(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】エンジンの排気装置
(51)【国際特許分類】
F02B 27/06 20060101AFI20221018BHJP
F01N 13/08 20100101ALI20221018BHJP
F01N 13/10 20100101ALI20221018BHJP
【FI】
F02B27/06 E
F01N13/08 G
F01N13/08 Z
F01N13/10
(21)【出願番号】P 2018122018
(22)【出願日】2018-06-27
【審査請求日】2021-04-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】村松 剛吉
【審査官】家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-162653(JP,A)
【文献】特開平05-005418(JP,A)
【文献】特開2013-213411(JP,A)
【文献】特開2017-075546(JP,A)
【文献】特開平02-040024(JP,A)
【文献】米国特許第07021052(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 27/06
F01N 13/00
B62K 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多気筒エンジンの各気筒の排気口に接続される複数の排気管と、連通孔を介して対となる前記排気管同士を連結する連結管と、前記排気管の前方に配置される熱交換器と、を備えるエンジンにおいて、
前記連結管は、1番気筒及び4番気筒の前記排気管を連結する第1の連結管と、2番気筒及び3番気筒の前記排気管を連結する第2の連結管とを含み、
前記第1の連結管は、前記第2の連結管よりも上方
であって且つ前記多気筒エンジンのクランク軸よりも上方に配置されている
とともに、1番気筒及び4番気筒の前記排気管の後面に接続され、2番気筒及び3番気筒の前記排気管の後方を通るように設けられ、
前記第1の連結管には、該第1の連結管よりも大径の容積部が設けられており、
前記容積部は、前記排気管よりも後方に位置していることを特徴とするエンジンの排気装置。
【請求項2】
前記第2の連結管は前記容積部よりも前方に位置し、側面視で2番気筒及び3番気筒の前記排気管と重なって
おり、
正面視で前記容積部は、2番気筒及び3番気筒の前記排気管の間に配置されているとともに前記第2の連結管よりも上方に位置していることを特徴とする請求項
1に記載のエンジンの排気装置。
【請求項3】
側面視で1番気筒から4番気筒の前記排気管は、重なって配置され、
前記第1の連結管は、1番気筒及び4番気筒の前記排気管の後面に接続され、2番気筒及び3番気筒の前記排気管の後方を迂回するように2番気筒及び3番気筒の前記排気管の後方まで延びて前記容積部に接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンの排気装置。
【請求項4】
前記容積部の長さは、前記第2の連結管の長さと略同一であることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載のエンジンの排気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車等の車両に搭載される多気筒エンジンの排気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のエンジンにおいて、所定気筒の排気管同士を連結管で連通させて排気脈動を有効に利用することによって、燃焼室の充填効率を高めて出力を向上させている。しかし、中低速域ではこの排気脈動が逆に作用して、そのままでは出力の谷ができフィーリングを悪化させてしまう。そこで例えば特許文献1のように、他の気筒の排気管にチャンバーを設け、中低速域での出力の谷の発生を抑制する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在ほとんどの機種では、排気管の前方には熱交換器(ラジエータ等)が配置されており、排気管前部にチャンバーを設けると熱害抑制のために隙間が必要になり、そのままでは車両が大型化してしまう。熱交換器がない機種でも、カウルリング等の意匠面に制約を受けてしまうことや、チャンバーそのものが外観上好ましくないこともある。
また、チャンバーの容積を小さくするためにはなるべく排気上流に設けることが望ましいが、連結管の配置に制約を受けてしまい出力特性の調整に影響がでてしまう。
【0005】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであり、多気筒エンジンを備える自動二輪車において、簡易な構造で中低速域のエンジン出力を向上させると共に、レイアウトの自由度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のエンジンの排気装置は、多気筒エンジンの各気筒の排気口に接続される複数の排気管と、連通孔を介して対となる前記排気管同士を連結する連結管と、前記排気管の前方に配置される熱交換器と、を備えるエンジンにおいて、前記連結管は、1番気筒及び4番気筒の前記排気管を連結する第1の連結管と、2番気筒及び3番気筒の前記排気管を連結する第2の連結管とを含み、前記第1の連結管は、前記第2の連結管よりも上方であって且つ前記多気筒エンジンのクランク軸よりも上方に配置されているとともに、1番気筒及び4番気筒の前記排気管の後面に接続され、2番気筒及び3番気筒の前記排気管の後方を通るように設けられ、前記第1の連結管には、該第1の連結管よりも大径の容積部が設けられており、前記容積部は、前記排気管よりも後方に位置していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、多気筒エンジンを備える自動二輪車において、簡易な構造で中低速域のエンジン出力を向上させると共に、レイアウトの自由度を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態における自動二輪車のエンジンまわりを右側方から見た側面図である。
【
図2】本発明の実施形態におけるエンジンの排気管まわりの斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るエンジンの排気管の斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るエンジンの排気管の後方正面図である。
【
図5C】
図4のIII-III線に沿う断面図である。
【
図6】本発明の排気装置に係るエンジンの出力カーブを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態に係るエンジンの排気装置は、多気筒エンジンの各気筒の排気口に接続される複数の排気管と、連通孔を介して対となる前記排気管同士を連結する連結管と、前記排気管の前方に配置される熱交換器と、を備えるエンジンにおいて、前記連結管は、1番気筒及び4番気筒の前記排気管を連結する第1の連結管と、2番気筒及び3番気筒の前記排気管を連結する第2の連結管とを含み、前記第1の連結管は、前記第2の連結管よりも上方に配置されている。これにより、エンジン中低速域での出力の谷を抑制し、滑らかな高出力カーブを得ることができ、周辺部品とのレイアウトに制約を受けることなく、エンジン出力を向上させることができる。
【実施例】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施例について説明する。
本実施例では、自動二輪車に搭載される多気筒エンジンを例に説明する。
図1は、自動二輪車100のエンジン10まわりを右側方から見た側面図である。なお、本願において上下、左右、前後といった方向は、自動二輪車100に乗車した状態での方向を指すものとし、各図において方向を示す。
【0011】
自動二輪車100の車体フレームに搭載されるエンジン10は、本実施例において例えば4サイクル多気筒、典型的には4気筒エンジンであってよい。この例では並列4気筒としたエンジン10において、前傾して配置されたシリンダブロック11の上側にシリンダヘッド12及びシリンダヘッドカバー13が順に結合し、一方、シリンダブロック11の下方にはクランクケース14が一体的に結合する。また、クランクケース14の下部にはオイルパン15が付設される。なお、エンジン10の気筒配列は、左から右に向けて1番(♯1)気筒、♯2気筒、♯3気筒及び♯4気筒とし、
図1においては♯1気筒のみが示される。
【0012】
クランクケース14とトランスミッションケース16が相互に一体的に結合し、全体としてエンジン10のケーシングアセンブリを構成する。このケーシングアセンブリの適所にはエンジン始動用のスタータモータやクラッチ装置等を始めとする複数の補機類が搭載もしくは結合し、これらを含めたエンジン10全体が自動二輪車100の車体フレームによって支持される。
【0013】
エンジン10には更に、エアクリーナ及び燃料供給装置からそれぞれ供給される空気(吸気)及び燃料でなる混合気を供給する吸気系、燃焼後の排気ガスをエンジン10から排出する排気系、エンジン10を冷却する冷却系及びエンジン10の可動部を潤滑する潤滑系、更にはそれらを作動制御する制御系(ECU;Engine Control Unit)が付属する。制御系の制御により複数の機能系が上述の補機類等と協働し、これによりエンジン10全体として円滑作動が遂行される。
【0014】
エンジン10の冷却系において、シリンダブロック11の周囲には冷却水が循環するように形成したウォータジャケットが構成されると共に、該ウォータジャケットに送給される冷却水を冷却する、熱交換器であるラジエータ17を装備する。なお、ラジエータ17はエンジン10の前方に配置され、例えばその上部がブラケット18を介して車体フレームに結合し、その下部がブラケット19を介してシリンダブロック11に結合し、このようにラジエータ17は車体フレームもしくはシリンダブロック11によって複数点もしくは箇所で支持される。ブラケット19は、シリンダブロック11の前面部から前下がりに延出し、ラジエータ17の下部に結合する。ラジエータ17の背面部には、シリンダヘッド12の略前方に位置してファン20が取り付けられる。
【0015】
エンジン10の潤滑系において、クランク軸21やシリンダヘッド12内に構成される動弁装置、そしてそれらを連結するカムチェーン、トランスミッション等々が含まれる。本実施例の潤滑系において、通常のオイルポンプを使用するが、このオイルポンプによりオイルパン15から吸い上げたオイルを潤滑系に送給する。潤滑系を循環する潤滑油を冷却する、熱交換器であるオイルクーラ22を装備する。なお、オイルクーラ22はクランクケース14の前方、且つラジエータ17の下方に配置され、例えばその上部がラジエータ17に結合し、その下部がブラケット23を介してオイルパン15に結合し、このようにオイルクーラ22はラジエータ17もしくはオイルパン15によって複数点もしくは箇所で支持される。クランクケース14の前面部には、潤滑油を清浄化するオイルフィルタ24が取り付けられる。
【0016】
図1に示されるようにエンジン10の前方にはシリンダヘッドカバー13からクランクケース14までの領域に亘って、エンジン10から前方に一定間隔をおいてラジエータ17及びオイルクーラ22が上下方向に配置される。
【0017】
エンジン10の排気系において、♯1~♯4の各気筒ともシリンダヘッド12の前側にて燃焼ガスの排気口が開口し、これらの排気口にそれぞれ排気管25(25A~25D)が接続される。各排気管25はシリンダヘッド12の排気口から一旦下方へ延出して、オイルパン15の左側下部に回り込んで合流し、更に後方へ延出する。合流した排気管25は最終的にマフラ(消音器)に接続される。なお、ラジエータ17及びオイルクーラ22は、上下方向に延設されている排気管25の部位の前方に配置される。また、
図1の側面図で、排気管25の上下方向に延設されている部位の下部付近の後方には、オイルフィルタ24とバランサ室26が配置される。
【0018】
図2に示されるように各排気管25はシリンダヘッド12の排気口に接続する取付口25aを有し、フランジ27によってシリンダヘッド12に締結固定される。♯1気筒の排気管25Aと♯2気筒の排気管25Bが合流部28で合流し、♯3気筒の排気管25Cと♯4気筒の排気管25Dが合流部29で合流する。更に、合流部28及び合流部29が相互に合流することで、♯1~♯4気筒の4本の排気管25A~25Dが最終的に単一の集合管に集合する。この集合管にはマフラが接続され、このマフラから排気ガスが排出される。
【0019】
更に、所定の排気管25同士が連通孔を介して対をなして連結管によって連結される。本実施例では♯1気筒及び♯4気筒の排気管25A,25Dを連結する第1の連結管30と、♯2気筒及び♯3気筒の排気管25B,25Cを連結する第2の連結管31とを含み、第1の連結管30及び第2の連結管31が水平に架け渡される。
特に、第1の連結管30は、第2の連結管31よりも上方に配置されている。
【0020】
また、第1の連結管30は
図1に示されるように、エンジン10のクランク軸21よりも上方に配置されている。一方、第2の連結管31はクランク軸21よりも下方に位置している。
【0021】
図3は、第1の連結管30及び第2の連結管31によって連結された♯1~♯4気筒の排気管25A~25Dの左前方斜視図、
図4はその後方正面図である。
第1の連結管30には、第1の連結管30よりも大径の容積部32が設けられている。この容積部32は第1の連結管30よりも太い中空構造を持ち、容積部32の径は排気管25と略同程度である。また、容積部32は
図4等に示されるように第1の連結管30の略中央部に位置し、
図4のように正面視で容積部32は、2番気筒及び3番気筒の排気管25B,25Cの間に配置され、つまり♯2気筒及び♯3気筒の排気管25B,25Cの範囲に収まる程度となっている。
【0022】
この場合、容積部32はレイアウト上、排気管25と略同程度の径か、若干大きい程度の径に設定される。なお、容積部32の径がこれより大き過ぎると容積部32とエンジン10との隙間確保に影響し、排気管25との接続性にも影響する。また、容積部32の長さについても、排気管25B,25Cの範囲に収まる程度以上に長くなると容積部32をレイアウトに影響し、出力や耐久性の点でも適度な長さに設定される。
【0023】
次に、第1の連結管30は、1番気筒及び4番気筒の排気管25A,25Dの後面に接続され、2番気筒及び3番気筒の排気管25B,25Cの後方を通るように設けられている。この場合、1番気筒及び4番気筒の排気管25A,25Dの後面には
図5Aに示されるようにそれぞれ連通孔33を有し、排気管25A,25D同士が連通孔33を介して対をなして第1の連結管30によって連結される。なお、連通孔33は、
図5Aの図示例のように排気管25A,25Dの後面寄りであればよく、連通孔33の位置設定には自由度が確保される。
【0024】
また、
図5Aに示されるように第2の連結管31は、2番気筒及び3番気筒の排気管25B,25Cの左右側面に接続され、容積部32よりも前方に位置している。この場合、2番気筒及び3番気筒の排気管25B,25Cの左右側面には、
図5Bに示されるようにそれぞれ連通孔34を有し、排気管25B,25C同士が連通孔34を介して対をなして第2の連結管31によって連結される。
【0025】
更に、第2の連結管31は
図5Cのように側面視で、2番気筒及び3番気筒の排気管25B,25Cと重なっている。2番気筒及び3番気筒の排気管25B,25Cの左右側面に形成された連通孔34に対して第2の連結管31が接続される。
【0026】
ここで
図4を参照して、排気管25の取付口25a及び第1の連結管30間の距離L1よりも、第1の連結管30及び第2の連結管31間の距離L2が短く設定される。第2の連結管31の位置は従来と殆ど変わらないか、僅かに排気下流側に設定される。
【0027】
本発明のエンジンの排気装置において、エンジン10が始動すると、♯1~♯4気筒のシリンダヘッド12の排気口から排気管25A~25Dに排気ガスが流入し、その排気ガスは更に合流部28,29で合流して、集合管を経てマフラから排出される。その際、所定の排気管25を連結する第1の連結管30及び第2の連結管31を有することで、排気脈動を制御してその適正化を図り、エンジン10の高出力化等を実現できる。
【0028】
本発明によれば特に、第1の連結管30が第2の連結管31よりも上方に配置され、
図1に示されるようにエンジン10のクランクケース14あるいはバランサ室26と排気管25との間に形成される空間を使って、第1の連結管30を比較的高い位置に配置することができる。このように♯1気筒及び♯4気筒の排気管25A,25Dを連結する第1の連結管30を排気上流側に設けることで、エンジン中低速域での出力の谷を抑制するように排気脈動を制御し、滑らかな高出力カーブを得ることができる。特に第1の連結管30の配置において、周辺部品とのレイアウトに制約を受けることなく、エンジン出力としては中低速域での出力を向上させることができる。
【0029】
また、第1の連結管30を上方に設け、即ち排気管25A,25Dの取付口25aに近い位置で第1の連結管30を介してそれらを連結することで、
図4に示されるように排気管25A,25Dと第1の連結管30とでラーメン構造に近似する構造体が構成される。このような構造体によれば、高い剛性強度が確保され、排気管25に対する補強用の部品を設けなくて済み、実質的に構造の簡素化を図ることができる。
【0030】
具体的には第1の連結管30は、エンジン10のクランク軸21よりも上方に配置されている。このように第1の連結管30を排気上流側に設けることで、エンジン中低速域での出力向上を図りながら、そのような効果を有効に確保しつつ第1の連結管30の径を実質的に小さくすることができ、これにより構成のコンパクト化に繋がる。
【0031】
また、第1の連結管30には、第1の連結管30よりも大径の容積部32が設けられ、容積部32の容量により排気脈動を制御するようにエンジン回転域にマッチングさせ、谷の部分の出力増加を図ることができる。この場合、第1の連結管30に直接容積部32を設けることで、第1の連結管30自体のレイアウト性の良さに対応して、周辺部品とのレイアウトに制約を受けずに、中低速域での出力を向上させることができる。
また、容積部32をシリンダヘッド12の排気口に近い排気上流側に設けることで、より中低速域での出力を向上させることができる。あるいはそのような効果を有効に確保しつつ容積部32の容量を実質的に小さくすることができ、これにより構成のコンパクト化に繋がる。
【0032】
また、第1の連結管30は、1番気筒及び4番気筒の排気管25A,25Dの後面に接続され、2番気筒及び3番気筒の排気管25B,25Cの後方を迂回するように配置される。
第1の連結管30をこのように接続することで、周辺部品、特に2番気筒及び3番気筒の排気管25B,25C等とのレイアウトに制約を受けずに、第1の連結管30を適正に設けることができる。
【0033】
また、第1の連結管30に関する距離L1と第2の連結管31に関する距離L2との関係をL1>L2に設定し、第1の連結管30に対して排気下流側でありながら、第2の連結管31はより排気上流側に設けられる。
2番気筒及び3番気筒でのバルブオーバラップ時にそれぞれの排気脈動を利用して充填効率を高め、特に高速域での出力を高めることができ、その場合第2の連結管31をより排気上流側に設け、その効果を更に向上することができる。
【0034】
また、容積部32は正面視で、2番気筒の排気管25Bと及び3番気筒の排気管25Cの間に配置され、これにより容積部2と第1の連結管30を2番気筒及び3番気筒の排気管25B,25Cに近づけて配置することができ、容積部32の容量を確保しながら排気管25をコンパクトに配置構成することができる。
【0035】
また、第2の連結管31は、容積部32よりも前方に位置し、側面視で2番気筒及び3番気筒の排気管25B,25Cと重なっている。
第2の連結管31を容積部32から前方にずらして配置し、これにより容積部32回りの隙間確保を容易化し、特に容積部32の径方向の大きさを確保し易くなる。
【0036】
本発明のエンジンの排気装置によれば、上述のように特に第1の連結管30を排気上流側に設け、また、容積部32の容量を大きく確保し、エンジン中低速域の出力の谷を解消することができ、中低速域の出力を向上させることができる。
ここで、
図6は、本発明の排気装置を備えたエンジン10のエンジン回転数と出力との関係(実線)を比較例(点線)と共に示す図である。比較例として例えば、♯1気筒及び♯4気筒の連結管が♯2気筒及び♯3気筒の連結管よりも排気下流側に配置される。本発明によれば、微細な出力の谷があるものの全体としてはエンジン回転数の中低速域での出力の谷を抑制し、全体的に滑らかな高出力カーブを得ている。
【0037】
以上、本発明の実施例を、図面を参照して詳細に説明したが、各実施例は、本発明の実施にあたっての具体例を示したに過ぎない。本発明の技術的範囲は、各実施例に限定されるものではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に含まれる。
第1の連結管30及び第2の連結管31の高さ、あるいは容積部32の径等は、本発明の範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0038】
10 エンジン、11 シリンダブロック、12 シリンダヘッド、13 シリンダヘッドカバー、14 クランクケース、15 オイルパン、17 ラジエータ、18,19 ブラケット、20 ファン、21 クランク軸、22 オイルクーラ、23 ブラケット、24 オイルフィルタ、25 排気管、26 バランサ室、28,29 合流部、30 第1の連結管、31 第2の連結管、32 容積部、33,34 連通孔。