(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/12 20120101AFI20221018BHJP
【FI】
G06Q50/12
(21)【出願番号】P 2018173840
(22)【出願日】2018-09-18
【審査請求日】2021-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】500175565
【氏名又は名称】株式会社ぐるなび
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】特許業務法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】平井 未羽
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/097262(WO,A1)
【文献】特表2018-504696(JP,A)
【文献】特開2003-108839(JP,A)
【文献】特開2018-110042(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗内の各座席の配置に関する座席配置情報と1又は複数の客グループの前記座席への配席に関する配席情報を記憶する記憶部と、
前記座席配置情報に含まれる第1の座席に隣接する複数の第2の座席に配席された客グループの人数をそれぞれ取得し、前記第1の座席の価値を、前記取得された各人数のうちの最大値が大きいほど低くなるように評価する制御部
を具備する情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、評価した前記第1の座席の価値に応じて当該第1の座席を利用する客グループに提示するメニュー及び/又はサービスの価格を決定する
情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理装置であって、
前記記憶部は、さらに、前記客グループの前記店舗の利用開始時間を含む予約情報を記憶し、
前記制御部は、前記予約情報を基に、現在時刻から所定時間内にいずれかの前記第2の席に予約客が配席された場合の前記第1の座席の価値を評価し、評価した価値に基づいて前記価格を決定する
情報処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、前記最大値が前記隣接する複数の第2の座席について取得された場合、前記第1の座席の価値を、前記最大値が前記隣接する1つの第2の座席について取得された場合よりも低く評価する
情報処理装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の情報処理装置であって、
前記座席配置情報は、各座席の2次元配置情報を含み、
前記制御部は、前記第1の座席に対して、前記最大値が取得された第2の座席とは反対側の第2の座席に配席された客グループの人数が多いほど価値がさらに低くなるように前記第1の座席の価値を評価する
情報処理装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の情報処理装置であって、
前記座席配置情報は、各座席間の距離に関する情報を有し、
前記制御部は、前記最大値が取得された第2の座席と前記第1の座席の間の距離が近いほどさらに価値が低くなるように前記第1の座席の価値を評価する
情報処理装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、前記最大値が取得された第2の座席に配席された前記客グループの注文数が多いほどさらに価値が低くなるように前記第1の座席の価値を評価する
情報処理装置。
【請求項8】
店舗内の各座席の配置に関する座席配置情報と1又は複数の客グループの前記座席への配席に関する配席情報を記憶し、
前記座席配置情報に含まれる第1の座席に隣接する複数の第2の座席に配席された客グループの人数をそれぞれ取得し、
前記第1の座席の価値を、前記取得された各人数のうちの最大値が大きいほど低くなるように評価する
コンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
店舗内の各座席の配置に関する座席配置情報と1又は複数の客グループの前記座席への配席に関する配席情報を記憶するステップと、
前記座席配置情報に含まれる第1の座席に隣接する複数の第2の座席に配席された客グループの人数をそれぞれ取得するステップと、
前記第1の座席の価値を、前記取得された各人数のうちの最大値が大きいほど低くなるように評価するステップ
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗内設備の価値を評価する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、店舗内の座席状態を表示し、ユーザの座席指定に基づいて顧客情報を生成し、顧客情報をキッチン端末へ出力する券売機(販売機)が開示されている。上記券売機は、ユーザによる座席指定の際にメニューも選択されるように構成されており、ユーザにより選択されたメニューの価格と投入金に応じて精算することも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
座席にて商品やサービスを提供する店舗(飲食店、レストランを含む)における商品等の提供価格は、座席によって変わらないのが一般的である。特許文献1などの従来技術においては、どの座席を指定してもメニューの価格に応じた精算が行われ、選択メニューが同じ場合、どの座席が指定されても同じ金額での精算になる。
【0005】
しかし、店舗に比較的大人数の団体客が入っている場合、その団体客に隣接する座席に提供されるサービスの質が低下したり、上記隣接する座席の環境(騒音など)が低下したりする場合がある。上記隣接する座席に案内された利用客は、仲間内で盛り上がる団体客を意識せざるを得ず、落ち着いて商品やサービスの提供を受けられない可能性がある。利用客側には、上記隣接する座席に案内されることを避けたいというニーズがある。
【0006】
他方で、店舗側には、店舗資源の効率的な運用の観点から、上記隣接する座席であっても利用客を案内したいというニーズがある。このように、比較的人数の多い客グループの案内されている座席に隣接する座席に関しては、需要側のニーズと供給側のニーズにミスマッチがある。このミスマッチを解消するためには、上記隣接する座席の価値を適切に評価する必要がある。
【0007】
本発明は上述の実情に鑑みてなされたものであって、比較的人数の多い客グループの案内されている座席の隣の座席の価値の適切な評価を可能にする情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明の一実施形態は、記憶部と制御部を具備する情報処理装置である。
上記記憶部は、店舗内の各座席の配置に関する座席配置情報と1又は複数の客グループの上記座席への配席に関する配席情報を記憶する。
上記制御部は、上記座席配置情報に含まれる第1の座席に隣接する複数の第2の座席に配席された客グループの人数をそれぞれ取得し、上記第1の座席の価値を、上記取得された各人数のうちの最大値が大きいほど低くなるように評価する。
【0009】
上記実施形態では、第1の座席に隣接する複数の第2の座席に配席された客グループの人数のうちの最大値が大きいほど低くなるように上記第1の座席の価値を評価することとしたので、上記比較的人数の多い客グループの案内されている座席(第2の座席)に上記隣接する座席(第1の座席)の価値の適切な評価が可能になる。
【0010】
上記制御部は、評価した上記第1の座席の価値に応じて当該第1の座席を利用する客グループに提示するメニュー及び/又はサービスの価格を決定してもよい。
【0011】
この場合、評価した第1の座席の価値に応じてサービス等の価格が決定されるので、上記隣接する座席(第1の座席)の価値をサービス等の価格に反映させることができる。
【0012】
上記記憶部は、さらに、上記客グループの上記店舗の利用開始時間を含む予約情報を記憶してもよい。
この場合、さらに、上記制御部は、上記予約情報を基に、現在時刻から所定時間内にいずれかの上記第2の席に予約客が配席された場合の上記第1の座席の価値を評価し、評価した価値に基づいて上記価格を決定してもよい。
【0013】
この場合、上記予約情報を基に上記第2の座席に予約客が配席された場合の上記第1の座席の価値が評価されるので、上記第1の座席の現在時刻における価値のみならず現在時刻から所定時間内における価値の適切な評価も可能になる。
【0014】
上記制御部は、上記最大値が上記隣接する複数の第2の座席について取得された場合、上記第1の座席の価値を、上記最大値が上記隣接する1つの第2の座席について取得された場合よりも低く評価してもよい。
【0015】
この場合、2以上の客グループの配席された上記第2の座席に隣接する上記第1の座席の価値が客グループの数が1である場合よりも低く評価されるので、複数の比較的人数の多い客グループに隣接する場合の上記第1の座席の価値の適切な評価が可能になる。
【0016】
上記座席配置情報は、各座席の2次元配置情報を含んでもよい。
この場合、さらに、上記制御部は、上記第1の座席に対して、上記最大値が取得された第2の座席とは反対側の第2の座席に配席された客グループの人数が多いほど価値がさらに低くなるように上記第1の座席の価値を評価してもよい。
【0017】
この場合、上記第1の座席に対して、上記最大値が取得された第2の座席とは反対側の第2の座席に配席された客グループの人数が多いほど価値がさらに低くなるように上記第1の座席の価値が評価されるので、複数の客グループに挟まれている場合の上記第1の座席の価値の適切な評価が可能になる。
【0018】
上記座席配置情報は、各座席間の距離に関する情報を有してもよい。
この場合、さらに、上記制御部は、上記最大値が取得された第2の座席と上記第1の座席の間の距離が近いほどさらに価値が低くなるように上記第1の座席の価値を評価してもよい。
【0019】
この場合、上記最大値が取得された第2の座席と上記第1の座席の間の距離が近いほどさらに価値が低くなるように上記第1の座席の価値が評価されるので、座席間の距離に応じた上記第1の座席の適切な評価が可能になる。
【0020】
上記制御部は、上記最大値が取得された第2の座席に配席された上記客グループの注文数が多いほどさらに価値が低くなるように上記第1の座席の価値を評価してもよい。
【0021】
この場合、上記最大値が取得された第2の座席に配席された上記客グループの注文数が多いほどさらに価値が低くなるように上記第1の座席の価値が評価されるので、比較的大人数の客グループが店舗に対して、商品やサービスを多く要求し、上記第1の座席に座ることになる客グループへの商品やサービスの提供に影響するような場合においても、これを反映した上記第1の座席の価値の適切な評価が可能になる。
【0022】
上記目的は、本発明の一実施形態にかかる次の情報処理方法によっても達成される。
店舗内の各座席の配置に関する座席配置情報と1又は複数の客グループの上記座席への配席に関する配席情報を記憶し、
上記座席配置情報に含まれる第1の座席に隣接する複数の第2の座席に配席された客グループの人数をそれぞれ取得し、
上記第1の座席の価値を、上記取得された各人数のうちの最大値が大きいほど低くなるように評価する
情報処理方法。
【0023】
上記目的は、本発明の一実施形態にかかる次のプログラムによっても達成される。
コンピュータに、
店舗内の各座席の配置に関する座席配置情報と1又は複数の客グループの上記座席への配席に関する配席情報を記憶するステップと、
上記座席配置情報に含まれる第1の座席に隣接する複数の第2の座席に配席された客グループの人数をそれぞれ取得するステップと、
上記第1の座席の価値を、上記取得された各人数のうちの最大値が大きいほど低くなるように評価するステップ
を実行させるための
プログラム。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、比較的人数の多い客グループの案内されている座席の隣の座席の価値の適切な評価が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施形態に係る店舗運営支援システムの構成を示す概念図である。
【
図2】上記実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成を示す概念図である。
【
図3】上記情報処理装置の記憶部が有する情報を示す概念図である。
【
図4】上記記憶部が有する2次元配置情報に基づく店舗レイアウトの一例を示す概念図である。
【
図5】上記実施形態における上記座席評価の情報処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0027】
〔第1の実施形態〕
〔情報処理システム〕
図1は、本実施形態に係る店舗運営支援システム1の構成を示す概念図である。店舗運営支援システム1は、店舗内に情報処理装置100、クラウド上に予約受付サーバ150を有する。店舗の業態は本実施形態では飲食店とするが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1には、さらに、店舗運営支援システム1外の顧客端末300も示されている。
【0028】
情報処理装置100は、飲食店の店舗内に設置される。予約受付サーバ150は、情報処理装置100と顧客端末300の間で予約客による予約の申し込みを仲介する。予約受付サーバ150は、顧客端末300から予約申し込み情報を受信し、これに基づいて生成する予約要求を、情報処理装置100に送信する。
【0029】
顧客端末300は、汎用のコンピュータやスマートフォンなどで構成される。予約客は顧客端末300を通して、予約申し込み情報を店舗運営支援システム1に提供する。予約申し込み情報には、例えば、予約先店舗を特定する情報、予約人数、予約日時が含まれる。
【0030】
〔情報処理装置〕
図2は、情報処理装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2に示すように、情報処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、入出力インタフェース15、及び、これらを互いに接続するバス14を備える。
【0031】
CPU11は、必要に応じてRAM13等に適宜アクセスし、各種演算処理を行いながら各ブロック全体を統括的に制御する。ROM12は、CPU11に実行させるOS(Operating System)、プログラムや各種パラメータなどのファームウェアが固定的に記憶されている不揮発性のメモリである。RAM13は、CPU11の作業用領域等として用いられ、OS、実行中の各種アプリケーション、処理中の各種データを一時的に保持する。
【0032】
入出力インタフェース15には、表示部16、操作受付部17、記憶部18、通信部19等が接続される。表示部16は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、OELD(Organic Electro-Luminescence Display)、CRT(Cathode Ray Tube)等を用いた表示デバイスである。操作受付部17は、例えばマウス等のポインティングデバイス、キーボード、その他の入力装置である。なお、表示部16と操作受付部17を液晶タッチパネルにより一つにまとめてもよい。
【0033】
記憶部18は、例えばHDD(Hard Disk Drive)や、フラッシュメモリ(SSD;Solid State Drive)、その他の固体メモリ等の不揮発性メモリである。当該記憶部18には、上記OSや各種アプリケーション、各種データが記憶される。
【0034】
通信部19は、例えばNIC(Network Interface Card)や無線LAN等の無線通信用の各種モジュールである。通信部19により情報処理装置100は他の装置とデータを送受信できる。
【0035】
また、CPU11はROM12に記憶されているソフトウェアプログラムをロードすることにより本発明の制御部等を構成する。記憶部18は本発明の記憶部として機能する。
【0036】
本実施形態は、
図1と
図2に示す構成を採用することにより、店舗の設備に関する情報を情報技術により管理することが可能になり、店舗の運営が効率化する。
【0037】
〔記憶部のデータ〕
図3は、記憶部18が有する情報を示す概念図である。記憶部18は、予約情報データベース181、座席配置情報データベース182、配席情報データベース183、注文情報データベース184を記憶する。
【0038】
予約情報データベース181は、予約受付サーバ150から情報処理装置100が受信した予約要求に基づいてCPU11が生成する予約情報を蓄積するデータベースである。予約情報には、例えば、予約客を特定する情報、予約人数、予約日時の情報が含まれる。なお、予約要求に対して、従業員により満席等の理由で当該予約要求に応えられないことを示す操作が入力された場合、CPU11は予約情報を生成せず、当該予約要求に係る予約情報は、予約情報データベース181に蓄積されない。
【0039】
座席配置情報データベース182は、店舗内にある設備に関する情報を蓄積したデータベースである。上記設備は、例えば、テーブルや椅子などを含む。座席配置情報データベース182は、従業員による操作により、あらかじめ構築される。座席配置情報データベース182は、上記設備の配置を2次元的に示した店舗レイアウトを2次元配置情報として有する(
図4に店舗レイアウトの一部を例示)。
【0040】
配席情報データベース183は、現在時刻における客グループの座席への配席状況を示す情報を有する。座席は、上記座席配置情報データベース182に基づいて設定される。CPU11は、配席情報データベース183を参照することで、現在時刻において何人の客グループがどの座席に配席されているかを把握する。
【0041】
配席情報データベース183は、さらに、予約情報データベース181が有する予約情報に基づいて、任意の日時における予約客グループの座席への配席状況を示す情報も有する。CPU11は、配席情報データベース183を参照することで、任意の日時において何人の客グループがどの座席に配席されている予定であるかを把握する。
【0042】
注文情報データベース184は、客グループ単位で客グループが注文したメニューを示す情報を蓄積する。なお、メニューは商品やサービスであってもよい。
【0043】
〔座席評価の情報処理〕
図4、
図5を参照して、上記情報処理装置100により実行される、店舗内の座席の価値を評価する情報処理について説明する。
図4は、上記2次元配置情報に基づく店舗レイアウトの一例を示す図である。
図5は、上記座席評価の情報処理のフローチャートである。
【0044】
図4では、一まとまりの設備(1つのテーブルとそれに対応する椅子4つ、あるいは2つ等)を1つの座席とみなす場合の座席が、破線で囲まれて示されている。例えば、
図4中の座席A、座席B、座席C、座席Dは、それぞれ、2名席、4名席、4名席、4名席である。
【0045】
なお、一まとまりの設備を1つの座席とみなすのは説明例であって、本発明はこれに限定されない。例えば、1つの物理的な椅子に1つの座席を割り当ててもよいし、ベンチ状の長いすにおける1人分のスペースに1つの座席を割り当ててもよい。
【0046】
図4では、さらに、座席に配席された客グループが利用する座席が、一点鎖線で囲まれて示されている。
図4に例示するように、客グループは複数の座席にまたがって配席されてもよい。
【0047】
(座席配置情報と配席情報の取得、座席評価の開始:ST11,ST12)
情報処理装置100のCPU11は、
図4に例示するような店舗レイアウトを生成できる座席配置情報を、上記座席配置情報データベース182と同データベースに記憶されている2次元配置情報に基づいて取得する(ステップST11)。また、CPU11は、
図4に例示するような客グループの配席情報を、上記配席情報データベース183に基づいて取得する(ステップST11)。
【0048】
続いて、CPU11は、取得した配席情報が更新されたか否かを判断し(ステップST12)、配席情報が更新されていれば(ステップST12:Yes)、空席の1つを「第1の座席」として当該第1の座席の価値Vを評価する一連のステップ(ST13~ST17)を実行する。
【0049】
(座席の価値の評価:ST13~ST17)
本実施形態では、第1の座席の価値Vを評価するステップ(ST13~ST17)がループになっており、現在時刻における空席ごとに価値Vが評価される。
【0050】
CPU11は、まず、任意の空席を「第1の座席」として、当該第1の座席に隣接する座席を「第2の座席」とする。例えば、
図4では、座席Dが第1の座席とされている。この場合、CPU11は、座席A、座席B、座席Cを座席Dに隣接するとみなして「第2の座席」とする。
【0051】
CPU11は、さらに、上記第2の座席の人数NをステップST11で取得した配席情報に基づいて取得する(ステップST13)。ここで、上記第2の座席が複数であれば、CPU11は、それぞれについて人数Nを取得する。
図4のシチュエーションであれば、座席A、座席B、座席Cが第2の座席であるので、各座席について人数Nを取得する。
【0052】
上記第2の座席の人数Nは、より詳細に言うと、当該第2の座席を利用する客グループの人数(当該第2の座席に配席された客グループの人数)である。
【0053】
なお、第2の座席の最大着席可能人数がNより小さい場合もあり、例えば、
図4のシチュエーションであれば、座席Aは2名席であるが、第1の座席に向かう方向とは逆方向にある2名席とあわせて4名分の席が、座席Aを利用する客グループに配席されている。そのため、座席Aを利用する客グループの人数NAは、3あるいは4人などになる(以下では4人とする)。同様に、座席Cを利用する客グループの人数NCも、5~8人などになる(以下では8人とする)。以下では、座席Bを利用する客グループの人数NBを4人とする。
【0054】
続いて、CPU11は、上記ステップST13で取得した第2の座席の人数Nの最大値Nmaxに応じて、第1の座席の価値Vを暫定的に決定する(ステップST14)。本実施形態では、第2の座席の人数Nの最大値Nmaxが大きければ大きいほど、第1の座席の価値Vが低くなるように価値Vが決定される。
【0055】
例えば、
図4のシチュエーションであれば、Nmaxは、座席Cを利用する客グループの人数である8人になる。CPU11は、座席Dの価値VをNmax8人に応じて暫定的に決定する。
【0056】
また、CPU11は、最大値Nmaxが所定の閾値を超えた場合に価値Vを最大値Nmaxの人数に応じて評価してもよい。この場合、客グループの規模(人数の多さ)が比較的大規模である場合にのみ価値Vを低下させることができる。比較的大規模であるか否かは、上記所定の閾値によって判断される。
【0057】
続いて、CPU11は、複数の上記第2の座席をそれぞれ利用する客グループが複数であるか否かを確認する(ステップST15)。客グループが複数であれば(ステップST15:Yes)、CPU11は、価値Vをさらに低下させる(ステップST16)。客グループが複数でなければ(ステップST15:No)、特に処理が行われない。
【0058】
例えば、
図4のシチュエーションであれば、座席D(第1の座席)に隣接する座席A、座席B、座席C(第2の座席)にはそれぞれ別の客グループ、3グループが配席されているので、ステップST15の判定ではYesと判断され、座席Dの価値Vはさらに低下する。
【0059】
続いて、CPU11は、他に空席があるか否かを確認し(ステップST17)、空席がある場合(ステップST17:Yes)、そのうちの任意の1つを次の第1の座席として上述した処理を繰り返す(ステップST13に戻る)。空席がない場合(ステップST17:No)、CPU11はループを抜ける。
【0060】
(評価した座席の価値に基づく価格決定:ST18)
続いて、CPU11は、各空席の価値Vに基づいて、それぞれの空席を利用して提供する商品やサービスの価格を決定する(ステップST18)。
【0061】
ステップST18の処理の具体例としては、価値Vが例えば、0<V≦1の指数で表され、提供するサービス等が、「居酒屋飲み放題2時間5000円」のプランであるような場合、CPU11は、空席で提供する上記プランの価格を5000×V(円)に決定する。
【0062】
上述した実施形態では、第1の座席に隣接する複数の第2の座席に配席された客グループの人数のうちの最大値が大きいほど低くなるように上記第1の座席の価値を評価することとしたので、上記比較的人数の多い客グループの案内されている座席(第2の座席)に上記隣接する座席(第1の座席)の価値の適切な評価が可能になる。
【0063】
さらに上記実施形態では、CPU11が、評価した前記第1の座席の価値に応じて当該第1の座席を利用する客グループに提示するメニュー及び/又はサービスの価格を決定することとしたので、上記隣接する座席(第1の座席)の価値をサービス等の価格に反映させることができる。
【0064】
上記実施形態によれば、比較的大人数の客グループに隣接する座席に他の客グループを通常価格で配席できないが、ディスカウントした価格であればオファーしたいという店舗側のニーズに応えることができる。その一方で、比較的大人数の客グループに隣接する座席に通常価格であれば配席されたくないが、ディスカウントした価格であればオファーを受けたいという利用客側のニーズにも応えることができる。
【0065】
さらに上記実施形態では、ステップST15,ST16において、CPU11が、2以上の客グループの配席された上記第2の座席に隣接する上記第1の座席の価値を、客グループの数が1である場合よりも低く評価することとしたので、複数の比較的人数の多い客グループに隣接する場合の上記第1の座席の価値の適切な評価が可能になる。
【0066】
〔第2の実施形態〕
上記第1の実施形態と同じハードウェア構成やソフトウェア構成を用いて、現在時刻ではなく任意の時刻の座席の価値を評価する情報処理を、第2の実施形態として、以下に説明する。なお、本実施形態では現在時刻における座席の価値を評価できないわけではなく、情報処理装置100は、任意の時刻の座席の価値を評価した上で、さらに、現在時刻における座席の価値を評価してもよい。
【0067】
本実施形態では、CPU11は、任意の時刻の座席の価値を評価するが、より詳細には、現在時刻から所定の時間以内の未来における座席の価値を、予約情報データベース181に蓄積されている予約情報等に基づいて、評価する。
【0068】
この場合、CPU11は、上記座席評価の情報処理(
図5のフローチャート)において、現在時刻における配席状況が把握可能な配席情報を配席情報データベース183から取得することに代えて、予約情報データベース181から、現在時刻から所定の時間以内の予約情報を取得する(ステップST11)。
【0069】
続いて、CPU11は、取得した現在時刻から所定の時間以内の予約情報が更新されたことをトリガーにして、各空席の、現在時刻から所定の時間以内の価値を評価するループに入る(ステップST13~ST17)。ステップST13以後の処理については、上記第1の実施形態同様の処理がCPU11により実行される。
【0070】
この第2の実施形態によれば、上記予約情報を基に上記第2の座席に予約客が配席された場合の上記第1の座席の価値がCPU11により評価されるので、上記第1の座席の現在時刻における価値のみならず現在時刻から所定時間内における価値の適切な評価も可能になる。
【0071】
〔変形例〕
上述した実施形態の変形例について、以下に述べる。
【0072】
〔変形例1〕
上述した実施形態では、上記座席評価の情報処理のステップST15、ST16において、CPU11が第2の座席を利用する客グループの数に応じて、複数であれば、さらに価値Vを低下させることとしたが、CPU11は、さらに、客グループの配席された第2の座席の2次元的配置に基づいて価値Vの低下度合いを決定してもよい。
【0073】
この場合、CPU11は、ステップST16において、座席配置情報に含まれる各座席の2次元配置情報とステップST11で取得した配席情報を併せて参照し、第1の座席を挟んでおり、且つ、それぞれに客グループが配席されているような第2の座席が2つ以上ある場合に、単に第1の座席が複数の客グループが配席された第2の座席に隣接している場合よりも、第1の座席の価値Vを低下させる。
【0074】
例えば、
図4では、座席Aと座席Bが座席Dを挟んでおり、且つ、それぞれに客グループが配席されているので、座席Dは、本変形例でさらに低評価が加重される対象である。
【0075】
上記変形例1によれば、第1の座席の価値Vが2次元的な座席の配置情報、つまり、店舗レイアウトに基づいて、2つ以上の客グループに挟まれているような場合に、これが考慮されてさらに低評価になるので、座席の価値が適切に評価することができる。
【0076】
〔変形例2〕
上述した実施形態または上記変形例1は、さらに、ステップST14で取得した第2の座席の人数Nの最大値Nmaxに対応する第2の座席の、第1の座席を挟んで反対側にある第2の座席に客グループが配席されている場合、当該反対側の第2の座席の客グループの人数に応じて、第1の座席の価値Vを評価してもよい。
【0077】
つまり、第1の座席が、Nmaxが取得された第2の座席と別の第2の座席に挟まれている場合、CPU11は、上記別の第2の座席の客グループの人数に応じて、第1の座席の価値Vを評価する。この場合、CPU11は、上記別の第2の座席の客グループの人数が多いほど、価値Vが低下するようにする。
【0078】
この場合、CPU11は、第1の座席を挟んでいる客グループのいずれか一方が隣接する客グループの中で最も人数の多い客グループである場合、第1の座席が単に客グループに挟まれている場合よりも、価値Vをさらに低く評価する。
【0079】
例えば、
図4では、座席CからNmax(この場合は8人)が取得されるが、座席Aに対する座席Cの反対側には、座席がなく、客グループも配席されないので、本変形例により価値Vを加重低下させる例には当てはまらない。
【0080】
上記変形例2によれば、前記第1の座席に対して、前記最大値が取得された第2の座席とは反対側の第2の座席に配席された客グループの人数が多いほど価値がさらに低くなるように前記第1の座席の価値が評価されるので、複数の客グループに挟まれている場合の上記第1の座席の価値の適切な評価が可能になる。
【0081】
〔変形例3〕
上述した実施形態の上記座席評価の情報処理において、CPU11は、さらに、価値Vの暫定決定(ステップST14)の後、上記最大値が取得された第2の座席と上記第1の座席の間の距離が近いほどさらに価値Vが低くなるように価値Vを評価してもよい。この場合、座席配置情報データベース182が有する座席配置情報は、各座席間の距離に関する情報を有する。
【0082】
図4では、座席Bと座席Dの間の距離が「座席間の距離」の一例として示されている。座席配置情報は、各設備間の距離を情報として持っており、CPU11は、そのうちの座席間の距離に応じて、ステップST14で暫定決定した価値Vを評価する。具体的には、座席の間の距離が近いほどさらに価値Vが低くなるようにする。
【0083】
上記変形例3によれば、座席間の距離に応じた上記第1の座席の適切な評価が可能になる。比較的人数の多い客グループが仲間内で盛り上がる場合、話し声が大きくなりがちであり、周囲の利用客の顧客満足度を下げる可能性がある。音波は距離の2乗に反比例して減衰するので、距離が近いほど価値Vを低下させる上記変形例3によれば、比較的人数の多い客グループの周囲の座席におけるサービス等の価格が相応に割り引かれることになり、顧客満足度の低下が抑制できる。なお、本変形例3は、変形例1または変形例2に組み合わせることもできる。
【0084】
〔変形例4〕
上述した実施形態の上記座席評価の情報処理において、CPU11は、さらに、最大値Nmaxが取得された第2の座席に配席された客グループの注文数が多いほどさらに価値が低くなるように上記第1の座席の価値を評価してもよい。この場合、CPU11は、Nmaxが取得された第2の座席に配席された客グループの注文数を注文情報データベース184から取得する。
【0085】
比較的大人数の客グループが店舗に対して、商品やサービスを多く要求し、上記第1の座席に座ることになる客グループへの商品やサービスの提供に影響するような場合がある。本変形例4によれば、このような場合を反映した上記第1の座席の価値の適切な評価が可能になる。本変形例4によれば、注文数の多い比較的人数の多い客グループの周囲の座席におけるサービス等の価格が相応に割り引かれることになり、顧客満足度の低下が抑制できる。なお、本変形例4は、変形例1、変形例2、または変形例3に組み合わせることもできる。
【0086】
〔変形例5〕
上述の実施形態では、第2の座席を第1の座席に隣接するものと規定しているが、実施形態の説明中で明らかなように、また、
図4を参照しても明らかなように、第1の座席と第2の座席が物理的に接触している必要はない。間に通路があっても、第1の座席と第2の座席の間の距離が所定の範囲内であれば隣接するものとする。また、物理的な距離が近くても、座席間を隔てる壁やパーティションが声等を遮るのに十分な高さがあるような場合は、隣接していないものとしてもよい。なお、本変形例5は、変形例1、変形例2、変形例3、または変形例4に組み合わせることもできる。
【0087】
以上で上記実施形態の変形例の例示を終えるが、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。このため、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。例えば、上述の各処理ステップは処理内容に矛盾を生じない範囲で各処理ステップの一部又は全部を省略したり、任意に順番を変更して又は並列に実行したりすることができる。
【符号の説明】
【0088】
1…店舗運営支援システム
11…CPU
12…ROM
13…RAM
14…バス
15…入出力インタフェース
16…表示部
17…操作受付部
18…記憶部
19…通信部
100…情報処理装置
150…予約受付サーバ
181…予約情報データベース
182…座席配置情報データベース
183…配席情報データベース
184…注文情報データベース