(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、硬化物及び積層体
(51)【国際特許分類】
C08F 2/44 20060101AFI20221018BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20221018BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20221018BHJP
B32B 9/00 20060101ALI20221018BHJP
B32B 9/04 20060101ALI20221018BHJP
H01B 5/14 20060101ALI20221018BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20221018BHJP
C08F 22/10 20060101ALN20221018BHJP
【FI】
C08F2/44 A
B32B27/18 Z
B32B27/30 A
B32B9/00 A
B32B9/04
H01B5/14 A
G06F3/041 490
C08F22/10
(21)【出願番号】P 2019173651
(22)【出願日】2019-09-25
【審査請求日】2021-06-14
(31)【優先権主張番号】P 2018180280
(32)【優先日】2018-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大江 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】大西 崇之
(72)【発明者】
【氏名】小谷野 浩壽
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-139061(JP,A)
【文献】特開2014-209333(JP,A)
【文献】特開2016-137611(JP,A)
【文献】特開2017-140799(JP,A)
【文献】特開2016-189102(JP,A)
【文献】特開2016-225269(JP,A)
【文献】特開2016-192182(JP,A)
【文献】特開2017-019938(JP,A)
【文献】特許第6284068(JP,B1)
【文献】特開2011-039332(JP,A)
【文献】特開2015-075886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00 - 2/60
B32B 1/00 -43/00
H01B 5/14
G06F 3/041
C08F22/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上にインデックスマッチング層、透明導電層を順に有する積層体のインデックスマッチング層形成用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物であって、
(A)屈折率が1.7以上の金属酸化物粒子、
(B)屈折率が1.5以下の金属酸化物粒子、
(C)(メタ)アクリロイル基を有する化合物、及び
(D)光重合開始剤を含み、
下記の条件を満たすインデックスマッチング層形成用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
条件:インデックスマッチング層の屈折率が1.62以上1.72以下であり、X線光電子分光法により測定される透明導電層側のインデックスマッチング層表層における(B)成分の金属元素と(A)成分の金属元素との質量比((B)成分の金属元素/(A)成分の金属元素)が0.3以上である。
【請求項2】
(A)成分がシランカップリング剤で表面処理された金属酸化物粒子であり、(B)成分がシロキサン化合物又はシラザンで表面処理された金属酸化物粒子である請求項1に記載のインデックスマッチング層形成用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項3】
シランカップリング剤がウレタン(メタ)アクリレート構造含有トリメトキシシランである請求項
2に記載のインデックスマッチング層形成用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項4】
シロキサン化合物がポリジメチルシロキサンであり、シラザンがビス(トリメチルシリル)アミンである請求項
2に記載のインデックスマッチング層形成用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれかに記載のインデックスマッチング層形成用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物。
【請求項6】
基材、請求項
5に記載の硬化物及び透明導電層の順に有する積層体。
【請求項7】
透明導電層がスズドープ酸化インジウム(ITO)であって、JIS K5600-5-6に準じたクロスカット法によって測定されるインデックスマッチング層と透明導電層との間で剥離する割合が10%未満である請求項
6に記載の積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、硬化物及び積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルセンサーに用いられる透明導電性フィルムは透明導電層をフォトリソエッチングすることにより配線パターンを形成する。しかし配線パターン部分とエッチング部分の反射率の差が大きく配線パターンが見えてしまう問題があった。この問題を解決するために、基板と透明導電層の間に屈折率の異なる層(インデックスマッチング層)を設けることで、配線パターン部分とエッチング部分の反射率の差を小さくし、配線パターンを視認させにくくする技術が知られている。特許文献1には、基板上に少なくとも1層のアンダーコート層を設け、このアンダーコート層の上に透明導電層を設けた積層体が開示されており、特許文献2には、基板上に高屈折率層、低屈折率層および透明導電性薄膜層をこの順に積層した積層体が開示されている。また、特許文献3は、骨見え抑制するために、透明基板と透明電極層の間に硬化樹脂層を設けた積層体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-76432号公報
【文献】特開2010-15861号公報
【文献】WO2010/114056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のインデックスマッチング層は透明導電層との付着性が十分ではなくタッチパネルセンサーへの加工時に剥離が生じてしまう問題があった。
【0005】
本発明では、付着性に優れつつもインデックスマッチング層としての機能も良好な活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、硬化物及び積層体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討したところ、所定の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を用いることにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の項目1~項目8に関する。
(項目1)
基材上にインデックスマッチング層、透明導電層を順に有する積層体のインデックスマッチング層形成用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物であって、
(A)屈折率が1.7以上の金属酸化物粒子、
(B)屈折率が1.5以下の金属酸化物粒子、
(C)(メタ)アクリロイル基を有する化合物、及び
(D)光重合開始剤を含み、
下記の条件を満たすインデックスマッチング層形成用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
条件:インデックスマッチング層の屈折率が1.62以上1.72以下であり、X線光電子分光法により測定される透明導電層側のインデックスマッチング層表層における(B)成分の金属元素と(A)成分の金属元素との質量比((B)成分の金属元素/(A)成分の金属元素)が0.3以上である。
(項目2)
(A)成分がシランカップリング剤で表面処理された金属酸化物粒子であり、(B)成分がシロキサン化合物又はシラザンで表面処理された金属酸化物粒子である項目1に記載のインデックスマッチング層形成用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
(項目3)
シランカップリング剤で表面処理されたジルコニア粒子、シロキサン化合物又はシラザンで表面処理されたシリカ粒子、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、及び光重合開始剤を含むインデックスマッチング層形成用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
(項目4)
シランカップリング剤がウレタン(メタ)アクリレート構造含有トリメトキシシランである項目2又は3に記載のインデックスマッチング層形成用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
(項目5)
シロキサン化合物がポリジメチルシロキサンであり、シラザンがビス(トリメチルシリル)アミンである項目2又は3に記載のインデックスマッチング層形成用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
(項目6)
項目1~5のいずれかに記載のインデックスマッチング層形成用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物。
(項目7)
基材、項目6に記載の硬化物及び透明導電層の順に有する積層体。
(項目8)
透明導電層がスズドープ酸化インジウム(ITO)であって、JIS K5600-5-6に準じたクロスカット法によって測定されるインデックスマッチング層と透明導電層との間で剥離する割合が10%未満である項目7に記載の積層体。
【発明の効果】
【0008】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を用いることで、インデックスマッチング層と透明導電層との付着性が向上した透明導電性フィルムを得ることが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、
基材上にインデックスマッチング層、透明導電層を順に有する積層体のインデックスマッチング層形成用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物であって、
(A)屈折率が1.7以上の金属酸化物粒子(以下、「(A)成分」ともいう。)、
(B)屈折率が1.5以下の金属酸化物粒子(以下、「(B)成分」ともいう。)、
(C)(メタ)アクリロイル基を有する化合物(以下、「(C)成分」ともいう。)、
(D)光重合開始剤(以下、「(D)成分」ともいう。)を含み、下記の条件を満たすインデックスマッチング層形成用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物(以下、「樹脂組成物」ともいう。)
又は、
シランカップリング剤で表面処理されたジルコニア粒子、シロキサン化合物又はシラザンで表面処理されたシリカ粒子、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、及び光重合開始剤を含むインデックスマッチング層形成用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に関する。
条件:インデックスマッチング層の屈折率が1.62以上1.72以下であり、X線光電子分光法により測定される透明導電層側のインデックスマッチング層表層における(B)成分の金属元素と(A)成分の金属元素との質量比((B)成分の金属元素/(A)成分の金属元素)が0.3以上である。
以下各成分について詳細に説明する。なお、本明細書において、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル及び/又はメタクリロイルのことである。また、本明細書において、金属酸化物粒子とは、金属酸化物同士を重合反応させ、-金属原子-酸素原子-金属原子-の結合を形成させることで得られる一次粒子及び/又は二次粒子のことである。金属酸化物粒子の表面は、通常水酸基で覆われていることから、金属酸化物粒子は通常親水性の物質である。
【0010】
<(A)成分>
(A)成分は、屈折率が1.7以上の金属酸化物粒子である。(A)成分の屈折率は、好ましくは1.7以上3.0以下であり、より好ましくは1.7以上2.4以下である。
【0011】
(A)成分として、特に限定されず、各種公知のものを使用できる。(A)成分として、酸化アルミニウム(屈折率1.7~1.8)、酸化スズ(屈折率1.9~2.0)、酸化亜鉛(屈折率1.9~2.0)、酸化ジルコニウム(屈折率2.0~2.1)、酸化チタン(屈折率2.5~2.8)等が例示される。
【0012】
(A)成分は、分散体であってもよく、粉体であってもよい。
【0013】
(A)成分の分散体の溶液は、各種公知のものであってもよい。(A)成分の分散体の溶液は、水又は有機溶媒等が例示される。
【0014】
有機溶媒は、各種公知のものであってもよい。有機溶媒として、ケトン溶媒、芳香族溶媒、アルコール溶媒、グリコールエーテル溶媒、エステル溶媒、石油系溶媒、ハロアルカン溶媒、アミド溶媒等が例示される。
【0015】
ケトン溶媒として、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が例示される。
【0016】
芳香族溶媒として、トルエン、キシレン等が例示される。
【0017】
アルコール溶媒として、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール等が例示される。
【0018】
グリコールエーテル溶媒として、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が例示される。
【0019】
エステル溶媒として、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブアセテート、セロソルブアセテート等が例示される。
【0020】
石油系溶媒として、ソルベッソ#100(エクソン社製)、ソルベッソ#150(エクソン社製)等が例示される。
【0021】
ハロアルカン溶媒として、クロロホルム等が例示される。
【0022】
アミド溶媒として、ジメチルホルムアミド等が例示される。
【0023】
有機溶媒として例示された物質及び有機溶媒として公知のものを単独で、或いは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0024】
酸化アルミニウムは、市販された製品であってもよい。当該製品として、酸化アルミニウム粉体(製品名「酸化アルミニウム」、富士フイルム和光純薬(株)製)、酸化アルミニウム水分散体(製品名「アルミナゾル200」、日産化学(株)製)等が例示される。
【0025】
酸化スズは、市販された製品であってもよい。当該製品として、酸化スズナノ粉末(製品名「アンチモンフリー透明導電性粉末S-1」、三菱マテリアル電子化成(株)製)、リンドープ酸化スズナノ粉末(製品名「アンチモンフリー透明導電性粉末SP-2」、三菱マテリアル電子化成(株)製)、酸化スズ粉末(製品名「酸化第二錫」、日本化学産業(株)製)等が例示される。
【0026】
酸化亜鉛は、市販された製品であってもよい。当該製品として、酸化亜鉛微粒子(製品名「超微粒子酸化亜鉛」、堺化学工業(株)製)、酸化亜鉛粉末(製品名「酸化亜鉛」、富士フィルム和光純薬(株)製)、酸化亜鉛アニオン系分散体(製品名「水性亜鉛華 AZ-SW」、大崎工業(株)製)等が例示される。
【0027】
酸化ジルコニウムは、市販された製品であってもよい。当該製品として、ジルコニア粒子水分散体(製品名「Zirconeo-Cw」、(株)アイテック製)、ジルコニア粒子メチルエチルケトン/メタノール分散体(製品名「Zirconeo-Ck」、(株)アイテック製)、ジルコニア粒子メチルエチルケトン分散体(製品名「ジルコスターType1」、(株)日本触媒製)、ジルコニア粒子粉体(製品名「Zirconeo-Cp」「Zirconeo-Rp」、(株)アイテック製)等が例示される。
【0028】
酸化チタンは、市販された製品であってもよい。当該製品として、酸化チタン粉体(製品名「微粒子酸化チタンMT-500B」「微粒子酸化チタンMT-600B」「微粒子酸化チタンMT-700B」、テイカ(株)製)、酸化チタン水溶液(製品名「ミラクルチタン」、金森藤平商事(株)製)等が例示される。
【0029】
(A)成分は、スズドープ酸化インジウムからなる透明導電層(以下、「ITO膜」ともいう。)の配線パターンを見えづらくする効果(以下、「骨見え防止効果」ともいう。)に優れることから、好ましくは酸化ジルコニウム又は酸化チタンである。さらに、(A)成分は、樹脂組成物が十分に硬化すること(以下、「硬化性」ともいう。)に優れることから、好ましくは酸化ジルコニウムである。
【0030】
<(A)成分の表面処理>
(A)成分は表面処理工程を経た金属酸化物粒子であってもよい。表面処理工程とは、粒子表面を表面処理剤で修飾し、疎水化する工程のことである。
【0031】
表面処理剤は、特に限定されず、各種公知のものであってもよい。表面処理剤として、シロキサン化合物、界面活性剤、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、シラザン等が例示される。
【0032】
シロキサン化合物として、モノアミン変性シリコーン、ジアミン変性シリコーン、メトキシ変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、(メタ)アクリレート変性シリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、脂環式エポキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、(メタ)アクリル変性シリコーン、ハイドロジェン変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、シラノール変性シリコーン、アミノ・ポリエーテル変性シリコーン、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーン、エポキシ・アラルキル変性シリコーン、カルボン酸無水物変性シリコーン等の変性シリコーン、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン等のストレートシリコーン等が例示される。
【0033】
シロキサン化合物は、市販された製品であってもよい。当該製品として、特に限定されないが、モノアミン変性シリコーン(製品名「KF-868」「KF-865」、信越化学工業(株)製)、ジアミン変性シリコーン(製品名「KF-859」「KF-393」、信越化学工業(株)製)、エポキシ変性シリコーン(製品名「X-22-343」「KF-101」「X-22-2000」、信越化学工業(株)製)、脂環式エポキシ変性シリコーン(製品名「X-22-2046」「KF-102」、信越化学工業(株)製)、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーン(製品名「X-22-4741」「KF-1002」、信越化学工業(株)製)、エポキシ・アラルキル変性シリコーン(製品名「KF-1005」、信越化学工業(株)製)、カルビノール変性シリコーン(製品名「X-22-4039」「X-22-4015」、信越化学工業(株)製)、メルカプト変性シリコーン(製品名「KF-2001」「KF-2004」、信越化学工業(株)製)、カルボキシル変性シリコーン(製品名「X-22-3701E」、信越化学工業(株)製)、ハイドロジェン変性シリコーン(製品名「KF-99」「KF-9901」、信越化学工業(株)製)、メタクリル変性シリコーン(製品名「X-22-164」「X-22-164AS」、信越化学工業(株)製)、ポリエーテル変性シリコーン(製品名「KF-351A」「X-22-4515」、信越化学工業(株)製)、フェノール変性シリコーン(製品名「KF-2201」、信越化学工業(株)製)、シラノール変性シリコーン(製品名「X-21-5841」、信越化学工業(株)製)、アクリル変性シリコーン(製品名「X-22-2445」、信越化学工業(株)製)、カルボン酸無水物変性シリコーン(製品名「X-22-168AS」「X-22-168A」、信越化学工業(株)製)、ポリジメチルシロキサン(製品名「KF-96L0.65cs」、信越化学工業(株)製)、ポリメチルフェニルシロキサン(製品名「KF-50-100cs」、信越化学工業(株)製)、ポリメチルハイドロジェンシロキサン(製品名「KF-99」、信越化学工業(株)製)等が例示される。
【0034】
界面活性剤として、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ヘキサンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、塩化テトラメチルアンモニウム、モノメチルアミン塩酸塩、塩化ブチルピリジニウム、モノステアリン酸グリセリン、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等が例示される。
【0035】
界面活性剤は、市販された製品であってもよい。当該製品として、特に限定されないが、オレイン酸ナトリウム(製品名「オレイン酸ナトリウム」、富士フィルム和光純薬(株)製)、ステアリン酸ナトリウム(製品名「ステアリン酸ナトリウム」、富士フィルム和光純薬(株)製)、ラウリン酸ナトリウム(製品名「ラウリン酸ナトリウム」、富士フィルム和光純薬(株)製)、ヘキサンスルホン酸ナトリウム(製品名「1-ヘキサンスルホン酸ナトリウム」、富士フィルム和光純薬(株)製)、トルエンスルホン酸ナトリウム(製品名「p-トルエンスルホン酸ナトリウム」、富士フィルム和光純薬(株)製)、塩化テトラメチルアンモニウム(製品名「塩化テトラメチルアンモニウム」、ナカライテスク(株)製)、モノメチルアミン塩酸塩(製品名「モノメチルアミン塩酸塩」、昭和化学(株)製)、塩化ブチルピリジニウム(製品名「塩化N-n-ブチルピリジニウム」、富士フィルム和光純薬(株)製)、モノステアリン酸グリセリン(製品名「レオドール MS-50」、花王(株)製)、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(製品名「エマルゲン 404」、花王(株)製)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(製品名「レオドールスーパー TW-L120」、花王(株)製)等が例示される。
【0036】
シランカップリング剤として、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン等が例示される。
【0037】
シランカップリング剤は、市販された製品であってもよい。当該製品として、特に限定されないが、ビニルトリメトキシシラン(製品コード「V0042」、東京化成工業(株)製)(製品名「KBM-1003」、信越化学工業(株)製)、ビニルトリエトキシシラン(製品名「KBE-1003」、信越化学工業(株)製)、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(製品名「KBM-303」、信越化学工業(株)製)、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(製品名「KBM-402」、信越化学工業(株)製)、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(製品名「KBM-403」、信越化学工業(株)製)、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(製品名「KBE-402」、信越化学工業(株)製)、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(製品名「KBE-403」、信越化学工業(株)製)、p-スチリルトリメトキシシラン(製品名「KBM-1403」、信越化学工業(株)製)、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(製品名「KBM-502」、信越化学工業(株)製)、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(製品名「KBM-503」、信越化学工業(株)製)、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン(製品名「KBE-502」、信越化学工業(株)製)、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(製品名「KBM-5103」、信越化学工業(株)製)、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン(製品名「KBM-602」、信越化学工業(株)製)、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン(製品名「KBE-9103」、信越化学工業(株)製)、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート(製品名「KBM-9659」、信越化学工業(株)製)、3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン(製品名「KBE-585」、信越化学工業(株)製)、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(製品名「KBM-802」、信越化学工業(株)製)、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(製品名「KBE-9007」、信越化学工業(株)製)、(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン(製品コード「M0928」、東京化成工業(株)製)等が例示される。
【0038】
チタンカップリング剤として、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(ドデシル)ベンゼンスルホニルチタネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシートリ(ジオクチル)ホスフェイトチタネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシートリネオドデカノイルチタネート等が例示される。
【0039】
チタンカップリング剤は、市販された製品であってもよい。当該製品として、特に限定されないが、イソプロピルトリ(ドデシル)ベンゼンスルホニルチタネート(製品名「イソプロピルトリ(ドデシルベンゼンスルホン酸)チタネート」、HANGZHOU JESSICA CHEMICAL社製)等が例示される。
【0040】
シラザンとして、ビス(トリメチルシリル)アミン、テトラメチル-1,3-ビス(クロロメチル)ジシラザン、1,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)-1,1,3,3-テトラメチルジシラザン、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシラザン、1,3-ジフェニルテトラメチルジシラザン、2,2,4,4,6,6-ヘキサメチルシクロトリシラザン等が例示される。
【0041】
シラザンは、市販された製品であってもよい。当該製品として、特に限定されないが、ビス(トリメチルシリル)アミン(製品コード「H0089」、東京化成工業(株)製)、テトラメチル-1,3-ビス(クロロメチル)ジシラザン(製品コード「B0990」、東京化成工業(株)製)、1,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)-1,1,3,3-テトラメチルジシラザン(製品コード「B3319」、東京化成工業(株)製)、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシラザン(製品コード「D1769」、東京化成工業(株)製)、1,3-ジフェニルテトラメチルジシラザン(製品コード「D1816」、東京化成工業(株)製)、2,2,4,4,6,6-ヘキサメチルシクロトリシラザン(製品コード「H0909」、東京化成工業(株)製)等が例示される。
【0042】
表面処理剤として例示されたものを、各種公知の方法で他の化学物質と反応させることも可能である。各種公知の方法として、多官能イソシアネートや多官能(メタ)アクリレート等の反応性基を有する物質と表面処理剤とを混合し、40℃以上70℃以下1時間以上6時間以下反応させる方法等が例示される。反応の際には、さらに重合禁止剤や触媒等の従来公知の化学物質を任意で含有してもよい。
【0043】
(A)成分の表面処理剤は、(A)成分と樹脂組成物のその他成分との相溶性及び樹脂組成物の架橋性が優れることから、好ましくはシランカップリング剤であり、より好ましくはビニルトリメトキシシランであり、さらに好ましくは(メタ)アクリレート構造を持つトリメトキシシランであり、特に好ましくはウレタン(メタ)アクリレート構造含有トリメトキシシランである。
【0044】
表面処理剤を用いた(A)成分の表面処理方法は、特に限定されず、各種公知のものであってもよい。表面処理剤を用いた(A)成分の表面処理方法として、湿式法、乾式法等が例示される。
【0045】
湿式法として、
(1)表面処理剤及び(A)成分の分散体、さらに任意で適切な溶液を湿式の混合機(湿式ビーズミルや超音波装置等)に投入し、室温で15分以上1時間以内混合する方法、
(2)表面処理剤及び(A)成分の分散体、さらに任意で適切な溶液を容器に投入し、50℃以上150℃以下で30分以上5時間以内加熱する方法、
等が例示される。
【0046】
乾式法として、表面処理剤と(A)成分の粉体を乾式の混合機(乾式ビーズミルやミキサー等)に投入し、室温で15分以上1時間以内混合する方法等が例示される。
【0047】
(A)成分として例示された物質及び(A)成分として公知のものを単独で、或いは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0048】
(A)成分の粒子径は、好ましくは5nm以上30nm以下であり、より好ましくは10nm以上30nm以下である。
【0049】
本明細書において、粒子径の測定は、JIS Z8828:2013に準拠し、市販の測定機(製品名「DYNAMIC LIGHT SCATTERING NANOPARTICLE SIZE ANALYZER LB-550」、(株)堀場製作所)を用いた動的光散乱法による粒度分布測定によって行う。
【0050】
(A)成分の含有量は、特に限定されないが、ITO膜の骨見え防止効果に優れることから、樹脂組成物の総量に対して好ましくは固形分換算で40質量%以上80質量%以下であり、より好ましくは固形分換算で45質量%以上80質量%以下である。
【0051】
<(B)成分>
(B)成分は、屈折率が1.5以下の金属酸化物粒子である。(B)成分の屈折率は、好ましくは、1.4以上1.5以下である。
【0052】
(B)成分として、特に限定されず、各種公知のものを使用できる。(B)成分として、シリカ粒子(屈折率1.4~1.5)等が例示される。
【0053】
(B)成分は、分散体であってもよく、粉体であってもよい。
【0054】
(B)成分の分散体の溶液は、特に限定されず、各種公知のものであってもよい。(B)成分の分散体の溶液は、(A)成分で例示されたものが例示される。
【0055】
シリカ粒子は、市販された製品であってもよい。当該製品として、特に限定されないが、シリカ粒子水分散体(製品名「sicastar」、micromod社製)(製品名「シーホスタ-KE-W」、(株)日本触媒製)、シリカ粒子エチレングリコール分散体(製品名「シーホスタ-KE-E」、(株)日本触媒製)、シリカ粒子粉体(製品名「シーホスタ-KE-P」、(株)日本触媒製)、シリカ粒子高純度粉体(製品名「シーホスタ-KE-S」、(株)日本触媒製)等が例示される。
【0056】
(B)成分は、インデックスマッチング層と透明導電層との付着性が優れることから、好ましくはシリカ粒子である。
【0057】
<(B)成分の表面処理>
(B)成分は表面処理工程を経た金属酸化物粒子であってもよい。(B)成分の表面処理は、(A)成分の表面処理と同様の方法及び表面処理剤等が用いられる。
【0058】
(B)成分の表面処理剤は、インデックスマッチング層と透明導電層との付着性が優れることから、好ましくはシロキサン化合物又はシラザンであり、より好ましくはポリジメチルシロキサン又はビス(トリメチルシリル)アミンである。インデックスマッチング層と透明導電層との付着性が優れることのメカニズムについて、詳細は不明であるが、上記表面処理剤の疎水度が高いため(B)成分の表面エネルギーが下がり、透明導電層側のインデックスマッチング層表面に(B)成分が移行しやすくなることで付着性が優れたものとなっていると考えている。
【0059】
(B)成分として、表面処理済みの製品を使用してもよい。当該製品として、ポリジメチルシロキサンで表面処理されたシリカ分散体(製品名「NANOBYK-3650」、ビックケミー・ジャパン(株)製、平均粒子径20nm)、ビス(トリメチルシリル)アミンで表面処理されたシリカ分散体(製品名「YA010-LFG」、(株)アドマテックス製、平均粒子径20nm)、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシランで表面処理されたシリカ分散体(製品名「ELCOM V8804」、日揮触媒化成(株)製、平均粒子径10nm)等が例示される。
【0060】
(B)成分として例示された物質及び(B)成分として公知のものを単独で、或いは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0061】
(B)成分の粒子径は、好ましくは5nm以上30nm以下であり、より好ましくは10nm以上20nm以下である。
【0062】
(B)成分の含有量は、特に限定されないが、インデックスマッチング層と透明導電層との付着性が優れることから、樹脂組成物の総量に対して好ましくは固形分換算で3質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは固形分換算で5質量%以上13質量%以下である。
【0063】
(A)成分の金属元素と(B)成分の金属元素の樹脂組成物中の含有量比(質量比)は、特に限定されないが、ITO膜の骨見え防止効果に優れ、インデックスマッチング層の強度が優れることから、好ましくは固形分換算で[(B)成分の金属元素/(A)成分の金属元素]=1/2~1/15であり、より好ましくは1/3~1/14であり、さらにより好ましくは1/3.5~1/13であり、特に好ましくは1/3.5~1/12.5であり、さらに特に好ましくは1/4~1/12.3である。インデックスマッチング層の強度が優れることの推定される要因は以下のものが考えられる。優れた屈折率を呈するために一定量以上の(A)成分を樹脂組成物に含有させることが好ましく、その際に(A)成分の含有量に相対して(B)成分の含有量が多くなりすぎないことで、樹脂組成物中の粒子濃度が過剰となりすぎず、結果としてインデックスマッチング層の強度が優れたものとなっていると考えている。
【0064】
<(C)成分>
(C)成分は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。
【0065】
(C)成分は、特に限定されず、各種公知のものであってもよい。(C)成分として、(メタ)アクリロイル基を有する脂肪族化合物、(メタ)アクリロイル基を有する脂環式化合物、(メタ)アクリロイル基を有する芳香族化合物等が例示される。
【0066】
(メタ)アクリロイル基を有する脂肪族化合物として、1つの(メタ)アクリロイル基を有する脂肪族化合物、2つの(メタ)アクリロイル基を有する脂肪族化合物、3つの(メタ)アクリロイル基を有する脂肪族化合物、4つの(メタ)アクリロイル基を有する脂肪族化合物、5つの(メタ)アクリロイル基を有する脂肪族化合物、6つの(メタ)アクリロイル基を有する脂肪族化合物等が例示される。
【0067】
1つの(メタ)アクリロイル基を有する脂肪族化合物として、イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エトキシ-ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ-トリエチレングルコール(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル-ジグルコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングルコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等が例示される。
【0068】
2つの(メタ)アクリロイル基を有する脂肪族化合物として、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス(メタクリロイルオキシ)プロパノール、デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0069】
3つの(メタ)アクリロイル基を有する脂肪族化合物として、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0070】
4つの(メタ)アクリロイル基を有する脂肪族化合物として、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0071】
5つの(メタ)アクリロイル基を有する脂肪族化合物として、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0072】
6つの(メタ)アクリロイル基を有する脂肪族化合物として、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0073】
(メタ)アクリロイル基を有する脂環式化合物として、1つの(メタ)アクリロイル基を有する脂環式化合物、2つの(メタ)アクリロイル基を有する脂環式化合物、3つの(メタ)アクリロイル基を有する脂環式化合物、4つの(メタ)アクリロイル基を有する脂環式化合物、5つの(メタ)アクリロイル基を有する脂環式化合物、6つの(メタ)アクリロイル基を有する脂環式化合物等が例示される。
【0074】
1つの(メタ)アクリロイル基を有する脂環式化合物として、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が例示される。
【0075】
2つの(メタ)アクリロイル基を有する脂環式化合物として、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0076】
3つの(メタ)アクリロイル基を有する脂環式化合物として、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート等が例示される。
【0077】
(メタ)アクリロイル基を有する芳香族化合物として、1つの(メタ)アクリロイル基を有する芳香族化合物、2つの(メタ)アクリロイル基を有する芳香族化合物、3つの(メタ)アクリロイル基を有する芳香族化合物、4つの(メタ)アクリロイル基を有する芳香族化合物、5つの(メタ)アクリロイル基を有する芳香族化合物、6つの(メタ)アクリロイル基を有する芳香族化合物等が例示される。
【0078】
1つの(メタ)アクリロイル基を有する芳香族化合物として、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ化o-フェニルフェノール(メタ)アクリレート等が例示される。
【0079】
2つの(メタ)アクリロイル基を有する芳香族化合物として、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、9,9-ビス[4-(2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビス(メタ)アクリル酸[3,3‘-[イソプロピリデンビス(p-フェニレンオキシ)]ビス(2-ヒドロキシプロパン)]-1,1’-ジイル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリル酸付加物等が例示される。
【0080】
(C)成分は、(メタ)アクリロイル基以外の1以上の官能基等をさらに有し、(メタ)アクリロイル基を有する化合物であってもよい。(メタ)アクリロイル基以外の官能基等として、エポキシ基、ケトン基、カルボキシル基、ウレタン結合等が例示される。例えば、ウレタン結合を有し、(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、上記(メタ)アクリロイル基を有する化合物と各種公知の多官能イソシアネートとの反応物であってもよい。なお、本明細書において、多官能イソシアネートとは、イソシアネート基(-N=C=O)を2以上有するものを指す。
【0081】
多官能イソシアネートとして、特に限定されず、各種公知のものを使用できる。多官能イソシアネートとして、脂肪族多官能イソシアネート、脂環式多官能イソシアネート、芳香族多官能イソシアネート等が例示される。
【0082】
脂肪族多官能イソシアネートとして、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ジイソシアナトヘキサン酸メチル、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等が例示される。
【0083】
脂環式多官能イソシアネートとして、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイルビス(メチレン)ジイソシアナート、メチルシクロヘキサンジイルジイソシアネート、ノルボルネンメタンジイソシアネート等が例示される。
【0084】
芳香族多官能イソシアネートとして、トルエンジイソシアネート、メチリジントリス(イソシアナトベンゼン)、キシレンジイソシアネート、ジイソシアナトナフタレン等が例示される。
【0085】
(C)成分は、樹脂組成物を塗工した後硬化した塗膜(以下、「塗膜」ともいう。)であるインデックスマッチング層が耐擦傷性に優れることから、好ましくは2以上の(メタ)アクリロイル基を有する脂肪族化合物及び/又はウレタン結合を有し、(メタ)アクリロイル基を有する化合物であり、より好ましくは3つの(メタ)アクリロイル基を有する脂肪族化合物、4つの(メタ)アクリロイル基を有する脂肪族化合物及び/又は脂環式多官能イソシアネートと(メタ)アクリロイル基を有する脂肪族化合物との反応物であり、さらに好ましくはペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート及び/又はイソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトール(トリ/テトラ)(メタ)アクリレートとの反応物である。耐擦傷性に優れることのメカニズムとして、詳細については不明であるが、化学反応を経て架橋構造を形成しうる官能基を上述する数分子内に有することで、反応後に得られる生成物の架橋密度が高くなり、結果として耐擦傷性に優れるインデックスマッチング層を得られると考えている。
【0086】
(C)成分は、市販された製品であってもよい。当該製品として、特に限定されないが、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート(製品名「701A」、新中村化学工業(株)製)、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(製品名「A-200」「A-400」、新中村化学工業(株)製)、ビス(メタクリロイルオキシ)プロパノール(製品コード「B2938」、東京化成工業(株)製)、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート(製品コード「H1369」、東京化成工業(株)製)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート(製品名「A-TMM-3」「A-TMM-3L」、新中村化学工業(株)製)、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート(製品名「A-TMMT」、新中村化学工業(株)製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(製品名「A-DPH」、新中村化学工業(株)製)、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート(製品名「A-DCP」、新中村化学工業(株)製)、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート(製品名「A-9300」、新中村化学工業(株)製)、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート(製品名「A-B1206PE」、新中村化学工業(株)製)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートの混合物(製品名「PETA」、ダイセル・オルネクス(株)製)(製品名「KAYARAD PET-30」、日本化薬(株)製)、フェニルグリシジルエーテル(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー(製品名「AH-600」、共栄社化学(株))、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー(製品名「UA-306H」、共栄社化学(株))、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー(製品名「UA-306I」、共栄社化学(株))等が例示される。
【0087】
(C)成分として例示された物質及び(C)成分として公知のものを単独で、或いは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0088】
(C)成分の重量平均分子量は、特に限定されないが、塗膜が耐擦傷性に優れることから、好ましくは200以上1,500以下であり、より好ましくは250以上1,400以下である。なお、本明細書において重量平均分子量は、ゲルパーメーションクロマトグラフィー法によるポリスチレン換算値である。
【0089】
(C)成分の炭素数は、特に限定されないが、塗膜が耐擦傷性に優れることから、好ましくは10以上80以下であり、より好ましくは14以上70以下である。
【0090】
(C)成分の含有量は、特に限定されないが、塗膜が耐擦傷性に優れることから、樹脂組成物の総量に対して好ましくは固形分換算で10質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは固形分換算で12質量%以上45質量%以下である。
【0091】
<(D)成分>
(D)成分は、光重合開始剤である。(D)成分は、紫外線等のエネルギーによってフリーラジカルを発生する化合物である。樹脂組成物に(D)成分を含有することで、樹脂組成物はさらに硬化性に優れる。
【0092】
(D)成分として、各種公知のものを使用できる。(D)成分として、ラジカル系光重合開始剤、カチオン系光重合開始剤、アニオン系光重合開始剤等が例示される。
【0093】
ラジカル系光重合開始剤として、アルキルフェノン型光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド型光重合開始剤、水素引き抜き型光重合開始剤、オキシムエステル型光重合開始剤等が例示される。
【0094】
アルキルフェノン型光重合開始剤として、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン等のベンジルジメチルケタール、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン等のα-ヒドロキシアルキルフェノン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン等のα-アミノアルキルフェノン等が例示される。
【0095】
アシルフォスフィンオキサイド型光重合開始剤として、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等が例示される。
【0096】
水素引き抜き型光重合開始剤として、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル等が例示される。
【0097】
オキシムエステル型光重合開始剤として、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)等が例示される。
【0098】
カチオン系光重合開始剤として、ヨードニウム,(4-メチルフェニル)]4-(2-メチルプロピル)フェニル]-ヘキサフルオロフォスフェート(1-)及びプロピレンカーボネートの混合物、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート、トリアリールスルフォニウム テトラキス-(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が例示される。
【0099】
アニオン系光重合開始剤として、コバルトアミン系錯体、o-ニトロベンジルアルコールカルバミン酸エステル、オキシムエステル等が例示される。
【0100】
(D)成分として例示された物質及び(D)成分として公知のものを単独で、或いは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0101】
(D)成分は、樹脂組成物の硬化速度が優れるため、好ましくはラジカル系光重合開始剤であり、より好ましくはアルキルフェノン型光重合開始剤であり、さらに好ましくはα-アミノアルキルフェノンであり、特に好ましくは2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オンである。
【0102】
(D)成分として、市販された製品を使用してもよい。当該製品として、特に限定されないが、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(製品名「Omnirad(以下、「オムニラッド」ともいう。) 651」、IGM Resins社製)、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン(製品名「オムニラッド 2959」、IGM Resins社製)、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン(製品名「オムニラッド 127」、IGM Resins社製)、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(製品名「オムニラッド 907」、IGM Resins社製)、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(製品名「オムニラッド TPO H」、IGM Resins社製)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(製品名「オムニラッド 819」、IGM Resins社製)、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル(製品名「オムニラッド MBF」、IGM Resins社製)、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)](製品名「IRGACURE OXE 01」、BASFジャパン(株)製)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)(製品名「IRGACURE OXE 02」、BASFジャパン(株)製)、ヨードニウム,(4-メチルフェニル)]4-(2-メチルプロピル)フェニル]-ヘキサフルオロフォスフェート(1-)及びプロピレンカーボネートの混合物(製品名「Omnicat(以下、「オムニキャット」ともいう。) 250」、IGM Resins社製)、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート(製品名「オムニキャット 270」、IGM Resins社製)、トリアリールスルフォニウムテトラキス-(ペンタフルオロフェニル)ボレート(製品名「IRGACURE 290」、BASFジャパン(株)製)等が例示される。
【0103】
(D)成分の含有量は、樹脂組成物の硬化性が優れ、塗膜に不要な(D)成分が残存しないことから、樹脂組成物の総量に対して好ましくは固形分換算で0.5質量%以上10質量%以下、より好ましくは固形分換算で2質量%以上5質量%以下である。
【0104】
<その他配合可能な剤>
樹脂組成物には、更に、アクリル樹脂、エポキシ樹脂やウレタン樹脂等の各種公知の樹脂、充填剤、離型剤、難燃剤、粘度調節剤、可塑剤、抗菌剤、防黴剤、消泡剤、着色剤、安定剤、顔料、表面調整剤、各種溶剤及び光増感剤等から選択される1種以上の剤を配合できる。
【0105】
<硬化物>
樹脂組成物に紫外線等の活性エネルギー線を照射することにより硬化した物もまた本発明の1つである。
【0106】
紫外線照射により硬化させる方法として、150nm波長域以上450nm波長域以下の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプ又はLED等を用いて、10mJ/cm2以上10,000mJ/cm2以下程度照射する方法が例示される。紫外線照射前は、必要に応じて加熱を行って乾燥させてもよい。紫外線照射後は、必要に応じて加熱を行って完全に硬化させてもよい。
【0107】
<インデックスマッチング層>
本発明は、樹脂組成物を基材の少なくとも一方の面に塗工、硬化してなるインデックスマッチング層でもある。本発明のインデックスマッチング層には、基材の反対側に透明導電層を設けることが考えられる。すなわち、基材、インデックスマッチング層、透明導電層の順に設けることが考えられる。本発明のインデックスマッチング層は、当該透明導電層にスズドープ酸化インジウム(ITO)を使用しても骨見えの発生を抑えることが可能であり、透明基材や透明導電層との付着性にも優れる。
【0108】
本発明のインデックスマッチング層は、成分が偏析する。例えば、(A)成分は透明基材側のインデックスマッチング層において濃度が高く、透明導電層側のインデックスマッチング層において濃度が低い。また、(B)成分は透明基材側のインデックスマッチング層表層において濃度が低く、透明導電層側のインデックスマッチング層表層において濃度が高い。
【0109】
上記濃度の分析手法として、JIS K0162:2010に準拠した、市販のX線光電子分光分析装置(製品名「ESCA-3400HSE」、(株)島津製作所製)による測定が例示される。当該方法によると、例えば、透明導電層側のインデックスマッチング層表層の(A)成分の金属元素と(B)成分の金属元素との質量比を測定できる。
【0110】
X線光電子分光分析(XPS)では、測定対象の表面から0.1nm以上10nm以下程度の深さの元素を観察している。透明導電層側のインデックスマッチング層表層の測定を行った場合、透明導電層側のインデックスマッチング層表層に存在する(B)成分の金属元素の質量を測定することができ、他の元素(例えば、(A)成分の金属元素)の割合と比較しての数値化が可能である。XPSの具体的な測定条件については、実施例に記載する。
【0111】
透明導電層側のインデックスマッチング層表層の(B)成分の金属元素と(A)成分の金属元素との質量比((B)成分の金属元素/(A)成分の金属元素)は、(B)成分の金属元素が透明導電層との付着性を向上させることから、((B)成分の金属元素/(A)成分の金属元素)が0.3以上であり、好ましくは((B)成分の金属元素/(A)成分の金属元素)が0.3以上4.0以下であり、より好ましくは((B)成分の金属元素/(A)成分の金属元素)が0.3以上3.0以下である。(A)成分を酸化ジルコニウム、(B)成分をシリカとした場合、透明導電層側のインデックスマッチング層表層のSi元素とZr元素の質量比(Si/Zr)は、Si元素の比率が高ければ高い程、インデックスマッチング層と透明導電層との付着性が良好となり、積層体の色相も良好となることから好ましい。
【0112】
上記付着性の分析手法として、JIS K5600-5-6に準じたクロスカット法が例示される。
【0113】
JIS K5600-5-6に準じたクロスカット法によるインデックスマッチング層と透明導電層との間で剥離する割合は、好ましくは10%未満である。
【0114】
当該インデックスマッチング層の厚みは、好ましくは10nm以上200nm以下であり、さらに好ましくは50nm以上150nm以下である。厚みをこの範囲とすることで、良好な骨見え防止効果と優れた光学特性の両立ができる。
【0115】
樹脂組成物の塗工方法として、スピンコーター塗工、バーコーター塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷又はスクリーン印刷法等が例示される。
【0116】
塗工量は特に限定されないが、通常は、乾燥後の質量が0.01g/m2以上1g/m2以下であり、好ましくは0.05g/m2以上0.5g/m2以下になる範囲である。
【0117】
インデックスマッチング層の屈折率は、透明導電層の骨見えを抑制できることから、1.62以上1.72以下である。なお、通常基材の屈折率は1.48以上1.65以下であり、透明導電層の屈折率は1.80以上2.30以下である。
【0118】
本明細書において、屈折率とは、光が空気中からある物質中に進むとき,その界面で生じる屈折現象における入射角αの正弦と屈折角βの正弦との比のことである。具体的な方法として、アッベ屈折計(製品名「NAR-1T SOLID」、(株)アタゴ製)を用いて、JIS K7142:2014に準拠し、ナトリウムのD線の波長に対する屈折率を測定する方法が挙げられる。
【0119】
<基材>
本明細書において、基材とは下記に挙げる各種基材のほか、各種基材に任意のハードコート層を設けたものも含める。そのような各種基材として、各種公知の金属、プラスチック、フィルム、ガラス、その他の樹脂等が例示される。
【0120】
金属として、鉄、アルミニウム、アルミめっき鋼板、チンフリー鋼板(TFS)、ステンレス鋼板、リン酸亜鉛処理鋼板、亜鉛・亜鉛合金めっき鋼板(ボンデ鋼板)の処理鋼板等が例示される。
【0121】
プラスチックとして、ABS、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル(PE)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル、FRP、シクロオレフィンポリマー(COP)等が例示される。
【0122】
フィルムとして、PET、ポリエチレンナフタレート(PEN)等が例示される。
【0123】
その他の基材として、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ノルボルネン系樹脂、その他ハードコート剤として従来使用される樹脂等が例示される。
【0124】
当該基材は、好ましくは透明な基材であり、インデックスマッチング層と共に使用される各種公知の基材である。
【0125】
基材の厚みは、好ましくは20μm以上125μm以下であり、さらに好ましくは30μm以上60μm以下である。厚みをこの範囲とすることで、積層体を薄型化することができる。
【0126】
<透明導電層>
樹脂組成物を、各種透明導電層に適用できる。各種透明導電層として、SnO2透明導電層、スズドープ酸化インジウム透明導電層、酸化亜鉛透明導電層、酸化銅透明導電層、ヨウ化銅透明導電層等が例示される。
【0127】
透明導電層の形成方法として、各種公知の方法を使用できる。透明導電層の形成方法として、スパッタリング法、蒸着法等が例示される。
【0128】
透明導電層として、比抵抗が小さく、透明性に優れることから、好ましくはスズドープ酸化インジウム透明導電層である。
【0129】
透明導電層の厚みは、好ましくは1nm以上100nm以下であり、さらに好ましくは10nm以上30nm以下である。厚みをこの範囲とすることで、良好な比抵抗と透明性の高い導電層を得ることができる。
【0130】
<積層体>
本発明は、透明基材上にインデックスマッチング層、透明導電層をこの順に有する積層体に関する。
【実施例】
【0131】
以下に、製造例、実施例、比較例、評価例及び比較評価例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明で、部および%は質量基準である。
【0132】
以下の実施例において平均粒子径の測定は、JIS Z8828:2013に準拠し、市販の測定機(製品名「DYNAMIC LIGHT SCATTERING NANOPARTICLE SIZE ANALYZER LB-550」、(株)堀場製作所)を用いた動的光散乱法による粒度分布測定によって行った。
【0133】
<ウレタン(メタ)アクリレート構造含有シランカップリング剤の作製>
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び空気導入口を備えた反応容器に、イソホロンジイソシアネート20質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物72質量部(製品名「KAYARAD PET-30」、日本化薬(株)製)、(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン8質量部、重合禁止剤として2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール0.02質量部、並びに触媒としてジオクチル錫ジラウレート0.2質量部を混合し、反応を70℃5時間の条件で行った。反応終了後に、ウレタン(メタ)アクリレート構造含有トリメトキシシラン、ウレタン(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートをそれぞれ3分の1質量%ずつ含有する混合物が得られた。以下の実施例においてウレタン(メタ)アクリレート構造含有シランカップリング剤とは、反応終了後に得られたこの混合物のことである。
【0134】
<製造例1:ウレタン(メタ)アクリレート構造含有シランカップリング剤で表面処理したジルコニア粒子>
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び空気導入口を備えた反応容器に、固形分換算で52.7質量%のジルコニア分散体(固形分:30%、溶液:プロピレングリコールモノメチルエーテル)と33.2質量%のウレタン(メタ)アクリレート構造含有シランカップリング剤を混合し、60℃4時間の条件で反応を行い、表面処理されたジルコニア分散体を製造した。平均粒子径は25nmであった。
【0135】
<製造例2:ウレタン(メタ)アクリレート構造含有シランカップリング剤で表面処理したシリカ粒子>
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び空気導入口を備えた反応容器に、固形分換算で9.4質量%のシリカ分散体(固形分:30%、溶液:メチルエチルケトン(以下、「MEK」ともいう。)と1.3質量%のウレタン(メタ)アクリレート構造含有シランカップリング剤を混合し、60℃4時間の条件で反応を行い、表面処理されたシリカ分散体を製造した。平均粒子径10nmであった。
【0136】
<実施例1:樹脂組成物(A1)の作製>
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び空気導入口を備えた反応容器に、ウレタン(メタ)アクリレート構造含有シランカップリング剤で表面処理したジルコニア粒子を固形分として85.9質量部、ポリジメチルシロキサンで処理された平均粒子径20nmのシリカ分散体(製品名「NANOBYK3650」、ビックケミー・ジャパン(株)製)を固形分として10.7質量部、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン(製品名「OMNIRAD127」、IGM Resins社製)を固形分として3.4質量部混合し、酢酸ブチルで固形分が20%になるように調整して樹脂性組成物(A1)を得た。
【0137】
<実施例2~4及び比較例1~6>
下記の表1又は表2に示す組成に変更した以外は樹脂組成物(A1)と同様に操作し、樹脂組成物(A2)~(A4)(実施例2~4)、樹脂組成物(B1)~(B6)(比較例1~6)を得た。
【0138】
<評価例1:積層体(A1-1)及び積層体(A1-2)の作製>
バーコーターを用いて、シクロオレフィンポリマー(以下、「COP」ともいう。)フィルム上にシリカ含有ハードコート剤(製品名「オプスターZ7537」、JSR(株)製、屈折率:1.49、固形分:50%)を乾燥後の膜厚が1μmになるように塗布し、80℃3分で市販の温風乾燥機において乾燥した。その後、高圧水銀灯を用いて空気下で照射量300mJ/cm2の紫外線を照射してハードコートフィルムを形成した。次に得られたハードコートフィルム上に樹脂組成物(A1)を乾燥後の膜厚が0.1μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、80℃1分で市販の温風乾燥機において乾燥した。その後、高圧水銀灯を用いて空気下で照射量300mJ/cm2の紫外線を照射してインデックスマッチング層を形成し、積層体(A1-1)を得た。さらに、インデックスマッチング層の表面にスズドープ酸化インジウム(以下、「ITO」ともいう。)からなる透明導電層をスパッタリング法で20nmの厚みで形成し、透明導電層上に銅からなる金属層をスパッタリング法で100nmの厚みで形成し、積層体(A1-2)を得た。
【0139】
<評価例2~4:積層体(A2-1)~(A4-1)及び積層体(A2-2)~(A4-2)の作製>
樹脂組成物(A1)を樹脂組成物(A2)~(A4)に変更した以外は評価例1と同様に操作し、積層体(A2-1)~(A4-1)を作製した。積層体(A1-1)を積層体(A2-1)~(A4-1)に変更した以外は評価例1と同様に操作し、積層体(A2-2)~(A4-2)を作製した。
【0140】
<比較評価例1~6:積層体(B1-1)~(B6-1)及び積層体(B1-2)~(B6-2)の作製>
樹脂組成物(A1)を、樹脂組成物(B1)~(B6)に変更した以外は評価例1と同様に操作し、積層体(B1-1)~(B6-1)を作製した。積層体(A1-1)を積層体(B1-1)~(B6-1)に変更した以外は評価例1と同様に操作し、積層体(B1-2)~(B6-2)を作製した。
【0141】
<性能評価:塗膜表面元素比(Si/Zr)>
市販のX線光電子分光分析装置(製品名「ESCA-3200」、(株)島津製作所製、真空度「3x10-5Pa」、アノード電圧「8~10kV」、エネルギー走査範囲「Si:2p 89.2~114.2eV、Zr:3d 173.0~198.0eV)を用いて積層体(A1-1)~(A4-1)又は積層体(B1-1)~(B6-1)におけるインデックスマッチング層表面の解析を行い、得られたデータからインデックスマッチング層表面におけるSi元素とZr元素の質量比を算出した。なお、本実施例においてインデックスマッチング層表面とは、透明導電層と接触する側の表面を指す。
【0142】
<性能評価:ITO膜付着性>
積層体(A1-2)~(A4-2)又は積層体(B1-2)~(B6-2)に対して、JIS K5600-5-6に準拠し、クロスカット法によりITO層とインデックスマッチング層との間の付着性を評価した。評価基準を以下に示す。
○:どの格子の目にも剥がれが無い
△:はがれが0%超10%未満
×:はがれが10%以上、又は積層体が破断
【0143】
<性能評価:屈折率(nD)>
積層体(A1-1)~(A4-1)又は積層体(B1-1)~(B6-1)のインデックスマッチング層に対して、JIS K7142:2014に準拠し、アッベ屈折計(製品名「NAR-1T SOLID」、(株)アタゴ製)を用いてナトリウムのD線の波長に対する屈折率を測定した。
【0144】
<性能評価:ヘイズ(%)>
積層体(A1-2)~(A4-2)又は積層体(B1-2)~(B6-2)に対して、JIS K7136:2000に準拠し、カラーヘーズメーターを用いて測定を行った。
【0145】
<性能評価:全光線透過率(%)>
積層体(A1-2)~(A4-2)又は積層体(B1-2)~(B6-2)に対して、JIS K7375:2008に準拠し、カラーヘーズメーターを用いて測定を行った。
【0146】
【0147】
【0148】
表1及び表2の用語の意味は下記のとおりである。
ポリジメチルシロキサン処理シリカ粒子:製品名「NANOBYK-3650」、ビックケミー・ジャパン(株)製
ビス(トリメチルシリル)アミン処理シリカ粒子:製品名「YA010-LFG」、(株)アドマテックス製
メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン処理シリカ粒子:製品名「ELCOM V8804」、日揮触媒化成(株)製
アクリレート化合物:ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(製品名「KAYARAD PET-30」、日本化薬(株)製)
なお、表中のウレタン(メタ)アクリレート構造含有トリメトキシシランで表面処理されたジルコニア粒子の質量部は、当該粒子以外にウレタン(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの質量部も含んでいる。ウレタン(メタ)アクリレート構造含有トリメトキシシランで表面処理されたジルコニア粒子の質量部からジルコニア粒子の質量部であるZrO2含有量を差し引いた値が表面処理剤の質量部であり、表面処理剤の質量部の内3分の1質量%ずつが、ウレタン(メタ)アクリレート構造含有トリメトキシシラン、ウレタン(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの質量部である。