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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】情報処理装置および情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G10L 19/018 20130101AFI20221018BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
G10L19/018
H04M11/00 302
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018139249
(22)【出願日】2018-07-25
(65)【公開番号】P2020016742
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125689
【弁理士】
【氏名又は名称】大林 章
(74)【代理人】
【識別番号】100128598
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 聖一
(74)【代理人】
【識別番号】100121108
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 太朗
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 裕之
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 優樹
【審査官】大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-116768(JP,A)
【文献】特開2003-216609(JP,A)
【文献】特開2010-020727(JP,A)
【文献】特開2017-195612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10L 19/018
H04M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の施設に関する提供情報を取得する端末装置に当該特定の施設の識別情報を送信するための装置であって、
音を表す音情報と当該音が放音される施設の識別情報とを各々が含む複数の登録データのうち、前記特定の施設の放音装置から放音されて前記端末装置が収音した音を表す観測音情報に対応する前記音情報を含む登録データにおける識別情報を特定する特定部と、
前記特定部が特定した識別情報を前記端末装置に送信する動作を通信装置に実行させる通信制御部と
を具備する情報処理装置。
【請求項2】
前記複数の登録データの各々は、当該登録データに含まれる音情報が表す音が放音される位置を表す放音位置情報を含み、
前記特定部は、前記複数の登録データのうち、前記観測音情報に対応する音情報と、前記放音装置から放音された音を収音したときの前記端末装置の位置を表す端末位置情報に対応する前記放音位置情報とを含む登録データにおける識別情報を特定する
請求項1の情報処理装置。
【請求項3】
前記複数の登録データの各々は、当該登録データに含まれる音情報が表す音が放音される時間を表す放音時間情報を含み、
前記特定部は、前記複数の登録データのうち、前記観測音情報に対応する音情報と、前記放音装置から放音された音を収音したときの時間を表す収音時間情報に対応する前記放音時間情報とを含む登録データにおける識別情報を特定する
請求項1または請求項2の情報処理装置。
【請求項4】
前記端末装置が音を収音することで生成した音響信号から前記観測音情報を生成する生成部を具備し、
前記特定部は、前記複数の登録データのうち、前記生成部が生成した観測音情報に対応する音情報を含む登録データにおける識別情報を特定する
請求項1から請求項3の何れかの情報処理装置。
【請求項5】
前記通信制御部は、前記観測音情報を当該端末装置から受信する動作を前記通信装置に実行させ、
前記特定部は、前記複数の登録データのうち、前記通信装置が受信した前記観測音情報に対応する音情報を含む登録データにおける識別情報を特定する
請求項1から請求項3の何れかの情報処理装置。
【請求項6】
前記複数の登録データの各々は、前記放音装置が放音する場所に設置された管理装置が収音した音を表す音情報と、当該管理装置から送信された識別情報とを含む
請求項1から請求項5の何れかの情報処理装置。
【請求項7】
前記音は、楽曲の音である
請求項1から請求項6の何れかの情報処理装置。
【請求項8】
特定の施設に関する提供情報を取得する端末装置に当該特定の施設の識別情報を送信するための方法であって、
音を表す音情報と当該音が放音される施設の識別情報とを各々が含む複数の登録データのうち、前記特定の施設の放音装置から放音されて前記端末装置が収音した音を表す観測音情報に対応する前記音情報を含む登録データにおける識別情報を特定し、
前記特定した識別情報を前記端末装置に送信する動作を通信装置に実行させる
コンピュータにより実現される情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の情報を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
端末装置の利用者に各種の情報を提供する技術が従来から提案されている。例えば特許文献1には、放音装置を利用した音響通信等の近距離無線通信により識別情報を店舗内の端末装置に送信して、当該識別情報に対応する情報を取得する端末装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-75956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、放音可能な音響の周波数帯域に制限があると放音装置から識別情報を送信できない場合がある。以上の事情を考慮して、本発明は、端末装置が確実に識別情報を取得することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明の好適な態様に係る情報処理装置は、識別情報が示す提供情報を取得する端末装置に当該識別情報を送信するための装置であって、音を表す音情報と識別情報とを各々が含む複数の登録データのうち、放音装置から放音されて前記端末装置が収音した音を表す観測音情報に対応する前記音情報 を含む登録データにおける識別情報を特定する特定部と、前記特定部が特定した識別情報を前記端末装置に送信する動作を通信装置に実行させる通信制御部とを具備する。
本発明の好適な態様に係る情報処理方法は、識別情報が示す提供情報を取得する端末装置に当該識別情報を送信するための方法であって、音を表す音情報と識別情報とを各々が含む複数の登録データのうち、放音装置から放音されて前記端末装置が収音した音を表す観測音情報に対応する前記音情報を含む登録データにおける識別情報を特定し、前記特定した識別情報を前記端末装置に送信する動作を通信装置に実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態における情報提供システムの構成を例示するブロック図である。
図2】端末装置の構成を例示するブロック図である。
図3】端末装置が実行する処理を例示するフローチャートである。
図4】情報処理装置の構成を例示するブロック図である。
図5】情報処理装置が実行する処理を例示するフローチャートである。
図6】配信装置の構成を例示するブロック図である。
図7】第2実施形態に係る情報テーブルの模式図である。
図8】第3実施形態に係る情報テーブルの模式図である。
図9】第4実施形態に係る情報提供システムの構成を例示するブロック図である。
図10】第5実施形態に係る情報提供システムの構成を例示するブロック図である。
図11】端末装置の制御装置の構成を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る情報提供システム100の構成を例示するブロック図である。情報提供システム100は、特定の施設H内にいる利用者Uに各種の情報を提供するためのコンピュータシステムである。施設Hは、例えば、電車またはバス等の交通施設、販売店または飲食店等の商業施設、旅館またはホテル等の宿泊施設、博物館または美術館等の展示施設、史跡または名所等の観光施設、競技場または体育館等の運動施設、等である。また、屋外の特定の空間(例えばイベント会場)を施設Hとして例示してもよい。
【0008】
図1に例示される通り、第1実施形態の情報提供システム100は、端末装置10と放音装置20と情報処理装置30と配信装置40とを具備する。利用者Uは、端末装置10を携帯して施設H内に所在する。例えば携帯電話機およびスマートフォン等の情報端末が端末装置10として好適である。端末装置10は、移動体通信網またはインターネット等の通信網70を介して情報処理装置30および配信装置40と通信可能である。なお、実際には複数の利用者Uが情報提供システム100のサービスを利用し得るが、以下の説明では便宜的に1個の端末装置10に着目する。
【0009】
放音装置20は、各種の音を放音する出力機器である。施設H内に放音装置20が設置される。第1実施形態の放音装置20は、楽曲Mの音(例えば演奏音または歌唱音)を放音する。放音装置20から放音されている音に対応する識別情報Dが示す情報(以下「提供情報」という)Rが、端末装置10に提供される。第1実施形態では、複数の施設Hの各々において相異なる楽曲Mが放音されている場面を想定する。
【0010】
<端末装置10>
図2は、端末装置10の構成を例示するブロック図である。図2に例示される通り、端末装置10は、制御装置11と記憶装置12と通信装置13と収音装置14と再生装置15とを具備する。端末装置10は、典型的には前述の通り、利用者Uが所有する情報端末である。ただし、交通機関に設置された電光掲示板、または商業施設に設置される電子看板(デジタルサイネージ)等の案内用の表示端末を端末装置10として利用してもよい。
【0011】
収音装置14は、周囲の音を収音する音響機器(マイクロホン)である。具体的には、収音装置14は、放音装置20が放音した楽曲Mの音を収音することで、当該音の波形を表す音響信号Xを生成する。音響信号Xは、収音装置14からの出力信号のうちの一部である。例えば、出力信号のうち音量等の特徴量が閾値を上回る区間が音響信号Xとして利用される。なお、収音装置14が生成した音響信号Xをアナログからデジタルに変換するA/D変換器の図示は便宜的に省略した。また、端末装置10と一体に構成された収音装置14に代えて、別体の収音装置14を有線または無線により端末装置10に接続してもよい。
【0012】
制御装置11(コンピュータの例示)は、例えばCPU(Central Processing Unit)等の処理回路で構成され、端末装置10の各要素を統括的に制御する。制御装置11は、図2に例示される通り、記憶装置12に記憶されたプログラムを実行することで複数の機能(識別情報取得部113、提供情報取得部115および再生制御部117)を実現する。なお、制御装置11の一部の機能を専用の電子回路で実現してもよい。また、制御装置11の機能を複数の装置に搭載してもよい。
【0013】
記憶装置12は、制御装置11が実行するプログラムと、制御装置11が使用する各種のデータとを記憶する。例えば半導体記録媒体および磁気記録媒体等の公知の記録媒体、または複数種の記録媒体の組合せが、記憶装置12として任意に採用され得る。
【0014】
通信装置13は、制御装置11による制御のもとで通信網70を介して情報処理装置30および配信装置40と通信する通信機器である。第1実施形態の通信装置13は、収音装置14が生成した音響信号Xを情報処理装置30に送信し、当該音響信号Xに対応する識別情報Dを受信する。また、通信装置13は、識別情報Dを配信装置40に送信し、当該識別情報Dが示す提供情報Rを受信する。
【0015】
識別情報取得部113は、収音装置14が生成した音響信号Xを情報処理装置30に送信することで、当該音響信号Xに対応する識別情報Dを取得する。具体的には、識別情報取得部113は、音響信号Xを情報処理装置30に送信する動作を通信装置13に実行させる。また、識別情報取得部113は、情報処理装置30が音響信号Xを利用して特定した識別情報Dを当該情報処理装置30から受信する動作を通信装置13に実行させる。
【0016】
提供情報取得部115は、識別情報取得部113が取得した識別情報Dを配信装置40に送信することで、当該識別情報Dが示す提供情報Rを取得する。具体的には、提供情報取得部115は、識別情報Dを配信装置40に送信する動作を通信装置13に実行させる。また、提供情報取得部115は、配信装置40が識別情報Dを利用して特定した提供情報Rを当該配信装置40から受信する動作を通信装置13に実行させる。
【0017】
再生制御部117は、通信装置13が受信した提供情報Rを再生装置15に再生させる。第1実施形態の提供情報Rは、例えば施設Hに関する情報である。例えば、施設Hを案内する情報、施設H内で提供されるサービスまたは商品の情報、施設Hで利用できるクーポン、施設Hに関する広告、および、施設Hに関する情報の所在を表す情報(例えばURL)等が提供情報Rとして利用される。なお、提供情報Rは、施設Hの種類に応じて適宜に変更される。
【0018】
再生装置15は、提供情報Rを再生する出力機器である。第1実施形態の再生装置15は、提供情報Rが表す画像を表示する表示装置を含む。すなわち、端末装置10が収音した楽曲Mが放音された施設Hに関する提供情報Rが表示装置により表示される。
【0019】
図3は、端末装置10の制御装置11が実行する処理を例示するフローチャートである。例えば所定の周期で図3の処理が反復的に実行される。図3の処理を開始すると、識別情報取得部113は、配信装置40に音響信号Xを送信することで識別情報Dを取得する(Sa1)。提供情報取得部115は、識別情報取得部113が取得した識別情報Dを配信装置40に送信することで、提供情報Rを取得する(Sa2)。再生制御部117は、提供情報取得部115が取得した提供情報Rを再生する(Sa3)。
【0020】
<情報処理装置30>
図4は、情報処理装置30の構成を例示するブロック図である。情報処理装置30は、識別情報Dが示す提供情報Rを取得する端末装置10に当該識別情報Dを送信するためのコンピュータシステムである。図4に例示される通り、第1実施形態の情報処理装置30は、記憶装置31と制御装置33と通信装置35とを具備する。
【0021】
制御装置33(コンピュータの例示)は、例えばCPU(Central Processing Unit)等の処理回路で構成され、情報処理装置30の各要素を統括的に制御する。制御装置33は、図4に例示される通り、記憶装置31に記憶されたプログラムを実行することで複数の機能(通信制御部332、生成部334および特定部336)を実現する。なお、制御装置33の一部の機能を専用の電子回路で実現してもよい。また、制御装置33の機能を複数の装置に搭載してもよい。
【0022】
通信装置35は、制御装置33による制御のもとで通信網70を介して端末装置10と通信する通信機器である。第1実施形態の通信装置35は、端末装置10から送信された音響信号Xを受信し、当該音響信号Xに応じた識別情報Dを端末装置10に送信する。
【0023】
記憶装置31は、制御装置33が実行するプログラムと、制御装置33が使用する各種のデータとを記憶する。例えば半導体記録媒体および磁気記録媒体等の公知の記録媒体、または複数種の記録媒体の組合せが、記憶装置31として任意に採用され得る。図4に例示される通り、第1実施形態の記憶装置31は、情報テーブルTaを記憶する。
【0024】
情報テーブルTaは、複数の登録データE(E_1,E_2,…)を含むデータテーブルである。各登録データEは、楽曲を表す情報(以下「音情報」という)Paと識別情報Dとを含む。第1実施形態の音情報Pa(Pa_1,Pa_2,…)は、楽曲の特徴量である。特徴量は、楽曲の音響的または音楽的な特性を示す指標値である。例えば楽曲の音響信号から抽出される音高の時系列(すなわち音符列)が特徴量として利用される。また、楽曲の音響信号のクロマベクトルを特徴量として利用してもよい。ただし、特徴量は、以上の例示に限定されない。特徴量の生成には、公知の信号解析技術が任意に採用される。各音情報Paは、事前に生成され情報テーブルTaに登録される。例えば楽曲の放送プログラムが施設H毎に設定されている場合には、当該放送プログラムに沿って放音される楽曲について生成された音情報Paが情報テーブルTaに登録される。前述の通り、第1実施形態では、複数の施設Hの各々において相異なる楽曲Mが再生される場合を便宜的に想定する。したがって、情報テーブルTaに登録される複数の音情報Pa(P_1,P_2,P_3…)の各々は、各施設Hに対応する情報であるとも換言できる。すなわち、複数の施設Hの各々にそれぞれ対応する複数の登録データEが情報テーブルTaに登録される。
【0025】
通信制御部332は、端末装置10から送信された音響信号Xを受信する動作を通信装置35に実行させる。生成部334は、放音装置20から放音されて端末装置10が収音した楽曲Mの音を表す音情報(以下「観測音情報Pb」という)を生成する。具体的には、生成部334は、通信装置35が受信した音響信号Xから観測音情報Pbを生成する。すなわち、端末装置10の利用者Uが所在する施設H内で放音されている楽曲Mの音の観測音情報Pbが生成される。観測音情報Pbは、情報テーブルTaに登録される音情報Paと同様の方法で生成される。
【0026】
特定部336は、生成部334が生成した観測音情報Pbに対応する識別情報Dを特定する。具体的には、特定部336は、情報テーブルTaに登録される複数の登録データEのうち、観測音情報Pbに対応する音情報Paを含む登録データEにおける識別情報Dを特定する。第1実施形態の特定部336は、観測音情報Pbに最も近似する音情報Paを含む登録データEにおける識別情報Dを特定する。例えば、特定部336は、情報テーブルTaの複数の音情報Paの各々について観測音情報Pbとの類似度を算定し、情報テーブルTaに登録された複数の識別情報Dのうち類似度が最大となる音情報Paに対応する識別情報Dを特定する。すなわち、観測音情報Pbが表す楽曲Mに一致する楽曲の音情報Paに対応する識別情報Dが特定される。前述の通り、第1実施形態では、複数の施設Hの各々において相異なる楽曲Mが放音されているから、施設H内で放音されている楽曲M(すなわち収音装置14が収音した楽曲M)が特定できれば、端末装置10の利用者Uが所在する施設Hを特定できる。すなわち、特定部336が特定した識別情報Dは、利用者Uが所在する施設Hに対応する情報であるとも換言できる。通信制御部332は、特定部336が特定した識別情報Dを端末装置10に送信する動作を通信装置35に実行させる。
【0027】
図5は、情報処理装置30の制御装置33が実行する処理を例示するフローチャートである。通信制御部332は、端末装置10が生成した音響信号Xを受信する動作を通信装置35に実行させる(Sb1)。生成部334は、通信装置35が受信した音響信号Xから観測音情報Pbを生成する(Sb2)。特定部336は、生成部334が生成した観測音情報Pbから当該観測音情報Pbに対応する識別情報Dを特定する(Sb3)。具体的には、情報テーブルTaに登録された複数の登録データEのうち観測音情報Pbに対応する音情報Paを含む登録データEにおける識別情報Dが特定される。通信制御部332は、特定部336が特定した識別情報Dを端末装置10に送信する動作を通信装置35に実行させる(Sb4)。
【0028】
<配信装置40>
図6は、配信装置40の構成を例示するブロック図である。配信装置40は、情報処理装置30から識別情報Dを取得した端末装置10に提供情報Rを提供するためのコンピュータシステムである。図6に例示される通り、第1実施形態の配信装置40は、制御装置41と記憶装置43と通信装置45とを具備する。
【0029】
制御装置41(コンピュータの例示)は、例えばCPU(Central Processing Unit)等の処理回路で構成され、配信装置40の各要素を統括的に制御する。制御装置41は、図6に例示される通り、記憶装置43に記憶されたプログラムを実行することで処理部401として機能する。なお、制御装置41の一部の機能を専用の電子回路で実現してもよい。また、制御装置41の機能を複数の装置に搭載してもよい。
【0030】
通信装置45は、制御装置41による制御のもとで通信網70を介して端末装置10と通信する通信機器である。第1実施形態の通信装置45は、端末装置10から送信された識別情報Dを受信し、当該識別情報Dに対応した提供情報Rを端末装置10に送信する。
【0031】
記憶装置43は、制御装置41が実行するプログラムと、制御装置41が使用する各種のデータとを記憶する。例えば半導体記録媒体および磁気記録媒体等の公知の記録媒体、または複数種の記録媒体の組合せが、記憶装置43として任意に採用され得る。図6に例示される通り、第1実施形態の記憶装置43は、提供テーブルTbを記憶する。提供テーブルTbは、複数の識別情報D(D_1,D_2,…)の各々に提供情報Rが対応付けられたデータテーブルである。
【0032】
処理部401は、端末装置10から送信された識別情報Dが示す提供情報Rを特定する。具体的には、提供テーブルTbに登録された複数の提供情報R(R_1,R_2,…)のうち、端末装置10から送信された識別情報Dに対応する提供情報Rを特定する。前述の通り、各識別情報Dは相異なる複数の施設Hの各々に対応するから、端末装置10の利用者Uが所在する施設Hに関する提供情報Rが特定される。処理部401が特定した提供情報Rは、端末装置10に送信される。端末装置10は、配信装置40から送信された提供情報Rを表示する。すなわち、端末装置10の利用者Uは、自身が所在する施設Hに関する提供情報Rを取得することができる。
【0033】
以上の説明から理解される通り、第1実施形態では、情報処理装置30に記憶された複数の登録データEのうち、観測音情報Pbに対応する音情報Paを含む登録データEにおける識別情報Dが端末装置10に送信されるから、放音装置20から放音される音を収音することができれば、識別情報Dが示す提供情報Rを端末装置10が取得することができる。すなわち、特定の施設Hに所在する端末装置10が確実に識別情報Dを取得することが可能である。
【0034】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0035】
第1実施形態では、複数の施設Hの各々において相異なる楽曲Mが放音されている場面を想定した。しかし、実際には、複数の施設Hにおいて共通の楽曲Mが放音されている場合も想定され得る。そこで、第2実施形態では、複数の施設Hにおいて共通の楽曲Mが放音される場合でも、特定の施設Hに所在する利用者Uの端末装置10に、当該施設Hに関する提供情報Rを確実に提供する。
【0036】
図7は、第2実施形態の情報処理装置30が記憶する情報テーブルTaの模式図である。第2実施形態の情報テーブルTaには、第1実施形態と同様に、複数の登録データE(E_1,E_2,…)が登録される。図7では、登録データE_1に対応する施設Hと登録データE_3に対応する施設Hとで、共通の楽曲Mが放音される場合を想定する。したがって、登録データE_1と登録データE_3とは、共通の音情報Pa_1を含む。
【0037】
図7に例示される通り、第2実施形態の各登録データEは、音情報Paおよび識別情報Dに加えて、放音位置情報Q(Q_1,Q_2,…)を含む。登録データEの放音位置情報Qは、当該登録データEに含まれる音情報Paが表す楽曲が放音される位置を表す。登録データEに対応する施設Hを表す情報が放音位置情報Qであるとも換言できる。例えば、施設Hの住所、施設Hの緯度および経度、または、施設Hの名称等の各種の情報が放音位置情報Qとして利用される。
【0038】
第2実施形態の端末装置10は、第1実施形態と同様に、放音装置20が放音した楽曲Mを収音し、当該楽曲Mの音響信号Xを生成する。また、端末装置10は、楽曲Mを収音したときの当該端末装置10の位置を表す端末位置情報を生成する。例えば、端末装置10に内蔵されるGPS(Global Positioning System)等の位置検出装置が端末位置情報の生成に利用される。楽曲Mを収音したときに位置検出装置が示す位置が端末位置情報として生成される。楽曲Mの音響信号Xと端末位置情報とが情報処理装置30に送信される。
【0039】
情報処理装置30の通信装置35は、通信制御部332による制御のもとで、端末装置10が生成した音響信号Xおよび端末位置情報を受信する。生成部334は、第1実施形態と同様に、端末装置10から送信された音響信号Xから観測音情報Pbを生成する。
【0040】
第2実施形態の特定部336は、生成部334が生成した観測音情報Pbと、端末装置10から送信された端末位置情報とを利用して、端末装置10の利用者Uが所在する施設Hに対応する識別情報Dを特定する。具体的には、特定部336は、情報テーブルTaに登録される複数の登録データEのうち、生成部334が生成した観測音情報Pbに対応する音情報Paと、端末位置情報に対応する放音位置情報Qとを含む登録データEにおける識別情報Dを特定する。例えば、観測音情報Pbに最も近似する音情報Paと、端末位置情報に最も近似する放音位置情報Qとを含む登録データEにおける識別情報Dが特定される。したがって、観測音情報Pbに最も近似する音情報Paを各々が含む複数の登録データE(例えば図7の登録データE_1および登録データE_3)が存在する場合でも、当該複数の登録データEのうち、端末位置情報に最も近似する(理想的には一致する)放音位置情報Qを含む登録データEにおける識別情報Dが特定される。すなわち、端末装置10が所在する施設Hに対応する登録データEの識別情報Dが特定される。第1実施形態と同様に、特定部336が特定した識別情報Dは、端末装置10に送信される。端末装置10は、第1実施形態と同様に、配信装置40に識別情報Dを送信することで、提供情報Rを取得する。
【0041】
第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。第2実施形態では特に、端末装置10に収音した楽曲Mの観測音情報Pbに対応する音情報Paと、当該観測音情報Pbが表す楽曲Mを収音したときの端末位置情報に近似する放音位置情報Qとを含む登録データEにおける識別情報Dが特定される。したがって、例えば、複数の施設H(場所)において共通の楽曲Mが放音されている場合でも、放音位置情報Qと端末位置情報とを利用して、特定の施設Hに所在する端末装置10に識別情報Dを確実に送信することができる。
【0042】
<第3実施形態>
第1実施形態では、複数の施設Hの各々において相異なる楽曲が放音されている場面を想定した。しかし、実際には、複数の施設Hにおいて共通の楽曲Mが異なる時間に放音されている場合も想定され得る。そこで、第3実施形態では、複数の施設Hにおいて共通の楽曲Mが異なる時間に放音される場合でも、特定の施設Hに所在する利用者Uの端末装置10に、当該施設Hに関する提供情報Rを確実に提供する。
【0043】
図8は、第3実施形態の情報処理装置30が記憶する情報テーブルTaの模式図である。第3実施形態の情報テーブルTaには、第1実施形態と同様に、複数の登録データEが登録される。図8では、登録データE_1に対応する施設Hと登録データE_3に対応する施設Hとで、共通の楽曲Mが異なる時間に放音される場合が例示される。したがって、登録データE_1と登録データE_3とは、共通の音情報Paを含む。
【0044】
図8に例示される通り、第3実施形態の各登録データEは、音情報Paおよび識別情報Dに加えて、放音時間情報Nを含む。登録データEの放音時間情報Nは、当該登録データEに含まれる音情報Paが表す楽曲が放音される時間を表す。例えば、楽曲の放音が開始される時刻から、楽曲の放音が終了する時刻までの時間が放音時間情報Nとして利用される。
【0045】
第3実施形態の端末装置10は、第1実施形態と同様に、放音装置20が放音した楽曲Mの音を収音し、当該楽曲Mの音響信号Xを生成する。また、端末装置10は、楽曲Mの音を収音したときの時間を表す収音時間情報を生成する。例えば楽曲Mの収音が開始された時刻、または、楽曲Mの収音が終了した時刻が収音時間情報として例示される。例えば端末装置10の計時回路を利用して収音時間情報が生成される。楽曲Mの音響信号Xと収音時間情報とが情報処理装置30に送信される。
【0046】
情報処理装置30の通信装置35は、通信制御部332による制御のもとで、端末装置10が生成した音響信号Xおよび収音時間情報を受信する。生成部334は、第1実施形態と同様に、端末装置10から送信された音響信号Xから観測音情報Pbを生成する。
【0047】
第3実施形態の特定部336は、生成部334が生成した観測音情報Pbと、端末装置10から送信された収音時間情報とを利用して、端末装置10の利用者Uが所在する施設Hに対応する識別情報Dを特定する。具体的には、特定部336は、情報テーブルTaに登録される複数の登録データEのうち、生成部334が生成した観測音情報Pbに対応する音情報Paと、収音時間情報に対応する放音時間情報Nとを含む登録データEにおける識別情報Dを特定する。観測音情報Pbに最も近似する音情報Paを各々が含む複数の登録データE(例えば図8の登録データE_1および登録データE_3)が存在する場合でも、当該複数の登録データEのうち、収音時間情報に最も近似する放音時間情報Nを含む登録データEにおける識別情報Dが特定される。例えば、観測音情報Pbに最も近似(理想的には一致)する音情報Paと、収音時間情報が示す時刻が含まれている時間を表す放音時間情報Nとを含む登録データEにおける識別情報Dが特定される。すなわち、放音時間情報Nが示す時間に端末装置10が所在する施設Hに対応する登録データEの識別情報Dが特定される。第1実施形態と同様に、特定部336が特定した識別情報Dは、端末装置10に送信される。端末装置10は、第1実施形態と同様に、配信装置40に識別情報Dを送信することで、提供情報Rを取得する。
【0048】
第3実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。第3実施形態では特に、端末装置10に収音した楽曲Mの観測音情報Pbに対応する音情報Paと、当該観測音情報Pbが表す楽曲Mを収音したときの収音時間情報に近似する放音時間情報Nとを含む登録データEにおける識別情報Dが特定される。したがって、例えば、複数の施設H(場所)において共通の楽曲Mが異なる時間に放音されている場合でも、放音時間情報Nと収音時間情報とを利用して、特定の施設Hに所在する端末装置10に識別情報Dを確実に送信することができる。
【0049】
なお、第3実施形態を第2実施形態に適用してもよい。具体的には、情報テーブルTaに登録される複数の登録データEのうち、生成部334が生成した観測音情報Pbに対応する音情報Paと、端末位置情報に対応する放音位置情報Qと、収音時間情報に対応する放音時間情報Nとを含む登録データEにおける識別情報Dが特定される。
【0050】
<第4実施形態>
図9は、第4実施形態に係る情報提供システム100の構成を例示するブロック図である。図9に例示される通り、第4実施形態の情報提供システム100は、第1実施形態の情報提供システム100に、管理装置50を追加した構成である。管理装置50は、情報処理装置30に記憶される情報テーブルTaの登録データEを作成するために利用されるコンピュータシステムであり、通信網70を介して情報処理装置30と通信する。放音装置20が放音する場所(すなわち施設H)に管理装置50が設置される。
【0051】
具体的には、管理装置50は、放音装置20が放音する楽曲Mの音を収音することで、当該音の波形を表す音響信号Zを生成する。例えば周囲の音の収音する収音装置(マイクロホン)により音響信号Zが生成される。そして、管理装置50は、生成した音響信号Zと、識別情報Dとを情報処理装置30に送信する。音響信号Zは、所定の周期で生成され、生成のたびに当該音響信号Zと識別情報Dとが情報処理装置30に送信される。なお、実際には、複数の施設Hの各々に管理装置50が設置される。したがって、管理装置50が設置される施設H内で放音された楽曲Mを表す音響信号Zと識別情報Dとが、各管理装置50から情報処理装置30に送信される。識別情報Dは、例えば管理装置50に事前に記憶される。
【0052】
情報処理装置30の記憶装置31は、第1実施形態と同様に、複数の登録データEを含む情報テーブルTaを記憶する。第4実施形態の各登録データEは、管理装置50が収音した楽曲M(すなわち施設Hで放音された楽曲M)を表す音情報Paと、当該管理装置50から送信された識別情報Dとを含む。管理装置50が収音した楽曲Mの音を表す音情報Pa(すなわち楽曲Mの特徴量)は、管理装置50から送信された音響信号Zから生成される。特徴量の生成には、公知の信号解析技術が任意に採用される。以上の説明から理解される通り、情報テーブルTaに登録される複数の登録データEの各々は、当該登録データEに対応する施設Hの管理装置50を利用して生成される。
【0053】
第4実施形態の端末装置10は、第1実施形態と同様に、放音装置20が放音する楽曲Mの収音により音響信号Xを生成して、当該音響信号Xを情報処理装置30に送信する。
【0054】
情報処理装置30の生成部334は、第1実施形態と同様に、通信装置35が受信した音響信号Xから観測音情報Pbを生成する。特定部336は、第1実施形態と同様に、生成部334が生成した観測音情報Pbに対応する識別情報Dを情報テーブルTaから特定する。情報テーブルTaに登録される複数の登録データEのうち、観測音情報Pbに対応する音情報Paを含む登録データEにおける識別情報Dが特定される。管理装置50が生成する音響信号Zと、当該管理装置50と同じ施設Hに所在する端末装置10が生成する音響信号Xとには、当該施設Hの放音装置20から放音された楽曲Mが共通に含有される。すなわち、特定の施設H内の管理装置50の音響信号Zから生成された音情報Paと、当該施設H内の端末装置10の音響信号Xから生成された観測音情報Pbとは、近似(理想的には一致)する。したがって、端末装置10が所在する施設Hに設置された管理装置50の音響信号Zから生成された音情報Paを含む登録データEの識別情報Dが特定される。特定部336が特定した識別情報Dは、端末装置10に送信される。
【0055】
識別情報Dを受信した端末装置10は、第1実施形態と同様に、配信装置40から提供情報Rを取得して、当該提供情報Rを表示する。
【0056】
第4実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。第4実施形態では特に、放音装置20が放音する場所に設置された管理装置50が収音した楽曲Mを表す音情報Paと、当該管理装置50から送信された識別情報Dとを登録データEが含むから、情報処理装置30が事前に音情報Paと識別情報Dとを対応付けて記憶する必要がないという利点がある。
【0057】
<第5実施形態>
第1実施形態では、情報処理装置30が端末装置10から送信された音響信号Xを利用して観測音情報Pbを生成した。第5実施形態では、端末装置10から情報処理装置30に対して観測音情報Pbが送信される。すなわち、情報処理装置30において観測音情報Pbの生成が省略される。また、第1実施形態では、楽曲の特徴量を音情報Paとして例示したのに対して、第5実施形態では、楽曲の名前(楽曲名)を音情報Paとして例示する。
【0058】
図10は、第5実施形態に係る情報提供システム100の構成を例示するブロック図である。第5実施形態の情報提供システム100は、第1実施形態の情報提供システム100に、検索装置60を追加した構成である。検索装置60は、端末装置10に観測音情報Pbを提供するコンピュータシステムであり、通信網70を介して端末装置10と相互に通信する。
【0059】
端末装置10の収音装置14は、第1実施形態と同様に、放音装置20が施設H内に放音した楽曲Mの音を収音することで音響信号Xを生成する。図11は、第5実施形態に係る制御装置11の機能を例示するブロック図である。図11に例示される通り、第5実施形態の制御装置11は、識別情報取得部113、提供情報取得部115および再生制御部117として第1実施形態と同様に機能するほか、観測音情報取得部119としても機能する。
【0060】
観測音情報取得部119は、収音装置14が生成した音響信号Xを検索装置60に送信することで、当該音響信号Xが表す楽曲Mの観測音情報Pb(すなわち収音装置14が収音した楽曲Mの楽曲名)を取得する。通信装置13は、観測音情報取得部119の制御のもとで、音響信号Xを検索装置60に送信し、当該音響信号Xに対応する観測音情報Pbを検索装置60から受信する。
【0061】
検索装置60は、端末装置10から送信された音響信号Xから観測音情報Pbを生成する。具体的には、検索装置60は、相異なる特徴量がそれぞれ対応付けられた複数の楽曲名のうち、音響信号Xから生成された特徴量に対応する楽曲名を観測音情報Pbとして特定する。すなわち、施設H内で放音された楽曲Mの楽曲名が特定される。特徴量の生成には、公知の信号解析技術が任意に採用される。特定した観測音情報Pbが端末装置10に送信される。
【0062】
観測音情報Pbを受信した端末装置10の識別情報取得部113は、当該観測音情報Pbを情報処理装置30に送信することで、当該観測音情報Pbに対応する識別情報Dを取得する。通信装置13は、識別情報取得部113の制御のもとで、音響信号Xを情報処理装置30に送信し、当該音響信号Xに対応する識別情報Dを情報処理装置30から受信する。
【0063】
第5実施形態の情報処理装置30は、端末装置10から送信された観測音情報Pbに対応する識別情報Dを特定し、当該識別情報Dを端末装置10に送信する。第5実施形態の記憶装置31は、第1実施形態と同様に、音情報Paと識別情報Dとをそれぞれが含む複数の登録データEが登録された情報テーブルTaを記憶する。第5実施形態の各登録データEは、楽曲名を音情報Paとして含む。
【0064】
第5実施形態の制御装置33は、通信制御部332および特定部336として機能する。すなわち、生成部334の機能が制御装置33から省略される。第5実施形態の通信制御部332は、観測音情報Pbを当該端末装置10から受信する動作を通信装置35に実行させる。第5実施形態の特定部336は、情報テーブルTaに登録された複数の登録データEのうち、通信装置35が受信した観測音情報Pbに対応する音情報Paを含む登録データEにおける識別情報Dを特定する。通信制御部332は、第1実施形態と同様に、特定部336が特定した識別情報Dを端末装置10に送信する動作を通信装置35に実行させる。
【0065】
識別情報Dを受信した端末装置10の提供情報取得部115は、第1実施形態と同様に、当該識別情報Dを配信装置40に送信することで、当該識別情報Dが示す提供情報Rを取得する。配信装置40は、第1実施形態と同様に、端末装置10から送信された識別情報Dが示す提供情報Rを当該端末装置10に送信する。再生制御部117は、第1実施形態と同様に、配信装置40から送信された提供情報Rを再生装置15に再生させる。
【0066】
第5実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。第5実施形態では特に、端末装置10から送信された観測音情報Pbを利用して識別情報Dが特定されるから、情報処理装置30で観測音情報Pbを生成する処理が不要になる。したがって、情報処理装置30の処理負荷が軽減されるという利点がある。
【0067】
<変形例>
以上に例示した各態様に付加される具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された複数の態様を、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合してもよい。
【0068】
(1)前述の各形態では、放音装置20から楽曲Mの音が放音されたが、楽曲Mの音とは異なる音を放音装置20が放音してもよい。例えば、各種の案内を報知するアナウンス等の音声または警報音等を放音装置20が放音してもよい。端末装置10は、放音装置20から放音される各種の音(例えば楽曲Mの音、音声または警報音)を収音することで音響信号Xを生成する。音情報Paは、音を表す情報として包括的に表現される。
【0069】
放音装置20が放音する音が音声である場合には、例えば音声の発話内容を表す文字列を表す情報が音情報Paとして好適である。端末装置10が音声の収音により生成した音響信号Xに対する音声認識により観測音情報Pbが生成される。また、音声の発話内容を表す文字列を示す情報、または、当該文字列を他言語に翻訳した文字列を示す情報が提供情報Rとして好適である。また、放音装置20が放音する音が警報音(例えば火災を報知するサイレン)である場合には、例えば警報音が表す事柄(すなわち火災の発生)を示す情報が提供情報Rとして利用される。以上の説明から理解される通り、放音装置20から放音される音の種類に応じて、提供情報Rの内容も適宜に変更し得る。
【0070】
(2)登録データEに含まれる情報は、前述の各形態の例示に限定されない。音情報Paおよび識別情報Dに加えて、音情報Paおよび識別情報Dとは異なる情報を登録データEが含んでもよい。音情報Paおよび識別情報Dとは異なる情報とは、例えば、放音位置情報Q(第2実施形態)、放音時間情報N(第3実施形態)、または、音情報Paが表す音の種類を示す情報等である。第4実施形態の登録データEが放音位置情報Qおよび放音時間情報Nの何れか一方または双方を含む構成も好適に採用される。
【0071】
(3)第1実施形態から第4実施形態では、楽曲の特徴量を音情報Paとして利用したが、音情報Paは以上の例示に限定されない。例えば楽曲名を音情報Paとして利用してもよい。以上の構成では、情報処理装置30の生成部334は、相異なる楽曲名が対応付けられた複数の特徴量のうち、端末装置10から送信された音響信号Xから生成した特徴量に対応する楽曲名(すなわち観測音情報Pb)を特定する。そして、特定部336は、情報テーブルTaに登録された複数の登録データEのうち、生成部334が生成した観測音情報Pbに一致する音情報Paを含む登録データEにおける識別情報Dを特定する。
【0072】
また、第5実施形態では、楽曲名を音情報Paとして利用したが、音情報Paは以上の例示に限定されない。例えば、楽曲の特徴量を音情報Paとして利用してもよい。検索装置60は、端末装置10から送信された音響信号Xから特徴量を生成し、当該特徴量を端末装置10に送信する。
【0073】
(4)第2実施形態では、端末装置10に内蔵されるGPS等の位置検出装置により端末位置情報を取得したが、端末位置情報の取得方法は以上の例示に限定されない。例えば、施設H内で送信される無線信号(ビーコン)を利用して端末装置10の端末位置情報を生成してもよい。また、端末装置10の利用者Uが操作子を利用して入力した位置を端末位置情報として利用してもよい。
【0074】
(5)第3実施形態では、楽曲の放音が開始される時刻から、楽曲の放音が終了する時刻までの時間を放音時間情報Nとして例示したが、放音時間情報Nは以上の例示に限定されない。例えば、楽曲の放音が開始される時刻、楽曲の放音が終了する時刻、または、楽曲が放音されている時間の一時点を示す時刻等を放音時間情報Nとしてもよい。例えば収音時間情報が示す時刻に最も近似する時刻を表す放音時間情報Nと含む登録データEにおける識別情報Dが特定される。
【0075】
また、楽曲の収音が開始された時刻、または、楽曲の収音が終了した時刻とは異なる時間を収音時間情報として利用してもよい。例えば、楽曲の収音が開始された時刻から、楽曲の収音が終了した時刻までの時間を収音時間情報としてもよい。
【0076】
(6)第3実施形態では、端末装置10が収音時刻情報を生成したが、情報処理装置30が収音時刻情報を生成してもよい。例えば端末装置10により送信された音響信号Xを受信した時刻を収音時刻情報として生成してもよい。
【0077】
(7)第4実施形態において、管理装置50は、音響信号Xおよび識別情報Dとは異なる情報も情報処理装置30に送信してもよい。例えば、管理装置50は、当該管理装置50が設置されている施設Hを示す情報を音響信号Xおよび識別情報Dとともに情報処理装置30に送信してもよい。また、管理装置50が識別情報Dを情報処理装置30に送信することは必須ではない。例えば、管理装置50から音響信号Zを受信した情報処理装置30が、当該音響信号Zから生成した音情報に対応付ける識別情報Dを生成してもよい。
【0078】
(8)第5実施形態では、検索装置60が観測音情報Pbを生成したが、端末装置10が観測音情報Pbを生成してもよい。具体的には、端末装置10は、放音装置20から放音された音の収音により生成した音響信号Xから観測音情報Pbを生成し、当該観測音情報Pbを情報処理装置30に送信する。
【0079】
(9)第1実施形態から第3実施形態の何れかと第4実施形態とは、併用してもよい。例えば複数の施設Hのうち、管理装置50が設置されている施設Hでは第4実施形態が適用され、管理装置50が設置されていない施設Hでは、第1実施形態から第3実施形態の何れかが適用される。
【0080】
(10)前述の各形態では、再生装置15による表示により提供情報Rを提示したが、例えば提供情報Rを表す音響を再生装置15により放音することで提供情報Rを提示してもよい。すなわち、再生装置15は、画像の表示により提供情報Rを提示する表示装置と、音響の放音により提供情報RRを提示する放音装置20との何れか一方または双方を含む。
【0081】
(11)前述の各形態に係る情報処理装置30の機能は、各形態での例示の通り、CPU等の処理回路とプログラムとの協働により実現される。前述の各形態に係るプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に格納された形態で提供されてコンピュータにインストールされ得る。記録媒体は、例えば非一過性(non-transitory)の記録媒体であり、CD-ROM等の光学式記録媒体(光ディスク)が好例であるが、半導体記録媒体または磁気記録媒体等の公知の任意の形式の記録媒体も包含される。なお、非一過性の記録媒体とは、一過性の伝搬信号(transitory, propagating signal)を除く任意の記録媒体を含み、揮発性の記録媒体も除外されない。また、通信網を介した配信の形態でプログラムをコンピュータに提供してもよい。
【0082】
<付記>
以上に例示した形態から、例えば以下の構成が把握される。
【0083】
本発明の好適な態様(第1態様)に係る情報処理装置は、識別情報が示す提供情報を取得する端末装置に当該識別情報を送信するための装置であって、音を表す音情報と識別情報とを各々が含む複数の登録データのうち、放音装置から放音されて前記端末装置が収音した音を表す観測音情報に対応する前記音情報を含む登録データにおける識別情報を特定する特定部と、前記特定部が特定した識別情報を前記端末装置に送信する動作を通信装置に実行させる通信制御部とを具備する。以上の態様では、音を表す音情報と識別情報とを各々が含む複数の登録データのうち、端末装置が収音した音を表す観測音情報に対応する音情報を含む登録データにおける識別情報が端末装置に送信されるから、音を収音することができれば、識別情報が示す提供情報を端末装置が取得することができる。すなわち、端末装置が確実に識別情報を取得することが可能である。
【0084】
第1態様の好適例(第2態様)では、前記複数の登録データの各々は、当該登録データに含まれる音情報が表す音が放音される位置を表す放音位置情報を含み、前記特定部は、前記複数の登録データのうち、前記観測音情報に対応する音情報と、前記放音装置から放音された音を収音したときの前記端末装置の位置を表す端末位置情報に対応する前記放音位置情報とを含む登録データにおける識別情報を特定する。以上の態様では、端末装置が収音した音の観測音情報に対応する音情報と、音を収音したときの端末装置の位置を表す端末位置情報に対応する放音位置情報とを含む登録データにおける識別情報が特定される。したがって、例えば、複数の場所において共通の音が同時刻に放音されている場合でも、放音位置情報と端末位置情報とを利用して、特定の場所に所在する端末装置に識別情報を確実に送信することができる。
【0085】
第1態様または第2態様の何れかの好適例(第3態様)では、前記複数の登録データの各々は、当該登録データに含まれる音情報が表す音が放音される時間を表す放音時間情報を含み、前記特定部は、前記複数の登録データのうち、前記観測音情報に対応する音情報と、前記放音装置から放音された音を収音したときの時間を表す収音時間情報に対応する前記放音時間情報とを含む登録データにおける識別情報を特定する。以上の態様では、端末装置が収音した音の観測音情報に対応する音情報と、端末装置が音を収音したときの時刻を表す収音時刻情報に対応する放音時刻情報とを含む登録データにおける識別情報が特定される。したがって、複数の場所において共通の音が異なる時間帯に放音される場合でも、放音時刻情報と収音時刻情報とを利用して、特定の場所に所在する端末装置に識別情報を確実に送信することができる。
【0086】
第1態様から第3態様の何れかの好適例(第4態様)では、前記端末装置が音を収音することで生成した音響信号から前記観測音情報を生成する生成部を具備し、前記特定部は、前記複数の登録データのうち、前記生成部が生成した観測音情報に対応する音情報を含む登録データにおける識別情報を特定する。以上の態様では、生成部が生成した観測音情報に対応する音情報を含む登録データにおける識別情報が特定されるから、端末装置が観測音情報を生成する処理が不要になる。したがって、端末装置の処理負荷が軽減される。
【0087】
第1態様から第3態様の何れかの好適例(第5態様)では、前記通信制御部は、前記観測音情報を当該端末装置から受信する動作を前記通信装置に実行させ、前記特定部は、前記複数の登録データのうち、前記通信装置が受信した前記観測音情報に対応する音情報を含む登録データにおける識別情報を特定する。以上の態様では、端末装置から送信された観測音情報を利用して識別情報が特定されるから、情報処理装置で観測音情報を生成する処理が不要になる。したがって、情報処理装置の処理負荷が軽減される。
【0088】
第1態様から第5態様の何れかの好適例(第6態様)では、前記複数の登録データの各々は、前記放音装置が放音する場所に設置された管理装置が収音した音を表す音情報と、当該管理装置から送信された識別情報とを含む。以上の態様では、放音装置が放音する設置された管理装置が収音した音を表す音情報と、当該管理装置から送信された識別情報とを登録データが含むから、情報処理装置が事前に音情報と識別情報とを対応付けて記憶する必要がない。
【0089】
第1態様から第6態様の何れかの好適例(第7態様)では、前記音は、楽曲の音である。
【0090】
本発明の好適な態様に係る情報処理方法は、識別情報が示す提供情報を取得する端末装置に当該識別情報を送信するための方法であって、音を表す音情報と識別情報とを各々が含む複数の登録データのうち、放音装置から放音されて前記端末装置が収音した音を表す観測音情報に対応する前記音情報を含む登録データにおける識別情報を特定し、前記特定した識別情報を前記端末装置に送信する動作を通信装置に実行させる。以上の態様では、音を表す音情報と識別情報とを各々が含む複数の登録データのうち、端末装置が収音した音を表す観測音情報に対応する音情報を含む登録データにおける識別情報が端末装置に送信されるから、音を収音することができれば、識別情報が示す提供情報を端末装置が取得することができる。
【符号の説明】
【0091】
100…情報提供システム、10…端末装置、11…制御装置、113…識別情報取得部、115…提供情報取得部、117…再生制御部、119…観測音情報取得部、12…記憶装置、13…通信装置、14…収音装置、15…再生装置、20…放音装置、30…情報処理装置、31…記憶装置、33…制御装置、332…通信制御部、334…生成部、336…特定部、35…通信装置、40…配信装置、41…制御装置、43…記憶装置、45…通信装置、50…管理装置、60…検索装置、70…通信網。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11