(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/90 20180101AFI20221018BHJP
B60N 2/14 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
B60N2/90
B60N2/14
(21)【出願番号】P 2019074081
(22)【出願日】2019-04-09
【審査請求日】2021-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 晃也
(72)【発明者】
【氏名】松本 祥司
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-013594(JP,A)
【文献】特開2000-108732(JP,A)
【文献】特開2018-047751(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102016120513(DE,A1)
【文献】特開2017-030488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/90
B60N 2/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部となるシートクッションが、シート骨格をなすシートフレームと、前記シートフレームのシート幅方向における側面に配設されているサイドシールドとを備え、
前記サイドシールドの後部は、前記シートフレームの後部をシート外側から覆う外面部と、前記外面部の縁からシート内側に向けて屈曲するフランジ部とを有して、前記シートフレームの後部に配設されている乗物用シートにおいて、
前記サイドシールドの後部には、前記シートフレームの後部を囲うように配置された前記フランジ部の一部をシート内側に延長した延長部と、前記延長部の裏側から突出している凸部と、前記凸部に一体的に形成された係合部とが設けられ、
前記係合部に、前記シートフレームの後部に設けられてシート幅方向
且つシート内側に突出する係合凸部が係合することにより、前記サイドシールドの後部が前記シートフレームの後部に組付けられて配設されている乗物用シート。
【請求項2】
前記フランジ部には、前記シートフレームの後部の後方に設けられた第一の延長部と、前記シートフレームの後部の下方に設けられた第二の延長部とが設けられ、前記第一の延長部と前記第二の延長部の少なくとも一方に前記凸部と前記係合部とが設けられている請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項3】
前記凸部は、前記第一の延長部と前記第二の延長部とに跨って設けられているとともに、前記組付けられている状態の前記シートフレームの後部のシート内側に配置されている請求項2に記載の乗物用シート。
【請求項4】
前記フランジ部には、前記係合凸部を前記係合部に導くガイド部が設けられている請求項1~3のいずれか一項に記載の乗物用シート。
【請求項5】
前記係合部は、前記係合凸部が挿入されて係合される筒状部位を有している請求項1~4のいずれか一項に記載の乗物用シート。
【請求項6】
前記係合部は、挿入状態の前記係合凸部の上側に位置する上側壁部と、前記上側壁部と対向位置にある下側壁部とを有し、
前記係合凸部は、前記上側壁部に当接した状態で且つ前記下側壁部から離間した状態で前記係合部に係合されている請求項5に記載の乗物用シート。
【請求項7】
前記シートフレームは、外形をなす外板部と、前記外板部の周縁がシート内側に向けて曲げられることで形成されている周板部とを有し、
組付け状態において、前記外板部が前記外面部に対面状に配置されているとともに、前記周板部は、前記フランジ部にあてがわれた状態で、シート内側から前記凸部と前記係合部に囲われている請求項1~6のいずれか一項に記載の乗物用シート。
【請求項8】
前記係合部が設けられているサイドシールド部分は、前記係合凸部から離れる方向に撓み変形可能である請求項1~7のいずれか一項に記載の乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座部となるシートクッションが、シートフレームと、シートフレームの側面に配設されているサイドシールドとを備えている乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の乗物用シートでは、シート性能向上の観点等から、シートクッションの側面にサイドシールドが配設されていることがある。例えば特許文献1に開示の車両用シートのシートクッションは、本発明のシートフレームに相当するシートクッションフレームと、本発明のサイドシールドに相当する樹脂インサイドシールドとを有している。シートクッションフレームは、上方視で矩形をなす金属製の枠状部材であり、側部骨格をなして前後に延長する板状のサイドフレームを有している。また樹脂インサイドシールドは、樹脂製の部材であり、サイドシールドの後部をシート外側から覆うメインシールドボディを有している。このメインシールドボディは、本発明のサイドシールドの後部に相当し、その裏側にはシールドブラケットが設けられている。このシールドブラケットは、締結孔を備えた板状部位であり、メインシールドボディのリアエンドからシート内側に突出している。公知技術では、樹脂インサイドシールドを、サイドフレームのシート外側の側面に配設しておく。このときメインシールドボディは、そのリアエンドがシールドブラケットを介してサイドフレームの後端側にネジ止めされることにより、サイドフレームの後部に配設されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで上述のシート構成では、極力簡便な構成によって、シートフレームの側面にサイドシールドを見栄え良く適切に配設しておきたいとの要請がある。しかし公知技術では、メインシールドボディ(サイドシールドの後部)の配設の際に、シールドブラケットをネジ止めしてサイドフレームに固定する必要があり、ネジなどの固定部材が必須となっている。このため公知技術の構成は、シートの部品点数や配設時の作業性などを考慮すると、すんなり採用できる構成ではなかった。本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、比較的簡便な構成によって、サイドシールドの後部をシートフレームに性能良く配設しておくことにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための手段として、第1発明の乗物用シートは、座部となるシートクッションが、シート骨格をなすシートフレームと、シートフレームのシート幅方向における側面に配設されているサイドシールドとを備えている。そしてサイドシールドの後部は、シートフレームの後部をシート外側から覆う外面部と、外面部の縁からシート内側に向けて屈曲するフランジ部とを有して、シートフレームの後部に配設されている。この種のシート構成では、比較的簡便な構成によって、サイドシールドの後部をシートフレームに性能良く配設しておくことが望まれる。
【0006】
そこで本発明のサイドシールドの後部には、シートフレームの後部を囲うように配置されたフランジ部の一部をシート内側に延長した延長部と、延長部の裏側から突出している凸部と、凸部に一体的に形成された係合部とが設けられている。そして係合部に、シートフレームの後部に設けられてシート幅方向且つシート内側に突出する係合凸部が係合することにより、サイドシールドの後部がシートフレームの後部に組付けられて配設されている。本発明のサイドシールドでは、フランジ部を部分的に延長した延長部を設けている。このため延長部によって、シートフレームを見栄え良く囲っておくことができ、さらにサイドシールドを、内部への異物混入を極力回避できるように適切に配設することも可能となる。さらに延長部に設けた凸部を利用して係合部を設け、この係合部を、シートフレームの係合凸部に係合している。このため本発明では、係合部と係合凸部の係合にてサイドシールドの後部をシートフレームの後部に組付けておくことにより、ネジなどの固定部材を省略することが可能となり、シート構成の簡便化に資する構成となっている。
【0007】
第2発明の乗物用シートは、第1発明の乗物用シートにおいて、フランジ部には、シートフレームの後部の後方に設けられた第一の延長部と、シートフレームの後部の下方に設けられた第二の延長部とが設けられ、第一の延長部と第二の延長部の少なくとも一方に凸部と係合部とが設けられている。本発明では、フランジ部を部分的に延長した延長部を複数設けているため、これら各延長部によって、シートフレームの後部をより見栄え良く適切に囲っておくことが可能となる。さらに第一の延長部と第二の延長部の少なくとも一方に凸部と係合部とを設けたことで、係合部と係合凸部の係合にてサイドシールドの後部をシートフレームに組付けておくことができる。
【0008】
第3発明の乗物用シートは、第2発明の乗物用シートにおいて、凸部は、第一の延長部と第二の延長部とに跨って設けられているとともに、組付けられている状態のシートフレームの後部のシート内側に配置されている。本発明では、凸部を、複数の延長部に跨るように設け且つシートフレームのシート内側に配置することで、シートフレームの外部露出を極力回避することが可能となっている。
【0009】
第4発明の乗物用シートは、第1発明~第3発明のいずれかの乗物用シートにおいて、フランジ部には、係合凸部を係合部に導くガイド部が設けられている。本発明では、ガイド部によって、係合部と係合凸部とをより確実に係合させておくことが可能となり、サイドシールドの優れた組付け性の確保や作業性の向上に資する構成となっている。
【0010】
第5発明の乗物用シートは、第1発明~第4発明のいずれかの乗物用シートにおいて、係合部は、係合凸部が挿入されて係合される筒状部位を有している。本発明では、係合部の筒状部位に係合凸部を挿入してより安定的に係合させておくことが可能となり、サイドシールドの優れた組付け性の確保にさらに資する構成となっている。
【0011】
第6発明の乗物用シートは、第5発明の乗物用シートにおいて、係合部は、挿入状態の係合凸部の上側に位置する上側壁部と、上側壁部と対向位置にある下側壁部とを有し、係合凸部は、上側壁部に当接した状態で且つ下側壁部から離間した状態で係合部に係合されている。本発明では、係合凸部を上側壁部に当接させて下側壁部から離間させておくことにより、係合部に対する係合凸部のスムーズな挿入を確保しつつ、サイドシールドの優れた組付け性の確保に資する構成となっている。
【0012】
第7発明の乗物用シートは、第1発明~第6発明のいずれかの乗物用シートにおいて、シートフレームは、外形をなす外板部と、外板部の周縁がシート内側に向けて曲げられることで形成されている周板部とを有している。そして組付け状態において、外板部が外面部に対面状に配置されているとともに、周板部は、フランジ部にあてがわれた状態で、シート内側から凸部と係合部に囲われている。本発明では、凸部と係合部とが、シートフレームの周板部をシート内側から囲うように配置されているため、シートフレームの外部露出を更に確実に回避することが可能となっている。
【0013】
第8発明の乗物用シートは、第1発明~第7発明のいずれかの乗物用シートにおいて、係合部が設けられているサイドシールド部分は、係合凸部から離れる方向に撓み変形可能である。本発明では、係合部が設けられているサイドシールド部分を、係合凸部から離れる方向に撓み変形させたのち元の状態に戻すことができるため、サイドシールドの組付け時の作業性の向上に資する構成となっている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る第1発明によれば、比較的簡便な構成によって、サイドシールドの後部をシートフレームに性能良く配設しておくことができる。また第2発明によれば、サイドシールドの後部をシートフレームに見栄え良く適切に配設しておくことができる。また第3発明によれば、サイドシールドの後部をシートフレームにより見栄え良く配設しておくことができる。また第4発明によれば、サイドシールドの後部をシートフレームにより性能良く配設しておくことができる。また第5発明によれば、サイドシールドの後部をシートフレームにより安定的に配設しておくことができる。また第6発明によれば、サイドシールドの後部をシートフレームにさらに性能良く配設しておくことができる。また第7発明によれば、サイドシールドの後部をシートフレームにさらに見栄え良く配設しておくことができる。そして第8発明によれば、配設時の作業性をより確実に向上させつつ、サイドシールドの後部をシートフレームに性能良く配設しておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】サイドフレームの後部の裏側の斜視図である。
【
図5】サイドシールドの後部を部分的に透視して示す拡大斜視図である。
【
図8】配設作業時のサイドシールドとサイドフレームの斜視図である。
【
図9】配設後のサイドシールドとサイドフレームの斜視図である。
【
図10】配設後の係合部と係合凸部を示す拡大裏面図である。
【
図13】乗物用シートを部分的に透視して示す後方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を、
図1~
図13を参照して説明する。各図には、便宜上、乗物用シートの前後方向と左右方向と上下方向を示す矢線を適宜図示する。
図1の乗物用シート2は、シートクッション4と、シートバック6と、ヘッドレスト8を有し、これらシート構成部材(4,6,8)が、左右一対のスライドレール80を介して乗物床面に配設されている。ここでシート構成部材(4,6,8)は、各々、シート骨格をなすシートフレーム(4F,6F,8F)と、シート外形をなすシートパッド(4P,6P,8P)と、シートパッドを被覆するシートカバー(4S,6S,8S)を有する。そしてシートクッション4(詳細後述)の後部にシートバック6の下部がリクライナRM(詳細後述)を介して起倒可能に連結されている。また起立状態のシートバック6の上方にはヘッドレスト8が配設されている。
【0017】
[リクライナ]
ここで
図1に示すリクライナRMは、シートクッション4に対するシートバック6の起倒動作を規制する部材である。このリクライナRMは、シートバック6の下部と、シートクッション4の後部上側を連結するように配設されている。そして
図1及び
図2を参照して、リクライナRMの略中心には、左右方向を向いた軸状の回転部材2rが、その軸線A回りに回転可能な状態で挿設されている。この回転部材2rのシート外側(右側)の端部には、回転操作の際の持ち手となる操作レバー70が取付けられ、回転部材2rのシート内側(左側)の端部には、対となる左側のリクライナ(図示省略)に連結される連結ロッド4rが取付けられている。そして操作レバー70を持ち手とした回転部材2rの回転操作にて、リクライナRMがアンロック状態となり、シートクッション4に対してシートバック6が起倒可能な状態となる。なお回転部材2rは、リクライナRMの構成によって逆回転方向に付勢されている。このため操作レバー70による回転操作を止めると、回転部材2rが逆回転してリクライナRMがロック状態となり、シートクッション4に対するシートバック6の起倒動作が規制されることとなる。
【0018】
[シートクッション]
図1に示すシートクッション4は、座部となる上方視で概ね矩形の部材であり、上述の基本構成4F,4P,4Sと、左右一対のサイドシールド20,20Xと、操作レバー70とを有している(各部材の詳細は後述)。このシートクッション4では、そのシート幅方向における右側面4a(左側面4b)に対応するサイドシールド20(20X)が配設され、さらに右側面4a後部に操作レバー70が配設されている。そして本実施例では、後述する各サイドシールド20,20Xの配設の際に、これら各サイドシールド20,20Xの後部をシートフレーム4Fの後部に組付けて配設する。この種の構成では、比較的簡便な構成によって、各サイドシールド20,20Xの後部をシートフレーム4Fに性能良く配設しておきたいとの要請がある。そこで本実施例では、後述する比較的簡便な構成(係合凸部16,係合部50)にて、各サイドシールド20,20Xの後部をシートフレーム4Fに性能良く配設しておくこととした。以下、各構成について詳述する。
【0019】
[基本構成]
ここで
図1を参照して、シートカバー4Sは、シートの意匠面を構成する面材であり、天然繊維又は合成繊維からなる布帛(織物,編物,不織布)や皮革(天然皮革,合成皮革)等にて形成されている。またシートパッド4P(図示省略)は、シート外形をなす上面視で略矩形の部材であり、ポリウレタンフォーム(密度:10kg/m
3~60kg/m
3)等の発泡樹脂で形成されている。そして
図2に示すシートフレーム4Fは、シート骨格をなす上方視で概ね矩形の金属枠体であり、その左右の側部骨格は一対のサイドフレーム10によって構成されている(
図2では、便宜上、右側のサイドフレーム10のみ図示する)。そして各サイドフレーム10の前端側には、前部骨格をなすフロントフレーム11が固定され、各サイドフレーム10の後側には、後部骨格をなすリアフレーム12が掛け渡されて固定されている。
【0020】
[サイドフレーム]
ここで左右一対のサイドフレーム10は、概ね同一の基本構成を有しているため、以下に、右側のサイドフレーム10を一例にその詳細を説明する。
図2及び
図3に示す右側のサイドフレーム10は、前後に長尺な板状部材であり、その後部は、上方に向けて山なりに盛り上がっている。そして右側のサイドフレーム10は、外形をなす外板部10aと、外板部10aの周縁に設けられた周板部10bと、前後一対の係止孔13a,13bと、後述の係合凸部16とを有している。ここで外板部10aは、右側のサイドフレーム10の側面形状をなす縦板状の部位であり、その盛り上がった後部上側には、リクライナRMの一部を固定しておくための配設孔10Hが厚み方向に貫通するように設けられている。また周板部10bは、外板部10aの周縁をシート内側である左側に屈曲させて形成された部位であり、外板部10aの概ね全周にわたって連続的に形成されている。また
図2に示す各係止孔13a,13bは、右側のサイドフレーム10を厚み方向に貫通する貫通孔であり、各々、後述のサイドシールド20の対応する係止爪25a,25bを挿入して係止しておくことができる。そして前側の係止孔13aは、サイドフレーム10の前端側に設けられ、後側の係止孔13bは、前側の係止孔13aとサイドフレーム10後部の概ね中間位置に設けられている。
【0021】
[係合凸部]
そして
図2及び
図3に示す係合凸部16は、後述の右側のサイドシールド20の係合部50(筒状部位58)に係合する部位である。この係合凸部16は、右側のサイドフレーム10の後端下側に設けられてシート幅方向に突出している。すなわち係合凸部16は、
図3に示すように後端下側の周板部10bを部分的に延長させることで形成されており、周囲の他の周板部10b部分に比して左側に突出している。この係合凸部16は、前方から見た場合に左右に長尺な矩形の板形状に形成されており、上側の上縁部16aと、下側の下縁部16bと、左側の先端縁部16cとを有している。なお係合凸部16の左右の長さ寸法L1は、後述する
図2の係合部50に係合可能であれば特に限定しないが、本実施例では、シートの意匠性を考慮して、後述する係合部50からはみ出さない寸法に設定されている。
【0022】
[サイドシールド]
図1に示す左右一対のサイドシールド20,20Xは、対応するサイドフレーム10の外側面を覆う部材である。ここで各サイドシールド20,20Xの素材として、適度な剛性を有する樹脂(エラストマを含む)や金属などの素材を例示でき、適度な可撓性を備えた素材であることが望ましい。例えば本実施例の各サイドシールド20,20Xは、後述するシート外方への撓み変形を可能とする可撓性と適度な剛性とを備えたソリッドな樹脂で形成されており、この種の樹脂として、ポリプロピレンやポリエチレンを例示できる。そして左右一対のサイドシールド20,20Xは、略左右対称形状を有する以外は概ね同一の基本構成を有しているため、以下に、右側のサイドシールド20を一例にその詳細を説明する。
【0023】
図2及び
図4に示す右側のサイドシールド20は、外形をなす外面部21と、外面部21の縁に形成されたフランジ部22と、後述する係合用の構成(一対の延長部31,32,凸部40,係合部50(筒状部位58),ガイド部60)とを有している。ここで外面部21は、右側のサイドシールド20の側面形状をなす部分であり、右側のサイドフレーム10の外板部10aをシート外側(図の右側)から覆うことができる。またフランジ部22は、外面部21の縁をシート内側である左側に向けて屈曲することで形成されている部分であり、後述する組付け状態時の右側のサイドフレーム10の周板部10bをあてがっておくことができる。そして外面部21に対するフランジ部22の突出寸法(左右の寸法)は、対応する周板部10bの寸法よりも大きくなっている。
【0024】
そして
図2及び
図4に示す右側のサイドシールド20は、右側のサイドフレーム10に配設された状態を基準として、前方に配置される前側部位24と、後方に配置される後側部位26(詳細後述)とに区分けすることができる。前側部位24は、右側のサイドフレーム10の側面前部に倣った前後に長尺な矩形に形成されている。この前側部位24には、前後一対の台座部24a,24bと、前後一対の係止爪25a,25bが設けられている。各台座部24a(24b)は、前側部位24の裏側から突出する台形柱状の部位であり、前側部位24の前端と中間位置に形成されて、右側のサイドフレーム10の対応する係止孔13a(13b)に対面可能に配置されている。また各係止爪25a(25b)は、対応する台座部24a,24bの先端面から左側に突出している部位であり、後述するように対応する係止孔13a(13b)に挿入されてその縁に係止することが可能である。すなわち前側の係止爪25aは、先端側が下方に屈曲する横J字状をなして、前側の係止孔13aの下縁に係止可能とされている。また後側の係止爪25bは、概ね直方体状をなして、後側の係止孔13bの周縁に係合可能とされている。
【0025】
[サイドシールドの後部(後側部位)]
また
図2及び
図4に示す右側のサイドシールド20の後側部位26は、本発明のサイドシールドの後部に相当する部分であり、右側のサイドフレーム10の後部側面に倣って上方に盛り上がった形状に形成されている。この後側部位26の外面部21は、後述するように右側のサイドフレーム10後部の外板部10aをシート外側(各図の右側)から覆うことができる。ここで
図2及び
図5を参照して、右側のサイドフレーム10後部の外板部10aの上部には、操作レバー70を配置する配設外面部位21aと、回転部材2rを挿通可能な挿通窓部21Hが設けられている。配設外面部位21aは、後側部位26の上側の外面部21が相対的に左側に向けて凹状とされている部分であり、挿通窓部21Hは、配設外面部位21aの中央に設けられた円形の貫通孔である。また配設外面部位21aの下方には、右側に向けて張り出している段差外面部21bと、この段差外面部21bの下端部から下方に延長している下側外面部21cとが設けられている。そして段差外面部21bは、操作レバー70に下側から隣り合って配置される部分である。なお下側外面部21cの右方への張出し寸法W1は、配設外面部位21aに配置された操作レバー70からはみ出さないように設定される。例えば下側外面部21cの張出し寸法W1を調整して、
図12に示すように上下方向において操作レバー70の外面と概ね面一状に配置しておくことで、シートの見栄え向上に資する構成となる。
【0026】
[フランジ部]
また
図2、
図4~
図6に示す後側部位26のフランジ部22は、外板部10aの上側から後側にかけての部分に形成されており、後述するようにサイドフレーム10後部の周板部10bがあてがわれる箇所となっている。すなわち後側部位26には、
図4に示すように、外面部21の上側に設けられている上側フランジ部位22aと、外面部21の後側に設けられている後側フランジ部位22bとが概ね一連となるように形成されており、これら両フランジ部位22a,22bの外面は、外面部21の縁に沿った湾曲面をなしている。なお上側フランジ部位22aの前側の内縁(左縁)には、下方に屈曲する上側内フランジ部位22aaが設けられている。この上側内フランジ部位22aaは、組付け状態の右側のサイドフレーム10上部に左側からあてがわれる部分である。
【0027】
[延長部]
そして
図4~
図6に示すフランジ部22の適宜の位置には、一対の延長部(第一の延長部31,第二の延長部32)がシート内側である左側に突出するように設けられている。第一の延長部31は、後側フランジ部位22bの下部からシート内側である左側に突出している部分であり、この第一の延長部31の外面(後面)は、後側フランジ部位22bの外面と概ね同一形状をなす湾曲面となっている。そして第一の延長部31は、前方から見た場合に概ね上下に長尺な矩形状に形成されており、
図13に示す組付け状態の右側のサイドフレーム10の後方に配置されることとなる。また
図4~
図6に示す第二の延長部32は、第一の延長部31の下縁に一体的に設けられている部位であり、第一の延長部31の下縁から前方に向けて張り出している。この第二の延長部32は、上方から見た場合に概ね前後に長尺な矩形状に形成されており、
図13に示す組付け状態の右側のサイドフレーム10の下方に配置されることとなる。
【0028】
[凸部]
図4~
図6に示す凸部40は、第一の延長部31と第二の延長部32の裏面側に設けられている凸状部位であり、後述する係合部50が一体的に形成されている。この凸部40は、第一の延長部31と第二の延長部32に跨るように形成されたリブ(立板)状の部位である。すなわち凸部40は、第一の延長部31の裏面の上部位置から下方に延長して第二の延長部32の前端まで連続的に形成されており、各延長部31,32を構造的に補強する構造ともなっている。そして第一の延長部31に形成された凸部40の上端には上側横リブ部41が形成され、凸部40の下端には下側横リブ部42が形成されている。これら上下の横リブ部41,42は、凸部40の右面から左方に張り出す立壁状の部位であり、互いに平行な状態で形成されている。また第二の延長部32に形成された凸部40部分には、その外縁を囲むように外縁リブ部43が設けられている。そして
図10を参照して、凸部40の高さ寸法H1は、各延長部31,32の裏面から凸部40の先端までの長さで規定され、組付け状態のサイドフレーム10の対応する周板部10bの厚み寸法T1以上に設定されている。
【0029】
[係合部]
また
図2、
図4~
図7に示す係合部50は、後述するようにサイドフレーム10の係合凸部16を挿入して係合可能な部位であり、第一の延長部31の凸部40に一体的に設けられている。この係合部50は、第一の延長部31の凸部40から左方に張り出す直方体状の部位であり、
図6に示すように、上下一対の壁部51,52と、両壁部の間の空間部分を区分けする三対の隔壁部53,54,55とを有している。上下一対の壁部(上側壁部51,下側壁部52)は、横リブ部41,42と並行となるように凸部40から左方に張り出す立壁状の部位であり、上側壁部51が上側に配置され、その下側に下側壁部52が配置されている。これら上側壁部51と下側壁部52の間には、
図10に示す右側のサイドフレーム10の係合凸部16の挿入を許容する隙間が設けられている。そして本実施例では、上側壁部51が、本発明の上側壁部に相当し、下側壁部52が、本発明の上側壁部と対向位置にある下側壁部に相当する。
【0030】
また
図6に示す三対の隔壁部(天井隔壁部53,中間隔壁部54,底隔壁部55)は、上側壁部51と下側壁部52の間に橋渡されて一体化された壁部であり、係合部50内部を概ね前後に三分割するように形成されている。天井隔壁部53は、上側壁部51と下側壁部52の先端(前縁)に形成されて係合部50の天井をなす壁部であり、凸部40の高さ位置に概ね一致する位置に配置されている。また天井隔壁部53の後方位置には、中間隔壁部54が概ね平行となるように設けられ、さらに中間隔壁部54の後方位置には、底隔壁部55が概ね平行となるように設けられている。なお係合部50の上部をなす天井隔壁部53と中間隔壁部54との間には、左右に延びる立壁状の補強壁部56が一体的に形成されており、この補強壁部56によって係合部50の上部が補強されている。また
図7を参照して、中間隔壁部54と底隔壁部55とは、係合凸部16を挿入可能な離間寸法を有して概ね平行に配置されている。
【0031】
[筒状部位]
そして
図6に示す係合部50の概ね中間位置には、中間隔壁部54と底隔壁部55と上側壁部51と下側壁部52とで囲まれた四角筒状の筒状部位58が形成されている。この筒状部位58の左右端は、
図7に示すように解放状とされており、係合凸部16の挿入を許容することができる。すなわち筒状部位58の左端には左側開口部58aが設けられ、筒状部位58の右端には、凸部40を左右に貫通するように右側開口部58bが設けられている。そして各開口部58a,58bが、係合凸部16の通過を許容する開口寸法を有することで、筒状部位58に、係合凸部16を左右方向から挿入して係合しておくことが可能となっている。
【0032】
[ガイド部]
また
図5及び
図7に示すガイド部60は、係合部50の筒状部位58に係合凸部16を導く部位であり、凸部40を間に挟んで筒状部位58の右側に形成されている。このガイド部60は、第一の延長部31の裏面に設けられた段差状の凸状箇所であり、そのガイド部60の先端面62は、筒状部位58の底面をなす底隔壁部55と概ね面一となるように形成されている。このため後述する配設作業の際に、係合凸部16を、ガイド部60の先端面62に沿わせながら、右側開口部58bを通じて筒状部位58の内部にスムーズに導くことが可能となっている。
【0033】
[サイドシールドの配設作業]
図1及び
図2を参照して、左右一対のサイドシールド20,20Xを、対応するサイドフレーム10に配設することで、シートクッション4の右側面4aと左側面4bに配設する。ここで左右一対のサイドシールド20,20Xは、概ね同一構成を有しその配設手法も概ね同一であるため、以下に、右側のサイドシールド20を一例にその配設手法を説明する。
図2に示す右側のサイドシールド20の配設作業に際しては、各係止爪25a(25b)を、対応する係止孔13a(13b)に順次係止して、この右側のサイドシールド20の前側部位24を、右側のサイドフレーム10の前部に対して位置決めして配設していく。そして右側のサイドシールド20の後側部位26を、右側のサイドシールド20の後部に配設しておくのであるが、この種の構成では、比較的簡便な構成によって、後側部位26を性能良く配設しておくことが望まれる。
【0034】
そこで本実施例の右側のサイドシールド20の後側部位26には、
図2に示すように、各延長部31,32と、各延長部31,32の裏側から突出している凸部40と、凸部40に一体的に形成された係合部50とが設けられている。そして係合部50に、各サイドフレーム10の後部に設けられてシート幅方向に突出する係合凸部16が係合することにより、後側部位26が、右側のサイドフレーム10の後部に組付けられて配設されることとなる。この係合部50と係合凸部16の係合手法を具体的に説明するため、以下に、右側のサイドシールド20の配設手順をより詳しく説明していくこととする。
【0035】
この右側のサイドシールド20の配設に際しては、
図2に示す前側部位24を右側のサイドフレーム10前部に係止したのち、後側部位26を、
図8及び
図9に示すように右側のサイドシールド20後部に組付けていく。このとき右側のサイドフレーム10後部の外板部10aは、後側部位26の外面部21によって右側から覆われ、さらに周板部10bの上側から後側にかけての部分は、後側部位26のフランジ部22にあてがわれて囲われた状態となっている。この状態で右側のサイドシールド20の後端から左側に突出する係合凸部16を、後述する手順にて、後側フランジ部位22bの第一の延長部31に設けられた係合部50の筒状部位58に挿入していく。
【0036】
ここで本実施例では、
図8及び
図9を参照して、右側のサイドシールド20が適度な可撓性を有し、後側部位26の後側フランジ部位22bをシート外方である後方に撓み変形させることができる。そこで
図8に示すように、第一の延長部31を持ち手として、係合部50の設けられている後側フランジ部位22b部分を、後方且つ左方に反り返るように撓み変形させて、係合凸部16の先端縁部16cから離していく。なお当該後側フランジ部位22b部分は、係合部50の配置する第一の延長部31とその周囲の後側フランジ部位22b部分であり、本発明の係合部が設けられているサイドシールド部分に相当する。そして係合部50(筒状部位58)を係合凸部16から離間させたのち、
図9に示すように後側フランジ部位22bと第一の延長部31を元の状態に戻していく。こうすることで第一の延長部31が次第に前方且つ右方に移動し、これに伴って係合部50の筒状部位58の右側開口部58bが、係合凸部16の先端縁部16cに近づいていく。このとき
図7に示すように、係合部50に近づいていく係合凸部16を、係合部50の右側に設けたガイド部60の先端面62に押し当てておくことで、筒状部位58の右側開口部58bにスムーズに導くことができる。そして
図9に示すように第一の延長部31が元の状態に戻ることにより、係合凸部16が、
図10に示すように係合部50の筒状部位58内に挿入されて係合される。このとき係合凸部16の上縁部16aは、右側のサイドシールド20が自重で筒状部位58が下側に移動することにより、筒状部位58の上側壁部51に当接した状態で挿入されていく。また筒状部位58の下側壁部52は、係合凸部16の下縁部16bとの間に隙ができるように下方に離間して配置されているため、係合凸部16を、下側壁部52に邪魔されることなく筒状部位58内にスムーズに挿入することができる。
【0037】
こうして右側のサイドシールド20内に右側のサイドフレーム10が配置された状態で、左方に突出する係合凸部16が、係合部50の筒状部位58内に挿入されて上側壁部51に押し当てられて係合した状態となる。このように係合部50と係合凸部16の係合にて右側のサイドシールド20の後側部位26を組付けておくことで、ネジなどの固定部材を省略することが可能となり、シート構成の簡便化に資する構成となっている。また本実施例では、
図9及び
図13に示す右側のサイドシールド20を配設した状態において、第一の延長部31が、右側のサイドフレーム10後部の後方に配置された状態で、後側フランジ部位22bの左方に突出している。また第二の延長部32が、右側のサイドフレーム10後部の下方に配置された状態で、後側フランジ部位22bの左方に突出している。そして第一の延長部31と第二の延長部32に跨って配置されている凸部40は、右側のサイドフレーム10後部を囲うようにその左側に配置された状態となっている。そして
図1に示す左側のサイドシールド20Xも、同様の手順によって左側のサイドフレーム(図示省略)に配設することができる。
【0038】
[操作レバーの配設作業]
つぎに
図2及び
図12を参照して、右側のサイドシールド20の後部(配設外面部位21a)に、操作レバー70を前後方向に向けた状態で取付けておく。このとき右側のサイドシールド20の後側部位26では、
図2に示す挿通窓部21Hに、回転部材2rの端部が突出した状態で配置される。そこで
図2及び
図12を参照して、配設外面部位21aに操作レバー70を配置しつつ、この操作レバー70の裏側に回転部材2rの端部を取付けておく。こうして操作レバー70が、
図1に示すように前後方向を向いた状態でシートクッション4の右側後部に配設される。そして操作レバー70の前側部分を上方に引き上げて、操作レバー70の概ね円形の後側部分を回転部材2rとともにその軸線A回りに回動させる(回転操作する)ことにより、リクライナRMのロックを解除することができる。なお操作レバー70は、回転部材2rとともに逆回転方向に付勢されているため、引き上げ操作を止めると、自然に逆回転して元の状態に復帰する。
【0039】
[シートカバーの配設作業]
こうしてシートクッション4を形成したのち、
図11及び
図12を参照して、シートバック6にそのシートカバー(バックカバー6S)を配設していく。ここでバックカバー6Sは、シートクッション4のシートカバー4Sと概ね同一の基本構成を有しているが、バックカバー6Sの後面下縁には下帯カバー6SSが取付けられている。この下帯カバー6SSは、バックカバー6Sと概ね同一のシート幅方向の寸法を有する面材であり、バックカバー6Sの後面下縁から下側に垂れ下がった状態となっている。
【0040】
そこで
図11及び
図12に示すバックカバー6Sを、シートバック6のシートパッド(図示省略)に被せたのち、下帯カバー6SSを、シートクッション4の下面側に回り込ませつつシートクッション4の適所に係止しておく。このとき
図12に示す下帯カバー6SSの右縁E1と左縁E2とを、シート後方位置において、それぞれ対応するサイドシールド20(20X)の第一の延長部31(31X)に重ねて配置しておく。こうして下帯カバー6SSの右縁E1と左縁E2の下側部分を、対応する第一の延長部31で支持しておくことにより、適度に張った状態として見栄え良く配置しておくことが可能となる。なお通常の下帯カバー6SSでは、その裏側に左右に延びる板材(図示省略)を取付けている。そして板材によって下帯カバー6SSの右縁E1と左縁E2に張りを持たせているのであるが、板材の分だけ下帯カバー6SSの部品点数が増加してしまう。そこで本実施例では、左右の第一の延長部31(31X)を板材の代替えとして利用することで、下帯カバー6SSを、その部品点数の増加を抑えつつ、見栄え良く配置しておくことができる。
【0041】
[シートクッションの外観]
そして
図1に示すシートクッション4においては、左右一対のサイドシールド20,20Xを配置しておくことで、対応するサイドフレーム10が過度に外部に露出するといった事態を極力回避することができる。例えば
図13を参照して、シートクッション4の後部右側を後方且つ左方からのぞき見た場合、バックカバー6S及び下帯カバー6SSが捲れている場合などに、右側のサイドフレーム10の後部側が露出することがある。このとき右側のサイドフレーム10の後部では、その後端側の周板部10b部分が、第一の延長部31によって後方から囲われ、下端側の周板部10b部分が、第二の延長部32によって下方から囲われた状態となっている。このため組付け状態の右側のサイドフレーム10の周板部10bが過度に外部に露出するといった事態を各延長部31,32にて極力回避することが可能となり、シートの優れた見栄えをより確実に確保することが可能となる。さらに各延長部31,32を設けたことで、右側のサイドシールド20を、その内部への異物混入を極力回避できるように適切に配設することが可能となる。さらに本実施例では、各延長部31,32に跨って形成されている凸部40によって、右側のサイドフレーム10の周板部10bが左側から囲われているため、この周板部10bの過度の外部露出を更に適切に回避することが可能となっている。
【0042】
以上説明した通り本実施例のサイドシールド(20,20X)では、フランジ部22を部分的に延長した延長部(31,32)を設けている。このため延長部(31,32)によって、シートフレーム4Fを見栄え良く囲っておくことができ、さらにサイドシールド(20,20X)を、内部への異物混入を極力回避できるように適切に配設することも可能となる。さらに延長部(31,32)に設けた凸部40を利用して係合部50を設け、この係合部50を、シートフレーム4Fの係合凸部16に係合している。このため本実施例では、係合部50と係合凸部16の係合にてサイドシールド(20,20X)の後部をシートフレーム4Fの後部に組付けておくことにより、ネジなどの固定部材を省略することが可能となり、シート構成の簡便化に資する構成となっている。また本実施例では、フランジ部22を部分的に延長した延長部(31,32)を複数設けているため、これら各延長部(31,32)によって、シートフレーム4Fの後部をより見栄え良く適切に囲っておくことが可能となる。さらに第一の延長部31と第二の延長部32の少なくとも一方に凸部40と係合部50とを設けたことで、係合部50と係合凸部16の係合にてサイドシールド(20,20X)の後部をシートフレーム4Fに組付けておくことができる。
【0043】
また本実施例では、凸部40を、複数の延長部(31,32)に跨るように設け且つシートフレーム4Fのシート内側に配置することで、シートフレーム4Fの外部露出を極力回避することが可能となっている。また本実施例では、ガイド部60によって、係合部50と係合凸部16とをより確実に係合させておくことが可能となり、サイドシールド(20,20X)の優れた組付け性の確保や作業性の向上に資する構成となっている。また本実施例では、係合部50の筒状部位58に係合凸部16を挿入してより安定的に係合させておくことが可能となり、サイドシールド(20,20X)の優れた組付け性の確保にさらに資する構成となっている。また本実施例では、係合凸部16を上側壁部51に当接させて下側壁部52から離間させておくことにより、係合部50に対する係合凸部16のスムーズな挿入を確保しつつ、サイドシールド(20,20X)の優れた組付け性の確保に資する構成となっている。また本実施例では、凸部40と係合部50とが、シートフレーム4Fの周板部10bをシート内側から囲うように配置されているため、シートフレーム4Fの外部露出を更に確実に回避することが可能となっている。また本実施例では、係合部50が設けられているサイドシールド(20,20X)部分を、係合凸部16から離れる方向に撓み変形させたのち元の状態に戻すことができるため、サイドシールド(20,20X)の組付け時の作業性の向上に資する構成となっている。このため本実施例によれば、比較的簡便な構成によって、サイドシールド(20,20X)の後部をシートフレーム4Fに性能良く配設しておくことができる。
【0044】
本実施形態の乗物用シート2は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。本実施形態では、各延長部31,32と凸部40の構成(形状,寸法,形成位置,形成数など)を例示したが、これら各部の構成を限定する趣旨ではない。例えば延長部として、第一の延長部と第二の延長部の少なくとも一方をサイドシールドの適宜の位置に形成することが可能である。なお第一の延長部と第二の延長部(又はこれら以外の延長部)を形成する場合には、これら複数の延長部を一体的に形成してもよく、個別に形成することも可能である。また凸部と係合部は、係合凸部の配置位置に応じて、第一の延長部と第二の延長部の少なくとも一方又はそのいずれかにのみ形成することができる。なお凸部は、各延長部を補強する構成であることが望ましいが、必ずしも補強性能を持たせるように形成する必要はない。また凸部と係合部の高さ寸法は、サイドフレームの構成とは無関係に設定することが可能であり、凸部と係合部の高さ寸法を異ならせておくこともできる。
【0045】
また本実施形態では、係合部50とガイド部60と係合凸部16の構成を例示したが、各部の構成を限定する趣旨ではない。係合部と係合凸部とは、互いに係合可能な適宜の形状を有することができる。例えば係合凸部は、横J字状をなしていてもよく、その先端を、係合部の筒状部位の周縁に係合させておくことができ、同じくJ字状をなす係合部の先端に係合させることもできる。また係合凸部の先端に輪状の部分を設け、この輪状の部分に、柱状の係合部を嵌め込んで係合させることもできる。またガイド部は、係合凸部を案内可能な各種の形状を取ることができ、例えばレール状の部位で構成することができる。またフランジ部からガイド部を省略することもできる。
【0046】
また乗物用シート2の構成も適宜変更可能であり、シート構成に応じて、シートカバーとシートパッドとシートフレームの構成を適宜変更することができる。またサイドシールドは、シートクッションの両側面(アウター側又はインナー側)の少なくとも一方に配設することができる。また操作レバーやリクライナの構成も適宜変更可能であり、シート構成に応じて省略することもできる。そして本実施形態の構成は、車両や航空機や電車や船舶などの乗物用シート全般に適用できる。
【符号の説明】
【0047】
2 乗物用シート
4 シートクッション
4a シートクッションの右側面
4b シートクッションの左側面
6 シートバック
8 ヘッドレスト
RM リクライナ
2r 回転部材
4r 連結ロッド
4S シートカバー
6S バックカバー
6SS 下帯カバー
E1 下帯カバーの右縁
E2 下帯カバーの左縁
4P シートパッド
4F シートフレーム
10 サイドフレーム
10a 外板部
10b 周板部
10H 配設孔
11 フロントフレーム
12 リアフレーム
13a,13b 係止孔
16 係合凸部
16a 係合凸部の上縁部
16b 係合凸部の下縁部
16c 係合凸部の先端縁部
20X 左側のサイドシールド
20 右側のサイドシールド
21 外面部
21H 挿通窓部
21b 段差外面部
21a 配設外面部位
21c 下側外面部
22 フランジ部
22a 上側フランジ部位
22aa 上側内フランジ部位
22b 後側フランジ部位
24 前側部位
24a,24b 台座部
25a,25b 係止爪
26 後側部位(本発明のサイドシールドの後部)
31 第一の延長部
32 第二の延長部
40 凸部
41 上側横リブ部
42 下側横リブ部
43 外縁リブ部
50 係合部
51 上側壁部
52 下側壁部
53 天井隔壁部
54 中間隔壁部
55 底隔壁部
56 補強壁部
58 筒状部位
58a 左側開口部
58b 右側開口部
60 ガイド部
62 先端面
70 操作レバー
80 スライドレール