(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】スタッカー及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/24 20060101AFI20221018BHJP
B65H 31/10 20060101ALI20221018BHJP
B65H 31/00 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
B65H31/24
B65H31/10
B65H31/00 B
B65H31/00 Z
(21)【出願番号】P 2019076057
(22)【出願日】2019-04-12
【審査請求日】2021-12-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊東 修一
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-037333(JP,A)
【文献】特開2014-114109(JP,A)
【文献】特開平02-023151(JP,A)
【文献】特開平02-108189(JP,A)
【文献】特開2012-236715(JP,A)
【文献】特開2011-022574(JP,A)
【文献】特開2016-043629(JP,A)
【文献】特開2008-024473(JP,A)
【文献】特開2008-094581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/24
B65H 31/10
B65H 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を積載する第1トレイと、
前記第1トレイを、用紙を積載可能な第1の位置と、当該第1の位置よりも下方の第2の位置と、に移動可能な第1トレイ移動手段と、
前記第1トレイが前記第1の位置に無いときに当該第1の位置以下であり、且つ、前記第2の位置よりも上方である第3の位置に導入され用紙を積載する第2トレイと、
前記第1トレイが前記第1の位置に復帰する際に前記第2トレイに積載された用紙を当該第1トレイに受け渡す第1受渡手段と、
を備えることを特徴とするスタッカー。
【請求項2】
前記第2トレイを、前記第3の位置と、前記第1トレイの移動経路から退避した第4の位置と、に移動可能な第2トレイ移動手段を備え、
前記第2トレイ移動手段は、
前記第1トレイが前記第1の位置から前記第2の位置へ移動する際に、前記第2トレイを前記第4の位置から前記第3の位置へ移動させ、
前記第1受渡手段により前記第2トレイに積載された用紙が前記第1トレイに受け渡された後、前記第2トレイを前記第3の位置から前記第4の位置へ移動させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のスタッカー。
【請求項3】
前記第1トレイ移動手段は、前記第1トレイに積載された用紙の積載量が所定量に達したタイミング、及び/又は、ユーザー操作に基づき指定されたタイミングを契機として、前記第1トレイを前記第1の位置から前記第2の位置へ移動させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のスタッカー。
【請求項4】
前記第1トレイ及び前記第2トレイは、平面視において互いに形成された隙間を補完可能な形状をなし、
前記第1受渡手段は、前記第1トレイが前記第1の位置に復帰する際、前記第1トレイと前記第2トレイとが擦れ違ったときに、前記第2トレイに積載された用紙を前記第1トレイに受け渡す、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のスタッカー。
【請求項5】
前記第1トレイ及び前記第2トレイは、平面視においてフォーク形状をなす、
ことを特徴とする請求項4に記載のスタッカー。
【請求項6】
前記第2トレイは、中央から左右に開閉可能であり、
前記第1受渡手段は、前記第1トレイが前記第1の位置に復帰する際、前記第2トレイを開状態とし、当該第2トレイと前記第1トレイとが平面視で重ならないように配置されたときに、前記第2トレイに積載された用紙を前記第1トレイに受け渡す、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のスタッカー。
【請求項7】
前記第2トレイによる用紙の積載量は、前記第1トレイによる用紙の積載量よりも少ない、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のスタッカー。
【請求項8】
用紙を外部へ排出するための第3トレイと、
前記第1トレイが前記第2の位置に移動した際に当該第1トレイに積載された用紙を前記第3トレイに受け渡す第2受渡手段と、
前記第3トレイを、前記第2の位置と、用紙を外部へ排出可能な第5の位置と、に移動可能な第3トレイ移動手段と、
を備えることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のスタッカー。
【請求項9】
前記第1トレイ及び前記第3トレイは、平面視において互いに形成された隙間を補完可能な形状をなし、
前記第2受渡手段は、前記第1トレイが前記第2の位置に移動した際、前記第1トレイと前記第3トレイとが擦れ違ったときに、前記第1トレイに積載された用紙を前記第3トレイに受け渡す、
ことを特徴とする請求項8に記載のスタッカー。
【請求項10】
前記第1トレイ及び前記第3トレイは、平面視においてフォーク形状をなす、
ことを特徴とする請求項9に記載のスタッカー。
【請求項11】
画像を連続して用紙に形成する画像形成部と、
前記画像形成部により画像形成された用紙を積載する請求項1~10のいずれか一項に記載のスタッカーと、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタッカー及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スタッカーに収納されたシート束を後続するシートの印刷、装丁処理などの動作を中断することなく随時取り出すことを目的として、シート束を順次積載収納するスタッカーと、このスタッカー上流側のシート束移送経路にシート束を一時的に保持するバッファトレイ手段を設け、スタッカーから仕上がりシートを取り出す際にこのバッファトレイ手段で後続するシート束を一時的に保持するようにしたシート後処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されているシート後処理装置では、バッファトレイ手段をスタッカー上流側のシート束移送経路上に設ける必要があり、その分だけシート束移送経路を拡張しなければいけないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、スタッカー上流側の移送経路を拡張せず、且つ、スタックされたシートを後続するシートに対する所定動作を中断することなく随時取り出すことができるスタッカー及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明のスタッカーは、
用紙を積載する第1トレイと、
前記第1トレイを、用紙を積載可能な第1の位置と、当該第1の位置よりも下方の第2の位置と、に移動可能な第1トレイ移動手段と、
前記第1トレイが前記第1の位置に無いときに当該第1の位置以下であり、且つ、前記第2の位置よりも上方である第3の位置に導入され用紙を積載する第2トレイと、
前記第1トレイが前記第1の位置に復帰する際に前記第2トレイに積載された用紙を当該第1トレイに受け渡す第1受渡手段と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスタッカーにおいて、
前記第2トレイを、前記第3の位置と、前記第1トレイの移動経路から退避した第4の位置と、に移動可能な第2トレイ移動手段を備え、
前記第2トレイ移動手段は、
前記第1トレイが前記第1の位置から前記第2の位置へ移動する際に、前記第2トレイを前記第4の位置から前記第3の位置へ移動させ、
前記第1受渡手段により前記第2トレイに積載された用紙が前記第1トレイに受け渡された後、前記第2トレイを前記第3の位置から前記第4の位置へ移動させる、
ことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のスタッカーにおいて、
前記第1トレイ移動手段は、前記第1トレイに積載された用紙の積載量が所定量に達したタイミング、及び/又は、ユーザー操作に基づき指定されたタイミングを契機として、前記第1トレイを前記第1の位置から前記第2の位置へ移動させる、
ことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1~3のいずれか一項に記載のスタッカーにおいて、
前記第1トレイ及び前記第2トレイは、平面視において互いに形成された隙間を補完可能な形状をなし、
前記第1受渡手段は、前記第1トレイが前記第1の位置に復帰する際、前記第1トレイと前記第2トレイとが擦れ違ったときに、前記第2トレイに積載された用紙を前記第1トレイに受け渡す、
ことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のスタッカーにおいて、
前記第1トレイ及び前記第2トレイは、平面視においてフォーク形状をなす、
ことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1~3のいずれか一項に記載のスタッカーにおいて、
前記第2トレイは、中央から左右に開閉可能であり、
前記第1受渡手段は、前記第1トレイが前記第1の位置に復帰する際、前記第2トレイを開状態とし、当該第2トレイと前記第1トレイとが平面視で重ならないように配置されたときに、前記第2トレイに積載された用紙を前記第1トレイに受け渡す、
ことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1~6のいずれか一項に記載のスタッカーにおいて、
前記第2トレイによる用紙の積載量は、前記第1トレイによる用紙の積載量よりも少ない、
ことを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1~7のいずれか一項に記載のスタッカーにおいて、
用紙を外部へ排出するための第3トレイと、
前記第1トレイが前記第2の位置に移動した際に当該第1トレイに積載された用紙を前記第3トレイに受け渡す第2受渡手段と、
前記第3トレイを、前記第2の位置と、用紙を外部へ排出可能な第5の位置と、に移動可能な第3トレイ移動手段と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のスタッカーにおいて、
前記第1トレイ及び前記第3トレイは、平面視において互いに形成された隙間を補完可能な形状をなし、
前記第2受渡手段は、前記第1トレイが前記第2の位置に移動した際、前記第1トレイと前記第3トレイとが擦れ違ったときに、前記第1トレイに積載された用紙を前記第3トレイに受け渡す、
ことを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のスタッカーにおいて、
前記第1トレイ及び前記第3トレイは、平面視においてフォーク形状をなす、
ことを特徴とする。
【0016】
請求項11に記載の発明の画像形成装置は、
画像を連続して用紙に形成する画像形成部と、
前記画像形成部により画像形成された用紙を積載する請求項1~10のいずれか一項に記載のスタッカーと、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、スタッカー上流側の移送経路を拡張せず、且つ、スタックされたシートを後続するシートに対する所定動作を中断することなく随時取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態の画像形成装置の全体構成図である。
【
図2】本発明の実施形態の画像形成装置の制御構成のブロック図である。
【
図3】排紙部制御処理を示すフローチャートである。
【
図4】(a)~(i)は各トレイによる用紙の積載過程を示す図である。
【
図5】(a)は第1トレイの平面図であり、(b)は第3トレイの平面図である。
【
図6】(a)は第1トレイと第3トレイとが第2の位置に配置されたときの平面図であり、(b)は第1トレイと第3トレイとが第2の位置に配置されたときの側面図である。
【
図7】第2トレイから第1トレイへの用紙の受け渡しについての変形例を示すであって、(a)は第2トレイT2が閉状態にあるときの第1トレイT1と第2トレイT2との関係を示す平面図であり、(b)は第2トレイT2が閉状態にあるときの第1トレイT1と第2トレイT2との関係を示す側面図であり、(c)は第2トレイT2が開状態にあるときの第1トレイT1と第2トレイT2との関係を示す平面図であり、(d)は第2トレイT2が開状態にあるときの第1トレイT1と第2トレイT2との関係を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0020】
図1は、本発明の実施形態の画像形成装置の全体構成図であり、
図2は、本発明の実施形態の画像形成装置の制御構成のブロック図である。
【0021】
画像形成装置100は、複写機、プリンター、複合機といった装置であり、用紙S上に画像を形成する。より具体的には、画像形成装置100は、コピー動作やスキャン動作における原稿の自動連続搬送を実行する原稿自動送り装置(ADF;Auto Document Feeder)と、原稿を読み取って画像データを生成するスキャナーと、スキャナーが生成した画像データ又は予め記憶された画像データに基づき用紙S上に画像を形成するプリントエンジンと、プリントエンジンによって画像が形成される用紙Sを給紙する給紙ユニットとを含む。また、画像形成装置100は、例えば、LANや電話回線といった通信ネットワークを介してのデータ送受信が可能になっており、通信ネットワーク経由で他のコンピューターから画像データを入力して当該画像データに基づく印刷を実行することもできる。
【0022】
画像形成装置100は、
図1及び
図2に示すように、制御部10、画像形成部20、給紙部30、用紙搬送部40、排紙部50、通信部60、記憶部70、操作部80、表示部90等を備えて構成される。
【0023】
制御部(第1トレイ移動手段、第2トレイ移動手段、第3トレイ移動手段)10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により構成される。CPUは、ROMに記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムに従って、画像形成装置100の各部の動作を集中制御する。
【0024】
画像形成部20は、制御部10からの指令により画像形成動作を行うものである。給紙部30は、制御部10からの指令により所定の用紙Sを画像形成部20に給紙するものである。用紙搬送部40は、画像形成部20により画像形成された用紙Sを排紙部50へ送出するものである。
【0025】
排紙部50は、用紙搬送部40により送出された用紙Sを収容可能なスタッカーである。より具体的には、排紙部50は、
図1に示すように、用紙搬送部40により送出された用紙Sを積載する第1トレイT1、第2トレイT2、第3トレイT3、これらのトレイT1~T3をそれぞれ駆動するための駆動機構(図示省略)、これらの第1~第3トレイT1~T3のそれぞれが所定の位置にあることを検出するためのセンサー等を備えて構成される。
【0026】
第1トレイ(第1受渡手段、第2受渡手段)T1は、
図1に示すように、通常時に第1の位置P1に配置され、用紙搬送部40により送出された用紙Sを積載する。また、第1トレイT1は、積載された用紙Sで満杯になると、制御部10からの指令により排出動作を開始する。具体的には、第1トレイT1は、積載された用紙Sで満杯になると、第1の位置P1から第2の位置P2へ移動(下降)し、積載された用紙Sを第3トレイT3へ受け渡す。
【0027】
第2トレイ(第1受渡手段)T2は、
図1に示すように、通常時に第1トレイT1の移動経路(第1の位置P1~第2の位置P2)から退避した第4の位置P4に配置されている。第2トレイT2は、第1トレイT1が排出動作を開始すると、第4の位置P4から第3の位置P3へ移動(スライド)し、第1トレイT1に代わって用紙Sを積載する。したがって、第2トレイT2への用紙Sの収容は一時的なものであり、排紙部50は、第2トレイT2による用紙Sの積載量が第1トレイT1による用紙Sの積載量よりも少ない量で済むように設計されている。ここで、第3の位置P3は、第1トレイT1の移動経路上であって、第1の位置P1以下であり、且つ、第2の位置P2よりも上方の位置である。
【0028】
第3トレイ(第2受渡手段)T3は、
図1に示すように、通常時に第2の位置P2に配置されている。第3トレイT3は、第1トレイT1が第2の位置P2へ移動(下降)した際に第1トレイT1から用紙Sを受け取り、第2の位置P2から第5の位置P5へ移動(スライド)し、画像形成装置100の外部へ用紙Sを排出する。
【0029】
通信部60は、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部装置との間でデータの送受信を行うものである。記憶部70は、ハードディスクやフラッシュメモリー等の不揮発性の記憶装置により構成され、各種データを記憶する。操作部80は、表示部90の表示画面上を覆うように形成されたタッチパネルや、数字ボタン、スタートボタン等の各種操作ボタンを備え、ユーザーの操作に基づく操作信号を制御部10に出力する。表示部90は、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成され、制御部10から入力される表示信号の指示に従って各種画面を表示する。
【0030】
〔画像形成装置の動作〕
次に、画像形成装置100の動作について説明する。
図3は、画像形成装置100により実行される排紙部制御処理を示すフローチャートである。
【0031】
排紙部制御処理は、制御部10のCPUとROMに記憶されているプログラムとの協働によるソフトウエア処理によって実現される。また、この処理が開始される際、排紙部50は、初期状態にあるものとする。具体的には、
図1及び
図4(a)に示すように、初期状態では、第1トレイT1は、用紙搬送部40により送出された用紙Sを積載可能な第1の位置P1に配置されているものとする。第2トレイT2は、第1トレイT1の移動経路(第1の位置P1~第2の位置P2)から退避した第4の位置P4に配置されているものとする。第3トレイT3は、第1トレイT1に積載された用紙Sを受け取ることが可能な第2の位置P2に配置されているものとする。
【0032】
図3に示すように、まず、画像形成装置100の制御部10は、積載された用紙Sで第1トレイT1が満杯になったか否かを判定する(ステップS1)。ここで、積載された用紙Sで第1トレイT1が満杯になったか否かの判定は、例えば、第1トレイT1に積載された用紙Sが予め定められた上限に達したことを検出するセンサーを用いて行う。
【0033】
ステップS1において、積載された用紙Sで第1トレイT1が満杯になっていないと判定された場合(ステップS1;NO)、制御部10は、第1トレイT1が満杯になるまでの間、ステップS1の判定処理を繰り返し行う。
一方、ステップS1において、積載された用紙Sで第1トレイT1が満杯になったと判定された場合(ステップS1;YES)、制御部10は、
図4(b)~(d)に示すように、第1トレイT1を第1の位置P1から第2の位置P2へ移動(下降)させ(ステップS2)、第2トレイT2を第4の位置P4から第3の位置P3へ移動(スライド)させる(ステップS3)。そして、第2トレイT2が第3の位置P3への移動を終えると、
図4(c)~(h)に示すように、用紙搬送部40により送出された用紙Sが第2トレイT2によって積載されることとなる。
【0034】
次いで、制御部10は、第1トレイT1が第2の位置P2へ到達したか否かを判定する(ステップS4)。ここで、第1トレイT1が第2の位置P2へ到達したか否かの判定は、例えば、第1トレイT1が第2の位置P2へ到達したことを検出するセンサーを用いて行う。
【0035】
ステップS4において、第1トレイT1が第2の位置P2へ到達していないと判定された場合(ステップS4;NO)、制御部10は、第1トレイT1が第2の位置P2へ到達するまでの間、ステップS4の判定処理を繰り返し行う。
一方、ステップS4において、第1トレイT1が第2の位置P2へ到達したと判定された場合(ステップS4;YES)、制御部10は、
図4(d)~(f)に示すように、第3トレイT3を第2の位置P2から第5の位置P5(
図1参照)へ移動(スライド)させる(ステップS5)。
【0036】
ここで、第1トレイT1及び第3トレイT3は、
図5(a),(b)に示すように、平面視において、互いに形成された隙間を補完可能なフォーク形状をなしており、第1トレイT1が第2の位置P2へ到達したとき(
図4(d)参照)、
図6(a)に示すように、互いに形成された隙間が補完されるように配置されるとともに、
図6(b)に示すように、側面視で第3トレイT3の上面の位置が第1トレイT1の上面の位置よりも高くなるように配置されるようになっている。これにより、第1トレイT1が第2の位置P2へ到達したとき、それまで第1トレイT1に積載されていた用紙Sが第3トレイT3に受け渡されることとなる。
【0037】
次いで、制御部10は、第1トレイT1から用紙Sを受け取った第3トレイT3が第5の位置P5へ到達したか否かを判定する(ステップS6)。ここで、第3トレイT3が第5の位置P5へ到達したか否かの判定は、例えば、第3トレイT3が第5の位置P5へ到達したことを検出するセンサーを用いて行う。
【0038】
ステップS6において、第1トレイT1から用紙Sを受け取った第3トレイT3が第5の位置P5へ到達していないと判定された場合(ステップS6;NO)、制御部10は、第3トレイT3が第5の位置P5へ到達するまでの間、ステップS6の判定処理を繰り返し行う。
一方、ステップS6において、第1トレイT1から用紙Sを受け取った第3トレイT3が第5の位置P5へ到達したと判定された場合(ステップS6;YES)、制御部10は、
図4(f)~(i)に示すように、第1トレイT1を第2の位置P2から第1の位置P1へ移動(復帰(上昇))させる(ステップS7)。また、第3トレイT3が第5の位置P5へ到達した後、第3トレイT3に積載された用紙Sが取り除かれると、制御部10は、
図4(g)~(h)に示すように、第3トレイT3を第5の位置P5から第2の位置P2へ移動(復帰(スライド))させる。
【0039】
次いで、制御部10は、第1トレイT1が第2の位置P2から第1の位置P1へ移動(復帰)する際に、第2トレイT2から第1トレイT1への用紙Sの受け渡しが完了したか否かを判定する(ステップS8)。
【0040】
ここで、第2トレイT2から第1トレイT1への用紙Sの受け渡しが完了したか否かの判定は、例えば、第1トレイT1と第2トレイT2とが擦れ違ったこと、すなわち第1トレイT1の上面の位置が第2トレイT2の上面の位置よりも高くなったことを検出するセンサーを用いて行う。また、図示は省略するが、第2トレイT2は、第3トレイT3と同様に、平面視においてフォーク形状をなしており、第1トレイT1と第2トレイT2とは、平面視において、互いに形成された隙間が補完されるようになっている。これにより、第1トレイT1が第2の位置P2から第1の位置P1へ移動する際、第1トレイT1と第2トレイT2とが擦れ違ったときに(
図4(h)参照)、それまで第2トレイT2に積載されていた用紙Sが第1トレイT1に受け渡されることとなる。
【0041】
ステップS8において、第2トレイT2から第1トレイT1への用紙Sの受け渡しが完了していないと判定された場合(ステップS8;NO)、制御部10は、第2トレイT2から第1トレイT1への用紙Sの受け渡しが完了するまでの間、ステップS8の判定処理を繰り返し行う。
一方、ステップS8において、第2トレイT2から第1トレイT1への用紙Sの受け渡しが完了したと判定された場合(ステップS8;YES)、制御部10は、
図4(i)に示すように、第2トレイT2を第3の位置P3から第4の位置P4へ移動(復帰(スライド))させる(ステップS9)。そして、制御部10は、処理をステップS1へ戻し、それ以降の処理を繰り返し行う。
【0042】
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置100によれば、用紙Sを積載する第1トレイT1と、第1トレイT1が第1の位置P1に無いときに当該第1の位置P1以下であり、且つ、第2の位置P2よりも上方である第3の位置P3に導入され用紙Sを積載する第2トレイT2と、を備えているので、第1トレイT1上流側の用紙移送経路を拡張せず、且つ、スタックされた用紙Sを後続する用紙Sに対する印刷動作(所定動作)を中断することなく随時取り出すことができる。また、第1トレイT1が第1の位置P1に復帰する際に第2トレイT2に積載された用紙Sを当該第1トレイT1に受け渡すことで、積載された用紙Sの排出動作を当該第1トレイT1により一貫して行うことができるので、排出動作に係る制御を簡素化することができる。
【0043】
また、本実施形態の画像形成装置100によれば、第1トレイT1が第1の位置P1から第2の位置P2へ移動する際に、第2トレイT2を第4の位置P4から第3の位置P3へ移動させ、第2トレイT2に積載された用紙Sが第1トレイT1に受け渡された後、第2トレイT2を第3の位置P3から第4の位置P4へ移動させるので、第1トレイT1及び第2トレイT2のそれぞれの移動を円滑に行うことができる。
【0044】
また、本実施形態の画像形成装置100によれば、第1トレイT1に積載された用紙Sが満杯になったことを契機として、当該第1トレイT1を第1の位置P1から第2の位置P2へ移動させるので、第1トレイT1による用紙Sの排出動作を効率良く行うことができる。
【0045】
また、本実施形態の画像形成装置100によれば、第1トレイT1及び第2トレイT2は、平面視において互いに形成された隙間を補完可能な形状をなし、第1トレイT1が第1の位置P1に復帰する際、第1トレイT1と第2トレイT2とが擦れ違ったときに、第2トレイT2に積載された用紙Sを第1トレイT1に受け渡すので、当該用紙Sの受け渡しに用いられるスペースを省スペース化することができる。
【0046】
また、本実施形態の画像形成装置100によれば、第1トレイT1及び第2トレイT2は、平面視においてフォーク形状をなしているので、第2トレイT2から第1トレイT1への用紙Sの受け渡しを安定して行うことができる。
【0047】
また、本実施形態の画像形成装置100によれば、第2トレイT2による用紙Sの積載量は、第1トレイT1による用紙Sの積載量よりも少なくなるように設計されているので、第2トレイT2や第2トレイT2を駆動する駆動機構等にかかるコストを軽減することができる。
【0048】
また、本実施形態の画像形成装置100によれば、用紙Sを外部へ排出するための第3トレイT3を備え、第1トレイT1が第2の位置P2に移動した際に当該第1トレイT1に積載された用紙Sを第3トレイT3に受け渡し、第3トレイT3を、第2の位置P2と、用紙Sを外部へ排出可能な第5の位置P5と、に移動可能とするので、用紙Sの排出動作を第3トレイT3に引き継がせることによって、当該排出動作を効率良く行うことができる。
【0049】
また、本実施形態の画像形成装置100によれば、第1トレイT1及び第3トレイT3は、平面視において互いに形成された隙間を補完可能な形状をなし、第1トレイT1が第2の位置P2に移動した際、第1トレイT1と第3トレイT3とが擦れ違ったときに、第1トレイT1に積載された用紙Sを第3トレイT3に受け渡すので、当該用紙Sの受け渡しに用いられるスペースを省スペース化することができる。
【0050】
また、本実施形態の画像形成装置100によれば、第1トレイT1及び第3トレイT3は、平面視においてフォーク形状をなしているので、第1トレイT1から第3トレイT3への用紙Sの受け渡しを安定して行うことができる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明したが、実施形態における記述内容は、本発明の好適な一例であり、これに限定されるものではない。
【0052】
例えば、上記実施形態においては、第1トレイT1と第2トレイT2とがそれぞれフォーク形状をなし、第1トレイT1が第1の位置P1に復帰する際、第1トレイT1と第2トレイT2とが擦れ違ったときに、それまで第2トレイT2に積載されていた用紙Sが第1トレイT1に受け渡されるようにしたが、当該用紙Sの受け渡し方法は上述の方法に限定されるものではない。例えば、第2トレイT2を中央から左右に開閉可能なトレイとし、この第2トレイT2を開状態としたときに、第2トレイT2の下方に配置された第1トレイT1に用紙Sが受け渡されるようにしてもよい。この変形例の受け渡し方法を、
図7(a)~(d)を用いて説明する。
【0053】
図7(a)は第2トレイT2が閉状態にあるときの第1トレイT1と第2トレイT2との関係を示す平面図であり、(b)は第2トレイT2が閉状態にあるときの第1トレイT1と第2トレイT2との関係を示す側面図であり、(c)は第2トレイT2が開状態にあるときの第1トレイT1と第2トレイT2との関係を示す平面図であり、(d)は第2トレイT2が開状態にあるときの第1トレイT1と第2トレイT2との関係を示す側面図である。
【0054】
図7(a)及び
図7(b)に示すように、第1トレイT1が第2の位置P2から第1の位置P1へ復帰する際に第2トレイT2に近接するまでの間、第2トレイT2は、閉状態となっており、第1トレイT1の代わりに用紙Sを積載可能となっている。そして、第1トレイT1が第2トレイT2に近接すると、
図7(c)及び
図7(d)に示すように、第2トレイT2が開状態となり、第1トレイT1と第2トレイT2とが平面視で重ならないように配置され、このときに第2トレイT2に積載されていた用紙Sが第1トレイT1に受け渡されることとなる。そして、用紙Sを受け取った第1トレイT1は、第1の位置P1へ戻り再び用紙Sで満杯になると、第2の位置P2へ移動を開始し、このとき第2トレイT2は開状態から閉状態に変換されることとなる。
【0055】
また、上記実施形態においては、用紙Sで満杯になったときに第1トレイT1を第1の位置P1から第2の位置P2へ移動させるようにしたが、例えば、第1トレイT1への用紙Sの積載量が所定量に達したタイミングや、ユーザーによる操作部80の所定の操作によって排紙が指示されたタイミングで第1トレイT1を第1の位置P1から第2の位置P2へ移動させるようにしてもよい。
【0056】
また、上記実施形態においては、第2トレイT2を移動可能な第4の位置P4は、第3の位置P3から右方へスライドさせた位置としたが、第4の位置P4は、第1トレイT1の移動経路(第1の位置P1~第2の位置P2)から退避した位置であればよく、例えば、第3の位置P3に位置する第2トレイT2の右端を支点として当該第2トレイT2を90度回動させることによって、第1トレイT1の移動経路(第1の位置P1~第2の位置P2)から退避した位置へ移動させるようにしてもよい。
【0057】
また、上記実施形態においては、第2トレイT2は第3の位置P3と第4の位置P4との間におけるスライド移動を可能としたが、さらに上下方向に移動可能としてもよい。これにより、例えば、用紙Sを積載した第1トレイT1が第1の位置P1から第2の位置P2へ移動する際、第2トレイT2を一旦上方向に移動させてから第1の位置P1へ移動させることにより、第1トレイT1に積載されている用紙Sに第2トレイT2が当たってしまうことを回避するとともに、当該第2トレイT2を、用紙Sを積載可能な位置へより早く移動させることができる。
【0058】
また、上記実施形態においては、例えば、各処理を実行するためのプログラムを格納したコンピューター読み取り可能な媒体としてROMを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリー等の不揮発性メモリー、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することも可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)を適用することとしてもよい。
【符号の説明】
【0059】
100 画像形成装置
10 制御部
50 排紙部
T1 第1トレイ
T2 第2トレイ
T3 第3トレイ
P1 第1の位置
P2 第2の位置
P3 第3の位置
P4 第4の位置
P5 第5の位置