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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】回転式ホルダ装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/10 20060101AFI20221018BHJP
   B60R 7/06 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
B60N3/10 Z
B60R7/06 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019077431
(22)【出願日】2019-04-15
(65)【公開番号】P2020175703
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福井 直行
(72)【発明者】
【氏名】榊原 将訓
(72)【発明者】
【氏名】小澤 悦雄
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102008024694(DE,A1)
【文献】米国特許第10071691(US,B2)
【文献】特開2012-236541(JP,A)
【文献】特表2013-514748(JP,A)
【文献】特開2005-112009(JP,A)
【文献】特開2004-299430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/10
B60R 7/00-08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に所定形状の開口部が形成された車両内装部材と、
前記車両内装部材に、水平方向に延びた水平軸を中心にして回転可能に取り付けられた回転体と、
を備える回転式ホルダ装置であって、
前記回転体は、互いに異なる回転角度位置に設けられた第一ホルダ部及び第二ホルダ部を有し、
前記第一ホルダ部は、前記所定形状に対応した形状に形成された第一開口と、前記第一開口に対する前記水平軸側の位置で前記第一開口に対向する第一底壁と、を有し、
前記第二ホルダ部は、矩形状に形成された第二開口と、前記第二開口に対する前記水平軸側の位置で前記第二開口に対向する第二底壁と、前記第二開口に挿入されて前記第二底壁に当接するホルダ対象物の底部が前記第二底壁に対して移動するのを規制する規制部と、を有し、
第二底壁は、第一側壁よりも一段下がっている或いは第一側壁に対して傾斜している、回転式ホルダ装置。
【請求項2】
前記第一底壁は、前記第二開口が前記開口部を介して開放されている状態では、前記第二開口に挿入されて前記第二底壁に当接するホルダ対象物の背面又は表面を支持する側面支持壁である、請求項1に記載された回転式ホルダ装置。
【請求項3】
前記回転体にそれぞれ設けられる前記第一ホルダ部と前記第二ホルダ部との配置角度差は、70°以上かつ90°以下である、請求項に記載された回転式ホルダ装置。
【請求項4】
前記第一底壁における前記ホルダ対象物の背面又は表面が接する表面側とは反対の裏面側に配置され、前記ホルダ対象物にワイヤレス給電する給電器を備える、請求項2又は3に記載された回転式ホルダ装置。
【請求項5】
前記回転体は、前記第二開口に挿入される前記ホルダ対象物を前記第一底壁の表面側へ押し付ける押付機構を有する、請求項1乃至の何れか一項に記載された回転式ホルダ装置。
【請求項6】
前記押付機構は、前記第二開口を開閉するように揺動する揺動部材と、前記揺動部材を前記第二開口を塞ぐ方向へ付勢する付勢力を発生する第一付勢部材と、を有する、請求項に記載された回転式ホルダ装置。
【請求項7】
前記第二開口が前記開口部を介して開放されている状態で前記回転体における前記第二開口よりも回転方向一方側の端部が下方に押圧操作されることにより、前記回転体を回転方向他方側へ回転させて前記第一開口を前記開口部を介して開放させる開放装置を備える、請求項1乃至の何れか一項に記載された回転式ホルダ装置。
【請求項8】
前記開放装置は、一端部が前記車両内装部材に係止されかつ他端部が前記回転体に係止された、前記回転体を回転方向他方側へ付勢する付勢力を発生する第二付勢部材を有する、請求項に記載された回転式ホルダ装置。
【請求項9】
前記第一開口における回転方向他方側の周縁に外方へ突出するように設けられ、前記第一開口が前記開口部を介して開放されている状態で前記回転体を回転方向一方側へ回転させる操作を補助する切替用ノブを備える、請求項1乃至の何れか一項に記載された回転式ホルダ装置。
【請求項10】
前記切替用ノブは、前記回転体に揺動可能に取り付けられると共に、前記第一開口を塞ぐ方向に付勢されている、請求項9に記載された回転式ホルダ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば缶やペットボトルなどの飲料容器及びスマートフォンや携帯電話などの携帯端末を保持する回転式ホルダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両などに搭載され、缶やペットボトルなどの飲料容器を保持する回転式ホルダ装置が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載された回転式ホルダ装置は、車両のインストルメントパネルやセンタコンソールなどの車両内装部材と、車両内装部材に対して回転可能な回転体と、を備えている。車両内装部材は、開口部を有している。回転体は、車両内装部材に水平軸を中心にして回転可能に取り付けられている。回転体は、車両内装部材の開口部に対応した大きさに形成されたホルダ開口を有しており、底壁と側壁とからなる筒状のホルダ部を有している。ホルダ部の底壁は、ホルダ開口が車両内装部材の開口部を介して開放された場合に、飲料容器の底面が当接する保持壁として機能すると共に、水平軸を中心にして回転操作がなされた場合に、その裏面が車両内装部材の開口部を介して外部に露出することにより、その開口部を閉塞する蓋体部として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-299430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ホルダ装置に保持すべき対象には、缶やペットボトルなどの飲料容器以外に、近年では、スマートフォンや携帯電話などの携帯端末がある。一般的には、携帯端末を置くための専用のスペースは無く、携帯端末は飲料容器用の上記ホルダ部に立てかけられる。しかしながら、携帯端末専用のホルダ部が車両内装部材におけるアッパパネル部上で飲料容器用のホルダ部に対して水平方向に並べて配置されるものとすると、そのアッパパネル部上でホルダ部の占める面積が過大となってしまう。また、携帯端末が飲料容器用のホルダ部に立てかけられるものとすると、その携帯端末の保持が不安定にならざるを得ない。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、飲料容器及び携帯端末の双方を安定して保持するうえで省スペース化を図ることが可能な回転式ホルダ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、上面に所定形状の開口部が形成された車両内装部材と、前記車両内装部材に、水平方向に延びた水平軸を中心にして回転可能に取り付けられた回転体と、を備える回転式ホルダ装置であって、前記回転体は、互いに異なる回転角度位置に設けられた第一ホルダ部及び第二ホルダ部を有し、前記第一ホルダ部は、前記所定形状に対応した形状に形成された第一開口と、前記第一開口に対する前記水平軸側の位置で前記第一開口に対向する第一底壁と、を有し、前記第二ホルダ部は、矩形状に形成された第二開口と、前記第二開口に対する前記水平軸側の位置で前記第二開口に対向する第二底壁と、を有する、回転式ホルダ装置である。
【0007】
この構成によれば、回転体を回転させることで、第一ホルダ部の第一開口を車両内装部材の開口部を介して開放させたホルダ状態と、第二ホルダ部の矩形状の第二開口を車両内装部材の開口部を介して開放させたホルダ状態と、に選択的に切り替えることができる。従って、それぞれホルダ対象物である飲料容器及び携帯端末の双方を安定して保持するうえで省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る回転式ホルダ装置の端末ホルダ状態での斜視図である。
図2】実施形態の回転式ホルダ装置の端末ホルダ状態とカップホルダ状態との間の中途状態での斜視図である。
図3】実施形態の回転式ホルダ装置のカップホルダ状態での斜視図である。
図4】実施形態の回転式ホルダ装置の分解斜視図である。
図5】実施形態の回転式ホルダ装置の端末ホルダ状態での車両内装部材と回転体と開放装置と規制装置との関係を表した図である。
図6】実施形態の回転式ホルダ装置のカップホルダ状態での車両内装部材と回転体と開放装置と規制装置との関係を表した図である。
図7】実施形態の回転式ホルダ装置の端末ホルダ状態での車両内装部材と回転体との関係を表した図である。
図8】実施形態の回転式ホルダ装置のカップホルダ状態での車両内装部材と回転体との関係を表した図である。
図9】一変形形態に係る回転式ホルダ装置の端末ホルダ状態での車両内装部材と回転体との関係を表した図である。
図10】別の変形形態に係る回転式ホルダ装置の回転体の要部構造を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を用いて、本発明に係る回転式ホルダ装置の具体的な実施形態を説明する。
【0010】
一実施形態の回転式ホルダ装置1は、車両に搭載された、例えば缶やペットボトルなどの飲料容器を保持すると共に、スマートフォンや携帯電話などの携帯端末を保持する保持装置である。回転式ホルダ装置1は、図1図2図3、及び図4に示す如く、車両内装部材10と、回転体30と、開放装置40と、規制装置50と、を備えている。
【0011】
車両内装部材10は、車体側に固定されている。車両内装部材10は、表出部材11と、側壁部材12,13と、を有している。表出部材11は、車室内に表出する部材であって、センタコンソールのアッパパネルの一部を構成している。表出部材11は、板状かつ略四角形状に形成されている。表出部材11の上面には、開口部14が形成されている。開口部14は、円形に形成されており、ホルダ対象物である飲料容器の外径に合わせた径を有している。
【0012】
側壁部材12,13は、回転体30の外面に対向する壁部であり、回転体30を保護する部材である。側壁部材12,13はそれぞれ、表出部材11の下方側において回転体30の外方に配置されている。側壁部材12,13はそれぞれ、回転体30の外面に合わせて半球状に形成されている。側壁部材12,13はそれぞれ、上部が水平にカットされた形状を有しており、上端が表出部材11の裏面に接するように配置されている。
【0013】
側壁部材12と側壁部材13とは、図5及び図6に示す如く、回転体30を挟んでその外面を囲む中空の球形空間15を形成するように互いに組み付けられる。側壁部材12と側壁部材13とが互いに組み付けられると、両側壁部材12,13の上端に表出部材11の開口部14に合わせた、その開口部14よりも僅かに大きな径を有する開口16が形成されると共に、回転体30を囲む中空の球形空間15が形成される。側壁部材12,13はそれぞれ、フランジ状の取付部17にてボルト締めなどで表出部材11に固定される。
【0014】
側壁部材12,13はそれぞれ、櫛歯部18を有している。櫛歯部18は、側壁部材12,13の半球状の内面に沿って形成された凹凸である。櫛歯部18は、水平方向Xに交互に並んだ凹部18a及び凸部18bを有している。櫛歯部18の凹部18a及び凸部18bはそれぞれ、上下方向に延在しており、回転体30の後述の櫛歯部が常に噛み合う長さを有している。凹部18a及び凸部18bはそれぞれ、後述の掬い上げ対象となる落下物の大きさに合わせた所定の幅を有するように形成されている。以下、側壁部材12を第一側壁部材12と、側壁部材13を第二側壁部材13と、それぞれ称す。
【0015】
第一側壁部材12の外面には、爪部12aが形成されている。爪部12aは、第一側壁部材12における水平方向Xに延びる水平軸Cの軸方向両端側それぞれに設けられており、軸方向外方に突出している。第二側壁部材13の外面には、孔部13aが形成されている。孔部13aは、第二側壁部材13における水平軸Cの軸方向両端側それぞれに設けられた第一側壁部材12側の水平方向Yに突出する突出部に設けられており、水平軸Cの軸方向に貫通する貫通孔である。第一側壁部材12と第二側壁部材13とは、水平軸Cの軸方向両側部の爪部12aそれぞれが孔部13aに係合することにより互いに組み付けられる。
【0016】
回転体30は、車両内装部材10に対して回転可能な回転部材である。回転体30は、車両内装部材10に水平軸Cを中心にして回転可能に取り付けられている。回転体30は、全体として球状に形成されている。回転体30の外面には、軸方向外方に延びる軸部31が設けられている。軸部31は、回転体30における水平軸Cの軸方向両端側それぞれに設けられている。第一側壁部材12には、水平軸Cの軸方向に貫通する軸孔20が設けられている。軸孔20は、第一側壁部材12おける水平軸Cの軸方向両端部それぞれに設けられている。回転体30は、軸部31が第一側壁部材12の軸孔20を貫通するビス60で支持されることにより第一側壁部材12ひいては車両内装部材10に軸支される。
【0017】
回転体30は、第一ホルダ部32と、第二ホルダ部33と、有している。第一ホルダ部32と第二ホルダ部33とは、回転体30全体における水平軸Cを中心にした回転方向で互いに異なる回転角度位置に設けられている。第一ホルダ部32が設けられた回転角度位置と第二ホルダ部33が設けられた回転角度位置とは、例えば約90°異なる。具体的には、この角度差(以下、配置角度差αと称す。)は、図7に示す如く、水平軸Cを中心にして90°以下であって、例えば70°以上である。回転体30は、上部に第一ホルダ部32が位置する状態(以下、この状態をカップホルダ状態と称す。;図8に示す状態)から水平軸Cを中心にして上記の配置角度差α分だけ回転すると、上部に第二ホルダ部33が位置する状態(以下、この状態を端末ホルダ状態と称す。;図7に示す状態)に移行する。
【0018】
第一ホルダ部32は、カップホルダ状態でホルダ対象物である飲料容器を保持する保持空間32sを形成する部位である。第一ホルダ部32の保持空間32sは、ホルダ対象物の飲料容器の外形に倣った円柱形状を少なくとも含む形状を有していればよい。第一ホルダ部32は、第一開口32aと、第一底壁32bと、第一側壁32cと、を有している。
【0019】
第一開口32aは、保持空間32sに連なる出入口である。第一開口32aは、表出部材11の開口部14に倣って円形に形成されている。第一開口32aは、その開口部14の倣った大きさを有し、具体的には、その開口部14の径に対応した径を有している。車両内装部材10及び回転体30は、第一開口32aが開口部14を介して開放されている状態(すなわち、カップホルダ状態)で、車両内装部材10における表出部材11の開口部14の周縁と回転体30との間に形成される径方向隙間が所定距離未満であるように形成されている。
【0020】
すなわち、カップホルダ状態では、車両内装部材10における表出部材11の開口部14の周縁と回転体30(具体的には、第一ホルダ部32の上端部など)との間には、径方向隙間が形成される。この径方向隙間は、所定距離未満である。この所定距離は、例えば欧州や日本などで規定されている車両内装品の内部突起に係る安全基準に用いられる球の直径であり、例えば165mmである。但し、上記の径方向隙間は人の指が進入できない距離(例えば、2.5mm未満)であることが、安全性を確保するうえで好ましい。また、この径方向隙間は、車両内装部材10に対する回転体30のスムースな回転を確保するうえでは車両内装部材10と回転体30とが当接してその回転を妨げることがない距離に設定されていることが必要である。
【0021】
第一ホルダ部32における第一開口32aの周縁は、全周に亘って丸みを帯びて形成されている。具体的には、この第一ホルダ部32における第一開口32aの周縁は、上記の安全基準に用いられる内突要件を満たす形状に形成されている。この内突要件は、曲率半径が2.5mm以上又は3.2mm以上であることである。
【0022】
第一底壁32bは、飲料容器の底面が当接することでその飲料容器を支持する支持壁である。第一底壁32bは、飲料容器が当接する面が平面をなすように形成されており、その面がカップホルダ状態で水平に広がるように形成されている。第一底壁32bは、第一開口32aに対する水平軸C側の位置で第一開口32aに対向している。
【0023】
第一側壁32cは、飲料容器の側面に沿って広がるその飲料容器を支持し得る支持壁である。第一側壁32cは、略円筒状に形成されている。第一側壁32cは、第一開口32aの周縁から第一底壁32b側へ向けて延びている。第一側壁32cは、第一底壁32bに一体に連なるように形成されているが、第一側壁32cの周方向一部は、第一底壁32bから離間するように形成されている。
【0024】
第二ホルダ部33は、端末ホルダ状態でホルダ対象物である携帯端末を保持する保持空間33sを形成する部位である。第二ホルダ部33の保持空間33sは、第一ホルダ部32の保持空間32sに連通していると共に、第一ホルダ部32の保持空間32sの一部と共用している。第二ホルダ部33の保持空間33sは、ホルダ対象物の携帯端末が立てかけられた状態での携帯端末の外形に倣った薄肉の直方体形状を少なくとも含む形状を有していればよい。第二ホルダ部33は、第二開口33aと、第二底壁33bと、第二側壁33cと、規制部33dと、を有している。
【0025】
第二開口33aは、保持空間33sに連なる出入口である。第二開口33aは、矩形状に形成されている。第二開口33aは、ホルダ対象物の携帯端末の最大厚さよりも大きな開口幅を有している。第二開口33aは、回転体30の本体部材30aに取り付けられる蓋部材30bに設けられている。回転体30の本体部材30aには、第一ホルダ部32の第一開口32aとは別に、円形の開口34が設けられている。蓋部材30bは、本体部材30aの開口34に合わせて円形かつ平面状に形成されている。蓋部材30bは、本体部材30aの開口34を塞ぐように配置されており、第二開口33aがその開口34に連なるように本体部材30aに取り付けられる。蓋部材30bは、開口34を塞いで配置された際に表出部材11の表面に面一になるように形成されている。尚、第二開口33aは、回転体30の本体部材30aとは別体の蓋部材30bに設けられるが、第一開口32aが形成された回転体30と一体に形成されてもよい。
【0026】
第二ホルダ部33における第二開口33aの周縁は、全周に亘って丸みを帯びて形成されている。具体的には、この第二ホルダ部33における第二開口33aの周縁は、上記の安全基準に用いられる内突要件を満たす形状に形成されている。この内突要件は、曲率半径が2.5mm以上又は3.2mm以上であることである。
【0027】
蓋部材30bの表面には、操作目印部35が設けられている。操作目印部35は、後述の如く端末ホルダ状態からカップホルダ状態への開操作時に運転者などの乗員が触れるべき部位を示す目印である。操作目印部35は、第二ホルダ部33の蓋部材30bの表面から外側に突出している。操作目印部35は、蓋部材30bの円形表面のうち第二開口33aよりも第一ホルダ部32に近い側の部位(すなわち、後述の回転方向θ2側の部位)に設けられている。尚、操作目印部35は、小さい操作力での開操作を実現するうえではその第一ホルダ部32により近い端部に配置されていることが好ましい。また、操作目印部35は、蓋部材30bの表面から外側に突出する突出部に代えて、例えば、蓋部材30bの表面に凹んだ部位や、蓋部材30bの他の表面と対照的な色彩が施されたシール表示などであってもよい。
【0028】
車両内装部材10及び回転体30は、蓋部材30bが開口部14を塞ぐ位置に配置されて第二開口33aが開口部14を介して開放されている状態(すなわち、端末ホルダ状態)で、車両内装部材10における表出部材11の開口部14の周縁と蓋部材30bの周縁との間に形成される径方向隙間が所定距離未満であるように形成されている。すなわち、端末ホルダ状態では、車両内装部材10における開口部14の周縁と蓋部材30bの周縁との間には、所定距離未満の径方向隙間が形成される。この所定距離は、上記の如く、例えば欧州や日本などで規定されている車両内装品の内部突起に係る安全基準に用いられる球の直径であり、例えば165mmである。但し、上記の径方向隙間は人の指が進入できない距離(例えば、2.5mm未満)であることが、安全性を確保するうえで好ましい。また、この径方向隙間は、車両内装部材10に対する回転体30の回転時に両者が当接してその回転を妨げることがない距離に設定されている。
【0029】
第二底壁33bは、携帯端末の底面が当接することでその携帯端末を支持する支持壁である。第二底壁33bは、携帯端末が当接する面が平面をなすように形成されており、その面が端末ホルダ状態で水平に広がるように形成されている。第二底壁33bは、ホルダ対象物の携帯端末の最大厚さよりも大きな幅を有している。第二底壁33bは、第二開口33aに対する水平軸C側の位置で第二開口33aに対向している。第二底壁33bは、第一ホルダ部32における第一側壁32cの周方向一部が第一底壁32bから離間している箇所に設けられている。第二底壁33bは、第一ホルダ部32の保持空間32sの中心に対して第一側壁32cよりも径方向外側に位置している。第二ホルダ部33の保持空間33sは、第一側壁32cを切り欠いて第一ホルダ部32の保持空間32sから径方向外側に広がる空間を含んでいる。
【0030】
第二側壁33cは、携帯端末の少なくとも背面に沿って広がるその携帯端末を支持する支持壁である。第二側壁33cは、携帯端末の表面及び背面を含む四面を囲う面のうち少なくとも背面又は表面に対向する面に設けられればよく、例えば携帯端末の側面に対向する面を含む断面U字状になるように三面に設けられていてもよい。第二側壁33cは、第二開口33aの周縁から第二底壁33b側へ向けて延びている。
【0031】
第二側壁33cは、第一ホルダ部32の第一底壁32bと共有する壁である。すなわち、第一底壁32bは、カップホルダ状態では第一ホルダ部32に保持された飲料容器の底面を支持する支持壁であると共に、端末ホルダ状態では第二側壁33cとして、第二ホルダ部33に保持された携帯端末の背面又は表面を支持する支持壁となる。第二側壁33cは、携帯端末の背面又は表面が当接する面が平面をなすように形成されており、その面が端末ホルダ状態で水平に対して90°以下の角度をなして傾斜するように形成されている。第二側壁33cは、第二底壁33bに一体に連なっている。
【0032】
第二側壁33cすなわち第一底壁32bには、給電器70が取り付けられている。給電器70は、第二ホルダ部33に保持される携帯端末にワイヤレス給電する機器であって、主として給電コイルを有している。給電器70は、第一底壁32bにおける飲料容器の底部が接する表面側とは反対の裏面側(すなわち、第二側壁33cにおける携帯端末の背面又は表面が接する表面側とは反対の裏面側)に配置されている。給電器70は、配線(図示せず)を介して電源(図示せず)に接続されている。
【0033】
規制部33dは、第二ホルダ部33に保持された携帯端末の底部が第二底壁33bに対して滑って移動するのを規制する部位である。規制部33dは、第二底壁33bと第一側壁32cとを繋ぐように形成された壁部であって、第二底壁33bから第二側壁33cに対面するように立設して形成されている。規制部33dは、携帯端末の底部が第二底壁33b上で所定量を超えて滑るのを防止する。
【0034】
回転体30は、第一ホルダ部32の第一開口32aが表出部材11の開口部14を介して開放されている状態(カップホルダ状態)と、第二ホルダ部33の第二開口33aが開口部14を介して開放されている状態(端末ホルダ状態)と、が切り替わるように水平軸Cを中心にして回転する。カップホルダ状態と端末ホルダ状態との間で回転体30が水平軸Cを中心にして回転する角度(すなわち、配置角度差)αは、90°以下(具体的には、85°など)である。
【0035】
開放装置40は、回転式ホルダ装置1すなわち回転体30が端末ホルダ状態にあるときに回転体30をカップホルダ状態まで回転させて第一開口32aを開口部14を介して開放させる装置である。開放装置40は、第二付勢部材41を有している。第二付勢部材41は、例えば捻りバネである。回転体30における水平軸Cの軸方向一端側(図1図4における手前側)の外面には、軸方向外方に突出する係止部36が設けられている。また、第一側壁部材12における水平軸Cの軸方向一端側の内面には、軸方向内方に突出する係止部21が設けられている。第二付勢部材41は、一端部が第一側壁部材12の係止部21に係止されかつ他端部が回転体30の係止部36に係止されるように取り付けられている。第二付勢部材41は、回転体30を端末ホルダ状態側からカップホルダ状態側への回転方向θ1へ付勢する付勢力を発生する。
【0036】
開放装置40は、ダンパ装置42を有している。ダンパ装置42は、回転体30が第二付勢部材41により端末ホルダ状態側からカップホルダ状態側への回転方向θ1へ付勢される際の速度を緩和させるワンウェイクラッチダンパである。ダンパ装置42は、円盤ギア部材43を有している。円盤ギア部材43は、外周面に径方向に延びる凹凸が形成されたギアを有する円盤状の部材である。円盤ギア部材43は、保持部材44に回転可能に支持されている。保持部材44は、第一側壁部材12に設けられた取付部22に取り付け固定されている。
【0037】
ダンパ装置42は、円弧ギア部45を有している。円弧ギア部45は、回転体30における水平軸Cの軸方向一端部に水平軸Cの回りに円弧状に延在しており、径方向に延びる凹凸が形成されたギアを有している。円盤ギア部材43のギアと円弧ギア部45のギアとは、互いに噛合している。回転体30の水平軸Cを中心にした回転は、円盤ギア部材43のギアと円弧ギア部45のギアとが互いに噛合した状態で回転体30が減速されながら進行する。
【0038】
規制装置50は、図6に示す如く、回転体30を端末ホルダ状態にロックすると共にそのロックを解除する装置である。規制装置50は、帯状に延在するアーム部材51を有している。アーム部材51は、第二側壁部材13に設けられた取付部23に揺動可能に取り付けられている。アーム部材51の一端は、取付部23に支持されている。アーム部材51の他端には、水平軸Cの軸方向に延びる突出部52が設けられている。突出部52は、円柱状又は円筒状に形成されている。第二側壁部材13には、水平軸Cの軸方向に貫通した孔部24が設けられている。突出部52は、第二側壁部材13の外方側から孔部24を介して第二側壁部材13の内方側へ延びるように配置されている。
【0039】
規制装置50は、第一切替用傾斜部53と、ストッパ部54と、第二切替用傾斜部55と、ガイド部56,57と、を有している。第一切替用傾斜部53、ストッパ部54、第二切替用傾斜部55、及びガイド部56,57はそれぞれ、回転体30における水平軸Cの軸方向一端側の外面に設けられており、軸方向外方へ突出している。第一切替用傾斜部53、ストッパ部54、第二切替用傾斜部55、及びガイド部56,57はそれぞれ、必要なタイミングでアーム部材51の突出部52に当接するように配置形成されている。
【0040】
第一切替用傾斜部53は、回転体30が水平軸Cを中心にしてカップホルダ状態から端末ホルダ状態側の回転方向θ2へ回転する途中で突出部52が当接することにより、アーム部材51を一端側を中心にして揺動方向ω1へ揺動させる部位である。ストッパ部54は、回転体30が端末ホルダ状態に達した後、突出部52が当接することにより、その回転体30が水平軸Cを中心にして回転方向θ1へ戻り回転するのを規制する部位である。第二切替用傾斜部55は、回転体30が端末ホルダ状態に達した後、その回転体30が更にカップホルダ状態側から端末ホルダ状態側への回転方向θ2へ回転した際に突出部52が当接することにより、アーム部材51を一端側を中心にして上記の揺動方向ω1とは反対側である揺動方向ω2へ揺動させる部位である。
【0041】
ガイド部56は、突出部52が第一切替用傾斜部53に当接してからストッパ部54に当接するまでその突出部52を案内する部位である。ガイド部57は、突出部52が第二切替用傾斜部55に当接してからカップホルダ状態に至るまでその突出部52を案内する部位である。また、第二切替用傾斜部55及びガイド部57は、回転体30がカップホルダ状態から回転方向θ2へ回転して端末ホルダ状態に達した後に更に回転方向θ2へ所定量を超えて回転した際、突出部52が当接することにより、その回転体30の更なる回転を規制するように形成されている。
【0042】
回転体30の外面には、櫛歯部37が設けられている。櫛歯部37は、側壁部材12,13の櫛歯部18に対応して二箇所に設けられている。具体的には、櫛歯部37は、回転体30における第一ホルダ部32に対する回転方向θ2側の第一開口32aの周縁に設けられていると共に、回転体30における第二ホルダ部33に対する回転方向θ1側の周縁に設けられている。櫛歯部37は、回転体30の外面から外方へ突出する凸部を含む凹凸である。櫛歯部37は、櫛歯部18に噛み合っている。櫛歯部37の凸部37aと凹部37bとは、側壁部材12,13の櫛歯部18の凹部18aと凸部18bとに合わせて水平方向に交互に並んでいる。凸部37a及び凹部37bはそれぞれ、後述の掬い上げ対象となる落下物の大きさに合わせた所定の幅を有するように形成されている。
【0043】
回転体30は、切替用ノブ38を有している。切替用ノブ38は、回転体30の本体部材30aに取り付けられている。切替用ノブ38は、第一開口32aが開口部14を介して開放されているカップホルダ状態で乗員が行う回転体30を端末ホルダ状態側の回転方向θ2へ回転させる操作を補助する操作補助部である。切替用ノブ38は、回転体30の回転方向θ2への回転操作が容易となるように翼状に形成されている。
【0044】
切替用ノブ38は、回転体30における第一ホルダ部32と第二ホルダ部33との境界付近すなわち第一ホルダ部32に対する回転方向θ1側の第一開口32aの周縁に外方へ突出するように設けられている。切替用ノブ38は、第二ホルダ部33の第二開口33aが開口部14を介して開放されている端末ホルダ状態において開口部14よりも下方に位置する球形空間15内に収まると共に、第一ホルダ部32の第一開口32aが開口部14を介して開放されているカップホルダ状態において開口部14よりも上方へ突出する。
【0045】
切替用ノブ38は、回転体30に水平軸Cに平行な軸を中心にして揺動可能に取り付けられている。切替用ノブ38は、水平軸Cに平行な軸を中心にして第一開口32aの中心側である第一開口32aを塞ぐ方向に付勢されている。かかる構造により、切替用ノブ38は、第一ホルダ部32に挿入された飲料容器の外径に応じて第一開口32aの中心側への突出量が変更されるように進退可能である。すなわち、切替用ノブ38は、第一ホルダ部32に挿入された飲料容器に合わせて、その先端部がその飲料容器の外面に当接することで、その飲料容器にその切替用ノブ38とは第一開口32aを挟んだ周方向反対側へ押圧する力を付与する。尚、サイズの小さい飲料容器を第一ホルダ部32でのホルダ対象物とするうえでは、切替用ノブ38のサイズ(具体的には、外方へ突出する量)を大きくすることが有効である。
【0046】
回転体30は、押付機構39を有している。押付機構39は、第二開口33aに挿入される携帯端末を第一底壁32bすなわち第二側壁33cの表面側へ押し付ける機構である。押付機構39は、揺動部材39aと、第一付勢部材39bと、を有している。揺動部材39aは、水平軸Cに平行な軸を中心にして揺動可能である。揺動部材39aは、回転体30の蓋部材30bの裏面側に取り付けられている。揺動部材39aは、第二開口33aを開閉可能な位置に配置されており、第二開口33aを開閉するように揺動する。揺動部材39aは、第二開口33aの大きさに対応して板状に形成されている。
【0047】
第一付勢部材39bは、揺動部材39aを第二開口33aを塞ぐ方向へ付勢して揺動させる付勢力を発生する。揺動部材39aは、第一付勢部材39bの付勢力により、第二ホルダ部33に保持された携帯端末の幅に応じて第二側壁33c側への突出量が変更されるように進退可能である。すなわち、揺動部材39aは、第一付勢部材39bの付勢力により、第二ホルダ部33に保持された携帯端末に合わせて、その先端部が携帯端末の表面又は背面に当接することで、その携帯端末に第二側壁33c側へ押し付ける力を付与する。
【0048】
次に、回転式ホルダ装置1の動作について説明する。
【0049】
回転式ホルダ装置1において、図5に示す如く、回転体30の第二ホルダ部33の第二開口33aが車両内装部材10の開口部14を介して開放されている端末ホルダ状態では、車両内装部材10の第二側壁部材13に取り付けられたアーム部材51の突出部52が回転体30のストッパ部54に当接することにより、その回転体30が水平軸Cを中心にしてカップホルダ状態側の回転方向θ1へ戻り回転するのが規制されている。このため、端末ホルダ状態では、例えば車両振動などが生じても、その端末ホルダ状態が維持される。尚、この端末ホルダ状態では、回転体30が水平軸Cを中心にして回転方向θ2へ僅かに回転するのは許容されている。
【0050】
また、上記の端末ホルダ状態では、車両内装部材10の表出部材11における開口部14の周縁と回転体30の蓋部材30bとの間に、所定距離未満の径方向隙間が形成されている。上記の如く、この所定距離は、例えば欧州や日本などで規定されている車両内装品の内部突起に係る安全基準に用いられる球の直径である。このため、表出部材11における開口部14の周縁を内突要件を満たす形状に形成するのを不要とすることができるので、回転式ホルダ装置1の端末ホルダ状態での意匠性が阻害されるのを防止することができ、回転式ホルダ装置1の端末ホルダ状態での表面のフラット感を実現することができる。
【0051】
運転者などの乗員は、回転式ホルダ装置1における上記の端末ホルダ状態から回転体30の第一ホルダ部32の第一開口32aが開口部14を介して開放されるカップホルダ状態への切り替えを行う場合、第二ホルダ部33を下方に押圧操作する。具体的には、第二ホルダ部33の表面の操作目印部35に触れてその操作目印部35を下方に押圧操作する。端末ホルダ状態で第二ホルダ部33が下方に押圧操作されると、回転体30が水平軸Cを中心にして回転方向θ2へ回転する。
【0052】
端末ホルダ状態で回転体30が回転方向θ2へ回転されると、その途中でアーム部材51の突出部52が回転体30の第二切替用傾斜部55に当接することにより、そのアーム部材51が一端側を中心にして揺動方向ω2へ揺動される。このアーム部材51の揺動方向ω2への揺動がなされた状態で第二ホルダ部33の下方への押圧操作が解除されると、回転体30が第二付勢部材41の付勢力により回転方向θ1へ付勢されて回転する。この回転体30の回転は、ダンパ装置42により速度緩和されながら行われる。そして、回転体30が水平軸Cを中心にして約90°回転すると、回転式ホルダ装置1は、図6に示す如く、第一ホルダ部32の第一開口32aが開口部14を介して開放されるカップホルダ状態になる。
【0053】
上記のカップホルダ状態では、缶やペットボトルなどのホルダ対象物の飲料容器を回転体30の第一ホルダ部32内に保持することができる。また、上記のカップホルダ状態では、車両内装部材10の表出部材11における開口部14の周縁と回転体30との間に、所定距離未満の径方向隙間が形成されている。このため、表出部材11における開口部14の周縁を内突要件を満たす形状に形成するのを不要とすることができるので、回転式ホルダ装置1のカップホルダ状態での意匠性が阻害されるのを防止することができる。
【0054】
また、第一開口32aは、表出部材11の開口部14の径に比して小さな径を有している。そして、この第一開口32aの周縁は、全周に亘って丸みを帯びて形成されており、具体的には、車両内装品の内部突起に係る安全基準に用いられる曲率半径が2.5mm以上又は3.2mm以上である内突要件を満たす形状に形成されている。このため、上記のカップホルダ状態において、車両内装品についての衝突時などの安全性を確保することができる。
【0055】
運転者などの乗員は、回転式ホルダ装置1における上記のカップホルダ状態から端末ホルダ状態への切り替えを行う場合、切替用ノブ38を回転方向θ2へ押圧操作する。切替用ノブ38が回転方向θ2へ押圧操作されると、回転体30が水平軸Cを中心にして回転方向θ2へ回転する。この回転体30の回転方向θ2への回転がなされると、その途中でアーム部材51の突出部52が回転体30の第一切替用傾斜部53に当接することにより、そのアーム部材51が一端側を中心にして揺動方向ω1へ揺動され、その後、突出部52がガイド部56に案内されることにより、その突出部52がストッパ部54に当接される。突出部52がストッパ部54に当接されると、回転式ホルダ装置1は、第二ホルダ部33の第二開口33aが車両内装部材10の開口部14を介して開放される端末ホルダ状態になる。この場合、切替用ノブ38は、球形空間15内に収まると共に、回転体30がカップホルダ状態側の回転方向θ1へ戻り回転するのは規制される。
【0056】
上記の端末ホルダ状態では、第一開口32aが球形空間15内に隠れることとなり、第一開口32aの周縁が外部に表出しなくなるので、その第一開口32aの周縁形状が内突要件を満たす形状であっても、回転式ホルダ装置1の端末ホルダ状態での意匠性が阻害されるのを防止することができる。また、第一ホルダ部32の保持空間32sの底面及び側面は、保持される飲料容器が接触する意匠面であって、その接触に起因して傷付き易い部位である。上記の端末ホルダ状態では、第一ホルダ部32が球形空間15内に収まることとなり、その第一ホルダ部32の保持空間32sの意匠面が外部に表出しなくなるので、その第一ホルダ部32の保持空間32sの意匠面に対して傷付き対策を施すことを不要とすることができ、その意匠面の構成自由度を上げることができる。
【0057】
このように、回転式ホルダ装置1において、回転体30は、互いに異なる回転角度位置に設けられた第一ホルダ部32及び第二ホルダ部33を有している。第一ホルダ部32は、ホルダ対象物である飲料容器を保持する保持空間32sを形成している。第二ホルダ部33は、ホルダ対象物である携帯端末を保持する保持空間33sを形成している。そして、回転体30が回転されることで、第一ホルダ部32の円形の第一開口32aを開口部14を介して開放させて飲料容器を保持可能とするカップホルダ状態と、第二ホルダ部33の矩形状の第二開口33aを開口部14を介して開放させて携帯端末を保持可能とする端末ホルダ状態と、が選択的に切り替わる。
【0058】
この構造によれば、回転式ホルダ装置1が設けられるアッパパネル上で飲料容器用の第一ホルダ部32と携帯端末用の第二ホルダ部33とを互いに水平方向に並べて配置することは不要であり、そのアッパパネル上で双方のホルダ部の占める面積が過大となるのを抑えることができる。
【0059】
第一ホルダ部32は、ホルダ対象物である飲料容器の外形に倣った形状を有している。このため、飲料容器を第一ホルダ部32の第一開口32aに挿入して保持空間32sに保持することができる。また、第二ホルダ部33は、ホルダ対象物である携帯端末の外形に倣った形状を有している。このため、携帯端末を第二ホルダ部33の第二開口33aに挿入して保持空間33sに保持することができると共に、更にその保持を見栄え良いものとすることができ、これにより、携帯端末を飲料容器用の第一ホルダ部32に挿入して立てかけるのを不要とすることができ、携帯端末の保持を安定化することができる。
【0060】
従って、回転式ホルダ装置1によれば、飲料容器及び携帯端末の二種類のホルダ対象物をそれぞれ適切に保持することができ、利便性を向上させることができると共に、それぞれホルダ対象物である飲料容器及び携帯端末の双方を安定して保持するうえで省スペース化を図ることができる。
【0061】
また、第二ホルダ部33は、第二開口33aに挿入されて第二底壁33bに当接する携帯端末の底部が第二底壁33bに対して滑って移動するのを規制する規制部33dを有している。このため、第二ホルダ部33に保持される携帯端末が立てかけられた状態でその携帯端末の底部が水平方向に過大に滑るのを防止することができ、これにより、第二ホルダ部33に保持された携帯端末の背面又は表面が第二側壁33cから大きく離間するのを防止することができ、給電器70からその携帯端末への給電を常に効率よく行うことができる。
【0062】
また、第一ホルダ部32の第一底壁32bと第二ホルダ部33の第二側壁33cとは、共有壁である。すなわち、第一底壁32bは、端末ホルダ状態で第二側壁33cとして、第二ホルダ部33に保持された携帯端末の背面又は表面を支持する支持壁となる。このため、飲料容器及び携帯端末の二種類のホルダ対象物をそれぞれ保持するうえで構造の簡素化を図ることが可能である。
【0063】
また、回転体30にそれぞれ設けられる第一ホルダ部32と第二ホルダ部33との配置角度差αは、水平軸Cを中心にして90°以下である。このため、第一底壁32bにおける飲料容器の底部が接する表面側とは反対の裏面側に給電器70が配置されたときに、端末ホルダ状態で、第二側壁33cにおける携帯端末の背面又は表面が接する表面側にその給電器70が表出するのを防止することができ、飲料容器及び携帯端末の双方を適切に保持することができる。
【0064】
また、第二ホルダ部33の第二側壁33cにおける携帯端末の背面又は表面が接する表面側とは反対の裏面側には、給電器70が配置されている。給電器70は、第二ホルダ部33に保持された携帯端末にワイヤレス給電する。このため、第二ホルダ部33に保持されている携帯端末を給電器70を用いて充電することができる。
【0065】
また、回転体30は、第二開口33aを開閉するように揺動する揺動部材39aと、その揺動部材39aを第二開口33aを塞ぐ方向へ付勢する付勢力を発生する第一付勢部材39bと、を有している。この構造では、第二開口33aに挿入された携帯端末の幅に応じて揺動部材39aが進退することで、その携帯端末に第二側壁33c側へ押し付ける力が付与される。このため、第二ホルダ部33に保持される携帯端末を第二側壁33cと揺動部材39aとの間で挟持することができ、これにより、第二ホルダ部33に保持された携帯端末の背面又は表面が第二側壁33cから離間するのを防止することができ、給電器70からその携帯端末への給電を常に効率よく行うことができる。
【0066】
更に、上記の構造では、第二開口33aは、常態で第一付勢部材39bの付勢力により揺動部材39aに塞がれる。このため、カップホルダ状態で、第二開口33aが開放状態に維持されるのを防止することができ、第一ホルダ部32の保持空間32sから側壁部材12と回転体30との間の球形空間15へ抜ける隙間が形成されるのを防止することができるので、保持空間32s内の物が第二開口33aを通じてその球形空間15へ落下するのを抑えることができる。
【0067】
また、回転式ホルダ装置1において、開放装置40は、回転体30を端末ホルダ状態側からカップホルダ状態側への回転方向θ1へ付勢する付勢力を発生する第二付勢部材41を有している。第二ホルダ部33の第二開口33aが開口部14を介して開放されている端末ホルダ状態で、乗員が第二ホルダ部33の表面(具体的には、操作目印部35)を下方に押圧操作すると、第二付勢部材41の付勢力による車両内装部材10に対する回転体30の回転方向θ1への回転により、第一ホルダ部32が開口部14を介して開放されるカップホルダ状態になる。従って、回転式ホルダ装置1を端末ホルダ状態からカップホルダ状態へ切り替えるうえでは、端末ホルダ状態で回転体30の蓋部材30bが下方に押圧操作されればよいので、乗員が片手で簡単な操作で回転式ホルダ装置1をカップホルダ状態とすることができる。
【0068】
また、回転式ホルダ装置1において、回転体30には、回転体30をカップホルダ状態から端末ホルダ状態側の回転方向θ2へ回転させる操作を補助する切替用ノブ38が取り付けられている。切替用ノブ38は、第一ホルダ部32に対する回転方向θ1側の第一開口32aの周縁に外方へ突出するように設けられており、端末ホルダ状態で開口部14よりも下方に位置する球形空間15内に収まると共に、カップホルダ状態で開口部14よりも上方へ突出する。この構造によれば、回転式ホルダ装置1をカップホルダ状態から端末ホルダ状態へ切り替えるうえでは、切替用ノブ38が回転方向θ2へ押圧操作されればよいので、切替用ノブ38の存在により乗員が片手で簡単な操作で回転式ホルダ装置1を端末ホルダ状態とすることができる。
【0069】
また、上記の切替用ノブ38は、回転体30に水平軸Cに平行な軸を中心にして揺動可能に取り付けられ、かつ、第一開口32aの中心側に第一開口32aの一部を塞ぐ方向に付勢されている。この構造では、第一ホルダ部32の保持空間32sに挿入された飲料容器に、その切替用ノブ38の先端側から第一開口32aを挟んだ周方向反対側へ押圧する力が付与される。この場合、第一ホルダ部32に挿入された飲料容器は、切替用ノブ38と第一ホルダ部32の保持空間32sの第一側壁32cとの間に挟持される。このため、第一ホルダ部32に保持された飲料容器をその保持空間32sの第一側壁32cに当接させることができ、その当接状態を維持させることができるので、第一ホルダ部32に保持される飲料容器がその保持空間32s内で径方向に移動するのを規制してサポートすることができ、その飲料容器のガタツキを抑えることができる。
【0070】
また、回転式ホルダ装置1において、車両内装部材10の側壁部材12,13それぞれの内面には、櫛歯部18が設けられていると共に、回転体30の外面には、側壁部材12,13の櫛歯部18に対応して櫛歯部37が設けられている。側壁部材12,13の櫛歯部18と回転体30の櫛歯部37とは、車両内装部材10に対する回転体30の回転時に噛み合いながら相対移動する。櫛歯部18の凹部18a及び凸部18b並びに櫛歯部37の凸部37a及び凹部37bはそれぞれ、掬い上げ対象となる落下物の大きさに合わせた所定幅を有している。
【0071】
この構造では、車両内装部材10の表出部材11の開口部14から側壁部材12,13と回転体30との間の球形空間15へ物が落下した場合、その落下物がその所定幅を超える大きさを有していれば、その落下物は、車両内装部材10側の櫛歯部18と回転体30の櫛歯部37との間に引っ掛かる。このため、開口部14から上記の球形空間15へ落下した落下物が、車両内装部材10の内面と回転体30の外面との隙間から更に下方に落下するのを抑えることができ、次の回転体30の回転時にその引っ掛かった落下物を掬い上げて、乗員による開口部14を通じたその落下物の取り上げを可能とすることができる。
【0072】
ところで、上記の実施形態においては、第二開口33aが形成された蓋部材30bが、平面状に形成されている。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、図9に示す如く、蓋部材30bが、上に凸状になるように形成されていてもよい。特に、第二側壁33cが、車両内装部材10の表出部材11よりも上方に延在していてもよい。この変形形態によれば、ホルダ対象物である携帯端末の背面又は表面のより上部まで第二側壁33cに支持させることができる。このため、携帯端末の保持の安定性を向上させることができると共に、給電器70をより高い位置に配置することで、例えば上部に充電部が位置する背の高い携帯端末を、第二底壁33bの位置を下げることなく給電器70を用いて給電することができ、その背の高い携帯端末を給電するうえで回転式ホルダ装置1が下方に肥大化するのを抑えることができる。
【0073】
また、上記の実施形態においては、第二ホルダ部33の第二底壁33bが、その壁面が端末ホルダ状態で水平に広がるように形成される。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、図10に示す如く、第二底壁33bが、その壁面が端末ホルダ状態で水平方向に対して傾斜するように形成されてもよい。この傾斜は、第二底壁33bに当接する携帯端末の底部を重力作用により第二側壁33c側へ移動させるように形成されている。この変形形態によれば、第二ホルダ部33に保持されたる帯端末の背面又は表面が第二側壁33cから離間するのを防止することができ、給電器70からその携帯端末への給電を常に効率よく行うことができる。
【0074】
また、上記の実施形態においては、回転体30が、第二ホルダ部33に保持された携帯端末の底部が第二底壁33bに対して滑って移動するのを規制する規制部33dを有し、その規制部33dが、第二底壁33bと第一側壁32cとの間に形成される段差である。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、規制部33dが、第二底壁33bの表面に固定される滑り止め部材であってもよい。
【0075】
更に、上記の実施形態においては、回転式ホルダ装置1の端末ホルダ状態で回転体30の蓋部材30bが下方に押圧される一操作で、開放装置40の有する第二付勢部材41の付勢力により回転体30が回転して、第一ホルダ部32の第一開口32aが開口部14を介して開放されるカップホルダ状態になる。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、回転式ホルダ装置1のカップホルダ状態で回転体30が回転方向θ2に押圧される一操作で、所定の閉塞装置の有する付勢部材の付勢力により回転体30が回転して、第二ホルダ部33の第二開口33aが開口部14を介して開放される端末ホルダ状態になることとしてもよい。また、第二ホルダ部33の第二開口33aが開口部14を介して開放される端末ホルダ状態から第一ホルダ部32の第一開口32aが開口部14を介して開放されるカップホルダ状態への切り替え、及び、そのカップホルダ状態からその端末ホルダ状態への切り替えをそれぞれ、ターンオーバスプリングを用いて一操作で行うこととしてもよい。
【0076】
尚、本発明は、上述した実施形態や変形形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0077】
1:回転式ホルダ装置、10:車両内装部材、11:表出部材、12,13:側壁部材、14:開口部、30:回転体、32:第一ホルダ部、32a:第一開口、32b:第一底壁、32c:第一側壁、33:第二ホルダ部、33a:第二開口、33b:第二底壁、33c:第二側壁(側面支持壁)、33d:規制部、38:切替用ノブ、39:押付機構、39a:揺動部材、39b:第一付勢部材、40:開放装置、41:第二付勢部材、70:給電器、C:水平軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10