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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】医用画像撮像装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/00 20060101AFI20221018BHJP
【FI】
A61B10/00 E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020517730
(86)(22)【出願日】2018-05-11
(86)【国際出願番号】 JP2018018289
(87)【国際公開番号】W WO2019215906
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2020-11-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】妻鳥 紘之
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-160891(JP,A)
【文献】国際公開第2017/164101(WO,A1)
【文献】特開2012-023492(JP,A)
【文献】特開2007-303990(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/00
A61B 5/00
A61B 5/107
A61B 5/1171
A61B 5/145 - 5/157
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内の治療対象部位に蓄積された光感受性物質であるIR700に治療光を照射して行う治療時の前記治療対象部位を撮像して画像を生成する医用画像撮像装置であって、
前記治療光を照射することによりIR700から発せられる蛍光のうち、所定波長の光を除去する検出器フィルタと、
前記検出器フィルタを透過した前記蛍光を検出する検出器と、
前記検出器の出力に基づき画像を生成する画像生成部とを備え、
前記蛍光は、少なくとも第1発光ピークと第2発光ピークとを有し、
前記第1発光ピークの波長は、前記第2発光ピークの波長以下の波長であり、
前記所定波長は、前記第1発光ピークの波長であり、
前記検出器フィルタは、750nm以上800nm未満の領域に含まれる波長の光を透過するように構成されている、医用画像撮像装置。
【請求項2】
前記検出器フィルタは、前記第2発光ピークの波長を含む、前記第1発光ピークの波長よりも長い波長の光を透過するように構成されている、請求項1に記載の医用画像撮像装置。
【請求項3】
前記検出器フィルタは、前記第2発光ピークの波長を含む、室内照明が発する光の波長領域の上限波長よりも長い波長の光を透過するように構成されている、請求項1または2に記載の医用画像撮像装置。
【請求項4】
前記第1発光ピークの波長と前記第2発光ピークの波長との間隔は、前記第1発光ピークの波長と前記治療光のピーク波長との間隔よりも大きい、請求項1~3のいずれか1項に記載の医用画像撮像装置。
【請求項5】
前記治療光は、650nm以上700nm以下の波長領域にピーク波長を有する光である、請求項1~4のいずれか1項に記載の医用画像撮像装置。
【請求項6】
前記第1発光ピークの波長は、700nm以上750nm未満の領域に含まれ、
前記第2発光ピークの波長は、750nm以上800nm未満の領域に含まれる、請求項1~5のいずれか1項に記載の医用画像撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像撮像装置に関し、特に、治療時の画像を撮像し、治療支援を行う医用画像撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、治療時の画像を撮像し、治療支援を行う医用画像撮像装置が知られている。このような医用画像撮像装置は、たとえば、特開2012-023492号公報に開示されている。
【0003】
上記特開2012-023492号公報には、光感受性物質を含む被検体に、可視光および励起光を照射し、被検体の可視光画像および励起光によって光感受性物質から発生した蛍光画像を取得し治療支援を行う医用画像撮像装置が開示されている。上記特開2012-023492号公報には、光感受性物質が投与された術部に、可視光と励起光とを相互に切り替えて照射させ、可視光画像と蛍光画像とを取得する構成が開示されている。なお、光感受性物質とは、所定の波長の励起光を照射されることにより、所定の波長の蛍光を発する薬剤の事である。上記特開2012-023492号公報では、光感受性物質として、インドシアニングリーン(以下、ICGという)が用いられている。特開2012-023492号公報では、ICGを被検者に投与し、励起光を照射することによって切除する部位を可視化することにより、治療支援を行っている。
【0004】
また、切除する部位を可視化するという目的以外にも、光感受性物質を用いることが知られている。このような光感受性物質の使用方法は、たとえば、特開2017-071654号公報に開示されている。特開2017-071654号公報には、励起光を吸収することにより蛍光を発する物質と、がん細胞に選択的に結合する抗体とを結合させた薬剤を被検体に投与し、励起光を照射することによりがん細胞を死滅させる方法が開示されている。上記特開2017-071654号公報では、光感受性物質として、IRDye(登録商標)700Dx(以下、IR700という)が用いられている。
【0005】
上記特開2017-071654号公報に開示されている手法により、がんの治療効果を確認したい場合がある。たとえば、治療光を照射した後のがん細胞の大きさにより、再度治療光を照射する必要があるか否かの判断をするために、がん細胞の大きさを確認したい場合がある。励起光を照射された光感受性物質が発する蛍光に基づき生成された蛍光画像によって、がん細胞の大きさを確認することができる。しかしながら、照射される励起光の波長帯域は、光感受性物質によって異なる。また、励起光を照射されることによって発せられる蛍光の波長帯域も光感受性物質によって異なるため、光感受性物質から発せられる蛍光の波長帯域が、手術室などで用いられている室内照明などの光の波長領域と重なる場合がある。なお、本明細書において、室内照明とは、蛍光灯、白色電球、LED照明、非常灯、モニタ、医療機器で点灯している光などを含む。
【0006】
上記特開2012-023492号公報の医用画像撮像装置で用いられているICGは、蛍光の波長が室内照明の光の波長領域よりも長いため、蛍光画像に対する室内照明の影響は少ない。しかしながら、光感受性物質として特開2017-071654号公報に開示されているIR700を用いる場合、IR700から発せられる蛍光の波長領域には、室内照明の光の波長領域に近い光が含まれるため、IR700から発せられる蛍光に基づいて画像を生成する際に、室内照明などの光が蛍光画像に映り込んでしまう。室内照明などの光が蛍光画像に映り込むと、バックグラウンド(光感受性物質が発する蛍光以外の光)が上昇するため、高解像度の撮像素子を用いて蛍光画像を生成する場合、ノイズが多くなる。また、励起光を用いてIR700を励起させる場合は、IR700の励起光の波長と蛍光の波長とが近いため、蛍光画像に励起光が映り込んでしまう。また、IR700の励起光の波長が近赤外線の波長領域に近いため、近赤外線の波長領域に近い励起光を照射した場合、術野が赤く照らされる。
【0007】
上記のように、光感受性物質から発せられる蛍光に基づいて画像を生成する際には、室内照明の光などが蛍光画像に映り込み、蛍光画像の画質が低下するという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2012-023492号公報
【文献】特開2017-071654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、被検体に注入された光感受性物質が発する蛍光に基づいて蛍光画像を生成する際に、室内照明などの光感受性物質が発する蛍光以外の光が蛍光画像に重畳され、蛍光画像の画質が低下することを抑制することが可能な医用画像撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面における医用画像撮像装置は、被検体内の治療対象部位に蓄積された光感受性物質であるIR700に治療光を照射して行う治療時の治療対象部位を撮像して画像を生成する医用画像撮像装置であって、治療光を照射することによりIR700から発せられる蛍光のうち、所定波長の光を除去する検出器フィルタと、検出器フィルタを透過した蛍光を検出する検出器と、検出器の出力に基づき画像を生成する画像生成部とを備え、蛍光は、少なくとも第1発光ピークと第2発光ピークとを有し、第1発光ピークの波長は、第2発光ピークの波長以下の波長であり、所定波長は、第1発光ピークの波長であり、検出器フィルタは、750nm以上800nm未満の領域に含まれる波長の光を透過するように構成されている
【0011】
この発明の一の局面における医用画像撮像装置は、上記のように、感受性物質であるIR700から発せられる蛍光のうち、所定波長を有する光を除去する検出器フィルタを備える。これにより、検出器フィルタによって室内照明が発する光の波長領域の光を取り除くことができる。すなわち、光感受性物質からの蛍光のうち、室内照明の光の波長領域に含まれる光を室内照明の光とともに敢えて除去し、室内照明の光の波長領域より波長の長い蛍光により画像を生成することができる。したがって、被検体に注入された光感受性物質が発する蛍光に基づいて蛍光画像を生成する際に、バックグラウンドが上昇することを抑制することができる。また、バックグラウンドの上昇を抑制することが可能となるので、高解像度の撮像素子を用いて蛍光画像を生成する場合でも、ノイズが多くなることを抑制することができる。これらの結果、被検体に注入された光感受性物質が発する蛍光に基づいて蛍光画像を生成する際に、室内照明の光が蛍光画像に重畳され、蛍光画像の画質が低下することを抑制することができる。
【0012】
上記一の局面における医用画像撮像装置において、好ましくは、検出器フィルタは、第2発光ピークの波長を含む、第1発光ピークの波長よりも長い波長の光を透過するように構成されている。このように構成すれば、たとえば、光感受性物質が発する蛍光の第1発光ピークの波長が室内照明の光の波長領域に含まれる場合、第1発光ピークの波長未満の波長領域に含まれる室内照明が発する光を検出器フィルタによって除去することができる。その結果、蛍光画像に第1発光ピークの波長領域の室内照明の光が映り込むことを抑制することができる。
【0013】
上記一の局面における医用画像撮像装置において、好ましくは、検出器フィルタは、第2発光ピークの波長を含む、室内照明が発する光の波長領域の上限波長よりも長い波長の光を透過するように構成されている。このように構成すれば、光感受性物質が発する蛍光のうち、室内照明が発する光の波長領域の上限波長よりも長い波長の蛍光を検出することができる。その結果、蛍光画像を生成する際に室内照明の光が蛍光画像に重畳されることをより一層抑制することが可能となるので、蛍光画像の画質が低下することをより一層抑制することができる。
【0014】
上記の局面における医用画像撮像装置において、好ましくは、第1発光ピークの強度は、第2発光ピークの強度よりも高い。このような蛍光を発する光感受性物質を用いれば、たとえば、第1発光ピークの波長が、室内照明が発する光の波長領域に含まれている場合でも、第1発光ピークの波長の蛍光を室内照明の光とともに敢えて除去し、第2発光ピークの蛍光により画像を生成することができる。その結果、室内照明の光の波長領域に含まれる光を除去することにより、第1発光ピークの強度より強度が低い第2発光ピークの光のS/N比を向上させることが可能となるので、第2発光ピークの蛍光を用いても、蛍光画像の画質が劣化すること抑制することができる。
【0015】
上記の局面における医用画像撮像装置において、好ましくは、第1発光ピークの波長と第2発光ピークの波長との間隔は、第1発光ピークの波長と治療光のピーク波長との間隔よりも大きい。このような蛍光を発する光感受性物質を用いれば、治療光のピーク波長と蛍光の第1発光ピークの波長との間に、検出器フィルタを透過させる所定の波長を設定する場合と比較して、治療光のピーク波長からの間隔が第1発光ピークよりも第2発光ピークの方が大きいので、治療光のピーク波長と蛍光の第2発光ピークの波長との間に、検出器フィルタを透過させる所定の波長を容易に設定することができる。
【0016】
上記の局面における医用画像撮像装置において、好ましくは、治療光は、650nm以上700nm以下の波長領域にピーク波長を有する光である。ここで、赤色の波長領域は約610nmから約750nmである。また、光の色は、可視光領域の境界に近づくにつれて人の眼の感度が低下するため、見かけ上黒に近づく。したがって、このような蛍光を発する光感受性物質を使用する際に、治療光の波長を650nm以上700nm以下の波長領域に設定することで、650nm未満の治療光を照射する場合と比較して、被検者に照射された励起光によって照射範囲が赤く照らされることを抑制することができる。
【0017】
上記一の局面における医用画像撮像装置において、好ましくは、第1発光ピークの波長は、700nm以上750nm未満の領域に含まれ、第2発光ピークの波長は、750nm以上800nm未満の領域に含まれる。このようなピーク波長を有する蛍光を発する光感受性物質を用いれば、検出器フィルタが除去する所定波長の大きさの上限を、700nm以上750nm未満の範囲に設定することが可能となる。その結果、検出器フィルタが透過させる所定波長の大きさの上限を、室内照明の光を除去することに好ましい波長領域に設定することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、上記のように、被検体に注入された光感受性物質が発する蛍光に基づいて蛍光画像を生成する際に、室内照明などの光感受性物質が発する蛍光以外の光が蛍光画像に重畳され、蛍光画像の画質が低下することを抑制することが可能な医用画像撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態による医用画像撮像装置を備える治療支援システムの概略を示したブロック図である。
図2】本発明の一実施形態による医用画像撮像装置の斜視図である。
図3】本発明の一実施形態による医用画像撮像装置の撮像部の概略図である。
図4】本発明の一実施形態による医用画像撮像装置の撮像部内部の概略を示したブロック図である。
図5】本発明の一実施形態による医用画像撮像装置を備える治療支援システムの全体構成の模式図である。
図6】本発明の一実施形態による医用画像撮像装置を備えた治療支援システムが光感受性物質の蛍光を発生させる状態を示す模式図(断面図)である。
図7】本発明の一実施形態による医用画像撮像装置が表示部に表示する蛍光画像の模式図(A)、可視光画像の模式図(B)およびそれらを合成した合成画像の模式図(C)である。
図8】被検体に投与される光感受性物質のスペクトルの模式図である。
図9】本発明の一実施形態による医用画像撮像装置が撮像する蛍光画像に室内照明の光が映り込んだ場合の蛍光画像の模式図(A)、可視光画像の模式図(B)およびそれらを合成した合成画像の模式図(C)である。
図10】本発明の一実施形態による第1フィルタが光を透過する構成を説明するための模式図である。
図11】本発明の一実施形態による第1フィルタが透過する光の波長領域を説明するための模式図である。
図12】本発明の第1参考例による医用画像撮像装置を備える治療支援システムの概略を示したブロック図である。
図13】本発明の第1参考例による励起光源および第2フィルタの概略図である。
図14】本発明の第1参考例による第1フィルタおよび第2フィルタによる光を透過する構成を説明するための模式図である。
図15】本発明の第1参考例による第2フィルタが透過する光の波長領域を説明するための模式図である。
図16】本発明の第2参考例による第3フィルタが光を透過する構成を説明するための模式図である。
図17】本発明の第2参考例による第3フィルタが透過する光の波長領域を説明するための模式図である。
図18】本発明の第3参考例による第4フィルタが光を透過する構成を説明するための模式図である。
図19】本発明の第3参考例による第4フィルタが透過する光の波長領域を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
一実施形態
図1図11を参照して、本発明の一実施形態による医用画像撮像装置1を備えた治療支援システム100の構成について説明する。
【0022】
(治療支援システムの構成)
実施形態による医用画像撮像装置1を備えた治療支援システム100は、図1に示すように、医用画像撮像装置1と、表示装置30とを備える。医用画像撮像装置1は、被検体P内の治療対象部位に蓄積された光感受性物質Paに励起光EL(治療光)を照射して行う治療時の治療対象部位を撮像して画像を生成する医用画像撮像装置であって、励起光ELを照射することにより被検体Pに投与された光感受性物質Paから発せられる蛍光IRを検出し、がん細胞20(図7参照)を可視化することにより執刀医Q(図5参照)の手術を支援するように構成されている。医用画像撮像装置1の詳しい構成は後述する。なお、励起光ELは、特許請求の範囲の「治療光」の一例である。
【0023】
また、表示装置30は、医用画像撮像装置1から出力される被検体Pの撮像画像16(図7参照)を表示するように構成されている。表示装置30は、たとえば、液晶ディスプレイなどのモニタである。
【0024】
(医用画像撮像装置の構成)
実施形態による医用画像撮像装置1は、図1に示すように、受光部2と光学系3と光源部4とを含む撮像部5と、アーム機構6と、筐体7とを備える。
【0025】
受光部2は、可視光検出部8と蛍光検出部9とを含む。可視光検出部8は、可視光Visを検出するように構成されている。また、蛍光検出部9は、蛍光IRを検出するように構成されている。可視光検出部8および蛍光検出部9の詳しい構成については、後述する。なお、蛍光検出部9は、特許請求の範囲の「検出器」の一例である。
【0026】
光学系3は、ズームレンズ10と、プリズム11と、第1フィルタ12とを含む。光学系3は、被検体Pから反射された可視光Visと励起光ELを照射されることにより光感受性物質Paから発せられる蛍光IRとの分離、および、蛍光IRの分離を行うように構成されている。光学系3の詳しい構成については後述する。なお、第1フィルタ12は、特許請求の範囲の「検出器フィルタ」の一例である。
【0027】
光源部4は、可視光Visを被検体P(患者)に照射する可視光源4aと、被検体Pの体内に投与された光感受性物質Paを励起させるための励起光ELを被検体Pに向けて照射する励起光源4bとを備えている。可視光源4aおよび励起光源4bは、たとえば、発光ダイオード(LED)を含む。なお、光感受性物質Paは、たとえば、IR700である。IR700は、励起光ELを吸収することにより蛍光IRを発する物質と、がん細胞20に選択的に結合する抗体とを結合させた薬剤である。IR700は、被検体Pに投与し、励起光ELを照射することによりがん細胞20を死滅させる近赤外光免疫療法(NIR-PIT)に用いられる薬剤である。
【0028】
ここで、IR700は、がん細胞20に特異的に結合する性質を有している。したがって、NIR-PITでは、IR700に対して励起光EL(治療光)を照射することにより、IR700から生じる熱によってがん細胞20のみを破壊することができる。また、IR700は、がん細胞20が破壊された場合、蛍光IRを発しなくなる。したがって、NIR-PITでは、治療光を照射することにより生じる蛍光IRの強度を取得することにより、治療効果を確認することができる。すなわち、治療光の照射直後における蛍光IRの強度を100とした場合に、所定パーセント分だけ蛍光IRが低下したか否かによって治療効果を確認することができる。また、NIR-PITでは、がん細胞20に結合したIR700から蛍光IRが発せられるため、治療前後の蛍光IRの強度変化により、治療光が正しく当てられたか否かを把握することができる。また、がん細胞20が想定していた位置とは異なる位置にあった場合でも、IR700からの蛍光IRを検出することにより、がん細胞20の位置を把握し、治療することができる。
【0029】
筐体7は、制御部13と画像生成部14と記憶部15とを含む。筐体7は、たとえば、PC(Personal Computer)が内蔵された台車である。制御部13は、光源部4からの光(可視光Vis、励起光EL)の照射、照射の停止などを、図示しない操作部による入力操作に基づいて制御するように構成されている。制御部13は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサによって構成されている。
【0030】
画像生成部14は、蛍光検出部9で検出された信号に基づき、蛍光画像16a(図7参照)を生成するように構成されている。また、画像生成部14は、可視光検出部8で検出された信号に基づき、可視光画像16b(図7参照)を生成するように構成されている。また、画像生成部14は、蛍光画像16aと可視光画像16bとを合成した合成画像16c(図7参照)を生成するように構成されている。画像生成部14は、たとえば、GPU(Graphics Processing Unit)または画像処理用に構成されたFPGA(Field-Programmable Gate Array)などのプロセッサを含む。
【0031】
また、記憶部15は、画像生成部14が生成した画像16などを記憶するように構成されている。記憶部15は、たとえば、不揮発性のメモリまたはハードディスクドライブ(HDD)などを含む。
【0032】
図2は、実施形態による医用画像撮像装置1の斜視図である。筐体7は、4個の車輪70と、筐体7の上面における筐体7の進行方向の前方付近に設けられたアーム機構6と、アーム機構6にサブアーム50を介して設けられた撮像部5と、モニタ72とを備える。筐体7の進行方向の後方には、筐体7を移動するときに使用されるハンドル71が設けられている。また、筐体7の上面には、医用画像撮像装置1の遠隔操作に使用される図示しない操作部を装着するための凹部73が形成されている。
【0033】
アーム機構6は、筐体7の進行方向の前方側(ハンドル71の反対側)に設けられている。アーム機構6は、筐体7の進行方向の前方側に設けられた支柱65上に配置された支持部66に対して、ヒンジ部62により連結された第1アーム部材60を備える。第1アーム部材60は、ヒンジ部62を中心に、支柱65および支持部66を介して、筐体7に対して揺動可能となっている。なお、モニタ72は、支柱65に設置されている。
【0034】
第1アーム部材60の上端には、第2アーム部材61がヒンジ部63により連結されている。第2アーム部材61は、ヒンジ部63を介して、第1アーム部材60に対して揺動可能となっている。このため、第1アーム部材60と第2アーム部材61とは、自由に角度を調節できるように構成されている。
【0035】
第2アーム部材61の下端には、支持部52がヒンジ部64により連結されている。支持部52は、ヒンジ部64を介して、第2アーム部材61に対して揺動可能となっている。支持部52には、回転軸51が設けられている。そして、撮像部5を支持したサブアーム50は、第2アーム部材61の先端に設けられた回転軸51を中心に回動する。このため、撮像部5は、サブアーム50の回動により、アーム機構6に対して筐体7の進行方向の前方側の位置と、筐体7を移動させる時の姿勢であるアーム機構6に対して筐体7の進行方向の後方側(ハンドル71側)の位置との間を移動する。
【0036】
図3は、実施形態による医用画像撮像装置1の撮像部5の概略図である。撮像部5は、上述の受光部2と、光学系3と、光源部4とを撮像部5内に収容している。図3の例では、可視光源4aおよび励起光源4bは、それぞれ6個のLEDによって構成されている。可視光源4aは、被検体Pに向けて照射する可視光Visとして、たとえば、可視領域の複数の波長を含む白色光を照射するように構成されている。また、励起光源4bは、光感受性物質Paを励起させるための励起光ELとして、第1波長42(図8参照)をピーク波長とする励起光ELを被検体Pに向けて照射するように構成されている。
【0037】
図4は、実施形態による医用画像撮像装置1の受光部2および光学系3の概略図である。受光部2は、可視光検出部8と、蛍光検出部9とを備える。また、光学系3は、フォーカスを合わせるために図示しないレンズ移動機構によって光軸L方向に往復移動させられるズームレンズ10と、プリズム11と、第1フィルタ12とを備える。プリズム11は、ズームレンズ10と第1フィルタ12との間に設置されている。第1フィルタ12は、プリズム11と蛍光検出部9との間に設置されている。
【0038】
可視光検出部8は、可視光源4aから照射され、被検体Pによって反射した可視光Visを検出するように構成されている。また、蛍光検出部9は、励起光源4bから照射された励起光ELによって、被検体Pの体内に投与された光感受性物質Paから発生された蛍光IRを検出するように構成されている。可視光検出部8および蛍光検出部9は、たとえば、それぞれCMOS(Complementary Netal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)などのイメージセンサから構成される。なお、可視光検出部8は、可視光画像16bをカラー画像として撮影することが可能なものが使用される。
【0039】
可視光検出部8および蛍光検出部9は、可視光Visおよび蛍光IRを検出する際に、共通の光学系3によって、可視光Visおよび蛍光IRを検出するように構成されている。具体的には、受光部2に対して、光軸Lに沿って入射した可視光Visおよび蛍光IRは、ズームレンズ10を透過した後、プリズム11に到達する。入射した可視光Visおよび蛍光IRのうち、可視光Visは、プリズム11により反射され、可視光検出部8に入射する。また、入射した可視光Visおよび蛍光IRのうち、蛍光IRは、プリズム11を透過して第1フィルタ12に入射する。入射した蛍光IRのうち、第1波長42(図8参照)よりも大きい波長の蛍光IRa(一点鎖線)は、第1フィルタ12を透過する。また、入射した蛍光IRのうち、第1波長42よりも短い波長の蛍光IRb(破線)は、第1フィルタ12によって除去される。したがって、蛍光検出部9には、所定の第1波長42以上の大きさの波長の蛍光IRaが到達する。言い換えると、所定の第1波長42以上の大きさの波長の蛍光IRaは、蛍光検出部9によって検出され、所定の第1波長42よりも短い大きさの波長の蛍光IRbは、蛍光検出部9によって検出されない。第1フィルタ12は、たとえば、カラーフィルタを含む。
【0040】
図5は、治療支援システム100の全体構成を示す図である。治療支援システム100は、治療中の被検体Pの可視光画像16bおよび蛍光画像16aを撮像し、表示装置30に表示することによって、治療支援を行う治療支援システムとして構成されている。図5に示すように、医用画像撮像装置1は、執刀医Qが被検体Pの手術を行う際に、被検体Pの上方から被検体Pを撮像するように構成されている。具体的には、図6に示すように、医用画像撮像装置1に設けられている励起光源4bから照射された励起光ELによって、被検体Pの内部の光感受性物質Paは、蛍光IRを発生させる。そして、医用画像撮像装置1に設けられている蛍光検出部9は、被検体Pの内部の光感受性物質Paから発生する蛍光IRを検出する。
【0041】
実施形態では、医用画像撮像装置1は、たとえば、被検体Pのがん細胞20を含む組織21を撮像するように構成されている。図7は、表示装置30に表示される画像16の例を示す模式図である。実施形態では、がんに侵された組織21を撮像し、表示装置30に表示する例を示している。図7(A)は、がん細胞20の蛍光画像16aの模式図である。図7(B)は可視光画像16bの模式図である。また、図7(C)は、蛍光画像16aと可視光画像16bとを合成した合成画像16cの模式図である。
【0042】
実施形態において、医用画像撮像装置1は、がん細胞20の蛍光画像16aと可視光画像16bとを合成して合成画像16cを生成し、蛍光画像16a、可視光画像16bおよび合成画像16cを表示装置30に出力するように構成されている。また、図7に示すように、表示装置30は、蛍光画像16a、可視光画像16bおよび合成画像16cをそれぞれ表示するように構成されている。
【0043】
図8を参照して、光感受性物質Paについて説明する。図8に示すグラフ40(実線)は、光感受性物質Paの吸収スペクトルである。また、図8に示すグラフ41(一点鎖線)は、励起光ELを照射された光感受性物質Paから発せられる蛍光IRのスペクトルである。また、グラフ40およびグラフ41の横軸は波長である。また、グラフ40およびグラフ41の縦軸は、吸収および蛍光の正規化された強度である。
【0044】
図8のグラフ40に示すように、光感受性物質Paは、約650nm以上約700nm未満の波長領域に吸収のピーク波長を有する第1吸収ピーク40aを有している。また、光感受性物質Paは、約600nm以上約650nm未満の波長領域に吸収のピーク波長を有する第2吸収ピーク40bを有している。光感受性物質Paに照射される励起光ELは、グラフ40の範囲であればどの波長の光であってもよい。また、光感受性物質Paに照射される励起光ELは、励起光ELの波長を吸収ピークの波長に合わせなくてもよい。実施形態では、励起光源4bから照射される励起光ELは、たとえば、約650nm以上約700nm以下の波長領域にピーク波長を有する光である。具体的には、励起光源4bは、第1吸収ピーク40aの波長と同じピーク波長を有する励起光ELを照射するように構成されている。実施形態では、たとえば、励起光源4bは、約690nmのピーク波長を有する励起光ELを照射するように構成されている。
【0045】
図8のグラフ41に示すように、光感受性物質Paから発せられる蛍光IRは、少なくとも第1発光ピーク41aと第2発光ピーク41bとを有する。グラフ41に示すように、第1発光ピーク41aの強度は、第2発光ピーク41bの強度よりも高い。第1発光ピーク41aの波長は、第2発光ピーク41bの波長以下の波長であり、室内照明が発する光FL(図10参照)の波長領域に含まれる波長である。また、第2発光ピーク41bの波長は、室内照明が発する光FLの波長領域に含まれない波長である。具体的には、光感受性物質Paから発せられる蛍光IRの第1発光ピーク41aは、約700nm以上750nm未満の波長の領域に含まれる。また、光感受性物質Paから発せられる蛍光IRの第2発光ピーク41bは、約750nm以上800nm未満の領域に含まれる。第1発光ピーク41aの波長と第2発光ピーク41bの波長との間隔d1は、第1発光ピーク41aの波長と励起光ELのピーク波長との間隔d2よりも大きい。なお、室内照明の光FLは、約300nm~約710nmの波長領域に波長ピークを有している。
【0046】
図8のグラフ41に示すように、光感受性物質Paの第1発光ピーク41aの波長の大きさは約700nmである。したがって、たとえば、光感受性物質Paにピーク波長が約620nmの励起光ELを照射し、第1発光ピーク41aの波長の大きさの蛍光IRを蛍光検出部9によって検出する場合、生成される蛍光画像16aには、図9(A)に示す蛍光画像17aのように室内照明の光FLが重畳される。室内照明の光FLが重畳されると、蛍光画像17aに室内照明の光FLが写りこみ、S/N比が低下する。蛍光画像17aの画質が劣化すると、蛍光画像17aと可視光画像17bとを合成して生成される合成画像17cも画質が劣化する可能性がある。なお、図9(A)および図9(C)に示す例では、便宜上、室内照明の光FLの映り込みを斜線のハッチングで表している。
【0047】
そこで、実施形態では、医用画像撮像装置1は、第1フィルタ12によって室内照明の光FLの波長領域よりも大きい蛍光IRaと、室内照明の光FLおよび室内照明の光FLの波長領域の蛍光IRbとを分離するように構成されている。
【0048】
具体的には、第1フィルタ12は、被検体Pに注入された光感受性物質Paから発せられる蛍光IRのうち、少なくとも所定波長を有する光を透過するように構成されている。より具体的には、第1フィルタ12は、所定波長を含む第1発光ピーク41aの波長よりも長い波長の光を透過するように構成されている。また、第1フィルタ12は、所定波長を含む、室内照明が発する光FLの波長領域の上限波長よりも長い波長の光を透過するように構成されている。なお、所定波長は、第2発光ピーク41bの波長である。
【0049】
図10は、蛍光検出部9に到達する光を説明するための模式図である。図10(a)に示すように、第1フィルタ12には、室内照明の光FLと、励起光ELを照射された光感受性物質Paから発せられる蛍光IRが入射する。図10(b)に示すように、第1フィルタ12に入射した室内照明の光FLと蛍光IRとのうち、室内照明の光FLおよび第1波長42よりも短い波長の蛍光IRbが第1フィルタ12によって除去される。また、第1フィルタ12に入射した室内照明の光FLと蛍光IRとのうち、第1波長42以上の波長の蛍光IRaが第1フィルタ12を透過し、蛍光検出部9に到達する。
【0050】
なお、第1フィルタ12は、構造上、所定波長の波長を有する光のみを正確に透過させることは難しい。そこで、実施形態では、所定の波長よりも短い第1波長42よりも大きい波長の光を透過させるように構成されている。言い換えると、第1フィルタ12は、励起光源4bから照射された励起光ELにより光感受性物質Paから発せられる蛍光IRのうち、第1発光ピーク41aの波長と第2発光ピーク41bの波長との間にある第1波長42よりも短い波長の光を取り除くように構成されている。
【0051】
第1波長42は、約700nm以上約770nm未満の範囲に含まれる波長である。また、第1波長42は、蛍光IRの第1発光ピーク41aよりも、蛍光IRの第2発光ピーク41bに近い大きさの波長である。実施形態では、第1波長42は、たとえば、約750nmの波長である。第1フィルタ12で除去する波長の上限である第1波長42の大きさを約750nmに設定することにより、第1フィルタ12は、所定波長を有する蛍光IRを透過させることができ、蛍光検出部9によって室内照明の光FLが検出されることを抑制することができる。図11のグラフ46に示すように、第1フィルタ12は、たとえば、第1波長42よりも小さい波長から徐々に透過率が増加するように構成されている。すなわち、第1フィルタ12は、第1波長42を中心とした波長領域45において、第1波長42前後の波長の光を透過させるように構成されている。したがって、第1波長42の大きさを第1発光ピーク41aに近付けすぎると、第1発光ピーク41a以下の大きさの波長の光が第1フィルタ12を透過する可能性がある。そのため、第1波長42の大きさは、波長領域45の大きさを考慮した大きさに設定することが好ましい。なお、図11のグラフ46は、横軸が波長であり、縦軸が光(励起光EL)の透過率である。
【0052】
実施形態の効果)
実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0053】
実施形態では、上記のように、医用画像撮像装置1は、励起光EL(治療光)を照射することにより光感受性物質Paから発せられる蛍光IRのうち、少なくとも所定波長を有する光を透過する第1フィルタ12と、第1フィルタ12を透過した蛍光IR(IRa)を検出する蛍光検出部9と、蛍光検出部9の出力に基づき蛍光画像16aを生成する画像生成部14とを備え、蛍光IRは、少なくとも第1発光ピーク41aと第2発光ピーク41bとを有し、第1発光ピーク41aの波長は、第2発光ピーク41bの波長以下の波長であり、室内照明が発する光FLの波長領域に含まれる波長であり、第2発光ピーク41bの波長は、室内照明が発する光FLの波長領域に含まれない波長であり、所定波長は、第2発光ピーク41bの波長である。これにより、第1フィルタ12によって室内照明が発する光FLを取り除くことができる。すなわち、光感受性物質Paからの蛍光IRのうち、室内照明の光FLの波長の波長領域に含まれる光(蛍光IRb)を室内照明の光FLとともに敢えて除去し、室内照明の光FLの波長の波長領域より波長の長い蛍光IR(IRa)により蛍光画像16aを生成することができる。したがって、被検体Pに注入された光感受性物質Paが発する蛍光IRに基づいて蛍光画像16aを生成する際に、バックグラウンドが上昇することを抑制することができる。また、バックグラウンドの上昇を抑制することが可能となるので、高解像度の撮像素子を用いて蛍光画像16aを生成する場合でも、ノイズが多くなることを抑制することができる。これらの結果、被検体Pに注入された光感受性物質Paが発する蛍光IR(IRa)に基づいて蛍光画像16aを生成する際に、室内照明の光FLが蛍光画像16aに重畳され、蛍光画像16aの画質が低下することを抑制することができる。
【0054】
また、実施形態では、上記のように、第1フィルタ12は、所定波長を含む、第1発光ピーク41aの波長よりも長い波長の光を透過するように構成されている。これにより、たとえば、光感受性物質Paが発する蛍光IRの波長が室内照明の光FLの波長領域に含まれる場合、第1発光ピーク41aの波長未満の波長領域に含まれる室内照明が発する光FLを第1フィルタ12によって除去することができる。その結果、蛍光画像16aに励起光ELの波長領域の室内照明の光FLが映り込むことを抑制することができる。
【0055】
また、実施形態では、上記のように、第1フィルタ12は、所定波長を含む、室内照明が発する光FLの波長領域の上限波長よりも長い波長の光を透過するように構成されている。これにより、光感受性物質Paが発する蛍光IRのうち、室内照明が発する光FLの波長領域の上限波長よりも長い第1波長42よりも長い波長の蛍光IRを検出することができる。その結果、蛍光画像16aを生成する際に室内照明の光FLが蛍光画像16aに重畳されることをより一層抑制することが可能となるので、蛍光画像16aの画質が低下することをより一層抑制することができる。
【0056】
また、実施形態では、上記のように、第1発光ピーク41aの強度は、第2発光ピーク41bの強度よりも高い。このような蛍光IRを発する光感受性物質Paを用いれば、たとえば、第1発光ピーク41aの波長が、室内照明が発する光FLの波長領域に含まれている場合でも、第1発光ピーク41aの波長の蛍光IRを室内照明の光FLとともに敢えて除去し、第2発光ピーク41bの蛍光IRにより画像を生成することができる。その結果、室内照明が発する光FLの波長領域に含まれる光を除去することにより、第1発光ピーク41aの強度より強度が低い第2発光ピーク41bの光のS/N比を向上させることが可能となるので、第2発光ピーク41bの光を用いても、蛍光画像16aの画質が劣化すること抑制することができる。
【0057】
また、実施形態では、上記のように、第1発光ピーク41aの波長と第2発光ピーク41bの波長との間隔d1は、第1発光ピーク41aの波長と励起光EL(治療光)のピーク波長との間隔d2よりも大きい。このような蛍光IRを発する光感受性物質Paを用いれば、励起光ELのピーク波長と蛍光IRの第1発光ピーク41aの波長との間に、第1フィルタ12を透過させる所定の第1波長42を設定する場合と比較して、励起光ELのピーク波長からの間隔が第1発光ピーク41aよりも第2発光ピーク41bの方が大きいので、励起光ELのピーク波長と蛍光IRの第2発光ピーク41bの波長との間に、第1フィルタ12を透過させる所定の第1波長42を容易に設定することができる。
【0058】
また、実施形態では、上記のように、励起光EL(治療光)は、650nm以上700nm以下の波長領域にピーク波長を有する光である。ここで、赤色の波長領域は約610nmから約750nmである。また、光の色は、可視光領域の境界に近づくにつれて人の眼の感度が低下するため、見かけ上黒に近づく。したがって、このような蛍光IRを発する光感受性物質Paを使用する際に、励起光ELの波長を650nm以上700nm以下の波長領域に設定することで、650nm未満の励起光ELを照射する場合と比較して、被検体Pに照射された励起光ELによって照射範囲が赤く照らされることを抑制することができる。
【0059】
また、実施形態では、上記のように、第1発光ピーク41aの波長は、700nm以上750nm未満の領域に含まれ、第2発光ピーク41bの波長は、750nm以上800nm未満の領域に含まれる。このようなピーク波長を有する蛍光IRを発する光感受性物質Paを用いる場合は、第1波長42の大きさの上限を、700nm以上750nm未満の範囲に設定すればよい。その結果、第1フィルタ12が透過させる所定波長の大きさの上限を、室内照明の光FLを除去することに好ましい波長領域に設定することができる。
【0060】
第1参考例
次に、図8図12図15を参照して、本発明の第1参考例による医用画像撮像装置19を備える治療支援システム200について説明する。所定のピーク波長を有する励起光ELを被検体Pに照射する上記実施形態とは異なり、第1参考例では、医用画像撮像装置19は、励起光ELを照射された光感受性物質Paから発せられる蛍光IRの第1発光ピーク41aの波長と、第1発光ピーク41aよりも長い第2発光ピーク41bの波長との間の所定の第2波長43(図8参照)よりも長い波長の励起光ELを取り除く第2フィルタ18(図12参照)をさらに備える。なお、上記実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する。
【0061】
図12は、第1参考例による医用画像撮像装置19を備える治療支援システム200の全体構成を示す概略図である。図12に示すように、医用画像撮像装置19は、励起光ELを照射された光感受性物質Paから発せられる蛍光IRの第1発光ピーク41a(図8参照)の波長と、第1発光ピーク41aよりも長い第2発光ピーク41b(図8参照)の波長との間の所定の第2波長43(図8参照)よりも長い波長の励起光ELを取り除く第2フィルタ18をさらに備える。
【0062】
図13に示すように、励起光源4bから照射された励起光ELは、第2フィルタ18に入射する。第2フィルタ18は、入射した励起光ELのうち、第2波長43未満の長さの励起光ELa(一点鎖線)を透過させるように構成されている。したがって、第2フィルタ18に入射した励起光ELは、第2波長43より長い波長の励起光ELbが除去され、第2波長43未満の波長の励起光ELaが被検体Pに照射される。第2フィルタ18は、たとえば、カラーフィルタを含む。
【0063】
図8に示すように、第1波長42は第2波長43よりも長い波長である。第1参考例では、第2波長43は、たとえば、約720nmの波長である。また、図8に示すように、第1フィルタ12によって分離される波長領域と、第2フィルタ18によって分離される波長領域とには、共通する波長領域44が存在する。共通する波長領域44の大きさが大きいほど、第1波長42と第2波長43との差が大きくなるため、第2フィルタ18によって分離された励起光ELaの上限値よりも、第1フィルタ12によって取り除かれる蛍光IRbの上限値が大きくなるため、より一層励起光ELが蛍光検出部9に入射することを抑制することができる。
【0064】
図14は、蛍光検出部9に到達する光を説明するための模式図である。図14(a)に示すように、励起光源4bから照射された励起光ELのうち、第2波長43以上の波長の励起光ELbは、第2フィルタ18によって除去される。また、励起光源4bから照射された励起光ELのうち、第2波長43未満の波長の励起光ELaは、第2フィルタ18を透過し、光感受性物質Paに照射される。図14(b)に示すように、励起光ELaが照射された光感受性物質Paは、蛍光IRを発する。図14(c)に示すように、光感受性物質Paから発せられた蛍光IRのうち、第1波長42以上の波長の蛍光IRは、第1フィルタ12を透過し、第1波長42より短い波長の蛍光IRおよび被検体Pの体表などから反射した励起光ELaのうち、第1波長42よりも短い波長の励起光ELaについては、第1フィルタ12によって除去される。第1フィルタ12を透過した蛍光IRaは、蛍光検出部9に検出され、画像化される。
【0065】
なお、第2フィルタ18も第1フィルタ12と同様に、構造上、第2波長43の大きさで正確に光を除去することは難しい。図15のグラフ48に示すように、第2フィルタ18は、たとえば、第2波長43よりも小さい波長から徐々に透過率が減少するように構成されている。すなわち、第2フィルタ18は、第2波長43を中心とした波長領域47において、第2波長43前後の波長の光を透過させるように構成されている。したがって、第2波長43の大きさを第2発光ピーク41bに近付けすぎると、第2発光ピーク41b以上の大きさの波長の光が第2フィルタ18を透過する可能性がある。また、第2波長43の大きさを、第1波長42に近付けすぎると、第2フィルタ18を透過した励起光ELaのうち、被検体Pの体表などで反射した励起光ELaが第1フィルタ12を透過する可能性がある。そのため、第2波長43の大きさは、波長領域47の大きさを考慮した大きさに設定することが好ましい。なお、図15のグラフ48は、横軸が波長であり、縦軸が光(励起光EL)の透過率である。
【0066】
なお、第1参考例のその他の構成は、上記実施形態と同様である。
【0067】
第1参考例の効果)
第1参考例では、以下のような効果を得ることができる。
【0068】
第1参考例では、上記のように、励起光ELを照射された光感受性物質Paから発せられる蛍光IRの第1発光ピーク41aの波長と、第1発光ピーク41aよりも長い第2発光ピーク41bの波長との間の所定の第2波長43よりも長い波長の励起光ELを取り除く第2フィルタ18をさらに備える。これにより、励起光ELに含まれる室内照明の光FLの波長領域よりも長い波長の励起光ELのうち、第2発光ピーク41b付近の波長成分が被検体Pに照射されることを抑制することができる。その結果、第2発光ピーク41b付近の波長成分が被検体Pに照射されることを抑制することが可能となり、被検体Pによって反射された励起光ELが蛍光検出部9で検出された場合でも、第2発光ピーク41bよりも長い波長の励起光ELが蛍光画像16aに重畳されることを抑制することができる。
【0069】
また、第1参考例では、上記のように、第1波長42は、第2波長43よりも長い波長である。これにより、第1フィルタ12で除去することが可能な上限の波長よりも、励起光源4bから照射される励起光ELの波長を、容易に小さくすることができる。その結果、被検体Pによって励起光ELが反射された場合でも、第1波長42よりも短い波長の光は第1フィルタ12で除去されるので、第2発光ピーク41bよりも長い波長の励起光ELが蛍光画像16aに重畳されることをより一層抑制することができる。
【0070】
なお、第1参考例のその他の効果は、上記実施形態と同様である。
【0071】
第2参考例
次に、図1図16および図17を参照して、第2参考例による医用画像撮像装置80(図1参照)を備える治療支援システム300(図1参照)について説明する。第2発光ピーク41bの波長よりも短い第1波長42よりも短い波長の光を除去する上記実施形態の第1フィルタ12とは異なり、第2参考例では、第3フィルタ81は、第2ピーク42bよりも長い第3波長82よりも短い波長の光を除去するように構成されている。なお、上記実施形態および第1参考例と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する。また、第3フィルタ81は、特許請求の範囲の「検出器フィルタ」の一例である。
【0072】
第2参考例では、第3フィルタ81は、第2ピーク42bよりも長い第3波長82よりも短い波長の光を除去するように構成されている。
【0073】
図16は、蛍光検出部9に到達する光を説明するための模式図である。図16(a)に示すように、第3フィルタ81には、室内照明の光FLと、励起光ELを照射された光感受性物質Paから発せられる蛍光IRとが入射する。図16(b)に示すように、第3フィルタ81に入射した室内照明の光FLと蛍光IRとのうち、室内照明の光FLおよび第3波長82よりも短い波長の蛍光IRbが第3フィルタ81によって除去される。また、第3フィルタ81に入射した室内照明の光FLと蛍光IRとのうち、第3波長82以上の波長の蛍光IRaが第3フィルタ81を透過し、蛍光検出部9に到達する。
【0074】
なお、第2参考例における第3フィルタ81も、上記実施形態における第1フィルタ12と同様に、構造上、第3波長82の大きさで正確に光を除去することは難しい。図17のグラフ84に示すように、第3フィルタ81は、たとえば、第3波長82よりも小さい波長から徐々に透過率が増加するように構成されている。すなわち、第3フィルタ81は、第3波長82を中心とした波長領域83において、第3波長82前後の波長の光を透過させるように構成されている。したがって、第3波長82の大きさを第2発光ピーク41bに近付けすぎると、第2発光ピーク41b以下の大きさの波長の光が第3フィルタ81を透過する可能性がある。そのため、第3波長82の大きさは、波長領域83の大きさを考慮した大きさに設定することが好ましい。しかし、第2発光ピーク41bは、第1発光ピーク41aよりも波長が長いため、第3波長82は、上記実施形態における第1波長42よりも設定条件が厳しくない。なお、図17のグラフ84は、横軸が波長であり、縦軸が光(励起光EL)の透過率である。
【0075】
なお、第2参考例のその他の構成は、上記実施形態および第1参考例と同様である。
【0076】
第2参考例の効果)
第2参考例では、以下のような効果を得ることができる。
【0077】
第2参考例では、上記のように、第3フィルタ81は、第2発光ピーク41bよりも長い第3波長82よりも短い波長の光を除去するように構成されており、蛍光検出部9は、第3波長82よりも長い波長の蛍光IRを検出するように構成されている。これにより、第2発光ピーク41bよりも長い第3波長82よりも短い波長の光を除去することが可能となるので、より確実に室内照明の光FLの波長領域の光が蛍光画像16aに映り込むことを抑制することができる。また、第2発光ピーク41bよりも長い波長の光を透過させることが可能となるので、たとえば、光感受性物質PaとしてICGを用いる場合でも、第3フィルタ81を交換することなくICGが発する蛍光IRを検出する際に室内照明の光FLの波長領域の光が蛍光画像16aに映り込むことを抑制することができる。その結果、光感受性物質PaとしてIR700およびICGのどちらを用いる場合でも、第3フィルタ81を交換することなく、室内照明の光FLの波長領域の光が蛍光画像16aに映り込むことを抑制することができる。
【0078】
なお、第2参考例のその他の効果は、上記実施形態および第1参考例と同様である。
【0079】
第3参考例
次に、図1図18および図19を参照して、第3参考例による医用画像撮像装置90(図1参照)を備える治療支援システム400(図1参照)について説明する。第1発光ピーク41aが室内照明の光FLの波長領域に含まれる波長であり、第2発光ピーク41bが室内照明の光FLの波長よりも長い波長である蛍光IRを発する光感受性物質Paを用いる上記実施形態とは異なり、第3参考例では、第1発光ピーク41aが室内照明の光FLの波長領域よりも短い波長であり、第2発光ピーク41bが室内照明の光FLの波長領域に含まれる波長である蛍光IRを発する光感受性物質Paを用いる。なお、上記実施形態、上記第1参考例、および、第2参考例と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する。また、第4フィルタ91は、特許請求の範囲の「検出器フィルタ」の一例である。
【0080】
第3参考例では、図1に示すように、医用画像撮像装置90は、励起光EL(治療光)を照射することにより光感受性物質Paから発せられる蛍光IRのうち、少なくとも所定波長を有する光を透過する第4フィルタ91と、検出器フィルタを透過した蛍光IRを検出する蛍光検出部9と、蛍光検出部9の出力に基づき画像を生成する画像生成部14とを備える。
【0081】
図18は、蛍光検出部9に到達する光を説明するための模式図である。図18に示すように、光感受性物質Paが発する蛍光IRは、少なくとも第1発光ピーク41aと第2発光ピーク41bを有し、第1発光ピーク41aの波長は、第2発光ピーク41bの波長以下の波長であり、室内照明が発する光FLの波長領域に含まれない波長であり、第2発光ピーク41bの波長は、室内照明が発する光FLの波長領域に含まれる波長であり、所定波長は第1発光ピーク41aの波長である。第3参考例では、第4フィルタ91は、所定波長を含む、第2発光ピーク41bの波長よりも短い波長の光を透過するように構成されている。また、第4フィルタ91は、所定波長を含む、室内照明が発する光FLの波長領域の下限波長よりも短い波長の光を透過するように構成されている。
【0082】
具体的には、図19のグラフ94に示すように、第4フィルタ91は、たとえば、第4波長92よりも小さい波長から徐々に透過率が減少するように構成されている。すなわち、第4フィルタ91は、第4波長92を中心とした波長領域93において、第4波長92前後の波長の光を透過させるように構成されている。なお、図19のグラフ94は、横軸が波長であり、縦軸が光(励起光EL)の透過率である。
【0083】
なお、第3参考例のその他の構成は、上記実施形態および第1参考例と同様である。
【0084】
第3参考例の効果)
第3参考例では、以下のような効果を得ることができる。
【0085】
第3参考例では、上記のように、医用画像撮像装置90は、励起光EL(治療光)を照射することにより光感受性物質Paから発せられる蛍光IRのうち、少なくとも所定波長を有する光を透過する第4フィルタ91と、第4フィルタ91を透過した蛍光IRを検出する蛍光検出部9と、蛍光検出部9の出力に基づき画像を生成する画像生成部14とを備え、蛍光IRは、少なくとも第1発光ピーク41aと第2発光ピーク41bとを有し、第1発光ピーク41aの波長は、第2発光ピーク41bの波長以下の波長であり、室内照明が発する光FLの波長領域に含まれない波長であり、第2発光ピーク41bの波長は、室内照明が発する光FLの波長領域に含まれる波長であり、所定波長は第1発光ピーク41aの波長である。これにより、光感受性物質Paが発する蛍光IRの第2発光ピーク41bの波長が室内照明が発する光FLの波長領域に含まれる場合でも、第4フィルタ91によって室内照明が発する光FLの波長領域の光を取り除くことができる。その結果、上記実施形態による医用画像撮像装置1と同様に、被検体Pに注入された光感受性物質Paが発する蛍光IRに基づいて蛍光画像16aを生成する際に、室内照明の光FLが蛍光画像16aに重畳され、蛍光画像16aの画質が低下することを抑制することができる。
【0086】
また、第3参考例では、上記のように、第4フィルタ91は、所定波長を含む、第2発光ピーク41bの波長よりも短い波長の光を透過するように構成されている。これにより、たとえば、光感受性物質Paが発する蛍光IRの第2発光ピーク41bの波長が室内照明の光FLの波長領域に含まれる場合、第4フィルタ91によって除去することができる。その結果、蛍光画像16aに第2発光ピーク41bの波長領域の室内照明の光FLが映り込むことを抑制することができる。
【0087】
また、第3参考例では、上記のように、第4フィルタ91は、所定波長を含む、室内照明が発する光FLの波長領域の下限波長よりも短い波長の光を透過するように構成されている。これにより、光感受性物質Paが発する蛍光IRのうち、室内照明が発する光FLの波長領域の下限波長よりも短い波長の蛍光IRを検出することができる。その結果、蛍光画像16aを生成する際に室内照明の光FLが蛍光画像16aに重畳されることをより一層抑制することが可能となるので、蛍光画像16aの画質が低下することをより一層抑制することができる。
【0088】
なお、第3参考例のその他の効果は、上記実施形態第、第1参考例、および、第2参考例と同様である。
【0089】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0090】
たとえば、上記実施形態では、検出器フィルタおよび光源フィルタとして、カラーフィルタを用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。所定の波長領域の光を分離することが可能であれば、どのようなフィルタを用いてもよい。たとえば、プリズムなどを用いてもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、第1フィルタ12を、光軸L上の蛍光検出部9から離れた位置に配置する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、蛍光検出部9と第1フィルタ12(第3フィルタ81、第4フィルタ91)とを離さずに配置してもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、励起光ELとして、約650nm以上約700nm以下の波長領域にピーク波長を有する光を用いたが、本発明はこれに限られない。たとえば、第2吸収ピーク40b付近にピーク波長を有する励起光ELを用いてもよい。しかし、第2吸収ピーク40bの吸収効率は第1吸収ピーク40aよりも低く、第2吸収ピーク40bの波長が約620nmであるため、励起光ELが照射された領域が赤く照らされるため、第1吸収ピーク40a付近(約650nm以上約700nm以下の波長領域)にピーク波長を有する励起光ELを用いることが好ましい。
【0093】
また、上記実施形態では、光感受性物質Paとして、IR700を用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。室内照明の光FLの波長領域内にピーク波長を有するとともに、室内照明の光FLの波長領域よりも大きい波長領域にピーク波長を有する光感受性物質であれば、どのような光感受性物質であってもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、画像生成部14が可視光画像16bを生成する例を示したが、本発明はこれに限られない。画像生成部14が蛍光画像16aのみを生成する構成であってもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、医用画像撮像装置1が励起光源4bを備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、被検体Pに治療光を照射する治療光源を別途設け、蛍光検出部9は、治療光源から照射される治療光により発せられた蛍光IRを検出するように構成されていてもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、第1フィルタ12、第2フィルタ18、第3フィルタ81および第4フィルタ91が、所定の波長以下(所定の波長以上)の光を除去するいわゆるロングパスフィルタ(ショートパスフィルタ)として構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1フィルタ12、第2フィルタ18、第3フィルタ81および第4フィルタ91は、所定の波長範囲の光を透過させる、いわゆるバンドパスフィルタとして構成されていてもよい。
【0097】
また、上記実施形態では、被検体Pに対して治療光を照射することにより治療を行う装置に用いる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、内視鏡など、他の医療機器を用いて光免疫治療を行う場合にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0098】
1、19、80、90 医用画像撮像装置
4b 励起光源
9 蛍光検出部(検出器)
12 第1フィルタ(検出器フィルタ)
14 画像生成部
16 画像
41a 蛍光の第1ピーク
41b 蛍光の第2ピーク
42 第1波長
43 第2波長
81 第3フィルタ(検出器フィルタ)
82 第3波長
85 第4波長
91 第4フィルタ(検出器フィルタ)
EL、ELa、ELb 励起光
FL 室内照明の光
IR、IRa、IRb 蛍光
P 被検体
Pa 光感受性物質
図1
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