(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】水中油型乳化皮膚化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/81 20060101AFI20221018BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20221018BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20221018BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20221018BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20221018BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20221018BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/06
A61K8/31
A61K8/37
A61K8/34
A61K8/92
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2018241672
(22)【出願日】2018-12-25
【審査請求日】2021-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124349
【氏名又は名称】米田 圭啓
(72)【発明者】
【氏名】志津田 有成
(72)【発明者】
【氏名】松藤 孝志
(72)【発明者】
【氏名】村上 大
【審査官】片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-177364(JP,A)
【文献】特開2015-071596(JP,A)
【文献】特開2007-261971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)平均分子量が800~3000の炭化水素油を0.5~10質量%、
(b)炭素数10~24の高級アルコールを0. 5~10質量%、
(c)融点が30~55℃の固形油を1~20質量%、
(d)2-メタクリロイルオキシエチルホスホコリンを共重合成分とする共重合体を0.01~2質量%
含有する水中油型乳化皮膚化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水中油型乳化皮膚化粧料に関し、詳細には、使用時の感触としてベタツキ感や、きしみ感がなく、塗布時に厚みを感じることができ、また伸びが良く、冬場の屋外のような低温下においても優れた使用感を有する水中油型乳化皮膚化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
角質層のバリア機能や水分保持機能が種々の内的要因あるいは外的要因により低下すると、肌荒れ等の皮膚トラブルが生じる。このような皮膚トラブルを未然に防ぐために、化粧水、乳液、クリーム等の皮膚化粧料を用いることは周知である。中でも、水相中に油分を分散させた水中油型乳化組成物は、多価アルコール等の保湿剤により水分を補うことができ、かつ油分が皮膚上に膜を形成することで水分の蒸散を抑制するので、より保湿効果の高い皮膚化粧料である。
【0003】
一般に、これら化粧料は、継続して使用することで効果を実感することができるため、先に述べた機能性だけでなく、使用時の感触や使いやすさも重要である。消費者に好まれる使用時の感触としては、ベタツキ感、きしみ感がないこと等が挙げられる。さらに近年では、高級感をもたらすような塗布時に厚みのある感触が好まれる傾向にある。また使いやすさという点では、塗布時に伸びが良いことなどが挙げられる。
【0004】
使用時の感触においてベタツキ感がなく、使いやすさの点で伸びが良いことを目的として、例えば、α-オレフィンオリゴマー、硬化油、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン重合体を組み合わせた皮膚外用剤が提案されている(特許文献1)。
しかし、この皮膚外用剤はベタツキ感がなく伸びが良い反面、塗布時の厚みは不十分であった。
【0005】
塗布時の厚みを出すために、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アニオン性界面活性剤、高級アルコール、レシチンを組み合わせた水中油型乳化組成物が提案されている(特許文献2)。
しかし、この水中油型乳化組成物は、塗布時の感触に厚みがある一方で、伸びの良さ等の使用性の面で十分ではなかった。
【0006】
さらに、ベタツキ感がなく、厚みがあり、伸びが良いことを目的として、例えば、アルキルオキシラン誘導体、多価アルコール、液状油、ノニオン性界面活性剤を組み合わせた水中油型乳化皮膚化粧料も提案されている(特許文献3)。
【0007】
また、冬場は肌が乾燥しやすく肌トラブルが生じやすいため、屋外などでもこまめに皮膚化粧料を使用することが望ましいが、冬場の屋外は低温となるため、そのような低温下でも良好な使用感を得ることが可能な化粧料が求められている。
しかし、これまでの技術では低温下でクリームが固くなり、伸びが不十分となる等、室温では問題なくとも低温下では使用感が十分には達成できていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2010-229081号公報
【文献】特開2015-189762号公報
【文献】特開2018-104342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、使用時の感触としてベタツキ感や、きしみ感がなく、塗布時に厚みを感じることができ、また伸びが良く、冬場の屋外のような低温下においても優れた使用感を有する水中油型乳化皮膚化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、後述の(a)成分~(d)成分を特定の割合で配合することで上記課題を解決できることを見出して本発明を完成させた。すなわち、本発明は次のとおりである。
(a)平均分子量が800~3000の炭化水素油を0.5~10質量%、
(b)炭素数10~24の高級アルコールを0. 5~10質量%、
(c)融点が30~55℃の固形油を1~20質量%、
(d)2-メタクリロイルオキシエチルホスホコリンを共重合成分とする共重合体を0.01~2質量%
含有する水中油型乳化皮膚化粧料。
【発明の効果】
【0011】
本発明の水中油型乳化皮膚化粧料によれば、使用時の感触としてベタツキ感や、きしみ感がなく、塗布時に厚みを感じることができ、また伸びが良く、冬場の屋外のような低温下においても優れた使用感が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を説明する。本発明の水中油型乳化皮膚化粧料は、下記(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分を含有する。以下、各成分について説明する。
なお、本明細書において記号「~」を用いて規定された数値範囲は「~」の両端(上限および下限)の数値を含むものとする。例えば「2~10」は2以上10以下を表す。
【0013】
〔(a)成分:炭化水素油〕
本発明に用いられる(a)成分は平均分子量が800~3000の炭化水素油であり、分子量が異なる炭化水素化合物の混合物であって、その平均分子量が800~3000となる場合のみならず、分子量が800~3000の炭化水素化合物単独の場合も含まれる。例えば、平均分子量が800~3000のポリブテン、平均分子量が800~3000の水添ポリイソブテン等が挙げられ、好ましくは平均分子量が800~3000の水添ポリイソブテンである。炭化水素油の平均分子量(又は分子量)として好ましくは900~2900であり、より好ましくは1000~2000である。平均分子量(又は分子量)が低すぎると、きしみ感が生じたり、塗布時の厚みが不十分となることがあり、平均分子量(又は分子量)が高すぎると、塗布時の伸びが悪くなったり、ベタツキが発生したりすることがある。
なお、炭化水素油の平均分子量は数平均分子量であり、数平均分子量(ポリスチレン換算)はGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により求めることができる。
【0014】
炭化水素油として具体的には、例えば、日油(株)製のパールリーム18(平均分子量:1000)、パールリーム24(平均分子量:1350)、パールリーム46(平均分子量:2650)等が挙げられる。
【0015】
(a)成分の含有量は、化粧料総量に対して、0.5~10質量%であり、2~7質量%が好ましく、3~6質量%がより好ましい。(a)成分の含有量が少なすぎると、きしみ感が生じたり、塗布時の厚みが不十分となることがある。(a)成分の含有量が多すぎると、ベタツキ感が生じたり、塗布時の伸びが不十分となることがある。
【0016】
〔(b)成分:高級アルコール〕
本発明に用いられる(b)成分は、炭素数10~24の高級アルコールであり、直鎖、分岐、飽和、不飽和のいずれのアルコールでもよい。例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコールなどが挙げられる。中でも炭素数14~22の直鎖飽和高級アルコールが好ましく、例えば、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどが挙げられる。さらに、その中でもセチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールのうち1種以上を用いることが好ましく、ステアリルアルコールとベヘニルアルコールを併用することがより好ましい。併用する場合、ステアリルアルコール:ベヘニルアルコールの比率は、好ましくは質量比で9:1~1:9であり、より好ましくは8:2~4:6、特に好ましくは6:4~5:5である。
【0017】
(b)成分の含有量は、化粧料総量に対して、0.5~10質量%であり、1~8質量%が好ましく、2~4質量%がより好ましい。(b)成分の含有量が少なすぎると、ベタツキ感が生じたり、塗布時の厚みが不十分となることがある。(b)成分の含有量が多すぎると、きしみ感が生じたり、塗布時の伸びや低温下での使用感が不十分となることがある。
【0018】
〔(c)成分:固形油〕
本発明に用いられる(c)成分は、融点が30~55℃の固形油であり、一般的な化粧料に用いられるものであれば制限されない。
例えば、ヘキサ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ジペンタエリスリチル(52℃)、ヒドロキシステアリン酸コレステリル(52℃)、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル(50℃)、硬質ラノリン(49℃)、水添パーム油(50℃)、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル(45℃)、還元ラノリン(45℃)、ミリスチン酸ミリスチル(42℃)、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル(40℃)、ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2(39℃)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)(38℃)、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル(37℃)、シア脂(34℃)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)(34℃)、オレイン酸フィトステリル(33℃)、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)(33℃)等が挙げられる。これらのうち、厚み及び伸びに優れ、低温下でも良好な使用感を付与する点から、水添パーム油(50℃)、ミリスチン酸ミリスチル(42℃)、シア脂(34℃)のうち1種以上を用いることが好ましく、水添パーム油(50℃)とミリスチン酸ミリスチル(42℃)を併用することがより好ましい。併用する場合、水添パーム油:ミリスチン酸ミリスチルの比率は、好ましくは質量比で9:1~1:9であり、より好ましくは6:4~4:6である。なお、化合物名の後に記載の温度は融点を示す。
【0019】
具体的には、水添パーム油としてNIKKOL(登録商標) TRIFAT P-52(日光ケミカルズ(株)製)、ミリスチン酸ミリスチルとしてSR CRODAMOL MM-SO-(JP)(クローダジャパン(株)製)が挙げられる。
【0020】
(c)成分の含有量は、化粧料総量に対して、1~20質量%であり、4~13質量%が好ましく、6~11質量%がより好ましい。(c)成分の含有量が少なすぎると、塗布時の厚みが不十分となることがある。(c)成分の含有量が多すぎると、ベタツキ感が生じたり、塗布時の伸び、低温下での使用感が不十分となることがある。
【0021】
〔(d)成分:共重合体〕
本発明に用いられる(d)成分は、2-メタクリロイルオキシエチルホスホコリンを共重合成分とする共重合体、言い換えれば2-メタクリロイルオキシエチルホスホコリンと他の単量体を共重合成分として含む単量体混合物を共重合して得られる共重合体である。
【0022】
2-メタクリロイルオキシエチルホスホコリンと共重合させる他の単量体としては、例えばアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル(以下、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと総称する。)が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルにおけるアルキル鎖は、炭素数が1~22であることが好ましく、炭素数が4の(メタ)アクリル酸ブチルが入手のし易さから特に好ましい。この共重合体における(メタ)アクリル酸アルキルのアルキル鎖の炭素数が上記の範囲であれば、ベタツキ感や、きしみ感が生じ難い。
【0023】
2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとメタクリル酸ブチルを構成モノマーとするポリマーとして具体的には、例えば、商品名「LIPIDURE(登録商標)-PMB」〔日油(株)製〕が挙げられる。
【0024】
(d)成分の含有量は、化粧料総量に対して、0.01~2質量%であり、0.05~1質量%が好ましく、0.1~0.5質量%がより好ましい。(d)成分の含有量が少なすぎると、きしみ感が生じたり、低温下での使用感が不十分となることがある。(d)成分の含有量が多すぎると、配合量に見合った効果が期待できない。
【0025】
なお、(a)成分~(d)成分の合計含有量は10質量%以上であることが好ましく、12質量%以上であることがより好ましい。
【0026】
<他の成分>
本発明の水中油型乳化皮膚化粧料は、水を必須成分として含有する。水としては、例えば、イオン交換水、蒸留水、RO水、水道水、工業用水が挙げられる。
【0027】
水は、(a)成分~(d)成分及び任意に含有し得る成分を所定量に調整する量にて用いられる。具体的には、本発明の化粧料における水の含有量は、化粧料総量に対して、40~90質量%であり、45~80質量%が好ましく、45~70質量%がより好ましい。
【0028】
本発明の水中油型乳化皮膚化粧料は、さらに必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲内で、上記の(a)成分~(d)成分以外の他の成分を含有させることができる。他の成分は、化粧料に常用されるものが好ましく、例えば、エタノールなどの低級アルコール、プロピレングリコールなどのジオール類、糖アルコールおよび糖アルコール誘導体、カルボキシビニルポリマーなどの増粘剤、糖類、界面活性剤、有機塩、無機塩、pH調整剤、キレート剤、抗酸化剤、殺菌剤、血流促進剤、抗炎症剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、ビタミン類、アルギニンなどのアミノ酸、色素、香料などが挙げられ、本発明の性能を損なわない範囲の量を配合することができる。例えば、上記の(a)成分~(d)成分及び水を除く他の成分の含有量は、化粧料総量に対して、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。
【実施例】
【0029】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
〔実施例1~10、比較例1~5〕
各成分を表1、2に示す配合比率で配合した実施例1~10及び比較例1~5の水中油型乳化皮膚化粧料を下記方法で調製した。また、各化粧料について下記評価方法により評価を行った。結果を表1、2に示す。なお、表1、2中の各成分は下記のとおりであり、共通成分は表3に示す7成分である。
【0030】
(a)成分:パールリーム24(平均分子量:1350、日油(株)製)、パールリーム46(平均分子量:2650、日油(株)製)
(a’)成分:ノムコートHP-30(平均炭素数:30、日清オイリオグループ(株)製)(α-オレフィンオリゴマー)
(b)成分:NAA(登録商標)-45(炭素数18、日油(株)製)、NAA(登録商標)-422(炭素数22、日油(株)製)
(c)成分:NIKKOL(登録商標) TRIFAT P-52(融点50℃、日光ケミカルズ(株)製)、SR-CRODAMOL MM-SO-(JP)(融点42℃、クローダジャパン(株)製)
(c’)成分:SR-BEESWAX-PA-(JP)(融点64℃、クローダジャパン(株)製)(ミツロウ)
(d)成分:Lipidure(登録商標)-PMB(Ph11)(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体、日油(株)製)
【0031】
<調製>
(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含む油相と水相をそれぞれ混合し、75℃~80℃に加熱し、ホモミキサーを用いて混合した後に冷却し、(d)成分と共通成分である防腐剤を添加して水中油型乳化クリームの皮膚化粧料を得た。
【0032】
<評価方法>
(1)ベタツキ感のなさ
20名の男女をパネラーとし、皮膚化粧料を上腕内側部に塗布し、5分後の肌の感触について下記のように判定し、20名の合計点を求めて下記の基準で評価した。
2点:ベタツキをほとんど感じない場合。
1点:ベタツキをあまり感じない場合。
0点:ベタツキを感じる場合。
〔評価基準〕
◎:合計点が35点以上かつ0点の評価をしたパネラーがいない。
○:合計点が30点以上35点未満かつ0点の評価をしたパネラーがいない。
△:合計点が20点以上30点未満、または、合計点が30点以上かつ0点の評価をしたパネラーがいる。
×:合計点が20点未満である。
【0033】
(2)きしみ感のなさ
20名の男女をパネラーとし、皮膚化粧料を上腕内側部に塗布した際のきしみについて下記のように判定し、20名の合計点を求めて下記の基準で評価した。
2点:きしみをほとんど感じない場合。
1点:きしみをあまり感じない場合。
0点:きしみを感じる場合。
〔評価基準〕
◎:合計点が35点以上かつ0点の評価をしたパネラーがいない。
○:合計点が30点以上35点未満かつ0点の評価をしたパネラーがいない。
△:合計点が20点以上30点未満、または、合計点が30点以上かつ0点の評価をしたパネラーがいる。
×:合計点が20点未満である。
【0034】
(3)塗布時の厚み
20名の男女をパネラーとし、皮膚化粧料を上腕内側部に塗布した際の厚みについて下記のように判定し、20名の合計点を求めて下記の基準で評価した。
2点:厚みを十分感じた場合。
1点:厚みをやや感じた場合。
0点:厚みを感じない場合。
〔評価基準〕
◎:合計点が35点以上かつ0点の評価をしたパネラーがいない。
○:合計点が30点以上35点未満かつ0点の評価をしたパネラーがいない。
△:合計点が20点以上30点未満、または、合計点が30点以上かつ0点の評価をしたパネラーがいる。
×:合計点が20点未満である。
【0035】
(4)塗布時の伸び
20名の男女をパネラーとし、皮膚化粧料を上腕内側部に塗布した際の伸びについて下記のように判定し、20名の合計点を求めて下記の基準で評価した。
2点:伸び広げることが容易であると感じた場合。
1点:伸び広げることが比較的容易であると感じた場合。
0点:伸び広げることが困難であると感じた場合。
〔評価基準〕
◎:合計点が35点以上かつ0点の評価をしたパネラーがいない。
○:合計点が30点以上35点未満かつ0点の評価をしたパネラーがいない。
△:合計点が20点以上30点未満、または、合計点が30点以上かつ0点の評価をしたパネラーがいる。
×:合計点が20点未満である。
【0036】
(5)低温下での使用感
5℃の恒温室に保管した皮膚化粧料を同恒温室内にて上腕内側部に塗布し、伸びについて下記のように判定し、20名の合計点を求めて下記の基準で評価した。
2点:伸び広げることが容易であると感じた場合。
1点:伸び広げることが比較的容易であると感じた場合。
0点:伸び広げることが困難であると感じた場合。
〔評価基準〕
◎:合計点が35点以上かつ0点の評価をしたパネラーがいない。
○:合計点が30点以上35点未満かつ0点の評価をしたパネラーがいない。
△:合計点が20点以上30点未満、または、合計点が30点以上かつ0点の評価をしたパネラーがいる。
×:合計点が20点未満である。
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
表1に示されるように、実施例1~10の各水中油型乳化皮膚化粧料は、使用時の感触としてベタツキ感やきしみ感がなく、厚みを感じることができ、伸びが良く、冬場の屋外のような低温下においても優れた使用感を有すると評価された。
【0041】
一方、表2に示されるように、比較例1~5の水中油型乳化皮膚化粧料については、以下のとおり、すべての評価項目おいて十分な有効性の認められたものはなかった。
例えば、(a)成分を含有していない比較例1の化粧料は、きしみ感が目立ち、ベタツキ感のなさ、塗布時の厚み、塗布時の伸び、低温下での使用感も不十分であると評価された。
また、平均分子量が800~3000の炭化水素油を平均炭素数が30のα-オレフィンオリゴマーで代用した比較例2の化粧料も、きしみ感が目立ち、塗布時の厚みも不十分であると評価された。
(b)成分を含有していない比較例3の化粧料は、ベタツキ感のなさが不十分であり、塗布時の厚みの点で著しく劣ると評価された。
(c)成分を含有していない比較例4の化粧料は、塗布時の厚みが不十分であり、低温下での使用感も良好でないと評価された。
また、(c)成分をミツロウで代用した比較例5の化粧料は、低温下での使用感が著しく劣り、きしみ感が目立ち、塗布時の伸びが不十分であった。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の水中油型乳化皮膚化粧料は、使用時の感触としてベタツキ感や、きしみ感がなく、塗布時に厚みを感じることができ、また伸びが良く、冬場の屋外のような低温下においても優れた使用感を有するので、保湿クリーム、ハンドクリーム、ボディクリーム、フットクリーム、マッサージクリーム等に好適に利用することかできる。