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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】車載用回動式ホルダ装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/10 20060101AFI20221018BHJP
【FI】
B60N3/10 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020004610
(22)【出願日】2020-01-15
(65)【公開番号】P2021109630
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2021-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福井 直行
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-299430(JP,A)
【文献】特開2009-166594(JP,A)
【文献】特開2005-324594(JP,A)
【文献】特開2003-200773(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0300125(US,A1)
【文献】特表2003-522672(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2578449(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/10
B60R 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有するアウタ部材と、
物品を収容保持するためのホルダ部を有し、前記アウタ部材に対して回動し、前記開口を開き前記ホルダ部と外界とを連絡する開位置と、前記開口を閉じ前記ホルダ部を外界から遮蔽する閉位置と、の間を位置変化するリッド部材と、
前記リッド部材を前記開位置にロックするロック要素と、を具備し、
前記ロック要素は、前記リッド部材に設けられているリッド側ロック部と、前記アウタ部材に設けられているアウタ側ロック部と、解除駆動要素とを具備し、
前記リッド側ロック部は、前記ホルダ部の外部に突出し前記アウタ側ロック部と係合するロック位置と、前記ホルダ部の外部から退避し前記ホルダ部の内部に突出して前記アウタ側ロック部とのロックが解除される解除位置と、の間を前記リッド部材に対して位置変化可能であり、
前記解除駆動要素は、前記リッド部材が前記開位置にあるときに、前記リッド側ロック部を前記解除位置に向けて駆動し、
前記リッド部材が前記開位置にあるときに、前記ホルダ部に収容保持された前記物品に駆動された前記リッド側ロック部が前記ロック位置に位置変化し前記アウタ側ロック部に係合することで、前記リッド部材を前記開位置にロックする、車載用回動式ホルダ装置。
【請求項2】
前記リッド部材を前記開位置に付勢する開付勢要素を有する、請求項1に記載の車載用回動式ホルダ装置。
【請求項3】
前記ロック要素は、さらに、前記リッド部材に対して位置変化可能な補助ロック部と、前記補助ロック部を前記ホルダ部の内部に突出する方向に駆動する補助駆動要素と、を有し、
前記補助駆動要素の駆動力は、前記解除駆動要素の駆動力よりも大きい、請求項1または請求項2に記載の車載用回動式ホルダ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される回動式のホルダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される車載用ホルダ装置は、缶やペットボトルなどの飲料容器に代表される物品を収容保持するためのホルダ部を有する。
車載用ホルダ装置のなかには、アウタ部材とリッド部材とを有するものがある。アウタ部材は開口を有し、リッド部材は当該アウタ部材に対して回動することでアウタ部材の開口を開閉する。この種の車載用ホルダ装置においては、リッド部材によりアウタ部材の開口を開くことでホルダ部と外界とを連絡し、リッド部材によりアウタ部材の開口を閉じることでホルダ部を外界から遮蔽することができる(例えば、特許文献1参照)。この種の車載用ホルダ装置を車載用回動式ホルダ装置と称する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-299430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両の走行時等に生じた衝撃は、車載用回動式ホルダ装置に伝達する。当該衝撃が大きければ、リッド部材がアウタ部材に対して揺動する場合がある。特に車載用回動式ホルダ装置におけるホルダ部をリッド部材に設ける場合、ホルダ部に収容した物品の重心が高い位置にあれば、リッド部材の揺動は大きくなる。リッド部材が大きく揺動すると、ホルダ部および当該ホルダ部に収容した物品もまた大きく揺動し、車載用回動式ホルダ装置によって物品を安定して収容保持し難くなる不具合がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、物品を安定して収容保持し得る車載用回動式ホルダ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明の車載用回動式ホルダ装置は、
開口を有するアウタ部材と、
物品を収容保持するためのホルダ部を有し、前記アウタ部材に対して回動し、前記開口を開き前記ホルダ部と外界とを連絡する開位置と、前記開口を閉じ前記ホルダ部を外界から遮蔽する閉位置と、の間を位置変化するリッド部材と、
前記リッド部材を前記開位置にロックするロック要素と、を具備し、
前記ロック要素は、前記リッド部材に設けられているリッド側ロック部と、前記アウタ部材に設けられているアウタ側ロック部と、解除駆動要素とを具備し、
前記リッド側ロック部は、前記ホルダ部の外部に突出し前記アウタ側ロック部と係合するロック位置と、前記ホルダ部の外部から退避し前記ホルダ部の内部に突出して前記アウタ側ロック部とのロックが解除される解除位置と、の間を前記リッド部材に対して位置変化可能であり、
前記解除駆動要素は、前記リッド部材が前記開位置にあるときに、前記リッド側ロック部を前記解除位置に向けて駆動し、
前記リッド部材が前記開位置にあるときに、前記ホルダ部に収容保持された前記物品に駆動された前記リッド側ロック部が前記ロック位置に位置変化し前記アウタ側ロック部に係合することで、前記リッド部材を前記開位置にロックする、車載用回動式ホルダ装置である。
【0007】
本発明の車載用回動式ホルダ装置は、物品を安定して収容保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1のホルダ装置における各部品を説明する説明図である。
図2】実施例1のホルダ装置の動作を説明する説明図である。
図3】実施例1のホルダ装置の動作を説明する説明図である。
図4】実施例1のホルダ装置の動作を説明する説明図である。
図5】実施例1のホルダ装置の動作を説明する説明図である。
図6】実施例1のホルダ装置の動作を説明する説明図である。
図7】実施例1のホルダ装置を上面視した様子を模式的に表す説明図である。
図8】実施例2のホルダ装置の動作を説明する説明図である。
図9】実施例3のホルダ装置の動作を説明する説明図である。
図10】実施例4のホルダ装置の動作を説明する説明図である。
図11】実施例4のホルダ装置の動作を説明する説明図である。
図12】実施例4のホルダ装置の動作を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の車載用回動式ホルダ装置を具体的に説明する。なお、本明細書では、必要に応じて、本発明の車載用回動式ホルダ装置を本発明のホルダ装置または実施例のホルダ装置等と略する場合がある。
また、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「x~y」は、下限xおよび上限yをその範囲に含む。そして、これらの上限値および下限値、ならびに実施形態中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。さらに数値範囲内から任意に選択した数値を上限、下限の数値とすることができる。
【0010】
本発明のホルダ装置は、アウタ部材、リッド部材およびロック要素を有する。
【0011】
アウタ部材は、リッド部材によって開閉される開口を有し、リッド部材は、物品を収容保持するためのホルダ部を有する。またリッド部材は、アウタ部材に対して回動し、開口を開き前記ホルダ部と外界とを連絡する開位置と、開口を閉じ前記ホルダ部を外界から遮蔽する閉位置と、を位置変化する。リッド部材が開位置に位置変化すると、リッド部材におけるホルダ部に外界からアクセスすることが可能となり、ひいては当該ホルダ部に物品を収容保持することが可能となる。
【0012】
リッド部材とアウタ部材との位置関係は特に問わないが、リッド部材が物品を収容保持するためのホルダ部を有し、アウタ部材の開口が開かれているときに当該ホルダ部が外界と連絡する都合上、リッド部材はアウタ部材における開口よりも奥側に配置されると解される。例えば、アウタ部材が箱状であればリッド部材を当該箱の内部に配置すれば良く、アウタ部材が板状であればリッド部材をアウタ部材の背面側に配置すれば良い。
何れの場合にも、リッド部材はアウタ部材の開口よりも奥側において当該開口を開閉するとともに、アウタ部材はリッド部材よりも手前側、すなわち、本発明のホルダ装置における表面に露出し、本発明のホルダ装置に意匠性を付与する意匠部材としても機能し得る。
【0013】
本発明の車載用回動式ホルダ装置は、リッド部材を開位置にロックするロック要素を具備する。当該ロック要素は、リッド部材に設けられているリッド側ロック部と、アウタ部材に設けられているアウタ側ロック部と、解除駆動要素とを具備する。このうちリッド側ロック部は、ロック位置と解除位置との間をリッド部材に対して位置変化可能である。ロック位置において、リッド側ロック部は、ホルダ部の外部に突出しアウタ側ロック部と係合する。また、解除位置において、リッド側ロック部は、ホルダ部の外部から退避し当該ホルダ部の内部に突出する。これによりリッド側ロック部とアウタ側ロック部とのロックが解除される。
本発明の車載用回動式ホルダ装置におけるリッド側ロック部は、リッド部材とともに位置変化し、さらに、リッド部材に対してもロック位置と解除位置との間を位置変化可能であるといい得る。
【0014】
リッド部材が開位置にあるときに、リッド側ロック部がロック位置に配置されアウタ側ロック部に係合すれば、当該ロック要素はリッド部材を開位置にロックする。これにより、本発明の車載用回動式ホルダ装置によると、リッド部材を開位置に安定して保持することが可能となり、ひいては、当該リッド部材のホルダ部に物品を安定して収容保持することが可能となる。
【0015】
ところで、本発明の車載用回動式ホルダ装置におけるロック要素は、上記したリッド側ロック部およびアウタ側ロック部に加えて、解除駆動要素を具備する。解除駆動要素は、リッド部材が開位置にあるときに、リッド側ロック部を解除位置に向けて駆動する。つまり本発明の車載用回動式ホルダ装置におけるリッド側ロック部は、開位置において、解除駆動要素の駆動力によってアウタ側ロック部とのロックが解除される方向、具体的には、ホルダ部の内部に突出する方向に駆動される。
【0016】
既述したように開位置にまで位置変化したホルダ部には、外部からアクセスすることが可能となり、ホルダ部には物品が収容保持される。したがって、開位置にあるホルダ部の内部には物品が入り込む。そして当該物品は、ホルダ部の内部に突出するリッド側ロック部をホルダ部の外部に向けて押圧する。
【0017】
物品に押圧されたリッド側ロック部は、解除駆動要素の駆動力に抗して、解除位置からロック位置に位置変化する。ロック位置に位置変化したリッド側ロック部はアウタ側ロック部と係合して、リッド部材を開位置にロックする。
つまり、本発明のホルダ装置においては、ユーザーがホルダ部に物品を収容保持することにより、ロック要素が駆動されてリッド部材を開位置にロックするといい得る。これにより、ホルダ部における物品は安定して収容保持される。
また、解除駆動要素により、ホルダ部に物品が収容保持されていない場合にはロック要素によるロックが解除され、リッド部材は閉位置に向けて位置変化可能となる。
【0018】
以下、必要に応じて、閉位置から開位置に向けたリッド部材の回動方向を開方向と称し、開位置から閉位置に向けたリッド部材の回動方向を閉方向と称する場合がある。
【0019】
以下、本発明の車載用回動式ホルダ装置を構成要素毎に説明する。
【0020】
本発明のホルダ装置におけるアウタ部材は、リッド部材によって開閉される開口を有する。アウタ部材は開口を有しさえすれば良く、例えば、板状であっても良いし、箱状であっても良いし、その他の形状であっても良い。
【0021】
本発明のホルダ装置におけるリッド部材は、アウタ部材に対して回動可能であり、かつ、開位置と閉位置との間を回動により位置変化可能であれば良い。例えば、リッド部材は、アウタ部材に直接枢支されることでアウタ部材に対して回動しても良いし、アウタ部材に対して位置固定された他部材に枢支されることでアウタ部材に対して回動しても良い。
【0022】
リッド部材は、開位置と閉位置との間を位置変化可能であれば良い。本発明のホルダ装置においては、ねじりコイルバネやつる巻きバネ等の開付勢要素によってリッド部材を開方向に付勢しても良い。必要に応じて、ターンオーバースプリング等の開閉付勢要素によってリッド部材を開方向と閉方向との両方に付勢しても良い。更には、例えばリッド部材に2つの錘を間隔をあけて設け、当該錘をリッド部材を回動させるための駆動力として用いることで、開位置と閉位置との間の位置にあるリッド部材を開方向と閉方向との2つの方向に駆動することも可能である。このように、リッド部材を開方向および/または閉方向に駆動することで、リッド部材を自動的または半自動的に開位置および/または閉位置に位置変化させることが可能である。
【0023】
なお、本発明のホルダ装置においては、リッド部材を開方向にも閉方向にも付勢しなくても良い。この場合には、ユーザーが手動でリッド部材を開位置および閉位置に位置変化させれば良い。
【0024】
ロック要素は、リッド側ロック部、アウタ側ロック部および解除駆動要素を具備する。
リッド側ロック部は、リッド部材に対して、ロック位置と解除位置との間を位置変化可能である。リッド側ロック部における位置変化の様式は特に問わず、例えば、回動やスライド等を例示することができる。リッド側ロック部は、既述したように、リッド部材とともに位置変化する。したがって、リッド側ロック部はリッド部材に対して位置変化するだけでなく、アウタ部材に対しても位置変化するといい得る。
【0025】
解除駆動要素は、リッド部材が開位置にあるときにリッド側ロック部を解除位置に向けて駆動することができれば良く、その機構は特に限定されない。また、解除駆動要素はリッド部材、アウタ部材、リッド側ロック部およびアウタ側ロック部の何れに設けても良い。
【0026】
例えば、解除駆動要素としてねじりコイルバネやつる巻きバネ等の付勢要素を用い、当該付勢要素をリッド側ロック部に設けることで、当該リッド側ロック部を解除位置、すなわち、ホルダ部の外部から退避しホルダ部の内部に突出する位置に駆動しても良い。
または、解除駆動要素として上記の付勢要素を用い、当該付勢要素をアウタ側ロック部に設けることで、リッド側ロック部を解除位置に駆動しても良い。
または、解除駆動要素として錘を用い、当該錘をリッド側ロック部に設けることで、リッド側ロック部を解除位置に駆動しても良い。
さらには、解除駆動要素として磁石を用いても良い。この場合、リッド側ロック部およびアウタ側ロック部の両方に磁石を設け、リッド側ロック部からアウタ側ロック部に向ける磁極と、アウタ側ロック部からリッド側ロック部に向ける磁極とを同じ磁極にすることで、磁石の反発力によって、リッド側ロック部を解除位置に駆動することが可能である。解除駆動要素は、ここに例示したものに限定されず、種々の機構によるものを用い得る。
【0027】
リッド側ロック部の形状および当該リッド側ロック部と係合するアウタ側ロック部の形状は、リッド側ロック部が位置変化する軌跡、リッド部材が位置変化する軌跡等に応じて適宜設計することができる。
【0028】
ロック要素は、さらに、リッド部材に対して位置変化可能な補助ロック部と、当該補助ロック部をホルダ部の内部に突出する方向に駆動する補助駆動要素と、を有し得る。補助ロック部は、ホルダ部の内部への突出長さの大きな補助ロック位置と、当該突出長さが補助ロック位置に比べて小さな補助退避位置と、の間を位置変化可能であるといい得る。必要に応じて、上記の補助ロック部と補助駆動要素とを総称して補助ロック機構と称する。
【0029】
ホルダ部の内部に突出する補助ロック機構によると、ホルダ部に収容した物品を補助ロック部から離れる方向、すなわち、リッド側ロック部に近づく方向に押圧することができる。これにより、物品によりリッド側ロック部をより信頼性高く押圧してロック位置に位置変化させることが可能となる。
また、例えば、物品の外形寸法がホルダ部に対して小さい場合には、ホルダ部に収容した物品によってリッド側ロック部を解除位置からロック位置にまで十分に位置変化させ難い場合がある。この場合、リッド側ロック部とアウタ側ロック部とが十分に係合せず、ロック要素によるリッド部材の開位置へのロックを安定して維持し難い可能性がある。
【0030】
しかし、ロック要素がさらに補助ロック機構を有する場合には、当該補助ロック機構により物品をリッド側ロック部に向けて位置変化させることができ、当該物品によってリッド側ロック部を十分に押圧できるために、リッド側ロック部をロック位置に信頼性高く位置変化させ得る。つまり補助ロック機構は、間接的に、リッド側ロック部をロック位置に駆動する。これにより、補助ロック機構を具備する本発明のホルダ装置では、小型の物品をホルダ部に収容保持する場合にも、リッド側ロック部とアウタ側ロック部とが十分に係合し、ロック要素によってリッド部材を開位置に安定してロックすることが可能となる。
【0031】
なお、リッド側ロック部とアウタ側ロック部とが十分に係合するための両者の重なり量として、0.8mm以上、1mm以上、1.2mm以上の各範囲を例示することができる。
【0032】
また、本発明のホルダ装置をホルダ部の底面方向に投影した投影図において、補助ロック位置にある補助ロック部と解除位置にあるリッド側ロック部との距離は、50mm以下であるのが好ましく、48mm以下であるのがより好ましく、45mm以下であるのが特に好ましい。なお、ここでいう「ホルダ部の底面」とは、ホルダ部のうち、リッド部材が開位置にあるときにアウタ部材の開口に対面して物品をその底部から支持するための壁面をいう。当該底面は平面状であっても良いし湾曲面状であっても良い。上記した「底面方向」は、「リッド部材が開位置にあるときのホルダ部の底面とアウタ部材の開口とを結ぶ方向」と言い換えることも可能である。
さらに、ここでいう「補助ロック位置にある補助ロック部と解除位置にあるリッド側ロック部との距離」は、「ホルダ部内部への突出長さが最大となったときの補助ロック部と、ホルダ部内部への突出長さが最大となったときのリッド側ロック部との距離」と言い換えることも可能である。
【0033】
本発明のホルダ装置は、一つのみの補助ロック機構を有しても良いが、二以上の補助ロック機構を有するのが好ましい。また、補助ロック部はリッド側ロック部に対面する位置にあるのではなく、リッド側ロック部の正面に対して交差する位置にあるのが好ましい。補助ロック部を小型化しかつ補助ロック機構によって効果的にリッド側ロック部をロック位置に駆動するためである。リッド側ロック部の正面に対する補助ロック部の交差角として、10°以上、25°以上、30°以上、35°以上の各範囲を挙げることができる。
なお、ここでいう「リッド側ロック部の正面に対する補助ロック部の交差角」とは、リッド側ロック部の中央線をホルダ部内部に向けて延長した直線と、補助ロック部の中央線をホルダ部内部に向けて延長した直線と、の交差角(劣角)を意味する。当該交差角が上記の範囲内であれば、小型の補助ロック部により、効果的にリッド側ロック部を駆動することが可能である。
【0034】
本発明のホルダ装置が上記の補助ロック機構を具備する場合、補助ロック機構の補助駆動要素の駆動力とロック要素の解除駆動要素の駆動力とに留意する必要がある。解除駆動要素の駆動力が補助駆動要素の駆動力よりも大きい場合には、補助ロック機構によってリッド側ロック部をロック位置に付勢することができない。補助ロック機構における補助駆動要素の駆動力を、解除駆動要素の駆動力よりも大きくすることで、この不具合を回避することが可能である。
【0035】
以下、具体例を挙げて本発明のホルダ装置を説明する。
【0036】
(実施例1)
実施例1のホルダ装置は、車両室内に搭載されるコンソールボックスの一部であり、より具体的には、ドリンクホルダである。
図1は実施例1のホルダ装置における各部品を説明する説明図である。図2図7は実施例1のホルダ装置の動作を説明する説明図である。詳しくは、図1は実施例1のホルダ装置を表す分解斜視図であり、図2図6は、実施例1のホルダ装置を図1中の上下方向及び前後方向に沿って切断した様子を模式的に表す断面図である。このうち図2、4~6はリッド部材が開位置にあるときの実施例1のホルダ装置を表し、図3はリッド部材が閉位置にあるときの実施例1のホルダ装置を表す。図7は実施例1のホルダ装置を上面視した様子を模式的に表す説明図である。
以下、上、下、左、右、前、後とは、図1における上、下、左、右、前、後を指す。
【0037】
先ず、実施例1のホルダ装置の構造を説明する。
図1に示すように、実施例1のホルダ装置は、アウタ部材1、リッド部材2、ロック要素4、開付勢要素80および異物回収要素81を具備する。
【0038】
アウタ部材1は、アウタアッパ10とアウタロア15とを有する。
このうちアウタアッパ10は、板状をなし、表面を上に向け背面を下に向けている。アウタアッパ10の表面は、実施例1のホルダ装置における表面の一部を構成する。アウタアッパ10には開口11が設けられている。開口11は略円形をなし、アウタアッパ10を上下すなわち表-裏方向に貫通する。
【0039】
アウタロア15は、アウタアッパ10の下方すなわち背面側に配置される。アウタロア15は上方に開口する中空の略球状をなし、その周壁に一対のホルダ枢支孔16を有する。ホルダ枢支孔16はアウタロア15の略中心部に位置する。アウタロア15における開口をロア開口17と称する。
【0040】
アウタアッパ10とアウタロア15とは組み付けられて一体化され、箱状のアウタ部材1を形成する。アウタロア15のロア開口17はアウタアッパ10の開口11に対面する。また、アウタロア15は、後述するリッド部材2を内部に収容する。リッド部材2はアウタロア15の内部に配置され、さらに、アウタアッパ10によって覆われる。換言すると、リッド部材2はアウタロア15とアウタアッパ10とによって挟み込まれる。
【0041】
リッド部材2は、リッド部20、ホルダ部21およびサポート22を具備する。
このうちリッド部20は、湾曲した略板状をなし、後述するようにリッド部材2が閉位置に配置されたときに、アウタアッパ10の裏側において開口11の内部に配置され、当該開口11を閉じる。
【0042】
ホルダ部21は、ホルダアッパ30およびホルダロア35を有する。
ホルダアッパ30は略枠状をなし、ホルダロア35は略箱状をなす。ホルダアッパ30とホルダロア35とは互いに組み付けられてホルダ部21を形成する。
【0043】
略箱状をなすホルダロア35の内部は、略枠状をなすホルダアッパ30の内部を通じてホルダ部21の外部に連絡する。ホルダロア35の内部およびホルダアッパ30の内部によって、物品すなわち飲料容器90を収容保持するための収容空間25(図2参照)が形成される。当該収容空間25は、主としてホルダロア35の内部によって構成され、ホルダアッパ30に開口するともいい得る。当該ホルダアッパ30の開口、すなわち略枠状をなすホルダアッパ30の内部をホルダ開口31と称する。
【0044】
ホルダロア35の底壁36は、収容空間25の底部分を区画する。当該底壁36の上面、すなわち、ホルダ部21の底面37は、後述するように、リッド部材2が開位置にあるときにアウタ部材1の開口11に対面して、飲料容器90をその底部から支持する。
【0045】
図1に示すように、ホルダ部21のうちホルダロア35は、一対のホルダ枢支部38を有する。ホルダ枢支部38は、ホルダロア35の外方に突起し、アウタ部材1のホルダ枢支孔16に枢支される。このためホルダ部21は、ホルダ枢支部38を中心として、アウタ部材1に対して回動する。
【0046】
ホルダ枢支部38には、ねじりコイルバネからなる開付勢要素80が装着されている。開付勢要素80の一端はホルダ部21に固定され、開付勢要素80の他端はアウタ部材1に固定される。開付勢要素80は、ホルダ部21を後述する開位置に向けて付勢する。
【0047】
リッド部20とホルダ部21とは組み付けられて一体化される。リッド部20は、ホルダ開口31を避けた位置においてホルダ部21に組み付けられる。換言すると、リッド部20とホルダ開口31とは、ホルダ枢支部38を中心として交差する方向に配置され、ホルダ開口31はリッド部20によって覆われることなく露出する。
【0048】
サポート22は、サポート本体23およびサポート付勢要素24を具備する。サポート本体23は略板状をなし、ホルダアッパ30に枢支される。サポート本体23は、ホルダアッパ30に対し回動し、図4に示すサポート位置と、図5に示すサポート退避位置との間を位置変化可能である。なお、ホルダ開口31へのサポート本体23の突出長さは、サポート位置においてサポート退避位置よりも長い。また、サポート付勢要素24はねじりコイルバネからなり、サポート本体23をサポート位置に付勢する。このためサポート22は、ホルダ開口31を経てリッド部材2の収容空間25に収容保持された飲料容器90の側面を押圧して、当該飲料容器90のホルダ部21の内部における位置変化を抑制する機能を有する。
【0049】
ロック要素4は、リッド側ロック部40、アウタ側ロック部45、解除駆動要素48、および二つの補助ロック機構50を具備する。
【0050】
リッド側ロック部40は、略板状をなすロック本体部41と、当該ロック本体部41から突起する一対のロック軸部42とを有する。ロック軸部42はホルダロア35に軸支され、リッド側ロック部40は当該ロック軸部42を中心としてホルダロア35ひいてはリッド部材2に対して回動する。なお、ホルダロア35には、スリット状をなす出入口39が設けられており、リッド側ロック部40の先端部は当該出入口39に挿通されて、収容空間25を出入りする。
【0051】
リッド側ロック部40は、ロック軸部42を中心とする円の径方向に延びる第1係合面43と、当該円の周方向に延びる第2係合面44と、を有する(図5参照)。このうち、第1係合面43は、リッド側ロック部40において、ロック軸部42を中心とする反時計回り方向の先側に位置する面ともいい得る。
【0052】
リッド側ロック部40は、回動により、図5および図6に示すロック位置と図2図4に示す解除位置との間を位置変化する。解除位置における収容空間25へのリッド側ロック部40の突出長さは、ロック位置における当該突出長さに比べて長くなる。また、ロック位置における、ホルダロア35とアウタロア15との隙間、すなわちリッド部材2とアウタ部材1との隙間へのリッド側ロック部40の突出長さは、解除位置における当該突出長さよりも長くなる。つまり、リッド側ロック部40は、解除位置においてはその多くの部分がホルダ部21の内部すなわち収容空間25に配置され、ロック位置においてその多くの部分が当該収容空間25の外部に配置される。
【0053】
アウタ側ロック部45は、アウタロア15の周壁に設けられ、図2に示すように、アウタロア15の外部すなわちリッド部材2とは反対方向に向けて、リッド部材2との隙間が増大する方向に凹設されている。アウタ側ロック部45は、ロック位置に位置変化したリッド側ロック部40と係合可能な第1係合壁部46および第2係合壁部47を有する。
【0054】
図1に示すように、解除駆動要素48は、ねじりコイルバネからなる。当該解除駆動要素48は、リッド側ロック部40のロック軸部42に装着されている。また、解除駆動要素48の一端はリッド側ロック部40に固定され、解除駆動要素48の他端はホルダロア35に固定される。解除駆動要素48は、リッド側ロック部40を解除位置に向けて付勢する。
【0055】
二つの補助ロック機構50は、概略同じものである。各補助ロック機構50は、補助ロック部51と補助駆動要素55とを具備する。各補助ロック部51は、略板状をなす補助ロック本体52と、当該補助ロック本体52から突出する一対の補助ロック軸部53とを具備する。補助ロック部51は、当該補助ロック軸部53を中心に回動して、補助ロック位置(図7参照)と図略の補助退避位置との間を位置変化する。補助ロック部51の収容空間25への突出長さは、補助ロック位置において補助退避位置よりも長い。
【0056】
図7に示すように、リッド側ロック部40はホルダ装置における後側部分に配置され、サポート本体23はホルダ装置における前側部分に配置されている。2つの補助ロック部51は、サポート本体23よりもやや後方ではあるものの、ホルダ装置における前側に配置されている。
なお、図7は、実施例1のホルダ装置の上面図であるが、実施例1のホルダ装置をホルダ部21の底面37方向に投影した投影図と概略同じである。図7に示される、補助ロック位置にある補助ロック部51と解除位置にあるリッド側ロック部40との距離は、50mm以下である。
さらに、実施例1のホルダ装置において、リッド側ロック部40の正面に対する補助ロック部51の交差角θ1、θ2は35°~45°程度である。
【0057】
図1に示すように、補助駆動要素55はねじりコイルバネからなる。補助駆動要素55は補助ロック軸部53に装着され、補助ロック部51を図7に示す補助ロック位置に付勢する。なお、補助駆動要素55の駆動力すなわち付勢力は、既述した解除駆動要素48の駆動力すなわち付勢力よりも大きい。
【0058】
実施例1のホルダ装置は、更に、異物回収要素81を具備する。異物回収要素81は、回収凸部82と回収凹部84とを具備する。
回収凸部82は、リッド部20およびホルダロア35に各々設けられている。回収凸部82は、間隔をおいて配置された複数の歯部83を有する櫛歯状をなす。
回収凹部84は、アウタ部材1のアウタロア15に設けられ、各回収凸部82に対面する。回収凹部84は、各回収凸部82の各歯部83に噛み合う凹溝部85を複数有する。各凹溝部85は、ホルダ枢支孔16を中心とした円弧状に延び、各回収凸部82の歯部83は各回収凹部84の凹溝部85内を移動可能である。異物回収要素81は、レシート等の薄型の物品がアウタ部材1とリッド部材2との隙間に侵入することを抑制したり、当該隙間に入り込んだ薄型の物品を掻き出したりする機能を有する。
【0059】
以下、実施例1のホルダ装置の動作を説明する。
【0060】
実施例1のホルダ装置におけるリッド部材2は、ホルダ枢支部38を中心にアウタ部材1に対して回動し、図2および図4~6に示す開位置と、図3に示す閉位置との間を位置変化する。なお、リッド部材2は、反時計回りに回動して閉位置から開位置まで位置変化し、時計回りに回動して開位置から閉位置まで位置変化する。
【0061】
先ず、図2に示す開位置において、リッド部材2はホルダ開口31を上方に向ける。このとき当該ホルダ開口31はアウタ部材1の下方においてアウタ部材1の開口11に対面し、ホルダ開口31およびその下方にあるホルダロア35の内部で構成される収容空間25は、外界に連絡する。
またこのとき、サポート本体23およびリッド側ロック部40は、収容空間25に突出する。図7に示すように、このとき補助ロック部51もまた収容空間25に突出する。
【0062】
なお、既述したとおり、リッド側ロック部40は解除駆動要素48によって解除位置に付勢されている。具体的には、解除駆動要素48はリッド側ロック部40を図2中時計回りに付勢する。したがって、このときリッド側ロック部40はアウタ側ロック部45と係合せず、リッド部材2は開位置に固定された状態にはなく、単に開付勢要素80によって開位置に付勢された状態にある。
【0063】
図4に示すように、ユーザーがリッド部材2のホルダ開口31に飲料容器90すなわち物品を差し込むと、当該飲料容器90によってサポート本体23が前側に押圧され、サポート付勢要素24には付勢力が蓄積される。ユーザーがホルダロア35の内部に向けて飲料容器90を更に差し込むと、図5に示すように、飲料容器90によってリッド側ロック部40が押圧される。
【0064】
飲料容器90による押圧力が解除駆動要素48の付勢力を上回ると、リッド側ロック部40が、反時計回りに回動して解除位置からロック位置に位置変化し、図5に示すようにアウタ側ロック部45に入り込む。このとき、リッド側ロック部40における第1係合面43は、アウタ側ロック部45の第1係合壁部46に対面する。また、リッド側ロック部40における第2係合面44は、アウタ側ロック部45の第2係合壁部47に対面する。
詳しくは、アウタ側ロック部45の第1係合壁部46は、ホルダ枢支部38を中心とする反時計回り方向において、リッド側ロック部40における第1係合面43の先側に位置する。また、アウタ側ロック部45の第2係合壁部47は、ホルダ枢支部38を中心とする時計回り方向において、リッド側ロック部40における第2係合面44の先側に位置する。
【0065】
ここで、図2に示すように、開位置においては、リッド部材2には開付勢要素80による開位置に向けた付勢力、すなわち、ホルダ枢支部38を中心とする反時計回りの付勢力が作用する。この付勢力によってリッド部材2は開位置よりも更に開方向に付勢される。
しかしこのとき、ホルダ枢支部38を中心とする反時計回り方向において、リッド側ロック部40における第1係合面43の先側には、アウタ側ロック部45における第1係合壁部46が配置されている。このため、リッド部材2が開位置よりもさらに開方向に回動しようとすると、リッド側ロック部40の第1係合面43およびアウタ側ロック部45の第1係合壁部46が係合して、開位置にあるリッド部材2の更なる開方向への位置変化を阻害する。
【0066】
また、例えば重心が高い位置にある飲料容器90をホルダ部21に保持した場合等には、車両の走行時に、ホルダ枢支部38を中心とする時計回り方向の力がリッド部材2に作用することが考えられる。
しかし、実施例1のホルダ装置では、ホルダ枢支部38を中心とする時計回り方向において、リッド側ロック部40における第2係合面44の先側には、アウタ側ロック部45の第2係合壁部47が配置されている。このため、リッド部材2が開位置から時計回り方向すなわち閉方向に回動しようとすると、リッド側ロック部40の第2係合面44およびアウタ側ロック部45の第2係合壁部47が係合して、リッド部材2の閉方向への位置変化を阻害する。
実施例1のホルダ装置においては、上記したように、リッド部材2が開位置にあるときに、ロック位置に配置されたリッド側ロック部40がアウタ側ロック部45に係合することで、リッド部材2が開位置にロックされる。これにより、実施例1のホルダ装置によると、リッド部材2を安定して開位置に維持でき、リッド部材2のホルダ部21に物品を安定して収容保持することが可能である。
【0067】
なお、図5に示すように、実施例1のホルダ装置においては、リッド部20における反時計回り方向の先側に位置する端部26よりも更に先側に、アウタ部材1におけるアウタロア15の立壁18が配置されている。このため、リッド部材2が開位置よりもさらに開方向に回動しようとすると、当該リッド部20の端部26およびアウタロア15の立壁18が干渉する。このことによっても、開位置にあるリッド部材2の更なる開方向への位置変化は阻害される。
【0068】
さらに、実施例1のホルダ装置は、図5に示すように、サポート22を具備する。サポート22は、ホルダ部21に収容保持された飲料容器90を、サポート本体23から離れる方向、すなわち、リッド側ロック部40に向けて押圧する。これにより、リッド側ロック部40はより信頼性高くロック位置に位置変化し、アウタ側ロック部45に係合する。これにより、リッド部材2はより一層安定して開位置にロックされる。
また、サポート22は、飲料容器90を押圧することで、ホルダ部21内での当該飲料容器90の位置変化を阻害する。これにより、実施例1のホルダ装置によると、飲料容器90をより安定してホルダ部21に収容保持することが可能である。
【0069】
ところで、図6に示すように、ホルダ部21の収容空間25に小型の飲料容器90を収容保持する場合には、サポート本体23が飲料容器90に当接しない。このため小型の飲料容器90をホルダ部21に収容保持する場合には、当該飲料容器90によってリッド側ロック部40をロック位置に至るまで十分に押圧できない場合がある。
しかし、実施例1のホルダ装置は、サポート22以外にも補助ロック機構50を具備する。図7に示すように、補助ロック機構50の補助ロック部51は、サポート22のサポート本体23よりもやや後側に配置されており、補助ロック位置における補助ロック部51と解除位置にあるリッド側ロック部40との距離は、サポート位置におけるサポート本体23と解除位置にあるリッド側ロック部40との距離よりも短い。このため、飲料容器90が小型でありサポート本体23が当該小型の飲料容器90に当接しない場合にも、補助ロック部51は小型の飲料容器90に当接し当該飲料容器90を押圧し得る。補助ロック部51はリッド側ロック部40と略対向する位置関係にあるため、補助ロック部51は小型の飲料容器90をリッド側ロック部40に向けて押圧し、小型の飲料容器90に押圧されたリッド側ロック部40はロック位置に位置変化し得る。これにより、実施例1のホルダ装置においては、飲料容器90が小型である場合にも、リッド部材2を安定して開位置にロックすることが可能である。
【0070】
図5または図6に示すように開位置にありかつ飲料容器90を収容保持したホルダ部21から飲料容器90を取り出すと、解除駆動要素48の付勢力によってリッド側ロック部40が図5および図6中の時計回りに回動して、ロック位置から解除位置に位置変化する。すると、リッド部材2のロックが解除され、リッド部材2はホルダ枢支部38を中心として回動可能となる。
ユーザーが開付勢要素80の付勢力に抗してリッド部材2を押圧し、当該リッド部材2を時計回りに回動させると、リッド部材2は図3に示す閉位置に位置変化する。なお、図示しないが、実施例1のホルダ装置は図略のハートカムを有するプッシュロック機構を具備する。閉位置にあるリッド部材2は、当該プッシュロック機構によって閉位置にロックされる。
【0071】
さらに、実施例1のホルダ装置においては、図2図3に示すように、リッド部材2に設けられている異物回収要素81の回収凸部82が、アウタ部材1に設けられている異物回収要素81の回収凹部84に噛み合う。これにより、実施例1のホルダ装置においては、アウタ部材1とリッド部材2との隙間にレシート等の薄型の物品が入り込み難く、かつ、当該隙間に入り込んだ薄型の物品を掻き出すことが可能である。
【0072】
(実施例2)
実施例2のホルダ装置は、ロック要素4以外は実施例1のホルダ装置と概略同じものである。実施例2のホルダ装置の動作を説明する説明図を図8に示す。なお、図8は実施例2のホルダ装置を図2と同位置で切断した様子を模式的に表す断面図であり、より具体的には、リッド部材2が開位置にあるときの実施例2のホルダ装置を表す。
以下、実施例1のホルダ装置との相違点を中心に、実施例2のホルダ装置について説明する。
【0073】
図8に示すように、実施例2のホルダ装置におけるロック要素4は、リッド側ロック部40とアウタ側ロック部45と、解除駆動要素48とを具備する点においては実施例1のホルダ装置と同様であるが、ロック要素4における各構成要素の構造および動作において相違する。
【0074】
具体的には、実施例2のホルダ装置におけるリッド側ロック部40は、略ロッド状をなす。リッド部材2のホルダ部21における底壁36、すなわち、ホルダ部21のうち開位置において下方に位置する部分には、貫通孔状をなす出入口39が設けられている。出入口39は底壁36の略中央部にある。リッド側ロック部40は、ホルダ部21の内部から当該出入口39に向けて挿入されており、リッド側ロック部40の先端はホルダ部21の下方外部に露出している。リッド側ロック部40は、出入口39に対してスライドし、ロック位置と、図8に示す解除位置との間を位置変化可能である。ホルダ部21の下方外部に向けたリッド側ロック部40の突出長さは、ロック位置において解除位置よりも長い。
【0075】
アウタ側ロック部45は、アウタ部材1のアウタロア15における下部、すなわち、リッド部材2が開位置にあるときに出入口39に対面する位置に設けられている。より詳しくは、アウタ側ロック部45は、アウタロア15の外部に向けて凹設された行き止まり穴状をなす。
実施例2のホルダ装置において、アウタ側ロック部45の周壁のうち図8における後側部分、すなわち、ホルダ枢支部38を中心とする反時計回り方向の先側に位置する部分が、第1係合壁部46である。また、アウタ側ロック部45の周壁のうち図8における前側部分、すなわち、ホルダ枢支部38を中心とする時計回り方向の先側に位置する部分が、第2係合壁部47である。
また、リッド側ロック部40のうち図8における後側面が第1係合面43であり、図8における前側面が第2係合面44である。
【0076】
解除駆動要素48は、つる巻きバネからなり、リッド側ロック部40に装着され、リッド側ロック部40とホルダ部21との間に介在する。解除駆動要素48は、リッド側ロック部40を図8に示す解除位置に向けて付勢する。
【0077】
実施例2のホルダ装置におけるリッド部材2は、実施例1のホルダ装置におけるリッド部材2と概略同じものであり、実施例1のホルダ装置におけるリッド部材2と同様に動作する。
リッド側ロック部40はホルダ部21の底壁36に配置されているため、開位置に位置変化したリッド部材2におけるホルダ部21の収容空間25に飲料容器90を収容保持すると、リッド側ロック部40は飲料容器90によって下方に押圧される。このためリッド側ロック部40は、解除駆動要素48の付勢力に抗してロック位置に位置変化し、アウタ側ロック部45に係合する。これにより、実施例2のホルダ装置においても、開位置にあるリッド部材2は開方向にも閉方向にも位置変化できなくなり、開位置にロックされる。
よって、実施例2のホルダ装置によっても、実施例1のホルダ装置と同様に、リッド部材2を安定して開位置にロックすることが可能である。
【0078】
また、実施例2のホルダ装置においては、リッド側ロック部40はホルダ部21の底壁36に配置され、飲料容器90によって下方に押圧されることで解除位置からロック位置に位置変化する。
このため、実施例のホルダ装置では、補助ロック部51を要さずに、飲料容器90が大型の場合にも、小型の場合にも、リッド部材2を安定して開位置にロックすることが可能であり、ホルダ部21に物品を安定して収容保持することが可能である。
【0079】
(実施例3)
実施例3のホルダ装置は、ロック要素4以外は実施例2のホルダ装置と概略同じものである。実施例3のホルダ装置の動作を説明する説明図を図9に示す。なお、図9は実施例3のホルダ装置を図2と同位置で切断した様子を模式的に表す断面図であり、より具体的には、リッド部材2が開位置にあるときの実施例3のホルダ装置を表す。
以下、実施例2のホルダ装置との相違点を中心に、実施例3のホルダ装置について説明する。
【0080】
図9に示すように、実施例3のホルダ装置におけるロック要素4は、実施例2のホルダ装置におけるロック要素4と同様に、スライド移動可能なリッド側ロック部40と、つる巻きバネからなる解除駆動要素48とを具備するものであるが、そのスライド方向が上下方向ではなく前後方向である点において実施例2のホルダ装置と大きく相違する。
【0081】
リッド部材2のホルダ部21における後壁34、すなわち、ホルダ部21のうち開位置において後方に位置する部分には、貫通孔状をなす出入口39が設けられている。リッド側ロック部40は、ホルダ部21の内部から当該出入口39に向けて挿入されており、リッド側ロック部40の先端はホルダ部21の後方外部に露出している。リッド側ロック部40は、出入口39に対してスライドし、ロック位置と、図9に示す解除位置との間を位置変化可能である。
解除駆動要素48は、リッド側ロック部40とホルダ部21との間に介在し、リッド側ロック部40を図9に示す解除位置に向けて付勢する。
【0082】
実施例3のホルダ装置においても、リッド部材2を開位置に位置変化させ、ホルダ部21の収容空間25に飲料容器90を収容保持すると、飲料容器90によってリッド側ロック部40が押圧されスライドする。これにより、リッド側ロック部40がロック位置に位置変化し、アウタ側ロック部45に係合するため、実施例3のホルダ装置においても、開位置にあるリッド部材2は開位置にロックされ、ホルダ部21に飲料容器90を安定して収容保持することが可能である。
【0083】
(実施例4)
実施例4のホルダ装置は、ロック要素4以外は実施例1のホルダ装置と概略同じものである。実施例4のホルダ装置の動作を説明する説明図を図10図12に示す。なお、図10図12は実施例4のホルダ装置を図2と同位置で切断した様子を模式的に表す断面図であり、より具体的には、図10および図11はリッド部材2が開位置にあるときの実施例4のホルダ装置を表し、図12はリッド部材2が閉位置にあるときの実施例4のホルダ装置を表す。
以下、実施例1のホルダ装置との相違点を中心に、実施例4のホルダ装置について説明する。
【0084】
図10に示すように、ロック要素4における解除駆動要素48は、錘であり、リッド側ロック部40に一体に設けられるとともに、リッド側ロック部40の回動軸つまりロック軸部42を中心としてリッド側ロック部40と一体に回動する。
【0085】
より具体的には、実施例4のホルダ装置における解除駆動要素48は、略扇形をなし、ロック軸部42から、当該ロック軸部42を中心とする円の径方向に向けて突出する。解除駆動要素48およびリッド側ロック部40は、ロック軸部42を中心として互いに交差する方向に突出する。
【0086】
錘状をなす解除駆動要素48が一体に設けられることで、解除駆動要素48とリッド側ロック部40との複合体の重心は、リッド側ロック部40の重心に比べて、解除駆動要素48側に偏る。このため、リッド側ロック部40および解除駆動要素48の自重以外の荷重が作用していない自然状態において、リッド側ロック部40は、図10に示すようにホルダ部21の内部に突出する解除位置に配置される。つまり、実施例4のホルダ装置においても、解除駆動要素48は、リッド側ロック部40を解除位置に向けて駆動する。
このため、ホルダ部21に飲料容器90を収容保持していないときには、図10に示す開位置においても、図12に示す閉位置においても、リッド側ロック部40はホルダ部21の内部に突出して、ホルダ部21の外部からは退避する。
【0087】
図11に示すように、リッド部材2を開位置に配置し、ホルダ部21に飲料容器90を収容保持すると、ホルダ部21の内部に突出しているリッド側ロック部40は、飲料容器90によって押圧されてホルダ部21の外部に突出し、アウタ部材1に設けられているアウタ側ロック部45と係合する。これにより、実施例4のホルダ装置においても、リッド部材2が開位置にロックされ、ホルダ部21に飲料容器90すなわち物品を安定して収容保持することが可能である。
【0088】
本発明は、上記し且つ図面に示した実施形態にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。また、実施形態を含む本明細書に示した各構成要素は、それぞれ任意に抽出し組み合わせて実施できる。
【符号の説明】
【0089】
1:アウタ部材 11:開口
2:リッド部材 21:ホルダ部
4:ロック要素 40:リッド側ロック部
45:アウタ側ロック部 48:解除駆動要素
51:補助ロック部 55:補助駆動要素
80:開付勢要素 90:飲料容器(物品)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12