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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】台車
(51)【国際特許分類】
   B62D 65/18 20060101AFI20221018BHJP
   B62D 65/16 20060101ALI20221018BHJP
   B62B 3/00 20060101ALI20221018BHJP
   B62B 3/02 20060101ALI20221018BHJP
   B62B 3/06 20060101ALI20221018BHJP
   B62B 5/00 20060101ALI20221018BHJP
   B65G 1/00 20060101ALN20221018BHJP
【FI】
B62D65/18 B
B62D65/16 A
B62B3/00 D
B62B3/02 H
B62B3/06 Z
B62B5/00 C
B65G1/00 501C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019075434
(22)【出願日】2019-04-11
(65)【公開番号】P2020172190
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】吉村 幸晃
【審査官】藤井 浩介
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-51290(JP,A)
【文献】特開2006-62805(JP,A)
【文献】特開2015-30304(JP,A)
【文献】特開2002-114179(JP,A)
【文献】特開2005-238899(JP,A)
【文献】特開2011-201455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 65/00-67/00
B62B 3/00;3/02;3/06;5/00
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪を有する第1フレームと、
同じく車輪を有する第2フレームと、
それら第1フレームと第2フレームとを互いに接近離間できるよう連結する連結機構と、
前記連結機構に支持されてバンパーを搭載可能な受け部と、
前記第1フレームと前記第2フレームとを互いに接近させた位置で離間しないよう係合する係合状態となることが可能である一方、その係合を解除した状態である解除状態となることも可能な係合部と、
を備えており、
前記連結機構は、前記第1フレームを前記第2フレームに対し係合位置まで接近させることに基づき前記受け部を上側位置まで上昇させる一方、前記第1フレームを前記係合位置から前記第2フレームに対し離間させることに基づき前記受け部を前記上側位置よりも低い位置に下降させるよう構成されており、
前記係合部は、前記解除状態であるときに前記第1フレームを前記第2フレームに対し前記係合位置まで接近させることに基づき、前記係合状態となるものである
ことを特徴とする台車。
【請求項2】
請求項1に記載の台車において、
移動経路上に形成された突起に当たって変位することにより、係合状態にある前記係合部を解除状態に移行させる解除機構が設けられていることを特徴とする台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バンパー搬送用の台車に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のバンパーを製造する現場では、台車に複数のバンパーを載せることにより、その台車を用いてバンパーを効率よく搬送することが望まれている。ただし、複数のバンパーを載せるために台車を水平方向に長くすると、台車を移動させる際の取り回しが難しくなる。このため、特許文献1に示されるように、バンパーを上下方向に複数段となるように載せることによって、水平方向の長さを短くした台車も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平6-65115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、取り回し改善のために台車に対し複数段となるようにバンパーを載せる場合、それら台車及びバンパーにおける上端の高さ位置が高くなることは避けられないため、天井の高さが低い所を台車が通過できなくなるおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、天井の高さが低い所の通過と取り回しの改善とを両立できる台車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する台車は、車輪を有する第1フレームと、同じく車輪を有する第2フレームと、それら第1フレームと第2フレームとを互いに接近離間できるよう連結する連結機構と、同連結機構に支持されてバンパーを搭載可能な受け部と、を備える。更に、上記台車は、第1フレームと第2フレームとを互いに接近させた位置で離間しないよう係合する係合状態となることが可能である一方、その係合を解除した状態である解除状態となることも可能な係合部を備える。上記連結機構は、第1フレームを第2フレームに対し係合位置まで接近させることに基づき上記受け部を上側位置まで上昇させる一方、第1フレームを上記係合位置から第2フレームに対し離間させることに基づき上記受け部を上記上側位置よりも低い位置に下降させるよう構成されている。また、上記係合部は、上記解除状態であるときに第1フレームを第2フレームに対し上記係合位置まで接近させることに基づき、上記係合状態となるものとされる。
【0007】
上記構成によれば、天井の高さが低い所を台車が通過する際には、係合状態にある係合部が解除状態とされる。係合部が解除状態になると、受け部及びバンパー等の自重により、第1フレームが係合位置から第2フレームに対し離間するよう連結機構の動作を通じて変位する。更に、そうした連結機構の動作に伴ってバンパーを搭載する上記受け部が上側位置よりも低い位置に下降するため、台車及びバンパーの上端の高さ位置が低くなって天井の高さが低い所を通過することが可能となる。そして、天井の高さが低い所を台車が通過した後には、第2フレームの水平方向への移動を規制した状態で、受け部及びバンパー等の自重に抗して第1フレームが第2フレームに向けて移動させられる。そして、第1フレームが第2フレームに対し上記係合位置まで接近すると、係合部が係合状態となって第1フレームと第2フレームとが離間しないように保持される。この状態のもとでは、第1フレームが第2フレームに対し上記係合位置から離間した状態にあるときと比較して、台車の水平方向の長さが短くなって同台車を移動させる際の取り回しが改善されるようになる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、天井の高さが低い所の通過と取り回しの改善とを両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】水平方向に縮んだ状態の台車を示す側面図。
図2】(a)は水平方向に伸びた状態の台車を示す側面図であり、(b)は移動抵抗装置を示す平面図。
図3】台車の係合部における図1の二点鎖線L1で囲んだ部分を示す拡大図。
図4】係合部の解除状態から係合状態への移行態様を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、台車の一実施形態について、図1図4を参照して説明する。
図1に示す台車は、四角枠状に形成されて車輪1を有する第1フレーム2、同じく四角枠状に形成されて車輪1を有する第2フレーム3、それら第1フレーム2と第2フレーム3とを互いに水平方向において接近離間できるよう連結する連結機構4と、を備えている。また、台車において、第1フレーム2の上端及び第2フレーム3の上端にはそれぞれバンパー6を搭載可能な受け部7が設けられており、且つ、連結機構4の上端にもバンパー6を搭載可能な受け部8が設けられている。この受け部8は連結機構4に支持されている。そして、台車は、受け部7,8にバンパー6を搭載した状態で予め定められた移動経路の路面に沿って水平方向に移動するものであり、そうした移動によってバンパー6を搬送する。
【0011】
上記連結機構4は、第1フレーム2を第2フレーム3に対し係合位置(図1に示す位置)まで接近させることに基づき上記受け部8を上側位置(図1に示す位置)まで上昇させる一方、第1フレーム2を上記係合位置から第2フレーム3に対し離間させることに基づき上記受け部8を上記上側位置よりも低い位置に下降させるよう構成されている。また、台車には、第1フレーム2を第2フレーム3に対し上記係合位置まで接近させたとき、第1フレーム2と第2フレーム3とを互いに離間しないよう係合する係合状態となる係合部5が設けられている。この係合部5は、上述した係合を解除した状態である解除状態となることも可能となっている。更に、台車には、係合状態にある係合部5を解除状態に移行させるための解除機構9も設けられている。
【0012】
次に、上記連結機構4の詳細について説明する。
連結機構4は、第1フレーム2と第2フレーム3との間に位置する昇降体10を備えている。この昇降体10においては、第1フレーム2及び第2フレーム3と同じく上記車輪1が設けられており、且つ、上端部に上記受け部8が固定されている。また、昇降体10には、上下一対の支持軸11,12が設けられている。それら支持軸11,12は、第1フレーム2と第2フレーム3とが接近離間する方向(図1の左右方向)と直交する方向に、且つ、水平方向に延びている。
【0013】
昇降体10は、上側連結バー13,14及び下側連結バー15,16を介して第1フレーム2及び第2フレーム3に対し支持されている。第1フレーム2における第2フレーム3と対向する部分には上下一対の支持軸17,18が設けられており、第2フレーム3における第1フレーム2と対向する部分には上下一対の支持軸19,20が設けられている。
【0014】
上記上側連結バー13の下端部は第1フレーム2に対し支持軸17周りに回転可能となるよう連結されている一方、上記上側連結バー14の下端部は第2フレーム3に対し支持軸19周りに回転可能となるよう連結されている。更に、上側連結バー13,14の上端部はそれぞれ、昇降体10に対し支持軸11周りに回転可能となるよう連結されている。
【0015】
また、上記下側連結バー15の下端部は第1フレーム2に対し支持軸18周りに回転可能となるよう連結されている一方、上記下側連結バー16の下端部は第2フレーム3に対し支持軸20周りに回転可能となるよう連結されている。更に、下側連結バー15,16の上端部はそれぞれ、昇降体10に対し支持軸12周りに回転可能となるよう連結されている。
【0016】
従って、図1に示すように第1フレーム2と第2フレーム3とを接近させると、上側連結バー13,14及び下側連結バー15,16が起立した状態となる。その結果、昇降体10(受け部8)が、それら上側連結バー13,14及び下側連結バー15,16によって図1の位置まで上昇させられる。
【0017】
一方、図2(a)に示すように第1フレーム2と第2フレーム3とを離間させると、上側連結バー13,14及び下側連結バー15,16が傾倒した状態となる。その結果、昇降体10(受け部8)が、それら上側連結バー13,14及び下側連結バー15,16によって図1の位置よりも低い位置に下降させられる。
【0018】
連結機構4には、第1フレーム2と第2フレーム3とが接近離間する際の連結機構4の動作を徐々に行うための緩衝機構21が、第1フレーム2及び第2フレーム3にそれぞれ対応するように設けられている。
【0019】
第1フレーム2側の緩衝機構21は、第1フレーム2に設けられて上下方向に延びるガイドバー22と、連結機構4の下側連結バー15に対し取り付けられているスライド部23と、を備えている。このスライド部23は、下側連結バー15に対し、支持軸18と同方向(図1の紙面と直交する方向)に延びるピン24周りに回転可能となっている。
【0020】
一方、第2フレーム3側の緩衝機構21は、第2フレーム3に設けられて上下方向に延びるガイドバー22と、連結機構4の下側連結バー16に対し取り付けられているスライド部23と、を備えている。このスライド部23は、下側連結バー16に対し、支持軸20と同方向(図1の紙面と直交する方向)に延びるピン24周りに回転可能となっている。
【0021】
次に、上記緩衝機構21の詳細な構造について説明する。
緩衝機構21のスライド部23にはスライドバー25が挿通されており、且つ、同スライドバー25が上記スライド部23に対し長手方向について相対移動可能となっている。一方、スライドバー25におけるスライド部23から離れる方の端部は、ガイドバー22に沿って昇降可能に設けられているスライダ26に対しピン27を介して連結されている。詳しくは、スライドバー25の上記端部は、上記スライダ26に対しピン27周りに回転可能となるよう連結されている。上記スライダ26には支持部材28が取り付けられており、同支持部材28にはピニオン29が回転可能に支持されている。このピニオン29は、受け部7から下方に延びるラック30と噛み合っている。
【0022】
そして、第1フレーム2と第2フレーム3とを図1に示す状態から図2(a)に示す状態となるよう互いに離間させる際には、連結機構4における下側連結バー15,16の傾倒に伴い、緩衝機構21のスライドバー25がスライド部23に対し長手方向にスライド移動するとともに、同スライド部23がピン24周りに回転するようになる。その結果、スライドバー25の上記端部に対しピン27を介して連結されるスライダ26がガイドバー22に沿って上昇し、そのスライダ26と一体に上昇する支持部材28に支持されたピニオン29もラック30と噛み合いながら上昇する。このときのピニオン29とラック30との間の摩擦抵抗により、第1フレーム2と第2フレーム3との離間が徐々に行われる。
【0023】
また、第1フレーム2と第2フレーム3とを図2(a)に示す状態から図1に示す状態となるよう互いに接近させる際には、連結機構4における下側連結バー15,16の起立に伴い、緩衝機構21のスライドバー25がスライド部23に対し長手方向にスライド移動するとともに、同スライド部23がピン24周りに回転するようになる。その結果、スライドバー25の上記端部に対しピン27を介して連結されるスライダ26がガイドバー22に沿って下降し、そのスライダ26と一体に下降する支持部材28に支持されたピニオン29もラック30と噛み合いながら下降する。このときのピニオン29とラック30との間の摩擦抵抗により、第1フレーム2と第2フレーム3との接近が徐々に行われる。
【0024】
次に、上記係合部5について、詳しく説明する。
台車の移動経路において、天井の高さが低い所を通過した直後であって、天井の高さが高い所の路面には、台車を移動経路に沿って移動させる際の抵抗となる移動抵抗装置43(図2(a))が設けられている。この移動抵抗装置43は、路面から上方に延びる中心軸44と、その中心軸44に固定されて移動経路を移動する台車に接するように位置する接触部材45と、を備えている。
【0025】
図2(b)は、移動抵抗装置43を図2(a)の上方から見た状態を概略的に示している。移動抵抗装置43における接触部材45は、中心軸44と一体回転することが可能となっており、その一体回転を通じて上記台車に接する位置(図2(b)の実線)と上記台車の移動経路に沿った移動を許容する位置(図2(b)の二点鎖線)との間で変位する。そして、接触部材45は、上記台車に接する位置(実線)に向けて所定の付勢力で付勢されている。
【0026】
第1フレーム2と第2フレーム3とが離間した状態の台車が移動経路上を移動して天井の高さの低いところを通過すると、台車(第2フレーム3)が移動抵抗装置43の接触部材45に接触する。この状態のもとで、第1フレーム2を第2フレーム3側に押すと、第2フレーム3が上記接触部材45に作用する付勢力によって同付勢力に抗する方向への移動が規制される一方、第1フレーム2が第2フレーム3に接近して連結機構4が図1に示す状態となるよう動作する。
【0027】
上記接触部材45に作用する付勢力は、第1フレーム2を上述したように第2フレーム3側に押したとき、連結機構4を図2(a)に示す状態から図1に示す状態となるように動作させる際の抵抗力よりも、大きい値となるように予め設定されている。その後、連結機構4が図1に示す状態となった台車において、第1フレーム2を第2フレーム3側に更に押すと、第2フレーム3に接する接触部材45が図2(b)に二点鎖線で示すように上記付勢力に抗して変位し、それに伴い台車が移動経路に沿って移動することが可能となる。
【0028】
図1に示すように、上記係合部5は、第1フレーム2から第2フレーム3側に突出する固定アーム31と、第2フレーム3から第1フレーム2側に向けて上記固定アーム31と対向するように突出する可動アーム32と、を備えている。
【0029】
図3は、図1の係合部5における二点鎖線Lで囲んだ部分を拡大して示している。図3から分かるように、上記固定アーム31には、第1フレーム2と第2フレーム3とが接近離間する方向(図3の左右方向)と直交する方向に、且つ、水平方向に延びる円柱部材33が設けられている。一方、可動アーム32には、上記円柱部材33と同方向に延びる回転軸34、及び、その回転軸34を中心に回転可能なキャップ部材35が設けられている。
【0030】
可動アーム32のキャップ部材35は、回転軸34から固定アーム31側に水平に延びて突出した位置を基準として、回転軸34を中心に上方に向けて回転することが可能であり、且つ、回転軸34を中心に下方に向けて回転することができない構造となっている。また、キャップ部材35には、第1フレーム2が第2フレーム3に対し係合位置まで接近した状態(図1)のもとで、固定アーム31の円柱部材33に対し上方から被さることによって同円柱部材33と係合する凹所36が形成されている。更に、キャップ部材35において、凹所36よりも第1フレーム2側(図3の左側)の部分には、凹所における開口部から第1フレーム2側に突出して同第1フレーム2に向かうほど上方に位置するよう傾斜する傾斜板37が形成されている。
【0031】
図2(a)に示すように第1フレーム2と第2フレーム3とが離間した状態のもとで、第1フレーム2が第2フレーム3に接近すると、図4に示すように第1フレーム2における固定アーム31の円柱部材33が、第2フレーム3の可動アーム32におけるキャップ部材35の傾斜板37に接触する。その後、第1フレーム2が更に第2フレーム3に接近すると、円柱部材33が傾斜板37を押し上げることにより、キャップ部材35が回転軸34を中心に上方に向けて回転する。そして、第1フレーム2が第2フレーム3に対し上記係合位置まで接近すると、円柱部材33がキャップ部材35における凹所36の下方に位置し、その円柱部材33に対しキャップ部材35の凹所36が上方から被さって同円柱部材33と図3に示すように係合する。この円柱部材33とキャップ部材35の凹所36との係合を通じて、係合部5が第1フレーム2と第2フレーム3とを互いに離間しないように係合する係合状態となる。
【0032】
一方、円柱部材33とキャップ部材35の凹所36とが係合した状態のもと、同キャップ部材35が回転軸34を中心に上方に向けて回転すると、円柱部材33に被さるキャップ部材35の凹所36が上方に外れ、それによって上記係合部5が上記係合を解除した状態である解除状態となる。こうした解除状態のもとでは、図1に示す受け部8及びバンパー6等の自重により、第1フレーム2が上記係合位置から第2フレーム3に対し離間するよう連結機構4の動作を通じて変位する。更に、そうした連結機構4の動作に伴ってバンパー6を搭載する上記受け部8が上側位置(図1の位置)よりも低い位置、すなわち図2(a)に示す位置に下降する。
【0033】
次に、上記解除機構9について、詳しく説明する。
図3に示すように、解除機構9は、固定アーム31の円柱部材33の外周面に対し周方向に相対回転可能に取り付けられた回動部材38と、その回動部材38から下方に突出するトリガ部39と、上記回動部材38から第1フレーム2側(図3の左側)に向けて突出する突出部41と、を備えている。突出部41には、円柱部材33とキャップ部材35の凹所36とが係合した状態のときに傾斜板37の下側に位置するリフト部40が形成されている。
【0034】
台車の移動経路において、天井の高さが低い所の直前の路面には突起42が形成されており、円柱部材33とキャップ部材35の凹所36とが係合した状態のもと、上記突起42に対応する部分を台車が通過すると、解除機構9のトリガ部39が突起42に当たることによって回動部材38が図3において右周りに回転する。このように回動部材38が回転することにより、キャップ部材35の傾斜板37が解除機構9における突出部41のリフト部40によって押し上げられる。その結果、キャップ部材35が回転軸34を中心に上方に向けて回転し、円柱部材33に対し上方から被さるキャップ部材35の凹所36が上方に向けて外れるようになる。
【0035】
次に、本実施形態の台車の作用について説明する。
台車は、図1に示すように、第1フレーム2を第2フレーム3に対し係合位置まで接近させた状態のもと、第1フレーム2と第2フレーム3とが互いに離間しないように係合部5によって係合される。移動経路に沿った台車の移動は、第1フレーム2と第2フレーム3とを上述したように接近させて、言い換えれば水平方向の長さを短くした状態で行われる。これにより、台車を移動経路に沿って移動させる際の同台車の取り回しが改善される。
【0036】
上記移動経路における天井の高さが低い所を台車が通過する際には、その前に天井の高さが低い所の直前の路面に形成された上記突起42の上を同台車が通過することとなる。このとき、解除機構9のトリガ部39が上記突起42に当たることによって同解除機構9が動作し、その動作を通じて係合状態にある係合部5が解除状態となる。詳しくは、上記解除機構9の動作を通じて図3に示す円柱部材33に被さるキャップ部材35の凹所36が上方に外れ、それによって係合部5が解除状態となる。
【0037】
こうした解除状態のもとでは、受け部8及びバンパー6等の自重により、第1フレーム2が係合位置(図1の位置)から第2フレーム3に対し離間するよう連結機構4の動作を通じて変位する。更に、そうした連結機構4の動作に伴ってバンパー6を搭載する上記受け部8が、上側位置(図1の位置)よりも低い位置である図2(a)に示す位置に下降する。このときには受け部8を支持する連結機構4の昇降体10が、車輪1によって路面上に支持された状態となる。このようにバンパー6を搭載する上記受け部8が上側位置よりも低い位置に下降した状態では、台車及びバンパー6の上端の高さ位置が低くなって天井の高さが低い所を通過することが可能となる。
【0038】
天井の高さが低い所を台車が通過した後には、台車の第2フレーム3を移動抵抗装置43の接触部材45に接触させることにより、第2フレーム3の水平方向への移動、詳しくは図2(a)の右方向への移動を規制した状態で、第1フレーム2が第2フレーム3側に押される。その結果、第1フレーム2が受け部8及びバンパー6等の自重等に抗して第2フレーム3に向けて移動させられ、それに伴い連結機構4が図1に示す状態となるよう動作して受け部8及びバンパー6が上側位置(図1の位置)まで上昇するようになる。
【0039】
一方、第1フレーム2が第2フレーム3に対し上記係合位置まで接近すると、係合部5が係合状態となって第1フレーム2と第2フレーム3とが離間しないように保持される。この状態のもとでは、第1フレーム2が第2フレーム3に対し上記係合位置から離間した状態にあるとき(図2(b))と比較して、台車の水平方向の長さが短くなって同台車を移動経路に沿って移動させる際の取り回しが改善される。
【0040】
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)天井の高さが低い所の台車の通過と、その台車を移動経路に沿って移動させる際の同台車の取り回しの改善とを両立することができる。
【0041】
(2)係合部5が係合状態となっている台車が移動経路における路面上の突起42を通過すると、解除機構9によって上記係合部5が解除状態とされ、それに伴って上側位置にある受け部8及びバンパー6が自重によって上記上側位置よりも低い位置に下降する。従って、台車が上記突起42の上を通過するだけで、バンパー6を搭載した上記受け部7が上記上側位置よりも低い位置に下降させることができ、天井の高さの低い所を台車が通過できるようになる。
【0042】
(3)第1フレーム2と第2フレーム3とが離間した状態の台車(第2フレーム3)を移動抵抗装置43の接触部材45に接触させ、その状態で第1フレーム2を第2フレーム3側に押すだけで、第1フレーム2を第2フレーム3に対し係合位置まで接近させて係合部5を係合状態とすることができる。そして、係合部5が係合状態となった後に更に第1フレーム2を第2フレーム3側に押すだけで、移動抵抗装置43の接触部材45による台車の移動規制が解除されて同台車を移動経路に沿って移動させることができるようになる。
【0043】
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・解除機構9を省略して係合部5の係合状態から解除状態への移行を手動で行うようにしてもよい。
【0044】
・受け部7については、必ずしも台車に設ける必要はない。
【符号の説明】
【0045】
1…車輪、2…第1フレーム、3…第2フレーム、4…連結機構、5…係合部、6…バンパー、7…受け部、8…受け部、9…解除機構、10…昇降体、11…支持軸、12…支持軸、13…上側連結バー、14…上側連結バー、15…下側連結バー、16…下側連結バー、17…支持軸、18…支持軸、19…支持軸、20…支持軸、21…緩衝機構、22…ガイドバー、23…スライド部、24…ピン、25…スライドバー、26…スライダ、27…ピン、28…支持部材、29…ピニオン、30…ラック、31…固定アーム、32…可動アーム、33…円柱部材、34…回転軸、35…キャップ部材、36…凹所、37…傾斜板、38…回動部材、39…トリガ部、40…リフト部、41…突出部、42…突起、43…移動抵抗装置、44…中心軸、45…接触部材。
図1
図2
図3
図4