゆえに、防犯効果を更に高める効果が得られる。
【実施例4】
【0032】
(構成の説明)
本実施例は、実施例1のベース部11の対向する側壁に設けられている一対のネジ留め突出部11GPに代えて、図13図14に示すように、ベース部11が、収納空間SPから底部11Sを貫通するネジを介して底部11Sが設置面Tに固定される構成とした以外、実施例1と同一である。
【0033】
(動作の説明)
本実施例によれば、実施例1と同様の効果が得られると共に、ロック片13Aを解除し蓋部12を外さない限り、機器全体を外すことができなくなるゆえに、防犯効果を高める効果が得られる。
【実施例5】
【0034】
(構成の説明)
本実施例は、図15図16に示すように、ロック片13Aの設けられたベース部11の外側面11Gにおいて、ロック片13A及びベース部11の外側面11Gの間へのアクセスを制限する、ロック片13Aに沿って突出して伸長する伸長突出部PT2が設けられている構成とした以外、実施例1と同一である。
【0035】
(動作の説明)
本実施例によれば、実施例1と同様の効果が得られると共に、ロック片13Aをベース部11の外側面11G(凸部11M)に案内させることを容易にすると共に、ロック片13Aとベース部11(外側面11G)との間隙を部分的に塞ぐゆえに、ドライバ等の横からの侵入を妨害して、防犯効果を高める効果が得られる。
【実施例6】
【0036】
(構成の説明)
本実施例は、実施例1のベース部11の係止部の凸部11Mとロック片13Aの凸部11Mに嵌合する凹部13Dとに代えて、図17図18に示すように、ベース部11の係止部が凹部11Dであり、ロック片13Aに該凹部11Dに嵌合する凸部13Mが設けられている構成とした以外、実施例1と同一である。本実施例によっても、実施例1と同様の効果が得られる。また、凸部13Mがロック片13Aのベース部11対向面に複数設けることができ、ロック片13Aに貫通孔を設けないので、防犯効果を高める効果が得られる。
【実施例7】
【0037】
(構成及び動作の説明)
実施例1の図3に示すように、本実施例では、施錠部13は、収納空間SPを挟んで対向するように少なくとも一対、配置されているが、本実施例では、一方の施錠部13に代えて、図19図20に示すように、1つの施錠部13が設けられた外側面11Gの一端に対応する外側面11G2の他端において、ベース部11及び蓋部12を連結するヒンジ機構HGを備える構成とした以外、実施例1と同一である。本実施例によっても、実施例1と同様の効果が得られる。
【0038】
なお、上記実施例では、示していないが、ベース部11の周壁の一部において、収容された回路基板アセンブリ14を駆動させるための外部の給電ケーブルや入出力ケーブル等の配線を通過させるための接続孔が設けられていてもよい。
【0039】
更に、上記実施例のいずれも適宜に互いに組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0040】
10…筐体
11…ベース部11
11M…凸部
11S…底部
11GP…ネジ留め突出部
12…蓋部
13…施錠部
13A…ロック片
13D…凹部
13R…制限端部
14…回路基板アセンブリ
20…解錠冶具
ARC…アクセス制限隙間
T…設置面
Sc…ネジ
SP…収容空間
PT…突出部
PT2…伸長突出部
図1
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