(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】車両のハーネス配策構造
(51)【国際特許分類】
F01M 5/00 20060101AFI20221018BHJP
F01M 11/00 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
F01M5/00 C
F01M11/00 R
(21)【出願番号】P 2019064985
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2021-10-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】樫谷 直明
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】特開昭49-12243(JP,A)
【文献】実開平3-37216(JP,U)
【文献】特開平1-283708(JP,A)
【文献】実開平5-43418(JP,U)
【文献】実開昭53-37843(JP,U)
【文献】実公昭32-4416(JP,Y1)
【文献】米国特許第6018137(US,A)
【文献】米国特許第6072152(US,A)
【文献】米国特許第5352862(US,A)
【文献】米国特許第4776529(US,A)
【文献】米国特許第3953707(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 5/00
F01M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の内燃機関のオイルパンに貯留されるオイルを温めるヒータと、前記オイルの温度に応じて前記ヒータを動作させるサーモスイッチと、をハーネスで接続する車両のハーネス配策構造であって、
前記ヒータと電源とを接続するサーモユニットハーネスと、
一端が前記サーモスイッチに接続される
サーモスイッチハーネスと、
一端が前記ヒータに接続される
中継ハーネスと、
前記
サーモスイッチハーネスの他端と前記
中継ハーネスの他端とを着脱自在に接続するコネクタと、
を有する車両のハーネス配策構造。
【請求項2】
前記
中継ハーネスは、
エンジンハーネスと一体に配策される、
請求項1記載の車両のハーネス配策構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のハーネス配策構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、エンジンのオイルパンに、オイルサブタンクと、サブタンクヒータと、温度センサとを設け、ヒータコントローラが、温度センサの出力に基づいてサブタンクヒータを制御する車両が開示されている。
【0003】
このような車両のハーネス配策構造としては、オイルパンに貯留されているオイルを温めるヒータのヒータユニットに接続されるサーモユニットハーネスとサーモスイッチハーネスとが、一体となって車両のサイドメンバに沿って配策されるものが知られている。ここで、サーモユニットハーネスは、ヒータと外部電源とを接続するハーネスであり、サーモスイッチハーネスは、ヒータと、オイルパンに貯留されているオイルの温度に応じてヒータを動作させるサーモスイッチと、を接続するハーネスである。
【0004】
従来の車両の組み立てにおいて、例えば、エンジンの組み立て時には、ヒータを組み付けると共に、後工程で組み付けられるサーモスイッチの組み付け箇所にキャップを取り付けている。そして、その後の車両フレームの組み立て時には、ヒータにサーモユニットハーネスを配策し、エンジンからキャップを抜き取ってサーモスイッチを組み付けると共にサーモスイッチにサーモスイッチハーネスを配策している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の車両のハーネス配策構造においては、サーモユニットハーネスとサーモスイッチハーネスとを異なるタイミングで配策することができない。これにより、例えば、車両フレームの組み立て時にサーモスイッチを組み付けると共にサーモスイッチハーネスを配策するため、サーモスイッチの組み付け時にエンジンに取り付けたキャップを抜き取る必要があり、その際にオイルが漏れるおそれがある。このように、従来の車両のハーネス配策構造においては、車両の組み立てに不都合を生じるという課題を有する。
【0007】
本発明の目的は、サーモスイッチに接続される第1のハーネスと、ヒータに接続される第2のハーネスと、を異なるタイミングで配策することにより、車両の組み立て時の不都合を少なくすることができる車両のハーネス配策構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る車両のハーネス配策構造は、車両の内燃機関のオイルパンに貯留されるオイルを温めるヒータと、前記オイルの温度に応じて前記ヒータを動作させるサーモスイッチと、をハーネスで接続する車両のハーネス配策構造であって、前記ヒータと電源とを接続するサーモユニットハーネスと、一端が前記サーモスイッチに接続されるサーモスイッチハーネスと、一端が前記ヒータに接続される中継ハーネスと、前記サーモスイッチハーネスの他端と前記中継ハーネスの他端とを着脱自在に接続するコネクタと、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、サーモスイッチに接続される第1のハーネスと、ヒータに接続される第2のハーネスと、を異なるタイミングで配策することにより、車両の組み立て時の不都合を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態に係る車両のハーネス配策構造を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施の形態につき、詳細に説明する。
【0012】
<車両のハーネス配策構造>
本発明の実施の形態に係る車両のハーネス配策構造1の構成につき、
図1を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0013】
本実施の形態に係る車両のハーネス配策構造1は、ヒータ10と、サーモスイッチ20と、コネクタ30と、サーモスイッチハーネス101と、中継ハーネス102と、サーモユニットハーネス103と、エンジンハーネス104と、を有している。
【0014】
ヒータ10は、車両の内燃機関のオイルパンに貯留されるオイルを温める。ヒータ10には、コネクタ70aが取り付けられている。コネクタ70aには、中継ハーネス102及びサーモユニットハーネス103が取り付けられたコネクタ70bが嵌合される。コネクタ70aとコネクタ70bとにより、コネクタ70が構成されている。
【0015】
サーモスイッチ20は、オイルパンのオイルの温度に応じてヒータ10を動作させる。
【0016】
コネクタ30は、サーモスイッチハーネス101と子ハーネス105とを着脱自在に接続する。具体的には、コネクタ30は、サーモスイッチハーネス101に接続するコネクタ30aと、子ハーネス105に接続するコネクタ30bと、により構成されている。コネクタ30aとコネクタ30bとが嵌合することにより、サーモスイッチハーネス101と子ハーネス105とが接続され、コネクタ30aとコネクタ30bとの嵌合を解除することにより、サーモスイッチハーネス101と子ハーネス105との接続が解除される。
【0017】
第1のハーネスとしてのサーモスイッチハーネス101は、一端がサーモスイッチ20に接続されていると共に、他端がコネクタ30に接続されている。
【0018】
第2のハーネスとしての子ハーネス105は、一端がコネクタ30に接続されていると共に、他端がコネクタ60及びリレーボックス40を介してヒータ10に接続されている。なお、コネクタ60は、子ハーネス105の一端が接続されるコネクタ60aと、中継ハーネス102及びエンジンハーネス104の各一端が接続されるコネクタ60bとによって構成されている。
【0019】
サーモユニットハーネス103は、一端がコネクタ70を介してヒータ10に接続されていると共に、他端がリレーボックス40を介して電源50に着脱自在に接続される。サーモユニットハーネス103は、車両が走行する際には、図示しない電源コネクタ等による電源50との接続が解除される。
【0020】
エンジンハーネス104は、エンジンの図示しない電装品に接続されていると共に、リレーボックス40を介して電源50に接続されている。エンジンハーネス104は、車両が走行する際には、図示しない電源コネクタ等による電源50との接続を解除される。エンジンハーネス104は、中継ハーネス102と一体に配策されている。
【0021】
上記の構成を有する車両のハーネス配策構造1を備える車両は、例えば消防車であり、緊急時に直ちに出動できるように、サーモユニットハーネス103を介して電源50に接続されたヒータ10によって、オイルパンに貯留されているオイルの温度を一定に保っている。
【0022】
<車両のハーネス配策方法>
本発明の実施の形態に係る車両のハーネス配策方法につき、
図1を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0023】
まず、エンジンの組み立て時に、ヒータ10をエンジンに組み付けると共に、サーモスイッチハーネス101の一端が接続されたサーモスイッチ20をエンジンに組み付ける。なお、サーモスイッチハーネス101の他端には、コネクタ30aが接続されている。
【0024】
次に、車両フレームの組み立て時に、車両フレームにエンジンを搭載し、ヒータ10にコネクタ70を介してサーモユニットハーネス103及び中継ハーネス102を接続する。また、コネクタ60を接続することで、中継ハーネス102及びエンジンハーネス104と子ハーネス105とを接続する。なお、車両フレームにエンジンを搭載する前に、予め、コネクタ60を接続することで、中継ハーネス102及びエンジンハーネス104と子ハーネス105とを接続しておいてもよい。次に、コネクタ30bをコネクタ30aに嵌合させ、子ハーネス105とサーモスイッチハーネス101とを接続する。
【0025】
このように配策された車両のハーネス配策構造1によれば、ヒータ10は、電源50に接続されて動作することによりオイルパンのオイルを加熱し、電源50との接続が切断された際に作動停止する。また、コネクタ30によって接続されたサーモスイッチハーネス101、子ハーネス及び中継ハーネス102は、ヒータ10を動作させるための電気信号を、オイルパンに貯留されるオイルの温度に応じてサーモスイッチ20からヒータ10に伝える。
【0026】
このように、本実施の形態によれば、サーモスイッチ20に接続されるサーモスイッチハーネス101と、ヒータ10に接続される中継ハーネス102と、をコネクタ30によって着脱自在に接続することにより、サーモユニットハーネス103と、サーモスイッチ20に接続されるサーモスイッチハーネス101と、を異なるタイミングで配策することができ、車両の組み立て時の不都合を少なくすることができる。
【0027】
また、本実施の形態によれば、中継ハーネス102とエンジンハーネス104とを一体に配策することにより、また、必要に応じて子ハーネス105もそれらと一体に配策することにより、容易に配策することができる。
【0028】
なお、本発明は、部材の種類、配置、個数等は前述の実施の形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、車両のハーネス配策構造に好適である。
【符号の説明】
【0030】
1 車両のハーネス配策構造
10 ヒータ
20 サーモスイッチ
30、30a、30b、60、60a、60b、70、70a、70b コネクタ
40 リレーボックス
50 電源
101 サーモスイッチハーネス
102 中継ハーネス
103 サーモユニットハーネス
104 エンジンハーネス
105 子ハーネス