(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】画像形成装置、廃トナー排出方法および廃トナー排出プログラム
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20221018BHJP
G03G 21/10 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
G03G21/00 310
G03G21/00 512
G03G21/10
(21)【出願番号】P 2019077939
(22)【出願日】2019-04-16
【審査請求日】2021-12-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【氏名又は名称】中川 雅博
(72)【発明者】
【氏名】小堀 一樹
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-53669(JP,A)
【文献】特開2019-40017(JP,A)
【文献】特開2018-39196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体にトナーで形成されたトナー像が転写された後に前記像担持体に残存する前記トナーを廃トナーとして回収する回収装置と、
前記回収装置を制御する制御手段と、を備え、
前記回収装置は、排出口を有し、前記像担持体から回収された前記廃トナーを収容する収容体と、
前記収容体に設けられ、前記廃トナーに対して前記排出口に向かって力を付与する羽を有する搬送スクリューと、を備え、
前記制御手段は、気圧に基づいて前記搬送スクリューの仕事量を決定する、画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、気圧が低いほど前記搬送スクリューの前記仕事量を大きな値に決定する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
気圧を検出する検出手段を、さらに備えた請求項1または2のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項4】
外部の気圧を示す情報を外部から取得する気圧情報取得手段を、さらに備えた請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記収容体に収容されている前記廃トナーの体積に基づいて、前記仕事量を決定する、請求項1~4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記収容体に収容されている前記廃トナーの量が閾値以上となることに応じて、前記仕事量をデフォルトの値と異なる値に決定する、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記収容体の所定の高さに配置され、前記廃トナーを検出するセンサーを、さらに備え、
前記制御手段は、前記センサーにより前記廃トナーが検出されることに応じて、前記閾値以上の前記廃トナーの量を検出する、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記像担持体に過去に形成された前記トナー像と気圧とから算出される回収量と前記搬送スクリューの回転数と気圧とから算出される排出量とに基づいて前記収容体に収容されている前記廃トナーの量を予測する予測手段を、含み、
前記制御手段は、予測された前記廃トナーの量を前記閾値と比較する、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記像担持体に過去に形成された前記トナー像の元になる画像データに基づき画像全体に占める前記トナー像の割合を示すカバレッジを算出し、算出されたカバレッジから前記収容体に収容されている前記廃トナーの重量を算出し、算出された前記トナーの重量と気圧とに基づいて、前記回収量を予測する、請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記搬送スクリューの単位時間当たりの回転数を決定する、請求項1~9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記搬送スクリューの駆動時間を決定する、請求項1~9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
像担持体にトナーで形成されたトナー像が転写された後に前記像担持体に残存する前記トナーを廃トナーとして回収する回収装置を備えた画像形成装置で実行される廃トナー排出方法であって、
前記回収装置は、排出口を有し、前記像担持体から回収された前記廃トナーを収容する収容体と、
前記収容体に設けられ、前記廃トナーに対して前記排出口に向かって力を付与する羽を有する搬送スクリューと、を備え、
気圧に基づいて前記搬送スクリューの仕事量を決定するステップを含む、廃トナー排出方法。
【請求項13】
像担持体にトナーで形成されたトナー像が転写された後に前記像担持体に残存する前記トナーを廃トナーとして回収する回収装置を備えた画像形成装置を制御するコンピューターで実行される廃トナー排出プログラムであって、
前記回収装置は、排出口を有し、前記像担持体から回収された前記廃トナーを収容する収容体と、
前記収容体に設けられ、前記廃トナーに対して前記排出口に向かって力を付与する羽を有する搬送スクリューと、を備え、
気圧に基づいて前記搬送スクリューの仕事量を決定するステップを前記コンピューターに実行させる廃トナー排出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置、廃トナー排出方法および廃トナー排出プログラムに関し、特に、トナーを用いて画像を形成する画像形成装置、その画像形成装置で実行される廃トナー排出方法およびコンピューターにその廃トナー排出方法を実行させる廃トナー排出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
MFP(Multi Function Peripheral)で代表される画像形成装置は、トナーとキャリアとからなる現像剤を現像装置で攪拌し、トナー粒子に電荷を付与することによって感光体ドラムにトナー像を形成する。感光体ドラムに形成されたトナー像は2次転写ベルトに転写され、さらに2次転写ベルトから用紙等の記録媒体に転写される。感光体ドラムおよび2次転写ベルトそれぞれに形成されたトナー像が転写される際に、トナー像を構成するトナーの一部が転写されずに残存する。このため、画像形成装置は、感光体ドラムまたは2次転写ベルトに残存したトナーを回収する機能を備えている。例えば、特開2019-040017号公報には、回転する感光体ドラムと、感光体ドラムに向かって開口した容器体と、感光体ドラムの表面に端部が接触するクリーニングブレードとを備え、容器体に設けられ、回転することで容器体の内部の回収物を容器体の外部に向かって排出する搬送スクリューと、を備えた画像形成装置が記載されている。
【0003】
この画像形成装置において、搬送スクリューの回転速度は、トナーの回収量が排出量よりも小さくなる定速に設定される。一方、画像形成装置において、搬送スクリューの回転速度を速くすると軸受で発生する熱で高温になり、軸の溶着や摩耗などの不具合が出る。このため、搬送スクリューの回転速度は、不具合が起きないようにできるだけ小さな値に設定されるのが好ましい。
【0004】
トナーは粉体であるために気圧が低いほど嵩密度が小さくなるので、容器体に収容される廃トナーの液面は、気圧が低いほど高くなる。このため、画像形成装置において、ある気圧を基準に搬送スクリューの回転速度が設定されている場合、その画像形成装置が基準の気圧よりも低い気圧の場所に設置されると、容器体に収容されるトナーの液面が上昇し、画像形成装置により形成される画像の画質が低下したり回収装置が故障したりする問題が発生する場合がある。
【0005】
具体的には、画像形成装置において、容器体に収容されるトナーの液面が所定の値以上になると、クリーニングブレードが感光体ドラムと接触する部分では、トナーの逃げ場がなくなるので接触部分の近傍にトナーが溜まる。この場合、接触部分におけるトナーの粉圧が上昇してクリーニングブレードの抑止力に勝るので、トナーがクリーニングブレードと感光体ドラムとの間をすり抜けてしまい、感光体ドラムにトナーが残留してしまう。この場合、次の画像形成サイクルにおいて、トナー像が形成される位置とは別の位置にトナーが存在することにより、画質が低下してしまう。また、トナーの液面が搬送スクリューの最上点よりもさらに上まで到達する場合は、搬送スクリューの搬送力が及ばずほとんど移動しないトナーが発生する。この状態で容器体の温度が高温になるとトナーが凝集して搬送できなくなってしまうといった不具合が発生する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明の目的の1つは、画質の低下を防止して故障の確率を低くした画像形成装置を提供することである。
【0008】
この発明の他の目的は、画質の低下を防止して故障の確率を低くした廃トナー排出方法を提供することである。
【0009】
この発明のさらに他の目的は、画質の低下を防止して故障の確率を低くした廃トナー排出プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明のある局面によれば、画像形成装置は、像担持体にトナーで形成されたトナー像が転写された後に像担持体に残存するトナーを廃トナーとして回収する回収装置と、回収装置を制御する制御手段と、を備え、回収装置は、排出口を有し、像担持体から回収された廃トナーを収容する収容体と、収容体に設けられ、廃トナーに対して排出口に向かって力を付与する羽を有する搬送スクリューと、を備え、制御手段は、気圧に基づいて搬送スクリューの仕事量を決定する。
【0011】
この局面に従えば、気圧に基づいて搬送スクリューの仕事量を決定するので、気圧の変化に伴って変化する廃トナーの体積に応じて排出口から排出される廃トナーの量を調整することができる。その結果、収容体に収容される廃トナーの量が適切な量に調整されるので、画質の低下を防止して故障の確率を低くした画像形成装置を提供することができる。
【0012】
好ましくは、制御手段は、気圧が低いほど搬送スクリューの仕事量を大きな値に決定する。
【0013】
この局面に従えば、気圧が低いほど廃トナーの嵩密度が低下するので、気圧が低いほど大きな体積の廃トナーを排出口から排出することができる。
【0014】
好ましくは、気圧を検出する検出手段を、さらに備える。
【0015】
この局面に従えば、正確な気圧を容易に取得することができる。
【0016】
好ましくは、外部の気圧を示す情報を外部から取得する気圧情報取得手段を、さらに備える。
【0017】
この局面に従えば、気圧を容易に取得することができる。
【0018】
好ましくは、制御手段は、収容体に収容されている廃トナーの体積に基づいて、仕事量を決定する。
【0019】
この局面に従えば、気圧の変化によって変動する廃トナーの嵩密度に応じた体積に基づいて、廃トナーが排出されるので、搬送スクリューの仕事量を適切なタイミングで決定することができる。
【0020】
好ましくは、制御手段は、収容体に収容されている廃トナーの量が閾値以上となることに応じて、仕事量をデフォルトの値と異なる値に決定する。
【0021】
この局面に従えば、収容体に収容されている廃トナーの量が閾値より小さい場合はデフォルトの値の仕事量で搬送スクリューが駆動するので、仕事量をできるだけ小さくして搬送スクリューの寿命を長くすることができる。
【0022】
好ましくは、収容体の所定の高さに配置され、廃トナーを検出するセンサーを、さらに備え、制御手段は、センサーにより廃トナーが検出されることに応じて、閾値以上の廃トナーの量を検出する。
【0023】
この局面に従えば、収容体に収容された廃トナーの体積が閾値より大きいことを検出することができる。
【0024】
好ましくは、制御手段は、像担持体に過去に形成されたトナー像と気圧とから算出される回収量と搬送スクリューの回転数と気圧とから算出される排出量とに基づいて収容体に収容されている廃トナーの量を予測する予測手段を、含み、制御手段は、予測された廃トナーの量を閾値と比較する。
【0025】
この局面に従えば、像担持体に過去に形成されたトナー像から収容体に収容される廃トナーの量が予測されるので、収容体に収容された廃トナーの体積が閾値より大きいことを検出することができる。
【0026】
好ましくは、制御手段は、像担持体に過去に形成されたトナー像の元になる画像データに基づき画像全体に占めるトナー像の割合を示すカバレッジを算出し、算出されたカバレッジから収容体に収容されている廃トナーの重量を算出し、算出されたトナーの重量と気圧とに基づいて、回収量を予測する。
【0027】
この局面に従えば、回収量を求めることができる。
【0028】
好ましくは、制御手段は、搬送スクリューの単位時間当たりの回転数を決定する。
【0029】
この局面に従えば、搬送スクリューの仕事量を容易に決定することができる。
【0030】
好ましくは、制御手段は、搬送スクリューの駆動時間を決定する。
【0031】
この局面に従えば、搬送スクリューの仕事量を容易に決定することができる。
【0032】
この発明の他の局面によれば、廃トナー排出方法は、像担持体にトナーで形成されたトナー像が転写された後に像担持体に残存するトナーを廃トナーとして回収する回収装置を備えた画像形成装置で実行される廃トナー排出方法であって、回収装置は、排出口を有し、像担持体から回収されたと廃トナーを収容する収容体と、収容体に設けられ、廃トナーに対して排出口に向かって力を付与する羽を有する搬送スクリューと、を備え、気圧に基づいて搬送スクリューの仕事量を決定するステップを含む。
【0033】
この局面に従えば、画質の低下を防止して故障の確率を低くした廃トナー排出方法を提供することができる。
【0034】
この発明のさらに他の局面によれば、廃トナー排出プログラムは、像担持体にトナーで形成されたトナー像が転写された後に像担持体に残存するトナーを廃トナーとして回収する回収装置を備えた画像形成装置を制御するコンピューターで実行される廃トナー排出プログラムであって、回収装置は、排出口を有し、像担持体から回収されたと廃トナーを収容する収容体と、収容体に設けられ、廃トナーに対して排出口に向かって力を付与する羽を有する搬送スクリューと、を備え、気圧に基づいて搬送スクリューの仕事量を決定するステップをコンピューターに実行させる。
【0035】
この局面に従えば、画質の低下を防止して故障の確率を低くした廃トナー排出プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の第1の実施の形態におけるMFPの外観を示す斜視図である。
【
図4】
図3に示される回収装置のA-A線断面図である。
【
図5】MFPのハードウェア構成の概要を示すブロック図である。
【
図6】MFPが備えるCPUが有する機能の一例を示すブロック図である。
【
図8】廃トナー排出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】第2の実施の形態におけるMFPが備えるCPUが有する機能の一例を示すブロック図である。
【
図11】第2の実施の形態における廃トナー排出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図12】トナー量決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0038】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1実施の形態におけるMFPの外観を示す斜視図である。
図2は、MFPの内部構成の概要を示す図である。
図1および
図2を参照して、MFP100は、画像形成装置として機能し、画像データに基づいて記録媒体に画像を形成する。MFP(Multi Function Peripheral)100は、画像を形成する対象となる記録媒体として、複数種類の記録媒体のいずれにも画像を形成することが可能である。記録媒体は、紙などの用紙の他、OHP(Overhead projector)シート、布等を含む。また、以下の説明では、特に言及しない限り、記録媒体を用紙とする場合を例に説明する。
【0039】
MFP100は、画像形成装置の一例であり、原稿を読み取る原稿読取部130と、原稿を原稿読取部130に搬送する自動原稿搬送装置120と、画像データに基づいて用紙に画像を形成する画像形成部140と、画像形成部140に用紙を供給する給紙部150と、ユーザーインターフェースとしての操作パネル160とを含む。
【0040】
自動原稿搬送装置120は、原稿トレイに載置された1以上の原稿をさばいて、1枚ずつ原稿読取部130に搬送する。原稿読取部130は、自動原稿搬送装置120により原稿ガラス11上にセットされた原稿の画像を、その下方を移動するスライダー12に取付けられた露光ランプ13で露光する。原稿からの反射光は、ミラー14と2枚の反射ミラー15,15Aによりレンズ16に導かれ、CCD(Charge Coupled Devices)センサー18に結像する。
【0041】
CCDセンサー18に結像した反射光は、CCDセンサー18内で電気信号としての画像データに変換される。画像データは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の印字用データに変換されて、画像形成部140に出力される。
【0042】
画像形成部140は、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックそれぞれの画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kを備える。ここで、“Y”、“M”、“C”および“K”は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックを表す。画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kの少なくとも1つが駆動されることにより、画像が形成される。画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kのすべてが駆動されると、フルカラーの画像が形成される。画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kには、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの印字用データがそれぞれ入力される。画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kは、取扱うトナーの色彩が異なるのみなので、ここでは、イエローの画像を形成するための画像形成ユニット20Yについて説明する。
【0043】
画像形成ユニット20Yは、イエローの印字用データが入力される露光装置21Yと、像担持体である感光体ドラム23Yと、感光体ドラム23Yの表面を一様に帯電するための帯電ローラー22Yと、現像装置24Yと、感光体ドラム23Y上に形成されたトナー像を電界力の作用で像担持体である中間転写ベルト30上に転写するための1次転写ローラー25Yと、感光体ドラム23Y上の転写残トナーを除去するため回収装置27Yと、トナーボトル41Yと、トナーホッパー42Yと、を備える。
【0044】
トナーボトル41Yは、イエローのトナーを収容する。トナーは、非磁性体である。トナーボトル41Yは、トナーボトルモーターを駆動源として回転し、トナーを外部に排出する。トナーボトル41Yから排出されたトナーは、トナーホッパー42Yに供給される。トナーホッパー42Yは、現像装置24Yに収容された現像剤の残量が予め定められた下限値以下になることに応じて現像装置24Yにトナーを供給する。現像剤は、トナーと磁性体のキャリアとを含む。
【0045】
感光体ドラム23Yの周辺に、帯電ローラー22Y、露光装置21Y、現像装置24Y、1次転写ローラー25Y、回収装置27Yが、感光体ドラム23Yの回転方向に沿って順に配置される。
【0046】
感光体ドラム23Yは、帯電ローラー22Yによって帯電された後、露光装置21Yが発光するレーザー光が照射される。露光装置21Yは、感光体ドラム23Yの表面の画像対応部を露光して静電潜像を形成する。これにより、感光体ドラム23Yに静電潜像が形成される。続いて、現像装置24Yが、感光体ドラム23Yに形成された静電潜像を帯電したトナーで現像する。具体的には、感光体ドラム23Yに形成された静電潜像上に電界力の作用でトナーが載せられることにより、トナー像が感光体ドラム23Yに形成される。感光体ドラム23Y上に形成されたトナー像は、像担持体である中間転写ベルト30上に1次転写ローラー25Yにより電界力の作用で転写される。感光体ドラム23Y上で転写されずに残ったトナーは、回収装置27Yにより感光体ドラム23Yから除去される。
【0047】
一方、中間転写ベルト30は、駆動ローラー33と従動ローラー34とにより弛まないように懸架されている。駆動ローラー33が
図3中で反時計回りに回転すると、中間転写ベルト30が所定の速度で図中反時計回りに回転する。中間転写ベルト30の回転に伴って、従動ローラー34が、反時計回りに回転する。
【0048】
これにより、画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kが、順に中間転写ベルト30上にトナー像を転写する。画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kそれぞれが、中間転写ベルト30上にトナー像を転写するタイミングは、中間転写ベルト30に付された基準マークを検出することにより、調整される。これにより、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックのトナー像が中間転写ベルト30上に重畳される。
【0049】
中間転写ベルト30に形成されたトナー像は、転写部材である2次転写ローラー26によって電界力の作用で用紙に転写される。用紙は、タイミングローラー31により搬送される中間転写ベルト30と2次転写ローラー26とが接するニップ部に搬送される。トナー像が転写された用紙は、定着ローラー32に搬送され、定着ローラー32により加熱および加圧される。これにより、トナーが溶かされて用紙に定着する。その後、用紙は排紙トレイ39に排出される。
【0050】
中間転写ベルト30の画像形成ユニット20Yの上流に、ベルト清掃装置29が設けられている。ベルト清掃装置29は、中間転写ベルト30上で用紙に転写されずに残ったトナーを除去する。ベルト清掃装置29によって中間転写ベルト30から除去されるトナーは廃トナーとして、廃トナーボックスに収容される。
【0051】
給紙カセット35,35A,35Bには、それぞれサイズの異なる用紙がセットされている。給紙カセット35,35A,35Bそれぞれに収容された用紙は、給紙カセット35,35A,35Bにそれぞれ取付けられている取出ローラー36,36A,36Bにより、搬送経路へ供給され、給紙ローラー37によりタイミングローラー31へ送られる。
【0052】
MFP100は、フルカラーの画像を形成する場合、画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kのすべてを駆動するが、モノクロの画像を形成する場合、画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kのいずれか1つを駆動する。また、画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kの2以上を組み合わせて画像を形成することもできる。なお、ここでは、MFP100は、用紙に4色のトナーそれぞれを形成する画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kを備えたタンデム方式を採用する例について説明するが、1つの感光体ドラムで4色のトナーを順に用紙に転写する4サイクル方式を採用してもよい。
【0053】
図3は、画像形成ユニットの一例を示す図である。
図3を参照して、画像形成ユニット20Yは、イエローの印字用データが入力される露光装置21Yと、像担持体である感光体ドラム23Yと、感光体ドラム23Yの表面を一様に帯電するための帯電ローラー22Yと、現像装置24Yと、感光体ドラム23Y上に形成されたトナー像を電界力の作用で像担持体である中間転写ベルト30上に転写するための1次転写ローラー25Yと、感光体ドラム23Y上の転写残トナーを除去するための回収装置27Yと、廃トナーボトル28Yと、を備える。
【0054】
感光体ドラム23Yの周辺に、帯電ローラー22Y、露光装置21Y、現像装置24Y、1次転写ローラー25Y、回収装置27Yが、感光体ドラム23Yの回転方向に沿って順に配置される。感光体ドラム23Yは、例えばドラム状の金属基体の外周面に、有機光導電体を含有させた樹脂よりなる感光層が形成された有機感光体よりなる。感光層を構成する樹脂として、例えばポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。
【0055】
感光体ドラム23Yは、帯電ローラー22Yによって帯電された後、露光装置21Yが発光するレーザー光が照射される。露光装置21Yは、感光体ドラム23Yの表面の画像対応部を露光して静電潜像を形成する。これにより、感光体ドラム23Yに静電潜像が形成される。続いて、現像装置24Yが、感光体ドラム23Yに形成された静電潜像を帯電したトナーで現像する。具体的には、感光体ドラム23Yに形成された静電潜像上に電界力の作用でトナーが載せられることにより、トナー像が感光体ドラム23Yに形成される。感光体ドラム23Y上に形成されたトナー像は、像担持体である中間転写ベルト30上に1次転写ローラー25Yにより電界力の作用で転写される。感光体ドラム23Y上で転写されずに残ったトナーは、回収装置27Yにより感光体ドラム23Yから除去される。
【0056】
回収装置27Yは、ケース203Yと、弾性体よりなる平板状のクリーニングブレード201Yと、搬送スクリュー205Yと、を含む。ケース203Yの下方に配置された廃トナーボトル28Yが配置される。
【0057】
クリーニングブレード201Yは、感光体ドラム23Yに接触する位置に配置される。このため、クリーニングブレード201Yは、感光体ドラム23Yが回転することにより感光体ドラム23Yの表面を擦る。これにより、感光体ドラム23Yに残存するトナーがクリーニングブレード201Yにより擦り取られる。クリーニングブレード201Yにより感光体ドラム23Yから擦り取られたトナーは、ケース203Yに収容される。ケース203Yに収容されるトナーは、搬送スクリュー205Yによりケース203Yの外部に搬送されて、廃トナーボトル28Yに収容される。
【0058】
図4は、
図3に示される回収装置のA-A線断面図である。回収装置27Yが備える搬送スクリュー205Yが延在する方向をX軸方向と定義する。また、X軸方向および鉛直方向と直交する方向をY軸方向と定義する。
【0059】
ケース203Yは、X軸方向に延在する容器であり、クリーニングブレード201Yにより感光体ドラム23Yから擦り取られたトナーを収容する。ケース203YのX軸方向の正方向側の端部には、排出口211Yが配置されている。排出口211Yは、廃トナーボトル28Yに連通する。
【0060】
搬送スクリュー205Yは、X軸方向に延在する円柱状の回転軸の外周面に螺旋状の羽が設けられた形状を成す。搬送スクリュー205Yの回転軸はケース203Yにより軸支される。搬送スクリュー205Yが回転することによりトナーが排出口211Yに向かって搬送される。搬送スクリュー205Yは、駆動源となるモーターが駆動することにより回転する。
【0061】
図5は、MFPのハードウェア構成の概要を示すブロック図である。
図5を参照して、MFP100は、メイン回路110を備える。メイン回路110は、自動原稿搬送装置120と、原稿読取部130と、画像形成部140と、給紙部150と、ユーザーインターフェースとしての操作パネル160と、接続される。
【0062】
メイン回路110は、MFP100の全体を制御するCPU(中央演算処理装置)111と、通信インターフェース(I/F)部112と、ROM(Read OnlY MemorY)113と、RAM(Random Access MemorY)114と、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)115と、ファクシミリ部116と、気圧センサー117と、外部記憶装置118と、を含む。CPU111は、プログラムを実行するコンピューターの一例である。CPU111は、プログラムを実行することにより、自動原稿搬送装置120、原稿読取部130、画像形成部140、給紙部150および操作パネル160と接続され、MFP100の全体を制御する。
【0063】
ROM113は、CPU111が実行するプログラム、またはそのプログラムを実行するために必要なデータを記憶する。RAM114は、CPU111がプログラムを実行する際の作業領域として用いられる。また、RAM114は、原稿読取部130から連続的に送られてくる画像データを一時的に記憶する。
【0064】
操作パネル160は、MFP100の上部に設けられる。操作パネル160は、表示部161と操作部163とを含む。表示部161は、例えば、液晶表示装置(LCD)であり、ユーザーに対する指示メニューや取得した画像データに関する情報等を表示する。なお、LCDに代えて、画像を表示する装置であれば、例えば、有機EL(electroluminescence)ディスプレイを用いることができる。
【0065】
操作部163は、タッチパネル165と、ハードキー部167とを含む。タッチパネル165は、静電容量方式である。なお、タッチパネル165は、静電容量方式に限らず、例えば、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式等の他の方式を用いることができる。ハードキー部167は、複数のハードキーを含む。ハードキーは、例えば接点スイッチである。
【0066】
通信I/F部112は、ネットワークにMFP100を接続するためのインターフェースである。通信I/F部112は、TCP(Transmission Control Protocol)またはFTP(File Transfer Protocol)等の通信プロトコルで、ネットワークに接続された他のコンピューターまたはデータ処理装置と通信する。通信I/F部112が接続されるネットワークは、ローカルエリアネットワーク(LAN)であり、接続形態は有線または無線を問わない。また、ネットワークは、LANに限らず、ワイドエリアネットワーク(WAN)、公衆交換電話網(PSTN)、インターネット等であってもよい。
【0067】
ファクシミリ部116は、公衆交換電話網(PSTN)に接続され、PSTNにファクシミリデータを送信する、またはPSTNからファクシミリデータを受信する。ファクシミリ部116は、受信したファクシミリデータを、HDD115に記憶するとともに、画像形成部140でプリント可能なプリントデータに変換して、画像形成部140に出力する。これにより、画像形成部140は、ファクシミリ部116により受信されたファクシミリデータの画像を用紙に形成する。また、ファクシミリ部116は、HDD115に記憶されたデータをファクシミリデータに変換して、PSTNに接続されたファクシミリ装置に送信する。
【0068】
気圧センサー117は、画像形成部140の近傍に配置される。気圧センサー117は、気圧を計測し、計測された気圧を示す気圧情報をCPU111に出力する。
【0069】
外部記憶装置118は、CPU111により制御され、CD-ROM(Compact Disk Read OnlY MemorY)118A、または半導体メモリが装着される。本実施の形態においては、CPU111は、ROM113に記憶されたプログラムを実行する例を説明するが、CPU111は、外部記憶装置118を制御して、CD-ROM118AからCPU111が実行するためのプログラムを読出し、読み出したプログラムをRAM114に記憶し、実行するようにしてもよい。
【0070】
CPU111は、画像形成部140を制御し、用紙などの記録媒体に画像データの画像を形成させる。CPU111が画像形成部140に出力する画像データは、原稿読取部130から入力される画像データの他、外部から受信されるプリントデータ等の画像データを含む。
【0071】
なお、CPU111が実行するためのプログラムを記憶する記録媒体としては、CD-ROM118Aに限られず、フレキシブルディスク、カセットテープ、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、ICカード、光カード、マスクROM、EPROM(Erasable Programmable ROM)などの半導体メモリ等の媒体でもよい。さらに、CPU111がネットワークに接続されたコンピューターからプログラムをダウンロードしてHDD115に記憶する、または、ネットワークに接続されたコンピューターがプログラムをHDD115に書込みするようにして、HDD115に記憶されたプログラムをRAM114にロードしてCPU111で実行するようにしてもよい。ここでいうプログラムは、CPU111により直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0072】
図6は、MFPが備えるCPUが有する機能の一例を示すブロック図である。
図6に示す機能は、MFP100が備えるCPU111が、ROM113、HDD115またはCD-ROM118Aに記憶された廃トナー排出プログラムを実行することにより、CPU111により実現される機能である。
図6を参照して、CPU111は、気圧情報取得部51と、画像形成部140を制御する画像形成制御部53と、を含む。
【0073】
気圧情報取得部51は、気圧を計測する気圧センサー117が出力する気圧情報を取得する。気圧情報は、気圧を示す情報である。気圧情報取得部51は、取得された気圧情報を画像形成制御部53に出力する。なお、ここでは、現時点の気圧を取得する例を示すが、所定の期間に気圧センサー117が出力する気圧情報を用いて、所定期間の平均の気圧を取得してもよい。また、外部のサーバーからMFP100が設置された地域の気圧を示す情報が取得されてもよい。また、MFP100を管理する作業者が高度をMFP100に設定し、高度と気圧との関係を定めたテーブルを用いて、気圧が取得されてもよい。
【0074】
画像形成制御部53は、画像形成部140を制御して、記録媒体に画像を形成する。また、画像形成制御部53は、気圧情報取得部51から気圧情報が入力される。画像形成制御部53は、気圧情報で特定される気圧に基づいて搬送スクリュー205Yの仕事量を決定する。画像形成制御部53は、気圧が低いほど搬送スクリュー205Yの仕事量を大きな値に決定する。画像形成制御部53は、搬送スクリュー205Yの単位時間当たりの回転数である回転速度を変化させることにより仕事量を変化させる。具体的には、画像形成制御部53は、気圧と仕事量との関係を定める係数テーブルを参照して、気圧に対する仕事量を決定する。本実施の形態においては、搬送スクリュー205Yが回転する時間を感光体ドラム23Yが回転する時間と同じとしている。このため、画像形成制御部53は、気圧に対する搬送スクリュー205Yの回転速度を決定し、搬送スクリュー205Yを決定された回転速度で回転させる。
【0075】
図7は、係数テーブルの一例を示す図である。
図7を参照して、気圧に対して係数を定める。ここでは、1気圧を1013.25hPaとしている。1気圧以上に対して、係数1を定め、0.95気圧以上1.0気圧未満に対して係数1.05を定め、0.90気圧以上0.95気圧未満に対して係数1.10を定め、0.85気圧以上0.90気圧未満に対して係数1.15を定める。本実施の形態においては、搬送スクリュー205Yの回転速度がデフォルトで定められており、回転時間は感光体ドラム23Yの回転時間と同じとしている。このため、係数テーブルは、搬送スクリュー205Yのデフォルトの回転速度に対する倍率を示す。
【0076】
図8は、廃トナー排出処理の流れの一例を示すフローチャートである。廃トナー排出処理は、MFP100が備えるCPU111が、ROM113、HDD115またはCD-ROM118Aに記憶された廃トナー排出プログラムを実行することにより、CPU111により実行される処理である。
図8を参照して、CPU111は、印字指令を受け付けたか否かを判断する(ステップS01)。印字指令は、ユーザーが操作部163に入力する場合、通信I/F部112が外部からプリントデータを受信する場合に受け付けられる。印字指令が受け付けられるまで待機状態となり(ステップS01でNO)、印字指令が受け付けられたならば(ステップS01でYES)、処理はステップS02に進む。
【0077】
ステップS02においては、気圧情報が取得される。CPU111は、気圧センサー117を制御して気圧を計測させ、気圧センサー117が出力する気圧情報を取得する。そして、係数テーブルが参照されて、搬送スクリュー205Yの回転速度が決定され(ステップS03)、処理はステップS04に進む。
【0078】
ステップS04においては、印字が開始され、処理は終了する。印字中において、感光体ドラム23Yが回転している間、搬送スクリュー205YがステップS03で決定された回転速度で回転される。
【0079】
気圧が低いほど仕事量が大きくなるように、搬送スクリュー205Yの回転速度が速くなるので、ケース203Yに収容されるトナーが排出口211Yに向けて搬送される体積が多くなる。このため、気圧が低いほどケース203Yに収容されるトナーの体積が多くなるが、搬送スクリュー205Yにより多くの体積のトナーが排出口211Yから排出されるので、ケース203Yに収容されるトナーの体積を所定の値以下にすることができる。
【0080】
また、気圧に応じた回転数で搬送スクリュー205Yが回転するので、搬送スクリュー205Yの回転数をできるだけ小さくすることができ、搬送スクリュー205Yにより発生する熱をできるだけ小さくするとともに、寿命をできるだけ長くすることができる。
【0081】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態におけるMFP100は、回収装置27Yに収容される廃トナー量を検出する点で、第1の実施の形態におけるMFP100と異なる。以下、第2の実施の形態におけるMFP100について、第1の実施の形態におけるMFP100と異なる点が説明される。
【0082】
図9は、回収装置の断面図である。
図9を参照して、回収装置27Yは、ケース203Y内の現像剤の量を検出するトナー量センサー207Yを備える。トナー量センサー207Yは、ケース203Yの所定の高さに配置される光電センサーである。トナー量センサー207は、搬送スクリュー205Yの最上点よりも下方に配置される。トナー量センサー207Yは、光を照射する発光部と、光を受光する受光部とを含み、発光部から照射された光を受光部で受光する。ケース203Yに収容されるトナーの液面が所定の高さになると、発光部から照射される光がトナーに遮られて受光部で受光できなくなる。このため、トナー量センサー207Yは、ケース203Yに収容されるトナーが所定量以上となったことを検出する。
【0083】
図10は、第2の実施の形態におけるMFPが備えるCPUが有する機能の一例を示すブロック図である。
図10を参照して、
図6に示した機能と異なる点は、廃トナー量決定部55が追加された点、画像形成制御部53が画像形成制御部53Aに変更された点である。その他の機能は
図6に示した機能と同じなのでここでは説明を繰り返さない。
【0084】
廃トナー量決定部55は、回収装置27Yのケース203Yに収容されるトナーの量を決定する。廃トナー量決定部55は、トナー量センサー207Yによりトナーが検出されることに応じて、ケース203Yに収容されるトナーが所定量以上となったことを検出する。
【0085】
画像形成制御部53Aは、廃トナー量決定部55によりケース203Yに収容されるトナーが所定量以上となったことが検出されることに応じて、気圧情報で特定される気圧に基づいて搬送スクリュー205Yの仕事量を決定する。画像形成制御部53Aは、廃トナー量決定部55によりケース203Yに収容されるトナーが所定量以上となったことが検出される前は、搬送スクリュー205Yの仕事量をデフォルトの値に決定する。また、画像形成制御部53Aは、廃トナー量決定部55によりケース203Yに収容されるトナーが所定量以上となったことが検出された後に、廃トナー量決定部55によりケース203Yに収容されるトナーが所定量以上となったことが検出されなくなると、搬送スクリュー205Yの仕事量をデフォルトの値に決定する。画像形成制御部53Aは、搬送スクリュー205Yの回転速度がデフォルトの回転速度と異なる回転速度となる時間をできるだけ短くする。
【0086】
具体的には、画像形成制御部53Aは、廃トナー量決定部55によりケース203Yに収容されるトナーが所定量以上となったことが検出されていない間は、搬送スクリュー205Yの回転速度をデフォルトの値に決定し、搬送スクリュー205Yを決定された回転速度で回転させる。画像形成制御部53Aは、廃トナー量決定部55によりケース203Yに収容されるトナーが所定量以上となったことが検出されている間は、
図7に示した係数テーブルを参照して、搬送スクリュー205Yの回転速度を決定し、搬送スクリュー205Yを決定された回転速度で回転させる。
【0087】
図11は、第2の実施の形態における廃トナー排出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11を参照して、
図8に示した第1の実施の形態における廃トナー排出処理と異なる点は、ステップS21およびステップS22が追加された点である。その他の処理は
図8に示した処理と同じなのでここでの説明は繰り返さない。
【0088】
CPU111は、ステップS01において印字指令を受け付けたと判断する場合、ステップS21において、トナー量が閾値TH1以上か否かを判断する。CPU111は、トナー量センサー207Yがトナーを検出しているならばトナー量が閾値TH1以上と判断する。トナー量が閾値TH1以上ならば処理はステップS02に進むが、そうでなければ処理はステップS22に進む。
【0089】
ステップS22においては、搬送スクリュー205Yの回転速度をデフォルト値に決定され、処理はステップS04に進む。ステップS04においては、印字が開始されるが、ステップS03が実行される場合は気圧に基づいて決定された回転速度で搬送スクリュー205Yが回転され、ステップS22が実行される場合はデフォルトで定められた回転速度で搬送スクリュー205Yが回転される。
【0090】
このため、第2の実施の形態におけるMFP100においては、第1の実施の形態におけるMFP100が奏する効果に加えて、回収装置27Yに収容されるトナー量が閾値TH1以上となった場合に、気圧が低いほど仕事量が大きくなるように、搬送スクリュー205Yの回転速度が速くなる。このため、回収装置27Yに収容されるトナー量が閾値TH1未満の場合は、デフォルトで定められた回転速度で搬送スクリュー205Yが回転するので、搬送スクリュー205Yの回転速度がデフォルトの回転速度とよりも大きな回転速度となる時間をできるだけ短くすることができ、搬送スクリュー205Yにより発生する熱をできるだけ小さくするとともに、寿命をできるだけ長くすることができる。
【0091】
<第1の変形例>
回収装置27Yに収容されるトナー全体の体積を示す収容量が、回収装置27Yで回収されるトナー全体の重量と回収装置27Yから排出されるトナーの体積とから求められてもよい。この場合は、トナー量センサー207Yは不要である。
【0092】
具体的には、画像形成制御部53Aは、画像形成部140に形成される画像のカバレッジおよび画像形成部140に画像を形成させた回数に基づいて、回収装置27Yにより回収されるトナーの重量を予測する。カバレッジは、感光体ドラム23Yに形成されるトナー像が形成された領域が用紙に占める割合を示す。ここでは、画像形成制御部53Aは、画像データに基づいて画像データで定まる画像の面積に対してトナー像が形成される面積が占める割合をカバレッジとして算出する。例えば、画像形成制御部53Aは、画像データの画素数に対するトナー像を構成する画素の数の割合をカバレッジとして算出する。画像形成制御部53Aは、画像データとカバレッジとから感光体ドラム23Yが担持するトナーの数量を求め、トナーの数量を重量に換算する。
【0093】
さらに、画像形成制御部53Aは、トナーの重量と残存率とから画像形成部140により画像が形成されるごとに回収装置27Yにより回収されるトナーの重量を算出する。残存率は、二次転写後に感光体ドラム23Yに残存するトナーの割合を示し、実験等で求めて予め定められる値である。画像形成制御部53Aは、画像形成部140に画像を形成させるごとに回収装置27Yにより回収されるトナーの重量を算出し、算出されたトナーの重量と気圧により定まる嵩密度とから回収装置27Yにより回収されたトナーの体積を示す回収量を算出する。
【0094】
また、画像形成制御部53Aは、画像形成部140で画像形成されている間に、搬送スクリュー205Yの回転量を検出する。画像形成制御部53Aは、回転量と搬送スクリュー205Yが単位回転量当たりに排出するトナーの体積とから回収装置27Yから排出されるトナーの体積を示す排出量を算出する。
【0095】
画像形成制御部53Aは、回収量から排出量を減算した値を、前回の画像形成時に算出した収容量に加算することにより回収装置27Yに収容される収容量として新たに決定する。なお、排出量が収容量により異なる場合には、排出量を収容量と搬送スクリュー205Yの回転数とから求めるようにしてもよい。
【0096】
図12は、トナー量決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。トナー量決定処理は、MFP100が備えるCPU111が、ROM113、HDD115またはCD-ROM118Aに記憶された廃トナー排出プログラムを実行することにより、CPU111により実行される処理である。トナー量決定処理は、画像形成部140により画像が形成されるごとに実行される。
【0097】
図12を参照して、CPU111は、画像データのカバレッジから感光体ドラム23Yにより担持されるトナーの重量を予測し(ステップS31)、処理をステップS32に進める。ステップS32においては、予測された重量と残存率とから回収装置27Yにより回収されるトナーの重量が予測され、処理はステップS33に進む。ステップS33においては、気圧から嵩密度が決定され、処理はステップS34に進む。気圧とトナーの嵩密度とを関連付けたテーブルを参照して、嵩密度が決定される。ステップS34においては、回収量が決定され、処理はステップS35に進む。ステップS32において決定されたトナーの重量と嵩密度とから回収量が決定される。
【0098】
ステップS35においては、排出量が決定され、処理はステップS36に進む。搬送スクリュー205Yの回転量と搬送スクリュー205Yが単位回転量当たりに排出するトナーの体積とから排出量が算出される。
【0099】
ステップS36においては、収容量が決定され、処理は終了する。前回の画像形成時に算出された収容量にステップS31において算出された回収量を加算し、ステップS32において算出された排出量を減算した値が新たな収容量に決定される。
【0100】
<第2の変形例>
第1および第2の実施の形態におけるMFP100は、回収装置27Yが備える搬送スクリュー205Yの仕事量を気圧に応じた値に決定するために、搬送スクリュー205Yの回転速度を決定するようにした。第2の変形例におけるMFP100は、回収装置27Yが備える搬送スクリュー205Yの仕事量を気圧に応じた値に決定するために、搬送スクリュー205Yの駆動時間を決定する。搬送スクリュー205Yの回転速度をデフォルトの値に維持しつつ、駆動時間をデフォルトの値と異なる値にすることで、搬送スクリュー205Yの仕事量を変化させることができる。気圧が低いほど、搬送スクリュー205Yの駆動時間を長くすれば搬送スクリュー205Yの仕事量がデフォルトの値よりも大きくなる。
【0101】
なお、本実施の形態におけるMFP100は、感光体ドラム23Y,23M,23C,23Kにそれぞれ対応する回収装置27Y,27M,27C,27Kについて説明したが、中間転写ベルト30に対応するベルト清掃装置29についても同様である。また、回収装置27Y,27M,27C,27Kそれぞれが廃トナーボトル28Y,28M,28C,28Kを備える例を説明したが、回収装置27Y,27M,27C,27Kで共通の単一の廃トナーボトルを備えてもよい。さらに、回収装置27Y,27M,27C,27Kで共通の廃トナーボトルを、ベルト清掃装置29が共有してもよい。
【0102】
以上説明したように、第1および第2の実施の形態におけるMFP100は、感光体ドラム23Yにトナーで形成されたトナー像が中間転写ベルト30に転写された後に感光体ドラム23Yに残存するトナーを廃トナーとして回収する回収装置27Yと、回収装置27Yを制御するCPU111と、を備える。回収装置27Yは、排出口211を有し、トナーを収容するケース203Yと、ケース203Yに設けられ、トナーに対して排出口211Yに向かって力を付与する羽を有する搬送スクリュー205Yと、を備える。CPU111は、気圧に基づいて搬送スクリュー205Yの仕事量を決定する。このため、気圧に基づいて搬送スクリュー205Yの仕事量が決定されるので、気圧の変化に伴って変化するトナーの体積に応じて排出口211Yから排出されるトナーの量を調整することができる。これにより、ケース203Yに収容されるトナーの量が適切な量に調整され、ケース203Yに収容されるトナーの液面を所定の値以下にできる。これにより、MFP100で形成される画像の画質の低下が防止されるとともに、回収装置27Yの故障が防止される。
【0103】
また、CPU111は、気圧が低いほど搬送スクリュー205Yの仕事量を大きな値に決定する。気圧が低いほどトナーの嵩密度が低下するので、気圧が低いほど大きな体積のトナーを排出口211Yから排出することができる。
【0104】
また、MFP100は、気圧を検出する気圧センサー117を備えてもよい。この場合、気圧センサー117により、正確な気圧を容易に取得することができる。
【0105】
また、MFP100は、外部の気圧を示す情報を外部から取得してもよい。この場合、気圧センサー117を設ける必要がなく、気圧を容易に取得することができる。
【0106】
また、CPU111は、ケース203Yに収容されているトナーの体積に基づいて、仕事量を決定する。このため、気圧の変化によって変動するトナーの嵩密度に応じた体積に基づいてトナーが排出されるので、搬送スクリュー205Yの仕事量を適切なタイミングで決定することができる。
【0107】
また、第2の実施の形態におけるMFP100において、CPU111は、ケース203Yに収容されているトナーの量が閾値以上となることに応じて、仕事量をデフォルトの値と異なる値に決定する。このため、ケース203Yに収容されているトナーの量が閾値より小さい場合はデフォルトの値の仕事量で搬送スクリューが駆動するので、仕事量をできるだけ小さくして搬送スクリュー205Yの寿命を長くすることができる。
【0108】
また、第2の実施の形態におけるMFP100は、ケース203の所定の高さに配置され、トナーを検出するトナー量センサー207Yを備え、CPU111は、トナー量センサー207Yによりトナーが検出されることに応じて、閾値以上のトナーの量を検出する。このため、ケース203Yに収容されたトナーの体積が閾値より大きいことを検出することができる。
【0109】
また、第1の変形例におけるMFP100において、CPU111は、感光体ドラム23Yに過去に形成されたトナー像と気圧とから算出される回収量と搬送スクリュー205Yの回転数と気圧とから算出される排出量とに基づいてケース203Yに収容されているトナーの量を予測し、予測されたトナーの量を閾値と比較する。このため、ケース203Yに収容されたトナーの体積が閾値より大きいことを検出することができる。
【0110】
また、第1の変形例におけるMFP100において、CPU111は、感光体ドラム23Yに過去に形成されたトナー像の元になる画像データに基づき画像全体に占めるトナー像の割合を示すカバレッジを算出し、算出されたカバレッジからケース203Yに収容されているトナーの重量を算出し、算出されたトナーの重量と気圧とに基づいて、回収量を予測する。このため、回収量を正確に求めることができる。
【0111】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0112】
<付記>
(1) 好ましくは、気圧とトナーの嵩密度との関係は、気圧が低いほど嵩密度が低い値を示す。
(2) 好ましくは、前記像担持体に形成された静電潜像を現像することによりトナーからなるトナー像を前記像担持体に形成する現像手段を、さらに備える。
【符号の説明】
【0113】
100 MFP、20Y,20M,20C,20K 画像形成ユニット、21Y,21M,21C,21K 露光装置、22Y,22M,22C,22K 帯電ローラー、23Y,23M,23C,23K 感光体ドラム、24Y,24M,24C,24K 現像装置、25Y,25M,25C,25K 1次転写ローラー、26 2次転写ローラー、27Y,27M,27C,27K 回収装置、28Y,28M,28C,28K 廃トナーボトル、29 ベルト清掃装置、30 中間転写ベルト、41Y トナーボトル、42Y トナーホッパー、51 気圧情報取得部、53,53A 画像形成制御部、55 廃トナー量決定部、111 CPU、117 気圧センサー、140 画像形成部、201Y クリーニングブレード、203Y ケース、205Y 搬送スクリュー、207 トナー量センサー、207Y トナー量センサー、211Y 排出口。