(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】コネクタ及びカップリング構造
(51)【国際特許分類】
H01R 13/652 20060101AFI20221018BHJP
【FI】
H01R13/652
(21)【出願番号】P 2019090785
(22)【出願日】2019-05-13
【審査請求日】2021-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】西島 誠道
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-219758(JP,A)
【文献】特開2004-171831(JP,A)
【文献】特開平6-111888(JP,A)
【文献】特開2016-31931(JP,A)
【文献】特開2014-86350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/648
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールド電線の一部が挿入された状態で保持されるハウジングを備え、該ハウジングが相手側部材に嵌着されることで前記シールド電線の芯線が前記相手側部材の端子に接続されるコネクタであって、
前記ハウジングの外表面を覆う電磁シールドシェルと、
前記ハウジング内で前記シールド電線同士の間に設けられ、前記シールド電線のシールド部材と接続され、前記ハウジングが前記相手側部材に嵌着されることで前記相手側部材の接地端子に接続されるシールド端子と
を備え
、
前記電磁シールドシェルは、前記相手側部材の導電性部材に3点以上で電気的に接触するように設定され、
前記電磁シールドシェルは、前記導電性部材に接触すべく突出した接地凸部を有し、
前記電磁シールドシェルは、一対の前記接地凸部と、自身を貫通して前記導電性部材に螺合されるネジとによって前記導電性部材に少なくとも3点で電気的に接触するように設定されたコネクタ。
【請求項2】
シールド電線の一部が挿入された状態で保持されるハウジングを備え、該ハウジングが相手側部材に嵌着されることで前記シールド電線の芯線が前記相手側部材の端子に接続されるコネクタであって、
前記ハウジングの外表面を覆う電磁シールドシェルと、
前記ハウジング内で前記シールド電線同士の間に設けられ、前記シールド電線のシールド部材と接続され、前記ハウジングが前記相手側部材に嵌着されることで前記相手側部材の接地端子に接続されるシールド端子と
を備え、
前記シールド端子は、屈曲した導電性板材からなり、一対の平行部と、一対の前記平行部の一端を連結する連結部と、一対の平行部の他端に設けられそれぞれ前記シールド部材に接続される接続部とを有し、前記ハウジングが前記相手側部材に嵌着されると前記接地端子が一対の前記平行部の間に挿入されつつそれらの平行部に接続されるように構成され
たコネクタ。
【請求項3】
コネクタと、導電性筐体に固定された相手側コネクタとを備えるカップリング構造であって、
前記コネクタは、各々が導電性の芯線と導電性のシールド部材とを有する複数のシールド電線と、前記複数のシールド電線の一部が挿入された状態で保持される樹脂製のハウジングと、前記ハウジング内で前記複数のシールド電線の間に設けられ、前記複数のシールド電線の前記シールド部材と接続されたシールド端子と、前記ハウジングの外表面を覆う電磁シールドシェルとを備え、
前記相手側コネクタは、前記導電性筐体と導通する接地端子と、複数の非接地端子とを備え、
前記コネクタの前記ハウジングが前記相手側コネクタに嵌着されたときに、前記コネクタの前記複数のシールド電線の前記芯線は前記相手側コネクタの前記複数の非接地端子にそれぞれ接続され、前記コネクタの前記シールド端子は、前記相手側コネクタの前記接地端子に接続され、
前記コネクタの前記ハウジングが前記相手側コネクタに嵌着されたときに、前記コネクタの前記電磁シールドシェルは、前記導電性筐体の外面と直接接触し導通するように構成されており、
前記コネクタの前記ハウジングが前記相手側コネクタに嵌着されたときに、前記コネクタの前記シールド端子および前記相手側コネクタの前記接地端子は、前記複数のシールド電線の前記シールド部材を、前記導電性筐体の前記外面とは異なる非外面に導通させるように構成されている、カップリング構造。
【請求項4】
前記電磁シールドシェルは、前記導電性筐体に3点以上で電気的に接触するように設定された請求項3に記載のカップリング構造。
【請求項5】
前記電磁シールドシェルは、前記導電性筐体に接触すべく突出した接地凸部を有した請求項4に記載のカップリング構造。
【請求項6】
前記電磁シールドシェルは、一対の前記接地凸部と、前記電磁シールドシェルを貫通して前記導電性筐体に螺合されるネジとによって前記導電性筐体に少なくとも3点で電気的に接触するように設定された請求項5に記載のカップリング構造。
【請求項7】
前記シールド端子は、屈曲した導電性板材からなり、一対の平行部と、一対の前記平行部の一端を連結する連結部と、一対の前記平行部の他端に設けられそれぞれ前記シールド部材に接続される接続部とを有し、前記ハウジングが前記相手側コネクタに嵌着されると前記接地端子が一対の前記平行部の間に挿入され一対の前記平行部に接続されるように構成された請求項3から請求項6のいずれか1項に記載のカップリング構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタ及びカップリング構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタとしては、シールド電線の一部が挿入された状態で保持されるハウジングを備え、該ハウジングが相手側コネクタに嵌着されることでシールド電線の芯線が相手側コネクタの端子に電気的に接続されるものがある(例えば、特許文献1参照)。このコネクタは、ハウジングが2層構造とされており、詳しくは、インナーハウジングの外側にシールドシェルが配置され、更にシールドシェルの外側にアウターハウジングが配置された多層構造とされ、シールドシェルによってコネクタからの電磁波(ノイズ)の放射が抑えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したようなコネクタは、インナーハウジング、シールドシェル及びアウターハウジングの多層構造によって、構成が複雑になるとともに大型化してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、構成を単純として小型化を可能としたコネクタ及びカップリング構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、シールド電線の一部が挿入された状態で保持されるハウジングを備え、該ハウジングが相手側部材に嵌着されることで前記シールド電線の芯線が前記相手側部材の端子に接続されるコネクタであって、前記ハウジングの外表面を覆う電磁シールドシェルと、前記ハウジング内で前記シールド電線同士の間に設けられ、前記シールド電線のシールド部材と接続され、前記ハウジングが前記相手側部材に嵌着されることで前記相手側部材の接地端子に接続されるシールド端子とを備える。
本開示のカップリング構造は、コネクタと、導電性筐体に固定された相手側コネクタとを備えるカップリング構造であって、前記コネクタは、各々が導電性の芯線と導電性のシールド部材とを有する複数のシールド電線と、前記複数のシールド電線の一部が挿入された状態で保持される樹脂製のハウジングと、前記ハウジング内で前記複数のシールド電線の間に設けられ、前記複数のシールド電線の前記シールド部材と接続されたシールド端子と、前記ハウジングの外表面を覆う電磁シールドシェルとを備え、前記相手側コネクタは、前記導電性筐体と導通する接地端子と、複数の非接地端子とを備え、前記コネクタの前記ハウジングが前記相手側コネクタに嵌着されたときに、前記コネクタの前記複数のシールド電線の前記芯線は前記相手側コネクタの前記複数の非接地端子にそれぞれ接続され、前記コネクタの前記シールド端子は、前記相手側コネクタの前記接地端子に接続され、前記コネクタの前記ハウジングが前記相手側コネクタに嵌着されたときに、前記コネクタの前記電磁シールドシェルは、前記導電性筐体の外面と直接接触し導通するように構成されており、前記コネクタの前記ハウジングが前記相手側コネクタに嵌着されたときに、前記コネクタの前記シールド端子および前記相手側コネクタの前記接地端子は、前記複数のシールド電線の前記シールド部材を、前記導電性筐体の前記外面とは異なる非外面に導通させるように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示のコネクタ及びカップリング構造によれば、構成が単純になるとともに小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態におけるコネクタと相手側部材の斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施形態におけるコネクタと相手側部材の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、一実施形態におけるコネクタと相手側部材の断面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態におけるコネクタと相手側部材の断面図である。
【
図5】
図5は、一実施形態におけるコネクタと相手側部材の分解斜視図である。
【
図6】
図6は、一実施形態におけるコネクタの一部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
[1]シールド電線の一部が挿入された状態で保持されるハウジングを備え、該ハウジングが相手側部材に嵌着されることで前記シールド電線の芯線が前記相手側部材の端子に接続されるコネクタであって、前記ハウジングの外表面を覆う電磁シールドシェルと、前記ハウジング内で前記シールド電線同士の間に設けられ、前記シールド電線のシールド部材と接続され、前記ハウジングが前記相手側部材に嵌着されることで前記相手側部材の接地端子に接続されるシールド端子とを備える。
【0010】
同構成によれば、ハウジングの外表面を覆う電磁シールドシェルを備えるため、コネクタからの電磁波の放射を抑えることができる。また、シールド電線のシールド部材と接続され、ハウジングが相手側部材に嵌着されることで相手側部材の接地端子に接続されるシールド端子を備えるため、シールド電線のシールド部材を容易に接地端子に接続して、シールド電線からの電磁波の放射を抑えることができる。そして、シールド端子はハウジング内でシールド電線同士の間に設けられることなどから、例えば、従来のようにインナーハウジングの外側にシールドシェルを配置し、更にシールドシェルの外側にアウターハウジングを配置した多層構造ものに比べて、構成が単純になるとともに小型化を図ることができる。
【0011】
[2]前記電磁シールドシェルは、前記相手側部材の導電性部材に3点以上で電気的に接触するように設定されることが好ましい。
同構成によれば、電磁シールドシェルは、前記相手側部材の導電性部材に3点以上で電気的に接触するように設定されるため、電磁波の放射を良好に抑えることができる。
【0012】
[3]前記電磁シールドシェルは、前記導電性部材に接触すべく突出した接地凸部を有することが好ましい。
同構成によれば、電磁シールドシェルは、前記導電性部材に接触すべく突出した接地凸部を有するため、電磁シールドシェルを簡単な構成としながら効果的な位置で導電性部材に接触させることができる。すなわち、電磁シールドシェルは、広範囲な面で導電性部材に接触させようとしても、部品精度などにより浮きが生じて効果的な位置で接触しない虞があるが、これを回避して電磁シールドシェルを効果的な位置で導電性部材に接触させることができる。
【0013】
[4]前記電磁シールドシェルは、一対の前記接地凸部と、自身を貫通して前記導電性部材に螺合されるネジとによって前記導電性部材に少なくとも3点で電気的に接触するように設定されることが好ましい。
【0014】
同構成によれば、前記電磁シールドシェルは、一対の前記接地凸部と、自身を貫通して前記導電性部材に螺合されるネジとによって前記導電性部材に少なくとも3点で電気的に接触するように設定されるため、電磁シールドシェルを簡単な構成としながら効果的な3点で導電性部材に電気的に接触させつつ相手側部材に安定して固定することができる。
【0015】
[5]前記シールド端子は、屈曲した導電性板材からなり、一対の平行部と、一対の前記平行部の一端を連結する連結部と、一対の平行部の他端に設けられそれぞれ前記シールド部材に接続される接続部とを有し、前記ハウジングが前記相手側部材に嵌着されると前記接地端子が一対の前記平行部の間に挿入されつつそれらの平行部に接続されるように構成されることが好ましい。
【0016】
同構成によれば、シールド端子は、屈曲した導電性板材からなるため、容易に製造することができる。また、ハウジングが相手側部材に嵌着されると接地端子が一対の平行部の間に挿入されつつそれらの平行部に接続されるように構成されるため、例えば、単一方向に接触する接触片のみにて接続した場合に比べて、高い信頼性でシールド端子と接地端子とを接続することができる。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0018】
図1に示すように、コネクタ11は、インバータ等の電気機器の筐体12の一部に固定されるものである。
詳しくは、
図2、
図4及び
図5に示すように、コネクタ11は、導電性部材としての筐体12にネジNにて固定された相手側コネクタ13と高さ方向に嵌着されて固定されるものである。筐体12は金属材よりなり、相手側コネクタ13は樹脂材よりなる。なお、本実施形態では、筐体12及び相手側コネクタ13が相手側部材を構成している。
【0019】
図2に示すように、相手側コネクタ13には、高さ方向の上方に突出する一対の端子13aが設けられている。また、相手側コネクタ13には、一対の端子13a同士の間で高さ方向の上方に突出する接地端子13bが設けられている。接地端子13bは、屈曲した金属板等の導電性板材からなり、相手側コネクタ13の支持柱13cにおける端子13aと対向する側の面を覆うように組み付けられている。接地端子13bは、その下端部に折り返された接地片13dを有する。
図4に示すように、接地片13dは、相手側コネクタ13が筐体12に固定された状態で筐体12の固定孔12aに押圧接触する。
【0020】
図2~
図4に示すように、コネクタ11は、一対のシールド電線14の一部が挿入された状態で保持されるハウジング21と、ハウジング21の外表面を覆う電磁シールドシェル22とを備える。ハウジング21は樹脂材よりなり、電磁シールドシェル22は金属材よりなる。
【0021】
ハウジング21は、下方に開口部を有する本体部21aと、該本体部21aから高さ方向の直交方向に延びる電線挿入部21bとを備える。電線挿入部21bは、略四角筒状に形成され、高さ方向の直交方向に開口し一対のシールド電線14の先端部が挿入された状態とされて保持される。電線挿入部21bには、電線挿入部21bの内面とシールド電線14の外面との間に介在されるゴムシール23と、電線挿入部21bの内面とシールド電線14の外面との間に介在されつつ電線挿入部21bに固定されてゴムシール23の電線挿入部21bからの抜けを規制するリテーナ24とが設けられている。
【0022】
電磁シールドシェル22は、ハウジング21の下面と電線挿入部21bに挿入されるシールド電線14と対応した部位を除いてハウジング21の外表面を覆う形状に形成されている。電磁シールドシェル22は、ハウジング21の上方からハウジング21に組み付けられて係止されている。詳しくは、
図2に示すように、電磁シールドシェル22は、自身に形成された係止孔22aにハウジング21に形成された係止爪21cが係止されることでハウジング21に係止されている。
【0023】
図3に示すように、シールド電線14は、芯線14aと、該芯線14aの外周を覆う内部絶縁被覆14bと、内部絶縁被覆14bの外周を覆うシールド部材14cと、シールド部材14cの外周を覆う外部絶縁被覆14dとを有している。シールド部材14cは、例えば、アルミニウム合金などの導電性の素線が筒状に編み込まれた編組線であり、可撓性を有している。外部に露出した芯線14aの先端部には、メス端子25が固定されている。メス端子25は、ハウジング21が相手側コネクタ13に嵌着されると相手側コネクタ13の端子13aが挿入されて該端子13aと電気的に接続される位置に配置されている。ハウジング21の本体部21aにおける下方の開口部には、メス端子25と係合してメス端子25を含むシールド電線14の抜けを規制しつつ相手側コネクタ13の一部と嵌着される下部ハウジング26が固定される。
【0024】
また、
図2及び
図3に示すように、コネクタ11は、ハウジング21内でシールド電線14同士の間に設けられ、シールド電線14のシールド部材14cと接続されたシールド端子27を備える。シールド端子27は、ハウジング21が相手側コネクタ13に嵌着されることで接地端子13bに接続される。
【0025】
詳しくは、
図6に示すように、シールド端子27は、屈曲した導電性板材からなり、一対の平行部27aと、一対の平行部27aの一端を連結する連結部27bと、一対の平行部の他端に設けられ接続部27cとを有する。接続部27cは、筒状のシールドスリーブ28を介してシールド部材14cに接続されている。すなわち、接続部27cは、シールドスリーブ28の外面を囲うように形成され、該シールドスリーブ28の外面に押圧接触する接触片27dを有する。
図3に示すように、シールド部材14cは、外部絶縁被覆14dの外側に折り返されてシールドスリーブ28の内面に接続されている。これにより、接続部27cは、シールド部材14cに電気的に接続されている。
【0026】
そして、シールド端子27は、ハウジング21が相手側コネクタ13に嵌着されると相手側コネクタ13の接地端子13bが一対の平行部27aの間に挿入されつつそれらの平行部27aに接続されるように構成されている。
図6に示すように、一対の平行部27aには、互いに対向する側に突出する接触片27eが設けられ、ハウジング21が相手側コネクタ13に嵌着されると接触片27eが接地端子13bと押圧接触するように構成されている。シールド端子27は、電線挿入部21bの内面とシールド電線14の外面との間に介在される保持部材29によって、平行部27aの間隔が保持されている。
【0027】
電磁シールドシェル22は、筐体12に3点以上で電気的に接触するように設定されている。
詳しくは、
図3~
図5に示すように、電磁シールドシェル22は、筐体12に接触すべく突出した接地凸部22bを有する。接地凸部22bは、電線挿入部21bの端部であってシールド電線14が外部に露出する側の端部と対応した側の両端に一対設けられている。そして、電磁シールドシェル22は、一対の接地凸部22bと、自身のネジ貫通孔22cを貫通して筐体12に螺合されるネジ30(
図1及び
図4参照)とによって筐体12に3点で電気的に接触する。ネジ貫通孔22cは、一対の接地凸部22bとは反対側における中央に形成されている。ネジ30の頭部にはキャップ31が被せられる。
【0028】
次に、上記のように構成されたコネクタ11の作用について説明する。
コネクタ11が筐体12に固定された状態では、ハウジング21の外表面が電磁シールドシェル22と導電性部材である筐体12とに囲われる。また、シールド電線14のシールド部材14cは、シールドスリーブ28、シールド端子27、接地端子13bを介して筐体12に接続される。これによって、コネクタ11及びシールド電線14からの電磁波の放射が抑えられる。
【0029】
次に、上記実施形態の効果を以下に記載する。
(1)コネクタ11は、ハウジング21の外表面を覆う電磁シールドシェル22を備えるため、コネクタ11からの電磁波の放射を抑えることができる。また、コネクタ11は、シールド電線14のシールド部材14cと接続され、ハウジング21が相手側コネクタ13に嵌着されることで相手側コネクタ13の接地端子13bに接続されるシールド端子27を備えるため、シールド部材14cを容易に接地端子13bに接続して、シールド電線14からの電磁波の放射を抑えることができる。そして、シールド端子27はハウジング21内でシールド電線14同士の間に設けられることなどから、例えば、従来のようにインナーハウジングの外側にシールドシェルを配置し、更にシールドシェルの外側にアウターハウジングを配置した多層構造ものに比べて、構成が単純になるとともに小型化を図ることができる。
【0030】
(2)電磁シールドシェル22は、導電性部材である筐体12に3点以上で電気的に接触するように設定されるため、電磁波の放射を良好に抑えることができる。
(3)電磁シールドシェル22は、導電性部材である筐体12に接触すべく突出した接地凸部22bを有するため、電磁シールドシェル22を簡単な構成としながら効果的な位置で筐体12に接触させることができる。すなわち、電磁シールドシェル22は、広範囲な面で筐体12に接触させようとしても、部品精度などにより浮きが生じて効果的な位置で接触しない虞があるが、これを回避して電磁シールドシェル22を効果的な位置で筐体12に接触させることができる。
【0031】
(4)電磁シールドシェル22は、一対の接地凸部22bと、自身を貫通して筐体12に螺合されるネジ30とによって筐体12に少なくとも3点で電気的に接触するように設定される。よって、電磁シールドシェル22を簡単な構成としながら効果的な3点で筐体12に電気的に接触させつつ筐体12に安定して固定することができる。
【0032】
(5)シールド端子27は、屈曲した導電性板材からなるため、容易に製造することができる。また、ハウジング21が相手側コネクタ13に嵌着されると接地端子13bが一対の平行部27aの間に挿入されつつそれらの平行部27aに接続されるように構成されるため、例えば、単一方向に接触する接触片のみにて接続した場合に比べて、高い信頼性でシールド端子27と接地端子13bとを接続することができる。
【0033】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、電磁シールドシェル22は、導電性部材である筐体12に3点以上で電気的に接触するように設定されるとしたが、これに限定されず、2点以下で筐体12に接触するようにしてもよい。
【0034】
・上記実施形態では、電磁シールドシェル22は、導電性部材である筐体12に接触すべく突出した接地凸部22bを有するとしたが、これに限定されず、接地凸部22bを有していない構成としてもよい。また、筐体12に電磁シールドシェル22側に突出する凸部を設けた構成として、電磁シールドシェル22と筐体12とを効果的な位置で接触させてもよい。
【0035】
・上記実施形態では、電磁シールドシェル22は、一対の接地凸部22bと、自身を貫通して筐体12に螺合されるネジ30とによって筐体12に電気的に接触する構成としたが、これに限定されず、例えば、ネジ30以外の構成で電磁シールドシェル22を固定する構成としてもよく、このような場合は、他の構成で接触させてもよい。
【0036】
・上記実施形態では、シールド端子27は、ハウジング21が相手側コネクタ13に嵌着されると接地端子13bが一対の平行部27aの間に挿入されつつそれらの平行部27aに接続されるように構成されるとしたが、これに限定されず、例えば、単一方向に接触する接触片のみにて接地端子13bと接続される構成としてもよい。
【符号の説明】
【0037】
N ネジ
11 コネクタ
12 相手側部材の一部を構成する筐体
12a 固定孔
13 相手側部材の一部を構成する相手側コネクタ
13a 端子
13b 接地端子
13c 支持柱
13d 接地片
14 シールド電線
14a 芯線
14b 内部絶縁被覆
14c シールド部材
14d 外部絶縁被覆
21 ハウジング
21a 本体部
21b 電線挿入部
21c 係止爪
22 電磁シールドシェル
22a 係止孔
22b 接地凸部
22c ネジ貫通孔
23 ゴムシール
24 リテーナ
25 メス端子
26 下部ハウジング
27 シールド端子
27a 平行部
27b 連結部
27c 接続部
27d 接触片
27e 接触片
28 シールドスリーブ
29 保持部材
30 ネジ
31 キャップ