(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】計測機器、および通信システム
(51)【国際特許分類】
H04L 9/30 20060101AFI20221018BHJP
G06F 21/60 20130101ALI20221018BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20221018BHJP
H04W 4/38 20180101ALI20221018BHJP
H04W 12/02 20090101ALI20221018BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20221018BHJP
G08C 19/00 20060101ALI20221018BHJP
G08C 17/00 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
H04L9/30
G06F21/60 320
H04W84/10 110
H04W4/38
H04W12/02
H04Q9/00 301Z
H04Q9/00 311J
G08C19/00 V
G08C17/00 A
(21)【出願番号】P 2018142307
(22)【出願日】2018-07-30
【審査請求日】2021-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 哲三
【審査官】宮司 卓佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-170630(JP,A)
【文献】特開2017-012661(JP,A)
【文献】国際公開第2015/045372(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/147788(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 9/30
G06F 21/60
H04W 84/10
H04W 4/38
H04W 12/02
H04Q 9/00
G08C 19/00
G08C 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置とBLE(Bluetooth Low Energy)通信可能に構成され、携帯可能な計測機器であって、
前記計測機器のユーザの生体関連情報を取得する取得部と、
前記情報処理装置から所定周期で送信される第1アドバタイジングパケットを受信する受信部と、
前記第1アドバタイジングパケットを受信した場合に、公開鍵を用いた前記生体関連情報の暗号化を開始する暗号化部と、
前記第1アドバタイジングパケットの受信電波強度に基づいて、前記計測機器と前記情報処理装置との推定距離を算出する距離推定部と、
前記推定距離が第1閾値未満になった場合に、前記暗号化された生体関連情報を含む第2アドバタイジングパケットを送信する送信制御部とを備える、計測機器。
【請求項2】
前記第2アドバタイジングパケットの送信後に受信された前記第1アドバタイジングパケットが、前記第2アドバタイジングパケットを前記情報処理装置が受信したことを示す情報を含む場合、前記送信制御部は、前記第2アドバタイジングパケットの送信を停止する、請求項1に記載の計測機器。
【請求項3】
前記第2アドバタイジングパケットの送信が停止されてから第1基準時間以上経過した場合、前記送信制御部は、前記第2アドバタイジングパケットの送信の停止を解除する、請求項2に記載の計測機器。
【請求項4】
前記第2アドバタイジングパケットの送信が停止された後であって、かつ前記第1アドバタイジングパケットを受信できなくなってから第2基準時間以上経過した場合、前記送信制御部は、前記第2アドバタイジングパケットの送信の停止を解除する、請求項2または3に記載の計測機器。
【請求項5】
前記送信制御部は、
前記推定距離が前記第1閾値未満、かつ前記第1閾値よりも小さい第2閾値以上である場合、第1周期で前記第2アドバタイジングパケットを送信し、
前記推定距離が前記第2閾値未満である場合、前記第1周期よりも短い第2周期で前記第2アドバタイジングパケットを送信する、請求項1~4のいずれか1項に記載の計測機器。
【請求項6】
前記生体関連情報は、前記計測機器を携帯する前記ユーザの歩行速度を含み、
前記歩行速度が所定速度以上である場合、前記送信制御部は、前記第2周期で前記第2アドバタイジングパケットを送信する、請求項5に記載の計測機器。
【請求項7】
前記暗号化された生体関連情報の送信が完了するまでの一連の処理の進捗状況を報知する報知部をさらに備える、請求項1~6のいずれか1項に記載の計測機器。
【請求項8】
携帯可能な複数の計測機器と、
前記複数の計測機器の各々とBLE(Bluetooth Low Energy)通信可能に構成された情報処理装置とを備え、
前記複数の計測機器の各々は、
当該計測機器のユーザの生体関連情報を取得する取得部と、
前記情報処理装置から所定周期で送信される第1アドバタイジングパケットを受信する受信部と、
前記第1アドバタイジングパケットを受信した場合に、公開鍵を用いた前記生体関連情報の暗号化を開始する暗号化部と、
前記第1アドバタイジングパケットの受信電波強度に基づいて、当該計測機器と前記情報処理装置との推定距離を算出する距離推定部と、
前記推定距離が第1閾値未満になった場合に、前記暗号化された生体関連情報を含む第2アドバタイジングパケットを送信する送信制御部とを含む、通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、計測機器、情報処理装置、および通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、低消費電力で近距離無線通信が可能なBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)通信が普及している。例えば、BLE通信を利用して、ユーザの生体情報を測定する生体情報測定装置が、当該生体情報を通信端末に提供する通信システムが知られている。
【0003】
特開2017-5411号公報(特許文献1)は、通信端末と生体情報測定装置とを含む通信システムを開示している。中央装置である通信端末は、周辺装置である生体情報測定装置との通信に用いる暗号鍵による異なる暗号化の方法を示す複数の通信規則の中から一の生体情報測定装置との通信に用いる通信規則を特定するサービス特定部と、サービス特定部が特定した通信規則に基づいて、一の生体情報測定装置と所定の目的情報の通信を行なう通信部とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通信端末と生体情報測定装置とのBLE通信のセキュリティを担保するため、共通鍵あるいは公開鍵を用いた暗号化通信を行なう場合が考えられる。共通鍵を用いる場合には、多数の生体情報測定装置に異なる共通鍵を配布する必要があり煩雑である。
【0006】
そこで、公開鍵の利用が想定されるが、一般的に、パーソナルコンピュータ等のような高い計算能力を有するマイクロコンピュータが搭載されていない生体情報測定装置では、公開鍵を用いた暗号化処理に比較的時間を要するという課題がある。したがって、通信端末が、周辺に存在する多数の生体情報測定装置から暗号化されたデータ(例えば、生体情報)を取得する際、当該データの取得がスムーズに進まず、ユーザビリティを低下させてしまう可能性がある。
【0007】
特許文献1では、生体情報測定装置と通信端末とが第3のサービスによって接続される場合に、所定の方式(例えば、共通鍵方式および公開鍵方式など)により、生体情報の測定に用いる情報が暗号化され、暗号化された生体情報が所定の方式により復号化される。しかしながら、特許文献1には上記課題に対する技術を何ら開示または示唆していない。
【0008】
本開示のある局面における目的は、生体関連情報を計測する計測機器と情報処理装置との間で、公開鍵を用いた暗号化データをBLE通信する際のユーザビリティを向上させることが可能な計測機器、情報処理装置、および通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一例では、情報処理装置とBLE(Bluetooth Low Energy)通信可能に構成され、携帯可能な計測機器が提供される。計測機器は、計測機器のユーザの生体関連情報を取得する取得部と、情報処理装置から所定周期で送信される第1アドバタイジングパケットを受信する受信部と、第1アドバタイジングパケットを受信した場合に、公開鍵を用いた生体関連情報の暗号化を開始する暗号化部と、第1アドバタイジングパケットの受信電波強度に基づいて、計測機器と情報処理装置との推定距離を算出する距離推定部と、推定距離が第1閾値未満になった場合に、暗号化された生体関連情報を含む第2アドバタイジングパケットを送信する送信制御部とを備える。
【0010】
上記構成によれば、生体関連情報を計測する計測機器と情報処理装置との間で、公開鍵を用いた暗号化データをBLE通信する際のユーザビリティを向上させることができる。
【0011】
本開示の他の例では、第2アドバタイジングパケットの送信後に受信された第1アドバタイジングパケットが、第2アドバタイジングパケットを情報処理装置が受信したことを示す情報を含む場合、送信制御部は、第2アドバタイジングパケットの送信を停止する。
【0012】
上記構成によれば、他の機器と情報処理装置とがBLE通信する際の無線干渉の発生を軽減することができる。
【0013】
本開示の他の例では、第2アドバタイジングパケットの送信が停止されてから第1基準時間以上経過した場合、送信制御部は、第2アドバタイジングパケットの送信の停止を解除する。
【0014】
上記構成によれば、第2アドバタイジングパケットの送信後に新たに取得した生体関連情報を含む第2アドバタイジングパケットを、計測機器が送信可能な状態にできる。
【0015】
本開示の他の例では、第2アドバタイジングパケットの送信が停止された後であって、かつ第1アドバタイジングパケットを受信できなくなってから第2基準時間以上経過した場合、送信制御部は、第2アドバタイジングパケットの送信の停止を解除する。
【0016】
上記構成によれば、第2アドバタイジングパケットの送信後に新たに取得した生体関連情報を含む第2アドバタイジングパケットを、計測機器が送信可能な状態にできる。
【0017】
本開示の他の例では、送信制御部は、推定距離が第1閾値未満、かつ第1閾値よりも小さい第2閾値以上である場合、第1周期で第2アドバタイジングパケットを送信し、推定距離が第2閾値未満である場合、第1周期よりも短い第2周期で第2アドバタイジングパケットを送信する。
【0018】
上記構成によれば、推定距離が短く無線干渉の影響を受けにくい場合に第2アドバタイジングパケットの送信頻度を高くすることで、効率よく早期に暗号化データの送信を完了させることができる。
【0019】
本開示の他の例では、生体関連情報は、計測機器を携帯するユーザの歩行速度を含む。歩行速度が所定速度以上である場合、送信制御部は、第2周期で第2アドバタイジングパケットを送信する。
【0020】
上記構成によれば、ユーザが情報処理装置により早く近づく可能性がある場合に、暗号化データの送信を早期に完了させることができる。
【0021】
本開示の他の例では、暗号化された生体関連情報の送信が完了するまでの一連の処理の進捗状況を報知する報知部をさらに備える。
【0022】
上記構成によれば、ユーザは一連の処理の進捗状況を把握することができる。
本開示の他の例では、携帯可能な計測機器とBLE(Bluetooth Low Energy)通信可能に構成された情報処理装置は、所定周期で第1アドバタイジングパケットを送信する送信部を備える。計測機器は、第1アドバタイジングパケットを受信した場合に、公開鍵を用いて計測機器のユーザの生体関連情報の暗号化を開始する。情報処理装置は、第1アドバタイジングパケットの受信電波強度に基づく情報処理装置と計測機器との推定距離が第1閾値未満になった場合に計測機器から送信される、暗号化された生体関連情報を含む第2アドバタイジングパケットを受信する受信部をさらに備える。
【0023】
上記構成によれば、生体関連情報を計測する計測機器と情報処理装置との間で、公開鍵を用いた暗号化データをBLE通信する際のユーザビリティを向上させることができる。
【0024】
本開示の他の例では、通信システムは、携帯可能な複数の計測機器と、複数の計測機器の各々とBLE(Bluetooth Low Energy)通信可能に構成された情報処理装置とを備える。複数の計測機器の各々は、当該計測機器のユーザの生体関連情報を取得する取得部と、情報処理装置から所定周期で送信される第1アドバタイジングパケットを受信する受信部と、第1アドバタイジングパケットを受信した場合に、公開鍵を用いた生体関連情報の暗号化を開始する暗号化部と、第1アドバタイジングパケットの受信電波強度に基づいて、当該計測機器と情報処理装置との推定距離を算出する距離推定部と、推定距離が第1閾値未満になった場合に、暗号化された生体関連情報を含む第2アドバタイジングパケットを送信する送信制御部とを含む。
【0025】
上記構成によれば、生体関連情報を計測する計測機器と情報処理装置との間で、公開鍵を用いた暗号化データをBLE通信する際のユーザビリティを向上させることができる。
【発明の効果】
【0026】
本開示によると、生体関連情報を計測する計測機器と情報処理装置との間で、公開鍵を用いた暗号化データをBLE通信する際のユーザビリティを向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本実施の形態に従う通信システムの概要を示す図である。
【
図2】計測機器のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】情報処理装置から送信されるアドバタイジングパケットのデータ構造を示す図である。
【
図5】計測機器から送信されるアドバタイジングパケットのデータ構造を示す図である。
【
図6】計測機器および情報処理装置のデータ通信例を説明するための図である。
【
図7】通信システムが利用される具体例を説明するための図である。
【
図8】計測機器および情報処理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図9】情報処理装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図10】計測機器の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0029】
[適用例]
図1は、本実施の形態に従う通信システム1000の概要を示す図である。
図1を参照して、本発明が適用される場面の一例について説明する。
【0030】
図1を参照して、通信システム1000は、携帯可能な計測機器10と、情報処理装置20と、ネットワーク30とを含む。計測機器10は、ユーザにより携帯可能であり、例えば、ユーザの着衣のポケット等に収容される。なお、説明の便宜上、通信システム1000は、1人のユーザに対応する1つの計測機器10しか含んでいないが、複数のユーザにそれぞれ対応する複数の計測機器10を含んでいてもよい。
【0031】
計測機器10は、被計測者である計測機器10のユーザの生体関連情報を計測するための機器である。生体関連情報は、ユーザの生体情報およびそれに関連する情報である。本実施の形態では、計測機器10は、ユーザの身体の活動である活動量を計測する活動量計であるとする。活動量は、例えば、歩行時の歩数、歩行速度および消費熱量(すなわち、消費カロリー)等である。計測機器10は、活動量計に限られず、他の生体関連情報を計測する機器であってもよい。例えば、計測される生体関連情報は、活動量に限られず血圧、心拍数、呼吸数、心電、筋電、脳電位、肺活量、睡眠量、体組成情報(身体の体重、身長、筋肉量、骨量、脂肪量など身体の組成を示す情報)であってもよい。また、計測される生体関連情報は、これらのうちの2以上を組み合わせたものであってもよい。
【0032】
情報処理装置20は、例えば、ラップトップPC(personal computer)である。以下では、ラップトップPCを「情報処理装置」の代表例として説明を行なう。ただし、情報処理装置は、スマートフォン、タブレット端末装置、デスクトップPC(personal computer)等のような他の装置であってもよい。
【0033】
計測機器10と情報処理装置20とを接続するためのネットワーク30は、近距離無線通信方式を採用しており、典型的には、BLE(Bluetooth Low Energy)が採用される。そのため、計測機器10および情報処理装置20は、BLEを用いて無線通信を行なう機能を有するBLEデバイスである。
【0034】
情報処理装置20は、アドバタイジングパケットを送信するためのアドバタイジングという動作と、アドバタイジングパケットを受信するためのスキャンという動作とを繰り返し実行する。一方、計測機器10は、定期的にスキャンを実行し、所定の条件が成立するとアドバタイジングを実行する。典型的には、アドバタイジングパケットは、ブロードキャストで送信される。すなわち、アドバタイジングパケットは、不特定の機器(通信可能な範囲にある全ての機器)に送信される。なお、アドバタイジングパケットは、予め定められた複数の機器に対してマルチキャストで送信されてもよい。
【0035】
計測機器10および情報処理装置20は、アドバタイジングパケットを利用して、計測機器10で計測された生体関連情報の送受信を行なっている。以下、
図1を参照しながら処理内容について説明する。
【0036】
図1においては、計測機器10を携帯したユーザが、地点Oに位置する情報処理装置20へ近づいていく場面を想定する。計測機器10は、計測した生体関連情報(例えば、活動量)を内部メモリに記憶しているものとする。計測機器10には、情報処理装置20が提供するサービスを識別するためのサービス識別IDが登録されており、情報処理装置20には、当該サービスを受ける計測機器10を識別するための機器IDが登録されているものとする。
【0037】
図1を参照して、情報処理装置20は、アドバタイジングパケットをブロードキャストで送信する(
図1中の(1)に対応)。このアドバタイジングパケットは、情報処理装置20を識別するための装置IDと、情報処理装置20が提供するサービスを示すサービス識別IDとを含む。
【0038】
計測機器10は、スキャン動作により、登録されたサービス識別IDを含むアドバタイジングパケットを受信すると、公開鍵を用いて、内部メモリに記憶されている生体関連情報の暗号化を開始する(
図1中の(2)に対応)。公開鍵は、計測機器10の内部メモリに予め記憶されている。
【0039】
計測機器10は、アドバタイジングパケットの受信電波強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)と、アドバタイジングパケット内に含まれる送信電力情報とに基づいて、計測機器10と情報処理装置20との距離を推定する(
図1中の(3)に対応)。なお、アドバタイジングパケットの送信時における送信電力が既知である場合には、計測機器10は、受信電波強度のみを用いて距離を推定してもよい。
【0040】
続いて、計測機器10を携帯したユーザが地点Oに近づくことにより、計測機器10と情報処理装置20との推定距離が所定距離未満になった場合、計測機器10は、アドバタイジングパケットをブロードキャストで送信する(
図1中の(4)に対応)。このアドバタイジングパケットは、計測機器10の機器IDと、暗号化された生体関連情報とを含む。
【0041】
情報処理装置20は、スキャン動作により、登録された計測機器10の機器IDを含むアドバタイジングパケットを受信して、秘密鍵を用いて暗号化された生体関連情報を復号化する(
図1中の(5)に対応)。秘密鍵は、情報処理装置20の内部メモリに予め記憶されている。
【0042】
上記によると、計測機器10は、情報処理装置20から送信されたアドバタイジングパケットの受信時に公開鍵を用いた生体関連情報の暗号化を開始し、情報処理装置20との距離が一定の距離まで近づくと暗号化された生体関連情報を含むアドバタイジングパケットを送信する。
【0043】
これにより、計測機器10がアドバタイジングパケットを受信してから情報処理装置20に近づくまでの時間を、生体関連情報の暗号化処理に割り当てることができる。そのため、ユーザが地点Oに到着した(あるいは、かなり近づいた)時点において、暗号化処理が完了していないという事態を回避できる。また、計測機器10と情報処理装置20との間の距離が近づいた場合に計測機器10からのアドバタイジングパケットの送信が行なわれるため、情報処理装置20が当該アドバタイジングパケットを受信できる可能性を高めることもできる。
【0044】
このように、本実施の形態によると、ユーザが地点Oに到着するまでに、ユーザに意識させることなく、公開鍵を用いた生体関連情報の暗号化、および暗号化された生体関連情報の送信が行なわれ、ユーザビリティを向上させることができる。
【0045】
[構成例]
<ハードウェア構成>
(計測機器10)
図2は、計測機器10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。活動量計としての計測機器10は、主たる構成要素として、プロセッサ102と、メモリ104と、操作インターフェイス(I/F)106と、加速度センサ108と、通信インターフェイス(I/F)110と、ディスプレイ112とを含む。
【0046】
プロセッサ102は、典型的には、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Multi Processing Unit)といった演算処理部である。プロセッサ102は、メモリ104に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、計測機器10の各部の動作を制御する制御部として機能する。プロセッサ102は、当該プログラムを実行することによって、後述する計測機器10の処理(ステップ)の各々を実現する。
【0047】
メモリ104は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)、フラッシュメモリなどによって実現される。メモリ104は、プロセッサ102によって実行されるプログラム、またはプロセッサ102によって用いられるデータなどを記憶する。
【0048】
操作インターフェイス106は、計測機器10に対する操作入力を受け付け、例えば、各種ボタンで構成される。ユーザによって、各種ボタンが操作されると、当該操作による信号がプロセッサ102に入力される。
【0049】
加速度センサ108は、例えば、3軸方向の加速度を検出可能な加速度センサによって実現され、計測機器10に与えられる加速度を検出する。検出した加速度は、電圧信号としてプロセッサ102に入力される。
【0050】
プロセッサ102は、入力された加速度に基づいて、歩数を算出する。典型的には、プロセッサ102は、閾値以上の加速度を検出した場合に、その回数を1歩としてカウントする。また、プロセッサ102は、歩数に基づいて、歩行距離、歩行ピッチ、歩行速度、消費カロリー、脂肪燃焼量、運動強度等を算出可能である。例えば、歩行ピッチは歩数/歩行時間で算出され、歩行速度は歩幅×歩行ピッチで算出される。歩幅は、ユーザの身長及び年齢から推定により求められる。なお、プロセッサ102は、加速度センサ108により検出された水平方向加速度によりユーザの歩行速度を算出してもよい。
【0051】
通信インターフェイス110は、計測機器10と情報処理装置20との間で各種データをやり取りするための通信インターフェイスである。通信方式としては、例えば、近距離無線通信方式であるBLE(Bluetooth Low Energy)が採用される。
【0052】
ディスプレイ112は、液晶ディスプレイ等で構成され、プロセッサ102からの制御に従って各種の情報を表示する。
【0053】
(情報処理装置20)
図3は、情報処理装置20のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。ラップトップPCとしての情報処理装置20は、主たる構成要素として、プロセッサ202と、メモリ204と、入力装置206と、計測機器10とBLE通信するための通信インターフェイス208と、入出力インターフェイス(I/F)210と、液晶ディスプレイ等で構成されるディスプレイ212とを含む。
【0054】
プロセッサ202は、メモリ204に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、情報処理装置20の各部の動作を制御する制御部として機能し、後述する情報処理装置20の処理(ステップ)の各々を実現する。
【0055】
メモリ204は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)、ハードディスクなどによって実現され、プロセッサ202によって実行されるプログラム、またはプロセッサ202によって用いられるデータなどを記憶する。
【0056】
入力装置206は、情報処理装置20に対する操作入力を受け付ける。入力装置206は、例えば、キーボード、ボタン、マウスなどによって実現される。また、入力装置206は、タッチパネルとして実現されていてもよい。
【0057】
入出力インターフェイス210は、外部機器との間で信号を通信する。典型的には、入出力インターフェイス210は、USBや有線LAN(Local Area Network)等の有線通信方式あるいは無線LAN等の無線通信方式を用いて外部機器と通信する。
【0058】
<データ構造>
次に、情報処理装置20から送信されるアドバタイジングパケット(以下、「アドバタイジングパケットAPi」とも称する。」)および、計測機器10から送信されるアドバタイジングパケット(以下、「アドバタイジングパケットAPm」とも称する。)のデータ構造について説明する。
【0059】
図4は、情報処理装置20から送信されるアドバタイジングパケットAPiのデータ構造を示す図である。
図4を参照して、アドバタイジングパケットAPiは、“プリアンブル”、“アクセスアドレス”、“プロトコルデータユニット”、および“CRC(
Cyclic Redundancy Check)”の4つのフィールドから構成されている。プロトコルデータユニット(PDU)は、通信パケットが運ぶデータを指定するフィールドであり、“ヘッダ”、“ペイロード”の2つのフィールドから構成される。
【0060】
“ヘッダ”フィールドは、アドバタイジングパケットのタイプを指定するためのPDUtypeの情報が含まれている。具体的には、アドバタイジングパケットのタイプは、「ADV_IND」、“ADV_DIRECT_IND」、「ADV_NONCONN_IND」、および「ADV_SCAN_IND」の4つがある。
【0061】
「ADV_IND」および「ADV_DIRECT_IND」は、接続可能であることを示すタイプである。具体的には、「ADV_IND」は、不特定の機器がアドバタイジングパケットの送信元(アドバタイザ)に対して接続要求可能であることを示すタイプである。「ADV_DIRECT_IND」は、特定の機器がアドバタイザに対して接続要求可能であることを示すタイプである。
【0062】
また、「ADV_NONCONN_IND」および「ADV_SCAN_IND」は、接続不可であることを示すタイプである。具体的には、「ADV_NONCONN_IND」は、不特定の機器がアドバタイザに対して接続要求およびスキャン要求できないことを示すタイプである。「ADV_SCAN_IND」は、不特定の機器がアドバタイザに対して接続要求できないが、スキャン要求はできることを示すタイプである。本実施の形態に従う計測機器10および情報処理装置20は、上記4つのいずれかのタイプのアドバタイジングパケットを送信する。
【0063】
“ペイロード”フィールドは、“AdvA(Advertiser’s address)”および“AdvData(Advertiser’s Data)”の2つのフィールドから構成される。“AdvA”はデバイスを識別するためのアドレスである。“AdvData”は、例えば、“AD Structure1”、“AD Structure2”、および“AD Structure3”の3つのフィールドから構成される。
【0064】
各々の“AD Structure”フィールドは、“Length”および“Data”フィールドを有し、“Data”フィールドは、“AD Type”および“AD Data”フィールドを有する。
【0065】
“AD Structure1”フィールドには、制御情報を示すFlagsが格納され、“AD Structure2”フィールドには、送信電力を示すTxPowerが格納され、“AD Structure3”フィールドには、任意の送信データを示す“Manufacture Specific Data”が格納される。
【0066】
“Manufacture Specific Data”は、アドバタイザ(ここでは、情報処理装置20)を識別するための装置IDを示す“Manufacture ID”と、アドバタイジングパケットのフォーマットバージョンを示す“パケットフォーマット Ver.”と、“サービス識別ID”と、“受信済み機器リスト”とを含む。
【0067】
受信済み機器リストは、複数の計測機器10の各々から送信されたアドバタイジングパケットを情報処理装置20が受信した場合における各計測機器10のリストである。例えば、“機器ID1”には複数の計測機器10のうちの計測機器M1の機器IDが格納され、“受信状況情報1”には、計測機器M1からのアドバタイジングパケットAPmに含まれる暗号化データの受信状況(例えば、受信の有無)を示す情報が格納される。
【0068】
本実施の形態に従う計測機器10は、アドバタイジングパケットAPmに暗号化データを含めてブロードキャストで送信する。暗号化データのサイズが、1のアドバタイジングパケットが送信可能なデータのサイズを超えている場合、計測機器10は、暗号化データを分割して、複数のアドバタイジングパケットAPmに分けて送信する。
【0069】
この場合、計測機器10は、分割された各々のデータが何番目のデータなのかを示す情報をアドバタイジングパケットAPmに含めて送信する。例えば、暗号化データが100オクテットである場合、計測機器10は、暗号化データを4つに分けて、25オクテットずつの分割データにする。これら4つの分割データは、先頭から順に1,2,3,4番と定義され、この順で送信される。
【0070】
具体的には、計測機器10は、1番目の分割データ(暗号化データの先頭から1/4の部分)と、当該分割データが1番目のデータであることを示すシーケンス番号とを含むアドバタイジングパケットAPmを送信する。続いて、計測機器10は、2番目の分割データ(暗号化データの先頭から2/4の部分)と、シーケンス番号(2番)とを含むアドバタイジングパケットAPmを送信する。同様に、計測機器10は、3番目の分割データとシーケンス番号(3番)とを含むアドバタイジングパケットAPmを送信した後、4番目の分割データとシーケンス番号(4番)とを含むアドバタイジングパケットAPmを送信する。
【0071】
情報処理装置20は、上記の4つのアドバタイジングパケットを受信し、シーケンス番号にしたがって分割データを並べることで、計測機器10から送信された暗号化データを再構成する。なお、暗号化データが分割されている場合には、受信状況情報は、何番目の分割データまで受信しているのかを示す情報(例えば、分割データの番号/分割数)を含む。例えば、2番目の分割データまで受信している場合には、受信状況情報は「2/4」という情報を含む。
【0072】
図5は、計測機器10から送信されるアドバタイジングパケットAPmのデータ構造を示す図である。
図5を参照して、“Manufacture Specific Data”フィールド以外のデータ構造については、
図4に示すデータ構造と基本的に同様であるため、その詳細な説明は繰り返さない。
【0073】
アドバタイジングパケットAPm内の“Manufacture Specific Data”は、アドバタイザ(ここでは、計測機器10)を識別するための機器IDを示す“Manufacture ID”と、“パケットフォーマット Ver.”と、公開鍵のバージョンを示す“暗号鍵 Ver.”と、“シーケンス番号”と、“暗号化データ”とを含む。
【0074】
暗号鍵Ver.は、暗号鍵の漏洩に備えるために暗号鍵を変更した場合にどのバージョンの暗号鍵かを示すために用いられる。シーケンス番号は、上述したように、分割データが何番目のデータなのかを示す情報である。暗号化データは、計測機器10で計測された生体関連情報を公開鍵で暗号化したデータである。
【0075】
<スキャン、アドバタイジングを用いた通信例>
次に、
図6を用いて、計測機器10および情報処理装置20によるアドバタイジングおよびスキャンを用いたデータ通信の一例を説明する。
図6は、計測機器10および情報処理装置20のデータ通信の一例を説明するための図である。情報処理装置20はスキャンおよびアドバタイジングを繰り返し実行し、計測機器10はスキャンを繰り返し実行する。
【0076】
図6を参照して、情報処理装置20は、スキャンを実行する(シーケンスSQ2)。この場合、計測機器10はアドバタイジングを実行していないため、アドバタイジングパケットAPmは受信されない。続いて、情報処理装置20は、アドバタイジングを実行してアドバタイジングパケットAPiをブロードキャストで送信する(シーケンスSQ4)。
【0077】
計測機器10は、スキャンを実行してアドバタイジングパケットAPiを受信する(シーケンスSQ6)。計測機器10に事前登録されたサービス識別IDがアドバタイジングパケットAPiに含まれている場合、計測機器10は、公開鍵を用いて、計測した生体関連情報の暗号化を開始する(シーケンスSQ8)。
【0078】
続いて、計測機器10は、アドバタイジングパケットAPiの受信電波強度を測定し、当該受信電波強度を用いて計測機器10と情報処理装置20との推定距離Deを算出する(シーケンスSQ10)。計測機器10は、情報処理装置20から定期的に送信されるアドバタイジングパケットAPiを受信するごとに推定距離Deを算出する。これにより、計測機器10は、情報処理装置20との距離を常時把握できる。
【0079】
なお、計測機器10は、シーケンスSQ6におけるアドバタイジングパケットAPiの受信を契機として暗号化処理を開始している。そのため、計測機器10は、シーケンスSQ6におけるタイミング以降のアドバタイジングパケットAPiの受信を契機として暗号化処理を再度開始することはない。
【0080】
計測機器10は、暗号化処理が完了し、かつ計測機器10と情報処理装置20との推定距離Deが所定距離未満である場合に、暗号化データを含むアドバタイジングパケットAPmをブロードキャストで送信する(シーケンスSQ12)。
【0081】
情報処理装置20は、計測機器10からのアドバタイジングパケットAPmを受信する(シーケンスSQ14)。情報処理装置20は、事前登録された機器IDがアドバタイジングパケットAPmに含まれていることを確認すると、スキャンレスポンスを送信する(シーケンスSQ16)。
【0082】
計測機器10は、スキャンレスポンスを受信する(シーケンスSQ18)。計測機器10は、スキャンレスポンスを受信した場合、シーケンスSQ12におけるアドバタイジングパケットAPmに含まれる暗号化データが情報処理装置20に送信されたと判断する。
【0083】
情報処理装置20は、受信済み機器リストに、計測機器10の機器IDと暗号化データの受信状況情報とを格納し、当該受信済み機器リストを含むアドバタイジングパケットAPiをブロードキャストで送信する(シーケンスSQ20)。
【0084】
計測機器10は、スキャンを実行してアドバタイジングパケットAPiを受信する(シーケンスSQ22)。計測機器10は、アドバタイジングパケットAPi内の受信済み機器リストに基づいて、計測機器10の機器IDの存在の有無、および受信状況情報を確認する。
【0085】
計測機器10は、自身の機器IDが存在し、情報処理装置20において暗号化データが受信済みであることを確認した場合には、シーケンスSQ12におけるアドバタイジングパケットAPmに含まれる暗号化データが情報処理装置20に送信されたと判断する。これにより、計測機器10は、シーケンスSQ18においてスキャンレスポンスが受信できなかった場合でも、暗号化データの送信完了を確認できる。計測機器10は、情報処理装置20への暗号化データの送信完了を確認した後、アドバタイジングを停止する(シーケンスSQ24)。
【0086】
なお、計測機器10は、暗号化データを分割して送信している場合、受信状況情報を確認することにより、送信すべき分割データが残っている場合には、残りの分割データをアドバタイジングパケットAPmに含めて送信する。
【0087】
<具体例>
図7は、通信システム1000が利用される具体例を説明するための図である。
図7を参照して、通信システム1000は、複数の計測機器10A~10D(総称する場合または任意のものを示す場合、計測機器10と記載する。)と、情報処理装置20とを含む。複数の計測機器10A~10Dの各々は、当該計測機器のユーザに携帯された移動体端末として機能する。一方、情報処理装置20は、地点Oに位置する所定の店舗内に設けられており、移動しないものとする。
【0088】
遠距離領域K1は、情報処理装置20から遠距離の領域を示しており、円810および円820で規定される領域で表される。中距離領域K2は、情報処理装置20からの距離が比較的遠い中距離の領域を示しており、円820および円830で規定される領域で表される。近距離領域K3は、情報処理装置20から近距離の領域を示しており、円830の内部領域で表される。なお、遠距離、中距離および近距離の「距離」は、計測機器10と情報処理装置20との推定距離に対応している。
【0089】
計測機器10は、遠距離領域K1、中距離領域K2および近距離領域K3に存在する場合には、情報処理装置20からのアドバタイジングパケットAPiを受信することができる。
図7の例では、計測機器10A,10B,10Cは、アドバタイジングパケットAPiを受信できる。一方、計測機器10は、円810の外側領域に存在する場合、情報処理装置20からのアドバタイジングパケットAPiを受信することはできない。
図7の例では、計測機器10Dは、アドバタイジングパケットAPiを受信できない。
【0090】
ここで、計測機器10Aが遠距離領域K1、中距離領域K2、近距離領域K3の順に移動していくことで、情報処理装置20に徐々に近づいていく場面を想定する。
【0091】
計測機器10Aは、遠距離領域K1に入ると、情報処理装置20からブロードキャスト送信されているアドバタイジングパケットAPiを受信する。計測機器10Aは、アドバタイジングパケットAPi内のサービス識別IDを確認して、自身が利用するサービスであると判断すると、公開鍵を用いてメモリ104に格納された生体関連情報の暗号化処理を開始する。
【0092】
また、計測機器10Aは、アドバタイジングパケットAPiの受信電波強度および送信電力に基づいて、情報処理装置20と計測機器10Aとの推定距離Deを算出する。計測機器10Aは、暗号化処理が完了した場合であっても、遠距離領域K1に存在している場合には暗号化データを含むアドバタイジングパケットAPmを送信しない。具体的には、計測機器10Aは、推定距離Deが閾値D1以上であると判断した場合には、アドバタイジングパケットAPmを送信しない。
【0093】
続いて、計測機器10Aは、中距離領域K2に入ると、アドバタイジングパケットAPmの送信を試みる。具体的には、計測機器10Aは、受信したアドバタイジングパケットAPiの受信電波強度に基づく推定距離Deが閾値D1未満であると判断して(すなわち、中距離領域K2に入ったと判断して)、暗号化データを含むアドバタイジングパケットAPmを送信する。
【0094】
計測機器10Aは、アドバタイジングパケットAPmの送信後に受信したアドバタイジングパケットAPiに計測機器10Aの機器IDが含まれている場合、あるいは、情報処理装置20からのスキャンレスポンスを受信した場合には、情報処理装置20が暗号化データを受信した(すなわち、暗号化データの送信が完了した)と判断して、アドバタイジングパケットAPmの送信を停止する。
【0095】
例えば、計測機器10は、動作モードを、アドバタイジングパケットAPmを送信可能な通常モードから、アドバタイジングパケットAPmを送信できない送信停止モードに移行する。このように、アドバタイジングパケットAPmの送信が停止されることで、他の計測機器10(例えば、計測機器10B,10C等)と情報処理装置20とが通信する際の無線干渉の発生を軽減できる。
【0096】
ここで、計測機器10Aの周辺に多数の他のユーザの計測機器10が存在する場合には、無線干渉が発生してアドバタイジングパケットAPmの送信に失敗する(すなわち、情報処理装置20がアドバタイジングパケットAPmを受信できない)場合がある。このように、暗号化データの送信完了を確認できない場合には、計測機器10Aは、アドバタイジングパケットAPmを再送信する。計測機器10Aは、中距離領域K2に存在している場合には、周期P1でアドバタイジングパケットAPmを送信する。
【0097】
なお、暗号化データが分割されている場合には、計測機器10Aは、周期P1で分割データを含むアドバタイジングパケットAPmを順次送信する。計測機器10Aは、暗号化データの送信完了を確認した場合にアドバタイジングパケットAPmの送信を停止する。
【0098】
続いて、計測機器10Aは近距離領域K3に入る。中距離領域K2において暗号化データの送信が完了している場合には、アドバタイジングパケットAPmの送信停止モードが維持される。
【0099】
一方、暗号化データの送信が完了していない場合には、計測機器10Aは、アドバタイジングパケットAPmを送信する。ここで、近距離領域K3は、中距離領域K2よりも計測機器10Aと情報処理装置20との距離が短く無線干渉の影響を受けにくいため、アドバタイジングパケットAPmが情報処理装置20によって受信される可能性が高い。そこで、計測機器10Aは、周期P1よりも短い周期P2でアドバタイジングパケットAPmを送信する。これにより、暗号化データの送信完了を早めることができる。
【0100】
ユーザは、店舗に到着すると、店舗に設置された情報処理装置20に格納されたユーザの生体関連情報の内容に応じて各種のサービスを受けることができる。例えば、生体関連情報としての歩数が一定数以上であった場合、ドリンクをもらえるといったサービスを受けることができる。
【0101】
上記の送信停止モードは、一定の条件を満たした場合に解除される。具体的には、計測機器10AがアドバタイジングパケットAPiを受信できなくなってから(すなわち、円810の外側に出てから)基準時間T1(例えば、15分)以上経過した場合には、計測機器10Aは、送信停止モードを解除する。具体的には、計測機器10Aは、通常モードへ移行し、アドバタイジングパケットAPmを送信できる状態になる。そのため、例えば、ユーザが店舗から離れてしばらくして戻ってきた場合には、計測機器10Aは、新たに取得された生体関連情報を暗号化して、情報処理装置20へ送信することができる。
【0102】
また、送信停止モードに移行してから基準時間T2(例えば、60分)以上経過した場合にも、計測機器10Aは、送信停止モードを解除する。そのため、例えば、ユーザが店舗内に留まり続けている場合にも、計測機器10Aは、新たに取得された生体関連情報を暗号化して、情報処理装置20へ送信することができる。
【0103】
また、計測機器10は、生体関連情報の暗号化データの送信が完了するまでの一連の処理の進捗状況をユーザに報知してもよい。一連の処理の進捗状況は、生体関連情報の暗号化処理および暗号化データの送信処理の進捗状況を含む。例えば、計測機器10は、暗号化処理の開始ならびに終了を示す情報、および暗号化データの送信処理の開始ならびに終了を示す情報を報知する。計測機器10は、これらの情報をディスプレイ112に表示してもよいし、スピーカを介して音声出力してもよいし、ランプを用いて報知してもよい。
【0104】
<機能構成>
図8は、計測機器10および情報処理装置20の機能構成の一例を示すブロック図である。
図8を参照して、計測機器10は、取得部152と、情報格納部154と、受信部156と、暗号化部158と、距離推定部160と、送信制御部162と、報知部164とを含む。情報処理装置20は、情報送信部252と、情報受信部254と、復号化部256と、データ格納部258とを含む。
【0105】
計測機器10の取得部152は、ユーザの生体関連情報を取得する。具体的には、取得部152は、ユーザの生体関連情報を計測し、当該計測して取得した生体関連情報を情報格納部154に格納する。
【0106】
情報処理装置20の情報送信部252は、所定周期ごとにアドバタイジングパケットAPiをブロードキャストで送信する。
【0107】
計測機器10の受信部156は、スキャン動作によりアドバタイジングパケットAPiを受信する。受信部156は、アドバタイジングパケットAPiを距離推定部160および送信制御部162に出力し、アドバタイジングパケットAPiの受信通知を暗号化部158に出力する。典型的には、受信部156は、計測機器10に登録されているサービス識別IDがアドバタイジングパケットAPiに含まれている場合に、アドバタイジングパケットAPiおよび受信通知の出力を実行する。
【0108】
暗号化部158は、受信部156がアドバタイジングパケットAPiを受信した場合に(例えば、受信部156からの受信通知を受け取った場合に)、公開鍵を用いて、情報格納部154に格納されている生体関連情報の暗号化を開始する。暗号化部158は、生体関連情報の暗号化データを送信制御部162へ出力する。また、暗号化部158は、暗号化処理の進捗状況(例えば、暗号化の開始、暗号化処理中、暗号化完了)を示す処理状況情報を報知部164へ出力する。
【0109】
距離推定部160は、アドバタイジングパケットAPiの受信電波強度を測定し、当該測定した受信電波強度に基づいて、計測機器10と情報処理装置20との推定距離Deを算出する。典型的には、距離推定部160は、受信電波強度と、アドバタイジングパケットAPiに含まれる送信電力とに基づいて、推定距離Deを算出する。なお、送信電力が既知である場合には、距離推定部160は、受信電波強度のみを用いて推定距離Deを算出してもよい。
【0110】
送信制御部162は、推定距離Deが閾値D1未満になった場合に、生体関連情報の暗号化データを含むアドバタイジングパケットAPmをブロードキャストで送信する。また、送信制御部162は、アドバタイジングパケットAPmの送信処理の進捗状況(例えば、送信開始、送信処理中、送信完了)を示す処理状況情報を報知部164に出力する。
【0111】
ある局面では、送信制御部162は、アドバタイジングパケットAPmの送信後に受信されたアドバタイジングパケットAPiが、アドバタイジングパケットAPmを情報処理装置20が受信したことを示す応答情報(例えば、計測機器10の機器ID、および受信状況情報)を含むか否かを判断する。送信制御部162は、当該応答情報を含む場合、生体関連情報の暗号化データの送信が完了したと判断してアドバタイジングパケットAPmの送信を停止する。この場合、送信制御部162は、計測機器10の動作モードを、通常モードから、アドバタイジングパケットAPmの送信停止モードに移行させる。なお、応答情報は、情報処理装置20から送信され、受信部156によって受信されるスキャンレスポンスであってもよい。
【0112】
他の局面では、送信制御部162は、アドバタイジングパケットAPmの送信が停止されてから(例えば、送信停止モードに移行してから)基準時間T1以上経過している場合、送信制御部162は、アドバタイジングパケットAPmの送信の停止を解除する。あるいは、アドバタイジングパケットAPmの送信が停止された後であって、かつアドバタイジングパケットAPiを受信できなくなってから基準時間T2以上経過した場合に、送信制御部162は、アドバタイジングパケットAPmの送信の停止を解除してもよい。この場合、送信制御部162は、計測機器10の動作モードを、送信停止モードから通常モードに移行させる。
【0113】
さらに他の局面では、送信制御部162は、推定距離Deが閾値D1未満、かつ閾値D1よりも小さい閾値D2以上である場合(例えば、計測機器10が中距離領域K2に存在する場合)、周期P1でアドバタイジングパケットAPmを送信する。また、送信制御部162は、推定距離Deが閾値D2未満である場合(例えば、計測機器10が近距離領域K3に存在する場合)、周期P1よりも短い周期P2でアドバタイジングパケットAPmを送信する。
【0114】
報知部164は、生体関連情報の暗号化データの送信が完了するまでの一連の処理の進捗状況を報知する。具体的には、報知部164は、暗号化部158からの処理状況情報を用いて、生体関連情報の暗号化の開始、暗号化処理中および暗号化完了の各々を示す情報を報知する。また、報知部164は、送信制御部162からの処理状況情報を用いて、アドバタイジングパケットAPmの送信開始、送信処理中および送信完了の各々を示す情報を報知する。
【0115】
報知部164による報知態様は特に限定されず、これらの各情報が区別可能に報知されればよい。典型的には、報知部164は、ディスプレイにおける情報表示、スピーカを介した音声出力、LED(light emitting diode)等の発光を用いて各情報を報知する。
【0116】
情報処理装置20の情報受信部254は、推定距離Deが閾値D1未満になった場合に計測機器10(具体的には、送信制御部162)から送信される生体関連情報の暗号化データを含むアドバタイジングパケットAPmを受信する。情報受信部254は、暗号化データを復号化部256に出力し、暗号化データの受信通知を情報送信部252に出力する。典型的には、情報受信部254は、情報処理装置20に登録されている機器IDがアドバタイジングパケットAPmに含まれる場合に、暗号化データおよび受信通知を出力する。
【0117】
復号化部256は、メモリ204に予め記憶されている秘密鍵を用いて暗号化データを復号化して、復号化された生体関連情報をデータ格納部258に格納する。
【0118】
情報送信部252は、計測機器10から送信されたアドバタイジングパケットAPmが受信された場合(例えば、受信通知を受けとった場合)、当該アドバタイジングパケットAPmを受信したことを示す情報として、計測機器10の機器IDと、受信状況情報とをアドバタイジングパケットAPiに格納する。情報送信部252は、これらの情報を含むアドバタイジングパケットAPiを送信する。
【0119】
<処理手順>
(情報処理装置20)
図9は、情報処理装置20の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図9中の各ステップは、主に、情報処理装置20のプロセッサ202により実行される。
【0120】
図9を参照して、情報処理装置20は、スキャンを実行する(ステップS10)。情報処理装置20は、事前登録された計測機器10からのアドバタイジングパケットAPmを受信したか否かを判断する(ステップS12)。具体的には、情報処理装置20は、アドバタイジングパケットAPmに含まれる機器IDが、メモリ204に格納されている機器IDと一致する場合には、事前登録された計測機器10からのアドバタイジングパケットAPmを受信したと判断する。
【0121】
当該アドバタイジングパケットAPmを受信していない場合(ステップS12においてNO)、情報処理装置20は後述するステップS22の処理を実行する。当該アドバタイジングパケットAPmを受信した場合(ステップS12においてYES)、情報処理装置20は、スキャンレスポンスを送信する(ステップS14)。
【0122】
情報処理装置20は、秘密鍵を用いて、アドバタイジングパケットAPiに含まれる生体関連情報の暗号化データを復号化する(ステップS16)。情報処理装置20は、復号化された生体関連情報をメモリ204に記憶する(ステップS18)。情報処理装置20は、受信済み機器リストに、計測機器10の機器IDと受信状況情報とを追加する(ステップS20)。ステップS20の処理は、ステップS14およびS16の間に実行してもよい。
【0123】
情報処理装置20は、アドバタイジングパケットAPiをブロードキャストで送信して(ステップS22)、ステップS10からの処理を繰り返す。なお、ステップS12においてアドバタイジングパケットAPmが受信されている場合には、ステップS22において送信されるアドバタイジングパケットAPiには、計測機器10の機器IDと受信状況情報とが含まれる。
【0124】
(計測機器10)
図10は、計測機器10の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図10中の各ステップは、主に、計測機器10のプロセッサ102により実行される。
【0125】
図10を参照して、計測機器10は、スキャン動作を実行し(ステップS50)、事前登録されたサービスを提供するためのアドバタイジングパケットAPiを受信したか否かを判断する(ステップS52)。具体的には、計測機器10は、アドバタイジングパケットAPiに含まれるサービス識別IDが、メモリ104に登録(格納)されているサービス識別IDと一致する場合には、事前登録されたサービスを提供するためのアドバタイジングパケットAPiを受信したと判断する。
【0126】
当該アドバタイジングパケットAPiを受信していない場合(ステップS52においてNO)、計測機器10はステップS50の処理を実行する。当該アドバタイジングパケットAPiを受信した場合(ステップS52においてYES)、計測機器10は、公開鍵を用いてメモリ104に格納されている生体関連情報の暗号化を開始する(ステップS54)。
【0127】
計測機器10は、生体関連情報の暗号化が完了したか否かを判断する(ステップS56)。当該暗号化が完了していない場合には(ステップS56においてNO)、計測機器10はステップS56の処理を実行する。当該暗号化が完了した場合には(ステップS56においてYES)、計測機器10は、生体関連情報の暗号化データを含むアドバタイジングパケットAPmをブロードキャストで送信する(ステップS58)。
【0128】
計測機器10は、情報処理装置20からのスキャンレスポンスを受信したか否かを判断する(ステップS60)。スキャンレスポンスを受信した場合には(ステップS60においてYES)、計測機器10は後述するステップS68の処理を実行する。スキャンレスポンスを受信していない場合には(ステップS60においてYES)、計測機器10はスキャン動作を実行する(ステップS62)。
【0129】
続いて、計測機器10は、事前登録されたサービス識別IDを含むアドバタイジングパケットAPiを受信したか否かを判断する(ステップS64)。当該アドバタイジングパケットAPiを受信していない場合には(ステップS64においてNO)、計測機器10はステップS62の処理を実行する。当該アドバタイジングパケットAPiを受信した場合には(ステップS64においてYES)、計測機器10は、当該アドバタイジングパケットAPiに自身の機器IDが含まれているか否かを判断する(ステップS66)。
【0130】
当該機器IDが含まれていない場合には(ステップS66においてNO)、計測機器10は、ステップS58の処理を実行する。すなわち、計測機器10は、暗号化データを含むアドバタイジングパケットAPmをブロードキャストで再送信する。当該機器IDが含まれている場合には(ステップS66においてYES)、計測機器10は、暗号化データの送信が完了したか否かを判断する(ステップS68)。
【0131】
具体的には、計測機器10は、ステップS66において受信したアドバタイジングパケットAPiに含まれる受信状況情報を確認する。暗号化データが受信されたことを受信状況情報が示している場合、計測機器10は暗号化データの送信が完了したと判断する。なお、暗号化データを分割しているときには、すべての分割データが受信されたことを受信状況情報が示している場合、計測機器10は暗号化データの送信が完了したと判断する。
【0132】
暗号化データの送信が完了していない場合(ステップS68においてNO)、計測機器10はステップS58の処理を実行する。暗号化データの送信が完了した場合(ステップS68においてYES)、計測機器10は、アドバタイジングパケットAPmの送信を停止する(ステップS70)。例えば、計測機器10は、通常モードから送信停止モードへ移行する。
【0133】
<利点>
本実施の形態によると、計測機器10がアドバタイジングパケットを受信してから情報処理装置20に近づくまでの時間を、公開鍵を用いた生体関連情報の暗号化処理に割り当てることができる。そのため、コストあるいはサイズの観点から処理能力の大きいマイクロコンピュータを利用できない計測機器であっても、暗号化処理時間の長さをユーザに感じさせることがない。
【0134】
計測機器10と情報処理装置20との距離が近づいた場合に計測機器10からのアドバタイジングパケットが送信されるため、無線の干渉を極力回避でき、アドバタイジングパケットの送信成功率を上げることができる。
【0135】
公開鍵暗号方式を利用することにより、共通鍵暗号方式よりも暗号鍵交換の手間がすくなく、煩雑な暗号鍵生成や暗号鍵の配布管理が不要となり、セキュリティが高くなる。
【0136】
受信電波強度を用いて計測機器10と情報処理装置20との距離を推定しているため、GPS(Global Positioning System)等を用いた距離推定よりも、コスト面で有利となる。
【0137】
<その他の実施の形態>
(1)上述した実施の形態では、通信システム1000が計測機器10および情報処理装置20を含む構成について説明したが、当該構成に限られず、サーバをさらに含む構成であってもよい。この場合、例えば、情報処理装置20は、暗号化データを計測機器10から受信し、インターネット等のネットワークを介して、当該暗号化データをサーバに送信する。サーバは、秘密鍵を用いて受信した暗号化データを復号化して、内部メモリに格納する。
【0138】
(2)上述した実施の形態では、計測機器10と情報処理装置20との間の距離に応じて、アドバタイジングパケットAPmの送信周期を変更する構成について説明したが、当該構成に限られない。例えば、計測機器10を携帯するユーザの生体関連情報である歩行速度に応じて、アドバタイジングパケットAPmの送信周期を変更する構成であってもよい。
【0139】
この場合、計測機器10(送信制御部162)は、計測した歩行速度が所定速度未満である場合には周期P1でアドバタイジングパケットAPmを送信し、歩行速度が所定速度以上である場合には周期P2(<P1)でアドバタイジングパケットAPmを送信する。これにより、ユーザの歩行速度が速く、情報処理装置20が位置する地点に早く到達する可能性がある場合には、アドバタイジングパケットAPmの送信周期が短くなる。そのため、ユーザが当該地点に到達するまでに暗号化データの送信を完了させることができる。
【0140】
(3)上述した実施の形態において、コンピュータを機能させて、上述のフローチャートで説明したような制御を実行させるプログラムを提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD(Compact Disk Read Only Memory)、二次記憶装置、主記憶装置およびメモリカードなどの一時的でないコンピュータ読取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0141】
(4)上述の実施の形態として例示した構成は、本発明の構成の一例であり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能である。また、上述した実施の形態において、その他の実施の形態で説明した処理や構成を適宜採用して実施する場合であってもよい。
【0142】
[付記]
以上のように、本実施形態は以下のような開示を含む。
【0143】
[構成1]
情報処理装置(20)とBLE(Bluetooth Low Energy)通信可能に構成され、携帯可能な計測機器(10)であって、
前記計測機器(10)のユーザの生体関連情報を取得する取得部(152)と、
前記情報処理装置(20)から所定周期で送信される第1アドバタイジングパケットを受信する受信部(156)と、
前記第1アドバタイジングパケットを受信した場合に、公開鍵を用いた前記生体関連情報の暗号化を開始する暗号化部(158)と、
前記第1アドバタイジングパケットの受信電波強度に基づいて、前記計測機器(10)と前記情報処理装置(20)との推定距離を算出する距離推定部(160)と、
前記推定距離が第1閾値未満になった場合に、前記暗号化された生体関連情報を含む第2アドバタイジングパケットを送信する送信制御部(162)とを備える、計測機器(10)。
【0144】
[構成2]
前記第2アドバタイジングパケットの送信後に受信された前記第1アドバタイジングパケットが、前記第2アドバタイジングパケットを前記情報処理装置(20)が受信したことを示す情報を含む場合、前記送信制御部(162)は、前記第2アドバタイジングパケットの送信を停止する、構成1に記載の計測機器(10)。
【0145】
[構成3]
前記第2アドバタイジングパケットの送信が停止されてから第1基準時間以上経過した場合、前記送信制御部(162)は、前記第2アドバタイジングパケットの送信の停止を解除する、構成2に記載の計測機器(10)。
【0146】
[構成4]
前記第2アドバタイジングパケットの送信が停止された後であって、かつ前記第1アドバタイジングパケットを受信できなくなってから第2基準時間以上経過した場合、前記送信制御部(162)は、前記第2アドバタイジングパケットの送信の停止を解除する、構成2または3に記載の計測機器(10)。
【0147】
[構成5]
前記送信制御部(162)は、
前記推定距離が前記第1閾値未満、かつ前記第1閾値よりも小さい第2閾値以上である場合、第1周期で前記第2アドバタイジングパケットを送信し、
前記推定距離が前記第2閾値未満である場合、前記第1周期よりも短い第2周期で前記第2アドバタイジングパケットを送信する、構成1~4のいずれか1項に記載の計測機器(10)。
【0148】
[構成6]
前記生体関連情報は、前記計測機器(10)を携帯する前記ユーザの歩行速度を含み、
前記歩行速度が所定速度以上である場合、前記送信制御部(162)は、前記第2周期で前記第2アドバタイジングパケットを送信する、構成5に記載の計測機器(10)。
【0149】
[構成7]
前記暗号化された生体関連情報の送信が完了するまでの一連の処理の進捗状況を報知する報知部(164)をさらに備える、構成1~6のいずれか1項に記載の計測機器(10)。
【0150】
[構成8]
携帯可能な計測機器(10)とBLE(Bluetooth Low Energy)通信可能に構成された情報処理装置(20)であって、
所定周期で第1アドバタイジングパケットを送信する送信部(252)を備え、
前記計測機器(10)は、前記第1アドバタイジングパケットを受信した場合に、公開鍵を用いて前記計測機器(10)のユーザの生体関連情報の暗号化を開始し、
前記第1アドバタイジングパケットの受信電波強度に基づく前記情報処理装置(20)と前記計測機器(10)との推定距離が第1閾値未満になった場合に前記計測機器(10)から送信される、前記暗号化された生体関連情報を含む第2アドバタイジングパケットを受信する受信部(254)をさらに備える、情報処理装置(20)。
【0151】
[構成9]
携帯可能な複数の計測機器(10)と、
前記複数の計測機器(10)の各々とBLE(Bluetooth Low Energy)通信可能に構成された情報処理装置(20)とを備え、
前記複数の計測機器(10)の各々は、
当該計測機器(10)のユーザの生体関連情報を取得する取得部(152)と、
前記情報処理装置(20)から所定周期で送信される第1アドバタイジングパケットを受信する受信部(156)と、
前記第1アドバタイジングパケットを受信した場合に、公開鍵を用いた前記生体関連情報の暗号化を開始する暗号化部(158)と、
前記第1アドバタイジングパケットの受信電波強度に基づいて、当該計測機器(10)と前記情報処理装置(20)との推定距離を算出する距離推定部(160)と、
前記推定距離が第1閾値未満になった場合に、前記暗号化された生体関連情報を含む第2アドバタイジングパケットを送信する送信制御部(162)とを含む、通信システム(1000)。
【0152】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0153】
10,10A~10D 計測機器、20 情報処理装置、30 ネットワーク、102,202 プロセッサ、104,204 メモリ、106 操作インターフェイス、108 加速度センサ、110,208 通信インターフェイス、112,212 ディスプレイ、152 取得部、154 情報格納部、156 受信部、158 暗号化部、160 距離推定部、162 送信制御部、164 報知部、206 入力装置、210 入出力インターフェイス、252 情報送信部、254 情報受信部、256 復号化部、258 データ格納部、1000 通信システム、K1 遠距離領域、K2 中距離領域、K3 近距離領域。