(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
C08L 9/06 20060101AFI20221018BHJP
B60C 11/03 20060101ALI20221018BHJP
B60C 11/12 20060101ALI20221018BHJP
C08L 9/00 20060101ALI20221018BHJP
B60C 1/00 20060101ALI20221018BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
C08L9/06
B60C11/03 300E
B60C11/12 A
B60C11/12 C
C08L9/00
B60C1/00 A
C08K3/36
(21)【出願番号】P 2019151490
(22)【出願日】2019-08-21
【審査請求日】2021-02-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】岡 美幸
【審査官】岩田 行剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-231575(JP,A)
【文献】国際公開第2016/104144(WO,A1)
【文献】特開2007-177209(JP,A)
【文献】特開2014-185342(JP,A)
【文献】特開2000-313771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 7/00-21/02
B60C 1/00
B60C 11/03
B60C 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量平均分子量が80万以上のスチレンブタジエンゴム50~70質量%と、ブタジエンゴム30~50質量%との合計100質量%からなるジエン系ゴム100質量部に、シリカを105~125質量部、重量平均分子量が1万以上5万以下の
液状低分子量ブタジエンゴムを10~20質量部、熱可塑性樹脂を2~9質量部および可塑剤を配合してなり、前記
液状低分子量ブタジエンゴムおよび可塑剤の合計が40~70質量部である、タイヤ用ゴム組成物により成形されてなる空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記
液状低分子量ブタジエンゴムおよび可塑剤の合計に対する、前記
液状低分子量ブタジエンゴムの質量比が、0.1以上0.4以下である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記シリカのCTAB吸着比表面積が130m
2/g以上180m
2/g以下である、請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
重量平均分子量が80万以上のスチレンブタジエンゴム50~70質量%と、ブタジエンゴム30~50質量%との合計100質量%からなるジエン系ゴム100質量部に、シリカを100~150質量部、重量平均分子量が1万以上5万以下の
液状低分子量ブタジエンゴムを10~20質量部、熱可塑性樹脂を2~9質量部および可塑剤を配合してなり、前記
液状低分子量ブタジエンゴムおよび可塑剤の合計が40~70質量部である、タイヤ用ゴム組成物により成形されてなる空気入りタイヤであって、
前記空気入りタイヤのトレッドパターンが、タイヤ周方向に延在する、3本以上の周方向主溝と、隣り合う2本の前記周方向主溝によって区画された陸部を有し、
前記陸部のタイヤ幅方向外側の端部は、タイヤ幅方向の位置が周期的に変化するジグザグ形状であり、前記陸部のタイヤ幅方向内側のエッジはストレート形状であり、
前記陸部に複数のラグ溝が設けられ、かつ、隣り合う前記ラグ溝の間に、前記タイヤ幅方向外側の端部からタイヤ幅方向内側の端部まで連続して延在するサイプが設けられ、
前記サイプが、2つの屈曲部を有する略Z字形状を有し、前記屈曲部が前記陸部のタイヤ幅方向の中心線よりもタイヤ幅方向内側にある、空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐経時変化性能、耐摩耗性、耐チッピング性および雪上性能に優れた空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
高性能車両に装着されるオールシーズンタイヤには、安全性を高めるためドライグリップ性能、ウェットグリップ性能および雪上性能に優れることに加え、長く使い続けることができる耐久性(耐経時変化性能)や耐摩耗性、また悪路走行時に損傷を受けない耐チッピング性を高くすることが求められている。しかしこれらの特性は相反するため高次元で両立させることが困難である。例えばウェットグリップ性能を改良するため、タイヤ用ゴム組成物におけるシリカの配合量を多くすると、ゴム硬度が高くなり剛性が高くなるため、雪上性能が低下してしまう。一方、雪上性能を維持するため、可塑剤の配合量を多くしてゴム硬度を低くしようとすると、ゴム組成物の強度が低下し、耐摩耗性や耐チッピング性の悪化が懸念される。また、長く使い続けることにより可塑剤の含有量が減少し、雪上性能などの特性が設計された特性から変化してしまうことが懸念されるという課題があった。
【0003】
特許文献1は、ウェットグリップ性能、氷上グリップ性能および低転がり抵抗性を重視するオールシーズン向けタイヤを、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、シリカおよび可塑剤を含みこれらの含有量が特別な関係式を満たすゴム組成物で作成することを開示する。しかし、オールシーズン向けの空気入りタイヤに対し需要者が求める性能、とりわけ耐経時変化性能、耐摩耗性、耐チッピング性および雪上性能を兼備させる要求は、より高いものとなり更なる改良が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、耐経時変化性能、耐摩耗性、耐チッピング性および雪上性能に優れた空気入りタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明の空気入りタイヤは、重量平均分子量が80万以上のスチレンブタジエンゴム50~70質量%と、ブタジエンゴム30~50質量%との合計100質量%からなるジエン系ゴム100質量部に、シリカを105~125質量部、重量平均分子量が1万以上5万以下の液状低分子量ブタジエンゴムを10~20質量部、熱可塑性樹脂を2~9質量部および可塑剤を配合してなり、前記液状低分子量ブタジエンゴムおよび可塑剤の合計が40~70質量部である、タイヤ用ゴム組成物により成形されてなることを特徴とする。
また、本発明の空気入りタイヤは、重量平均分子量が80万以上のスチレンブタジエンゴム50~70質量%と、ブタジエンゴム30~50質量%との合計100質量%からなるジエン系ゴム100質量部に、シリカを100~150質量部、重量平均分子量が1万以上5万以下の液状低分子量ブタジエンゴムを10~20質量部、熱可塑性樹脂を2~9質量部および可塑剤を配合してなり、前記液状低分子量ブタジエンゴムおよび可塑剤の合計が40~70質量部である、タイヤ用ゴム組成物により成形されてなる空気入りタイヤであって、前記空気入りタイヤのトレッドパターンが、タイヤ周方向に延在する、3本以上の周方向主溝と、隣り合う2本の前記周方向主溝によって区画された陸部を有し、前記陸部のタイヤ幅方向外側の端部は、タイヤ幅方向の位置が周期的に変化するジグザグ形状であり、前記陸部のタイヤ幅方向内側のエッジはストレート形状であり、前記陸部に複数のラグ溝が設けられ、かつ、隣り合う前記ラグ溝の間に、前記タイヤ幅方向外側の端部からタイヤ幅方向内側の端部まで連続して延在するサイプが設けられ、前記サイプが、2つの屈曲部を有する略Z字形状を有し、前記屈曲部が前記陸部のタイヤ幅方向の中心線よりもタイヤ幅方向内側にあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の空気入りタイヤによれば、上述したタイヤ用ゴム組成物により成形されるので、耐摩耗性、耐チッピング性および雪上性能に優れると共に、耐経時変化性能にも優れたタイヤ用ゴム組成物を得ることができる。
【0008】
タイヤ用ゴム組成物は、前記低分子量ブタジエンゴムおよび可塑剤の合計に対する、前記低分子量ブタジエンゴムの質量比が、0.1以上0.4以下であるとよく、長期使用による経時変化を抑制し、耐摩耗性、耐チッピング性および雪上性能の優れたバランスを長続きさせることができる。
【0009】
前記シリカのCTAB吸着比表面積が130m2/g以上180m2/g以下であるとよく、雪上性能をより優れたものにすることができる。
【0010】
前記空気入りタイヤのトレッドパターンは、タイヤ周方向に延在する、3本以上の周方向主溝と、隣り合う2本の前記周方向主溝によって区画された陸部を有し、前記陸部のタイヤ幅方向外側の端部は、タイヤ幅方向の位置が周期的に変化するジグザグ形状であり、前記陸部のタイヤ幅方向内側のエッジはストレート形状であり、前記陸部に複数のラグ溝が設けられ、かつ、隣り合う前記ラグ溝の間に、前記タイヤ幅方向外側の端部からタイヤ幅方向内側の端部まで連続して延在するサイプが設けられ、前記サイプが、2つの屈曲部を有する略Z字形状を有し、前記屈曲部が前記陸部のタイヤ幅方向の中心線よりもタイヤ幅方向内側にあるとよい。これにより、耐チッピング性および雪上性能のバランスをより優れたものにすることができる。
【0011】
本発明の空気入りタイヤは、オールシーズン向けの空気入りタイヤとして優れた性能を有し、特に、そのトレッド部を前記タイヤ用ゴム組成物により成形することにより、耐摩耗性、耐チッピング性および雪上性能に優れると共に、耐経時変化性能を高いレベルで両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す空気入りタイヤのトレッドパターンにおけるミドル陸部の一部を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の空気入りタイヤは、ゴム組成物により成形される部材を含む。このゴム組成物は、スチレンブタジエンゴムを50~70質量%、ブタジエンゴムを30~50質量%含むジエン系ゴム100質量部に対し、シリカを100~150質量部、低分子量ブタジエンゴムを10~20質量部、熱可塑性樹脂を2~9質量部および可塑剤を配合してなる。ここで、低分子量ブタジエンゴムおよび可塑剤の合計は40~70質量部である。また、スチレンブタジエンゴムの重量平均分子量は80万以上、低分子量ブタジエンゴムの重量平均分子量は1万以上5万以下である。
【0014】
ジエン系ゴムは、スチレンブタジエンゴムおよびブタジエンゴムとからなる。スチレンブタジエンゴムは、溶液重合スチレンブタジエンゴム、乳化重合スチレンブタジエンゴムのいずれでもよく、また官能基を有する変性スチレンブタジエンゴムでもよい。スチレンブタジエンゴムの重量平均分子量は80万以上、好ましくは80万以上150万以下、より好ましくは90万以上130万以下である。重量平均分子量が80万以上のスチレンブタジエンゴムを配合することにより、ゴム強度を高くし、耐久性、耐チッピング性を高くすることができる。本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により標準ポリスチレン換算値として得ることができる。
【0015】
スチレンブタジエンゴムの含有量は、ジエン系ゴム100質量%中、50質量%以上70質量%以下、好ましくは55~70質量%、より好ましくは58~70質量%である。スチレンブタジエンゴムが50質量%未満であると、耐久性、耐チッピング性が低下する。70質量%を超えると、雪上性能を十分に改良することができない。
【0016】
ブタジエンゴムは、タイヤ用ゴム組成物に通常用いられるものであれば特に制限されるものではない。ブタジエンゴムは、ガラス転移温度が低いため、タイヤ用ゴム組成物に配合することにより、雪上性能を改良することができる。ブタジエンゴムの含有量は、ジエン系ゴム100質量%中、30質量%以上50質量%以下、好ましくは30~45質量%、より好ましくは30~40質量%である。ブタジエンゴムが30質量%未満であると、雪上性能を十分に改良することができない。ブタジエンゴムが50質量%を超えると、耐久性、耐チッピング性が低下する。
【0017】
タイヤ用ゴム組成物において、ジエン系ゴムは、スチレンブタジエンゴムおよびブタジエンゴムを含むが、その混合工程、成形工程におけるリサイクルを禁止するものではない。例えばゴム組成物からなる未加硫シートを使用し成形ドラム上の所定の位置に巻きつけることによりトレッド部をグリーン成形するとき、未加硫シートを巻きつける前後に切り落とされた未加硫シートの小片が工程間リサイクルされるときがある。このとき、未加硫シートの小片は、本発明の目的に反しない限り、タイヤ用ゴム組成物の調製時に配合してもよい。タイヤ用ゴム組成物において、未加硫シートの小片に含まれる他のジエン系ゴム(例えば天然ゴムやブチルゴム等)が、ジエン系ゴム100質量%中、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下であれば含有されてもよい。
【0018】
タイヤ用ゴム組成物はシリカが配合される。シリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられ、これらを単独または2種以上を組合わせて使用してもよい。またシリカの表面をシランカップリング剤により表面処理が施された表面処理シリカを使用してもよい。
【0019】
シリカは、ジエン系ゴム100質量部に対し100~150質量部、好ましくは100~130質量部、より好ましくは105~125質量部配合する。シリカの配合量を100質量部以上にすることにより、ドライグリップ性能、ウェットグリップ性能および低転がり抵抗性を改良することができる。またシリカの配合量を150質量部以下にすることにより、シリカの分散性を良好にすることができる。
【0020】
シリカのCTAB吸着比表面積は、特に制限されるものではないが、好ましくは130~180m2/g、より好ましくは145~175m2/gであるとよい。シリカのCTAB吸着比表面積を130m2/g以上にすることにより、ゴム組成物のウェットグリップ性能を確保することができる。またシリカのCTAB吸着比表面積を180m2/g以下にすることにより、雪上性能を良好にすることができる。本明細書において、シリカのCTAB吸着比表面積は、ISO 5794により測定された値とする。
【0021】
タイヤ用ゴム組成物は、シリカ以外の他の充填剤を配合することができる。他の充填材として、例えばカーボンブラック、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、クレー、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、硫酸カルシウムを挙げることができ、なかでもカーボンブラックが好ましい。これら他の充填剤は単独または2種以上を組合わせて使用してもよい。
【0022】
タイヤ用ゴム組成物は、好ましくはシランカップリング剤を配合することにより、シリカの分散性を良好にすることができる。シランカップリング剤の配合量は、好ましくはシリカ質量の4~20質量%、より好ましくは5~15質量%であるとよい。シランカップリング剤の配合量が4質量%未満では、シリカの分散性を十分に改良することができない虞がある。シランカップリング剤の配合量が20質量%を超えると、ゴム組成物が早期加硫を起こしやすくなり成形加工性が悪化する虞がある。
【0023】
シランカップリング剤としては、タイヤ用ゴム組成物に使用可能なものであれば特に制限されるものではないが、例えば、ビス-(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジサルファイド、3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラサルファイド、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン等の硫黄含有シランカップリング剤を例示することができる。なかでもメルカプト基を有するシランカップリング剤が好ましく、シリカとの親和性を高くしその分散性を改良することができる。これらシランカップリング剤は、単独で配合してもよいし、複数を組合わせて配合してもよい。
【0024】
タイヤ用ゴム組成物は、重量平均分子量が1万以上5万以下の低分子量ブタジエンゴムを配合することにより、長期使用による経時変化を抑制し、優れた耐摩耗性、耐チッピング性および雪上性能を長続きさせることができる。低分子量ブタジエンゴムの重量平均分子量は1万以上5万以下、好ましくは15,000~45,000、より好ましくは20,000~40,000である。低分子量ブタジエンゴムの重量平均分子量が1万未満であると、経時の物性変化を抑制することができない。また低分子量ブタジエンゴムの重量平均分子量が5万を超えると雪上性能を確保するのが難しくなる。重量平均分子量が1万以上5万以下の低分子量ブタジエンゴムは、市販された低分子量ブタジエンゴムのなかから適宜、選んで使用することができる。
【0025】
低分子量ブタジエンゴムは、ジエン系ゴム100質量部に対し10~20質量部、好ましくは10~18質量部、より好ましくは12~18質量部配合する。低分子量ブタジエンゴムが10質量部未満であると、経時の物性変化を抑制する効果が十分に得られない。また、低分子量ブタジエンゴムが20質量部を超えると、耐チッピング性が十分に得られない。
【0026】
タイヤ用ゴム組成物は、低分子量ブタジエンゴムと共に可塑剤を配合する。可塑剤により雪上性能をより優れたものにすることができる。可塑剤として、天然オイル、合成オイル、等を挙げることができる。
【0027】
可塑剤の配合量は、低分子量ブタジエンゴムおよび可塑剤の合計が、ジエン系ゴム100質量部に対し40~70質量部、好ましくは40~65質量部、より好ましくは40~60質量部である。低分子量ブタジエンゴムおよび可塑剤の合計が40質量部未満であると、雪上性能が低下する。また、低分子量ブタジエンゴムおよび可塑剤の合計が70質量部を超えると、耐摩耗性、耐チッピング性が低下する。なお本明細書において、ジエン系ゴムが油展成分を含有するとき、その油展成分の含有量も可塑剤の配合量とみなす。
【0028】
低分子量ブタジエンゴムおよび可塑剤の合計に対する、低分子量ブタジエンゴムの質量比は、0.1以上0.4以下、好ましくは0.2以上0.4以下、より好ましくは0.2以上0.3以下である。低分子量ブタジエンゴムの質量比を0.1以上にすることにより、経時の物性変化を抑制する効果がより大きくなり好ましい。また、低分子量ブタジエンゴムの質量比を0.4以下にすることにより、雪上性能をより優れたものにすることができ好ましい。
【0029】
タイヤ用ゴム組成物は、熱可塑性樹脂を配合することにより、雪上性能を優れたものにすると共に、経時の物性変化を抑制することができる。熱可塑性樹脂は、ジエン系ゴム100質量部に対し2~9質量部、好ましくは3~9質量部、より好ましくは4~8質量部配合する。熱可塑性樹脂が2質量部未満であると、雪上性能を優れたものにできず、かつ経時の物性変化を抑制することができない。また熱可塑性樹脂が9質量部を超えると、雪上性能が十分に得られない。
【0030】
熱可能性樹脂の種類としては、特に制限されるものではなく、例えば、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂などの天然樹脂、石油系樹脂、石炭系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂などの合成樹脂及びこれらの変性物が例示される。なかでもテルペン系樹脂及び/又は石油系樹脂が好ましく、特にテルペン系樹脂の変性物が好ましい。
【0031】
テルペン系樹脂としては、例えばα-ピネン樹脂、β-ピネン樹脂、リモネン樹脂、水添リモネン樹脂、ジペンテン樹脂、テルペンフェノール樹脂、テルペンスチレン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水素添加テルペン樹脂等が好適に挙げられる。なかでも芳香族変性テルペン樹脂が好ましく、例えばα-ピネン、βピネン、ジペンテン、リモネンなどのテルペンとスチレン、フェノール、α-メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族化合物とを重合させて得られる芳香族変性テルペン樹脂等が例示される。
【0032】
石油系樹脂としては、芳香族系炭化水素樹脂あるいは飽和または不飽和脂肪族系炭化水素樹脂が挙げられ、例えばC5系石油樹脂(イソプレン、1,3?ペンタジエン、シクロペンタジエン、メチルブテン、ペンテンなどの留分を重合した脂肪族系石油樹脂)、C9系石油樹脂(α-メチルスチレン、o-ビニルトルエン、m-ビニルトルエン、p-ビニルトルエンなどの留分を重合した芳香族系石油樹脂)、C5C9共重合石油樹脂などが例示される。
【0033】
タイヤ用ゴム組成物は、加硫又は架橋剤、加硫促進剤、老化防止剤、可塑剤、加工助剤、液状ポリマー、テルペン系樹脂、熱硬化性樹脂などのタイヤ用ゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤を、本発明の目的を阻害しない範囲内で配合することができる。またかかる添加剤は一般的な方法で混練してゴム組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
【0034】
本発明の空気入りタイヤは、上述したタイヤ用ゴム組成物により、例えばトレッド部、サイド部を成形されてなり、耐経時変化性能、耐摩耗性、耐チッピング性および雪上性能において高次元の優れたバランスを有する。好ましくはオールシーズン向けの空気入りタイヤとして優れた性能を有し、特に、そのトレッド部をタイヤ用ゴム組成物により成形するとよい。そのオールシーズン向けの空気入りタイヤは、耐経時変化性能、耐摩耗性、耐チッピング性および雪上性能に優れ、非常に高性能なタイヤである。
【0035】
空気入りタイヤのトレッドパターンは、特に制限されるものではないが、好ましくは、タイヤ周方向に延在する、3本以上の周方向主溝と、隣り合う2本の前記周方向主溝によって区画された陸部を有し、前記陸部のタイヤ幅方向外側の端部は、タイヤ幅方向の位置が周期的に変化するジグザグ形状であり、前記陸部のタイヤ幅方向内側のエッジはストレート形状であり、前記陸部に複数のラグ溝が設けられ、かつ、隣り合う前記ラグ溝の間に、前記タイヤ幅方向外側の端部からタイヤ幅方向内側の端部まで連続して延在するサイプが設けられ、前記サイプが、2つの屈曲部を有する略Z字形状を有し、前記屈曲部が前記陸部のタイヤ幅方向の中心線よりもタイヤ幅方向内側にあるとよい。これにより、耐チッピング性および雪上性能のバランスをより優れたものにすることができる。
【0036】
以下に記載するタイヤ内部構造は、空気入りタイヤにおける代表的な例であり、本発明の空気入りタイヤは、これに限定されない。
図1は、本発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。
図1は、タイヤ径方向の片側領域の断面図を示している。また、
図1は、空気入りタイヤの一例として、乗用車用ラジアルタイヤを示している。
【0037】
タイヤ子午線方向の断面とは、タイヤ回転軸(図示省略)を含む平面でタイヤを切断したときの断面をいう。また、符号CLは、タイヤ赤道面であり、タイヤ回転軸方向にかかるタイヤの中心点を通りタイヤ回転軸に垂直な平面をいう。タイヤ径方向とは、空気入りタイヤ10の回転軸(図示せず)と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向において回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とはタイヤ径方向において回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ周方向とは、上記回転軸を中心軸とする周り方向をいう。また、タイヤ幅方向とは、上記回転軸と平行な方向をいう。タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLに向かう側、タイヤ幅方向外側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから離れる側をいう。
【0038】
タイヤ赤道面CLとは、空気入りタイヤ10の回転軸に直交するとともに、空気入りタイヤ10のタイヤ幅の中心を通る平面である。タイヤ幅は、タイヤ幅方向の外側に位置する部分同士のタイヤ幅方向における幅、つまり、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから最も離れている部分間の距離である。タイヤ赤道線とは、タイヤ赤道面CL上にあって空気入りタイヤ10のタイヤ周方向に沿う線をいう。本実施形態では、タイヤ赤道線にタイヤ赤道面と同じ符号「CL」を付す。
【0039】
図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤ10は、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、該トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2、2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3、3とを備えている。
【0040】
一対のビード部3、3間にはカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側へ折り返されている。ビードコア5の外周上には断面三角形状のゴム組成物からなるビードフィラー6が配置されている。
【0041】
一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層のベルト層7が埋設されている。これらベルト層7はタイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。ベルト層7において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10度~40度の範囲に設定されている。ベルト層7の補強コードとしては、スチールコードが好ましく使用される。ベルト層7の外周側には、高速耐久性の向上を目的として、補強コードをタイヤ周方向に対して例えば5度以下の角度で配列してなる少なくとも1層のベルトカバー層8が配置されている。ベルトカバー層8の補強コードとしては、ナイロンやアラミド等の有機繊維コードが好ましく使用される。
【0042】
空気入りタイヤ10は、4本の周方向主溝11Aと、11Bと、12Aと、12Bとをトレッド部1に備える。周方向主溝12Aおよび12Bは、タイヤ赤道面CLのタイヤ幅方向外側の位置でタイヤ周方向に延びる。周方向主溝11Aは、周方向主溝12Aよりもタイヤ赤道面CLに近い位置でタイヤ周方向に延びる。周方向主溝11Bは、周方向主溝12Bよりもタイヤ赤道面CLに近い位置でタイヤ周方向に延びる。
【0043】
2本の周方向主溝11Aおよび11Bによって、センター陸部Rcが区画される。また、2本の周方向主溝11Aおよび12Aによってミドル陸部Rmが区画され、2本の周方向主溝11Bおよび12Bによって他のミドル陸部Rmが区画される。周方向主溝12Aのタイヤ幅方向外側は、ショルダー陸部Rsとなる。周方向主溝12Bのタイヤ幅方向外側は、他のショルダー陸部Rsとなる。なお、周方向主溝が3本の場合、センター陸部Rcは設けられず、赤道線CLの両側のミドル陸部Rmと、ミドル陸部Rmのタイヤ幅方向外側のショルダー陸部Rsとからなるトレッド部になる。
【0044】
図2は、
図1の空気入りタイヤのトレッドパターンのミドル陸部Rm(以下、単に陸部Rmと呼ぶことがある)の一部を拡大した図である。陸部Rmは、複数のラグ溝13を有する。ラグ溝13は、タイヤ幅方向およびタイヤ周方向に延在する。ラグ溝13の一端は周方向主溝11A(または11B)に開口する。ラグ溝13の他端は周方向主溝12A(または12B)に開口する。陸部Rmは、タイヤ周方向に隣り合うラグ溝13同士の間に、複数のサイプ16を有する。サイプ16は、タイヤ周方向およびタイヤ幅方向に延在する。サイプ16の一端は周方向主溝11A(または11B)に接続され、サイプ16の他端は周方向主溝12A(または12B)に接続されている。サイプ16は陸部Rmを貫通する貫通サイプである。
【0045】
本例において、陸部Rmのタイヤ幅方向外側のエッジ、すなわち周方向主溝12A(または12B)側のエッジは、ジグザグ形状である。ジグザグ形状は、タイヤ幅方向の位置が周期的に変化する凹凸を有する形状である。陸部Rmのタイヤ幅方向内側のエッジ、すなわち周方向主溝11A(または11B)側のエッジは、凹凸を有していないストレート形状である。
【0046】
陸部Rmにおいて、サイプ16は、隣り合うラグ溝13の間に2本以上設けられており、隣り合うラグ溝13の間に、ジグザグ形状の凸部が3つ以上設けられていることが好ましい。隣り合うラグ溝13の間のサイプ16が2本より少ないと、ジグザグ形状の凸部の数が少なくなってスノー性能が向上しないため好ましくない。
【0047】
また、複数のサイプ16それぞれの直線部ST3同士は互いに平行である。ここで、平行とは、2つのサイプ16それぞれの中心線を延長した2つの直線L16のなす角度が±5°以内であることをいう。2つの直線L16が完全に平行である場合には、2つの直線L16のなす角度は0°になる。
【0048】
さらに、複数のラグ溝13は互いに平行である。ここで、平行とは、2つのラグ溝13それぞれの中心線を延長した2つの直線L13のなす角度が±5°以内であることをいう。2つの直線L13が完全に平行である場合には、2つの直線L13のなす角度は0°になる。
【0049】
図2において、サイプ16の一端は周方向主溝11Aに接続され、他端は周方向主溝12Aに接続される。本例のサイプ16は、直線部ST1、ST2およびST3と、屈曲部C1およびC2とから構成される。直線部ST1は、周方向主溝11A側すなわちタイヤ幅方向内側に配置されている。直線部ST1は、陸部Rmのタイヤ幅方向内側のエッジに接続される。直線部ST3は、周方向主溝12A側すなわちタイヤ幅方向外側に配置されている。直線部ST3は、陸部Rmのタイヤ幅方向外側のエッジに接続される。直線部ST1の延在方向の長さは、直線部ST3の延在方向の長さよりも短い。
【0050】
直線部ST1の一端は周方向主溝11Aに接続され、直線部ST1の他端は屈曲部C1の一端に接続される。屈曲部C1の他端は直線部ST2に接続される。直線部ST3の一端は周方向主溝12Aに接続され、直線部ST3の他端は屈曲部C2の一端に接続される。屈曲部C2の他端は直線部ST2に接続される。このように、直線部ST1と直線部ST2との間に屈曲部C1、直線部ST2と直線部ST3との間に屈曲部C2が設けられることによって、サイプ16は略Z字形状を有している。Z字形状とは、屈曲部を少なくとも2つ含み、直線部同士が屈曲部によって接続された形状である。なお、Z字形状には、円弧で構成されたS形状を含んでもよい。
【0051】
トレッドパターンは、ジグザグ溝と略Z字形状のサイプ16とを設けることでエッジ効果が増加する。略Z字形状の屈曲点とジグザグ部とが近接するとジグザグ部の近傍のブロック剛性が低下し、チッピングの懸念がある。このため、サイプ16の屈曲点とジグザグ部とを離れた位置に設けることによって、スノー性能と耐チッピング性能とを両立させることができる。
【0052】
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0053】
表3に示す配合剤を共通配合とし、表1,2に示す配合からなるタイヤ用ゴム組成物(実施例1~6、標準例、比較例1~9)を、硫黄および加硫促進剤を除く成分を、1.7Lの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練りした後、ミキサーから放出して室温冷却した。これを1.7Lの密閉式バンバリーミキサーに投入し、硫黄および加硫促進剤を加えて混合することにより、タイヤ用ゴム組成物を調製した。また表3に記載した配合剤の配合量は、表1,2に記載したジエン系ゴム100質量部に対する質量部で示した。
【0054】
得られたタイヤ用ゴム組成物を所定の金型を使用し160℃で20分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を作製し、耐経時変特性(ゴム硬度の熱老化前後の変化率)および耐摩耗性を評価した。
【0055】
耐経時変化性(ゴム硬度の熱老化前後の変化率)
得られた加硫ゴム試験片を使用し、JIS K 6253に準拠し複数のゴム硬度測定用の試験片を作成した。一部の試験片のゴム硬度を、JIS K 6253に準拠しデュロメータのタイプAにより23℃で測定した。このゴム硬度を老化前のゴム硬度R0とする。他の試験片について、温度80℃の環境下で、168時間の劣化促進試験を行った後、23℃の恒温恒湿環境で48時間、静置した。その後、ゴム硬度を、JIS K 6253に準拠しデュロメータのタイプAにより23℃で測定した。このゴム硬度を老化後のゴム硬度R1とする。得られたゴム硬度R0およびR1から、ゴム硬度の熱老化前後の変化率[(R1-R0)/R0×100(%)]を算出した。得られた結果は標準例の値を100にする指数として表1,2の「耐経時変特性」の欄に示した。この指数が小さいほど経時に伴う物性変化が少なく、耐経時変特性が優れることを意味する。
【0056】
耐摩耗性
得られた加硫ゴム試験片をJIS K6264に準拠して、ランボーン摩耗試験機(岩本製作所社製)を使用して、温度20℃、荷重39N、スリップ率30%、時間4分の条件で摩耗量を測定した。得られた結果は標準例の逆数を100にする指数として表1,2の「耐摩耗性」の欄に示した。この指数が大きいほど耐摩耗性が優れることを意味する。
【0057】
上記で得られたタイヤ用ゴム組成物をトレッドゴムに使用した16種類の空気入りタイヤ(タイヤサイズ225/65R17 102H)を加硫成形し、以下に示す試験方法で、耐チッピング性および雪上性能を測定した。ここで、実施例2を除く実施例、標準例および比較例の空気入りタイヤは、
図2に対応するミドル陸部において、タイヤ幅方向内側(すなわちセンター側)の端部およびタイヤ幅方向外側(すなわちショルダー側)の端部をストレート形状、ミドル陸部のサイプをストレート形状とした。一方、実施例2の空気入りタイヤは、
図2に対応するミドル陸部のタイヤ幅方向内側(すなわちセンター側)の端部端部をストレート形状、ミドル陸部のタイヤ幅方向外側(すなわちショルダー側)の端部をタイヤ幅方向の位置が周期的に変化する凹凸を有するジグザグ形状とし、ミドル陸部のサイプを略Z字形状とした。
【0058】
耐チッピング性
上記で得られた空気入りタイヤを標準リムに組み付け、空気圧230kPaを充填し、試験車両に装着した。試験車両をオフロード路面のコースを周回走行し、450周走行後のトレッド面の欠けの個数を測定した。得られた結果は、それぞれの逆数を算出し、標準例の値を100にする指数として表1,2の「耐チッピング性」の欄に記載した。この指数がトレッド面の欠けが少なく、優れることを意味する。
【0059】
雪上性能
上記で得られた空気入りタイヤを標準リムに組み付け、空気圧230kPaを充填し、試験車両に装着した。試験車両を圧雪路面上を走行させ、初速40km/時で制動をかけたときの制動距離を測定した。得られた結果は、それぞれの逆数を算出し、標準例の値を100にする指数として表1,2の「雪上性能」の欄に記載した。この指数が大きいほど制動距離が短く、優れることを意味する。
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
表1~3において、使用した原材料の種類は、以下の通りである。
・SBR-1:スチレンブタジエンゴム、JSR社製HP755、重量平均分子量が105万。
・SBR-1:スチレンブタジエンゴム、日本ゼオン社製Nipol 1502、重量平均分子量が45万。
・BR:ブタジエンゴム、日本ゼオン社製Nipol BR1220
・シリカ-1:SOLVAY社製ZEOSIL 1165MP、CTAB吸着比表面積が160m2/g
・シリカ-2:SOLVAY社製Premium ZEOSIL 200MP、CTAB吸着比表面積が200m2/g
・シリカ-3:SOLVAY社製ZEOSIL 1115MP、CTAB吸着比表面積が115m2/g
・カーボンブラック:CABOT社製シヨウブラック N234、窒素吸着比表面積が115m2/g
・カップリング剤:スルフィド系シランカップリング剤、Evonik Degussa社製Si69、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド
・液状BR-1:低分子量ブタジエンゴム、クラレ社製LBR305、重量平均分子量が3万。
・液状BR-2:低分子量ブタジエンゴム、クラレ社製LBR302、重量平均分子量が5000。
・可塑剤:アロマオイル、H&Rケミカル社製VIVATEC 500
・芳香族変性テルペン樹脂:ヤスハラケミカル社製TO-125
・酸化亜鉛:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
・ステアリン酸:日油社製ビーズステアリン酸
・硫黄:鶴見化学工業社製金華印油入微粒硫黄(硫黄の含有量95.24質量%)
・加硫促進剤:大内新興化学工業社製ノクセラーCZ-G(CZ)
【0064】
表1,2から明らかなように実施例1~6は、耐経時変化性能、耐摩耗性、耐チッピング性および雪上性能に優れることが確認された。
【0065】
比較例1は、低分子量ブタジエンゴムを配合しないので、耐経時変化性能、耐摩耗性、耐チッピング性および雪上性能が劣る。
比較例2は、スチレンブタジエンゴムの重量平均分子量が80万未満なので、耐摩耗性、耐チッピング性および雪上性能が劣る。
比較例3は、低分子量ブタジエンゴムの重量平均分子量が1万未満なので、耐経時変化性能、耐摩耗性、耐チッピング性および雪上性能が劣る。
比較例4は、熱可塑性樹脂を配合しないので、耐経時変化性能、耐チッピング性および雪上性能が劣る。
比較例5は、シリカの配合量が100質量部未満なので、耐摩耗性が劣る。
比較例6は、シリカの配合量が150質量部を超えるので、雪上性能が劣る。
比較例7は、低分子量ブタジエンゴムの配合量が10質量部未満なので、耐経時変化性能、雪上性能が劣る。
比較例8は、低分子量ブタジエンゴムの配合量が20質量部を超えるので、耐チッピング性が劣る。
比較例9は、熱可塑性樹脂の配合量が9質量部を超えるので、雪上性能が劣る。