(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】自動販売機の商品収納装置
(51)【国際特許分類】
G07F 9/00 20060101AFI20221018BHJP
G07F 11/34 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
G07F9/00 Z
G07F11/34 Z
(21)【出願番号】P 2018129887
(22)【出願日】2018-07-09
【審査請求日】2021-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 祥章
【審査官】塩澤 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-164214(JP,A)
【文献】特開2001-126136(JP,A)
【文献】特開2002-288725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 5/00 - 9/10
G07F 11/00 - 11/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対のベース側板間に通路構成要素が配設されることにより上下方向に沿って延在する態様で形成され、かつ投入された商品を順次収納する商品収納通路と、
前記商品収納通路の下方側に設置され、常態においては、該商品収納通路に収納された商品が払い出されることを規制する一方、払出指令が与えられた場合には、最も下方に配置された最下位の商品を該商品収納通路から下方に払い出す払出機構と
を備えた自動販売機の商品収納装置であって、
前記商品収納通路の温度を検出する温度検出手段
は、前記ベース側板間において、互いに背中合わせに抱き合わせて設置される前記払出機構の側方域にて該払出機構を取り付けるための取付ロッドに貫通されたスペーサに設けられたことを特徴とする自動販売機の商品収納装置。
【請求項2】
前記温度検出手段が、前記スペーサの上面に載置されたことを特徴とする請求項
1に記載の自動販売機の商品収納装置。
【請求項3】
前記スペーサが略直方状を成すことを特徴とする請求項2に記載の自動販売機の商品収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機の商品収納装置に関し、より詳細には、例えば缶やペットボトル等の容器に入れられた飲料を商品等として販売する自動販売機に適用される商品収納装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば缶やペットボトル等の容器に入れられた飲料を商品等として販売する自動販売機の商品収納装置として、サーペンタイン式商品ラックが知られている。このような商品収納装置は、商品収納通路及び払出機構を備えて構成されている。
【0003】
商品収納通路は、左右に対向して立設された一対のベース側板の間に通路構成要素が架設されることにより、上下方向に沿って蛇行状に延在する態様で形成されている。払出機構は、商品収納通路の下方側に配設され、商品収納通路において最も下方に配置された商品を切り出して払い出すためのものである。
【0004】
そのような商品収納装置においては、商品収納通路に収納された温度を検出するための温度センサが、最前の商品収納通路の商品を払い出す払出機構と対向配置され、かつ該払出機構との間の通路幅を規定する通路幅規定板に設けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上述した商品収納装置では、最前の商品収納通路の下方側に配置された通路幅規定板に温度センサが設けられていたので、商品収納通路が前後方向に沿って複数設けられる場合、最も後方の商品収納通路に収納された商品の温度、特に払い出される可能性の高い下方の商品の温度を検出することができない虞れがあった。
【0007】
本発明は、各商品収納通路において払い出される可能性の高い商品の温度を良好に検出することができる自動販売機の商品収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る自動販売機の商品収納装置は、左右一対のベース側板間に通路構成要素が配設されることにより上下方向に沿って延在する態様で形成され、かつ投入された商品を順次収納する商品収納通路と、前記商品収納通路の下方側に設置され、常態においては、該商品収納通路に収納された商品が払い出されることを規制する一方、払出指令が与えられた場合には、最も下方に配置された最下位の商品を該商品収納通路から下方に払い出す払出機構とを備えた自動販売機の商品収納装置であって、前記商品収納通路の温度を検出する温度検出手段が、前記ベース側板間における前記払出機構の側方域に配設されたことを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記自動販売機の商品収納装置において、前記温度検出手段が、前記ベース側板間において前記払出機構の側方に設置されたスペーサに設けられたことを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上記自動販売機の商品収納装置において、前記温度検出手段が、前記スペーサの上面に載置されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、商品収納通路の温度を検出する温度検出手段が、ベース側板間における払出機構の側方域に配設されているので、商品収納通路が前後方向に沿って複数設けられていても、各払出機構の近傍の商品(最下位の商品や最下位から2番目の商品)、すなわち当該商品収納通路において払い出される可能性の高い商品の温度を良好に検出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態である商品収納装置が適用された自動販売機の内部構造を示す断面側面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した商品収納装置の要部を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る自動販売機の商品収納装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態である商品収納装置が適用された自動販売機の内部構造を示す断面側面図である。ここで例示する自動販売機は、商品を冷却、若しくは加熱した状態で販売するもので、本体キャビネット1、外扉2及び内扉3を備えて構成してある。
【0015】
本体キャビネット1は、複数の鋼板を適宜組み合わせることによって前面に開口を有した直方状に構成されたもので、その内部に断熱構造の商品収容庫4を有している。外扉2は、本体キャビネット1の前面開口を覆うためのもので、本体キャビネット1の一側縁部に開閉可能に設けてある。この外扉2の前面には、ディスプレイウィンドウ、商品選択ボタン、紙幣挿通口、硬貨投入口、返却レバー、一体表示器、硬貨返却口、商品取出口2a等々、商品を販売する際に必要となるものが設けてある。内扉3は、商品収容庫4の前面開口を覆うための断熱扉であり、外扉2よりも内方となる位置において本体キャビネット1の一側縁部に開閉可能に設けてある。この内扉3の下方部には、商品を商品収容庫4の外部に搬出するための商品搬出口3aが形成してある。
【0016】
また上記自動販売機には、商品収容庫4の内部にシュータ5が設けてあり、このシュータ5よりも下方となる領域(以下、「熱交換領域」ともいう)に温度調節ユニット6が設けてある一方、シュータ5よりも上方となる領域(以下、「商品収納領域」ともいう)に商品収納装置10が設けてある。
【0017】
シュータ5は、商品収納装置10から払い出された商品を内扉3の商品搬出口3aに案内するためのプレート状部材であり、前方側に向けて漸次下方に傾斜する態様で設けてある。図には明示していないが、このシュータ5には、熱交換領域と商品収納領域との間を連通させる通気孔(図示せず)が多数穿設してある。
【0018】
温度調節ユニット6は、商品収容庫4の内部雰囲気を所望の温度状態に維持するためのもので、冷凍サイクルの蒸発器6a、ヒータ6b及び送風ファン6cを備えて構成してある。この温度調節ユニット6においては、例えば冷凍サイクルを運転した状態で送風ファン6cを駆動すると、蒸発器6aにおいて冷却された空気がシュータ5の通気孔を通じて上方に送出されるため、商品収納領域を低温状態に維持することができる。一方、ヒータ6bに通電した状態で送風ファン6cを駆動すると、ヒータ6bによって加熱された空気がシュータ5の通気孔を通じて上方に送出されるため、商品収納領域を高温状態に維持することができる。尚、冷凍サイクルの圧縮機、凝縮器及び膨張弁は、図には明示しないがいずれも商品収容庫4の外部となる機械室7に設けてある。
【0019】
上記商品収納装置10は、図示の例では前後3列に並ぶように設けてあり、左右一対のベース側板11の間に通路構成要素12が配設されることによって上下方向に沿って蛇行状に形成された商品収納通路13を備え、商品収納通路13の内部に上下方向に沿って複数の商品を横倒姿勢で収納するものである。より詳細に説明すると、通路構成要素12は、商品収納通路13の前方側と、後方側とに互いに対向するよう適宜配設したものであって、両端部分がベース側板11に固定されてベース側板11間に架設してある。
【0020】
また通路構成要素12には、図には明示しないフラッパが設けてある。フラッパは、商品収納通路13に対して進退移動する態様で通路構成要素12に揺動可能に設けてある。このフラッパは、コイルバネ(図示せず)に付勢されて常態においては商品収納通路13に進出移動した姿勢となる。そして、商品収納通路13を通過する商品に当接することにより自身はコイルバネの付勢力に抗して蛇行状の商品収納通路13に沿うように退行移動して該商品の姿勢を修正するものである。
【0021】
そのような商品収納装置10においては、商品収納通路13の下方側に払出機構14が設けてある一方、商品収納通路13の上方側にトップトレイ16が設けてある。
【0022】
払出機構14は、通路幅規定板15との間において商品の挙動を制御することにより、待機状態においては商品収納通路13に商品を収納する一方、払出指令が与えられた場合には最も下方に配置された商品(以下、最下位商品ともいう)を1つずつシュータ5に払い出すように機能するものである。このような払出機構14は、第1ペダル部材14aと第2ペダル部材14bとを備えて構成してある。第1ペダル部材14aは、商品収納通路13に対して進退移動する態様で揺動可能に設けてあり、待機状態においては商品収納通路13に進出移動することにより最下位商品に当接して商品の下方への移動を規制する一方、払出指令が与えられた場合には商品収納通路13から退行移動して該商品の下方への移動を許容するものである。第2ペダル部材14bは、商品収納通路13に対し進退移動する態様で揺動可能に設けてあり、待機状態においては商品収納通路13から退行移動する一方、払出指令が与えられた場合には商品収納通路13に対して進出移動して最下位から2番目の商品に当接して該商品の下方への移動を規制するものである。
【0023】
トップトレイ16は、平板状の板金を屈曲して構成されるもので、前方から後方に向けて漸次下方に傾斜する態様でベース側板11間に設けてある。このようなトップトレイ16の上面は、投入口を通じて投入された商品を商品収納通路13まで案内する商品案内通路17を構成している。
【0024】
図2は、
図1に示した商品収納装置10の要部を示す正面図であり、一部を断面で示している。この
図2に示すように、左側のベース側板11の内側にはスペーサ20が係止してある。かかるスペーサ20は、左側のベース側板11に形成された係止孔11aを係止片20aが挿通することで係止してあり、払出機構14を取り付けるための取付ロッド18が貫通した略直方状を成すものである。
【0025】
このようなスペーサ20の役割について述べる。払出機構14は、量産の観点から、様々な左右幅を有するベース側板11間に適用できる大きさを有しており、その左右幅の大きさがベース側板11間の左右幅の大きさに一致するものではない。つまり、払出機構14は、左右幅がベース側板11間の左右幅よりも小さくても、商品収納通路13に収納される商品Wの重心を支持することができればよい。そこで、スペーサ20は、払出機構14を商品Wの重心を支持することができつつ右側のベース側板11に寄せるために用いられている。尚、商品収納通路13の左右幅の大きさもベース側板11間の左右幅に常時一致するものではなく、左側のベース側板11に左右方向に移動可能に設けられた図示せぬ可動側板を、横倒姿勢で収納される商品の左右幅に応じて移動させることにより、商品収納通路13の左右幅が調整されている。
【0026】
そのようにスペーサ20は、互いに背中合わせに抱き合わせて設置される払出機構14の側方に設置されている。そして、スペーサ20の上面には、温度センサ21が設けてある。かかる温度センサ21は、例えばサーミスタ等により構成されるもので、商品収納通路13の温度を検出する温度検出手段である。かかる温度センサ21は、検出した温度を温度信号として図示せぬ制御部等に与えるものである。
【0027】
以上説明したように、本実施の形態である自動販売機の商品収納装置10によれば、払出機構14の側部に設置されたスペーサ20の上面に温度センサ21が設けてあるので、商品収納通路13が前後方向に沿って複数設けられていても、各払出機構14の近傍の商品(最下位商品や最下位から2番目の商品)W、すなわち商品収納通路13において払い出される可能性の高い商品Wの温度を良好に検出することができる。
【0028】
このように温度センサ21が払出機構14の近傍の商品Wの温度を良好に検出することができるので、商品収容庫4における商品の管理温度範囲が例えば-5℃~0℃等のように非常に短い場合であっても、商品の温度管理を確実に行うことができる。
【0029】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく種々の変更を行うことができる。
【0030】
上述した実施の形態では、温度センサ21がスペーサ20の上面に設けられていたが、本発明においては、温度検出手段がスペーサ20の内部に設けてあってもよい。また本発明においては、払出機構14の側方域に設置されていれば、スペーサ20に設けていなくてもよい。
【符号の説明】
【0031】
10 商品収納装置
11 ベース側板
11a 係止孔
12 通路構成要素
13 商品収納通路
14 払出機構
20 スペーサ
20a 係止片
21 温度センサ