(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】制御システム、及び、制御方法
(51)【国際特許分類】
D04H 1/732 20120101AFI20221018BHJP
D04H 1/736 20120101ALI20221018BHJP
D01G 25/00 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
D04H1/732
D04H1/736
D01G25/00 Z
(21)【出願番号】P 2018207920
(22)【出願日】2018-11-05
【審査請求日】2021-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 佳太
(72)【発明者】
【氏名】御子柴 隆雄
【審査官】斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-087370(JP,A)
【文献】国際公開第2012/081444(WO,A1)
【文献】特開2016-047978(JP,A)
【文献】国際公開第2017/094514(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/043019(WO,A1)
【文献】特開2018-156510(JP,A)
【文献】特開2019-065408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01G 1/00 - 99/00
D04H 1/00 - 18/04
D06B 1/00 - 23/30
D06C 3/00 - 29/00
D06G 1/00 - 5/00
D06H 1/00 - 7/24
D06J 1/00 - 1/12
D21B 1/00 - 1/38
D21C 1/00 - 11/14
D21D 1/00 - 99/00
D21F 1/00 - 13/12
D21G 1/00 - 9/00
D21H 11/00 - 27/42
D21J 1/00 - 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維を含む原料から加工物を製造する繊維原料再生装置と、前記繊維原料再生装置に接続される制御装置と、を有し、
前記繊維原料再生装置は、
前記原料からウェブを形成するウェブ形成部と、
前記ウェブ形成部で形成された前記ウェブを搬送するウェブ搬送部と、
前記ウェブ形成部および前記ウェブ搬送部の少なくともいずれかにおける状態を検出する状態検出部と、
前記状態検出部の検出結果に基づき、前記ウェブの形成誤差要因の有無を判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に関する検出データを前記制御装置に送信する第2通信部と、
前記第2通信部により停止コマンドを受信した場合に、前記停止コマンドに従って前記繊維原料再生装置を制御する第2制御部と、を備え、
前記制御装置は、
前記繊維原料再生装置から送信される前記
検出データを受信する第1通信部と、
前記検出データに基づいて、前記繊維原料再生装置に対して停止を指示する停止コマンドを前記第1通信部により前記繊維原料再生装置に送信させる第1制御部と、を備え、
前記繊維原料再生装置は、前記ウェブ形成部により第1のウェブを形成する第1製造モードと、前記ウェブ形成部によって前記第1のウェブよりも厚い第2のウェブを形成する第2製造モードとを実行可能であり、
前記繊維原料再生装置が有する前記第2制御部は、前記第2通信部により前記停止コマンドを受信した場合、前記繊維原料再生装置を前記第2製造モードに切り替えてから前記ウェブ形成部及び前記ウェブ搬送部を停止させる、制御システム。
【請求項2】
前記繊維原料再生装置が有する前記第2制御部は、前記停止コマンドに従って前記ウェブ形成部及び前記ウェブ搬送部のいずれか1以上を停止させ、
前記繊維原料再生装置の一部を停止させた通知を前記第2通信部により前記制御装置に送信させる、請求項
1記載の制御システム。
【請求項3】
繊維を含む原料から加工物を製造する繊維原料再生装置と、前記繊維原料再生装置に接続される制御装置と、を有し、
前記繊維原料再生装置は、
前記原料からウェブを形成するウェブ形成部と、
前記ウェブ形成部で形成された前記ウェブを搬送するウェブ搬送部と、
前記ウェブ形成部および前記ウェブ搬送部の少なくともいずれかにおける状態を検出する状態検出部と、
前記状態検出部の検出結果に基づき、前記ウェブの形成誤差要因の有無を判定する判定部と、を備え、
前記制御装置は、
前記繊維原料再生装置から送信される前記判定部の判定結果に関する検出データを受信する第1通信部と、
前記検出データに基づいて、前記繊維原料再生装置に対して停止を指示する停止コマンドを前記第1通信部により前記繊維原料再生装置に送信させる第1制御部と、を備え、
前記繊維原料再生装置が有する前記状態検出部は、前記ウェブ形成部および前記ウェブ搬送部のいずれかにおける湿度を検出し、
前記判定部は、前記状態検出部が検出した湿度と、湿度の基準値とを比較することにより、前記ウェブの形成誤差要因の有無を判定する、
制御システム。
【請求項4】
前記繊維原料再生装置が有する前記状態検出部は、前記ウェブ形成部および前記ウェブ搬送部のいずれかにおける前記原料または前記ウェブの搬送状態を検出し、
前記判定部は、前記状態検出部が検出した搬送状態が特定の状態に該当するか否かに基づき、前記ウェブの形成誤差要因の有無を判定する、請求項1から
3のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項5】
前記繊維原料再生装置が有する前記状態検出部は、前記ウェブ搬送部における前記ウェブの搬送速度を検出し、
前記判定部は、前記状態検出部が検出した搬送速度が特定の条件に該当するか否かに基づき、前記ウェブの形成誤差要因の有無を判定する、請求項1から
4のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項6】
繊維を含む原料から加工物を製造する繊維原料再生装置と、前記繊維原料再生装置に接続される制御装置と、を用い、
前記繊維原料再生装置により、
前記原料からウェブを形成するウェブ形成工程と、
前記ウェブを搬送するウェブ搬送工程と、
前記ウェブ形成工程および前記ウェブ搬送工程の少なくともいずれかにおける状態を検出する状態検出工程と、
前記状態検出工程の検出結果に基づき、前記ウェブの形成誤差要因の有無を判定する判定工程と、
前記判定工程の判定結果に関する検出データを前記制御装置に送信する工程と、を実行し、
前記制御装置により、
前記繊維原料再生装置から送信される
前記検出データを受信する受信工程と、
前記検出データに基づいて、前記繊維原料再生装置に対して停止を指示する停止コマンドを前記繊維原料再生装置に送信
する停止制御工程と、を実行
し、
前記繊維原料再生装置により、前記制御装置から前記停止コマンドを受信した場合に、前記停止コマンドに従って前記繊維原料再生装置を制御する工程を実行し、
前記繊維原料再生装置は、前記ウェブ形成工程で第1のウェブを形成する第1製造モードと、前記ウェブ形成工程で前記第1のウェブよりも厚い第2のウェブを形成する第2製造モードと、を実行可能に構成され、
前記繊維原料再生装置は、前記停止コマンドを受信した場合の工程において、前記繊維原料再生装置を前記第2製造モードに切り替えてから前記ウェブ形成工程及び前記ウェブ搬送工程を停止させる、制御方法。
【請求項7】
繊維を含む原料から加工物を製造する繊維原料再生装置と、前記繊維原料再生装置に接続される制御装置と、を用い、
前記繊維原料再生装置により、
前記原料からウェブを形成するウェブ形成工程と、
前記ウェブを搬送するウェブ搬送工程と、
前記ウェブ形成工程および前記ウェブ搬送工程の少なくともいずれかにおける状態を検出する状態検出工程と、
前記状態検出工程の検出結果に基づき、前記ウェブの形成誤差要因の有無を判定する判定工程と、を実行し、
前記制御装置により、
前記繊維原料再生装置から送信される前記判定工程の判定結果に関する検出データを受信する受信工程と、
前記検出データに基づいて、前記繊維原料再生装置に対して停止を指示する停止コマンドを前記繊維原料再生装置に送信する停止制御工程と、を実行し、
前記状態検出工程において、前記繊維原料再生装置により、前記ウェブ形成工程および前記ウェブ搬送工程のいずれかにおける湿度を検出し、
前記判定工程において、前記繊維原料再生装置により、前記状態検出工程で検出した湿度と、湿度の基準値とを比較することにより、前記ウェブの形成誤差要因の有無を判定する、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御システム、及び、制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、古紙を再生する装置の動作情報を、通信回線を通じて端末機器へ送信するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載のシステムでは、古紙再生処理装置が、エラーを検出したときにアラーム情報を表示し、表示した内容を示すコード情報を、通信回線を通じて送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたシステムによれば、古紙を再生する装置において、作業者による対処が必要な状態となったことを装置から離れた場所で確認できる。しかしながら、エラーの深刻化を低減することが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する一態様は、繊維を含む原料から加工物を製造する繊維原料再生装置と、前記繊維原料再生装置に接続される制御装置と、を有し、前記繊維原料再生装置は、前記原料からウェブを形成するウェブ形成部と、前記ウェブ形成部で形成された前記ウェブを搬送するウェブ搬送部と、前記ウェブ形成部および前記ウェブ搬送部の少なくともいずれかにおける状態を検出する状態検出部と、前記状態検出部の検出結果に基づき、前記ウェブの形成誤差要因の有無を判定する判定部と、を備え、前記制御装置は、前記繊維原料再生装置から送信される前記判定部の判定結果に関する検出データを受信する第1通信部と、前記検出データに基づいて、前記繊維原料再生装置に対して停止を指示する停止コマンドを前記第1通信部により前記繊維原料再生装置に送信させる第1制御部と、を備える、制御システムである。
【0006】
上記制御システムにおいて、前記繊維原料再生装置は、前記検出データを前記制御装置に送信する第2通信部と、前記第2通信部により停止コマンドを受信した場合に、前記停止コマンドに従って前記繊維原料再生装置を制御する第2制御部と、を備える構成であってもよい。
【0007】
上記制御システムにおいて、前記繊維原料再生装置が有する前記第2制御部は、前記停止コマンドに従って前記ウェブ形成部及び前記ウェブ搬送部のいずれか1以上を停止させ、前記繊維原料再生装置の一部を停止させた通知を前記第2通信部により前記制御装置に送信させる構成であってもよい。
【0008】
上記制御システムにおいて、前記繊維原料再生装置は、前記ウェブ形成部により第1のウェブを形成する第1製造モードと、前記ウェブ形成部によって前記第1のウェブよりも厚い第2のウェブを形成する第2製造モードとを実行可能であり、前記繊維原料再生装置が有する前記第2制御部は、前記第2通信部により前記停止コマンドを受信した場合、前記繊維原料再生装置を前記第2製造モードに切り替えてから前記ウェブ形成部及び前記ウェブ搬送部を停止させる構成であってもよい。
【0009】
上記制御システムにおいて、前記繊維原料再生装置が有する前記状態検出部は、前記ウェブ形成部および前記ウェブ搬送部のいずれかにおける湿度を検出し、前記判定部は、前記状態検出部が検出した湿度と、湿度の基準値とを比較することにより、前記ウェブの形成誤差要因の有無を判定する構成であってもよい。
【0010】
上記制御システムにおいて、前記繊維原料再生装置が有する前記状態検出部は、前記ウェブ形成部および前記ウェブ搬送部のいずれかにおける前記原料または前記ウェブの搬送状態を検出し、前記判定部は、前記状態検出部が検出した搬送状態が特定の状態に該当するか否かに基づき、前記ウェブの形成誤差要因の有無を判定する構成であってもよい。
【0011】
上記制御システムにおいて、前記繊維原料再生装置が有する前記状態検出部は、前記ウェブ搬送部における前記ウェブの搬送速度を検出し、前記判定部は、前記状態検出部が検出した搬送速度が特定の条件に該当するか否かに基づき、前記ウェブの形成誤差要因の有無を判定する構成であってもよい。
【0012】
上記目的を達成する一態様は、繊維を含む原料から加工物を製造する繊維原料再生装置と、前記繊維原料再生装置に接続される制御装置と、を用い、前記繊維原料再生装置により、前記原料からウェブを形成するウェブ形成工程と、前記ウェブを搬送するウェブ搬送工程と、前記ウェブ形成工程および前記ウェブ搬送工程の少なくともいずれかにおける状態を検出する状態検出工程と、前記状態検出工程の検出結果に基づき、前記ウェブの形成誤差要因の有無を判定する判定工程と、を実行し、前記制御装置により、前記繊維原料再生装置から送信される判定工程の判定結果に関する検出データを受信する受信工程と、前記検出データに基づいて、前記繊維原料再生装置に対して停止を指示する停止コマンドを前記繊維原料再生装置に送信させる停止制御工程と、を実行する、制御方法である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図4】搬送部を構成する加圧部、加熱部及び搬送部の構成を示す図。
【
図10】シート製造装置の動作を示すフローチャート。
【
図11】シート製造装置の動作を示すフローチャート。
【
図12】シート製造装置の動作を示すフローチャート。
【
図13】シート製造装置の動作を示すフローチャート。
【
図14】シート製造装置の動作を示すフローチャート。
【
図15】シート製造装置の動作を示すフローチャート。
【
図16】シート製造装置の動作を示すフローチャート。
【
図17】シート製造装置の動作を示すフローチャート。
【
図18】シート製造装置の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0015】
[1.制御システムの全体構成]
図1は、本発明を適用した実施形態に係る制御システム1の構成を示す図である。
制御システム1は、1または複数のシート製造装置100と、制御装置200とを備え、シート製造装置100と制御装置200とは通信ネットワークNにより通信可能に接続される。
【0016】
制御装置200は、通信ネットワークNを介した通信を実行する第1通信部201と、第1通信部201を制御する第1制御部202とを備える。第1制御部202は、シート製造装置100が送信する通知コマンドを受信する処理、及び、シート製造装置100に対して停止コマンドを送信する処理等を行う。通知コマンドは、検出データに相当する。
【0017】
シート製造装置100は、シート製造部101と、シート製造部101を制御する第2制御部150とを有し、シート製造部101により、後述するように原料MAからシートSを製造する。シート製造装置100は、本発明の繊維原料再生装置に相当する。
シート製造装置100は、通信ネットワークNを介した通信を実行する第2通信部118を備える。第2制御部150は、第2通信部118を制御して制御装置200との間で通信を実行する。
【0018】
第2制御部150は、シート製造部101がシートSを製造する動作中に、シート製造部101の動作状態を検出する。シート製造部101の動作状態が好適な状態から逸脱したことを検出した場合、第2制御部150は、制御装置200に対して通知コマンドを送信する。
【0019】
また、第2制御部150は、通知コマンドに応答して制御装置200が停止コマンドを送信し、この停止コマンドを受信した場合、停止コマンドに従ってシート製造部101の動作を停止させる。
【0020】
図1には2台のシート製造装置100を示すが、制御システム1が備えるシート製造装置100の数に制限はない。また、制御システム1が複数のシート製造装置100を備える場合、制御装置200は、制御システム1に含まれる各シート製造装置100を、識別情報により識別して、コマンドを送受信する。識別情報は、予めシート製造装置100の個体毎に付与される固有のIDや、ネットワークアドレス等を利用できる。
【0021】
通信ネットワークNは、公衆回線網、専用線、その他の通信回線、及び、各種の通信設備で構成されるネットワークであり、具体的な態様は制限されない。例えば、広域ネットワークであってもよいし、建物の内部に敷設されたローカルエリアネットワークであってもよい。また、無線通信回線を含む構成であってもよい。
【0022】
[2.シート製造装置の構成]
図2は、シート製造装置100の構成を示す図である。制御システム1を構成するシート製造装置100は、共通の構成とすることができる。
シート製造装置100は、繊維を含む原料MAを繊維化して、新しいシートSに再生する再生処理を実行する。シート製造装置100は、複数の種別のシートSを製造可能であり、例えば、原料MAに添加物を混合することにより、用途に合わせて、シートSの結合強度や白色度の調製や、色、香り、難燃等の機能を付加することもできる。また、シート製造装置100は、シートSの密度や厚さ、サイズ、形状を調整可能である。シートSの代表的な例として、A4やA3の定型サイズの印刷用紙、床掃除用シート等の掃除用シート、油汚れ用シート、トイレ掃除用シート等のシート状の製品の他に、紙皿形状等が挙げられる。
【0023】
シート製造装置100は、シートSを製造するシート製造部101を備える。シート製造部101は、供給部10、粗砕部12、解繊部20、選別部40、第1ウェブ形成部45、回転体49、混合部50、分散部60、第2ウェブ形成部70、ウェブ移動部79、成形部80、切断前搬送部88、及び、切断部90を備える。これらの各部は、上記の順序で、原料MAからシートSを製造する製造工程を実行する。シート製造装置100は、シートSを製造する工程における中間製造物として、後述する加圧後シートSS1及び加熱後シートSS2を形成する。
【0024】
シート製造部101は、ウェブ形成部102、及びウェブ搬送部103を含む。ウェブ形成部102は、第2ウェブW2を形成する機能部であり、具体的には分散部60及び第2ウェブ形成部70を含む。また、シートSの製造工程において供給部10からウェブ移動部79の各部をウェブ形成部102に含めてもよく、この場合、ウェブ形成部102は、原料MAから第2ウェブW2を形成する。
ウェブ搬送部103は、第2ウェブ形成部70で形成された第2ウェブW2を搬送する。ウェブ搬送部103は、成形部80及び切断前搬送部88を含む。
また、ウェブ搬送部103より後の工程を実行する切断部90を、シート製造部101に含めてもよい。
【0025】
供給部10は、原料MAを収容し、粗砕部12に原料MAを連続的に投入する自動投入装置である。原料MAは、繊維を含むものであればよく、例えば、古紙、廃棄紙、パルプシートである。
粗砕部12は、供給部10によって供給された原料MAを裁断する粗砕刃14を備え、原料MAを粗砕刃14により空気中で裁断して、数cm角の細片にする。細片の形状や大きさは任意である。粗砕部12は、例えばシュレッダーを用いることができる。粗砕部12には、第1中間ブロアー31を有する管2が接続される。
【0026】
第1中間ブロアー31は、例えば、モーター、モーターにより駆動されて回転する羽根、及び、羽根を収容するケースを備える。本実施形態で他のブロアーも同様の構成とすることができる。第1中間ブロアー31は、管2の内部に、粗砕部12から解繊部20に向かう気流を発生させる。粗砕部12で裁断された原料MAは、第1中間ブロアー31が発生する気流により、管2を通じて解繊部20に搬送される。
【0027】
解繊部20は、粗砕部12によって裁断された粗砕片を解繊する。解繊とは、複数の繊維が結着された状態の原料MAを、1本または少数の繊維に解きほぐす加工である。原料MAは、被解繊物と呼ぶこともできる。解繊部20が原料MAを解繊することにより、原料MAに付着した樹脂粒やインク、トナー、にじみ防止剤等の物質を、繊維から分離させる効果も期待できる。解繊部20を通過したものを解繊物という。解繊物は、解きほぐされた解繊物繊維の他に、繊維を解きほぐす際に繊維から分離された樹脂粒や、インク、トナーなどの色剤や、にじみ防止材、紙力増強剤等の添加剤を含んでいてもよい。解繊物に含まれる樹脂粒は、原料MAの製造時に複数の繊維同士を結着させるために混合された樹脂である。解繊物に含まれる繊維の形状は、ひも状や平ひも状である。解繊物に含まれる繊維は、他の繊維と絡み合っていない、独立した状態で存在してもよい。或いは、他の解きほぐされた解繊物と絡み合って塊状となり、いわゆるダマを形成している状態で存在してもよい。
【0028】
解繊部20は、粗砕部12によって裁断された粗砕片を、乾式で解繊する装置である。解繊部20は、例えば、インペラーミルなどの解繊機で構成できる。本実施形態の解繊部20は、筒状の固定子22と、固定子22の内部で回転するローター24とを備え、固定子22の内周面およびローター24の外周面に解繊刃が形成されたミルである。ローター24の回転により、粗砕片が固定子22とローター24との間に挟まれて解繊される。乾式とは、液体中ではなく、空気中等の気中において、解繊等の処理を行うことを指す。
【0029】
解繊部20には、第2中間ブロアー32を有する管3が接続される。第2中間ブロアー32は、管3の内部に、解繊部20から選別部40に向かう気流を発生させる。解繊部20が解繊した解繊物MBは、第2中間ブロアー32が発生する気流によって、解繊部20の排出口から管3を通じて選別部40に送られる。
【0030】
選別部40は、解繊物MBに含まれる成分を繊維のサイズによって選別する。繊維のサイズとは、主に繊維の長さを指す。
本実施形態の選別部40は、ドラム部41と、ドラム部41を収容するハウジング部43とを有する。ドラム部41は、例えば、開口を有する網、フィルター、スクリーン等の、いわゆる篩である。具体的には、ドラム部41は、モーターによって回転駆動される円筒形状であり、周面の少なくとも一部が網となっている。ドラム部41は、金網、切れ目が入った金属板を引き延ばしたエキスパンドメタル、パンチングメタル等で構成されてもよい。ドラム部41は、後述する第1ドラム駆動部325によって駆動され、回転する。
【0031】
解繊物MBは、管3を通じて導入口42に達し、導入口42からドラム部41の内部に導入される。解繊物MBは、ドラム部41の回転により、ドラム部41の開口を通過する通過物と、開口を通過しない残留物とに分けられる。開口を通過した通過物は、開口より小さい繊維または粒子を含み、これを第1選別物とする。残留物は、開口より大きい繊維や未解繊片やダマを含み、これを第2選別物と呼ぶ。第1選別物は、ハウジング部43内の内部を、第1ウェブ形成部45に向けて下降する。第2選別物は、ドラム部41の内部に連通する排出口44から、管8を介して解繊部20に搬送される。
【0032】
シート製造装置100は、選別部40に代えて、第1選別物と第2選別物とを分離する分級機を備えてもよい。分級機は、例えば、サイクロン分級機、エルボージェット分級機、エディクラシファイヤーである。
【0033】
第1ウェブ形成部45は、ドラム部41の下方に位置するメッシュベルト46を有し、選別部40で分離された第1選別物をウェブ状に成形することにより、第1ウェブW1を形成する。
【0034】
第1ウェブ形成部45は、メッシュベルト46と、張架ローラー47と、吸引部48と、を備える。メッシュベルト46は、無端形状の金属製ベルトであり、複数の張架ローラー47に架け渡される。いずれか1以上の張架ローラー47は、後述する第1ベルト駆動部326により駆動されて回転し、メッシュベルト46を移動させる。メッシュベルト46は、張架ローラー47により構成される軌道を周回する。メッシュベルト46の軌道の一部は、ドラム部41の下方で平坦であり、メッシュベルト46は平坦面を構成する。
【0035】
メッシュベルト46には多数の開口が形成され、ドラム部41から降下する第1選別物のうち、メッシュベルト46の開口より大きい成分がメッシュベルト46に堆積する。第1選別物のうちメッシュベルト46の開口より小さい成分は、開口を通過する。メッシュベルト46の開口を通過する成分を第3選別物と呼び、例えば、メッシュベルト46の開口より短い繊維や、解繊部20によって繊維から分離された樹脂粒、インク、トナー、にじみ防止剤等を含む粒子を含む。
【0036】
吸引部48には管4が接続され、管4には第1集塵ブロアー33が設けられる。第1集塵ブロアー33は、気流を発生させて、吸引部48から空気を吸引する。管4において、第1集塵ブロアー33の上流には第1フィルター38Aが配置され、第1集塵ブロアー33の下流には第1排気ボックス39Aが配置される。第1フィルター38Aは、吸引部48から第1集塵ブロアー33に流れる空気中の物体を捕集する。例えば、第1フィルター38Aは、メッシュベルト46の開口を通過した第3選別物を捕集する。第1排気ボックス39Aは、排気口を有し、第1フィルター38Aを通過した空気をシート製造装置100の外部に排気する。第1排気ボックス39Aは、排気口から出る第1集塵ブロアー33の動作音等を低減させる消音構造を備えてもよい。
【0037】
吸引部48が吸引する気流はドラム部41から降下する第1選別物をメッシュベルト46に引き寄せるので、堆積を促進する効果がある。
【0038】
メッシュベルト46に堆積した成分は、ウェブ形状となり、第1ウェブW1を構成する。つまり、第1ウェブ形成部45は、選別部40で選別された第1選別物から第1ウェブW1を形成する。
【0039】
第1ウェブW1は、第1選別物に含まれる成分のうち、メッシュベルト46の開口より大きい繊維を主たる成分としており、空気を多く含み柔らかくふくらんだ状態に形成される。第1ウェブW1は、メッシュベルト46の移動に伴い回転体49に搬送される。
【0040】
ハウジング部43から回転体49に向けて第1ウェブW1が搬送される経路には、第1ミスト調湿部77が配置される。第1ミスト調湿部77は、水をミスト状にしてメッシュベルト46に向けて供給するミスト式加湿器である。第1ミスト調湿部77は、例えば、水を貯留するタンクや、水をミスト状にする超音波振動子を備える。
第1ミスト調湿部77が供給するミストにより、第1ウェブW1の含有水分量が調整され、静電気によるメッシュベルト46への繊維の吸着等を抑制できる。
【0041】
メッシュベルト46を挟んで第1ミスト調湿部77に対向する位置に、管5が配置される。管5の先端はメッシュベルト46に向けて開口し、管5には第2集塵ブロアー34が設けられる。第2集塵ブロアー34は、管5を通じて空気を吸引するブロアーである。第2集塵ブロアー34が発生する気流により、メッシュベルト46、及びメッシュベルト46上の第1ウェブW1を通過して、空気が吸引される。第2集塵ブロアー34が発生する気流により、第1ミスト調湿部77が供給するミストが効果的に第1ウェブW1に付着し、第1ウェブW1が調湿される効果がある。管5において第2集塵ブロアー34の下流は、後述する第2フィルター38Bに接続される。
【0042】
回転体49は、複数の板状の羽根を備え、後述する回転体駆動部327により駆動されて、回転する。回転体49は、メッシュベルト46の軌道の端部に配置され、メッシュベルト46が搬送する第1ウェブW1がメッシュベルト46から突出したところに接触する。第1ウェブW1は、第1ウェブW1に衝突する回転体49によって解きほぐされ、小さい繊維の塊となり、管7を通って混合部50に搬送される。第1ウェブW1が回転体49で分断された材料を、材料MCとする。材料MCは上述した第1選別物から、第3選別物を除去したものであり、主な成分は繊維である。
【0043】
このように、選別部40及び第1ウェブ形成部45は、解繊物MBから、主として繊維を含む材料MCを分離する機能を有する。
【0044】
添加物供給部52は、材料MCを輸送する管54に、添加材料ADを添加する装置である。添加物供給部52は、添加材料ADを蓄積する添加物カートリッジ52aがセットされる。添加物カートリッジ52aは、添加材料ADを収容するタンクであり、添加物供給部52に着脱可能であってもよい。添加物供給部52は、添加物カートリッジ52aから添加材料ADを取り出す添加物取出部52bと、添加物取出部52bにより取り出された添加材料ADを管54に排出する添加物投入部52cとを備える。添加物取出部52bは、添加材料ADを添加物投入部52cに送り出すフィーダーを備える。添加物投入部52cは、開閉可能なシャッターを備え、シャッターを開くことにより添加材料ADを管54に送り出す。
【0045】
添加材料ADは、複数の繊維を結着させるための結着剤を含んでもよい。結着剤は、例えば合成樹脂、または天然樹脂である。添加材料ADに含まれる樹脂は、成形部80を通過する際に溶融して、複数の繊維を結着させる。この樹脂は、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂であり、例えば、AS樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、などである。これらの樹脂は、単独または適宜混合して用いてもよい。
【0046】
添加材料ADは、繊維を結着させる樹脂以外の成分を含んでもよい。例えば、製造されるシートSの種類に応じて、繊維を着色するための着色剤や、繊維の凝集や樹脂の凝集を抑制するための凝集抑制剤、繊維等を燃えにくくするための難燃剤等が含まれていてもよい。また、添加材料ADは繊維状であってもよく、粉末状であってもよい。
【0047】
混合部50は、混合ブロアー56により、材料MCと添加材料ADとを混合する。管54を混合部50に含めてもよい。
【0048】
混合ブロアー56は、管7と分散部60とを繋ぐ管54に気流を発生させ、材料MCと添加材料ADとを混合する。混合部50で混合された混合物を、混合物MXとする。混合物MXは、混合ブロアー56が発生する気流により、管54を通じて分散部60に搬送され、分散部60に導入される。
【0049】
混合ブロアー56は、シート製造装置100が備える他のブロアーと同様に、例えば、モーター、モーターにより駆動されて回転する羽根、及び、羽根を収容するケースを備える構成であってもよい。また、混合ブロアー56は、気流を発生させる羽根の他に、材料MCと添加材料ADとを混合させるミキサーを備えてもよい。
【0050】
分散部60は、混合物MXの繊維をほぐして、大気中で分散させながら第2ウェブ形成部70に降下させる。添加材料ADが繊維状である場合、これらの繊維も分散部60で解きほぐされ、第2ウェブ形成部70に降下する。
【0051】
分散部60は、ドラム部61と、ドラム部61を収容するハウジング部63と、を有する。ドラム部61は、例えばドラム部41と同様に構成される円筒形状の構造体である。り、ドラム部61は、後述する第2ドラム駆動部328により駆動されて回転し、篩として機能する。ドラム部61は、開口を有し、ドラム部61の回転によって解きほぐされた混合物MXを、開口から下降させる。これにより、ハウジング部63の内部に形成される内部空間62では、ドラム部61から混合物MXが降下する。
【0052】
ドラム部61の下方には第2ウェブ形成部70が配置される。第2ウェブ形成部70は、メッシュベルト72と、張架ローラー74と、吸引部76と、を有する。
【0053】
メッシュベルト72は、メッシュベルト46と同様の無端形状の金属製ベルトで構成され、複数の張架ローラー74に架け渡される。いずれか1以上の張架ローラー74は、子後述する第2ベルト駆動部329によって駆動されて回転し、メッシュベルト72を駆動する。メッシュベルト72は、張架ローラー74により構成される軌道を周回しながら、符号F1で示す搬送方向に移動する。メッシュベルト72の軌道の一部は、ドラム部61の下方で平坦であり、メッシュベルト72は平坦面を構成する。
【0054】
メッシュベルト72には多数の開口が形成され、ドラム部61から降下する混合物MXのうち、メッシュベルト72の開口より大きい成分がメッシュベルト72に堆積する。また、混合物MXのうちメッシュベルト72の開口より小さい成分は、開口を通過する。
【0055】
吸引部76には管6が接続され、管6には回収ブロアー37が設けられる。回収ブロアー37は、気流を発生させて、吸引部76から空気を吸引する。吸引部76は、回収ブロアー37の吸引力により、メッシュベルト72に対してドラム部61とは反対側から、空気を吸引する。メッシュベルト72の開口を通過した成分は吸引部76によって吸い込まれる。吸引部76が吸引する気流は、ドラム部61から降下する混合物MXをメッシュベルト72に引き寄せて、堆積を促進する。また、吸引部76の気流は、ドラム部61から混合物MXが落下する経路にダウンフローを形成し、落下中に繊維が絡み合うことを防ぐ効果も期待できる。
【0056】
管4において、回収ブロアー37の下流は、図示しない管路により管2に接続される。回収ブロアー37が吸引部76から吸引する気流は、混合物MXのうちメッシュベルト72を通過した成分を含む。この成分は、回収ブロアー37により管2に搬送され、解繊部20に戻る。
【0057】
メッシュベルト72の搬送経路において、分散部60の下流側には、第2ミスト調湿部78が設けられる。第2ミスト調湿部78は、第1ミスト調湿部77と同様に、水をミスト状にしてメッシュベルト72に向けて供給するミスト式加湿器である。第2ミスト調湿部78はメッシュベルト72上の第2ウェブW2にミストを供給する。これにより、第2ウェブW2の含有水分量が調整され、静電気によるメッシュベルト72への繊維の吸着等を抑制する。
【0058】
第2ウェブW2は、ウェブ移動部79によって、メッシュベルト72から剥がされて成形部80へと搬送される。ウェブ移動部79は、メッシュベルト79aと、ローラー79bと、サクション機構79cと、を有する。
サクション機構79cは、図示しないブロアーを備え、ブロアーの吸引力によってメッシュベルト79aを通じて上向きの気流を発生させる。メッシュベルト79aは、メッシュベルト46、及び、メッシュベルト72と同様に、開口を有する無端形状の金属製ベルトで構成できる。メッシュベルト79aは、ローラー79bの回転により移動され、周回軌道上を移動する。ウェブ移動部79では、サクション機構79cの吸引力により、第2ウェブW2がメッシュベルト72から離れてメッシュベルト79aに吸着される。第2ウェブW2は、メッシュベルト79aとともに移動し、成形部80に搬送される。
サクション機構79cは、図示しない管路を経由して、第2フィルター38Bに接続される。
【0059】
メッシュベルト72を挟んで第2ミスト調湿部78に対向する位置に、管9が配置される。管9の先端はメッシュベルト72に向けて開口し、管9には第3集塵ブロアー35が設けられる。第3集塵ブロアー35は、管9を通じて空気を吸引するブロアーである。第3集塵ブロアー35が発生する気流により、メッシュベルト72、及びメッシュベルト72上の第2ウェブW2を通過して、空気が吸引される。第3集塵ブロアー35が発生する気流により、第2ミスト調湿部78が供給するミストが効果的に第2ウェブW2に付着し、第2ウェブW2が調湿される効果がある。
【0060】
管9において、第3集塵ブロアー35の下流には、第2フィルター38B、第4集塵ブロアー36、及び、第2排気ボックス39Bが配置される。第4集塵ブロアー36は、第2フィルター38Bを通じて、管9から空気を吸引する。第2フィルター38Bの上流には、管5及びサクション機構79cが接続される。すなわち、第2フィルター38Bの上流において、管9に、管5及びサクション機構79cから延びる管路が接続される。
【0061】
第2フィルター38Bは、第3集塵ブロアー35により吸引された気流、管5を流れる気流、および、サクション機構79cが吸引した気流に含まれる物体を捕集する。第2フィルター38Bにより、メッシュベルト46を通過した成分と、メッシュベルト72を通過した成分とが捕集される。第4集塵ブロアー36は、第2フィルター38Bを通じて吸引した気流を第2排気ボックス39Bに排気する。
【0062】
第2排気ボックス39Bは、排気口を有し、第2フィルター38Bを通過した空気をシート製造装置100の外部に排気する。第2排気ボックス39Bは、排気口から出る第4集塵ブロアー36の動作音等を低減させる消音構造を備えてもよい。
【0063】
成形部80は、加圧部82、及び、加熱部84を備える。加圧部82は、一対の加圧ローラー85、85を備え、第2ウェブW2を所定のニップ圧で加圧して、第2ウェブW2の厚みを調整し、第2ウェブW2を高密度化する。加圧部82の加工により、第2ウェブW2から加圧後シートSS1が形成される。
【0064】
加熱部84は、一対の加熱ローラー86を備え、加圧後シートSS1に対して熱を加えることにより、材料MC由来の繊維を、添加材料ADに含まれる樹脂により結着させる。これにより、加圧後シートSS1から加熱後シートSS2が形成される。加熱後シートSS2は、成形部80により加圧および加熱されて、第2ウェブW2の強度、弾性および密度が増したシート状の中間製造物である。加熱後シートSS2は、切断前搬送部88により切断部90に搬送される。
【0065】
切断部90は、カッター91を備える。カッター91は、後述するカッター駆動部330によって駆動されて、加熱後シートSS2を挟んで切断する加工を行い、設定されたサイズのシートSを製造する。カッター91は、例えば、搬送方向Fと交差する方向に加熱後シートSS2を切断する。また、切断部90は、搬送方向Fに平行な方向に加熱後シートSS2を切断する第2のカッターを備えてもよい。
【0066】
切断部90でカットされたシートSは排出部96に排出される。排出部96は、シートSを収容するトレイやスタッカーを備える。ユーザーは、排出部96に収容されたシートSを取り出して使用できる。
【0067】
シート製造装置100は、第1ウェブW1を、回転体49以降の工程に搬送する構成に限定されず、例えば、第1ウェブW1をシート製造装置100から取り出して貯留することも可能である。また、第1ウェブW1を所定のパッケージに封入し、搬送および取引可能な形態としてもよい。この場合、シート製造装置100において、貯留された第1ウェブW1を回転体49または混合部50に供給して、シートSを製造可能な構成としてもよい。
【0068】
シート製造装置100は、材料の搬送状態を検出する第1搬送センサー303、第2搬送センサー304、及び第3搬送センサー305を備える。
第1搬送センサー303は、粗砕刃14と解繊部20とを接続する管2に設けられ、管2の内部を流れる粗砕物の流動状態を検出する。第1搬送センサー303の設置位置は、第1中間ブロアー31の上流であっても下流であってもよい。また、第1搬送センサー303の設置位置は、管2に管8が接続された合流部より上流であっても下流であってもよい。
【0069】
第2搬送センサー304は、解繊部20と選別部40とを接続する管3に設けられ、管3の内部を流れる解繊物MBの流動状態を検出する。第2搬送センサー304の設置位置は、第2中間ブロアー32の上流であっても下流であってもよい。
【0070】
第3搬送センサー305は、混合部50と分散部60とを接続する管54に設けられ、管54の内部を流れる混合物MXの流動状態を検出する。第3搬送センサー305の設置位置は、混合ブロアー56の上流であっても下流であってもよい。
【0071】
第1搬送センサー303、第2搬送センサー304、第3搬送センサー305は、管2、3、54の内部における材料の流動状態を検出できればよく、具体的な構成は任意である。例えば、第1搬送センサー303、第2搬送センサー304、第3搬送センサー305は、管2、3、54の内部の圧力を検出する圧力センサーを用いることができる。
【0072】
第1搬送センサー303の検出値は、管2の内部で粗砕物の搬送不良を生じた場合に変動する。粗砕物の搬送不良とは、粗砕物により管2が詰まった場合や、管2の内壁に粗砕物が付着することにより管2内部で気流が流動する断面積が縮小した場合をいう。第2搬送センサー304、及び第3搬送センサー305も同様である。
【0073】
例として、第1搬送センサー303が管2の内部の圧力を検出する圧力センサーで構成され、第1搬送センサー303が第1中間ブロアー31の下流に位置する場合を想定する。この場合、粗砕物の搬送不良が発生すると、第1中間ブロアー31が発生する気流が解繊部20に流れにくくなるため、第1搬送センサー303が検出する圧力が上昇する。また、第1搬送センサー303が第1中間ブロアー31の上流に配置された場合、粗砕物の搬送不良が発生すると、第1中間ブロアー31が吸引する気流が弱まるため、第1搬送センサー303が検出する圧力が上昇する。このように、第1搬送センサー303として圧力センサーを用いる場合、管2における粗砕物の流動状態を検出できる。
第2搬送センサー304、及び第3搬送センサー305として圧力センサーを用いた場合も同様である。
【0074】
また、例えば、第1搬送センサー303、第2搬送センサー304、第3搬送センサー305は、管2、3、54の内部を流れる気流の流速を検出する風速センサーであってもよい。例えば、第1搬送センサー303が風速センサーで構成される場合、管2の内部で粗砕物の詰まりが発生すると、第1搬送センサー303が検出する風速が低下する。また、管2の内壁に粗砕物が付着し、管2が詰まっていない状態では、第1搬送センサー303が検出する風速が上昇する。このように、第1搬送センサー303として圧力センサーを用いる場合、管2における粗砕物の流動状態を検出できる。第2搬送センサー304、及び第3搬送センサー305として風速センサーを用いた場合も同様である。
【0075】
また、例えば、第1搬送センサー303、第2搬送センサー304、第3搬送センサー305は、管2、3、54の内部を流れる気流の流量を検出する風量センサーであってもよい。例えば、第1搬送センサー303が風量センサーで構成される場合、管2の内部で粗砕物の搬送不良が発生すると、第1搬送センサー303が検出する風量が低下する。第2搬送センサー304、及び第3搬送センサー305として風速センサーを用いた場合も同様である。
【0076】
本実施形態では、一例として、第1搬送センサー303、第2搬送センサー304及び第3搬送センサー305として圧力センサーを用いた構成を説明する。この構成では、第1搬送センサー303、第2搬送センサー304及び第3搬送センサー305のそれぞれは、その設置位置で搬送不良が発生した場合に、検出する圧力が上昇する。
【0077】
シート製造装置100の動作は、コントローラー110によって制御される。コントローラー110の構成および機能については後述する。
【0078】
[3.シート製造装置の加湿空間]
図3は、シート製造装置100の構成を示す図であり、気化式加湿器によって加湿空気を供給する構成を特に示す。
図3では、
図2で説明した一部の符号の図示を省略する。
【0079】
図3に示すように、シート製造装置100は、第1チャンバー401、第2チャンバー402、及び、第3チャンバー403を備える。第1チャンバー401、第2チャンバー402及び第3チャンバー403の内部は、外部空間と仕切られるが、完全な気密性は要求されない。また、第1チャンバー401、第2チャンバー402及び第3チャンバー403の形状は、制限されない。
【0080】
第1チャンバー401は、メッシュベルト46が移動する経路を収容する。第1チャンバー401は、ハウジング部43を収容してもよいし、第1ミスト調湿部77及び回転体49を収容してもよい。
【0081】
第1チャンバー401には、第1気化式加湿器421が接続される。第1気化式加湿器421は、例えば、貯水槽、フィルター及びファンを備え、フィルター水を浸潤させて、フィルターに空気を通過させることにより、調湿空気を生成する装置である。第1気化式加湿器421は、調湿空気を第1チャンバー401の内部に供給する。これにより、第1チャンバー401の内部空間は、第1チャンバー401の外よりも湿度が高く調湿された空間となる。
【0082】
第1チャンバー401には、第1チャンバー401の内部空間の湿度を検出する第1湿度センサー411が設置される。第1湿度センサー411は、後述するようにコントローラー110に接続され、コントローラー110によって第1湿度センサー411の検出値を取得できる。
【0083】
第2チャンバー402には、第2気化式加湿器422が接続される。また、第3チャンバー403には第3気化式加湿器423が接続される。第2気化式加湿器422及び第3気化式加湿器423は、第1気化式加湿器421と同様に構成される加湿器である。第2気化式加湿器422は、第2チャンバー402に調湿空気を供給し、第3気化式加湿器423は第3チャンバー403に調湿空気を供給する。これにより、第2チャンバー402、及び第3チャンバー403の内部空間は、その外部よりも高い湿度に調湿される。
【0084】
第2チャンバー402は、メッシュベルト72が移動する経路の少なくとも一部を収容する。第2チャンバー402は、ハウジング部63を収容してもよいし、第2ミスト調湿部78及びウェブ移動部79を収容してもよい。
【0085】
第3チャンバー403は、切断部90を収容する。詳細には、第3チャンバー403は、カッター91と、カッター91によりカットされる加熱後シートSS2の搬送路とを収容する。
【0086】
第2チャンバー402には第2湿度センサー412が設置される。また、第3チャンバー403には第3湿度センサー413が設置される。第2湿度センサー412及び第3湿度センサー413は、第1湿度センサー411と同様に湿度を検出する。コントローラー110は、第2湿度センサー412、及び第3湿度センサー413の検出値を、それぞれ取得できる。
【0087】
[4.加圧部及び加熱部の構成]
図4は、搬送部を構成する加圧部82、加熱部84及び切断前搬送部88の構成を示す図である。搬送部は、第2ウェブW2、加圧後シートSS1、及び加熱後シートSS2を搬送する。第2ウェブW2、加圧後シートSS1、及び加熱後シートSS2を、被搬送物FMと総称する。被搬送物FMは被加工物に相当する。被搬送物FMが搬送される経路を、搬送経路FWとする。
【0088】
図4には、第2ウェブW2からシートSが製造される過程における材料の搬送方向を符号Fで示し、本実施形態では一例として、搬送方向Fを水平とする。
図4に、搬送方向Fに対する上下方向を矢印U、Dで示す。矢印Uは上向きであり、矢印Dは下向きである。
【0089】
加圧部82は、搬送経路FWを挟んで対向する一対の加圧ローラー85を有する。2つの加圧ローラー85は、後述する油圧駆動部331の動力により、互いに接近する方向に加圧される。この圧力により、第2ウェブW2は、加圧ローラー85のニップ部82Aで加圧されて高密度化され、加圧後シートSS1となる。
【0090】
一対の加圧ローラー85の一方、または両方は、後述する加圧ローラー駆動部341により駆動される駆動ローラーであり、加圧ローラー85の回転速度はコントローラー110により制御される。一対の加圧ローラー85は、それぞれ図中に矢印で示す方向に回転し、加圧後シートSS1を加熱部84に向けて搬送する。
【0091】
以下の説明では、加圧ローラー85の回転速度を回転速度R1とする。搬送経路FWのU側の加圧ローラー85、及び、D側の加圧ローラー85の回転速度はほぼ等しいといえる。加圧ローラー85の回転により第2ウェブW2及び加圧後シートSS1が搬送される速度を、搬送速度V1とする。
【0092】
加熱部84は、搬送経路FWを挟んで対向する一対の加熱ローラー86を有する。2つの加熱ローラー86は、それぞれ、後述するローラー加熱部332により、設定された温度に加熱される。ローラー加熱部332は、例えば、加熱ローラー86を加熱するヒーターを備える。ローラー加熱部332を構成するヒーターの具体的な態様として、加熱ローラー86の外周面に接するヒーター、或いは、加熱ローラー86の内部に配置されるヒーター等が挙げられる。これらのヒーターは、セラミックヒーターを含む抵抗体ヒーター、熱線放射型のヒーター、マイクロ波により加熱ローラー86を加熱するヒーター等を用いることができる。また、加熱ローラー86は、発熱体が一体として組み込まれた構成であってもよい。
【0093】
加熱部84は、一対の加熱ローラー86により加圧後シートSS1を挟み、加圧後シートSS1を加熱する。加圧後シートSS1は、加熱ローラー86により、添加材料ADに含まれる結着剤のガラス転移点温度より高い温度に加熱されるので、混合物MXに含まれる繊維が結着剤により結合され、加熱後シートSS2となる。加熱後シートSS2は、繊維が結着剤により結合されているため、第2ウェブW2、及び加圧後シートSS1と比較して、全体として弾性および硬度が高い。加熱後シートSS2は、シート形状を維持できる程度の強度を有する。
【0094】
加熱ローラー86の一方、または両方は、後述する加熱ローラー駆動部342により駆動される駆動ローラーである。加熱ローラー86の回転速度はコントローラー110により制御される。一対の加熱ローラー86は、それぞれ図中に矢印で示す方向に回転し、加熱後シートSS2を、切断部90に向けて搬送する。以下の説明では、加熱ローラー86の回転速度を回転速度R2とする。搬送経路FWのU側の加熱ローラー86、及び、D側の加熱ローラー86の回転速度はほぼ等しいといえる。加熱ローラー86の回転により加圧後シートSS1及び加熱後シートSS2が搬送される速度を、搬送速度V2とする。
【0095】
加熱部84と切断部90との間、すなわち搬送方向Fにおいて加熱部84の下流には、切断前搬送部88が配置される。切断前搬送部88は、一対の搬送ローラー89を備え、搬送ローラー89により加熱後シートSS2を挟んで、切断部90に向けて搬送する。搬送ローラー89は、後述する搬送ローラー駆動部343により駆動される駆動ローラーである。搬送ローラー89の回転速度はコントローラー110により制御される。切断前搬送部88において、1つの搬送ローラー89が駆動ローラーであり、1つの搬送ローラー89が従動ローラーであってもよいし、2つの搬送ローラー89が駆動ローラーであってもよい。
【0096】
一対の搬送ローラー89は搬送経路FWを挟んで対向して配置される。搬送ローラー89の回転速度はコントローラー110により制御される。一対の搬送ローラー89は、それぞれ図中に矢印で示す方向に回転し、加熱後シートSS2を、切断部90に向けて搬送する。以下の説明では、搬送ローラー89の回転速度を回転速度R3とする。搬送経路FWのU側の搬送ローラー89、及び、D側の搬送ローラー89の回転速度は等しいものと考える。搬送ローラー89の回転により加熱後シートSS2が搬送される速度を、搬送速度V3とする。
【0097】
[5.バッファー部の構成]
搬送経路FWにおいて、加圧部82と加熱部84との間を、第1バッファー部801とする。より詳細には、第1バッファー部801は、ニップ部82Aとニップ部84Aとの間である。第1バッファー部801には、加圧後シートSS1に対しU側から接する第1テンションローラー811が配置される。第1テンションローラー811には、D方向を向く外力が与えられており、この外力により第1テンションローラー811は加圧後シートSS1をD方向に押圧する。
【0098】
第1バッファー部801では、搬送速度V1よりも搬送速度V2が低速である場合に、第1バッファー部801における加圧後シートSS1の長さが、ニップ部82Aとニップ部84Aとの最短距離より長くなり、加圧後シートSS1の弛みが発生する。つまり、ニップ部82Aとニップ部84Aとの最短距離より長い分だけ、加圧後シートSS1が余る。第1テンションローラー811は、加圧後シートSS1を押圧してD側に移動する。加圧後シートSS1は、長さが余った分だけ、第1テンションローラー811によりD側に押されて移動するので、加圧後シートSS1に張力が与えられ、弛みが抑制される。
【0099】
第1テンションローラー811は、加圧後シートSS1の余り量に応じてU-D方向に移動する。詳細には、余り量が大きい場合はD方向に移動し、余り量が小さい場合はU方向に移動する。
【0100】
搬送経路FWにおいて、加熱部84と切断前搬送部88との間を第2バッファー部802とする。第2バッファー部802は、より詳細には、ニップ部84Aとニップ部88Aとの間である。第2バッファー部802には、加熱後シートSS2に対しU側から接する第2テンションローラー812が配置される。第2テンションローラー812には、D方向を向く外力が与えられており、この外力により第2テンションローラー812は加熱後シートSS2をD方向に押圧する。
【0101】
第2バッファー部802では、搬送速度V2よりも搬送速度V3が低速である場合に、第2バッファー部802における加熱後シートSS2の長さが、ニップ部84Aとニップ部88Aとの最短距離より長くなり、加熱後シートSS2の弛みが発生する。つまり、ニップ部84Aとニップ部88Aとの最短距離より長い分だけ、加熱後シートSS2が余る。第2テンションローラー812は、加熱後シートSS2を押圧してD側に移動する。加熱後シートSS2は、長さが余った分だけ、第2テンションローラー812によりD側に押されて移動するので、加熱後シートSS2に張力が与えられ、弛みが抑制される。
【0102】
第2テンションローラー812は、加熱後シートSS2の余り量に応じてU-D方向に移動する。詳細には、余り量が大きい場合はD方向に移動し、余り量が小さい場合はU方向に移動する。
【0103】
第1バッファー部801及び第2バッファー部802は、被搬送物FMの搬送を安定化させる機能を有する。搬送速度V1より搬送速度V2が高速である場合、加圧後シートSS1に過度の張力が加わる可能性がある。このため、コントローラー110は、搬送速度V2が搬送速度V1以下の速度となるように、加圧ローラー85及び加熱ローラー86の回転を制御する。この制御の結果、搬送速度V2と搬送速度V1との速度差により、第1バッファー部801で加圧後シートSS1が余ると、加圧後シートSS1の余り量に応じて第1テンションローラー811が移動して、加圧後シートSS1の弛みを抑制する。
【0104】
同様に、コントローラー110は、搬送速度V3が搬送速度V2以下の速度となるように制御する。この制御の結果、搬送速度V3と搬送速度V2との速度差により、第2バッファー部802で加熱後シートSS2が余ると、加熱後シートSS2の余り量に応じて第2テンションローラー812が移動して、加熱後シートSS2の弛みを抑制する。
【0105】
従って、第1バッファー部801及び第2バッファー部802において、被搬送物FMの弛み、及び、被搬送物FMに対する過度の緊張が発生しないように、被搬送物FMを搬送できる。
【0106】
図4に、第1バッファー部801で加圧後シートSS1の余り量が最小の場合の加圧後シートSS1の位置P81を破線で示す。位置P81は、第1バッファー部801で加圧後シートSS1が最も短い場合の搬送経路FWである。また、加圧後シートSS1の余り量が小さい場合の第1テンションローラー811の位置P82を破線で示し、加圧後シートSS1の余り量が大きい場合の第1テンションローラー811の位置P83を破線で示す。位置P82は、加圧後シートSS1が最も短い場合の第1テンションローラー811の位置であってもよいが、その位置よりもD側にシフトした位置であることが好ましい。
【0107】
第1バッファー部801には、加圧後シートSS1を検出する第1上センサー311、及び、第1下センサー312が配置されている。
第1上センサー311及び第1下センサー312は、加圧後シートSS1を直接検出するセンサーであってもよいが、本実施形態では、第1テンションローラー811を検出することにより加圧後シートSS1を間接的に検出する。
【0108】
第1上センサー311は、例えば、透過型、或いは反射型の光センサーであってもよい。また、例えば、第1テンションローラー811が金属等の常磁性体または強磁性体である場合、第1上センサー311は、磁気センサーであってもよい。第1下センサー312も同様である。
【0109】
第1上センサー311は、第1テンションローラー811の移動範囲のU側に配置され、第1下センサー312はD側に配置される。第1上センサー311は、位置P82で第1テンションローラー811を検出し、第1下センサー312は位置P83で第1テンションローラー811を検出する。つまり、第1上センサー311及び第1下センサー312は、搬送経路FWにおいて、搬送経路FWと交差するU-D方向に配置される。また、第1上センサー311及び第1下センサー312はU-D方向に、互いに対向するように配置される。
【0110】
第1上センサー311及び第1下センサー312により、第1テンションローラー811が加圧後シートSS1の余り量に応じてU-D方向に変位した場合に、第1テンションローラー811が位置P82または位置P83に達したことを検出できる。
【0111】
また、
図4に、第2バッファー部802で加熱後シートSS2の余り量が最小の場合の加熱後シートSS2の位置P85を破線で示す。位置P85は、第2バッファー部802で加熱後シートSS2が最も短い場合の搬送経路FWである。また、加熱後シートSS2の余り量が小さい場合の第2テンションローラー812の位置P86を破線で示し、加熱後シートSS2の余り量が大きい場合の第2テンションローラー812の位置P87を破線で示す。位置P86は、加熱後シートSS2が最も短い場合の第2テンションローラー812の位置であってもよいが、その位置よりもD側にシフトした位置であることが好ましい。
【0112】
第2バッファー部802には、加熱後シートSS2を検出する第2上センサー315、及び、第2下センサー316が配置されている。
第2上センサー315及び第2下センサー316は、加熱後シートSS2を直接検出するセンサーであってもよいが、本実施形態では、第2テンションローラー812を検出することにより加熱後シートSS2を間接的に検出する。
【0113】
第2上センサー315は、例えば、透過型、或いは反射型の光センサーであってもよい。また、例えば、第2テンションローラー812が金属等の常磁性体または強磁性体である場合、第2上センサー315は、磁気センサーであってもよい。第2下センサー316も同様である。
【0114】
第2上センサー315は、第2テンションローラー812の移動範囲のU側に配置され、第2下センサー316はD側に配置される。第2上センサー315は、位置P86で第2テンションローラー812を検出し、第2下センサー316は位置P87で第2テンションローラー812を検出する。つまり、第2上センサー315及び第2下センサー316は、搬送経路FWにおいて、搬送経路FWと交差するU-D方向に配置される。また、第2上センサー315及び第2下センサー316はU-D方向に、互いに対向するように配置される。
【0115】
第2上センサー315及び第2下センサー316により、第2テンションローラー812が加熱後シートSS2の余り量に応じてU-D方向に変位した場合に、第2テンションローラー812が位置P86または位置P87に達したことを検出できる。
【0116】
後述するように、コントローラー110は、第1上センサー311及び第1下センサー312の検出値を取得して、第1バッファー部801における加圧後シートSS1の位置を判定する。コントローラー110は、判定結果に基づき、加熱ローラー86の回転速度R2を制御する。同様に、コントローラー110は、第2上センサー315及び第2下センサー316の検出値を取得して、第2バッファー部802における加熱後シートSS2の位置を判定する。コントローラー110は、判定結果に基づき、切断前搬送部88の回転速度R3を制御する。これにより、シート製造装置100は、第1バッファー部801、及び第2バッファー部802において、被搬送物FMを、安定した状態で搬送できる。
【0117】
[6.シート製造装置の制御系の構成]
図5は、シート製造装置100の制御系の構成を示すブロック図である。
シート製造装置100は、シート製造装置100の各部を制御するメインプロセッサー111を有するコントローラー110を備える。
【0118】
コントローラー110は、メインプロセッサー111、ROM(Read Only Memory)112、およびRAM(Random Access Memory)113を備える。メインプロセッサー111は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置であり、ROM112が記憶する基本制御プログラムを実行することにより、シート製造装置100の各部を制御する。メインプロセッサー111は、ROM112、RAM113等の周辺回路や他のIPコアを含むシステムチップとして構成されてもよい。
【0119】
ROM112は、メインプロセッサー111が実行するプログラムを不揮発的に記憶する。RAM113は、メインプロセッサー111が使用するワークエリアを形成して、メインプロセッサー111が実行するプログラムや処理対象のデータを一時的に記憶する。
【0120】
コントローラー110は、不揮発性記憶部120を備える。不揮発性記憶部120は、メインプロセッサー111が実行するプログラムや、メインプロセッサー111が処理するデータを記憶する。
【0121】
また、コントローラー110は、センサーインターフェイス114、駆動部インターフェイス115、表示パネル116、タッチセンサー117、及び、第2通信部118を備える。なお、以下の説明および図中ではインターフェイスをI/Fと略記する。
表示パネル116は、液晶ディスプレイ等の表示用のパネルであり、例えば、シート製造装置100の外装に設置される。表示パネル116は、メインプロセッサー111の制御に従って、シート製造装置100の動作状態、各種設定値、警告表示等を表示する。
【0122】
タッチセンサー117は、使用者によるタッチ操作や押圧操作を検出する。タッチセンサー117は、例えば、表示パネル116の表示面に重ねて配置され、表示パネル116に対する操作を検出する。タッチセンサー117は、操作に対応して、操作位置や操作位置の数を含む操作データをメインプロセッサー111に出力する。メインプロセッサー111は、タッチセンサー117の出力により、表示パネル116に対する操作を検出し、操作位置を取得する。メインプロセッサー111は、タッチセンサー117により検出した操作位置と、表示パネル116に表示中の表示データ122とに基づき、GUI(Graphical User Interface)操作を実現する。
【0123】
コントローラー110は、センサーI/F114を介して、シート製造装置100が備える各種のセンサーに接続される。
センサーI/F114は、センサーが出力する検出値を取得してメインプロセッサー111に入力するインターフェイスである。センサーI/F114は、センサーが出力するアナログ信号をデジタルデータに変換するA/D(Analogue/Digital)コンバーターを備えてもよい。また、センサーI/F114は、各センサーに駆動電流を供給してもよい。また、センサーI/F114は、各々のセンサーの出力値を、メインプロセッサー111が指定するサンプリング周波数に従って取得し、メインプロセッサー111に出力する回路を備えてもよい。
【0124】
センサーI/F114に接続されるセンサーは、供給部10、粗砕部12、解繊部20、選別部40、第1ウェブ形成部45、混合部50、分散部60、第2ウェブ形成部70、ウェブ移動部79等の各部の動作状態を検出するセンサーである。また、例えば、供給部10における原料MAの量を検出するセンサーや、添加物供給部52における添加材料ADの残量を検出するセンサー等、シート製造装置100がシートSの製造に使用する材料を検出するセンサーであってもよい。これらの各種センサーを総称してセンサー群301とする。
【0125】
センサーI/F114には、第1搬送センサー303、第2搬送センサー304、及び、第3搬送センサー305が接続される。また、センサーI/F114には、第1上センサー311、第1下センサー312、第2上センサー315、及び、第2下センサー316が接続される。また、センサーI/F114には、第1湿度センサー411、第2湿度センサー412及び第3湿度センサー413が接続される。
【0126】
センサーI/F114は、コントローラー110の制御に従って、センサーI/F114に接続された各センサーの検出値を、各々のセンサーに対し設定されたサンプリング周期で取得する。センサーI/F114は、センサーの検出値を示すデータを、コントローラー110に出力する。
【0127】
コントローラー110は、駆動部I/F115を介して、シート製造装置100が備える各駆動部に接続される。シート製造装置100が備える駆動部は、モーター、ポンプ、ヒーター等である。駆動部I/F115は、モーターに直接接続される構成のほか、コントローラー110の制御によりモーターに駆動電流を供給する駆動回路や駆動IC(Integrated Circuit)に接続されてもよい。
【0128】
駆動部I/F115には、コントローラー110の制御対象として、粗砕部12、解繊部20、添加物供給部52が接続される。粗砕部12におけるコントローラー110の制御対象は、粗砕刃14を動作させる図示しないモーター等である。解繊部20におけるコントローラー110の制御対象は、ローター24を回転させる図示しないモーター等である。添加物供給部52における制御対象は、添加物取出部52bのフィーダー及び添加物投入部52cのシャッターを駆動する図示しないアクチュエーターやモーター等である。
【0129】
駆動部I/F115には、第1中間ブロアー31、第2中間ブロアー32、第1集塵ブロアー33、第2集塵ブロアー34、第3集塵ブロアー35、及び第4集塵ブロアー36が接続される。また、駆動部I/F115には、回収ブロアー37及び混合ブロアー56が接続される。これらのブロアーが備えるファンモーター、または、ファンモーターを制御する制御回路が、それぞれ駆動部I/F115に接続される。
【0130】
また、駆動部I/F115には、第1ミスト調湿部77及び第2ミスト調湿部78が接続される。詳細には、第1ミスト調湿部77及び第2ミスト調湿部78が備える超音波振動発生装置、ポンプ等、または、これらを制御する制御回路が、それぞれ駆動部I/F115に接続される。
【0131】
第1ドラム駆動部325は、ドラム部41を回転させるモーター等である。第1ベルト駆動部326は、メッシュベルト46を動作させるモーター等である。回転体駆動部327は、回転体49を回転させるモーター等である。第2ドラム駆動部328は、ドラム部61を回転させるモーター等である。第2ベルト駆動部329は、メッシュベルト72を動作させるモーター等である。カッター駆動部330は、カッター91を駆動するモーターやアクチュエーター等である。
【0132】
また、駆動部I/F115には、油圧駆動部331、ローラー加熱部332、加圧ローラー駆動部341、加熱ローラー駆動部342、及び搬送ローラー駆動部343が接続される。
【0133】
油圧駆動部331は、加圧部82が備える図示しない油圧機構の駆動部であり、加圧ローラー85を加圧し、ニップ部82Aに所定のニップ圧を与える。
ローラー加熱部332は、加熱部84に設けられる図示しないヒーターであり、加熱ローラー86を加熱する。
【0134】
加圧ローラー駆動部341は、加圧ローラー85を回転させるモーターを含む。加圧ローラー駆動部341は、コントローラー110の制御に従って動作して加圧ローラー85を回転させる。コントローラー110は、加圧ローラー駆動部341を制御することにより、加圧ローラー85の回転速度R1を加減速できる。
【0135】
加熱ローラー駆動部342は、加熱ローラー86を回転させるモーターを含む。加熱ローラー駆動部342は、コントローラー110の制御に従って動作して加熱ローラー86を回転させる。コントローラー110は、加熱ローラー駆動部342を制御することにより、加熱ローラー86の回転速度R2を加減速できる。
【0136】
搬送ローラー駆動部343は、搬送ローラー89を回転させるモーターを含む。搬送ローラー駆動部343は、コントローラー110の制御に従って動作して搬送ローラー89を回転させる。コントローラー110は、搬送ローラー駆動部343を制御することにより、搬送ローラー89の回転速度R3を加減速できる。
【0137】
また、駆動部I/F115には、第1気化式加湿器421、第2気化式加湿器422、及び、第3気化式加湿器423が接続される。例えば、第1気化式加湿器421が備えるファン、ポンプ等、または、これらを制御する制御回路が、駆動部I/F115に接続される。第2気化式加湿器422及び第3気化式加湿器423も同様である。
【0138】
[7.コントローラーの構成]
図6は、コントローラー110の機能ブロック図である。
コントローラー110は、メインプロセッサー111によってプログラムを実行することにより、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって各種の機能部を実現する。
図6は、これらの機能部を有するメインプロセッサー111の機能を、第2制御部150として示す。また、コントローラー110は、不揮発性記憶部120の記憶領域を利用して、論理的な記憶装置である記憶部160を構成する。ここで、記憶部160は、ROM112やRAM113の記憶領域を利用して構成されてもよい。
【0139】
第2制御部150は、検出制御部151、駆動制御部153、判定部155、および、通信制御部157を備える。これらの各部はメインプロセッサー111によりプログラムを実行することで実現される。コントローラー110は、シート製造装置100を制御するための基本制御プログラムとして、アプリケーションプログラムのプラットフォームを構成するオペレーティングシステムを実行してもよい。この場合、第2制御部150の各機能部を、アプリケーションプログラムとして実装してもよい。
【0140】
記憶部160は、第2制御部150により処理される各種データを記憶する。例えば、記憶部160は、基本設定データ161、製造条件162、湿度基準データ163、搬送判定データ164、速度設定データ167、及び、速度判定データ168を記憶する。
【0141】
基本設定データ161は、タッチセンサー117の操作により、或いは、コントローラー110が備える図示しない通信インターフェイスを介して入力されるコマンドやデータに基づき生成され、記憶部160に記憶される。
【0142】
基本設定データ161は、シート製造装置100の動作に関する設定値等を含む。例えば、基本設定データ161は、シート製造装置100で使用する原料MAの種類、第1ミスト調湿部77及び第2ミスト調湿部78の制御目標値、他の各駆動部の制御目標値の初期値等を含む。
【0143】
製造条件162は、シートSの製造条件に関するデータを含む。製造条件162は、製造するシートSの種類ごとに、シート製造装置100が使用する添加材料ADの種類、添加材料ADの量、原料MAの消費量等を含む。
【0144】
図7は、製造条件162の構成例を示す図である。
図7に示す製造条件162は、少なくとも2種類のシートSに関するデータを含む。すなわち、シート厚が0.8mmの通常シートと、シート厚が2.0mmの厚手シートとを製造する場合の、シート製造装置100の動作条件に関するデータを含む。また、製造条件162では、通常シートを製造する場合のシート製造装置100の製造モードが第1製造モードとされ、厚手シートを製造する場合の製造モードが第2製造モードとされている。製造条件162は、3以上のシートSの種類に対応して、製造モード及び製造条件を含むデータであってもよい。
【0145】
第2制御部150は、製造条件162及びシート製造装置100が製造するシートSの種類に従って、シート製造装置100の製造モードを切り替える。第1製造モードでは、通常シートを製造するため、ウェブ形成部102により、0.8mmのシート厚に対応する第2ウェブW2を製造する。この場合の第2ウェブW2は第1のウェブに相当する。また、厚手シートを製造する場合、第2制御部150は第2製造モードを実行し、ウェブ形成部102によって、2.0mmのシート厚に対応する第2ウェブW2を製造する。この場合の第2ウェブW2は第2のウェブに相当する。
【0146】
シート製造装置100がシートSを製造する場合、事前の設定またはタッチセンサー117により検出したオペレーターの操作によって、製造するシートSの数および種類が指定される。製造条件162は、指定された製造するシートSの数および種類を示すデータを含んでもよい。
【0147】
湿度基準データ163は、第1湿度センサー411、第2湿度センサー412及び第3湿度センサー413の検出値の基準値を含む。より具体的には、第1湿度センサー411、第2湿度センサー412及び第3湿度センサー413の検出値をもとに、調湿不良の有無を判定するためのデータを含む。湿度基準データ163が含むデータは、第1湿度センサー411、第2湿度センサー412及び第3湿度センサー413のそれぞれに対応するデータであってもよいし、共通するデータであってもよい。第2制御部150は、湿度基準データ163を基準として、第1チャンバー401、第2チャンバー402及び第3チャンバー403の調湿に関して、シート製造部101の動作状態が好適な範囲内であるか、或いは、好適な範囲から逸脱しているかを判定する。
【0148】
搬送判定データ164は、第1搬送センサー303、第2搬送センサー304、及び第3搬送センサー305の検出値の基準値を含む。より具体的には、第1搬送センサー303、第2搬送センサー304、及び第3搬送センサー305の検出値をもとに、搬送不良の有無を判定するためのデータを含む。搬送判定データ164が含むデータは、第1搬送センサー303、第2搬送センサー304、及び第3搬送センサー305のそれぞれに対応するデータであってもよいし、共通するデータであってもよい。
【0149】
搬送判定データ164は、第2制御部150が、第1搬送センサー303、第2搬送センサー304、及び第3搬送センサー305の検出値をもとに、シート製造部101の動作状態が好適な動作状態であるか否かを判定するためのデータである。別の表現をすれば、シート製造部101の動作状態が、好適な状態といえる範囲内にあるか否かを判定するためのデータである。第2制御部150は、搬送判定データ164を基準として、材料の搬送に関して、シート製造部101の動作状態が好適な範囲内であるか、或いは、好適な範囲から逸脱しているかを判定する。
【0150】
速度設定データ167は、第2制御部150が加圧ローラー駆動部341、加熱ローラー駆動部342、及び搬送ローラー駆動部343の速度を制御するためのデータを含む。速度設定データ167は、第2制御部150が加圧ローラー駆動部341、加熱ローラー駆動部342、及び搬送ローラー駆動部343の速度を段階的に調整するためのパラメーターを含む。
【0151】
図8は、速度設定データ167の構成例を示す模式図である。
図8に示す例では、回転速度R1、R2、R3の設定値が、互いに対応づけて速度設定データ167に含まれる。
【0152】
図8の例では、回転速度R1の設定値として「Vp」が含まれる。また、速度設定データ167は加熱ローラー86の回転速度R2の設定値として、2段階の速度「Vhs」と「Vhf」を含み、Vhf>Vhsである。加圧ローラー85の回転速度R1はVpで一定である。
回転速度R2が速度Vhsである場合、搬送速度V1>搬送速度V2である。回転速度R2が速度Vhfである場合、搬送速度V1<搬送速度V2である。
【0153】
速度設定データ167は、回転速度R3の設定値として、4段階の速度「Vc1」、「Vc2」、「Vc3」、「Vc4」を含み、Vc1<Vc2、Vc3<Vc4である。速度Vc1、Vc2は、回転速度R2が速度Vhsである場合に対応する。また、速度Vc3、Vc4は、回転速度R2が速度Vhfである場合に対応する。
【0154】
回転速度R2が速度Vhsであり、回転速度R3が速度Vc1である場合、搬送速度V2>搬送速度V3である。
回転速度R2が速度Vhsであり、回転速度R3が速度Vc2である場合、搬送速度V2<搬送速度V3である。
回転速度R2が速度Vhfであり、回転速度R3が速度Vc3である場合、搬送速度V2>搬送速度V3である。
回転速度R2が速度Vhfであり、回転速度R3が速度Vc4である場合、搬送速度V2<搬送速度V3である。
【0155】
第2制御部150は、速度設定データ167に従って加圧ローラー駆動部341、加熱ローラー駆動部342及び搬送ローラー駆動部343を制御し、回転速度R2、及び回転速度R3を段階的に切り替える。これにより、搬送速度V1、V2、V3の大小関係を切り替えることができる。
【0156】
速度判定データ168は、回転速度R1、R2、R3が、シート製造装置100の好適な動作状態に属する値であるか否かを判定するためのデータである。別の表現をすれば、被搬送物FMの搬送に関するシート製造部101の動作状態が、好適な状態といえる範囲内にあるか否かを判定するためのデータである。第2制御部150は、速度判定データ168を基準として、被搬送物FMの搬送に関して、シート製造部101の動作状態が好適な範囲内であるか、或いは、好適な範囲から逸脱しているかを判定する。
【0157】
検出制御部151は、センサー300による検出を制御し、各センサーの検出値を取得する。例えば、検出制御部151は、第1上センサー311、第1下センサー312、第2上センサー315、及び、第2下センサー316の検出値を取得する。
【0158】
駆動制御部153は、検出制御部151により取得されたセンサー300の検出値に基づき、シート製造部101の各部を制御することにより、基本設定データ161の設定値に従ってシート製造装置100の各部を動作させ、シートSを製造する。駆動制御部153は、シート製造装置100の製造モードを、シートSの種類に対応する製造モードに切り替えて、シート製造部101を動作させる。
【0159】
例えば、駆動制御部153は、基本設定データ161に含まれる制御目標値に従って、粗砕部12、解繊部20、添加物供給部52等を駆動する。また、駆動制御部153は、第1中間ブロアー31、第2中間ブロアー32、第1集塵ブロアー33、第2集塵ブロアー34、第3集塵ブロアー35、第4集塵ブロアー36、回収ブロアー37、及び混合ブロアー56を制御する。
【0160】
また、駆動制御部153は、基本設定データ161に含まれる制御目標値に従って、第1ミスト調湿部77、第2ミスト調湿部78、第1気化式加湿器421、第2気化式加湿器422及び第3気化式加湿器423を駆動して、調湿を実行させる。
【0161】
また、例えば、駆動制御部153は、速度設定データ167に従って、加圧ローラー駆動部341、加熱ローラー駆動部342、及び搬送ローラー駆動部343を制御し、回転速度R1、R2、R3を制御する。
【0162】
また、駆動制御部153は、シート製造部101を起動する場合に起動シーケンスを実行し、シート製造部101を停止させる場合に停止シーケンスを実行して、シート製造部101の各部を順次起動および停止させる。また、駆動制御部153は、通信制御部157が停止コマンドを取得した場合、及び、シート製造部101を停止させると判定した場合に、シート製造部101によるシートSの製造を停止させる。
【0163】
判定部155は、検出制御部151が検出した各センサーの検出値に基づいて、シート製造部101の動作状態が、好適な状態から逸脱したか否かを判定する。シート製造装置100の好適な動作状態とは、シート製造部101が製造するシートSの品質が基準以上となる動作状態をいう。
【0164】
シート製造部101の動作状態が好適な状態から逸脱した場合、シート製造部101が製造するシートS、及び、シートSを製造する過程における中間製造物である第2ウェブW2、加圧後シートSS1、及び加熱後シートSS2の品質の低下を招く要因となる。具体的には、第2ウェブW2やシートSの皺の発生や厚みムラの発生等を招く要因となる。これらの品質の低下を、ウェブの形成誤差ということができる。ウェブとは、上記の中間製造物をいい、シートSを含めてもよい。
つまり、判定部155は、シート製造部101の動作状態が好適な状態か否かを判定することにより、ウェブの形成誤差要因の有無を判定する。例えば、シート製造部101の動作状態が好適な状態でない場合に、ウェブの形成誤差要因が有ると判定する。
【0165】
後述する例のように、判定部155は、第1湿度センサー411、第2湿度センサー412、及び第3湿度センサー413の検出値について、湿度基準データ163に基づき判定を行う。また、例えば、判定部155は、第1搬送センサー303、第2搬送センサー304、及び第3搬送センサー305の各センサーの検出値について、搬送判定データ164に基づき判定を行う。
【0166】
第1チャンバー401の湿度が好適な範囲から逸脱した場合、解繊物MBや第1選別物MCの付着、メッシュベルト46への第1ウェブW1の付着等が発生する。第2チャンバー402の湿度が好適な範囲から逸脱した場合、ハウジング部63内部における混合物MXの付着、第2ウェブW2における混合物MXの堆積ムラの発生、皺の発生等の要因となる。また、第3チャンバー403の湿度が好適な範囲から逸脱した場合、カッター91への加熱後シートSS2の付着や加熱後シートSS2の引っかかりによる皺の発生の要因となる。つまり、シートS、及び、シートSを製造する第2ウェブW2の形態について標準的な形態からの誤差を生じる要因となる。粗砕物、解繊物MB、混合物MXの搬送や、ウェブ搬送部103における搬送速度に関して、好適な範囲から逸脱した場合も、第2ウェブW2及びシートSの形態誤差の要因となる。従って、シート製造部101の動作状態が、第2ウェブW2及び/またはシートSの形態誤差の要因を含む場合を、好適な範囲から逸脱したということができる。
【0167】
また、判定部155は、後述するように、検出制御部151が検出した第1上センサー311及び第1下センサー312の検出値に基づき、第1テンションローラー811の移動に要した時間を計測する。また、判定部155は、検出制御部151が検出した第2上センサー315及び第2下センサー316の検出値に基づき、第2テンションローラー812が位置P87から位置P86に移動した場合に、移動に要した時間を計測する。判定部155は、これらの計測した時間について、速度判定データ168に基づき判定を行う。
【0168】
通信制御部157は、第2通信部118を制御して、制御装置200へ通知コマンドを送信させる。また、通信制御部157は、第2通信部118により受信した停止コマンドを取得する。
【0169】
[8.シート製造装置の動作]
図9は、制御システム1の動作を示す図である。
図9において、Aはシート製造装置100の動作であり、Bは制御装置200の動作である。
図9は、制御システム1の全体の動作の概要を示しており、シート製造装置100の動作の詳細は後述する。
【0170】
第2制御部150は、起動シーケンスを実行する(ステップSA1)。ステップSA1で、第2制御部150は、センサーI/F114に接続された各センサー、及び、駆動部I/F115に接続された各駆動部を初期化し、駆動部を、設定された順序で起動させる。
【0171】
検出制御部151は、各センサーの検出値を取得する処理を開始する(ステップSA2)。続いて、判定部155は、状態判定処理を開始する(ステップSA3)。状態判定処理は、判定部155が、シート製造部101の動作状態が好適な範囲から逸脱したか否か、すなわち、第2ウェブW2及び/またはシートSの形態誤差要因の有無を判定する処理である。
【0172】
駆動制御部153は、シートSを製造する数、シートSの種類、シートSの色等に関する条件を取得し(ステップSA4)、シート製造部101を動作させてシートSの製造を開始する(ステップSA5)。
【0173】
シート製造部101の動作中に、判定部155が、シート製造部101の動作状態について、好適な範囲から逸脱したと判定すると(ステップSA6)、通信制御部157が制御装置200に通知コマンドを送信する(ステップSA7)。
【0174】
通知コマンドは通信ネットワークNを介して送信され、第1通信部201が通知コマンドを受信する(ステップSB1)。第1制御部202は、停止コマンドを第1通信部201により送信する(ステップSB2)。ここで、第1制御部202は、通知コマンドを受信した場合に自動的に停止コマンドを送信してもよいし、オペレーターの操作に従って、停止コマンドを送信してもよい。
【0175】
通信制御部157は、制御装置200が送信する停止コマンドを受信する(ステップSA8)。駆動制御部153は、通信制御部157が停止コマンドを受信したことに対応して、シート製造部101の製造モードを第2製造モードに切り替える(ステップSA9)。ステップSA9で、駆動制御部153は、ステップSA4で取得した条件に関わらず、製造モードを第2製造モードにする。
【0176】
その後、駆動制御部153は、シート製造部101がシートSを製造する動作を停止させる(ステップSA10)。
シートSの製造を停止した後、通信制御部157は、制御装置200に対し、シート製造部101が停止したことを通知する確認コマンドを送信し(ステップSA11)、制御装置200は確認コマンドを第1通信部201により受信する(ステップSB3)。
【0177】
このように、制御システム1では、シート製造部101の動作状態に異常が発生した場合や、シートSの品質に影響を生じる可能性のある状態となった場合に、シートSの製造を停止する。このため、品質が基準に満たないシートSの製造が継続されることを防止できる。また、動作状態の悪化や、シート製造部101の故障に至る前にシート製造部101を停止させることができる。
【0178】
シート製造装置100は、第2制御部150が通知コマンドを制御装置200に送信してから、停止コマンドに基づいてシート製造部101を停止させる。このため、制御装置200を利用する管理者が、シート製造装置100における動作状態を把握でき、例えば、必要に応じてメンテナンス技術者を、シート製造装置100の設置場所に派遣することができる。この場合、技術者が到着するまでにシート製造部101が停止することから、技術者による修理やメンテナンスが容易になる。
【0179】
そして、シート製造装置100が、シート製造部101の動作を停止する前に、製造モードを第2製造モードに切り替える。第2製造モードでは、第2ウェブW2、シートS、及び、中間製造物である加圧後シートSS1、加熱後シートSS2が、いずれも第1製造モードより厚い。つまり、シート製造装置100は、第1製造モードより厚い第2ウェブW2、シートS、及び、中間製造物である加圧後シートSS1、加熱後シートSS2を製造する第2製造モードに移行した後に、シート製造部101の動作を停止する。このため、シート製造部101を停止させる際、及び、シート製造部101の停止中において、少なくともウェブ形成部102及びウェブ搬送部103では、第2ウェブW2、加圧後シートSS1、加熱後シートSS2及びシートSの破断や変形が発生しにくい。このため、シート製造部101によるシートSの製造を再開する際に、破断や脱落した材料を除去する処理の負担が軽減され、シート製造部101の動作状態に関する問題が解消した後に、速やかにシートSの製造を再開できる。
【0180】
図10は、シート製造装置100の動作を示すフローチャートであり、
図9に示した動作をより詳細に示す。
図10に示すように、第2制御部150は、ステップSA7で通知コマンドを送信した後に、駆動制御部153により改善制御を開始する(ステップSA11)。改善制御は、シート製造部101の動作状態を、好適な範囲にするための制御である。例えば、ステップSA6で、判定部155により、第1チャンバー401、第2チャンバー402、及び第3チャンバー403のいずれかの湿度が、好適な範囲から逸脱したと判定された場合、ステップSA11では、湿度に関する改善制御が開始される。この改善制御は、好適な範囲から逸脱したと判定された湿度を、好適な範囲にするための制御である。具体的には、第1気化式加湿器421、第2気化式加湿器422及び第3気化式加湿器423のいずれかの制御目標値を変更する制御である。
【0181】
第2制御部150は、制御装置200からの停止コマンドを受信したか否かを判定し(ステップSA12)、停止コマンドを受信した場合(ステップSA12;YES)、上述のようにステップSA9に移行する。
【0182】
一方、制御装置200からの停止コマンドを受信していない場合(ステップSA12;NO)、第2制御部150は、判定部155により、シート製造部101の動作状態が好適な範囲内となるまで改善したか否かを判定する(ステップSA13)。
シート製造部101の動作状態が好適な範囲内となるまで改善した場合(ステップSA13;YES)、第2制御部150は、シート製造部101の動作状態が改善したことを示す通知コマンドを制御装置200に送信する(ステップSA14)。これにより、改善制御によってシート製造部101の動作状態が改善したことが制御装置200に通知される。その後、第2制御部150はステップSA6に戻り、シートSの製造を継続する。
【0183】
また、改善制御によってもシート製造部101の動作状態が好適な範囲内となるまで改善しない場合(ステップSA13;NO)、第2制御部150はステップSA9に移行する。
【0184】
このように、第2制御部150の自律的な制御によって、シート製造部101の動作状態が改善し、第2ウェブW2及びシートSの形態誤差要因が解消した場合には、シートSの製造を継続できる。
以下、この動作について具体的に説明する。
【0185】
[9.調湿に関する制御]
図11は、シート製造装置100の動作を示すフローチャートであり、調湿に関する動作を示す。すなわち、
図11は、駆動制御部153及び判定部155が、第1湿度センサー411、第2湿度センサー412及び第3湿度センサー413の検出値について実行する制御を示す。
図11に示す動作は、
図10のステップSA5~SA10に相当する動作を含む。
【0186】
判定部155は、第1湿度センサー411、第2湿度センサー412及び第3湿度センサー413の検出値を取得する(ステップST1)。判定部155は、ステップST1で取得した検出値を、湿度基準データ163に含まれる基準値と比較する(ステップST2)。判定部155は、ステップST1で取得した検出値と基準値との差が許容範囲内か否かを判定する(ステップST3)。
【0187】
ステップST1で取得した検出値と基準値との差が許容範囲内である場合(ステップST3;YES)、判定部155はステップST1に戻る。
【0188】
判定部155は、ステップST1~ST3の処理を、第1湿度センサー411、第2湿度センサー412、及び第3湿度センサー413のそれぞれに対し実行する。判定部155は、第1湿度センサー411、第2湿度センサー412及び第3湿度センサー413の検出値をステップST1でまとめて取得し、ステップST2~ST3の処理を行ってもよい。また、判定部155は、第1湿度センサー411、第2湿度センサー412、第3湿度センサー413のうちいずれか1つを処理対象として選択し、選択した処理対象のセンサーに関する処理を、ステップST1~ST3で実行してもよい。
【0189】
また、湿度基準データ163は、第1湿度センサー411、第2湿度センサー412、及び第3湿度センサー413の検出値と比較される共通の基準値を含んでもよいし、各センサーに対応する複数の基準値を含んでもよい。許容範囲を示す値を湿度基準データ163に含めてもよい。
【0190】
ステップST1で取得した検出値と基準値との差が許容範囲内でない場合(ステップST3;NO)、判定部155は、シート製造部101の動作状態が好適な範囲から逸脱したと判定し(ステップST4)、通知コマンドを送信する(ステップST5)。
【0191】
通知コマンドを送信した後、駆動制御部153は改善制御を開始する。以下に説明する改善制御の対象は、第1チャンバー401、第2チャンバー402及び第3チャンバー403のうち、動作状態が好適な範囲から逸脱したと判定されたセンサーが設けられたチャンバーである。
以下では一例として、第1湿度センサー411の検出値についてステップST4で好適な範囲から逸脱したと判定された場合を説明する。
【0192】
駆動制御部153は、第1湿度センサー411が設けられた第1チャンバー401の湿度について改善制御を行うため、第1気化式加湿器421の目標値を更新する(ステップST6)。駆動制御部153は、ステップST6で、更新した目標値に基づき第1気化式加湿器421の運転を継続させる。
【0193】
ステップST6では、ステップST2の比較結果を利用して、第1気化式加湿器421の目標値を更新する。例えば、ステップST2の比較において第1湿度センサー411の検出値が基準値より低い場合、駆動制御部153は、第1気化式加湿器421の制御の目標値を、より高い値に更新する(ステップST6)。また、例えば、ステップST2の比較において第1湿度センサー411の検出値が基準値より高い場合、駆動制御部153は、第1気化式加湿器421の目標値を、より低い値に更新する(ステップST6)。
ステップST6で、駆動制御部153は、目標値を設定された変更量だけ増減させる処理をしてもよいし、目標値を、予め設定された候補値の中から選択した値に更新してもよい。
【0194】
判定部155は、ステップST6で目標値を更新した加湿器に対応する湿度センサーの検出値を取得する(ステップST7)。例えば、ステップST6で第1気化式加湿器421の目標値が更新された場合、判定部155は、ステップST7で第1湿度センサー411の検出値を取得する。判定部155は、駆動制御部153がステップST6で目標値を更新した後、所定時間、更新後の目標値に基づき第1気化式加湿器421が運転する状態を経由してから、ステップST7の処理を実行してもよい。
【0195】
判定部155は,ステップST7で取得した検出値を、湿度基準データ163に含まれる目標値と比較し(ステップST8)、取得した検出値と基準値との差が許容範囲内か否かを判定する(ステップST9)。ステップST7~ST9の処理は、ステップST1~ST3と同様である。
【0196】
検出値と基準値との差が許容範囲内である場合(ステップST9;YES)、判定部155は、シート製造部101の動作状態が改善したと判定する(ステップST10)。通信制御部157は、シート製造部101の動作状態の改善を通知する通知コマンドを送信し(ステップST11)、ステップST1に戻る。ステップST10~ST11は、
図10に示したステップSA13~SA14に相当する。
【0197】
検出値と基準値との差が許容範囲内でない場合(ステップST9;NO)、判定部155は、改善制御の試行回数が上限に達したか否かを判定する(ステップST12)。試行回数は、駆動制御部153が改善制御を行った回数であり、
図11の例では駆動制御部153がステップST6の処理を実行した回数を指す。試行回数の上限は、予め設定され、例えば基本設定データ161に含まれて記憶される。
【0198】
改善制御の試行回数が上限に達していない場合(ステップST12;NO)、駆動制御部153はステップST6に戻る。
改善制御の試行回数が上限に達した場合(ステップST12;YES)、判定部155は、シート製造部101の動作状態が改善しないと判定する(ステップST13)。駆動制御部153は、
図10で説明したように、シート製造部101の動作モードを第2製造モードに移行させ(ステップSA9)、シートSの製造を停止させる(ステップSA10)。その後、通信制御部157は、制御装置200に確認コマンドを送信する。
【0199】
ステップST6~ST13及びステップSA9~SA10の動作は、第1湿度センサー411及び第1気化式加湿器421の組み合わせに限定されず、第2湿度センサー412と第2気化式加湿器422との組み合わせにも適用可能である。また、第3湿度センサー413と第3気化式加湿器423との組み合わせにも適用可能である。駆動制御部153及び判定部155は、これらに対する処理を、まとめて実行してもよい。また、
図11に示す処理を、並列的に実行してもよい。すなわち、ステップST1~ST4、ST6~ST10、ST12~ST13の処理を、第1湿度センサー411、第2湿度センサー412及び第3湿度センサー413のそれぞれについて、並列処理として実行してもよい。この場合、判定部155は、第1湿度センサー411、第2湿度センサー412及び第3湿度センサー413のいずれかの検出値をもとにステップST4、ST10、ST13の判定をした場合に、ステップST5、ST11、SA9の動作を実行する。
【0200】
このように、
図10に示した動作を第1チャンバー401、第2チャンバー402及び第3チャンバー403の湿度に対して適用することで、コントローラー110は、湿度が好適な範囲から逸脱したことを検出し、制御装置200に通知コマンドを送信できる。
【0201】
[10.材料搬送に関する制御]
図12は、シート製造装置100の動作を示すフローチャートであり、材料搬送に関する動作を示す。すなわち、
図12は、駆動制御部153及び判定部155が、第1搬送センサー303、第2搬送センサー304、及び第3搬送センサー305の検出値について実行する制御を示す。
図12に示す動作は、
図10のステップSA5~SA10に相当する動作を含む。
【0202】
判定部155は、第1搬送センサー303、第2搬送センサー304及び第3搬送センサー305の検出値を取得する(ステップST21)。判定部155は、ステップST21で取得した検出値を、搬送判定データ164に含まれる基準値と比較する(ステップST22)。判定部155は、ステップST21で取得した検出値と基準値との差が許容範囲内か否かを判定する(ステップST23)。
【0203】
ステップST21で取得した検出値と基準値との差が許容範囲内である場合(ステップST23;YES)、判定部155はステップST21に戻る。
【0204】
判定部155は、ステップST21~ST23の処理を、第1搬送センサー303、第2搬送センサー304、及び第3搬送センサー305のそれぞれに対し実行する。判定部155は、第1搬送センサー303、第2搬送センサー304及び第3搬送センサー305の検出値をステップST21でまとめて取得し、ステップST22~ST23の処理を行ってもよい。また、判定部155は、第1搬送センサー303、第2搬送センサー304、第3搬送センサー305のうちいずれか1つを処理対象として選択し、選択した処理対象のセンサーに関する処理を、ステップST21~ST23で実行してもよい。
【0205】
また、搬送判定データ164は、第1搬送センサー303、第2搬送センサー304、及び第3搬送センサー305の検出値と比較される共通の基準値を含んでもよいし、各センサーに対応する複数の基準値を含んでもよい。許容範囲を示す値を搬送判定データ164に含めてもよい。
【0206】
ステップST21で取得した検出値と基準値との差が許容範囲内でない場合(ステップST23;NO)、判定部155は、動作状態が好適な範囲から逸脱したと判定し(ステップST24)、通知コマンドを送信する(ステップST25)。
【0207】
通知コマンドを送信した後、駆動制御部153は改善制御を開始する。以下に説明する改善制御の対象は、第1搬送センサー303、第2搬送センサー304及び第3搬送センサー305のうち、動作状態が好適な範囲から逸脱したと判定されたセンサーが設置された管である。
第1搬送センサー303の検出値に関する改善制御の対象は、例えば、第1中間ブロアー31である。第2搬送センサー304の検出値に関する改善制御の対象は、例えば、第2中間ブロアー32である。また、第3搬送センサー305の検出値に関する改善制御の対象は、例えば、混合ブロアー56である。
【0208】
以下では一例として、第1搬送センサー303の検出値についてステップST24で好適な範囲から逸脱したと判定された場合を説明する。
【0209】
駆動制御部153は、第1搬送センサー303が設けられた管2の搬送状態について改善制御を行うため、第1中間ブロアー31の速度制御データの目標値を更新する(ステップST26)。駆動制御部153は、ステップST26で、更新した目標値に基づき第1中間ブロアー31の運転を継続させる。
【0210】
ステップST26では、ステップST22の比較結果を利用して、第1中間ブロアー31の目標値を更新する。例えば、ステップST22の比較において第1搬送センサー303の検出値が、基準値よりも、粗砕物の単位時間あたりの搬送量が少ないことを示す値である場合、駆動制御部153は、第1中間ブロアー31の制御の目標値を、より高い値に更新する(ステップST26)。具体的には、第1搬送センサー303が圧力センサーで構成される場合、圧力センサーの検出値が基準値よりも高い場合に、第1中間ブロアー31の目標値をより高い値に更新する。また、例えば、第1搬送センサー303が風量センサーや風速センサーで構成される場合、第1搬送センサーの検出値が基準値よりも小さい場合に、第1中間ブロアー31の目標値をより高い値に更新する。第1搬送センサー303が、管2を流れる粗砕物の量を検出する光センサーである場合も同様である。
【0211】
また、ステップST26では、例えば、ステップST22の比較において第1搬送センサー303の検出値が、基準値よりも、粗砕物の単位時間あたりの搬送量が多いことを示す値である場合、駆動制御部153は、第1中間ブロアー31の目標値を、より低い値に更新する(ステップST26)。具体的には、第1搬送センサー303が圧力センサーで構成される場合、圧力センサーの検出値が基準値よりも低い場合に、第1中間ブロアー31の目標値をより低い値に更新する。また、例えば、第1搬送センサー303が風量センサーや風速センサーで構成される場合、第1搬送センサーの検出値が基準値よりも大きい場合に、第1中間ブロアー31の目標値をより低い値に更新する。
第1中間ブロアー31の目標値は、例えば、第1中間ブロアー31の回転数である。第1中間ブロアー31の目標値が高い値に更新された場合、第1中間ブロアー31の出力が増大し、第1中間ブロアー31の目標値が低い値に更新された場合、第1中間ブロアー31の出力が低下する。
ステップST26で、駆動制御部153は、目標値を設定された変更量だけ増減させる処理をしてもよいし、目標値を、予め設定された候補値の中から選択した値に更新してもよい。
【0212】
判定部155は、ステップST26で目標値を更新したブロアーに対応する搬送センサーの検出値を取得する(ステップST27)。例えば、ステップST26で第1中間ブロアー31の目標値が更新された場合、判定部155は、ステップST27で第1搬送センサー303の検出値を取得する。判定部155は、駆動制御部153がステップST26で目標値を更新した後、所定時間、更新後の目標値に基づき第1中間ブロアー31が運転する状態を経由してから、ステップST27の処理を実行してもよい。
【0213】
判定部155は,ステップST27で取得した検出値を、搬送判定データ164に含まれる目標値と比較し(ステップST28)、取得した検出値と基準値との差が許容範囲内か否かを判定する(ステップST29)。ステップST27~ST29の処理は、ステップST21~ST23と同様である。
【0214】
検出値と基準値との差が許容範囲内である場合(ステップST29;YES)、判定部155は、シート製造部101の動作状態が改善したと判定する(ステップST30)。通信制御部157は、シート製造部101の動作状態の改善を通知する通知コマンドを送信し(ステップST31)、ステップST21に戻る。ステップST30~ST31は、
図10に示したステップSA13~SA14に相当する。
【0215】
検出値と基準値との差が許容範囲内でない場合(ステップST29;NO)、判定部155は、改善制御の試行回数が上限に達したか否かを判定する(ステップST32)。試行回数は、駆動制御部153が改善制御を行った回数であり、
図12の例では駆動制御部153がステップST26の処理を実行した回数を指す。試行回数の上限は、予め設定され、例えば基本設定データ161に含まれて記憶される。
【0216】
改善制御の試行回数が上限に達していない場合(ステップST32;NO)、駆動制御部153はステップST26に戻る。
改善制御の試行回数が上限に達した場合(ステップST32;YES)、判定部155は、シート製造部101の動作状態が改善しないと判定する(ステップST33)。駆動制御部153は、
図10で説明したように、シート製造部101の動作モードを第2製造モードに移行させ(ステップSA9)、シートSの製造を停止させる(ステップSA10)。その後、通信制御部157は、制御装置200に確認コマンドを送信する。
【0217】
ステップST26~ST33及びステップSA9~SA10の動作は、第1搬送センサー303及び第1中間ブロアー31の組み合わせに限定されず、第2搬送センサー304と第2中間ブロアー32との組み合わせにも適用可能である。また、第3搬送センサー305と混合ブロアー56との組み合わせにも適用可能である。すなわち、第2搬送センサー304の検出値に基づく第2中間ブロアー32の制御、及び、第3搬送センサー305の検出値に基づく混合ブロアー56の制御について、上記と同様に適用できる。
駆動制御部153及び判定部155は、これらに対する処理を、まとめて実行してもよい。また、
図12に示す処理を、並列的に実行してもよい。すなわち、ステップST21~ST24、ST26~ST30、ST32~ST33の処理を、第1搬送センサー303、第2搬送センサー304及び第3搬送センサー305のそれぞれについて、並列処理として実行してもよい。この場合、判定部155は、第1搬送センサー303、第2搬送センサー304及び第3搬送センサー305のいずれかの検出値をもとにステップST24、ST30、ST33の判定をした場合に、ステップST25、ST31、SA9の動作を実行する。
【0218】
このように、
図10に示した動作を第1搬送センサー303、第2搬送センサー304及び第3搬送センサー305の検出値に対して適用できる。これにより、コントローラー110は、材料の搬送状態が好適な範囲から逸脱したことを検出し、制御装置200に通知コマンドを送信できる。
【0219】
[11.搬送速度に関する制御]
図13、
図14、
図15、
図16、
図17及び
図18は、シート製造装置100の動作を示すフローチャートであり、被搬送物FMの搬送速度に関する動作を示す。
図13及び
図14は、駆動制御部153による加圧ローラー駆動部341、加熱ローラー駆動部342及び搬送ローラー駆動部343の制御を示す。
図15~
図18は、駆動制御部153及び判定部155が、ウェブ搬送部103の搬送速度について実行する制御を示す。
図153~
図18に示す動作は、
図10のステップSA5~SA10に相当する動作を含む。
【0220】
ここで、加熱ローラー86の回転速度制御の概要を説明する。
搬送速度V1及び搬送速度V2の初期値は、搬送速度V1>搬送速度V2となるように設定される。この場合、回転速度R2は、速度設定データ167に設定された速度Vhsであってもよいし、他の速度であってもよい。加圧部82及び加熱部84により第2ウェブW2及び加圧後シートSS1の搬送が開始されると、搬送速度V1>搬送速度V2であるため、第1バッファー部801における加圧後シートSS1の長さは次第に長くなる。第1バッファー部801における加圧後シートSS1の伸長に伴い、第1テンションローラー811がD方向に移動し、第1下センサー312が第1テンションローラー811を検出する。この検出をトリガーとして、駆動制御部153は、第1バッファー部801における加圧後シートSS1を短くするため、回転速度R2を速度設定データ167の速度Vhfに切り替える。この切り替えにより、搬送速度V1<搬送速度V2となるので、第1バッファー部801における加圧後シートSS1は短縮する。加圧後シートSS1の短縮に伴い、第1テンションローラー811はU方向に移動し、第1上センサー311が第1テンションローラー811を検出する。第1上センサー311の検出をトリガーとして、駆動制御部153は、第1バッファー部801における加圧後シートSS1を長くするため、回転速度R2を、低速の速度Vhsに切り替える。
このように、駆動制御部153は、加熱ローラー86の回転速度R2を、低速と、高速とに段階的に切り替えることで、第1バッファー部801における加圧後シートSS1の長さを所定の範囲に維持する。
【0221】
駆動制御部153は、ステップSA5で、回転速度R1、R2、R3を、いずれも基本設定データ161に設定された初期値に設定し、加圧ローラー駆動部341、加熱ローラー駆動部342及び搬送ローラー駆動部343を動作させる。
【0222】
図13に示す動作で、駆動制御部153は、検出制御部151が取得した第1上センサー311の検出値に基づき、第1上センサー311により第1テンションローラー811が検出されたか否かを判定する(ステップST41)。
第1上センサー311が第1テンションローラー811を検出していない場合(ステップST41;NO)、駆動制御部153は待機する。
【0223】
第1上センサー311が第1テンションローラー811を検出した場合(ステップST41;YES)、駆動制御部153は、回転速度R2を速度Vhsに設定する(ステップST42)。
【0224】
その後、駆動制御部153は、第1下センサー312が第1テンションローラー811を検出したか否かを判定する(ステップST43)。第1下センサー312が第1テンションローラー811を検出していない場合(ステップST43;NO)、駆動制御部153は待機する。
【0225】
第1下センサー312が第1テンションローラー811を検出した場合(ステップST43;YES)、駆動制御部153は、回転速度R2を速度Vhfに設定する(ステップST44)。
【0226】
第2制御部150は、切断前搬送部88の回転速度R3についても同様に制御する。ここで、切断前搬送部88の回転速度制御の概要を説明する。
搬送速度V2及び搬送速度V3の初期値は、搬送速度V2>搬送速度V3となるように設定される。加圧後シートSS1の搬送が開始されると、搬送速度V2>搬送速度V3であるため、第2バッファー部802における加熱後シートSS2の長さは次第に長くなる。第2バッファー部802における加熱後シートSS2の伸長に伴い、第2テンションローラー812がD方向に移動し、第2下センサー316が第1テンションローラー811を検出する。
【0227】
この検出をトリガーとして、駆動制御部153は、第2バッファー部802における加熱後シートSS2を短くするため、回転速度R3を、搬送速度V2<搬送速度V3となるように高速に切り替える。ここで、回転速度R2が速度設定データ167の速度Vhsである場合、駆動制御部153は、回転速度R3を速度Vc2とする。また、回転速度R2が速度Vhfである場合、駆動制御部153は回転速度R3を速度Vc4とする。
【0228】
搬送速度V2<搬送速度V3となったことにより、第2バッファー部802における加熱後シートSS2は短縮する。加熱後シートSS2の短縮に伴い、第2テンションローラー812はU方向に移動し、第2上センサー315が第2テンションローラー812を検出する。第2上センサー315の検出をトリガーとして、駆動制御部153は、第2バッファー部802における加熱後シートSS2を長くするため、回転速度R3を、搬送速度V2>搬送速度V3となるように低速に切り替える。回転速度R2が速度Vhsである場合、駆動制御部153は、回転速度R3を速度Vc1とする。また、回転速度R2が速度Vhfである場合、駆動制御部153は回転速度R3を速度Vc3とする。
このように、駆動制御部153は、切断前搬送部88の回転速度R3を、加熱ローラー86の回転速度R2に対応して、低速と高速とに段階的に切り替えることで、第2バッファー部802における加熱後シートSS2の長さを所定の範囲に維持する。
【0229】
駆動制御部153は、検出制御部151が取得した第2上センサー315の検出値をもとに、第2上センサー315が第2テンションローラー812を検出したか否かを判定する(ステップST51)。第2上センサー315が第2テンションローラー812を検出していない場合(ステップST51;NO)、駆動制御部153は待機する。
【0230】
第2上センサー315が第2テンションローラー812を検出した場合(ステップST51;YES)、駆動制御部153は、回転速度R2が速度Vhsに設定されているか否かを判定する(ステップST52)。回転速度R2が速度Vhsに設定されている場合(ステップST52;YES)、駆動制御部153は回転速度R3を速度Vc1に設定する(ステップST53)。また、回転速度R2が、速度Vhsに設定されていない場合(ステップST52;NO)、回転速度R2は速度Vhfであるから、駆動制御部153は回転速度R3を速度Vc3に設定する(ステップST54)。
【0231】
その後、駆動制御部153は、第2下センサー316が第2テンションローラー812を検出したか否かを判定する(ステップST55)。第2下センサー316が第2テンションローラー812を検出していない場合(ステップST55;NO)、駆動制御部153は待機する。
【0232】
第2下センサー316が第2テンションローラー812を検出した場合(ステップST55;YES)、駆動制御部153は、回転速度R2が、速度Vhsに設定されているか否かを判定する(ステップST56)。回転速度R2が速度Vhsに設定されている場合(ステップST56;YES)、駆動制御部153は回転速度R3を速度Vc2に設定する(ステップST57)。また、回転速度R2が、速度Vhsに設定されていない場合(ステップST56;NO)、回転速度R2は速度Vhfであるから、駆動制御部153は回転速度R3を速度Vc4に設定する(ステップST58)。
【0233】
図15~
図18に示す動作は、第1バッファー部801、及び第2バッファー部802の両方に適用される。一例として、第1バッファー部801に関する動作を説明する。
判定部155は、第1テンションローラー811が第1上センサー311で検知されてから第1下センサー312で検知されるまでに経過した時間Tdownを取得する(ステップST61)。ステップST61で、判定部155は、第2制御部150が備える計時機能によって、検出制御部151が取得した第1上センサー311及び第1下センサー312の検出値に基づき計時を行う。
【0234】
判定部155は、ステップST61で取得した時間Tdownと、設定された目標値であるTdtargetとの差が、予め設定された許容値以下であるか否かを判定する(ステップST62)。目標値Tdtargetは、第1バッファー部801において第1テンションローラー811が変動する速度が適切となるように、第1テンションローラー811がD方向に移動する時間の目標値である。目標値Tdtarget、及び、許容値は、速度判定データ168に含まれる。
【0235】
時間Tdownと目標値Tdtargetとの差が許容値以下である場合(ステップST62;YES)、判定部155はステップST61に戻る。
時間Tdownと目標値Tdtargetとの差が許容値を超える場合(ステップST62;NO)、判定部155は、シート製造部101の動作状態が逸脱したと判定する(ステップST63)。通信制御部157は通知コマンドを送信し(ステップST64)、駆動制御部153が、改善制御として、速度変更処理を実行する(ステップST65)。
【0236】
図16は、速度変更処理を詳細に示すフローチャートである。
駆動制御部153は、ステップST61で取得した時間Tdownが目標値Tdtargetより長いか否かを判定する(ステップST81)。時間Tdownが目標値Tdtargetより長い場合(ステップST81;YES)、駆動制御部153は下流のローラーの速度を低下させる。すなわち、加熱ローラー86の回転速度R2を、より低速の速度に設定する(ステップST82)。
【0237】
時間Tdownが目標値Tdtargetより長くない場合(ステップST81;NO)、駆動制御部153は、時間Tdownが目標値Tdtargetより短いか否かを判定する(ステップST83)。時間Tdownが目標値Tdtargetより短い場合(ステップST83;YES)、駆動制御部153は下流のローラーの速度を増加させる。すなわち、加熱ローラー86の回転速度R2を、より高速に設定する(ステップST84)。
【0238】
ステップST82、ST84では、例えば、速度Vhsを変化させる。この場合、駆動制御部153が速度Vhsを変化させる変化量は、速度設定データ167における速度Vhsと速度Vhsとの差より小さいことが好ましい。また、
図15の制御は搬送速度V1>搬送速度V2の場合について実行されるので、ステップST82、ST84では搬送速度V1>搬送速度V2が維持される範囲内で速度が変更される。ステップST82、ST84で速度を増加または低下させる割合は、例えば速度設定データ167や速度判定データ168に含めて記憶される。この割合は任意であり、「5%」や「10%」であってもよい。また、ステップST82、ST84では、速度設定データ167に設定された値そのものを変更してもよいし、速度設定データ167とは別に、変更後の目標速度として記憶部160に記憶されてもよい。
【0239】
図15に戻り、判定部155は、ステップST65の速度変更処理を行った後に、新たに時間Tdownを取得する(ステップST66)。判定部155は、ステップST66で取得した時間Tdownと目標値Tdtargetとの差が許容値以下であるか否かを判定する(ステップST67)。
【0240】
時間Tdownと目標値Tdtargetとの差が許容値以下である場合(ステップST67;YES)、判定部155は、動作状態が改善したと判定する(ステップST68)。この場合、通信制御部157が制御装置200に、動作状態が改善したことを示す通知コマンドを送信し(ステップST69)、ステップST61に戻る。
【0241】
時間Tdownと目標値Tdtargetとの差が許容値を超える場合(ステップST67;NO)、判定部155は、改善処理の試行回数が、設定された上限に達したか否かを判定する(ステップST70)。改善処理の試行回数は、具体的には、ステップST65~ST67の処理の実行回数である。試行回数の上限は、例えば速度判定データ168に含まれて記憶される。
【0242】
試行回数が上限に達していない場合(ステップST70;NO)、判定部155はステップST65に戻り、速度変更処理を実行する。
試行回数が上限に達した場合(ステップST70;YES)、判定部155は、シート製造部101の動作状態が改善しないと判定する(ステップST71)。駆動制御部153は、ステップSA9、SA10の動作を実行し、その後、通信制御部157は、制御装置200に確認コマンドを送信する。
【0243】
図15及び
図16に示す動作は、第2バッファー部802にも適用できる。この場合、判定部155は、ステップST61、ST66で、第2テンションローラー812が第2上センサー315で検知されてから第2下センサー316で検知されるまでに経過した時間Tdownを取得する。
また、駆動制御部153は、ステップST82、ST84で、切断前搬送部88の回転速度R3を、より高速または低速に変更する。
【0244】
ここで、
図15の処理対象が第1バッファー部801である場合と、第2バッファー部802である場合とで、目標値Tdtargetを異なる値にしてもよい。また、ステップST82、ST84で速度を変更する処理で、駆動制御部153は、速度Vc1または速度Vc3を変更する。
【0245】
駆動制御部153が速度Vc1、Vc3を変化させる変化量は、速度設定データ167における速度Vc1とVc2との差、及び、速度Vc3とVc4との差より小さいことが好ましい。また、ステップST82、ST84では搬送速度V2>搬送速度V3が維持される範囲内で速度が変更される。ステップST82、ST84で速度を増加または低下させる割合は、例えば速度設定データ167や速度判定データ168に含めて記憶される。この割合は任意であり、「5%」や「10%」であってもよい。また、ステップST82、ST84では、速度設定データ167に設定された値そのものを変更してもよいし、速度設定データ167とは別に、変更後の目標速度として記憶部160に記憶されてもよい。
【0246】
図17の一例として、第1バッファー部801に関する動作を説明する。
判定部155は、第1テンションローラー811が第1下センサー312で検知されてから第1上センサー311で検知されるまでに経過した時間Tupを取得する(ステップST91)。ステップST91で、判定部155は、第2制御部150が備える計時機能によって、検出制御部151が取得した第1下センサー312及び第1上センサー311の検出値に基づき計時を行う。
【0247】
判定部155は、ステップST91で取得した時間Tupと、設定された目標値であるTutargetとの差が、予め設定された許容値以下であるか否かを判定する(ステップST92)。目標値Tutargetは、第1バッファー部801において第1テンションローラー811が変動する速度が適切となるように、第1テンションローラー811がU方向に移動する時間の目標値である。目標値Tutarget、及び、許容値は、速度判定データ168に含まれる。
【0248】
時間Tupと目標値Tutargetとの差が許容値以下である場合(ステップST92;YES)、判定部155はステップST91に戻る。
時間Tupと目標値Tutargetとの差が許容値を超える場合(ステップST92;NO)、判定部155は、シート製造部101の動作状態が逸脱したと判定する(ステップST93)。通信制御部157は通知コマンドを送信し(ステップST94)、駆動制御部153が、改善制御として、速度変更処理を実行する(ステップST95)。
【0249】
図18は、速度変更処理を詳細に示すフローチャートである。
駆動制御部153は、ステップST91で取得した時間Tupが目標値Tutargetより長いか否かを判定する(ステップST111)。時間Tupが目標値Tutargetより長い場合(ステップST111;YES)、駆動制御部153は下流のローラーの速度を増加させる。すなわち、加熱ローラー86の回転速度R2を、より高速に設定する(ステップST112)。
【0250】
時間Tupが目標値Tutargetより長くない場合(ステップST111;NO)、駆動制御部153は、時間Tupが目標値Tutargetより短いか否かを判定する(ステップST113)。時間Tupが目標値Tutargetより短い場合(ステップST113;YES)、駆動制御部153は下流のローラーの速度を低下させる。すなわち、加熱ローラー86の回転速度R2を、より低速に設定する(ステップST114)。
【0251】
ステップST112、ST114では、例えば、速度Vhfを変化させる。この場合、駆動制御部153が速度Vhfを変化させる変化量は、速度設定データ167における速度Vhsと速度Vhsとの差より小さいことが好ましい。また、
図15の制御は搬送速度V1<搬送速度V2の場合について実行されるので、ステップST112、ST114では搬送速度V1<搬送速度V2が維持される範囲内で速度が変更される。ステップST112、ST114で速度を増加または低下させる割合は、例えば速度設定データ167や速度判定データ168に含めて記憶される。この割合は任意であり、「5%」や「10%」であってもよい。また、ステップST112、ST114では、速度設定データ167に設定された値そのものを変更してもよいし、速度設定データ167とは別に、変更後の目標速度として記憶部160に記憶されてもよい。
【0252】
図15に戻り、判定部155は、ステップST95の速度変更処理を行った後に、新たに時間Tupを取得する(ステップST96)。判定部155は、ステップST96で取得した時間Tupと目標値Tutargetとの差が許容値以下であるか否かを判定する(ステップST97)。
【0253】
時間Tupと目標値Tutargetとの差が許容値以下である場合(ステップST97;YES)、判定部155は、動作状態が改善したと判定する(ステップST98)。この場合、通信制御部157が制御装置200に、動作状態が改善したことを示す通知コマンドを送信し(ステップST99)、ステップST91に戻る。
【0254】
時間Tupと目標値Tutargetとの差が許容値を超える場合(ステップST97;NO)、判定部155は、改善処理の試行回数が、設定された上限に達したか否かを判定する(ステップST100)。改善処理の試行回数は、具体的には、ステップST95~ST97の処理の実行回数である。試行回数の上限は、例えば速度判定データ168に含まれて記憶される。
【0255】
試行回数が上限に達していない場合(ステップST100;NO)、判定部155はステップST95に戻り、速度変更処理を実行する。
試行回数が上限に達した場合(ステップST100;YES)、判定部155は、シート製造部101の動作状態が改善しないと判定する(ステップST101)。駆動制御部153は、ステップSA9、SA10の動作を実行し、その後、通信制御部157は、制御装置200に確認コマンドを送信する。
【0256】
図15及び
図16に示す動作は、第2バッファー部802にも適用できる。この場合、判定部155は、ステップST91、ST96で、第2テンションローラー812が第2上センサー315で検知されてから第2下センサー316で検知されるまでに経過した時間Tupを取得する。
【0257】
また、駆動制御部153は、ステップST112、ST114で、切断前搬送部88の回転速度R3を、より高速または低速に変更する。
【0258】
ここで、
図15の処理対象が第1バッファー部801である場合と、第2バッファー部802である場合とで、目標値Tutargetを異なる値にしてもよい。また、ステップST112、ST114で速度を変更する処理で、駆動制御部153は、速度Vc2または速度Vc4を変更する。
【0259】
駆動制御部153が速度Vc2、Vc4を変化させる変化量は、速度設定データ167における速度Vc1とVc2との差、及び、速度Vc3とVc4との差より小さいことが好ましい。また、ステップST112、ST114では搬送速度V2<搬送速度V3が維持される範囲内で速度が変更される。ステップST112、ST114で速度を増加または低下させる割合は、例えば速度設定データ167や速度判定データ168に含めて記憶される。この割合は任意であり、「5%」や「10%」であってもよい。また、ステップST112、ST114では、速度設定データ167に設定された値そのものを変更してもよいし、速度設定データ167とは別に、変更後の目標速度として記憶部160に記憶されてもよい。
【0260】
以上説明したように、制御システム1は、繊維を含む原料MAから加工物を製造するシート製造装置100と、シート製造装置100に接続される制御装置200と、を有する。シート製造装置100は、原料MAからウェブを形成するウェブ形成部102と、ウェブ形成部102で形成されたウェブを搬送するウェブ搬送部103と、を備える。シート製造装置100は、ウェブ形成部102およびウェブ搬送部103の少なくともいずれかにおける状態を検出する状態検出部を備える。また、状態検出部の検出結果に基づき、ウェブの形成誤差要因の有無を判定する判定部155を備える。制御装置200は、シート製造装置100から送信される判定部155の判定結果に関する通知コマンドを受信する第1通信部201を備える。制御装置200は、通知コマンドに基づいて、シート製造装置100に対して停止を指示する停止コマンドを第1通信部201によりシート製造装置100に送信させる第1制御部202を備える。
【0261】
本実施形態で、状態検出部は、一例としては、第1搬送センサー303、第2搬送センサー304、及び第3搬送センサー305である。また、別の例としては、第1湿度センサー411、第2湿度センサー412、第3湿度センサー413である。また、別の例としては、回転速度R2、R3を検出する駆動制御部153である。
本実施形態で、ウェブは、第2ウェブW2に相当する。また、第2ウェブW2からシートSを製造する過程の中間製造物である加圧後シートSS1及び加熱後シートSS2を、ウェブに含めてもよい。
【0262】
制御システム1、及び、制御システム1で実行される制御方法によれば、シート製造装置100がウェブの形成誤差要因の有無を判定し、判定結果に関する通知コマンドを制御装置200に送信する。このため、制御装置200により、シート製造装置100のウェブの形成誤差要因の有無に関する情報を取得できる。さらに、制御装置200からシート製造装置100に対して停止コマンドを送信することにより、シート製造装置100におけるシートSの製造を停止させることができる。このため、ウェブの形成誤差要因を有する状態で運転が継続される事態を回避できる。例えば、シート製造装置100の内部で不具合が発生した場合に、不具合の影響が拡大する前にシートSの製造を停止させることができる。このように、シートSの品質に影響を生じる可能性のある状態となった場合に、シートSの製造を停止する。このため、品質が基準に満たないシートSの製造が継続されることを防止できる。また、動作状態の悪化や、シート製造部101の故障に至る前にシート製造部101を停止させることができる。従って、シート製造装置100の修理、修復、或いはメンテナンス作業の負荷を減少させることができる。
【0263】
ここで、ウェブ形成部102の動作はウェブ形成工程に相当し、ウェブ搬送部103の動作はウェブ搬送工程に相当し、上述した状態検出部の動作は状態検出工程に相当する。また、判定部155の動作は判定工程に相当する。制御装置200の第1通信部201により通知コマンドを受信する動作は受信工程に相当し、第1制御部202の制御により停止コマンドを送信する動作は停止制御工程に相当する。
【0264】
シート製造装置100は、通知コマンドを制御装置200に送信する第2通信部118を備える。シート製造装置100は、第2通信部118により停止コマンドを受信した場合に、停止コマンドに従ってシート製造装置100を制御する第2制御部150を備える。これにより、シート製造装置100が制御装置200と通信を実行し、通知コマンドを送信し、停止コマンドに従ってシートSの製造を停止する制御を行うことができる。このため、制御装置200がシート製造装置100に対し停止コマンドを送信することで、シート製造装置100を停止できるので、制御装置200の処理負荷を軽減できる。また、例えば、制御システム1が多数のシート製造装置100を含んで構成される場合に、制御装置200の負荷を抑制できる。
【0265】
第2制御部150は、停止コマンドに従ってウェブ形成部102及びウェブ搬送部103のいずれか1以上を停止させる。第2制御部150は、シート製造装置100の一部を停止させた通知を第2通信部118により制御装置200に送信させる。これにより、第2制御部150が、シートSの製造に係るウェブ形成部102及び/またはウェブ搬送部103を停止させることができる。さらに、シート製造装置100が停止コマンドに基づきウェブ形成部102及び/またはウェブ搬送部103を停止させたことを、制御装置200に通知できる。このため、制御装置200が、シート製造装置100に対し停止コマンドを送信した後のシート製造装置100の状態に関する情報を得ることができる。
【0266】
シート製造装置100は、ウェブ形成部102により第1のウェブを形成する第1製造モードと、ウェブ形成部102によって第1のウェブよりも厚い第2のウェブを形成する第2製造モードとを実行可能である。第2制御部150は、停止コマンドを受信した場合、シート製造装置100を第2製造モードに切り替えてからウェブ形成部102及びウェブ搬送部103を停止させる。このため、停止コマンドに基づきシート製造装置100が停止する際には、シート製造装置100は、厚みの大きい第2のウェブを形成する状態となっている。つまり、シート製造装置100が停止した状態で、シート製造装置100の内部に残存するウェブは、厚みが大きく、破断しにくいウェブである。これにより、例えば、シート製造装置100の動作状態の復旧または改善の作業において、ウェブの破断や損傷により飛散する繊維を除去する作業が不要となり、速やかに、シート製造部101を運転可能な状態にすることができる。このように、シート製造装置100が、シートSの品質に影響を生じる可能性のある状態となった場合に、シートSの製造を停止する。このため、品質が基準に満たないシートSの製造が継続されることを防止できる。また、動作状態の悪化や、シート製造部101の故障に至る前にシート製造部101を停止させることができる。従って、シート製造装置100の動作状態の復旧または改善に要する作業の負荷を抑制できる。
【0267】
第1湿度センサー411、第2湿度センサー412及び第3湿度センサー413は、状態検出部として、湿度を検出する。判定部155は、状態検出部が検出した湿度と、湿度の基準値とを比較することにより、ウェブの形成誤差要因の有無を判定する。これにより、第1チャンバー401、第2チャンバー402及び第3チャンバー403における湿度の過剰や不足が発生した場合に、ウェブの形成誤差要因があると判定し、制御装置200に通知コマンドを送信できる。また、制御装置200は、シート製造装置100の湿度が好適な状態から逸脱した場合に、シート製造装置100を停止コマンドにより停止させることができる。
【0268】
シート製造装置100の状態検出部は、ウェブ形成部102およびウェブ搬送部103のいずれかにおける原料MAまたはウェブの搬送状態を検出する。例えば、駆動制御部153は、回転速度R2、R3を検出することにより、被搬送物FMの搬送速度を検出する。また、状態検出部としての第1搬送センサー303、第2搬送センサー304、及び第3搬送センサー305は、管2、3、54における材料の搬送状態を検出する。判定部155は、状態検出部が検出した搬送状態が特定の状態に該当するか否かに基づき、ウェブの形成誤差要因の有無を判定する。これにより、第2ウェブW2、加圧後シートSS1、加熱後シートSS2及びシートSや、これらを構成する材料の搬送に関して、ウェブの形成誤差要因があると判定し、制御装置200に通知コマンドを送信できる。また、制御装置200は、シート製造装置100における搬送状態が好適な状態から逸脱した場合に、シート製造装置100を停止コマンドにより停止させることができる。
【0269】
例えば、状態検出部としての駆動制御部153は、ウェブ搬送部103におけるウェブの搬送速度V2、V3を検出する。判定部155は、検出された搬送速度が特定の条件に該当するか否かに基づき、ウェブの形成誤差要因の有無を判定する。このため、第2ウェブW2、加圧後シートSS1、加熱後シートSS2の搬送が適切でない状態となった場合に、搬送を停止させることができる。
【0270】
また、シート製造装置100は、判定部155の判定結果に基づき通知コマンドを送信した後に、改善制御を実行する。このため、シート製造装置100が実行する制御により、ウェブの形成誤差要因の解消を図ることができる。
さらに、シート製造装置100は、改善制御を実行したことによって、ウェブの形成誤差要因が解消した場合に、制御装置200に対し通知コマンドを送信する。このため、制御装置200が、シート製造装置100のウェブの形成誤差要因が解消したことに関する情報を取得できる。
【0271】
また、シート製造装置100は、停止コマンドを受信した場合に、改善制御を実行せずにシート製造装置100を停止させてもよい。この場合、制御装置200の制御に反する動作を実行しないため、シート製造装置100を確実に管理できる。また、シート製造装置100は、改善制御の実行中に停止コマンドを受信した場合、改善制御を終了して第2製造モードに移行し、シートSの製造を停止させてもよい。
【0272】
さらにまた、シート製造装置100は、改善制御を実行した回数が上限に達し、ウェブの形成誤差要因が解消しない場合に、シート製造部101を第2製造モードに移行させて、シートSの製造を停止する。このため、ウェブの形成誤差要因が発生した場合に、シート製造部101の機構に過度の負荷を与えることがなく、形成誤差要因の影響を拡大させるリスクがない。このため、シート製造装置100のメンテナンスの負荷を増大させることなく、軽微な形成誤差要因の解消を図ることができる。
【0273】
[12.他の実施形態]
上述した各実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明を実施する具体的態様に過ぎず、本発明を限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、例えば以下に示すように、種々の態様において実施することが可能である。
【0274】
シート製造装置100は、シートSに限らず、硬質のシート或いは積層したシートで構成されるボード状、或いは、ウェブ状の製造物を製造する構成であってもよい。また、製造物は紙に限らず不織布であってもよい。シートSの性状は特に限定されず、筆記や印刷を目的とした記録紙(例えば、いわゆるPPC用紙)として使用可能な紙であってもよいし、壁紙、包装紙、色紙、画用紙、ケント紙等であってもよい。また、シートSが不織布である場合、一般的な不織布のほか、繊維ボード、ティッシュペーパー、キッチンペーパー、クリーナー、フィルター、液体吸収材、吸音体、緩衝材、マット等としてもよい。
【0275】
また、上記実施形態では、本発明の搬送装置、及び、繊維原料再生装置として、原料を気中で解繊することにより材料を得て、この材料と樹脂とを用いてシートSを製造する乾式のシート製造装置100を説明した。本発明の適用対象はこれに限定されず、水等の溶媒中に繊維を含む原料を溶解または浮遊させ、この原料をシートに加工する、いわゆる湿式のシート製造装置にも適用できる。また、気中で解繊された繊維を含む材料をドラムの表面に静電気等により吸着させ、ドラムに吸着された原料をシートに加工する静電方式のシート製造装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0276】
1…制御システム、2、3、4、5、6、7、8、9、54…管、10…供給部、12…粗砕部、14…粗砕刃、20…解繊部、22…固定子、24…ローター、31…第1中間ブロアー、32…第2中間ブロアー、33…第1集塵ブロアー、34…第2集塵ブロアー、35…第3集塵ブロアー、36…第4集塵ブロアー、37…回収ブロアー、38A…第1フィルター、38B…第2フィルター、39A…第1排気ボックス、39B…第2排気ボックス、40…選別部、41…ドラム部、42…導入口、43…ハウジング部、44…排出口、45…第1ウェブ形成部、46…メッシュベルト、47…張架ローラー、48…吸引部、49…回転体、50…混合部、52…添加物供給部、52a…添加物カートリッジ、52b…添加物取出部、52c…添加物投入部、56…混合ブロアー、60…分散部、61…ドラム部、62…内部空間、63…ハウジング部、70…第2ウェブ形成部、72…メッシュベルト、74…張架ローラー、76…吸引部、77…部、78…部、79…ウェブ移動部、79a…メッシュベルト、79b…ローラー、79c…サクション機構、80…成形部、82…加圧部、82A…ニップ部、84…加熱部、84A…ニップ部、85…加圧ローラー、86…加熱ローラー、88…切断前搬送部、88A…ニップ部、89…搬送ローラー、90…切断部、91…カッター、96…排出部、100…シート製造装置(繊維原料再生装置)、101…シート製造部、102…ウェブ形成部、103…ウェブ搬送部、110…コントローラー、111…メインプロセッサー、112…ROM、113…RAM、114…センサーインターフェイス、115…駆動部インターフェイス、117…タッチセンサー、118…第2通信部、120…不揮発性記憶部、150…第2制御部、151…検出制御部、153…駆動制御部(状態検出部)、155…判定部、157…通信制御部、160…記憶部、161…基本設定データ、162…製造条件、163…湿度基準データ、164…搬送判定データ、167…速度設定データ、168…速度判定データ、200…制御装置、201…第1通信部、202…第1制御部、300…センサー、301…センサー群、303…第1搬送センサー(状態検出部)、304…第2搬送センサー(状態検出部)、305…第3搬送センサー(状態検出部)、311…第1上センサー、312…第1下センサー、315…第2上センサー、316…第2下センサー、325…第1ドラム駆動部、326…第1ベルト駆動部、327…回転体駆動部、328…第2ドラム駆動部、329…第2ベルト駆動部、330…カッター駆動部、331…油圧駆動部、332…ローラー加熱部、341…加圧ローラー駆動部、342…加熱ローラー駆動部、343…搬送ローラー駆動部、401…第1チャンバー、402…第2チャンバー、403…第3チャンバー、411…第1湿度センサー(状態検出部)、412…第2湿度センサー(状態検出部)、413…第3湿度センサー(状態検出部)、421…第1気化式加湿器、422…第2気化式加湿器、423…第3気化式加湿器、801…第1バッファー部、802…第2バッファー部、811…第1テンションローラー、812…第2テンションローラー、AD…添加材料、F…搬送方向、FM…搬送物、FW…搬送経路、MA…原料、MB…解繊物、MC…第1選別物、MX…混合物、N…通信ネットワーク、S…シート(ウェブ)、SS1…加圧後シート(ウェブ)、SS2…加熱後シート(ウェブ)、W1…第1ウェブ、W2…第2ウェブ(ウェブ)。