(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】液漏れ検査方法及び検査装置
(51)【国際特許分類】
G01M 3/02 20060101AFI20221018BHJP
G01N 30/24 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
G01M3/02 M
G01N30/24 M
(21)【出願番号】P 2019031174
(22)【出願日】2019-02-25
【審査請求日】2021-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】506099649
【氏名又は名称】島津エイテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池尻 正尚
(72)【発明者】
【氏名】上田 展弘
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-246638(JP,A)
【文献】特開2016-173343(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0202888(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/02
G01N 30/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動相を送液する送液ユニット、該移動相とともに試料が導入されるカラム、及び該カラムで分離された該試料中の成分を検出する検出器を備えた液体クロマトグラフにおいて液漏れが生じている箇所を確認するための液漏れ検査方法であって、
前記送液ユニットから前記検出器に至る、移動相が流通する流路を赤外線カメラにより撮影して前
記流路の温度分布を表す画像を取得し、
前記画像において、周辺よりも低温であることに基づいて液漏れが生じている箇所を特定する、液漏れ検査方法。
【請求項2】
前
記流路の温度分布を表す画像と、前
記流路の可視光画像の合成画像を表示する、請求項
1に記載の液漏れ検査方法。
【請求項3】
移動相を送液する送液ユニット、該移動相とともに試料が導入されるカラム、及び該カラムで分離された該試料中の成分を検出する検出器を備えた液体クロマトグラフにおいて液漏れが生じている箇所を確認するための液漏れ検査装置であって、
前記送液ユニットから前記検出器に至る、移動相が流通する流路を視野に捉えるように配置される赤外線カメラと、
前記赤外線カメラにより取得された、前
記流路の温度分布を表す画像を表示する表示部と
を備える液漏れ検査装置。
【請求項4】
さらに、
前
記流路を視野に捉えるように配置される可視光カメラを備え、
前記表示部が、前
記流路の温度分布を表す画像と、
該流路の可視光画像とを合成した画像を表示する、請求項
3に記載の液漏れ検査装置。
【請求項5】
さらに、
前
記流路の温度分布を表す画像を解析し、液漏れの有無を判定する判定部
を備える、請求項
3又は4のいずれかに記載の液漏れ検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を送給する流路を備えた分析装置における液漏れ検査方法及び液漏れ検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
試料中の成分を同定したり定量したりするために、液体クロマトグラフが広く用いられている。液体クロマトグラフでは、試料中の成分をカラムで分離し、各成分を検出する。液体クロマトグラフでは、所定の流量で送液される移動相の流れに乗せて試料をカラムに導入し、試料中の複数の化合物を分離して測定する。試料中の成分がカラムから溶出する時間は保持時間と呼ばれ、保持時間によって各成分が同定される。
【0003】
液体クロマトグラフは、移動相が貯留された移動相容器と、移動相を吸引して予め設定された流量で送給するポンプと、移動相中に所定量の試料液を注入するインジェクタと、試料液に含まれる成分を時間的に分離するカラムと、カラムから溶出する成分を検出する検出器とを備えている。これらはそれぞれユニット化されており、ユニット間には接続流路が設けられている。
【0004】
ユニット内の流路、ユニット間を接続する流路、あるいはそれら流路の接続部で液漏れが生じると移動相の流量が低下し、試料中の各成分がカラムから溶出する時間が本来の保持時間よりも遅くなる。各成分がカラムから溶出する時間が本来の保持時間からずれてしまうと正しい測定結果を得ることができず、当該成分を同定することが困難になる。
【0005】
特許文献1には、検出器よりも下流側の流路に流量センサを取り付けた液体クロマトグラフが記載されている。この液体クロマトグラフでは、流量センサにより計測される流量が、予め設定されたポンプによる移動相の流量よりも低くなったことに基づいてポンプと流量センサの間の流路で液漏れが生じていることを検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ポンプと流量センサの間の流路で液漏れが生じていることが検知された場合、その液漏れがポンプと流量センサの間のどこで生じているかを確認する必要があり、従来、そうした確認は使用者が目視で行っていた。一般に液体クロマトグラフの流路は2mm程度の細い管であり、また流路を接続する部品も小さいため、使用者が目視で液漏れが生じている箇所を発見することが容易でないという問題があった。また、使用者が流路やその接続部に近づいて液漏れを発見しようとしたときに液漏れが生じている箇所から移動相が噴き出して使用者の目に入る可能性があるなどの心配もあった。
【0008】
ここでは液体クロマトグラフを例に説明したが、液体クロマトグラフと同様に液体を送給する流路を備えた各種の分析装置において上記同様の問題があった。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、液体を送給する流路を備えた分析装置において、簡便かつ安全に液漏れが生じている箇所を確認することができる液漏れ検査方法及び液漏れ検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために成された本発明は、移動相を送液する送液ユニット、該移動相とともに試料が導入されるカラム、及び該カラムで分離された該試料中の成分を検出する検出器を備えた液体クロマトグラフにおいて液漏れが生じている箇所を確認するための液漏れ検査方法であって、
前記送液ユニットから前記検出器に至る、移動相が流通する流路を赤外線カメラにより撮影して前記流路の温度分布を表す画像を取得し、
前記画像において、周辺よりも低温であることに基づいて液漏れが生じている箇所を特定する。
【0011】
上記課題を解決するために成された本発明の別の態様は、移動相を送液する送液ユニット、該移動相とともに試料が導入されるカラム、及び該カラムで分離された該試料中の成分を検出する検出器を備えた液体クロマトグラフにおいて液漏れが生じている箇所を確認するための液漏れ検査装置であって、
前記送液ユニットから前記検出器に至る、移動相が流通する流路を視野に捉えるように配置される赤外線カメラと、
前記赤外線カメラにより取得された、前記流路の温度分布を表す画像を表示する表示部と
を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る液漏れ検査方法及び装置では、検査対象の流路を赤外線カメラで撮影し、検査対象流路の温度分布を表す画像を取得する。ここで取得する温度分布は、温度の絶対値までは必要なく、位置毎の温度の高低が表れるものであればよい。例えば、液体クロマトグラフでは移動相としてアルコールなどの揮発性を有する液体が用いられる。こうした液体が流路から漏れ出すと気化熱によってその近傍が冷却され、その結果、温度分布を表す画像において液漏れが生じている箇所がその周辺よりも低温になる。従って、赤外線カメラで取得した画像において周辺よりも低温であることに基づき、液漏れが生じている箇所を簡便に確認することができる。また、本発明に係る液漏れ検査技術を用いると、使用者が流路に近づく必要がないため、液漏れが生じている箇所から液体が噴き出して使用者の目に入るといった心配もない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る液漏れ検査装置の一実施例を含む液体クロマトグラフの要部構成図。
【
図2】本実施例の液体クロマトグラフを構成するユニットについて説明する図。
【
図3】本発明に係る液漏れ検査方法の一実施例における検査対象の流路接続部の可視光画像。
【
図4】本実施例の液漏れ検査方法における検査対象である流路接続部の合成画像。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る液漏れ検査方法及び液漏れ検査装置の実施例について、以下、図面を参照して説明する。本実施例の液漏れ検査方法及び液漏れ検査装置は、液体クロマトグラフが有する流路の液漏れを検査するために用いられる。
【0015】
図1は、本発明に係る液漏れ検査装置の一実施例を含む液体クロマトグラフの要部構成図である。この液体クロマトグラフ1は、送液ユニット10、オートサンプラ20、カラムオーブン30、検出部40、システムコントローラ50、赤外線・可視光カメラ60、及び制御・処理部70を備えている。
図2に示すように、送液ユニット10、オートサンプラ20、カラムオーブン30、及び検出部40はそれぞれユニット化されており、これらのユニット間は送液用の流路80で接続されている。制御・処理部70とシステムコントローラ50の間、及びシステムコントローラ50と各ユニットの間は通信ケーブル90で接続されている(
図2では赤外線・可視光カメラ60を省略)。
【0016】
送液ユニット10は、移動相として用いられるアルコール(例えばイソプロピルアルコール)等の溶液を収容した容器11a、11bと、該容器11a、11b内の溶液を送液する送液ポンプ12a、12bと、2種類の溶液を混合するミキサー13とを含んでいる。カラムオーブン30にはカラム31が収容されている。
【0017】
送液ユニット10で調製された移動相は、オートサンプラ20を経てカラムオーブン30内の複数のカラム31に導入される。オートサンプラ20では、移動相中に試料が注入され、該試料は移動相の流れに乗ってカラム31を通過する。カラム31を通過する間に試料中の各成分が時間的に分離され、カラム31から溶出した成分は分光検出器を備えた検出部40にて順次検出される。
【0018】
赤外線・可視光カメラ60は、対象物の温度分布を表す画像と、可視光画像の両方を取得可能なカメラである。即ち、赤外線・可視光カメラ60は、赤外線カメラと可視光カメラの両方の機能を有している。赤外線カメラと可視光カメラをそれぞれ独立に用いても良いが、本実施例のように両方の機能を有する1台のカメラを用いることにより、測定対象の流路を同じ視野で同じ方向から捉えた赤外線画像と可視光画像を同時に取得することができる。
【0019】
制御・処理部70は、記憶部71に加え、機能ブロックとして撮影制御部721、表示制御部722、及び判定部723を備えている。記憶部71には、後述する処理において用いられる流路画像データベース711が保存されている。制御・処理部70の実体はパーソナルコンピュータであり、コンピュータに予めインストールされている所定のプログラムを実行することによりこれらの機能ブロックが具現化される。制御・処理部70には、キーボードやマウスを含む入力部73と表示部74が接続されている。
【0020】
次に、本実施例の液体クロマトグラフ1における液漏れ検査の手順を説明する。まず、使用者が、液漏れ検査の流路を視野に捉えるように赤外線・可視光カメラ60を配置する。この検査は、検査対象の流路に液体(例えばイソプロピルアルコール)を流通させた状態で行われる。
【0021】
使用者が制御・処理部70から適宜の操作により撮影を指示すると、撮影制御部721は赤外線・可視光カメラ60を動作させて検査領域の赤外線画像と可視光画像の両方を取得する。赤外線・可視光カメラ60による撮影を完了すると、赤外線・可視光カメラ60から制御・処理部70に撮影データが送信され、記憶部71に保存される。
【0022】
記憶部71に撮影データが保存されると、表示制御部722は、赤外線画像と可視光画像の合成画像を作成し、表示部74の画面に表示する。この合成画像は、例えば、可視光画像を微分処理して構造物(流路等)のエッジを強調したデータを赤外線画像のデータに重ね合わせることにより作成される。
【0023】
液体クロマトグラフでは、アルコールなどの溶液が移動相として用いられる。こうした移動相が流路から漏れ出すと気化熱によってその近傍が冷却され、その結果、赤外線画像において、液漏れが生じている箇所がその周辺よりも低温になる。
【0024】
そこで、表示制御部722により合成画像が作成されると、判定部723は、赤外線画像において周辺よりも予め決められた温度(例えば5℃)以上、低温である領域(隣接する所定数以上の画素に対応する領域)が存在するか否かを判定する。そして、周辺よりも低温である領域が存在している場合には液漏れが生じていると判定し、表示部74に表示されている画像の該当箇所に所定の印を表示するとともに、液漏れが生じている旨のメッセージを表示する。ここでは判定部723が合成画像に基づいて液漏れの有無を判定する構成としたが、もちろん、使用者が自ら表示部74に表示される合成画像を確認して液漏れを判定することもできる。
【0025】
図3及び
図4に液漏れ検査の結果の一例を示す。
図3は液漏れ検査を行った流路接続部の可視光画像である。
図4は、赤外線・可視光カメラ60により取得した赤外線画像及び可視光画像から作成された流路接続部の合成画像である。
図4で黒く現れている箇所は、その周辺よりも温度が低い箇所であり、この箇所で液漏れが生じていることが分かる。
【0026】
上記例は、液体クロマトグラフ1の任意の流路の液漏れ検査を任意のタイミングで行うものであり、例えば液体クロマトグラフ1の製造時や据付時などに液漏れが生じていないことを確認するために実施される。一方、本発明に係る液漏れ検査方法及び検査装置は、液体クロマトグラフ1の予め決められた流路(例えば流路接続部)の液漏れ検査を、試料の測定開始前に自動的に行うように構成することもできる。
【0027】
この例では、流路画像データベース711に予め保存されている、液漏れが生じていない状態で赤外線・可視光カメラ60により検査対象の流路を撮影することにより取得した参照赤外線画像及び参照可視光画像と、それらから作成された参照合成画像を用いて検査対象の流路の液漏れを検査する。
【0028】
この例では、赤外線・可視光カメラ60は、検査対象の流路(ここでは流路接続部)を視野に捉える位置に固定される。検査対象の流路が各ユニット内の流路である場合には、赤外線・可視光カメラ60も当該ユニット内の、検査対象の流路を視野に捉える位置に固定する。検査対象の流路がユニット間を接続する流路である場合には、当該流路を視野に捉えるユニット外の位置に赤外線・可視光カメラ60が固定される。
【0029】
使用者が試料の測定開始を指示すると、システムコントローラ50による制御の下で液体クロマトグラフ1が測定準備動作を実行する。測定準備動作には、送液ユニット10の送液ポンプ12a、12bにより移動相を送給する処理が含まれる。移動相の送給が開始されると、撮影制御部721は赤外線・可視光カメラ60を動作させて赤外線画像及び可視光画像を取得し、撮影した流路を特定する情報と対応づけて記憶部71に保存する。
【0030】
続いて、表示制御部722は、赤外線画像と可視光画像の合成画像を作成し、記憶部71に保存するとともに表示部74の画面に表示する。この合成画像は、上記同様に、可視光画像を微分処理して構造物(流路等)のエッジを強調したものを赤外線画像に重ね合わせたものである。
【0031】
判定部723は、検査対象の流路に対応する参照合成画像を流路画像データベース711から読み出し、検査時の撮影により取得した赤外線画像及び可視光画像から作成した合成画像と比較する。画像の比較は、例えば各画素の輝度値の差分を取ることにより行うことができる。撮影された流路に液漏れが生じていなければ、輝度値の差分は0(あるいは画像全体にわたってほぼ一定値)であるが、液漏れが生じているとその位置に特異的な差分の値が現れる。判定部723は、そうした特異的な差分の値の有無に基づいて液漏れの有無を判定する。なお、参照合成画像と、実際の検査時に取得される合成画像では、多少のずれが生じることがある。従って、両者を比較する前に、参照可視光画像と、検査時に取得した可視光画像を比較して位置あわせを行っておく。また、解像度が高すぎると、参照合成画像と実際の検査時に取得される合成画像の間に位置ずれが生じやすい。そこで、隣接する複数の画素の輝度値を平均化する等の方法により適宜に解像度を低下させてもよい。また、ここでは合成画像を比較したが、赤外線画像の輝度値を比較してもよい。
【0032】
上記実施例は一例であって、本発明の趣旨に沿って適宜に変更することができる。上記実施例では液体クロマトグラフが有する流路の液漏れを検査したが、液体クロマトグラフと同様に液体を送給する流路を備えた各種の分析装置について上記同様の構成を採ることができる。
【0033】
また、判定部には、多数の流路の画像(液漏れが生じていないものと液漏れが生じたもの)を用いたディープラーニング等の機械学習によって構築され、合成画像が入力されると該合成画像に含まれる流路の液漏れの有無を判定するものを用いることもできる。
【0034】
[態様]
上述した複数の例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0035】
(第1態様)
本発明の第1態様は、液体を送給する流路を備えた分析装置において液漏れが生じている箇所を確認するための液漏れ検査方法であって、
検査対象の流路を赤外線カメラにより撮影して前記検査対象の流路の温度分布を表す画像を取得し、
前記画像において、周辺よりも低温であることに基づいて液漏れが生じている箇所を特定する。
【0036】
(第4態様)
また、本発明の第4態様は、液体を送給する流路を備えた分析装置において液漏れが生じている箇所を確認するための液漏れ検査装置であって、
検査対象の流路を視野に捉えるように配置される赤外線カメラと、
前記赤外線カメラにより取得された、前記検査対象の流路の温度分布を表す画像を表示する表示部と
を備える。
【0037】
本発明の第1態様に係る液漏れ検査方法及び第4態様に係る液漏れ検査装置では、検査対象の流路を赤外線カメラで撮影し、検査対象流路の温度分布を表す画像を取得する。ここで取得する温度分布は、温度の絶対値までは必要なく、位置毎の温度の高低が表れるものであればよい。例えば、液体クロマトグラフでは移動相としてアルコールなどの揮発性を有する液体が用いられる。こうした液体が流路から漏れ出すと気化熱によってその近傍が冷却され、その結果、温度分布を表す画像において液漏れが生じている箇所がその周辺よりも低温になる。従って、赤外線カメラで取得した画像において周辺よりも低温であることに基づき、液漏れが生じている箇所を簡便に確認することができる。また、使用者が流路に近づく必要がないため、液漏れが生じている箇所から液体が噴き出して使用者の目に入るといった心配もない。
【0038】
(第2態様)
本発明の第2態様の液漏れ検査方法は、上記第1態様に係る液漏れ検査方法において、
前記分析装置が液体クロマトグラフである。
【0039】
(第5態様)
本発明の第5態様の液漏れ検査装置は、上記第4態様に係る液漏れ検査装置において、
前記分析装置が液体クロマトグラフである。
【0040】
一般に液体クロマトグラフの流路は2mm程度の細い管であり、また流路を接続する部品も小さいため、使用者が目視で液漏れが生じている箇所を発見することが容易でない。また、液体クロマトグラフでは移動相が高圧で送給される場合があり、使用者が流路やその接続部に近づいて液漏れを発見しようとしたときに液漏れが生じている箇所から移動相が噴き出して使用者の目に入る可能性がある。第2態様の液漏れ検査方法や第5態様の液漏れ検査装置は、液体クロマトグラフにおける流路の液漏れの検査に好適である。
【0041】
(第3態様)
本発明の第3態様の液漏れ検査方法は、上記第1態様又は第2態様に係る液漏れ検査方法において、
前記検査対象の流路の温度分布を表す画像と、前記検査対象の流路の可視光画像の合成画像を表示する。
【0042】
(第6態様)
本発明の第6態様の液漏れ検査装置は、上記第4態様又は第5態様の液漏れ検査装置において、
さらに、
前記検査対象流路の可視光画像を撮影する機能を有する可視光カメラ
を備え、
前記表示部が、前記検査対象の流路の温度分布を表す画像と、前記検査対象の流路の可視光画像とを合成した画像を表示する。
【0043】
第3態様に係る液漏れ検査方法及び第6態様に係る液漏れ検査装置では、赤外線画像だけでなく、可視光画像と合成した画像を表示するため、可視光画像から流路の位置を確認して液漏れが生じている箇所をより簡便に把握することができる。なお、前記赤外線カメラと前記可視光カメラは別体であってもよく、一体であってもよい。一体のカメラを用いることにより、測定対象の流路を同じ視野で同じ方向から捉えた赤外線画像と可視光画像を同時に取得することができる。
【0044】
(第7態様)
本発明の第7態様の液漏れ検査装置は、上記第4態様から第6態様のいずれかの液漏れ検査装置において、
さらに、
前記検査対象の流路の温度分布を表す画像を解析し、液漏れの有無を判定する判定部
を備える。
【0045】
第7態様の液漏れ検査装置を用いることにより、検査対象の流路の液漏れを自動的に発見することができる。
【符号の説明】
【0046】
1…液体クロマトグラフ
10…送液ユニット
11a、11b…容器
12a、12b…送液ポンプ
13…ミキサー
20…オートサンプラ
30…カラムオーブン
31…カラム
40…検出部
50…システムコントローラ
60…赤外線・可視光カメラ
70…制御・処理部
71…記憶部
711…流路画像データベース
721…撮影制御部
722…表示制御部
723…判定部
73…入力部
74…表示部
80…流路
90…通信ケーブル