(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】フィールド機器情報表示システム
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20221018BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20221018BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
G05B23/02 302T
G08B25/00 510B
H04Q9/00 311J
(21)【出願番号】P 2018172703
(22)【出願日】2018-09-14
【審査請求日】2021-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】小鷲 宜也
(72)【発明者】
【氏名】松岡 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】岡島 一道
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-81707(JP,A)
【文献】特開2005-346444(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102017124197(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
G08B 25/00
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
階層状に接続されて制御システムを構成する複数のフィールド機器と、
前記複数のフィールド機器のうち最上位のフィールド機器の上位に接続された機器に設けられ、前記最上位のフィールド機器の初期処理部が認識させた前記各フィールド機器の識別情報の内容に基づいて、前記制御システムにおける前記各フィールド機器の階層パターンを特定する階層特定部と、
前記最上位のフィールド機器の情報出力部及び情報中継部が出力した前記各フィールド機器の自己診断結果を、前記階層特定部が特定した階層パターンで前記各フィールド機器をレイアウトした前記制御システムの画面上で、前記自己診断結果に含まれる識別情報に対応する前記フィールド機器の自己診断結果として表示させる結果表示部と、
を備え、
前記フィールド機器は、
自身に接続された下位のフィールド機器から該下位のフィールド機器の識別情報を取得する情報取得部と、
自身の識別情報を保持する情報保持部と、
上位の機器との接続にともなって、前記情報保持部の前記自身の識別情報を、前記情報取得部が前記下位のフィールド機器の識別情報を取得している場合は該下位のフィールド機器の識別情報を付加して、前記上位の機器に出力する初期処理部と、
自身の自己診断が行われると、前記情報保持部の前記自身の識別情報を含む自身の自己診断結果を、前記上位の機器に出力する情報出力部と、
前記下位のフィールド機器から該下位のフィールド機器の前記識別情報を含む自己診断結果が入力されると、該入力された下位のフィールド機器の自己診断結果を、前記上位の機器に出力する情報中継部と、
を備えており、
前記結果表示部は、前記自己診断結果がアラーム状態である前記フィールド機器及び該フィールド機器の上位のフィールド機器の自己診断結果を、前記アラーム状態の態様でそれぞれ表示させ、前記アラーム状態の態様で表示させた上位のフィールド機器が選択されると、選択された前記上位のフィールド機器を共通の上位のフィールド機器とする、前記自己診断結果がアラーム状態である複数のフィールド機器を、アラーム状態の優先度順にリスト表示させる、
フィールド機器情報表示システム。
【請求項2】
前記初期処理部は、前記情報取得部が取得している前記下位のフィールド機器の識別情報に前記情報保持部の前記自身の識別情報を、前記下位のフィールド機器との階層順に対応する順序で連続するように付加する請求項1記載のフィールド機
器情報表示システム。
【請求項3】
前記情報取得部が前記下位のフィールド機器の識別情報を取得すると、前記情報出力部が前記上位の機器に出力する前記自身の自己診断結果の記憶領域が割り当てられたメモリに、前記情報中継部が前記上位の機器に出力する前記下位のフィールド機器の自己診断結果の記憶領域を割り当てる領域割当部をさらに備え、前記情報出力部及び前記情報中継部は、前記上位の機器からの要求に呼応して、前記メモリの各記憶領域の自己診断結果を読み出し前記上位の機器に出力する請求項1又は2記載のフィールド機
器情報表示システム。
【請求項4】
前記結果表示部は、前記各フィールド機器の前記自己診断結果を該自己診断結果の内容に応じた態様でそれぞれ表示させる請求項1、2又は3記載のフィールド機器情報表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラントのフィールド機器の機器情報を表示するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、工場、発電所、設備、機械等のプラントには、アクチューエータ、アクチュエータの動作状態に応じた物理量を検出するセンサ及び計測器等のフィールド機器が、多数設けられる。また、プラントには、センサ及び計測器等が検出した物理量に応じて対応するアクチュエータの動作を制御する制御装置が設けられる。
【0003】
上述したフィールド機器はリモート入出力装置に接続され、リモート入出力装置は、有線又は無線のフィールドバスによって制御装置に接続される。リモート入出力装置は、フィールド機器に対する信号の入出力を行う。
【0004】
例えば、リモート入出力装置は、制御装置からの制御信号をフィールドバスから受信すると、その制御信号をアクチュエータに入力する。また、リモート入出力装置は、センサが検出信号を出力すると、その検出信号を制御装置に向けてフィールドバスに送信する。
【0005】
このようなプラントのフィールド機器の制御システムでは、プラントに設置するフィールド機器、リモート入出力装置、制御装置等の情報を把握することが重要となる。また、フィールド機器、リモート入出力装置、制御装置等がプラントの全体に分散して設置されることから、それらの情報を1箇所で集中して把握できることが好ましい。
【0006】
この点に関連する提案として、プラントのフィールド機器に関する機器情報をタブレット等の携帯端末装置に収集し、機器管理データベースに蓄積されたフィールド機器の設置箇所の位置情報を、機器情報中の機器IDを用いて照会するものがある。
【0007】
この提案では、収集したフィールド機器の機器情報を、機器IDにより照会したフィールド機器の位置情報を用いてプラント地図中の設置箇所にレイアウトした画面を、携帯端末装置に表示させるようにしている。この提案には、フィールド機器の設置箇所を携帯端末装置の画面上で確認しやすくすることができるという利点がある(例えば、特許文献1)。
【0008】
しかし、例えば、フィールド機器の機器情報を表示する場合に、この提案の表示形態では、プラントの制御システムにおけるどの階層のフィールド機器の機器情報であるかを容易に把握することができない。
【0009】
そこで、プラントの制御システムにおけるフィールド機器をディレクトリの階層にしたがって表示する提案がある。この提案の表示形態を利用すれば、制御システム上のどの階層のフィールド機器の機器情報であるかを容易に把握させることができる(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特許第5351802号公報
【文献】特開2000-47778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、各フィールド機器をディレクトリの階層にしたがって表示するためには、各フィールド機器のディレクトリ情報をデータ化してメモリ等に記録しておく必要がある。プラントの制御システムの構成はそれぞれのプラントによって異なるので、フィールド機器のディレクトリ情報をデータ化する際には人手を用いる必要がある。
【0012】
本開示は前記事情に鑑みなされたもので、本開示の目的は、プラントの制御システムの構成データを人手で入力しなくても、各フィールド機器の機器情報を制御システムにおける各フィールド機器の階層状の配置に応じて表示することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本開示の第1の態様によるフィールド機器は、
自身に接続された下位のフィールド機器から該下位のフィールド機器の識別情報を取得する情報取得部と、
自身の識別情報を保持する情報保持部と、
上位の機器との接続にともなって、前記情報保持部の前記自身の識別情報を、前記情報取得部が前記下位のフィールド機器の識別情報を取得している場合は該下位のフィールド機器の識別情報を付加して、前記上位の機器に出力する初期処理部と、
自身の自己診断が行われると、前記情報保持部の前記自身の識別情報を含む自身の自己診断結果を、前記上位の機器に出力する情報出力部と、
前記下位のフィールド機器から該下位のフィールド機器の前記識別情報を含む自己診断結果が入力されると、該入力された下位のフィールド機器の自己診断結果を、前記上位の機器に出力する情報中継部と、
を備える。
【0014】
一般に、複数のフィールド機器で構成される制御システムのアラーム状態は、複数のフィールド機器の動作が関与して発生することがある。したがって、発生したアラーム状態の発生元のフィールド機器を表示させるには、アラーム状態とその発生元のフィールド機器との関係を示す情報が必要となる。
【0015】
これに対し、本開示の第1の態様によるフィールド機器において、情報出力部が上位の機器に出力する自己診断結果は、自身の動作状態に関するものである。また、下位のフィールド機器から入力されて情報中継部が上位の機器に出力する自己診断結果は、下位のフィールド機器の動作状態に関するものである。
【0016】
即ち、フィールド機器の自己診断によって検出されるアラーム状態は、アラーム状態を検出した自己診断を行ったフィールド機器を発生元とするものである。このため、複数のフィールド機器による制御システムのシステム構成が既知であれば、自己診断結果から検出されたアラーム状態の発生元を、制御システムにおける発生元のフィールド機器として表示することができる。
【0017】
そして、本開示の第1の態様によるフィールド機器では、自身の上位に機器が接続されると、初期処理部は、情報保持部に保持されている自身の識別情報を上位の機器に出力する。このため、上位の機器に、上位の機器の下位に接続されている自身の存在を認識させることができる。
【0018】
このとき、上位の機器は、例えば、自身と同じフィールド機器であってもよい。あるいは、自身を含むフィールド機器を制御する制御機器であってもよい。
【0019】
なお、自身が階層上の最下位のフィールド機器である場合は、上位の機器に出力するのは自身の識別情報だけである。しかし、自身よりもさらに下位のフィールド機器が階層上に存在する場合は、下位のフィールド機器の識別情報も上位の機器に出力する。
【0020】
即ち、上位の機器の接続時点で、下位のフィールド機器が自身に接続されている場合は、初期処理部は、情報取得部が取得している下位のフィールド機器の識別情報を、自身の識別情報に付加して上位の機器に出力する。これにより、上位の機器の下位に接続されている自身のさらに下位に接続されているフィールド機器の存在も、階層上における自身との上下関係を込みにして、上位の機器に認識させることができる。
【0021】
そして、複数のフィールド機器を階層状に接続すると、下位のフィールド機器の識別情報が上位のフィールド機器に順次出力される。このため、上位のフィールド機器が自身よりも下位側に階層状に接続されたフィールド機器の存在を累積的に認識して行く。
【0022】
したがって、最上位の機器は、自身の下位に接続された全てのフィールド機器の存在を、各フィールド機器の階層パターンを込みにして認識する。即ち、最上位の機器は、複数のフィールド機器による制御システムの構成データを人手によらずに把握することになる。
【0023】
よって、本開示の第1の態様によるフィールド機器によれば、複数のフィールド機器を用いてプラントを構成する場合に、プラントの制御システムの構成データを人手で入力しなくても、各フィールド機器の機器情報を制御システムにおける各フィールド機器の階層状の配置に応じて表示することができる。
【0024】
また、本開示の第2の態様によるフィールド機器は、本開示の第1の態様によるフィールド機器において、前記初期処理部は、前記情報取得部が取得している前記下位のフィールド機器の識別情報に前記情報保持部の前記自身の識別情報を、前記下位のフィールド機器との階層順に対応する順序で連続するように付加する。
【0025】
本開示の第2の態様によるフィールド機器によれば、本開示の第1の態様によるフィールド機器において、上位の機器に認識させる識別情報の順番で、どちらが自身の識別情報でどちらが下位のフィールド機器の識別情報かを上位の機器に把握させることができる。
【0026】
さらに、本開示の第3の態様によるフィールド機器は、本開示の第1又は第2の態様によるフィールド機器において、前記情報取得部が前記下位のフィールド機器の識別情報を取得すると、前記情報出力部が前記上位の機器に出力する前記自身の自己診断結果の記憶領域が割り当てられたメモリに、前記情報中継部が前記上位の機器に出力する前記下位のフィールド機器の自己診断結果の記憶領域を割り当てる領域割当部をさらに備え、前記情報出力部及び前記情報中継部は、前記上位の機器からの要求に呼応して、前記メモリの各記憶領域の自己診断結果を読み出し前記上位の機器に出力する。
【0027】
本開示の第3の態様によるフィールド機器によれば、本開示の第1又は第2の態様によるフィールド機器において、自身の下位に接続されたフィールド機器の識別情報を情報取得部が取得すると、自身の自己診断結果の記憶領域が割り当てられたメモリに、下位のフィールド機器の自己診断結果の記憶領域が割り当てられる。
【0028】
そして、情報中継部が上位の機器に出力する下位のフィールド機器の自己診断結果が、下位のフィールド機器に対応するメモリの記憶領域に記憶される。
【0029】
したがって、上位の機器から要求されてメモリの各記憶領域の自己診断結果を読み出して出力すると、自身及び自身の下位に接続されたフィールド機器の自己診断結果が全て上位の機器に出力される。
【0030】
このため、各フィールド機器の自己診断結果を、どのフィールド機器の自己診断結果であるかを確実に区別して把握できるように、上位の機器に出力することができる。
【0031】
また、上記目的を達成するため、本開示の第4の態様によるフィールド機器情報表示システムは、
階層状に接続されて制御システムを構成する複数の請求項1、2又は3記載のフィールド機器と、
前記複数のフィールド機器のうち最上位のフィールド機器の上位に接続された機器に設けられ、前記最上位のフィールド機器の初期処理部が認識させた前記各フィールド機器の識別情報の内容に基づいて、前記制御システムにおける前記各フィールド機器の階層パターンを特定する階層特定部と、
前記最上位のフィールド機器の情報出力部及び情報中継部が出力した前記各フィールド機器の自己診断結果を、前記階層特定部が特定した階層パターンで前記各フィールド機器をレイアウトした前記制御システムの画面上で、前記自己診断結果に含まれる識別情報に対応する前記フィールド機器の自己診断結果として表示させる結果表示部と、
を備える。
【0032】
本開示の第4の態様によるフィールド機器情報表示システムによれば、階層状に接続された複数のフィールド機器のうち最上位のフィールド機器の上位には機器が接続される。そして、最上位のフィールド機器の初期処理部は、情報保持部に保持されている自身の識別情報と、情報取得部が取得している下位のフィールド機器の識別情報とを、上位の機器に認識させる。
【0033】
ここで、例えば、階層上で上位と下位の接続関係にある2つのフィールド機器のさらに上位のフィールド機器は、2つのフィールド機器のうち上位のフィールド機器の初期処理部によって、2つのフィールド機器の識別情報を一緒にまとめて認識する。したがって、制御システムの階層上において上位及び下位の関係にある2つのフィールド機器の存在を、階層上における上下関係を込みにして認識することになる。
【0034】
このような形式による上位のフィールド機器による下位のフィールド機器の存在の認識は、制御システムの最下位のフィールド機器から最上位のフィールド機器に至るまで、累積して行われる。したがって、制御システムの最上位のフィールド機器の情報取得部は、最上位のフィールド機器の下位に接続された全てのフィールド機器の識別情報を、階層上における上下関係が分かる形態で取得する。
【0035】
これに、情報保持部の自身の識別情報を加えて、制御システムの最上位のフィールド機器の初期制御部は、最上位のフィールド機器の上位に接続された機器に、制御システムを構成する各フィールド機器の存在を、階層上における上下関係を込みにして認識させる。
【0036】
よって、制御システムの最上位のフィールド機器の上位に接続された機器の階層特定部は、認識した制御システムの各フィールド機器の階層上での上下関係から、制御システムにおける各フィールド機器の階層パターンを特定する。
【0037】
また、制御システムの最上位のフィールド機器の上位に接続された機器には、最上位のフィールド機器の情報出力部及び情報中継部から、各フィールド機器の自己診断結果の情報が入力される。
【0038】
入力された各フィールド機器の自己診断結果の情報は、階層特定部が特定した階層パターンで各フィールド機器を表示した制御システムの画面上に、結果表示部が表示させる。結果表示部は、自己診断結果に含まれる識別情報に対応するフィールド機器の表示箇所において、自己診断結果の情報を表示させる。
【0039】
よって、複数のフィールド機器を用いてプラントを構成する場合に、プラントの制御システムの構成データを人手で入力しなくても、各フィールド機器の機器情報を制御システムにおける各フィールド機器の階層状の配置に応じて表示することができる。
【0040】
さらに、本開示の第5の態様によるフィールド機器情報表示システムは、本開示の第4の態様によるフィールド機器情報表示システムにおいて、前記結果表示部は、前記自己診断結果がアラーム状態である前記フィールド機器及び該フィールド機器の上位のフィールド機器の自己診断結果を、前記アラーム状態の態様でそれぞれ表示させる。
【0041】
本開示の第5の態様によるフィールド機器情報表示システムによれば、本開示の第4の態様によるフィールド機器情報表示システムにおいて、自己診断結果がアラーム状態のフィールド機器が、アラーム状態の態様で表示される。また、自己診断結果がアラーム状態のフィールド機器よりも制御システムの階層の上位に存在するフィールド機器も、同じくアラーム状態の態様で表示される。
【0042】
このため、自己診断結果がアラーム状態となったフィールド機器の上位側に接続されたフィールド機器も、アラーム状態の態様で表示させて、自己診断結果がアラーム状態となったフィールド機器の系統をわかりやすくすることができる。
【0043】
また、本開示の第6の態様によるフィールド機器情報表示システムは、本開示の第4又は第5の態様によるフィールド機器情報表示システムにおいて、前記結果表示部は、前記各フィールド機器の前記自己診断結果を該自己診断結果の内容に応じた態様でそれぞれ表示させる。
【0044】
本開示の第6の態様によるフィールド機器情報表示システムによれば、本開示の第4又は第5の態様によるフィールド機器情報表示システムにおいて、フィールド機器の自己診断結果をその種類毎に異なる態様で表示させることができる。
【発明の効果】
【0045】
本開示によれば、プラントの制御システムの構成データを人手で入力しなくても、各フィールド機器の機器情報を制御システムにおける各フィールド機器の階層状の配置に応じて表示することができるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本開示の一実施形態に係るプラントの制御システムの概略構成を示す説明図である。
【
図2】
図1のリモートIO通信基板を除く他の基板のマイクロプロセッサと各リモートIOユニットのマイクロプロセッサとがプログラムにしたがって実行する初期設定処理の手順を示すフローチャートである。
【
図3】
図1のリモートIO通信基板のマイクロプロセッサがプログラムにしたがって実行する初期設定処理の手順を示すフローチャートである。
【
図4】
図1の各演算装置のCPUがROMのプログラムにしたがって実行する初期設定処理の手順を示すフローチャートである。
【
図5】
図1の演算装置のコントローラ基板のマイクロプロセッサのメモリに確保されるアラーム情報の格納エリアを示す説明図である。
【
図6】
図1の演算装置のコントローラ基板のマイクロプロセッサのメモリに確保されるアラーム情報の格納エリアを示す説明図である。
【
図7】
図1の各コントローラ基板及びリモートIO通信基板を除く他の基板のマイクロプロセッサと各リモートIOユニットのマイクロプロセッサとがプログラムにしたがって実行する自己診断処理の手順を示すフローチャートである。
【
図8】
図1のリモートIO通信基板のマイクロプロセッサがプログラムにしたがって実行する自己診断処理の手順を示すフローチャートである。
【
図9】
図1の各コントローラ基板のマイクロプロセッサがプログラムにしたがって実行する自己診断処理の手順を示すフローチャートである。
【
図10】
図1のエンジニアリングコンピュータにおいて制御システムのシステム構成を特定する処理の手順を示すフローチャートである。
【
図11】
図10のシステム構成特定処理において生成されてメモリに記憶される制御ユニットのシステム構成の構成データを示す説明図である。
【
図12】
図1のモニタリングコンピュータにおいて制御システムの各フィールド機器のアラーム情報を表示する処理の手順を示すフローチャートである。
【
図13】
図1のモニタリングコンピュータにおいてディスプレイに表示できる制御ユニットのアラーム情報の監視画面の一例を示す説明図である。
【
図14】
図1のモニタリングコンピュータにおいてディスプレイに表示できる制御ユニットのアラーム情報のリスト画面の一例を示す説明図である。
【
図15】
図1のモニタリングコンピュータにおいてディスプレイに表示できる制御ユニットのアラーム情報の監視画面の別例を示す説明図である。
【
図16】
図1のモニタリングコンピュータにおいてディスプレイに表示できる制御ユニットのアラーム情報の監視画面のさらに別の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は本開示の一実施形態に係るプラントの制御システムを示す説明図である。
【0048】
図1に示す実施形態のプラントの制御システム(請求項中のフィールド機器情報表示システムに相当。以下、「制御システム」と略記する。)1は、生産設備、製造設備等のプラントに設けたフィールド機器の動作を制御するシステムである。
【0049】
制御システム1は、フィールド機器の動作制御を実行する制御ユニット3、フィールド機器の制御目標を設定するエンジニアリングコンピュータ5、制御ユニット3の動作状態を監視するモニタリングコンピュータ7を有している。
【0050】
制御ユニット3、エンジニアリングコンピュータ(Engineering Unit、以下、「EU」と略記する。)5及びモニタリングコンピュータ(Monitoring Unit 、以下、「MU」と略記する。)7は、LAN9及びルータ11によって相互接続されている。本実施形態では、LAN9及びルータ11を2系統設けてシステムの冗長化を図っている。しかし、システムの冗長化は必須でない。
【0051】
制御ユニット3は、複数のリモートIOユニット13,13,…、演算装置15,17を有している。
【0052】
各リモートIOユニット13は、プラントの各所に配置された複数のデバイス(図示せず)に対する信号の入出力を行う。したがって、リモートIOユニット13は、デバイスに対するDI(Digital In)、DO(Digital Out )、AI(Analog In )、AO(Analog Out)の各モジュールを含んでいる。
【0053】
各リモートIOユニット13による信号入出力対象のデバイスは、例えば、アクチュエータ、計測器、センサ等を含んでいる。したがって、デバイスに対してリモートIOユニット13が入出力する信号は、例えば、アクチュエータ(図示せず)に対する制御信号、計測器の出力信号、アクチュエータの動作状態を検出したセンサの出力信号等を含んでいる。
【0054】
演算装置15は、プラントの各デバイス(アクチュエータ、計測器等)の動作制御用のコマンドを生成する。そして、演算装置15は、生成したコマンドを各デバイスに対応するリモートIOユニット13に出力する。また、演算装置15は、各デバイス(計測器、センサ等)の出力信号を、各デバイスに対応するリモートIOユニット13から取得する。演算装置15は、取得した各デバイスの出力信号を参酌して、各デバイス(アクチュエータ、計測器等)の動作制御用のコマンドを生成する。
【0055】
演算装置15は、以上に説明した処理を行うコントローラ基板19と、CAN通信基板21、2つのリモートIO(In Out)通信基板23,24、2つのDI基板25,27、DO基板29、AI基板31、AO基板33とを有している。各基板19~33はモジュールを構成している。
【0056】
演算装置15の各基板19~33は、バスラインによって演算装置15の下位に接続されている。バスラインの通信には、例えば、コンパクトPCI等の通信規格を用いることができる。
【0057】
CAN通信基板21は、演算装置15のEU5及びMU7に対するLAN9上での通信を、CAN(Control Area Network)規格にしたがって制御するモジュールである。なお、LAN9上での通信規格はCAN以外の規格であってもよい。
【0058】
2つのリモートIO通信基板23,24は、演算装置15の各リモートIOユニット13に対する通信を制御するモジュールである。各リモートIOユニット13は、各リモートIO通信基板23,24の下位にそれぞれ複数接続されている。
【0059】
各リモートIO通信基板23,24に対する各リモートIOユニット13の接続には、例えば、フィールドバス等のバスラインを用いることができる。このバスラインの一部又は全部を光ファイバ回線で構成してもよい。バスラインの一部に光ファイバ回線を用いる場合は、光ファイバ回線と電気信号線との間に光電変換モジュールが介設される。光電変換モジュールをバスラインに用いる場合は、光電変換モジュールもリモートIOユニット13に含めることができる。
【0060】
2つのDI基板25,27及びDO基板29は、演算装置15の各リモートIOユニット13に対するデジタル信号の入出力を制御する。
【0061】
AI基板31及びAO基板33は、演算装置15の各リモートIOユニット13に対するアナログ信号の入出力を制御する。
【0062】
演算装置17は、演算装置15のリモートIO通信基板23,24を2つのパルスカウンタ基板35,37に変えた点を除いて、演算装置15と同じ構成を有している。2つのパルスカウンタ基板35,37も、他の各基板19,21,25~33と同様にモジュールを構成している。
【0063】
演算装置17の各基板19,21,25~37は、バスラインによって接続されている。バスラインの通信には、例えば、コンパクトPCI等の通信規格を用いることができる。
【0064】
2つのパルスカウンタ基板35,37は、演算装置15のリモートIO通信基板23,24が各リモートIOユニット13から取得した各デバイス(計測器、センサ等)の出力信号のパルスをカウントする。パルスカウンタ基板35,37によるパルスのカウント値は、LAN9及びルータ11を介してEU5に送信される。EU5は、受信したカウント値を参酌して、対応する各デバイス(アクチュエータ、計測器等)の動作制御用のコマンドを生成する。
【0065】
以上に説明した各リモートIOユニット13と、演算装置15,17の各基板19~37とは、制御ユニット3を構成するフィールド機器である。フィールド機器である各リモートIOユニット13と各基板19~37とは、それぞれマイクロプロセッサ(図示せず)を実装している。
【0066】
各マイクロプロセッサは、制御システム1の運用を開始する際に初期設定処理をそれぞれ行う。初期設定処理は、制御ユニット3を構成する複数のリモートIOユニット13,13,…及び演算装置15,17のシステム構成を、EU5に認識させるための処理である。
【0067】
また、各マイクロプロセッサは、制御システム1の運用開始後に自己診断処理を周期的にそれぞれ行う。自己診断処理は、各マイクロプロセッサを実装した各リモートIOユニット13及び演算装置15,17の各基板19~37(各マイクロプロセッサの実装先)の動作状態を自己診断するための処理である。
【0068】
なお、各マイクロプロセッサは、識別情報を保持したメモリをそれぞれ有している。識別情報は、各マイクロプロセッサの実装先のリモートIOユニット13、演算装置15,17の各基板19~37を識別するための情報である。このため、識別情報は、各リモートIOユニット13、演算装置15,17の各基板19~37に割り当てられた個別の識別子を含んでいる。
【0069】
識別情報の識別子は、例えば、演算装置15のコントローラ基板19を「CPU NO:1」、CAN通信基板21を「CAN NO:1」、2つのリモートIO通信基板23,24を「R-BUS NO:1」、「R-BUS NO:2」とすることができる。また、2つのDI基板25,27を「DI NO:1」、「DI NO:2」、DO基板29を「DO NO:1」、AI基板31を「AI NO:1」、AO基板33を「AO NO:1」とすることができる。さらに、2つのパルスカウンタ基板35,37を「PC NO:1」、「PC NO:2」とすることができる。
【0070】
また、識別情報の識別子は、例えば、リモートIO通信基板23に接続されるリモートIOユニット13のDIモジュール(光電変換モジュールを含む)を「RDI NO:1」、DOモジュールを「RDO NO:1」とすることができる。さらに、AIモジュールを「RAI NO:1」、AOモジュールを「RAO NO:1」とすることができる。
【0071】
同様に、識別情報の識別子は、例えば、リモートIO通信基板24に接続されるリモートIOユニット13のDIモジュール(光電変換モジュールを含む)を「RDI NO:2」、DOモジュールを「RDO NO:2」とすることができる。さらに、AIモジュールを「RAI NO:2」、AOモジュールを「RAO NO:2」とすることができる。
【0072】
なお、識別情報は、マイクロプロセッサのメモリに保持させる代わりに、例えば、ディップスイッチによって発生させてもよい。識別情報をディップスイッチで発生させる場合は、各リモートIOユニット13と、演算装置15,17の各基板19~37とに、ディップスイッチ(図示せず)をそれぞれ実装する。各ディップスイッチは、実装先の各リモートIOユニット13、演算装置15,17の各基板19~37に割り当てられた個別の識別子に応じた設定とする。
【0073】
また、演算装置15,17のメモリには、アラーム情報の格納エリアが確保されている。アラーム情報とは、各マイクロプロセッサの実装先(リモートIOユニット13、演算装置15,17の各基板19~37)の動作状態を報知するための情報である。アラーム情報は、各マイクロプロセッサが上述した自己診断処理において必要に応じて出力する。
【0074】
そして、本実施形態の制御システム1では、上述した識別情報を保持し又は発生させる、各リモートIOユニット13及び演算装置15,17の各基板19~37に実装したマイクロプロセッサのメモリ又はディップスイッチが、請求項中の情報保持部に相当する。
【0075】
EU5は、例えば、制御ユニット3を構成するフィールド機器の動作を管理する箇所に配置される。
【0076】
EU5は、制御システム1の運用を開始する際に、制御ユニット3を構成するリモートIOユニット13、演算装置15,17の各基板19~37の識別情報を取得し、制御ユニット3のシステム構成を特定する。制御ユニット3のシステム構成を特定する処理は、EU5のCPUがROM(いずれも図示せず)に格納されたプログラムにしたがって実行する。特定した制御ユニット3のシステム構成を示す構成データは、EU5の不揮発性のメモリ(図示せず)に格納される。
【0077】
MU7は、例えば、制御ユニット3を構成するフィールド機器の動作を管理する箇所に、EU5と共に配置される。なお、MU7は、必要に応じて複数台用いることができる。
【0078】
MU7は、制御システム1の運用開始後に、制御ユニット3を構成するリモートIOユニット13、演算装置15,17の各基板19~37のアラーム情報を取得し、取得したアラーム情報の内容をディスプレイ(図示せず)に表示する。アラーム情報を取得しディスプレイに表示する処理は、MU7のCPUがROM(いずれも図示せず)に格納されたプログラムにしたがって実行する。
【0079】
なお、MU7は、EU5のメモリに格納された構成データを利用して、リモートIOユニット13、演算装置15,17の各基板19~37のアラーム情報を、制御ユニット3のシステム構成に応じた態様で表示する。
【0080】
次に、制御ユニット3を構成するリモートIOユニット13、演算装置15,17の各基板19~37を、
図1に示すように接続した状態で、各マイクロプロセッサがそれぞれ行う初期設定処理について、
図2~
図4のフローチャートを参照して説明する。
【0081】
以下に説明する初期設定処理は、各マイクロプロセッサのメモリに格納されたプログラムにしたがって実行される。
【0082】
まず、各リモートIOユニット13、演算装置15の各基板19,21,25~33、及び、演算装置17の各基板19,21,25~37のマイクロプロセッサが行う初期設定処理を、
図2を参照して説明する。この初期設定処理は、制御ユニット3を構成するフィールド機器のうち最下位の階層に位置するフィールド機器のマイクロプロセッサが行う処理である。
【0083】
マイクロプロセッサは、制御システム1の運用が開始されるか否かを確認し(ステップS1)、運用が開始されない場合は(ステップS1でNO)、初期設定処理を終了する。一方、運用が開始される場合は(ステップS1でYES)、マイクロプロセッサは、メモリ又はディップスイッチの識別情報を、上位の接続相手に出力し(ステップS3)、初期設定処理を終了する。
【0084】
即ち、ステップS3において、各リモートIOユニット13のマイクロプロセッサは、演算装置15のリモートIO通信基板23,24に、各リモートIOユニット13の識別子を含む識別情報を、自己機器識別情報として出力する。また、演算装置15の各基板19,21,25~33のマイクロプロセッサは、演算装置15に、各基板19,21,25~33の識別子を含む識別情報を、自己機器識別情報として出力する。同じく、演算装置17の各基板19,21,25~37のマイクロプロセッサは、演算装置17に、各基板19,21,25~37の識別子を含む識別情報を、自己機器識別情報として出力する。
【0085】
具体的には、例えば、各リモートIOユニット13のマイクロプロセッサが、演算装置15のリモートIO通信基板23,24に、リモートIOユニット13のDIモジュールの識別情報を、自己機器識別情報として出力する。リモートIOユニット13のDIモジュールの識別情報は、上述した「RDI NO:1」、「RDI NO:2」等の識別子を含んでいる。
【0086】
また、例えば、演算装置15,17のコントローラ基板19のマイクロプロセッサが、演算装置15,17のCPU(図示せず)に、コントローラ基板19の識別情報「CPU NO:1」を、自己機器識別情報として出力する。さらに、例えば、演算装置15,17のCAN通信基板21のマイクロプロセッサが、演算装置15,17のCPUに、CAN通信基板21の識別情報「CAN NO:1」を、自己機器識別情報として出力する。
【0087】
また、例えば、演算装置15,17の2つのDI基板25,27のマイクロプロセッサが、演算装置15,17のCPUに、2つのDI基板25,27の識別情報「DI NO:1」、「DI NO:2」を、自己機器識別情報として出力する。さらに、例えば、演算装置15,17のDO基板29のマイクロプロセッサが、演算装置15,17のCPUに、DO基板29の識別情報「DO NO:1」を、自己機器識別情報として出力する。
【0088】
また、例えば、演算装置15,17のAI基板31、AO基板33のマイクロプロセッサが、演算装置15,17のCPUに、AI基板31、AO基板33の識別情報「AI NO:1」、「AO NO:1」を、自己機器識別情報として出力する。
【0089】
次に、演算装置15の各リモートIO通信基板23,24のマイクロプロセッサが行う初期設定処理を、
図3を参照して説明する。この初期設定処理は、制御ユニット3を構成するフィールド機器のうち中間の階層に位置するフィールド機器のマイクロプロセッサが行う処理である。
【0090】
各リモートIO通信基板23,24のマイクロプロセッサは、制御システム1の運用が開始されるか否かを確認し(ステップS11)、運用が開始されない場合は(ステップS11でNO)、初期設定処理を終了する。一方、運用が開始される場合は(ステップS11でYES)、マイクロプロセッサは、メモリ又はディップスイッチの識別情報を、上位の接続相手に出力する(ステップS13)。
【0091】
即ち、ステップS13において、演算装置15の各リモートIO通信基板23,24のマイクロプロセッサは、各リモートIO通信基板23,24の上位の接続相手である演算装置15のCPUに、自己機器識別情報を出力する。この自己機器識別情報は、各リモートIO通信基板23,24の識別子を含む識別情報である。
【0092】
本実施形態の制御システム1では、各リモートIO通信基板23,24のマイクロプロセッサが、演算装置15のCPUに、各リモートIO通信基板23,24の識別情報「R-BUS NO:1」、「R-BUS NO:2」を、自己機器識別情報として出力する。
【0093】
また、マイクロプロセッサは、リモートIO通信基板23,24の下位機器の識別情報を取得する(ステップS15)。さらに、マイクロプロセッサは、取得した下位機器の識別情報に、メモリ又はディップスイッチの識別情報を自己機器の識別情報として付加する。そして、自己機器の識別情報を付加した下位機器の識別情報を上位の接続相手に出力し(ステップS17)、初期設定処理を終了する。
【0094】
即ち、ステップS15において、リモートIO通信基板23,24のマイクロプロセッサは、リモートIO通信基板23,24の下位に接続された各リモートIOユニット13のマイクロプロセッサが
図2のステップS3で出力した識別情報を取得する。
【0095】
また、
図3のステップS17において、リモートIO通信基板23,24のマイクロプロセッサは、各リモートIOユニット13から取得した識別情報に、リモートIO通信基板23,24の識別子を含む識別情報を、自己機器識別情報として付加する。
【0096】
本実施形態の制御システム1では、各リモートIO通信基板23,24のマイクロプロセッサが、リモートIOユニット13のDIモジュールの識別情報の手前に、各リモートIO通信基板23,24の識別情報を付加する。つまり、「RDI NO:1」、「RDI NO:2」等の識別情報の手前に、「R-BUS NO:1」、「R-BUS NO:2」の識別情報を付加する。
【0097】
この体裁の識別情報は、DIモジュール等を有するリモートIOユニット13が各リモートIO通信基板23,24の下位に接続されていることを示している。
【0098】
そして、リモートIO通信基板23,24の識別情報を付加した各リモートIOユニット13からの識別情報を、リモートIO通信基板23,24の上位の接続相手である演算装置15のCPUに出力する。
【0099】
続いて、演算装置15,17のCPUがROMに格納されたプログラムにしたがって行う初期設定処理を、
図4を参照して説明する。この初期設定処理は、制御ユニット3を構成するフィールド機器のうち最上位の階層に位置するフィールド機器のCPUが行う処理である。
【0100】
演算装置15,17のCPUは、制御システム1の運用が開始されるか否かを確認し(ステップS21)、運用が開始されない場合は(ステップS21でNO)、初期設定処理を終了する。一方、運用が開始される場合は(ステップS21でYES)、CPUは、メモリ又はディップスイッチの識別情報を、上位の接続相手に出力する(ステップS23)。
【0101】
即ち、ステップS23において、演算装置15,17の各CPUは、演算装置15,17の上位の接続相手であるEU5に、各演算装置15,17の識別子を含む識別情報を、自己機器識別情報として出力する。このとき、CPUは、各演算装置15,17の識別情報(「CU NO:1」、「CU NO:2」)を、自己機器識別情報として出力する。
【0102】
また、CPUは、演算装置15,17の下位機器の識別情報を取得する(ステップS25)。そして、マイクロプロセッサは、取得した識別情報の下位機器を発生源とするアラーム情報の格納エリアを割り当てる(ステップS27)。
【0103】
即ち、ステップS25において、演算装置15のCPUは、演算装置15の下位に接続された演算装置15の各基板19~33及び各リモートIOユニット13が
図2のステップS3、
図3のステップS13及びステップS17で出力した識別情報を取得する。
【0104】
演算装置17のCPUも同じく、演算装置17の下位に接続された演算装置17の各基板19,21,25~37が
図2のステップS3、
図3のステップS13及びステップS17で出力した識別情報を取得する。
【0105】
また、
図4のステップS27において、演算装置15のCPUは、各リモートIOユニット13及び演算装置15の各基板19~33を発生源とするアラーム情報の格納エリアを、演算装置15のメモリに割り当てる。
【0106】
演算装置17のCPUも同じく、演算装置17の各基板21,25~37を発生源とするアラーム情報の格納エリアを、演算装置17のメモリに割り当てる。
【0107】
具体的には、
図5の説明図に示すように、演算装置15のメモリ39に、アラーム情報の格納エリア41~61を確保する。各格納エリア41~61は、ステップS25で識別情報を取得した演算装置15の各基板19~33及び各リモートIOユニット13の各モジュールにそれぞれ対応するアラーム情報の格納エリアとして割り当てられる。
【0108】
また、演算装置15のメモリ39には、演算装置15自身に対応するアラーム情報の格納エリア(図示せず)が割り当てられる。この格納エリアには、演算装置15自身がアラーム状態の発生を自己診断機能を有しており、アラーム状態の発生時にアラーム情報を生成する場合に利用される。本実施形態では、演算装置15自身がアラーム状態の自己診断機能を有しているものとする。
【0109】
同様に、
図6の説明図に示すように、演算装置17のメモリ63に、アラーム情報の格納エリア41,43,47~55,65,67を確保する。各格納エリア41,43,47~55,65,67は、ステップS25で識別情報を取得した演算装置17の各基板19,21,25~37にそれぞれ対応するアラーム情報の格納エリアとして割り当てられる。
【0110】
また、演算装置17のメモリ63には、演算装置17自身に対応するアラーム情報の格納エリア(図示せず)が割り当てられる。この格納エリアには、演算装置17自身がアラーム状態の発生を自己診断機能を有しており、アラーム状態の発生時にアラーム情報を生成する場合に利用される。本実施形態では、演算装置17自身がアラーム状態の自己診断機能を有しているものとする。
【0111】
なお、演算装置15,17のメモリ39,63には、例えば、ハードディスク又はフラッシュメモリ等を用いることができる。
【0112】
さらに、演算装置15,17のCPUは、
図4に示すように、取得した下位機器の識別情報に、メモリ又はディップスイッチの識別情報を自己機器の識別情報として付加する。そして、自己機器の識別情報を付加した下位機器の識別情報を上位の接続相手に出力し(ステップS29)、初期設定処理を終了する。
【0113】
即ち、ステップS29において、演算装置15のCPUは、演算装置15の各基板19~33及び各リモートIOユニット13から取得した識別情報に、演算装置15の識別子を含む識別情報を、自己機器識別情報として付加する。
【0114】
本実施形態の制御システム1では、演算装置15のCPUが、例えば、各リモートIO通信基板23,24の識別情報「R-BUS NO:1」、「R-BUS NO:2」の手前に、演算装置15の識別情報「CU NO:1」を付加する。
【0115】
ここで、「CU NO:1」の識別情報を手前に付加した「R-BUS NO:1」、「R-BUS NO:2」の識別情報は、リモートIO通信基板23,24が演算装置15の下位に接続されていることを示している。
【0116】
そして、演算装置15の識別情報を付加した演算装置15の各基板19~33の識別情報を、演算装置15の上位の接続相手であるEU5に出力する。
【0117】
演算装置17のCPUも同じく、演算装置17の各基板19,21,25~37から取得した識別情報に、演算装置17の識別子を含む識別情報を、自己機器識別情報として付加する。
【0118】
そして、演算装置17の識別情報を付加した演算装置17の各基板19,21,25~37の識別情報を、演算装置17の上位の接続相手であるEU5に出力する。
【0119】
以上の説明からも明らかなように、本実施形態の制御システム1では、
図3のフローチャートにおけるステップS15と、
図4のフローチャートにおけるステップS25とが、請求項中の情報取得部に対応する処理となっている。
【0120】
また、本実施形態の制御システム1では、
図2のフローチャートにおけるステップS3と、
図3中のステップS13及びステップS17と、
図4中のステップS23及びステップS29とが、請求項中の初期処理部に対応する処理となっている。
【0121】
さらに、本実施形態の制御システム1では、
図4中のステップS27が、請求項中の領域割当部に対応する処理となっている。
【0122】
そして、上述した演算装置15,17のコントローラ基板19のマイクロプロセッサのメモリ39,63は、請求項中のメモリに相当している。
【0123】
以上の説明では、制御ユニット3を構成するフィールド機器の階層によって、マイクロプロセッサが異なる内容の初期設定処理を行うものとした。しかし、制御ユニット3を構成するフィールド機器の階層に関係なく、各階層のフィールド機器のマイクロプロセッサが同じ内容の初期設定処理を行うものとしてもよい。
【0124】
その場合、マイクロプロセッサが行う初期設定処理の内容は、例えば、次のようなものとすることができる。即ち、自身に対する上位及び下位のフィールド機器の接続状態(接続の有無)を確認し、その結果から、制御ユニット3を構成するフィールド機器における自身の階層を判別する。そして、判別した階層に対応する内容の初期設定処理を実行する。
【0125】
なお、以上に説明した初期設定処理は、制御ユニット3を構成するフィールド機器のシステム構成が変更される度に、システム構成を変更した制御システム1の運用を開始する際に実行するようにしてもよい。
【0126】
次に、制御システム1の運用開始後に、制御ユニット3を構成するリモートIOユニット13、演算装置15,17の各基板19~37のマイクロプロセッサがそれぞれ行う自己診断処理について、
図7~
図9のフローチャートを参照して説明する。
【0127】
なお、自己診断処理とは、例えば、リモートIOユニット13、演算装置15,17の各基板19~37にアラーム状態が発生したか否かを、それぞれのマイクロプロセッサが自ら診断する処理である。ここで、アラーム状態とは、例えば、通常動作中には発生しない異常電圧が入力された状態、信号線の断線状態、接続相手との通信異常が発生した状態等とすることができる。
【0128】
まず、各リモートIOユニット13、演算装置15の各基板19,21,25~33、及び、演算装置17の各基板19,21,25~37のマイクロプロセッサが行う自己診断処理を、
図7を参照して説明する。この自己診断処理は、制御ユニット3を構成するフィールド機器のうち最下位の階層に位置するフィールド機器のマイクロプロセッサが行う処理である。
【0129】
マイクロプロセッサは、自己診断の実行周期が到来したか否かを確認し(ステップS41)、実行周期が到来していない場合は(ステップS41でNO)、自己診断処理を終了する。一方、実行周期が到来した場合は(ステップS41でYES)、マイクロプロセッサは、自己診断を実行し、アラーム状態が発生したか否かを確認する(ステップS43)。
【0130】
アラーム状態が発生していない場合は(ステップS43でNO)、自己診断処理を終了し、アラーム状態が発生した場合は(ステップS43でYES)、マイクロプロセッサは、アラーム情報を生成する(ステップS45)。このアラーム情報は、例えば、自己診断データであることを示すコード、アラーム状態の発生元を示すコード、発生したアラーム状態を示すコード等を含む文字列によって構成することができる。
【0131】
なお、アラーム状態の発生元を示すコードは、例えば、上述した識別情報とすることができる。また、文字列の長さを減らすために、例えば、上述した識別情報と一対一に対応する1ケタ以上の数字とすることもできる。
【0132】
そして、リモートIOユニット13のマイクロプロセッサは、生成したアラーム情報を、上位の接続相手である演算装置15のリモートIO通信基板23,24に出力する。また、演算装置15の各基板19,21,25~33のマイクロプロセッサと、演算装置17の各基板19,21,25~37のマイクロプロセッサは、生成したアラーム情報を、上位の接続相手である演算装置15に出力する(以上、ステップS47)。そして、自己診断処理を終了する。
【0133】
次に、演算装置15の各リモートIO通信基板23,24のマイクロプロセッサが行う自己診断処理を、
図8を参照して説明する。この自己診断処理は、制御ユニット3を構成するフィールド機器のうち中間の階層に位置するフィールド機器のマイクロプロセッサが行う処理である。
【0134】
各リモートIO通信基板23,24のマイクロプロセッサは、リモートIO通信基板23,24の下位機器である各リモートIOユニット13からのアラーム情報が入力されたか否かを確認する(ステップS51)。
【0135】
各リモートIOユニット13からのアラーム情報が入力された場合は(ステップS51でYES)、マイクロプロセッサは、入力されたアラーム情報を中継して、上位の接続相手である演算装置15のCPUに出力し(ステップS53)、自己診断処理を終了する。
【0136】
一方、各リモートIOユニット13からのアラーム情報が入力されていない場合は(ステップS51でNO)、マイクロプロセッサは、自己診断の実行周期が到来したか否かを確認する(ステップS55)。
【0137】
自己診断の実行周期が到来していない場合は(ステップS55でNO)、自己診断処理を終了する。一方、実行周期が到来した場合は(ステップS55でYES)、マイクロプロセッサは、自己診断を実行し、アラーム状態が発生したか否かを確認する(ステップS57)。
【0138】
アラーム状態が発生していない場合は(ステップS57でNO)、自己診断処理を終了し、アラーム状態が発生した場合は(ステップS57でYES)、マイクロプロセッサは、アラーム情報を生成する(ステップS59)。
【0139】
そして、マイクロプロセッサは、生成したアラーム情報を、上位の接続相手である演算装置15のCPUに出力し(ステップS61)、自己診断処理を終了する。
【0140】
続いて、演算装置15,17のCPUがROMに格納されたプログラムにしたがって行う自己診断処理を、
図9を参照して説明する。この自己診断処理は、制御ユニット3を構成するフィールド機器のうち最上位の階層に位置するフィールド機器のCPUが行う処理である。
【0141】
演算装置15,17のCPUは、演算装置15,17の下位機器からのアラーム情報が入力されたか否かを確認する(ステップS71)。
【0142】
即ち、ステップS71において、演算装置15のCPUは、演算装置15の下位に接続された演算装置15の各基板19~33及び各リモートIOユニット13からのアラーム情報が入力されたか否かを確認する。
【0143】
演算装置17のCPUも同じく、演算装置17の下位に接続された演算装置17の各基板19,21,25~37からのアラーム情報が入力されたか否かを確認する。
【0144】
演算装置15,17の下位機器からのアラーム情報が入力された場合は(ステップS71でYES)、CPUは、入力されたアラーム情報を演算装置15,17のメモリ39,63の対応する格納エリアに記憶させた後(ステップS73)、自己診断処理を終了する。
【0145】
即ち、ステップS73において、演算装置15のCPUは、演算装置15の下位に接続された演算装置15の各基板19~33及び各リモートIOユニット13からのアラーム情報を、マイクロプロセッサのメモリ39の対応する格納エリア41~61に記憶させる。
【0146】
同様に、演算装置17のCPUは、演算装置17の下位に接続された演算装置17の各基板19,21,25~37からのアラーム情報を、マイクロプロセッサのメモリ63の対応する格納エリア41,43,47~55,65,67に記憶させる。
【0147】
一方、演算装置15,17の下位機器からのアラーム情報が入力されていない場合は(ステップS71でNO)、CPUは、自己診断の実行周期が到来したか否かを確認する(ステップS75)。
【0148】
実行周期が到来した場合は(ステップS75でYES)、CPUは、自己診断を実行し、アラーム状態が発生したか否かを確認する(ステップS77)。
【0149】
アラーム状態が発生していない場合は(ステップS77でNO)、自己診断処理を終了し、アラーム状態が発生した場合は(ステップS77でYES)、CPUは、アラーム情報を生成する(ステップS79)。
【0150】
そして、CPUは、生成したアラーム情報を、演算装置15,17のメモリ39,63の対応する格納エリア(図示せず)に記憶させた後(ステップS81)、自己診断処理を終了する。
【0151】
また、ステップS75において、自己診断の実行周期が到来していない場合(NO)は、CPUは、上位の接続相手であるMU7からのアラーム情報の通知要求が入力されたか否かを確認する(ステップS83)。
【0152】
アラーム情報の通知要求が入力されていない場合は(ステップS83でNO)、自己診断処理を終了する。また、アラーム情報の通知要求が入力された場合は(ステップS83でYES)、CPUは、各メモリ39,63の各格納エリア41~61,65,67に記憶された全てのアラーム情報をMU7に出力し(ステップS85)、自己診断処理を終了する。
【0153】
以上の説明からも明らかなように、本実施形態の制御システム1では、
図7のフローチャートにおけるステップS43~ステップS47と、
図8のフローチャートにおけるステップS57~ステップS61とが、請求項中の情報出力部に対応する処理となっている。また、
図9のフローチャートにおけるステップS77~ステップS85も、請求項中の情報出力部に対応する処理となっている。
【0154】
また、本実施形態の制御システム1では、
図8中のステップS53と、
図9中のステップS73、ステップS83及びステップS85とが、請求項中の情報中継部に対応する処理となっている。
【0155】
次に、EU5のCPUがROM(いずれも図示せず)に格納されたプログラムにしたがって実行する制御ユニット3のシステム構成を特定する処理について、
図10のフローチャートを参照して説明する。
【0156】
EU5のCPUは、各リモートIOユニット13及び演算装置15,17の各基板19~37の識別情報が演算装置15,17から入力されたか否かを確認する(ステップS81)。識別情報が入力されていない場合は(ステップS81でNO)、システム構成特定処理を終了する。
【0157】
一方、識別情報が入力された場合は(ステップS81でYES)、EU5のCPUは、入力された識別情報に基づいて、制御ユニット3を構成するフィールド機器の階層構造、即ち、制御ユニット3のシステム構成を特定する(ステップS93)。なお、制御ユニット3を構成するフィールド機器とは、各リモートIOユニット13と、演算装置15,17の各基板19~37のことである。
【0158】
さらに、EU5のCPUは、特定した制御ユニット3のシステム構成を示す構成データを生成し、不揮発性のメモリに記憶させた後(ステップS95)、システム構成特定処理を終了する。構成データを記憶させる不揮発性のメモリには、例えば、ハードディスク又はフラッシュメモリ等を用いることができる。
【0159】
以上の説明からも明らかなように、本実施形態の制御システム1では、
図10のフローチャートにおけるステップS93が、請求項中の階層特定部に対応する処理となっている。
【0160】
ここで、
図10のステップS95でEU5のメモリに記憶される制御ユニット3の構成データ69は、例えば、
図11の説明図に示すように、同じLAN9上に接続された制御システム1の単位で生成される。
【0161】
したがって、
図11に示す構成データ69は、制御ユニット3を構成するフィールド機器(各リモートIOユニット13、演算装置15,17の各基板19~37)に対応する識別情報を含んでいる。また、構成データ69は、制御ユニット3を構成するフィールド機器と同じLAN9上のEU5及びMU7に対応する対応する識別情報を含んでいる。
【0162】
具体的には、構成データ69の識別情報は、
図11に示すように、制御システム1、EU5、2つのMU7、制御ユニット3の順に配列されている。即ち、「BLOCK NO:1」、「EU NO:1」、「MU NO:1」、「MU NO:2」、「CS(Control Station ) NO:1」の順に、識別情報が配列されている。
【0163】
これらに続き、構成データ69には、制御ユニット3を構成するフィールド機器の識別情報が配列されている。具体的には、演算装置15のコントローラ基板19の識別情報、CAN通信基板21の識別情報が、順に配列されている。即ち、「CS NO:1 CU NO:1 CPU NO:1」、「CS NO:1 CU NO:1 CAN NO:1」の順に、識別情報が配列されている。
【0164】
また、構成データ69には、演算装置15のリモートIO通信基板23の下位に接続した3つのリモートIOユニット13(2つのAIモジュールとAOモジュール)の識別情報が配列されている。即ち、2つのAIモジュールの識別情報「CS NO:1 CU NO:1 R-BUS NO:1 RAI NO:1」、「CS NO:1 CU NO:1 R-BUS NO:1 RAI NO:2」が順に配列されている。その後に、AOモジュールの識別情報「CS NO:1 CU NO:1 R-BUS NO:1 RAO NO:1」が配列されている。
【0165】
さらに、構成データ69には、演算装置15のリモートIO通信基板24の下位に接続した3つのリモートIOユニット13(2つのDIモジュールとDOモジュール)の識別情報が配列されている。即ち、2つのDIモジュールの識別情報「CS NO:1 CU NO:1 R-BUS NO:2 RDI NO:1」、「CS NO:1 CU NO:1 R-BUS NO:2 RDI NO:2」が順に配列されている。その後に、DOモジュールの識別情報「CS NO:1 CU NO:1 R-BUS NO:2 RDO NO:1」が配列されている。
【0166】
また、構成データ69には、演算装置15の2つのDI基板25,27、DO基板29、AI基板31、AO基板33の識別情報が配列されている。即ち、DI基板25,27の識別情報「CS NO:1 CU NO:1 DI NO:1」、「CS NO:1 CU NO:1 DI NO:2」が順に配列されている。その後に、DO基板29、AI基板31、AO基板33の各識別情報「CS NO:1 CU NO:1 DO NO:1」、「CS NO:1 CU NO:1 AI NO:1」、「CS NO:1 CU NO:1 AO NO:1」が順に配列されている。
【0167】
さらに、構成データ69には、演算装置17のコントローラ基板19の識別情報、CAN通信基板21の識別情報が、順に配列されている。即ち、「CS NO:1 CU NO:2 CPU NO:1」、「CS NO:1 CU NO:2 CAN NO:1」)の順に、識別情報が配列されている。
【0168】
また、構成データ69には、演算装置17の2つのパルスカウンタ基板35,37の識別情報が、順に配列されている。即ち、「CS NO:1 CU NO:2 PC NO:1」、「CS NO:1 CU NO:2 PC NO:2」の順に、識別情報が配列されている。
【0169】
さらに、構成データ69には、演算装置17の2つのDI基板25,27、DO基板29、AI基板31、AO基板33の識別情報が配列されている。即ち、DI基板25,27の識別情報「CS NO:1 CU NO:2 DI NO:1」、「CS NO:1 CU NO:2 DI NO:2」が順に配列されている。その後に、DO基板29、AI基板31、AO基板33の各識別情報「CS NO:1 CU NO:2 DO NO:1」、「CS NO:1 CU NO:2 AI NO:1」、「CS NO:1 CU NO:2 AO NO:1」が順に配列されている。
【0170】
続いて、各MU7のCPUがROM(いずれも図示せず)に格納されたプログラムにしたがって実行する制御ユニット3を構成するフィールド機器のアラーム情報を表示する処理について、
図12のフローチャートを参照して説明する。なお、制御ユニット3を構成するフィールド機器とは、各リモートIOユニット13と、演算装置15,17の各基板19~37のことである。
【0171】
各MU7のCPUは、アラーム情報の表示の更新周期が到来したか否かを確認し(ステップS101)、更新周期が到来していない場合は(ステップS101でNO)、アラーム情報表示処理を終了する。一方、更新周期が到来した場合は(ステップS101でYES)、CPUは、アラーム情報の通知要求をLAN9を介して演算装置15,17に出力し(ステップS103)、アラーム情報が入力されたか否かを確認する(ステップS105)。
【0172】
アラーム情報が演算装置15,17から入力されない場合は(ステップS105でNO)、入力されるまでステップS105をリピートする。また、アラーム情報が入力された場合は(ステップS105でYES)、CPUは、EU5のメモリに記憶された制御ユニット3の構成データを参照する(ステップS107)。そして、参照した構成データから特定される制御ユニット3のシステム構成に応じたアラーム情報の表示態様を決定する(ステップS109)。
【0173】
そして、CPUは、決定した表示態様に、MU7の不図示のディスプレイにおける制御システム1のアラーム情報の表示を更新した後(ステップS111)、アラーム情報表示処理を終了する。
【0174】
以上の説明からも明らかなように、本実施形態の制御システム1では、
図12のフローチャートにおけるステップS109及びステップS111が、請求項中の結果表示部に対応する処理となっている。
【0175】
このように構成された本実施形態の制御システム1では、制御ユニット3を構成するリモートIOユニット13から、自身の上位に接続されるリモートIO通信基板23,24に、リモートIOユニット13の識別情報が出力される。このため、リモートIO通信基板23,24は、自身の下位に接続された相手から入力される識別情報から、自身の下位に接続されたリモートIOユニット13の存在を認識する。
【0176】
同様に、本実施形態の制御システム1では、制御ユニット3を構成する演算装置15,17の各基板19~37から、それらの上位に接続される演算装置15,17のCPUに、各基板19~37の識別情報が出力される。
【0177】
このとき、リモートIO通信基板23,24から演算装置15,17のCPUに出力される、リモートIO通信基板23,24の識別情報の後には、リモートIO通信基板23,24に入力されたリモートIOユニット13の識別情報が付加される。
【0178】
また、各基板19~37から演算装置15,17のCPUに出力された各基板19~37の識別情報が、演算装置15,17からEU5に出力される際には、各基板19~37の識別情報の前に演算装置15,17の識別情報が付加される。
【0179】
即ち、演算装置15,17のCPUに入力される、演算装置15,17の各基板19~37及び各リモートIOユニット13の識別情報は、自身の上位に接続されたフィールド機器及び演算装置15,17の識別情報を累積的に順次先頭に付加した体裁となる。この体裁の識別情報は、演算装置15,17のCPUからEU5に出力される。
【0180】
このため、EU5は、演算装置15,17から入力される識別情報により、演算装置15,17の各基板19~37の他、リモートIO通信基板23,24の下位の各リモートIOユニット13を、制御ユニット3の階層上での上下関係を含めて認識できる。
【0181】
即ち、演算装置15,17の各基板19~37及び各リモートIOユニット13に実装したマイクロプロセッサを用いると、EU5は、演算装置15,17から入力される識別情報により、制御ユニット3の構成データ69を把握し生成することになる。つまり、EU5は、制御ユニット3の構成データ69を人手によらずに把握する。
【0182】
よって、演算装置15,17から入力される制御ユニット3の各基板19~37及び各リモートIOユニット13のアラーム情報をMU7で表示する場合に、MU7は、EU5が生成した制御ユニット3の構成データ69を参照する。これにより、アラーム状態の各基板19~37及び各リモートIOユニット13を、制御ユニット3における階層状の配置に応じて、MU7のディスプレイに表示させることができる。
【0183】
一般に、制御システム1では、演算装置15,17の各基板19~37及び各リモートIOユニット13のうち複数の要素の動作が複合的に作用して、アラーム状態が発生することがある。この場合、例えばMU7において、発生したアラーム状態の原因の箇所を特定して表示するには、発生したアラーム状態とその発生元との関係を示す情報を、人手によってMU7に入力しておく必要がある。
【0184】
これに対し、本実施形態の制御システム1において、MU7で表示するのは、制御ユニット3を構成する演算装置15,17の各基板19~37及び各リモートIOユニット13のマイクロプロセッサが自己診断して検出するアラーム状態である。即ち、自己診断によるアラーム状態は、自己診断したフィールド機器において発生するものである。
【0185】
したがって、演算装置15,17から発生元の識別情報と共にアラーム情報を受け取ることで、EU5の構成データ69を利用してアラーム情報の発生元を特定し、特定したフィールド機器の制御ユニット3における配置をわかりやすく表示させることができる。
【0186】
図13は、MU7の不図示のディスプレイで表示できる演算装置15,17の各基板19~37及び各リモートIOユニット13のアラーム情報の監視画面の一例を示す説明図である。
【0187】
図13に示す例の監視画面71では、制御システム1の識別情報「BLOCK NO:1」の下位に配置された8つの制御ユニット3の識別情報のうち、8番目の制御ユニット3の識別情報「CS NO:8」が展開されている。
【0188】
そして、8番目の制御ユニット3の識別情報「CS NO:8」の下位に配置された1番目の演算装置の識別情報「CU NO:1」が展開されている。さらに、演算装置の識別情報「CU NO:1」の下位に配置された2つの2つのDI基板とリモートIO通信基板の識別情報のうち、リモートIO通信基板の識別情報「R-BUS NO:1」が展開されている。
【0189】
また、リモートIO通信基板の識別情報「R-BUS NO:1」の下位には、3つのAI基板及びAO基板、3つのDI基板、及び、2つのDO基板の識別情報が展開されている。即ち、「AI NO:1」~「AI NO:3」、「AO NO:1」~「AO NO:3」、「DI NO:1」~「DI NO:3」、「DO NO:1」,「DO NO:2」の順に、識別情報が展開されている。
【0190】
図13に示す監視画面71では、2つ目のDO基板でアラーム状態が発生し、反転強調表示されている。また、上位に接続されたリモートIO通信基板の識別情報「R-BUS NO:1」と、さらにその上位に接続された1番目の演算装置の識別情報「CU NO:1」も、アラーム状態のDO基板の識別番号「DO NO:2」と共に反転強調表示されている。
【0191】
この監視画面71は、MU7が、演算装置15,17に要求して入手したアラーム情報を用い、EU5のメモリに記憶された制御ユニット3の構成データ69を参照することで、制御ユニット3のシステム構成に応じた表示態様とすることができる。
【0192】
ところで、複数のフィールド機器でアラーム状態が発生し、アラーム状態が発生した複数のフィールド機器が共通の上位のフィールド機器に直接又は間接的に接続されている場合を想定する。この場合、共通のフィールド機器の識別情報を単に反転強調表示させるだけでは、上位の階層におけるアラーム情報への対処レベルをどの程度にすればよいか判断できない。
【0193】
そこで、例えば、発生したアラーム状態に優先度を設定し、複数のフィールド機器でアラーム状態が発生した場合は、優先度が一番高いアラーム状態に対応する態様で、共通の上位のフィールド機器を強調表示させるようにしてもよい。
【0194】
ここで、アラーム状態の優先度は、例えば、アラーム情報のアラーム状態を示すコードの内容から判別される対処の緊急性が高い順に設定してもよい。また、発生後の対処が進んでいないアラーム状態ほど優先度が高くなるような設定にしてもよい。
【0195】
なお、監視画面71上で反転強調表示された識別番号の部分をクリックすると、EU5の構成データ69を参照することで、クリックした識別番号のフィールド機器及びその下位に接続されたフィールド機器を、MU7において特定することができる。
【0196】
また、演算装置15,17に要求して入手したアラーム情報から、特定したフィールド機器のうちアラーム状態にある(アラーム情報を出力している)フィールド機器を抽出して、
図14の説明図に示すリスト画面73のように、全てリスト表示することができる。このとき、アラーム状態に上述した優先度が設定されている場合は、優先度の高いアラーム状態をリスト画面73の上位に配置して表示させるようにしてもよい。
【0197】
さらに、EU5の構成データ69を参照して、MU7において、
図15の説明図に示すように、制御システム1における各フィールド機器の接続関係を再現したレイアウトの監視画面77を表示させてもよい。この監視画面77では、各フィールド機器に対応する矩形のシンボルを、アラーム状態の優先度に応じて異なる態様で表示させるようにしている。
【0198】
また、この監視画面77では、黒く塗りつぶしたシンボルが優先度の最も高いアラーム状態を示しており、以下、粗いハッチのシンボル、細かいハッチのシンボルの順に、優先度が低いアラーム状態を示している。なお、空白のシンボルは、アラーム状態が発生していないことを示している。また、シンボルの表示態様に点滅あるいはアニメーション表示等を加えて、表現できる優先度の段階を増やしてもよい。
【0199】
さらに、演算装置15,17における各基板19~37のアラーム状態は、必要に応じてMU7のディスプレイに
図16の説明図に示すような監視画面79を表示させて知らせるようにしてもよい。この監視画面79は、演算装置15,17の筐体内の基板のソケットに差し込まれているときの各基板19~37のレイアウトを再現した態様としている。
【0200】
この監視画面79でも、
図15の監視画面77と同様に、各基板19~37に対応する領域の塗り分けによって、アラーム状態の優先度を表現することができる。また、各領域の表示態様に点滅あるいはアニメーション表示等を加えて、表現できる優先度の段階を増やしてもよい。
【0201】
なお、上述した実施形態では、初期設定処理において、
図2~
図4のフローチャートを使い分ける場合について説明した。
【0202】
しかし、各リモートIOユニット13、演算装置15の各基板19~33、及び、演算装置17の各基板19,21,25~37のマイクロプロセッサ、演算装置15,17のCPUの一部又は全部が、共通の手順の初期設定処理を行う構成としてもよい。
【0203】
図7~
図9のフローチャートを参照して説明した自己診断処理についても同様に、共通の手順に変えてもよい。
【0204】
また、本実施形態の制御システム1では、演算装置15,17自身がアラーム状態の発生を自己診断機能を有しており、アラーム状態の発生時にアラーム情報を生成するものとした。しかし、演算装置15,17は自身でアラーム状態発生の自己診断機能を有していなくてもよい。
【0205】
その場合は、
図9のフローチャートにおけるステップS75~ステップS81の処理を省略することができる。そして、
図9のステップS71で、下位機器からのアラーム情報が入力されていない場合(NO)に、演算装置15,17のCPUが、ステップS83の、MU7からのアラーム情報の通知要求が入力されたか否かを確認する処理に移行する手順とすることができる。
【符号の説明】
【0206】
1 プラントの制御システム(フィールド機器情報表示システム)
3 制御ユニット
5 エンジニアリングコンピュータ(EU、階層特定部)
7 モニタリングコンピュータ(MU、結果表示部)
9 LAN
11 ルータ
13 リモートIOユニット
15,17 演算装置(情報取得部、初期処理部、領域割当部、情報出力部、情報中継部)
19 コントローラ基板(情報保持部)
21 CAN通信基板(情報保持部)
23,24 リモートIO通信基板(情報保持部)
25,27 DI基板(情報保持部)
29 DO基板(情報保持部)
31 AI基板(情報保持部)
33 AO基板(情報保持部)
35,37 パルスカウンタ基板(情報保持部)
39,63 メモリ
41~61,65,67 格納エリア
69 構成データ
71 監視画面
73 リスト画面
77 監視画面
79 監視画面