(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】浮遊システム
(51)【国際特許分類】
B63B 21/00 20060101AFI20221018BHJP
B63B 21/26 20060101ALI20221018BHJP
B63B 35/00 20200101ALI20221018BHJP
【FI】
B63B21/00 Z
B63B21/26
B63B35/00 T
B63B21/00 B
(21)【出願番号】P 2019012844
(22)【出願日】2019-01-29
【審査請求日】2021-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【氏名又は名称】小松 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 剛史
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-019387(JP,A)
【文献】特開2002-188557(JP,A)
【文献】特開2002-266743(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0215650(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 21/00
B63B 21/26
B63B 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3個の第1固定部、前記3個の第1固定部に対して各々接続された3本の第1下部係留索、前記3本の第1下部係留索によって係留されて水中で浮遊可能な第1浮体、前記第1浮体に接続された第1上部係留索及び前記第1上部係留索によって係留されて水中又は水上で浮遊可能な第2浮体を含む第1浮体ユニットと、
3個の第2固定部、前記3個の第2固定部に対して各々接続された3本の第2下部係留索、前記3本の第2下部係留索によって係留されて水中で浮遊可能な第3浮体、前記第3浮体に接続された第2上部係留索及び前記第2上部係留索によって係留されて水中又は水上で浮遊可能な第4浮体を含む第2浮体ユニットと、を備え、
前記3個の第1固定部は、水底の異なる位置に配置されると共に、三角形の頂点を成す位置に配置され、
前記3個の第2固定部は、水底の異なる位置に配置されると共に、三角形の頂点を成す位置に配置され、
前記3個の第1固定部のうちの2個は、前記3個の第2固定部のうちの2個と共用されている、浮遊システム。
【請求項2】
前記第1浮体ユニットは、
水流を受けて回転可能なタービンと、
前記タービンの回転駆動力を用いて発電する発電機と、を
含み、
前記タービン及び前記発電機は、前記第2浮体に設けられている請求項1に記載の浮遊システム。
【請求項3】
前記第1浮体ユニットは、
前記第2浮体に接続された送電ケーブルを含み、
前記送電ケーブルは、前記第1浮体に接続されている請求項1
又は2に記載の浮遊システム。
【請求項4】
前記第1浮体ユニットは、
水流を受けて回転可能な第1タービンと、
前記第1タービンの回転駆動力を用いて発電する第1発電機と、
水流を受けて回転可能な第2タービンと、
前記第2タービンの回転駆動力を用いて発電する第2発電機と、を
含み、
前記第1タービン及び前記第1発電機は、前記第1浮体に設けられ、
前記第2タービン及び前記第2発電機は、前記第2浮体に設けられている請求項1
又は3に記載の浮遊システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、浮遊システムに関する。
【背景技術】
【0002】
海底に配置されたアンカーに対して係留される構造物として、例えば半潜水型風力発電用ラフトがある(例えば、特許文献1参照)。このラフトは、アンカーに接続された係留ラインに接続されて使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水底に対して係留索を介して接続されて水中または水上で浮遊する浮体を備えた浮遊システムでは、水深が深い場所にアンカーを配置した場合には、係留索を長くする必要がある。係留索が長くなると、係留索が短い場合と比較して、浮体が移動可能な範囲が大きくなる。本開示は、浮体が移動可能な範囲を抑制可能な浮遊システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の浮遊システムは、水底の異なる位置に配置された複数の固定部に対して各々接続された複数の下部係留索と、複数の下部係留索によって係留されて水中で浮遊可能な第1浮体と、第1浮体に接続された上部係留索と、上部係留索によって係留されて水中又は水上で浮遊可能な第2浮体と、を備える。
【0006】
この浮遊システムでは、第1浮体が複数の下部係留索に接続されているので、第1浮体が移動可能な範囲が制限される。第2浮体は上部係留索を介して第1浮体に接続されているので、水底に対して係留索を接続する場合と比較して、第2浮体に接続される係留索の長さを短くすることができる。そのため、第2浮体が移動可能な範囲を抑制することができる。
【0007】
また、浮遊システムは、水流を受けて回転可能なタービンと、タービンの回転駆動力を用いて発電する発電機と、を備え、タービン及び発電機は、第2浮体に設けられていてもよい。この浮遊システムでは、タービン及び発電機が設けられた第2浮体の移動範囲を抑制できる。この浮体システムでは、水流を受けてタービンを回転させて、このタービンの回転駆動力を用いて発電できる。
【0008】
また、複数の固定部は、三角形の頂点を成す位置に配置された第1固定部、第2固定部、第3固定部を含み、複数の下部係留索は、第1固定部に接続された第1下部係留索と、第2固定部に接続された第2下部係留索と、第3固定部に接続された第3下部係留索と、を含んでもよい。第1浮体は3本の下部係留索を介して、三角形の頂点を成す位置に配置された第1固定部、第2固定部、第3固定部に対して各々接続されるので、第1浮体が移動可能な範囲が制限される。
【0009】
また、浮遊システムは、複数の浮体ユニットを備えていてもよい。浮体ユニットは、複数の固定部、複数の下部係留索、第1浮体、上部係留索、第2浮体を含んでもよい。固定部は、複数の浮体ユニットにおいて共用されてもよい。複数の浮体ユニットの下部係留索は、共通の固定部に接続されていてもよい。換言すると、一つの固定部に対して、複数のユニットの下部係留索が接続されることになる。これにより、固定部を共用することで、水底に設置される固定部の数量を削減することができる。そのため、固定部の設置数量を抑えつつ、複数の浮体ユニットを配置できる。また、固定部を共用することで、複数の浮体ユニットを近接して配置でき、所定の領域における複数の浮体ユニットの設置数量の増加を図ることができる。
【0010】
また、浮遊システムは、第2浮体に接続された送電ケーブルを含み、送電ケーブルは、第1浮体に接続されていてもよい。これにより、第2浮体から下方に延びる送電ケーブルを、水底と第2浮体との間で浮遊する第1浮体に接続することができる。送電ケーブルを第1浮体に接続することで、送電ケーブルの移動範囲を抑制することができる。
【0011】
また、浮遊システムは、水流を受けて回転可能な第1タービンと、第1タービンの回転駆動力を用いて発電する第1発電機と、水流を受けて回転可能な第2タービンと、第2タービンの回転駆動力を用いて発電する第2発電機と、を備えていてもよい。第1タービン及び第1発電機は、第1浮体に設けられ、第2タービン及び第2発電機は、第2浮体に設けられていてもよい。これにより、異なる深さに配置された第1浮体及び第2浮体に、それぞれタービン及び発電機を設けることができる。この浮体システムでは、異なる深さの水流を受けて第1タービン及び第2タービンを回転させて、発電できる。また、この浮体システムでは、タービン及び発電機を水深方向に複数配置できるので、所定の領域において、発電可能な浮体の設置数量を増加させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、第1浮体が移動可能な範囲を抑制すると共に、第2浮体が移動可能な範囲を抑制できる浮遊システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る水流発電装置を示す側面図である。
【
図3】本開示の第2実施形態に係る水流発電システムを示す側面図である。
【
図5】本開示の第3実施形態に係る水流発電装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において同一部分又は相当部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
図1に示されるように、水流発電装置(浮遊式水流発電装置、浮遊システム)1は、水中に発電用浮体2を浮遊させ、発電用浮体2に設けられたタービン3を水流FWによって回転させ、タービン3の回転によって発電を行う装置である。例えば、水流発電装置1は、海洋に設置され、海流によって発電する場合に用いられる。発電用浮体2は、複数の係留索4を介して複数のアンカー5に係留されている。発電用浮体2は、左右二つの発電用ポッドをビームによって連結して構成されているものでもよい。ビームは、例えば矩形の板状体を水平に配置して設けられる。本実施形態において水流FWの上流側を前側とし、水流FWの下流側を後側とする。また、各図において、直交する3方向を、X方向、Y方向、Z方向として矢印を用いて図示している。X方向及びY方向は、例えば水平方向である。X方向は、例えば水流FWに沿う方向である。Y方向は、例えば水流FWと交差する方向である。Z方向は、例えば上下方向である。
【0016】
アンカー5は、発電用浮体2が水流FWで流されないように保持するための構造物であり、例えばコンクリート製又は金属製のものが用いられる。アンカー5は、重量の大きい構造物の自重により位置を維持するシンカーであってもよいし、グラウンドアンカーなどの支持力も用いて位置を維持するタイプであってもよい。
【0017】
複数のアンカー5は、第1アンカー(第1固定部)6、第2アンカー(第2固定部)7、第3アンカー(第3固定部)8を含んでもよい。
図2に示されるように、これらの第1アンカー6、第2アンカー7、第3アンカー8は、例えば仮想の三角形Aの頂点C1,C2,C3を成す位置に配置されている。複数のアンカー5同士の距離は、同一でもよく、異なっていてもよい。複数のアンカー5は、水底Bの異なる位置に配置されている。
【0018】
複数の係留索4は、複数の下部係留索9と、上部係留索10とを含む。複数の下部係留索9は、第1下部係留索11、第2下部係留索12、第3下部係留索13を含んでもよい。第1下部係留索11は第1アンカー6に接続されている。第2下部係留索12は第2アンカー7に接続されている。第3下部係留索13は第3アンカー8に接続されている。第1下部係留索11、第2下部係留索12、第3下部係留索13の仕様(長さ、材質、直径等)は同じとすることができる。
【0019】
水流発電装置1は、複数の下部係留索9によって係留されて水中で浮遊可能な中間浮体(第1浮体)14を備えている。中間浮体14は、水中で浮遊可能な耐圧容器でもよい。中間浮体14には、第1下部係留索11、第2下部係留索12、第3下部係留索13がそれぞれ接続されている。第1下部係留索11、第2下部係留索12、第3下部係留索13は、中間浮体14においてそれぞれ異なる位置に接続されていてもよい。水流発電装置1が使用されている状態において、第1下部係留索11、第2下部係留索12、第3下部係留索13に作用する張力は、例えば略同程度とすることができる。
【0020】
上部係留索10の一端は中間浮体14に接続されている。上部係留索10の他端は発電用浮体2に接続されている。発電用浮体2は、上部係留索10によって係留されて水中で浮遊可能である。発電用浮体2は、上部係留索10、中間浮体14、第1下部係留索11、第2下部係留索12、第3下部係留索13を介して、第1アンカー6、第2アンカー7、第3アンカー8に対して係留されている。
【0021】
発電用浮体2は、本体15及びタービン3を備えている。発電用浮体2の本体15は、発電機16を搭載する耐圧容器を含む。タービン3は、本体15の後側に設けられている。タービン3は、ブレード3a及びハブ3bを備えている。ブレード3aは、水流FWを受けて回転力を発生させる翼部材であり、ハブ3bの外周に径方向へ向けて複数設けられている。タービン3は、二つのブレード3aを備えていてもよく、三つのブレード3aを備えていてもよい。ハブ3bは、発電用浮体2の前後方向に向けた軸線を中心に回転可能に設けられている。ハブ3bは、例えば発電機16の回転軸17に取り付けられ、回転軸17と一体に回転する。
【0022】
発電機16は、タービン3の回転の運動エネルギを電気エネルギに変換する機器であり、タービン3の回転駆動力を受けて発電する。発電機16にはパワーコンディショナが接続されていてもよい。発電機16は、パワーコンディショナに対し発電電力を出力する。パワーコンディショナは、発電機16の発電電力の調整及び発電運転制御を行うことができる。発電電力の調整は、交流電力である発電電力を直流電力に変換し、所望の周波数となるように直流電力を交流電力に変換して行われる。パワーコンディショナには、高圧受電部が接続されていてもよい。高圧受電部は、パワーコンディショナから出力される交流電力を変圧する。
【0023】
また、水流発電装置1には、
図1に示されるように、発電機16で発電された電力を送電する送電ケーブル18が設けられている。なお、
図2では、送電ケーブル18の図示を省略している。送電ケーブル18は、発電用浮体2から垂れ下がり、水中において、中間浮体14に繋ぎ止められている。例えば中間浮体14に設けられた接続具に接続されていてもよい。送電ケーブル18は、中間浮体14から垂れ下がり、水底B近傍に到達し、水底Bに沿って配置されていてもよい。送電ケーブル18は、例えば地上の電力系統に接続されている。
【0024】
次に、水流発電装置1の作用について説明する。発電用浮体2が水中で浮遊しながら、タービン3が水流FWを受けて回転する。発電機16は、タービン3の回転駆動力を用いて発電する。発電機16による発電電力は、送電ケーブル18を介して送電されて、地上側で消費できる。
【0025】
水流発電装置1では、中間浮体14が第1下部係留索11、第2下部係留索12、第3下部係留索13に接続されているので、中間浮体14が移動可能な範囲が制限される。発電用浮体2は、上部係留索10を介して中間浮体14に接続されている。発電用浮体2に接続される係留索(上部係留索10)の長さは、中間浮体14を経由せずに水底Bのアンカーに対して接続されている場合の係留索の長さと比較して短くできる。換言すると、中間浮体14から発電用浮体2までの上部係留索10の長さは、水底Bから発電用浮体2までの係留索の長さより短い。そのため、発電用浮体2が移動可能な範囲を抑制することができる。水流発電装置1では、中間浮体14の移動可能範囲が制限されると共に、発電用浮体2に接続される上部係留索10が短くできるので、発電用浮体2の移動可能な範囲が制限される。
【0026】
水流発電装置1では、発電用浮体2の移動可能な範囲が制限されるので、例えば、隣接する他の水流発電装置1との安全距離を従来と比較して短くすることができる。安全距離とは、複数の水流発電装置1において、発電用浮体2が接触する可能性がない距離である。このような水流発電装置1では、設置に必要な面積を削減することができるので、複数の水流発電装置1を高密度で配置することができる。
【0027】
水流発電装置1では、平面視において、第1アンカー6、第2アンカー7、第3アンカー8が、同一直線上に配置されていない。第1下部係留索11、第2下部係留索12、第3下部係留索13は、中間浮体14から互いに異なる三方に延びている。このように、三方に延びる係留索によって中間浮体14が拘束されるので、中間浮体14が移動可能な範囲が制限される。
【0028】
また、水流発電装置1では、発電用浮体2から延びる送電ケーブル18が、中間浮体14に接続されているので、水中において送電ケーブル18の移動範囲を制限することができる。水流発電装置1では、中間浮体14の移動範囲が制限されるので、中間浮体14に接続された送電ケーブルの移動範囲も制限される。その結果、送電ケーブル18が中間浮体14から離れて広範囲に移動してしまうことが防止される。
【0029】
なお、中間浮体14には浮力調整装置が設けられていてもよい。浮力調整装置は、中間浮体14内に設けられたタンク、配管、ポンプ等を含んでもよい。中間浮体14の外部から海水を注入することで、中間浮体14の浮力を減少させたり、タンク内に貯留されている海水を外部に排水することで、中間浮体14の浮力を増加させたりしてもよい。これにより、中間浮体14に作用する浮力を調整して、複数の下部係留索9に作用する張力を調整してもよい。
【0030】
次に、
図3及び
図4を参照して、本開示の第2実施形態に係る水流発電システム(浮遊システム)21について説明する。水流発電システム21は、複数の水流発電装置(浮体ユニット)1A,1Bを備えている。水流発電装置1A,1Bは、第1実施形態の水流発電装置1と同じ構成である。第2実施形態の説明において、第1実施形態と同じ説明は省略する。
【0031】
水流発電装置1Aは、発電用浮体(第2浮体)2A、係留索4A、アンカー5A、中間浮体14Aを備えている。発電用浮体2Aの後部には、タービン3Aが設けられている。発電用浮体2Aには、タービン3Aの回転駆動力を用いて発電する発電機16Aが搭載されている。係留索4Aは、複数の下部係留索9A、上部係留索10Aを備えている。上部係留索10Aの一端は中間浮体14Aに接続され、上部係留索10Aの他端は発電用浮体2Aに接続されている。発電用浮体2Aは、上部係留索10Aを介して中間浮体14Aに係留されている。
【0032】
複数の下部係留索9Aは、第1下部係留索11A、第2下部係留索12A、第3下部係留索13Aを含む。また、複数のアンカー5Aは、アンカー(第1固定部)22、アンカー(第2固定部)23、アンカー(第3固定部)24を含む。アンカー22,23,24は、平面視において三角形の頂点を成す位置に配置されている。第1下部係留索11Aは、アンカー22に接続され、第2下部係留索12Aは、アンカー23に接続され、第3下部係留索13Aは、アンカー24に接続されている。中間浮体14Aは、第1下部係留索11A、第2下部係留索12A、第3下部係留索13Aに接続されて、アンカー22,23,24に対して係留されている。
【0033】
水流発電装置1Bは、発電用浮体(第2浮体)2B、係留索4B、アンカー5B、中間浮体14Bを備えている。発電用浮体2Bの後部には、タービン3Bが設けられている。発電用浮体2Bには、タービン3Bの回転駆動力を用いて発電する発電機16Bが搭載されている。係留索4Bは、複数の下部係留索9B、上部係留索10Bを備えている。上部係留索10Bの一端は中間浮体14Bに接続され、上部係留索10Bの他端は発電用浮体2Bに接続されている。発電用浮体2Bは、上部係留索10Bを介して中間浮体14Bに係留されている。
【0034】
複数の下部係留索9Bは、第1下部係留索11B、第2下部係留索12B、第3下部係留索13Bを含む。また、複数のアンカー5Bは、アンカー(第1固定部)23、アンカー(第2固定部)24、アンカー(第3固定部)25を含む。アンカー23,24,25は、平面視において三角形の頂点を成す位置に配置されている。第1下部係留索11Bは、アンカー23に接続され、第2下部係留索12Bは、アンカー24に接続され、第3下部係留索13Bは、アンカー25に接続されている。中間浮体14Bは、第1下部係留索11B、第2下部係留索12B、第3下部係留索13Bに接続されて、アンカー23,24,25に対して係留されている。
【0035】
ここで、アンカー23,24は、複数の水流発電装置1A,1Bにおいて共用されている。アンカー23には、水流発電装置1Aの第2下部係留索12Aが接続されていると共に、水流発電装置1Bの第1下部係留索11Bが接続されている。アンカー24には、水流発電装置1Aの第3下部係留索13Aが接続されていると共に、水流発電装置1Bの第2下部係留索12Bが接続されている。アンカー23,24は、水流発電装置1A,1Bの両方で使用されている。
【0036】
本実施形態の水流発電システム21では、複数の水流発電装置1A,1Bの下部係留索9A,9Bは共通のアンカー23,24に接続されている。このように、アンカー23,24を共用することで、水底Bに設置されるアンカー5A,5Bの数量を削減することができる。そのため、アンカー5A,5Bの設置数量を抑えつつ、複数の水流発電装置1A,1Bを配置できる。
図3及び
図4に示す場合には、4つのアンカー22~25を設置して、2つの中間浮体14A,14Bを係留することができる。また、アンカー23,24を共用することで、複数の水流発電装置1A,1Bを近接して配置でき、所定の領域における複数の水流発電装置1A,1Bの設置数量の増加を図ることができる。一つの水流発電装置において、3個のアンカーをそれぞれ設置する場合には、アンカーの設置コストが増大すると共に、設置面積も増大することになる。
【0037】
次に、
図5を参照して、本開示の第3実施形態に係る水流発電装置(浮遊システム)31について説明する。第3実施形態の水流発電装置31が、第1実施形態の水流発電装置1と違う点は、中間浮体14に代えて、発電用浮体32を備える点である。なお、第3実施形態の説明において、第1実施形態と同じ説明について省略する。
【0038】
水流発電装置31は、第1浮体である発電用浮体32と、第2浮体である発電用浮体2とを備える。発電用浮体32は、複数の下部係留索9を介して、複数のアンカー5に対して係留されている。発電用浮体2は、上部係留索10を介して、発電用浮体32に対して係留されている。
【0039】
発電用浮体32には、タービン(第1タービン)33及び発電機(第1発電機)36が設けられている。タービン33は、発電用浮体32の本体35の後側に配置されている。発電機36は、本体35に搭載されている。タービン33は水流を受けて回転する。タービン33の回転駆動力は、発電機36の回転軸37に伝達される。発電機36は、タービン33の回転駆動力を用いて発電する。
【0040】
発電用浮体2には、タービン(第2タービン)3及び発電機(第2発電機)16が設けられている。発電機16は、タービン3の回転駆動力を用いて発電する。
【0041】
この水流発電装置31によれば、発電用浮体2,32は、上部係留索10によって接続されて異なる深さに配置される。これにより、異なる深さの水流を受けてタービン3,33を回転させることができる。また、この水流発電装置31では、発電用浮体2,32を水深方向において複数配置できるので、所定の領域において、発電用浮体2,32の設置数量の増加を図ることができる。
【0042】
本開示は、前述した実施形態に限定されず、本開示の要旨を逸脱しない範囲で下記のような種々の変形が可能である。
【0043】
上記の実施形態では、発電機16を搭載する発電用浮体2を第2浮体としているが、第2浮体は発電機を搭載していないものでもよい。例えば第2浮体はブイでもよく、その他の観測機器を搭載する浮体でもよい。
【0044】
また、
図3に示される水流発電システム21において、複数の中間浮体14A,14Bは、同程度の深度で浮遊するものでもよく、互いに異なる深度で浮遊するものでもよい。また、水流発電システム21において、複数の発電用浮体2A,2Bは、同程度の深度で浮遊するものでもよく、互いに異なる深度で浮遊するものでもよい。
【0045】
また、第2浮体に接続される複数の下部係留索の本数は、3本に限定されず、2本でもよく、4本以上でもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 水流発電装置(浮遊システム)
1A、1B 水流発電装置(浮体ユニット)
2、2A、2B 発電用浮体(第2浮体)
3 タービン(第2タービン)
3A、3B タービン
4、4A、4B 係留索
5、5A、5B アンカー(固定部)
6 第1アンカー(第1固定部)
7 第2アンカー(第2固定部)
8 第3アンカー(第3固定部)
9、9A、9B 下部係留索
10、10A、10B 上部係留索
11、11A、11B 第1下部係留索
12、12A、12B 第2下部係留索
13、13A、13B 第3下部係留索
14、14A、14B 中間浮体(第1浮体)
16 発電機(第2発電機)
16A、16B 発電機
18 送電ケーブル
21 水流発電システム(浮遊システム)
22 アンカー(第1固定部)
23 アンカー(第2固定部、第1固定部)
24 アンカー(第3固定部、第2固定部)
25 アンカー(第3固定部)
31 水流発電装置(浮遊システム)
32 発電用浮体(第1浮体)
33 タービン(第1タービン)
36 発電機(第1発電機)
A 仮想の三角形
B 水底
C1、C2、C3 三角形の頂点
FW 水流