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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】車両のドア構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/10 20060101AFI20221018BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
B60J5/10 Z
B60J5/00 P
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018119695
(22)【出願日】2018-06-25
(65)【公開番号】P2020001428
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】堀田 与支彦
(72)【発明者】
【氏名】中里 大介
(72)【発明者】
【氏名】横川 純也
(72)【発明者】
【氏名】高橋 知希
(72)【発明者】
【氏名】石井 勝基
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-155326(JP,A)
【文献】特開2012-017024(JP,A)
【文献】特開2006-096348(JP,A)
【文献】特開2010-234962(JP,A)
【文献】米国特許第05782523(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
観音開き式ドアのリヤドア内の前端部に、上端から下端まで延びるドア内蔵センタピラーが設けられた車両のドア構造であって、
上記ドア内蔵センタピラー下方のドア下面部に、補強レインが設けられ、
上記ドア内蔵センタピラー下端部の一部が上記補強レインに取付けられると共に、
上記ドア内蔵センタピラー下端直上には、その上部に対して剛性が低い低剛性部が設けられ
上記ドア内蔵センタピラーは側面部を備え、上記低剛性部が上記側面部に開口形成された開口部にて形成されたことを特徴とする
車両のドア構造。
【請求項2】
観音開き式ドアのリヤドア内の前端部に、上端から下端まで延びるドア内蔵センタピラーが設けられた車両のドア構造であって、
上記ドア内蔵センタピラー下方のドア下面部に、補強レインが設けられ、
上記ドア内蔵センタピラー下端部の一部が上記補強レインに取付けられると共に、
上記ドア内蔵センタピラー下端直上には、その上部に対して剛性が低い低剛性部が設けられ、
上記ドア内蔵センタピラーは、前面部と、後面部と、前後両面部の車外端同士を連結する側面部とを備え、
上記低剛性部が上記側面部に開口形成された開口部にて形成された
車両のドア構造。
【請求項3】
上記ドア内蔵センタピラーの内側のドア下面部に、ラッチ取付けプレートを介してドアラッチが配設され、
上記補強レインが上記ラッチ取付けプレートにて構成されると共に、
上記開口部は上記ドアラッチ組付け時に当該ドアラッチの一部を挿通した状態で向きを変更可能な大きさに形成された
請求項1または2に記載の車両のドア構造。
【請求項4】
上記ドア内蔵センタピラーの上記側面部には、上記開口部の直上位置から上端まで延びる補強ビードが形成された
請求項1~3の何れか一項に記載の車両のドア構造。
【請求項5】
上記ドア内蔵センタピラーは、内側が開放する平面視でハット断面形状に形成されると共に、
上記前面部および上記後面部に一体形成されて車両前後方向に延びるフランジ部を有しており、
当該フランジ部がドアインナパネルに接合され、
上記ドア内蔵センタピラーの下端には、上記低剛性部となる非フランジ部が設けられ、上記ドアインナパネルの下端とは上記側面部のみが接合された
請求項に記載の車両のドア構造。
【請求項6】
上記ドア内蔵センタピラーの下端部の前部に、上記側面部から車室内側に後退する第2の側面部が形成され、
フロントドア内部に設けられたインパクトビームの後端部が、車両側面視で上記第2の側面部とオーバラップしており、オーバラップした部位に上記非フランジ部が形成された
請求項5に記載の車両のドア構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、観音開き式ドアのリヤドア内の前端部に、上端から下端まで延びるドア内蔵センタピラーが設けられた車両のドア構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、フロントドアとリヤドアとを観音開き構造と成した観音開き式のドアが知られている。
このような観音開き式のドアを採用する場合、車体には、ルーフサイドレールとサイドシルとを上下方向に連結する強度部材としてのセンタピラーが設けられないので、例えば、特許文献1に開示されているように、リヤドア内にその上端から下端に渡るハット断面形状のバーチカルレインを設ける構造に加えて、当該バーチカルレインの内部にその上端から下端に渡るパイプ部材を設ける構成が知られている。
【0003】
上述のバーチカルレインを超高張力鋼板のような高剛性部材により構成すると、当該バーチカルレイン(つまり、ドア内蔵センタピラー)の剛性が向上するので、上記パイプ部材を廃止してリヤドアの軽量化を図ることができる。
【0004】
ところで、一般に車両ドアは、車両デザインの関係上、その上部のドアサッシュ部上端が、ドア本体部の下端に対して、車幅方向内側に位置するよう傾斜すると共に、ドアサッシュ部に対してドア本体部の車幅方向の厚みが大きく形成されている。
【0005】
ドアサッシュ部およびドア本体部から成るドア全体の剛性を過度に高めると、側突荷重入力時にドアが潰れないので、該ドアが傾斜姿勢を保ったまま車室内方に移動し、側突荷重が乗員に伝わるため望ましくない。
【0006】
このため、側突荷重入力時には、ベルトライン部よりも下側のドア本体部を潰しながら、エネルギを吸収し、ドア姿勢が略鉛直状態になった状態で側突荷重を受け止め、ドアの車室内方への移動を阻止することが好ましい。
【0007】
ところが、上述のように、バーチカルレイン(ドア内蔵センタピラー)を超高張力鋼板のような高剛性部材で構成すると、ベルトライン部よりも下側のドア本体部の剛性が高くなり過ぎて、車体に大荷重が作用することが懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2006-096348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、この発明は、側突直後にドア下面部の変位は抑制させつつ、ドア内蔵センタピラーの下端直上を内側に変位させて、側突エネルギの吸収を図ることができる車両のドア構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明による車両のドア構造は、観音開き式ドアのリヤドア内の前端部に、上端から下端まで延びるドア内蔵センタピラーが設けられた車両のドア構造であって、上記ドア内蔵センタピラー下方のドア下面部に、補強レインが設けられ、上記ドア内蔵センタピラー下端部の一部が上記補強レインに取付けられると共に、上記ドア内蔵センタピラー下端直上には、その上部に対して剛性が低い低剛性部が設けられ、上記ドア内蔵センタピラーは側面部を備え、上記低剛性部が上記側面部に開口形成された開口部にて形成されたものである。
【0011】
上記構成によれば、ドア内蔵センタピラー下方のドア下面部に補強レインを設けたので、側突直後にドア下面部の変位を抑制させつつ、上記低剛性部を介してドア内蔵センタピラーの下端直上を内側に変位させて、側突エネルギの吸収を図ることができる。
【0012】
この発明による車両のドア構造は、また、観音開き式ドアのリヤドア内の前端部に、上端から下端まで延びるドア内蔵センタピラーが設けられた車両のドア構造であって、上記ドア内蔵センタピラー下方のドア下面部に、補強レインが設けられ、上記ドア内蔵センタピラー下端部の一部が上記補強レインに取付けられると共に、上記ドア内蔵センタピラー下端直上には、その上部に対して剛性が低い低剛性部が設けられ、上記ドア内蔵センタピラーは、前面部と、後面部と、前後両面部の車外端同士を連結する側面部とを備え、上記低剛性部が上記側面部に開口形成された開口部にて形成されたものである。
【0013】
上記構成によれば、ドア内蔵センタピラー下方のドア下面部に補強レインを設けたので、側突直後にドア下面部の変位を抑制させつつ、上記低剛性部を介してドア内蔵センタピラーの下端直上を内側に変位させて、側突エネルギの吸収を図ることができる。
【0014】
しかも、ドア内蔵センタピラーの側面部に形成した開口部により、容易に当該ドア内蔵センタピラーの下端部近傍の剛性低下を図ることができ、加えて、軽量化をも達成することができる。
【0015】
この発明の一実施態様においては、上記ドア内蔵センタピラーの内側のドア下面部に、ラッチ取付けプレートを介してドアラッチが配設され、上記補強レインが上記ラッチ取付けプレートにて構成されると共に、上記開口部は上記ドアラッチ組付け時に当該ドアラッチの一部を挿通した状態で向きを変更可能な大きさに形成されたものである。
上記構成によれば、上述の開口部をドアラッチの組付け性確保に利用することができると共に、上記ラッチ取付けプレートを補強レインとして有効利用することができる。
【0016】
この発明の一実施態様においては、上記ドア内蔵センタピラーの上記側面部には、上記開口部の直上位置から上端まで延びる補強ビードが形成されたものである。
上記構成によれば、補強ビードの形成によりドア内蔵センタピラーの剛性向上を図ることができるので、開口部の変位に連続して、ドア内蔵センタピラーの上部側までもが変位することを抑制でき、加え、当該ドア内蔵センタピラーの潰れ時には、その倒れ変位を防止し、安定した潰れ変位を確保することができる。
【0017】
この発明の一実施態様においては、上記ドア内蔵センタピラーは、内側が開放する平面視でハット断面形状に形成されると共に、上記前面部および上記後面部に一体形成されて車両前後方向に延びるフランジ部を有しており、当該フランジ部がドアインナパネルに接合され、上記ドア内蔵センタピラーの下端には、上記低剛性部となる非フランジ部が設けられ、上記ドアインナパネルの下端とは上記側面部のみが接合されたものである。
【0018】
上記構成によれば、ドア内蔵センタピラーの下端に上述の非フランジ部を設けたので、当該非フランジ部により、容易にドア内蔵センタピラー下端部近傍の剛性低下を確保することができ、加えて、上記非フランジ部にて軽量化をも達成することができる。
【0019】
この発明の一実施態様においては、上記ドア内蔵センタピラーの下端部の前部に、上記側面部から車室内側に後退する第2の側面部が形成され、フロントドア内部に設けられたインパクトビームの後端部が、車両側面視で上記第2の側面部とオーバラップしており、オーバラップした部位に上記非フランジ部が形成されたものである。
【0020】
上記構成によれば、側突時に上記インパクトビームからの荷重は、第2の側面部を介して確実に受け止めつつ、上記非フランジ部にて低剛性部を形成することで、側突時にドア内蔵センタピラーの下端部を内側に変位させることができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、側突直後にドア下面部の変位は抑制させつつ、ドア内蔵センタピラーの下端直上を内側に変位させて、側突エネルギの吸収を図ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の車両のドア構造を示す車両右側の側面図
図2】ドアアウタパネルを取外した状態で示す車両右側の側面図
図3】フロントドアを取付けた状態で示す車両右側の側面図
図4】ドアアウタパネルを取外した状態で示すリヤドアの斜視図
図5】ドア内蔵センタピラー、上部レイン、インパクトビームを車幅方向内側から見た状態で示す側面図
図6】上部レインを車幅方向内側前方から見た状態で示す斜視図
図7図3のA-A線に沿う要部の矢視断面図
図8図3のB-B線に沿う要部の矢視断面図
図9図3のC-C線に沿う要部の矢視断面図
図10図3のD-D線に沿う要部の矢視断面図
図11図3のE-E線に沿う要部の矢視断面図
図12】ドア内蔵センタピラーの潰れ状態を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0023】
側突直後にドア下面部の変位は抑制させつつ、ドア内蔵センタピラーの下端直上を内側に変位させて、側突エネルギの吸収を図るという目的を、観音開き式ドアのリヤドア内の前端部に、上端から下端まで延びるドア内蔵センタピラーが設けられた車両のドア構造であって、上記ドア内蔵センタピラー下方のドア下面部に、補強レインが設けられ、上記ドア内蔵センタピラー下端部の一部が上記補強レインに取付けられると共に、上記ドア内蔵センタピラー下端直上には、その上部に対して剛性が低い低剛性部が設けられ、上記ドア内蔵センタピラーは側面部を備え、上記低剛性部が上記側面部に開口形成された開口部にて形成されるという構成にて実現した。
【実施例
【0024】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両のドア構造を示し、図1は当該ドア構造を示す車両右側の側面図(但し、図1ではフロントドアを取外した状態で示す)、図2はリヤドアのドアアウタパネルを取外した状態で示す車両右側の側面図、図3はフロントドアを取付けた状態で示す車両右側の側面図(但し、図3ではフロントドアのドアアウタパネルを取外した状態で示す)、図4はドアアウタパネルおよびラッチ取付けプレートを取外した状態で示すリヤドアの斜視図、図5はドア内蔵センタピラー、上部レイン、インパクトビームを車幅方向内側から見た状態で示す側面図、図6は上部レインを車幅方向内側前方から見た状態で示す斜視図である。
【0025】
また、図7図3のA-A線に沿う要部の矢視断面図、図8図3のB-B線に沿う要部の矢視断面図、図9図3のC-C線に沿う要部の矢視断面図、図10図3のD-D線に沿う要部の矢視断面図、図11図3のE-E線に沿う要部の矢視断面図である。
【0026】
なお、以下の実施例においては、車両右側の構成について述べるが、車両左側の構成は車幅右側のそれと左右対称または左右略対称に構成されている。
【0027】
<前提構造>
図1図2に示すように、車体上部において前後方向に延びるルーフサイドレール1と、車体後方部において上下方向に延びるリヤピラー2と、該リヤピラー2と連続して下方に延びるリヤボディ3と、車体下部において前後方向に延びるサイドシル4と、図示しない車両前側のヒンジピラーおよびフロントピラーとで囲繞されセンタピラーを有さないドア開口部5が車体側部に形成されている。
【0028】
上述のドア開口部5は、車両前側のヒンジピラー(図示せず)に上下一対のドアヒンジを介して開閉可能に取付けられたフロントドア10(図3参照)と、リヤボディ3に上下一対のドアヒンジを介して開閉可能に取付けられたリヤドア30とで開閉されると共に、フロントドア10とリヤドア30とで観音開き式ドアが構成されている。
【0029】
すなわち、観音開き式ドアは、フロントドア10がその前端部のドアヒンジを支点として開閉し、リヤドア30がその後端部のドアヒンジを支点として開閉し、両ドア10,30の開時には、前席乗員乗降用の開口と、後席乗員乗降用の開口との間に仕切のないドア開口部5が形成されるものである。
【0030】
一方で、上述のサイドシル4は、図7図8に示すように、サイドシルインナ6と、サイドシルアウタ7と、サイドシルレイン8(詳しくは、サイドシルレインフォースメント)とを備え、車両前後方向に延びるサイドシル閉断面9を有する車体剛性部材であり、左右一対のサイドシル4におけるサイドシルインナ6,6間には、車室の床面を形成するフロアパネル20が張架されている。
【0031】
<フロントドアの構成>
上述のフロントドア10は、図3図7図9図10図11に示すように、ドアインナパネル11とドアアウタパネル12とをヘミング加工にて一体化したもので、図3図9図10に示すように、ドアインナパネル11の上側後部にはレインフォースメント13を介してガラスガイド14が取付けられている。
【0032】
また、図3に示すように、ドアインナパネル11のベルトライン部BLには、当該ベルトライン部に沿って前後方向に延びるベルトラインレインフォースメント15を取付けている。さらに、同図に示すように、ドアインナパネル11の後縁部段下げ部11aと前側の段下げ部(図示せず)との間には複数のインパクトビーム16,17,18を張架している。
【0033】
ここで、上側のインパクトビーム16はベルトライン部BLに沿って車両前後方向に延びており、上下方向中間部のインパクトビーム17は前上方向に延びており、下側のインパクトビーム18も前上方向に延びている。
【0034】
図7図11に示すように、下側のインパクトビーム18の後部と、ドアインナパネル11における後縁部段下げ部11aとの間には、メッキ鋼板製のジャンクションプレート19が介設されている。このジャンクションプレート19は車両側突時に下側のインパクトビーム18が口開き変形するのを防止すると共に、錆による浸蝕の防止効果を奏するプレートである。
【0035】
<リヤドアの構成>
ところで、上述のリヤドア30は、図7図11に示すように、ドアインナパネル31とドアアウタパネル32とをヘミング加工等により一体化したもので、図1に示すように、これら両パネル31,32によりドア本体部30Mと、当該ドア本体部30Mに対して車幅方向の幅が小さいドアサッシュ部30Sとが一体形成されている。
図2図3図4に示すように、上述のドアインナパネル31には、複数の開口部33,34,35,36が開口形成されている。
【0036】
これら複数の開口部33~36のうち、前側下部に位置する開口部33は、ドアラッチ組付け用の開口部であり、後側上部に位置する開口部34はドアウインドガラス嵌込み用の開口部であり、他の開口部35,36は軽量化用の開口部である。
【0037】
図1図2図4に示すように、リヤドア30の前端ライン30FLは、車両側面視で略直線状に形成されると共に、その上方が後傾となるように前低後高状に傾斜している。一方、リヤドア30におけるドア本体部30Mの後端部において上述のドアインナパネル31には上下方向に延びるヒンジレインフォースメント37を設けている。
【0038】
また、図8に示すように、ドア下面部としてのドアインナパネル31の下面部31aには、補強レインとしてのラッチ取付けプレート38が設けられている。同図に示すように、当該ラッチ取付けプレート38は車幅方向に延びる主面部38aと、該主面部38aの車幅方向内端から上方に延びる上片部38bと、上記主面部38aの車幅方向外端から下方に延びる下片部38cと、を一体形成したものである。
【0039】
そして、上述のラッチ取付けプレート38には、図11に示すベースプレート39を介してラッチユニット40(図8参照)が取付けられる。なお、図11において、41はストライカ、42はピン、43はピン受けである。
【0040】
<ドア内蔵センタピラーとその周辺構成>
図2図3に示すように、リヤドア30内の前端部には、その上端から下端まで上下方向に延びる超高張力鋼板製のドア内蔵センタピラー50(以下、単にセンタピラー50と略記する)が設けられている。特に、該センタピラー50の下端部は図8に示すように、上述のラッチ取付けプレート38を介して、ドアインナパネル31の下部に接合固定されている。一方で、図2図4に示すように、このセンタピラー50の前端は、リヤドア30の前端ライン30FLの後傾形状に沿って傾斜している。
【0041】
図9図10に示すように、この実施例では上述のセンタピラー50はリヤドア30内の前寄りの位置において、当該センタピラー50の前端とドアインナパネル31の前端とが略一致するように配置されている。
【0042】
また、図9図11に示すように、上述のセンタピラー50は、車幅方向に延びる前面部50aと、車幅方向に延びる後面部50bと、車両前後方向に延びて上記前後両面部の車外端同士を連結する側面部としてのベース側面部50fとを有し、車幅方向内側が開放する平面視でハット断面形状に形成されており、上述の前面部50aの車幅方向内端から車両前方に延びるフランジ部50dを一体形成すると共に、上述の後面部50bの車幅方向内端から車両後方に延びるフランジ部50eを一体形成している。上述の各フランジ部50d,50eは車両前後方向に延びるよう形成されている(図9図10参照)。
【0043】
なお、上述の前面部50aの車外端と、ベース側面部50fの前端との間には、後述する第2の側面部50hおよび中間前面部50gが介設されている(図11参照)。当該中間前面部50gは略車幅方向に延びており、上述の第2の側面部50hは車両前後方向に延びている。上述の第2の側面部50hの詳細構造については、後述する。
【0044】
図10に示すように、上述の前後の各フランジ部50d,50eはドアインナパネル31に接合されており、センタピラー50とドアインナパネル31との間には、上下方向に延びる閉断面51が形成されている。
【0045】
図3のC-C線矢視断面図である図9に示すように、ドアサッシュ部30Sにおけるドアインナパネル31と、センタピラー50の後側のフランジ部50eとの間には、レインフォースメント52が介設されている。
【0046】
図2図3図5に示すように、リヤドア30内部のベルトライン部BLよりも下方側において、ドア後端部に位置するヒンジレインフォースメント37と、センタピラー50のベース側面部50fの後部とを接続する複数のインパクトビーム44,45が設けられている。
【0047】
ここで、上記複数のインパクトビーム44,45のうち、上側のインパクトビーム44は、ヒンジレインフォースメント37の上部寄りの位置からセンタピラー50のベース側面部50fに向けて前下に延びており、下側のインパクトビーム45は、ヒンジレインフォースメント37の下端部からセンタピラー50のベース側面部50fに向けて前上に延びており、上下の両インパクトビーム44,45の配設位置および傾斜方向を異ならせることで、リヤドア30のドア本体部30Mの広範囲に渡って側突荷重を受け止めるよう構成したものである。
【0048】
図2図5に示すように、上述のベルトライン部BLでセンタピラー50の前部または後部の一方(この実施例では後部)を屈曲させて屈曲部53を形成し、この屈曲部53より上方側のセンタピラー50の前後幅を、屈曲部53より下方側のセンタピラー50の前後幅と比較して細く形成し、当該センタピラー50の屈曲部53よりも上方側の部位に隣接してシートベルトのアンカアジャスタ54を設けている。
【0049】
図9に示すように、上述のアンカアジャスタ54はドアインナパネル31の車室側の面(車幅方向内側の面)に設けられるもので、同図に示すように、予めナット55が溶接固定された上下一対のブラケット56を、ドアインナパネル31のドア内部空間側の面(車幅方向外側の面)に溶接接合し、上述のナット55(つまりウエルドナット)に車室内側から締結するボルト57を用いて、アンカアジャスタ54がドアインナパネル31に取付けられたものである。
【0050】
図9図10に示すように、上述のセンタピラー50の後端(すなわち、後側のフランジ部50e)はドアインナパネル31にのみ接合固定される一方、センタピラー50の前端(すなわち、前側のフランジ部50d)は、その上部から下部の上下方向略全長に渡ってドアアウタパネル32とドアインナパネル31とに接合固定され、これら各要素31,32,50の3枚溶接を達成し、かつ、上述の屈曲部53はセンタピラー50の後部側に形成されたものであり、上述のアンカアジャスタ54はセンタピラー50の後部側に隣接配置されている。
【0051】
図11に示すように、フロントドア10内部に設けられた下側のインパクトビーム18の後端は、リヤドア30内のセンタピラー50(詳しくは、その第2の側面部50h)に対して車両側面視でオーバラップさせている。
図3図5に示すように、当該センタピラー50は、下部側になる程、その前後幅が広く形成されている。
【0052】
また、図11に示すように、上記センタピラー50は、インパクトビーム18の後端内端部18aよりも車幅方向外方側に位置する上述のベース側面部50fと、インパクトビーム18の後端内端部18aよりも車幅方向内方側に位置する上述の第2の側面部50hと、を有しており、この第2の側面部50hがセンタピラー50下部の前部寄りに形成されていて、上記インパクトビーム18の後端は、図11に示すように、第2の側面部50hに対して車両側面視でオーバラップさせたものである。
【0053】
このように、センタピラー50のベース側面部50fを、インパクトビーム18の後端内端部18aよりも車幅方向外方側に位置させて、センタピラー50の基本断面の車幅方向の幅(図9図10図11に示すドアインナパネル31とベース側面部50fとの車幅方向の幅参照)を大きく確保し、かつ、インパクトビーム18後端を第2の側面部50hとオーバラップさせて、側突時にフロントドア10内のインパクトビーム18からの荷重を受け止めるよう構成したものである。
【0054】
図2図4図5に示すように、上述の第2の側面部50hは上方に向かうに従いその前後幅が狭くなるよう形成されており、これにより当該第2の側面部50hによる荷重受け面の確保と、剛性の急変による応力集中を回避すべく構成したものである。
【0055】
また、図2図5に示すように、上述のベース側面部50fはベルトライン部BLよりも下方が略同じ前後幅に形成されており、第2の側面部50hは車両側面視でベルトライン部BLの下部を頂部とする上下方向に細長い三角形状に形成されている。これにより、ベース側面部50fのベルトライン部BLよりも下方の前後幅を一定寸法に確保しつつ、第2の側面部50hの面積を確保すべく構成している。
【0056】
図2図7に示すように、フロントドア10内のインパクトビーム18はその後端が、車両側面視でセンタピラー50の下端部、詳しくは、第2の側面部50hの最下端部およびサイドシル4とオーバラップするよう配置されており、これにより、インパクトビーム18後端からの側突荷重を、センタピラー50とサイドシル4とに分散して伝達するよう構成している。
【0057】
また、図7に示すように、センタピラー50の第2の側面部50hの外面と、サイドシル4を補強するサイドシルレイン8の外面との車幅方向位置が略同じ位置になるよう構成されており、これにより、側突時にインパクトビーム18後端からの側突荷重を、センタピラー50の第2の側面部50hと、サイドシルレイン8とに同じタイミングで荷重入力することで、荷重分散を図るよう構成している。
【0058】
<上部レインとその周辺構造>
ところで、図5図6に示すように、センタピラー50の上端部からベルトライン部BLに渡って当該センタピラー50の上記各面部(図9に示す前面部50a、後面部50b、ベース側面部50f参照)を一体で補強する上部レイン60(いわゆる裏当て部材)が設けられており、これにより、センタピラー50の上端部からベルトライン部BLに渡るドアサッシュ部30Sの上下を、当該上部レイン60で補強し、ドア本体部30Mに対して車幅方向の厚みが小さいドアサッシュ部30Sの薄さによる剛性低下を、上部レイン60にて補強し、リヤドア30の上下間での剛性差をなくすよう構成したものである。
【0059】
図5に示すように、上述の上部レイン60はセンタピラー50の車幅方向内側の面に当接接合されており、該上部レイン60は当該上部レイン60が当接されるセンタピラー50の形状と対応すべく、車幅方向に延びる前面部60aと、車幅方向に延びる後面部60bと、車両前後方向に延びて前後両面部の車外端同士を連結する側面部60cとを有すると共に、側面部60cの中間部、詳しくは上下方向中間部および前後方向中間部には、開口部60dが開口形成されている。また、後述するセンタピラー50の補強ビード59と対応すべく、開口部60dの上下における側面部60cには、上下方向に延びるビード部60e,60fが一体形成されている。
この実施例では、上部レイン60をセンタピラー50の車幅方向内側の面に接合固定したが、該上部レイン60はセンタピラー50の車幅方向外側の面に接合固定してもよい。
【0060】
図5図6に示すように、上述の上部レイン60はその一部から部分的にベルトライン部BLよりも下方に延びる下方延出部61を備えており、センタピラー50のベルトライン部BLにおいて上部レイン60の存在の有無により、上下方向で剛性差が生じることを、当該下方延出部61にて抑制すべく構成している。
【0061】
図5図10に示すように、上述の下方延出部61は、インパクトビーム44,45が接続された側であるセンタピラー50のベース側面部50fの後部から後面部50bに渡る部位から、水平方向断面で略L字形状の断面構造を保って下方に延出されている。これにより、上述のインパクトビーム44,45を介して、より大きい側突荷重が作用するセンタピラー50の後部側の補強向上を図るよう構成している。
【0062】
また、この実施例では、図5に示すように、上部レイン60の下方延出部61は、上述の屈曲部53が形成される側のベース側面部50fから後面部50bに渡る部位から、水平方向断面で略L字形状の断面構造を保って下方に延出されており、上部レイン60にて前後幅が細いセンタピラー50における屈曲部53よりも上方側の補強を行うと共に、屈曲部53が形成される側に下方延出部61を設けることで、当該下方延出部61にて屈曲部53に対する補強をも行なうよう構成したものである。
【0063】
<センタピラー下部側の構成>
一方、センタピラー50の下方においては、図8で示したように、ドア下面部としてのドアインナパネル31の下面部31aに、補強レインであるラッチ取付けプレート38が取付けられており、センタピラー50の下端直上には、その上部に対して剛性が低い低剛性部としての開口部58がベース側面部50fに設けられている。
【0064】
このように、センタピラー50下方のドア下面部に補強レインとしてのラッチ取付けプレート38を設けることで、側突直後にドア下面部の変位を抑制しつつ、低剛性部である開口部58を介してセンタピラー50の下端直上を内側に変位させることで、側突エネルギの吸収を図るよう構成したものである。
【0065】
また、低剛性部を開口部58で形成することにより、当該開口部58にて容易にセンタピラー50の下端部近傍の剛性低下を図り、併せて、軽量化をも達成すべく構成している。
【0066】
図8に示すように、センタピラー50の内側のドア下面部としてのドアインナパネル31の下面部31aには、ラッチ取付けプレート38を介してラッチユニット40が配設されており、上述の補強レインは当該ラッチ取付けプレート38にて構成されると共に、上述の開口部58はラッチユニット40組付け時に当該ラッチユニット40の一部を挿通した状態で向きを変更可能な大きさに形成されている。
【0067】
上述のラッチユニット40は、図2図3で示した開口部33からドアインナパネル31とセンタピラー50との間の空間に挿入して、上述のラッチ取付けプレート38に組付けられる。組付けに際しては空間内でラッチユニット40の向きを変える必要も生じるが、その際にドアインナパネル31やセンタピラー50と干渉する懸念がある。しかしながら、開口部58はラッチユニット40の一部を挿通した状態で向きを変更可能な大きさに形成されており、開口部58をドアラッチの組付け性確保に利用することができると共に、当該ラッチ取付けプレート38を補強レインとして有効利用することで、別途補強部材を設ける必要がなくなるように構成したものである。
【0068】
<補強ビードの構成>
図2図4に示すように、センタピラー50のベース側面部50fにおける前後方向中間部には、上述の開口部58の直上位置からセンタピラー上端まで上下方向に延び、かつ、車幅方向内側に凹む補強ビード59が一体形成されている。
【0069】
上述の補強ビード59の形成によりセンタピラー50の剛性向上を図り、開口部58の変位に連動してセンタピラー50の上部側が不所望に変位することを抑制し、さらには、センタピラー50の潰れ時には、その倒れ変位を防止して、安定した潰れ変位を確保するよう構成したものである。
【0070】
図12はセンタピラー50の潰れ状態を示す説明図であって、補強ビード59が存在しない場合には、側突荷重入力時にセンタピラーは、図12に仮想線βで示すように倒れ変位するが、ベース側面部50fに上下方向に延びる上述の補強ビード59を形成すると、当該ベース側面部50fの剛性および側突耐力が向上するので、側突荷重入力時にセンタピラー50は、図12に仮想線αで示すように、安定した潰れ変位となり、補強ビード59が存在しない構造と比較して、衝撃吸収エネルギの増大を図ることができる。
【0071】
<センタピラー下部側の構成>
また、図2図5に示すように、センタピラー50の下端前後には、低剛性部となる非フランジ部50i,50j(いわゆるノーフランジ部)が形成されている。そして、図8に示すように、ドアインナパネル31の下端とは、開口部58直下におけるベース側面部50fの最下端部50kのみが接合されている。
【0072】
図8に示すように、上述のベース側面部50fの最下端部50kは、補強レインであるラッチ取付けプレート38の下片部38cを介してドアインナパネル31の下端と接合(3枚溶接接合)されたものであり、ベース側面部50fの最下端部50kの剛性を確保している。
【0073】
上述の如く、センタピラー50の下端前後に非フランジ部50i,50jを設けることで、センタピラー50の下端部近傍の剛性低下を確保し、加えて、当該非フランジ部50i,50jにて軽量化をも達成するよう構成したものである。
【0074】
図4図5に示すように、センタピラー50の下部乃至下端部の前部には、ベース側面部50fから車室内側に後退する第2の側面部50hが形成されており、図2に仮想線で示すように、フロントドア10内部に設けられたインパクトビーム18の後端部が、車両側面視で上述の第2の側面部50hとオーバラップしており、このオーバラップした部位に上述の非フランジ部50iが形成されている。
【0075】
これにより、側突時に上述のインパクトビーム18からの荷重は、第2の側面部50hを介して確実に受け止めつつ、非フランジ部50iにて低剛性部を形成することで、側突時にセンタピラー50の下端部の前部をドア内側に変位させるよう構成したものである。
【0076】
なお、図1図3において、21は後輪ホイールハウスである。また、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印INは車幅方向の内方を示し、矢印OUTは車幅方向の外方を示し、矢印UPは車両上方を示す。
【0077】
このように、上記実施例の車両のドア構造は、観音開き式ドアのリヤドア30内の前端部に、上端から下端まで延びるドア内蔵センタピラー50が設けられた車両のドア構造であって、上記ドア内蔵センタピラー50下方のドア下面部に、補強レイン(ラッチ取付けプレート38参照)が設けられ、上記ドア内蔵センタピラー下端部の一部(最下端部50k参照)が上記補強レイン(ラッチ取付けプレート38)に取付けられると共に、上記ドア内蔵センタピラー50下端直上には、その上部に対して剛性が低い低剛性部(非フランジ部50i,50j,開口部58参照)が設けられたものである(図2図8参照)。
【0078】
この構成によれば、ドア内蔵センタピラー50下方のドア下面部に補強レイン(ラッチ取付けプレート38)を設けたので、側突直後にドア下面部の変位を抑制させつつ、上記低剛性部を介してドア内蔵センタピラー50の下端直上を内側に変位させて、側突エネルギの吸収を図ることができる。
【0079】
また、この発明の一実施形態においては、上記ドア内蔵センタピラー50は、前面部50aと、後面部50bと、前後両面部の車外端同士を連結する側面部(ベース側面部50f参照)とを備え、上記低剛性部が上記側面部(ベース側面部50f)に開口形成された開口部58にて形成されたものである(図5図9図10参照)。
【0080】
この構成によれば、ドア内蔵センタピラー50の側面部(ベース側面部50f)に形成した開口部58により、容易に当該ドア内蔵センタピラー50の下端部近傍の剛性低下を図ることができ、加えて、軽量化をも達成することができる。
【0081】
さらに、この発明の一実施形態においては、上記ドア内蔵センタピラー50の内側のドア下面部に、ラッチ取付けプレート38を介してドアラッチ(ラッチユニット40参照)が配設され、上記補強レインが上記ラッチ取付けプレート38にて構成されると共に、上記開口部58は上記ドアラッチ(ラッチユニット40)組付け時に当該ドアラッチ(ラッチユニット40)の一部を挿通した状態で向きを変更可能な大きさに形成されたものである(図8図11参照)。
この構成によれば、上述の開口部58をドアラッチ(ラッチユニット40)の組付け性確保に利用することができると共に、上記ラッチ取付けプレート38を補強レインとして有効利用することができる。
【0082】
さらにまた、この発明の一実施形態においては、上記ドア内蔵センタピラー50の上記側面部(ベース側面部50f)には、上記開口部58の直上位置から上端まで延びる補強ビード59が形成されたものである(図2図5参照)。
【0083】
この構成によれば、補強ビード59の形成によりドア内蔵センタピラー50の剛性向上を図ることができるので、開口部58の変位に連続して、ドア内蔵センタピラー50の上部側までもが変位することを抑制でき、加え、当該ドア内蔵センタピラー50の潰れ時には、その倒れ変位(図12の仮想線β参照)を防止し、安定した潰れ変位(図12の仮想線α参照)を確保することができる。
【0084】
加えて、この発明の一実施形態においては、上記ドア内蔵センタピラー50は、内側が開放する平面視でハット断面形状に形成されると共に、上記前面部50aおよび上記後面部50bに一体形成されて車両前後方向に延びるフランジ部50d,50eを有しており、当該フランジ部50d,50eがドアインナパネル31に接合され、上記ドア内蔵センタピラー50の下端には、上記低剛性部となる非フランジ部50i,50jが設けられ、上記ドアインナパネル31の下端とは上記側面部(ベース側面部50f)のみが接合されたものである(図2図8図9図10参照)。
【0085】
この構成によれば、ドア内蔵センタピラー50の下端に上述の非フランジ部50i,50jを設けたので、当該非フランジ部50i,50jにより、容易にドア内蔵センタピラー50下端部近傍の剛性低下を確保することができ、加えて、上記非フランジ部50i,50jにて軽量化をも達成することができる。
【0086】
また、この発明の一実施形態においては、上記ドア内蔵センタピラー50の下端部の前部に、上記側面部(ベース側面部50f参照)から車室内側に後退する第2の側面部50hが形成され、フロントドア10内部に設けられたインパクトビーム18の後端部が、車両側面視で上記第2の側面部50hとオーバラップしており、オーバラップした部位に上記非フランジ部50iが形成されたものである(図2図11参照)。
【0087】
この構成によれば、側突時に上記インパクトビーム18からの荷重は、第2の側面部50hを介して確実に受け止めつつ、上記非フランジ部50iにて低剛性部を形成することで、側突時にドア内蔵センタピラー50の下端部を内側に変位させることができる。
【0088】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の補強レインは、実施例のラッチ取付けプレート38に対応し、
以下同様に、
ドア内蔵センタピラーは、センタピラー50に対応し、
低剛性部は、開口部58、非フランジ部50i,50jに対応し、
側面部は、ベース側面部50fに対応し、
ドアラッチは、ラッチユニット40に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0089】
以上説明したように、本発明は、観音開き式ドアのリヤドア内の前端部に、上端から下端まで延びるドア内蔵センタピラーが設けられた車両のドア構造について有用である。
【符号の説明】
【0090】
10…フロントドア
18…インパクトビーム
30…リヤドア
31…ドアインナパネル
38…ラッチ取付けプレート(補強レイン)
40…ラッチユニット(ドアラッチ)
50…センタピラー(ドア内蔵センタピラー)
50a…前面部
50b…後面部
50d,50e…フランジ部
50f…ベース側面部(側面部)
50h…第2の側面部
50i,50j…非フランジ部(低剛性部)
58…開口部(低剛性部)
59…補強ビート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12