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  • 特許-搬送システム 図1
  • 特許-搬送システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20221018BHJP
   G06F 3/16 20060101ALI20221018BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20221018BHJP
   G06F 3/0482 20130101ALI20221018BHJP
【FI】
B65G1/04 535
G06F3/16 630
G06F3/16 650
G06F3/01 510
G06F3/0482
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018177021
(22)【出願日】2018-09-21
(65)【公開番号】P2020045239
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100177910
【弁理士】
【氏名又は名称】木津 正晴
(72)【発明者】
【氏名】北野 泰弘
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-055948(JP,A)
【文献】特開昭55-011468(JP,A)
【文献】特開2005-320142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04
G06F 3/16
G06F 3/01
G06F 3/0482
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置と、
前記搬送装置を制御する制御部と、
音声又は文章がユーザにより入力される入力部と、
前記入力部に入力された前記音声又は文章に基づいて、搬送システムにおいて実施される作業の候補を抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された前記候補を、ユーザにより選択可能に表示する表示部と、を備え、
前記制御部は、前記表示部において選択された前記候補に対応する作業を実現するための動作を、前記搬送装置に実行させ
前記入力部に入力される前記音声又は文章は、前記搬送装置が実行する前記動作自体ではなく、目標の状態に関するものである、搬送システム。
【請求項2】
搬送装置と、
前記搬送装置を制御する制御部と、
音声又は文章がユーザにより入力される入力部と、
前記入力部に入力された前記音声又は文章に基づいて、搬送システムにおいて実施される作業の候補を抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された前記候補を、ユーザにより選択可能に表示する表示部と、を備え、
前記制御部は、前記表示部において選択された前記候補に対応する作業を実現するための動作を、前記搬送装置に実行させ、
前記表示部において選択された前記候補に対応する前記作業の実現のためにユーザによる処理が必要である場合、前記処理に関する情報が前記表示部に表示される、搬送システム。
【請求項3】
前記抽出部は、キーワード検索及び類義語検索を用いてデータベースから前記候補を抽出する、請求項1又は2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記搬送装置を複数備え、
前記制御部は、前記動作が前記複数の搬送装置に関連する場合、前記動作を前記複数の搬送装置に並行して実行させる、請求項1~3のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記表示部に表示される前記候補は、前記音声又は文章を前記入力部に入力した前記ユーザの種別に応じて決定される、請求項1~4のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項6】
前記作業は、前記搬送装置のメンテナンス作業、又は、運転停止状態から通常運転状態への復旧作業である、請求項1~5のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項7】
前記搬送装置は、自動で走行する自動モードと、ユーザの操作により走行する手動モードと、を有する搬送車であり、
前記制御部は、前記動作を前記搬送車に実行させた後、前記搬送車を前記自動モードから前記手動モードに切り替える、請求項1~6のいずれか一項に記載の搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動倉庫等における搬送システムとして、自動で走行する搬送車を用いて荷物を搬送する搬送システムが知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載の搬送システムでは、搬送車に異常が生じた場合、復旧のための手順が端末のディスプレイに表示される。オペレータは、ディスプレイに表示された手順に従って搬送車を操作することにより、復旧作業を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-44014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような搬送システムには、利便性の向上及び信頼性の確保が求められる。そこで、本発明は、利便性の向上及び信頼性の確保が図られた搬送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の搬送システムは、搬送装置と、搬送装置を制御する制御部と、音声又は文章がユーザにより入力される入力部と、入力部に入力された音声又は文章に基づいて、搬送システムにおいて実施される作業の候補を抽出する抽出部と、抽出部により抽出された候補を、ユーザにより選択可能に表示する表示部と、を備え、制御部は、表示部において選択された候補に対応する作業を実現するための動作を、搬送装置に実行させる。
【0006】
この搬送システムでは、ユーザにより入力された音声又は文章に基づいて、搬送システムにおいて実施される作業の候補が抽出される。そして、表示部において選択された候補に対応する作業を実現するための動作が、搬送装置により実行される。この搬送システムでは、ユーザは、実施したい作業に関する音声又は文章を入力することにより、当該作業を実現することができる。そのため、搬送装置を逐次操作する手間を省略することができると共に、作業の実施に要する時間を削減することができる。その結果、利便性を向上することが可能となる。更に、抽出された候補が表示部に表示され、表示部において選択された候補に対応する動作が搬送装置により実行される。これにより、意図しない動作が実行されるのを回避することができ、信頼性を確保することが可能となる。よって、この搬送システムによれば、利便性の向上及び信頼性の確保を図ることができる。
【0007】
本発明の搬送システムでは、抽出部は、キーワード検索及び類義語検索を用いてデータベースから候補を抽出してもよい。この構成によれば、入力された音声又は文章が曖昧であっても、作業の候補を確実に抽出することが可能となる。
【0008】
本発明の搬送システムは、搬送装置を複数備え、制御部は、動作が複数の搬送装置に関連する場合、動作を複数の搬送装置に並行して実行させてもよい。この構成によれば、複数の搬送装置の操作にかかる手間及び時間を好適に省略することができる。特に、手動操作では複数の搬送装置を並行して動作させることは難しいが、この構成によれば、そのような動作を容易に実現することができる。
【0009】
本発明の搬送システムでは、表示部において選択された候補に対応する作業の実現のためにユーザによる処理が必要である場合、処理に関する情報が表示部に表示されてもよい。この構成では、ユーザは、表示部に表示された情報を利用して、作業の実現に必要な処理を行うことができる。したがって、利便性を一層向上することができる。
【0010】
本発明の搬送システムでは、表示部に表示される候補は、音声又は文章を入力部に入力したユーザの種別に応じて決定されてもよい。この構成によれば、ユーザの種別(例えば、役職、所属、権限等)に応じた候補を表示部に表示することができ、利便性をより一層向上することができる。
【0011】
本発明の搬送システムでは、上記作業は、搬送装置のメンテナンス作業、又は、運転停止状態から通常運転状態への復旧作業であってもよい。この搬送システムでは、これらの作業を好適に実施することができる。
【0012】
本発明の搬送システムでは、搬送装置は、自動で走行する自動モードと、ユーザの操作により走行する手動モードと、を有する搬送車であり、制御部は、動作を搬送車に実行させた後、搬送車を自動モードから手動モードに切り替えてもよい。この構成によれば、動作の実行後に搬送車のモードが自動的に手動モードに切り替わるため、利便性をより一層向上することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、利便性の向上及び信頼性の確保が図られた搬送システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態の搬送システムの概略構成図である。
図2】実施形態の搬送システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
【0016】
図1及び図2に示される搬送システム1は、例えば自動倉庫等において荷物を搬送するためのシステムである。搬送システム1は、複数の搬送車(搬送装置)10と、上位コントローラ20と、操作端末30と、を備えている。
【0017】
各搬送車10は、例えば、自動倉庫内に設置された軌道5に沿って自動で走行し、荷物を搬送する。軌道5の近傍には、例えば、荷物を収納するためのラック、及び/又は荷物の受け渡しのためのステーションが配置されている。ラック及びステーションは、例えば、複数配置されている。各搬送車10は、例えば、軌道に沿って走行する走行台車と、走行台車に対して昇降自在な昇降台と、昇降台に設けられたスライドフォークと、を備えている。各搬送車10は、ステーションとラックとの間、又はステーション同士の間を走行して、荷物を搬送及び移載する。搬送車10は、有軌道搬送車又はスタッカクレーンであるが、無軌道搬送車、天井走行車等であってもよい。図1では構成が簡略化して示されているが、実際には、軌道5は分岐等を含んで複雑な形状を有していてもよいし、図1に示された数よりも多くの搬送車10が同時に走行していてもよい。
【0018】
上位コントローラ20は、例えば、プロセッサ、メモリ及び通信インターフェース等を備えるコンピュータであり、管理室内に配置されている。上位コントローラ20は、複数の搬送車10と通信可能に接続されており、複数の搬送車10の動作を制御する。つまり、上位コントローラ20は、複数の搬送車10を制御する制御部21として機能する。後述するように、上位コントローラ20は、抽出部22としても機能する。上位コントローラ20のメモリには、後述するデータベース23が記憶されている。
【0019】
操作端末30は、搬送車10の操作等を行うための可搬型の端末である。本実施形態の搬送車10は、上位コントローラ20からの指示に従って自動で走行する自動モードに加えて、オペレータ(ユーザ)の操作により走行する手動モードを有している。オペレータは、搬送車10が手動モードである場合、操作端末30を用いて搬送車10を操作することができる。
【0020】
操作端末30は、表示部31と、入力部32と、を有している。表示部31は、例えば、各種の情報、画像等を表示可能なタッチパネル画面である。オペレータは、例えば、当該タッチパネル画面に表示されるボタンを押下して選択することにより、搬送車10の操作等を行うことができる。入力部32は、例えば、音声を入力するためのマイクである。操作端末30は、例えばタブレットであるが、任意の端末であってよく、スマートフォン、ノートパソコン等であってもよい。
【0021】
次に、本実施形態の搬送システム1において搬送車10のメンテナンス作業(例えば、点検、調整等)を実施する場合の工程を説明する。一例として、複数の搬送車10のうち、図1に示される搬送車10Aのメンテナンスを行いたい場合を例に挙げて説明する。メンテナンス作業の開始前において、搬送システム1は、すべての搬送車10の運転が停止した運転停止状態となっている。搬送システム1は、例えば、上位コントローラ20からの指示により自動的に運転停止状態となっていてもよいし、操作端末30を介したオペレータからの指示により運転停止状態となっていてもよい。
【0022】
搬送車10Aのメンテナンス作業を行う場合、搬送車10を軌道5から払い出すための払出位置Pまで搬送車10Aを移動させる必要がある。軌道5は、搬送車10Aを払出位置Pまで移動させるための分岐部5aを有している。図1に示される位置関係で搬送車10が停止している場合、搬送車10Aを払出位置Pまで移動させるためには、搬送車10Aと払出位置Pとの間に位置している搬送車10Bを、搬送車10Aが払出位置Pまで移動可能となるように移動させる必要がある。
【0023】
ここで、上述したような従来技術を用いて搬送車10Aのメンテナンス作業を実施する場合の工程を説明する。まず、オペレータは、操作端末30を用い、搬送車10Bを手動モードに切り替え、搬送車10Aが払出位置Pまで移動可能となるように搬送車10Bを移動させる。続いて、オペレータは、操作端末30を用い、搬送車10Aを手動モードに切り替え、搬送車10Aを払出位置Pまで移動させる。続いて、オペレータは、操作端末30を用い、搬送車10Aの払い出しに伴う設定変更を行う。払い出しに伴う設定変更には、例えば、搬送車10の号機順の変更等が含まれる。
【0024】
このように、従来技術では、メンテナンス作業を行う場合、オペレータは、手順に従って逐次操作を行う必要があり、操作方法の確認に手間がかかったり、作業の実施に多くの時間がかかったりするおそれがある。これに対し、本実施形態の搬送システム1によれば、そのような課題を解決することができ、利便性を向上することができる。以下、本実施形態の搬送システム1において搬送車10Aのメンテナンス作業を実施する場合について説明する。
【0025】
まず、オペレータは、搬送システム1において実施される作業に関する音声を操作端末30の入力部32に入力する。例えば、オペレータは、「搬送車10Aをメンテナンスしたい」との音声を入力する。或いは、搬送車10Aに例えば「7号機」との名称が付けられている場合の音声入力は、「7号機をメンテナンスしたい」となる。このように、搬送システム1では、搬送車10の動作自体ではなく、目標の状態(目的の状態)が入力部32に入力される。
【0026】
音声が入力部32に入力されると、抽出部22は、入力された音声に基づいて、作業の候補を抽出する。本実施形態では、抽出部22は、キーワード検索及び類義語検索を用いて、データベース23から候補を抽出する。データベース23には、複数の作業が記憶されている。例えば、作業として、「搬送車をメンテナンスエリアに払い出す」、「通常運転状態に復旧する」等が記憶されている。データベース23に記憶される作業の他の例としては、「A号機の荷物をコンベヤBに降ろす」、「C号機の異常を解除して再起動させる」、「全号機を慣らし運転させる」、「全号機の走行ログを回収する」等が挙げられる。
【0027】
抽出部22は、キーワード検索を用いる場合、入力された音声に含まれる語句を含む作業をデータベース23内から検索し、該当する作業を候補として抽出する。抽出部22は、類義語検索を用いる場合、入力された音声に含まれる語句に類似する語句を含む作業をデータベース23内から検索し、該当する作業を候補として抽出する。抽出部22は、例えば一つの候補を抽出するが、複数の候補を抽出してもよい。
【0028】
抽出部22により抽出された作業の候補は、表示部31に表示される。オペレータは、表示部31に表示された作業の候補の中から、実施したい作業を選択する。例えば、「搬送車10Aをメンテナンスしたい」との音声が入力部32に入力された場合、表示部31には、「搬送車10Aをメンテナンスエリアに払い出す」とのボタンが表示される。オペレータは、当該ボタンを押下して選択する。なお、表示部31には、当該ボタンと共に、当該ボタンを押下した場合に実行される一連の動作が併せて表示されてもよい。
【0029】
表示部31において作業の候補が選択されると、制御部21は、当該候補に対応する作業を実現するための動作を、搬送車10に実行させる。例えば、候補「搬送車10Aをメンテナンスエリアに払い出す」が選択された場合、制御部21は、まず、搬送車10Aの位置情報及び目的地、並びに他の搬送車10の位置情報等に基づいて、他の搬送車10の移動が必要かどうかを判断する。例えば、制御部21は、搬送車10Bの移動が必要と判断した場合、搬送車10Aが払出位置Pまで移動可能となるように搬送車10Bを移動させる。続いて、制御部21は、搬送車10Aを払出位置Pまで移動させ、搬送車10Aを自動モードから手動モードに切り替える。続いて、制御部21は、搬送車10Aの払い出しに伴う設定変更を行う。この場合のように、作業を実現するための動作が複数の搬送車10に関連する場合、制御部21は、当該動作を複数の搬送車10に並行して実行させてもよい。例えば、搬送車10Bが移動している間に、搬送車10Aを並行して移動させてもよい。
【0030】
以上説明したように、搬送システム1では、オペレータにより入力された音声に基づいて、搬送システム1において実施される作業の候補が抽出される。そして、表示部31において選択された候補に対応する作業を実現するための動作が、搬送車10により実行される。この搬送システム1では、オペレータは、実施したい作業に関する音声を入力することにより、当該作業を実現することができる。そのため、搬送車10を逐次操作する手間を省略することができると共に、作業の実施に要する時間を削減することができる。その結果、利便性を向上することが可能となる。更に、抽出された候補が表示部31に表示され、表示部31において選択された候補に対応する動作が搬送車10により実行される。これにより、意図しない動作が実行されるのを回避することができ、信頼性を確保することが可能となる。よって、搬送システム1によれば、利便性の向上及び信頼性の確保を図ることができる。また、搬送システム1では、各搬送車10が自動モードのままで、一連の動作が実行される。そのため、例えば、複数の搬送車10の走行領域が保護用の柵により囲まれている場合、オペレータは、各搬送車10の動作が完了するまで、柵の外側で待機することができる。
【0031】
また、搬送システム1では、抽出部22が、キーワード検索及び類義語検索を用いてデータベース23から候補を抽出する。これにより、入力された音声又は文章が曖昧であっても、作業の候補を確実に抽出することが可能となる。
【0032】
また、搬送システム1では、作業を実現するための動作が複数の搬送車10に関連する場合、当該動作が複数の搬送車10により並行して実行される。これにより、複数の搬送車10の操作にかかる手間及び時間を好適に省略することができる。特に、手動操作では複数の搬送車10を並行して動作させることは難しいが、搬送システム1によれば、そのような動作を容易に実現することができる。
【0033】
また、搬送システム1では、作業を実現するための動作が搬送車10により実行された後、搬送車10が自動モードから手動モードに切り替えられる。これにより、動作の実行後に搬送車10のモードが自動的に手動モードに切り替わるため、利便性をより一層向上することができる。
【0034】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、上記実施形態では、入力部32に音声が入力されたが、入力部32には、文章が入力されてもよい。この場合、入力部32は、例えばキーボードであってもよい。このような構成は、騒音環境下において好適に用いられ得る。上記実施形態において、抽出部22は、キーワード検索及び類義語検索を用いることなく、作業の候補を抽出してもよい。例えば、入力部32に入力された音声に含まれる単語から、当該単語に紐付けて登録された候補を抽出してもよい。或いは、抽出部22は、過去の動作に基づく学習結果を用いて候補を抽出してもよい。
【0035】
搬送システム1において実施される作業は、運転停止状態から通常運転状態への復旧作業であってもよい。このような復旧作業は、例えば、搬送車10による荷物の受け渡しが失敗した場合、又は、搬送車10に異常、故障等が生じた場合等に実施される。復旧作業を行いたい場合、例えば、オペレータは、「異常、復旧して」との音声を入力部32に入力する。表示部31には、例えば、「通常運転状態に復旧する」とのボタンが表示される。オペレータにより当該ボタンが押下されると、制御部21は、通常運転状態に復旧可能となるように、各搬送車10を所定の位置まで移動させる。続いて、制御部21は、各搬送車10に荷物の搬送動作を再開させる。これにより、搬送システム1が通常運転状態に復旧する。
【0036】
搬送システム1では、表示部31において選択された候補に対応する作業の実現のためにオペレータによる処理が必要である場合、処理に関する情報が表示部31に表示されてもよい。そのような場合として、例えば、搬送車10による荷物の受け渡しが失敗し、当該荷物を取り除く必要がある場合等が挙げられる。例えば、オペレータが「異常、復旧して」との音声を入力部32に入力すると、表示部31には、「通常運転状態に復旧する」とのボタンと共に、「7号機の荷物を取り除いてください」とのフレーズが併せて表示される。これにより、オペレータは、7号機の荷物を取り除く処理を行う必要があることが分かる。オペレータは、7号機の荷物を取り除いた後に、「通常運転状態に復旧する」とのボタンを押下する。この構成によれば、オペレータは、表示部31に表示された情報を利用して、作業の実現に必要な処理を行うことができる。したがって、利便性を一層向上することができる。表示部31に表示される情報は、例えば、上記例のように処理を促すフレーズであってもよいし、処理の具体的な手順を説明する文章又は画像等であってもよい。
【0037】
搬送システム1では、表示部31に表示される候補は、音声を入力部32に入力したユーザの種別に応じて決定されてもよい。ユーザの種別の識別は、例えば、操作端末30におけるログイン情報に基づいて、又は入力部32に入力された音声に基づいて行われ得る。この構成によれば、オペレータの種別(例えば、役職、所属、権限等)に応じた候補を表示部31に表示することができ、利便性をより一層向上することができる。一例として、オペレータ種別を通常オペレータ、マネージャ、サービス員の3つの区分に分けることが考えられる。ユーザが通常オペレータである場合、ユーザがマネージャである場合と比べて、表示部31に表示される候補が制限されてもよい(ユーザが実施可能な候補のみが表示されてもよい)。ユーザがサービス員である場合には、強制運転作業(デッドロック状態を打開するための作業)が候補として表示可能となり、強制運転作業を実施することが可能となってもよい。
【0038】
搬送システム1が備える搬送装置は、搬送車10に限られず、例えばコンベア等の他の搬送装置又は物流機器を含んでいてもよい。データベース23には、実施された作業が逐次記憶されてもよい。上記実施形態では、制御部21、抽出部22及びデータベース23が一つの装置(コンピュータ、上位コントローラ20)により構成されていたが、制御部21、抽出部22及びデータベース23は別の装置により構成されてもよい。同様に、上記実施形態では、表示部31及び入力部32が一つの装置(タブレット、操作端末30)により構成されていたが、表示部31及び入力部32は別の装置により構成されてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…搬送システム、10,10A,10B…搬送車(搬送装置)、21…制御部、22…抽出部、23…データベース、31…表示部、32…入力部。
図1
図2