(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】伝送路基板、および伝送路基板の実装構造
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20221018BHJP
H05K 1/14 20060101ALI20221018BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
H05K1/02 P
H05K1/14 C
H05K3/46 N
(21)【出願番号】P 2021507385
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(86)【国際出願番号】 JP2020011880
(87)【国際公開番号】W WO2020189699
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-08-04
(31)【優先権主張番号】P 2019052522
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬場 貴博
【審査官】齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/180413(WO,A1)
【文献】特開2006-191077(JP,A)
【文献】特開2002-111327(JP,A)
【文献】特開2013-126099(JP,A)
【文献】特表2015-519782(JP,A)
【文献】特開2017-163385(JP,A)
【文献】国際公開第2018/151134(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P1/00―5/22
H05K1/00―3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
線路部および接続部を有する伝送路基板であって、
主面を有し、複数の基材層を積層して形成される基材と、
前記基材にそれぞれ形成される、第1グランド導体、第2グランド導体および信号線と、
前記接続部の前記主面に形成される外部電極と、
前記基材に形成される複数の層間接続導体と、
を備え、
前記線路部では、前記信号線、前記第1グランド導体および前記第2グランド導体を含むストリップライン構造の伝送線路が構成され、
前記接続部では、前記信号線および前記外部電極が、層間接続導体を介さずに、前記複数の基材層の積層方向に対向配置され、
前記複数の層間接続導体は、前記第1グランド導体と前記第2グランド導体とを電気的に接続する、複数の第1層間接続導体および複数の第2層間接続導体を有し、
前記複数の第1層間接続導体は、前記線路部に配置され、前記積層方向から視て、前記信号線に沿って配置され、
前記複数の第2層間接続導体は、前記接続部に配置され、前記信号線と前記外部電極とが前記積層方向に対向配置された対向部分を囲むように配置され、
前記複数の第2層間接続導体の間隔は、前記複数の第1層間接続導体の間隔よりも狭い、伝送路基板。
【請求項2】
前記信号線は、前記複数の層間接続導体には接続されていない、請求項1に記載の伝送路基板。
【請求項3】
前記主面は、互いに対向する第1主面および第2主面を有し、
前記外部電極の数は複数であり、
複数の前記外部電極は、前記第1主面および前記第2主面にそれぞれ形成される、請求項1または2に記載の伝送路基板。
【請求項4】
前記複数の第2層間接続導体のうち、前記対向部分を囲むように配置された一連の第2層間接続導体を結ぶ線分が前記第2層間接続導体を横断する長さの合計値は、前記一連の第2層間接続導体を結ぶ線分上の前記第2層間接続導体の間隔の合計値よりも大きい、請求項1から3のいずれかに記載の伝送路基板。
【請求項5】
前記複数の第2層間接続導体は、前記積層方向から視て、千鳥状に配置されている、請求項1から4のいずれかに記載の伝送路基板。
【請求項6】
前記千鳥状の配置は、
前記複数の第2層間接続導体おける前記対向部分に沿って隣り合う2個の第2層間接続導体と、別の第2層間接続導体とにおいて、
前記2個の第2層間接続導体を前記対向部分に沿う方向に結ぶ線分と前記2個の第2層間接続導体とが交わる点を通り、前記線分に直交する方向に延びる2個の直線に挟まれる領域に、前記別の第2層間接続導体の少なくとも一部が重なる配置である、
請求項5に記載の伝送路基板。
【請求項7】
前記別の第2層間接続導体は、前記2個の直線に跨がる位置に配置される、
請求項6に記載の伝送路基板。
【請求項8】
前記別の第2層間接続導体の全体は、前記2個の直線に挟まれる領域内に配置される、
請求項6に記載の伝送路基板。
【請求項9】
線路部および接続部を有する伝送路基板を、導電性接合材を介して他の基板に実装する、伝送路基板の実装構造であって、
前記伝送路基板は、
主面を有し、複数の基材層を積層して形成される基材と、
前記基材にそれぞれ形成される、第1グランド導体、第2グランド導体および信号線と、
前記接続部の前記主面に形成される第1外部電極と、
前記基材に形成される複数の層間接続導体と、
を有し、
前記線路部では、前記信号線、前記第1グランド導体および前記第2グランド導体を含むストリップライン構造の伝送線路が構成され、
前記接続部では、前記信号線および前記第1外部電極が、層間接続導体を介さずに、前記複数の基材層の積層方向に対向配置され、
前記複数の層間接続導体は、前記第1グランド導体と前記第2グランド導体とを電気的に接続する、複数の第1層間接続導体および複数の第2層間接続導体を有し、
前記複数の第1層間接続導体は、前記線路部に配置され、前記積層方向から視て、前記信号線に沿って配置され、
前記複数の第2層間接続導体は、前記接続部に配置され、前記信号線と前記第1外部電極とが前記積層方向に対向配置された対向部分を囲むように配置され、
前記複数の第2層間接続導体の間隔は、前記複数の第1層間接続導体の間隔よりも狭く、
前記他の基板は、主面に基板側電極を有し、
前記第1外部電極は、前記導電性接合材を介して、前記基板側電極に接合される、伝送路基板の実装構造。
【請求項10】
線路部および接続部を有する伝送路基板を、導電性接合材を介して他の基板に実装する、伝送路基板の実装構造であって、
前記伝送路基板は、
主面を有し、複数の基材層を積層して形成される基材と、
前記基材にそれぞれ形成される、第1グランド導体、第2グランド導体および信号線と、
前記接続部の前記主面に形成され、前記第1グランド導体および前記第2グランド導体に導通する第1グランド電極と、
前記基材に形成される複数の層間接続導体と、
を有し、
前記線路部では、前記信号線、前記第1グランド導体および前記第2グランド導体を含むストリップライン構造の伝送線路が構成され、
前記他の基板は、基板側信号線、および表面に形成された基板側グランド電極を有し、
前記第1グランド電極は、前記導電性接合材を介して、前記基板側グランド電極に接合され、
前記伝送路基板が前記他の基板に実装された状態で、前記接続部の前記信号線および前記基板側信号線は、層間接続導体および導電性接合材を介さずに、前記複数の基材層の積層方向に対向配置され、
前記複数の層間接続導体は、前記第1グランド導体と前記第2グランド導体とを電気的に接続する、複数の第1層間接続導体および複数の第2層間接続導体を有し、
前記複数の第1層間接続導体は、前記線路部に配置され、前記積層方向から視て、前記信号線に沿って配置され、
前記伝送路基板が前記他の基板に実装された状態で、前記複数の第2層間接続導体は、前記接続部に配置され、前記積層方向から視て、前記信号線と前記基板側信号線とが対向配置された対向部分を囲むように配置され、
前記複数の第2層間接続導体の間隔は、前記複数の第1層間接続導体の間隔よりも狭い、伝送路基板の実装構造。
【請求項11】
前記伝送路基板は、第1伝送路基板と第2伝送路基板とを有し、
前記第1伝送路基板および前記第2伝送路基板は、前記接続部の前記主面に形成される第2外部電極をそれぞれ有し、前記第1伝送路基板の前記第2外部電極と、前記第2伝送路基板の前記第2外部電極とが導電性接合材を介して接合されて、一つの伝送路基板を形成し、
前記第1伝送路基板または前記第2伝送路基板の少なくとも一方は、前記接続部の前記信号線および前記第2外部電極が、層間接続導体を介さずに、前記複数の基材層の積層方向に対向配置される、請求項9または10に記載の伝送路基板の実装構造。
【請求項12】
前記伝送路基板は、第1伝送路基板と第2伝送路基板とを有し、
前記第1伝送路基板および前記第2伝送路基板は、前記第1伝送路基板の前記接続部と前記第2伝送路基板の前記接続部とが互いに接合されて、一つの伝送路基板を形成し、
互いに接合された前記第1伝送路基板の前記接続部と前記第2伝送路基板の前記接続部では、前記第1伝送路基板の前記信号線と、前記第2伝送路基板の前記信号線とが、層間接続導体および導電性接合材を介さずに、前記複数の基材層の積層方向に対向配置される、請求項9または10に記載の伝送路基板の実装構造。
【請求項13】
前記他の基板は、基板側信号線を有し、
前記基板側信号線は、層間接続導体には接続されていない、請求項11に記載の伝送路基板の実装構造。
【請求項14】
前記信号線は、層間接続導体には接続されていない、請求項9から13のいずれかに記載の伝送路基板の実装構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の基材層を積層して形成される基材体にストリップライン構造の伝送線路が設けられた伝送路基板、およびこの伝送路基板の実装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の基材層を積層して形成される基材にストリップライン構造の伝送線路が設けられた伝送路基板が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数の基材層を積層して形成される基材と、基材層に形成された複数の導体パターン(信号線、第1グランド導体、第2グランド導体および外部電極)と、を備えた伝送路基板が示されている。この伝送路基板には、信号線と、この信号線を複数の基材層の積層方向に挟む第1グランド導体および第2グランド導体と、を含んだ高周波伝送線路が構成されている。
【0004】
なお、上記伝送路基板はストリップライン構造のため、上記伝送路基板を他の基板等に接続する場合、伝送路基板の内部に形成された信号線を、伝送路基板の表面に引き出す必要がある。具体的には、上記信号線は、層間接続導体を介して、伝送路基板の表面に形成された外部電極に接続され、この外部電極ははんだ等の導電性接合材を介して他の回路基板に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記伝送路基板は、複数の導体パターンや層間接続導体を形成した複数の基材層を、積層して加熱圧着することによって製造される。
【0007】
しかし、複数の基材層を積層する際に位置ずれが生じることがある。この位置ずれに伴って、信号線、層間接続導体および外部電極の位置関係にばらつきが生じ、信号線と外部電極との間(信号線を伝送路基板の表面に引き出す部分)で反射損失が生じる虞がある。特に、信号線と外部電極との間の基材層の積層数が多く、信号線と外部電極との間を接続する層間接続導体の数が多い場合(層間接続導体同士の接続箇所が多い場合)には、インピーダンスマッチングが難しく、反射損失が生じやすくなる。このことは、伝送信号の周波数が高いほど顕著となる。
【0008】
本発明の目的は、複数の基材層を積層して形成される基材に、ストリップライン構造の伝送線路が設けられた構成において、伝送経路の途中での反射損失を抑制できる伝送路基板、およびその実装構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の伝送路基板は、
線路部および接続部を有する伝送路基板であって、
主面を有し、複数の基材層を積層して形成される基材と、
前記基材にそれぞれ形成される、第1グランド導体、第2グランド導体および信号線と、
前記接続部の前記主面に形成される外部電極と、
前記基材に形成される複数の層間接続導体と、
を備え、
前記線路部では、前記信号線、前記第1グランド導体および前記第2グランド導体を含むストリップライン構造の伝送線路が構成され、
前記接続部では、前記信号線および前記外部電極が、層間接続導体を介さずに、前記複数の基材層の積層方向に対向配置され、
前記複数の層間接続導体は、前記第1グランド導体と前記第2グランド導体とを電気的に接続する、複数の第1層間接続導体および複数の第2層間接続導体を有し、
前記複数の第1層間接続導体は、前記線路部に配置され、前記積層方向から視て、前記信号線に沿って配置され、
前記複数の第2層間接続導体は、前記接続部に配置され、前記信号線と前記外部電極とが前記積層方向に対向配置された対向部分を囲むように配置され、
前記複数の第2層間接続導体の間隔は、前記複数の第1層間接続導体の間隔よりも狭いことを特徴とする。
【0010】
基材の内部に形成される信号線と、基材の表面に形成される外部電極とを、層間接続導体を介して互いに接続する場合には、基材を形成する際(複数の基材層を積層する際)の位置ずれによって、信号線と層間接続導体と外部電極との位置関係にばらつきが生じることがある。そのため、信号線と外部電極との間(伝送経路のうち、伝送路基板の表面に引き出す部分)で反射損失が生じる虞がある。特に、信号線と外部電極との間を接続する層間接続導体の数が多い場合には、反射損失は生じやすくなる。一方、上記構成では、接続部において、信号線と外部電極との対向部分が、積層方向に延伸する導波路として機能する。この構成によれば、信号線と外部電極とを直接接続することなく(層間接続導体を介することなく)、信号線および外部電極間に信号を伝送できるため、基材を形成する際の位置ずれに伴って生じる反射損失を抑制することができる。
【0011】
本発明の伝送路基板の実装構造は、
線路部および接続部を有する伝送路基板を、導電性接合材を介して他の基板に実装する、伝送路基板の実装構造であって、
前記伝送路基板は、
主面を有し、複数の基材層を積層して形成される基材と、
前記基材にそれぞれ形成される、第1グランド導体、第2グランド導体および信号線と、
前記接続部の前記主面に形成される第1外部電極と、
前記基材に形成される複数の層間接続導体と、
を有し、
前記線路部では、前記信号線、前記第1グランド導体および前記第2グランド導体を含むストリップライン構造の伝送線路が構成され、
前記接続部では、前記信号線および前記第1外部電極が、層間接続導体を介さずに、前記複数の基材層の積層方向に対向配置され、
前記複数の層間接続導体は、前記第1グランド導体と前記第2グランド導体とを電気的に接続する、複数の第1層間接続導体および複数の第2層間接続導体を有し、
前記複数の第1層間接続導体は、前記線路部に配置され、前記積層方向から視て、前記信号線に沿って配置され、
前記複数の第2層間接続導体は、前記接続部に配置され、前記信号線と前記第1外部電極とが前記積層方向に対向配置された対向部分を囲むように配置され、
前記複数の第2層間接続導体の間隔は、前記複数の第1層間接続導体の間隔よりも狭く、
前記他の基板は、主面に基板側電極を有し、
前記第1外部電極は、前記導電性接合材を介して、前記基板側電極に接合されることを特徴とする。
【0012】
本発明の伝送路基板の実装構造は、
線路部および接続部を有する伝送路基板を、導電性接合材を介して他の基板に実装する、伝送路基板の実装構造であって、
前記伝送路基板は、
主面を有し、複数の基材層を積層して形成される基材と、
前記基材にそれぞれ形成される、第1グランド導体、第2グランド導体および信号線と、
前記接続部の前記主面に形成され、前記第1グランド導体および前記第2グランド導体に導通する第1グランド電極と、
前記基材に形成される複数の層間接続導体と、
を有し、
前記線路部では、前記信号線、前記第1グランド導体および前記第2グランド導体を含むストリップライン構造の伝送線路が構成され、
前記他の基板は、基板側信号線、および表面に形成された基板側グランド電極を有し、
前記第1グランド電極は、前記導電性接合材を介して、前記基板側グランド電極に接合され、
前記伝送路基板が前記他の基板に実装された状態で、前記接続部の前記信号線および前記基板側信号線は、層間接続導体および導電性接合材を介さずに、前記複数の基材層の積層方向に対向配置され、
前記複数の層間接続導体は、前記第1グランド導体と前記第2グランド導体とを電気的に接続する、複数の第1層間接続導体および複数の第2層間接続導体を有し、
前記複数の第1層間接続導体は、前記線路部に配置され、前記積層方向から視て、前記信号線に沿って配置され、
前記伝送路基板が前記他の基板に実装された状態で、前記複数の第2層間接続導体は、前記接続部に配置され、前記積層方向から視て、前記信号線と前記基板側信号線とが対向配置された対向部分を囲むように配置され、
前記複数の第2層間接続導体の間隔は、前記複数の第1層間接続導体の間隔よりも狭いことを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、製造時の位置ずれに伴って生じる反射損失を抑制した伝送路基板の実装構造が得られる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の基材層を積層して形成される基材に、ストリップライン構造の伝送線路が設けられた構成において、伝送経路の途中での反射損失を抑制できる伝送路基板、およびその実装構造を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1(A)は第1の実施形態に係る伝送路基板101の外観斜視図であり、
図1(B)は
図1(A)におけるA-A断面図である。
【
図2】
図2は、伝送路基板101の分解平面図である。
【
図3】
図3(A)は伝送路基板101の接続部CN2付近における基材層12の拡大平面図であり、
図3(B)はその断面図である。
【
図5】
図5は、比較例である伝送路基板100の接続部CN2付近における断面図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係る電子機器301の主要部を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態に係る別の電子機器302の主要部を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、第2の実施形態に係る伝送路基板102の外観斜視図である。
【
図11】
図11は、伝送路基板102の接続部CN2付近における基材層12の拡大平面図である。
【
図13】
図13は、第2の実施形態の変形例である伝送路基板102Aの接続部CN2付近における、基材層12の拡大平面図である。
【
図15】
図15は、第3の実施形態に係る電子機器303の主要部を示す斜視図である。
【
図17】
図17(A)は第3の実施形態に係る伝送路基板101Aの外観斜視図であり、
図17(B)は伝送路基板101Aを別の視点から視た外観斜視図である。
【
図18】18(A)は第3の実施形態に係る伝送路基板103Aの外観斜視図であり、18(B)は伝送路基板103Aを別の視点から視た外観斜視図である。
【
図22】
図22(A)は第3の実施形態に係る伝送路基板103Bの外観斜視図であり、
図22(B)は伝送路基板103Bを別の視点から視た外観斜視図である。
【
図23】
図23は、第4の実施形態に係る電子機器304の主要部を示す斜視図である。
【
図25】
図25は、第4の実施形態に係る伝送路基板101Bの外観斜視図である。
【
図26】
図26(A)は第4の実施形態に係る伝送路基板104Aの外観斜視図であり、
図26(B)は第4の実施形態に係る伝送路基板104Bの外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以降、図を参照して幾つかの具体的な例を挙げて、本発明を実施するための複数の形態を示す。各図中には同一箇所に同一符号を付している。要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上実施形態を分けて示すが、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能である。第2の実施形態以降では第1の実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用・効果については実施形態毎には逐次言及しない。
【0017】
《第1の実施形態》
図1(A)は第1の実施形態に係る伝送路基板101の外観斜視図であり、
図1(B)は
図1(A)におけるA-A断面図である。
図2は、伝送路基板101の分解平面図である。
図3(A)は伝送路基板101の接続部CN2付近における基材層12の拡大平面図であり、
図3(B)はその断面図である。
図4は、
図1(A)におけるB-B断面図である。
図2および
図3(A)では、構造を分かりやすくするため、信号線30Aをドットパターンで示している。
【0018】
本実施形態に係る伝送路基板101は、例えば、単一の回路基板上に実装される電子部品、または複数の回路基板同士を接続するケーブルである。
【0019】
伝送路基板101は、接続部CN1,CN2および線路部SLを有する。接続部CN1,CN2は、他の基板に接続される部分である。後に詳述するように、線路部SLには、接続部CN1,CN2間を繋ぐストリップライン構造の伝送線路が構成されている。伝送路基板101では、接続部CN1、線路部SLおよび接続部CN2が、+X方向にこの順に配置されている。
【0020】
伝送路基板101は、基材10A、信号線30A、第1グランド導体41、第2グランド導体42、中間グランド導体51,52、外部電極P11,P12、グランド電極PG11,PG12、複数の第1層間接続導体VG11,VG12,VG13、および複数の第2層間接続導体VG21,VG22,VG23等を備える。
【0021】
基材10Aは、長手方向がX軸方向に一致する矩形の平板であり、互いに対向する第1主面VS1および第2主面VS2を有する。外部電極P11は、接続部CN1の第1主面VS1に形成されており、外部電極P12は、接続部CN2の第1主面VS1に形成されている。信号線30A、第1グランド導体41、第2グランド導体42、中間グランド導体51,52、複数の第1層間接続導体VG11~VG13および複数の第2層間接続導体VG21~VG23は、基材10Aの内部に形成されている。なお、複数の第1層間接続導体VG11~VG13は線路部SLのみに配置され、複数の第2層間接続導体VG21~VG23は接続部CN1,CN2のみに配置されている。
【0022】
本実施形態では、外部電極P11,P12が本発明の「第1外部電極」に相当し、グランド電極PG11,PG12が「第1グランド電極」に相当する。本発明の「第1外部電極」および「第1グランド電極」とは、他の基板の基板側電極に接合される電極を言う。
【0023】
基材10Aは、複数の基材層11,12,13,14および保護層1をこの順に積層して形成されている。複数の基材層11~14は、それぞれ可撓性を有し、長手方向がX軸方向に一致する矩形の樹脂(熱可塑性樹脂)平板である。複数の基材層11~14は、例えば液晶ポリマー(LCP)またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を主材料とするシートである。保護層1は、例えばカバーレイフィルムやソルダーレジスト膜、またはエポキシ樹脂膜等である。
【0024】
基材層11の表面には、第1グランド導体41が形成されている。第1グランド導体41は、基材層11の表面の略全面に形成される導体パターンである。第1グランド導体41は、例えばCu箔等の導体パターンである。
【0025】
基材層12の表面には、信号線30A、および複数の中間グランド導体51が形成されている。信号線30Aは、伝送方向(X軸方向)に延伸する線状の導体パターンである。複数の中間グランド導体51は、基材層12の外周に沿って配置される矩形の導体パターンである。信号線30Aおよび中間グランド導体51は、例えばCu箔等の導体パターンである。
【0026】
また、基材層12には、複数の第1層間接続導体VG11および複数の第2層間接続導体VG21が形成されている。第1層間接続導体VG11および第2層間接続導体VG21は、例えば、基材層12に形成した貫通孔に樹脂材料を含む導電性接合材(導電性ペースト)を充填し、加熱プレス処理によって導電性接合材を固化させることにより設けられるビア導体である。
【0027】
基材層13の表面には、複数の中間グランド導体52が形成されている。複数の中間グランド導体52は、基材層13の外周に沿って配置される矩形の導体パターンである。中間グランド導体52は、例えばCu箔等の導体パターンである。
【0028】
また、基材層13には、複数の第1層間接続導体VG12および複数の第2層間接続導体VG22が形成されている。第1層間接続導体VG12および第2層間接続導体VG22は、例えば、樹脂材料を含む導電性接合材を加熱プレス処理によって固化させることにより設けられるビア導体である。
【0029】
基材層14の表面には、外部電極P11,P12および第2グランド導体42が形成されている。外部電極P11は、基材層14の第1端(
図2における基材層14の左端)付近に配置される矩形の導体パターンである。外部電極P12は、基材層14の第2端(
図2における基材層14の右端)付近に配置される矩形の導体パターンである。第2グランド導体42は、基材層14の表面の略全面に形成される矩形の導体パターンである。外部電極P11,P12および第2グランド導体42は、例えばCu箔等の導体パターンである。
【0030】
また、基材層14には、複数の第1層間接続導体VG13および複数の第2層間接続導体VG23が形成されている。第1層間接続導体VG13および第2層間接続導体VG23は、例えば、樹脂材料を含む導電性接合材を加熱プレス処理によって固化させることにより設けられるビア導体である。
【0031】
保護層1は、基材層14の表面に形成される保護膜であり、平面形状が基材層14と略同じである。保護層1は、矩形の開口AP11,AP12,AG11,AG12を有する。開口AP11,AG11は、保護層1の第1端(
図2における保護層1の左端)付近に配置されており、開口AP12,AG12は、保護層1の第2端(
図2における保護層1の右端)付近に配置されている。具体的には、開口AP11は外部電極P11の位置に応じた位置に形成され、開口AP12は外部電極P12の位置に応じた位置に形成されている。そのため、基材層14の表面に保護層1が形成された場合でも、上記開口AP11から外部電極P11が外部に露出し、上記開口AP12から外部電極P12が外部に露出する。また、基材層14の表面に保護層1が形成された場合に、上記開口AG11,AG12から第2グランド導体42の一部が外部に露出する。本実施形態では、開口AG11,AG12からそれぞれ露出する第2グランド導体42の一部が、グランド電極(PG11,PG12)に相当する。
【0032】
図1(B)、
図2および
図4等に示すように、第1グランド導体41および第2グランド導体42は、中間グランド導体51,52と層間接続導体(第1層間接続導体VG11~VG13または第2層間接続導体VG21~VG23)とを介して、電気的に接続されている。
【0033】
また、伝送路基板101の線路部SLでは、信号線30A、第1グランド導体41、第2グランド導体42、信号線30Aと第1グランド導体41とで挟まれる基材層12、および信号線30Aと第2グランド導体42とで挟まれる基材層13,14、を含んだストリップライン構造の伝送線路が構成されている。
【0034】
図4等に示すように、伝送路基板101の接続部CN2では、信号線30Aおよび外部電極P12が、層間接続導体を介さずに積層方向(Z軸方向)に対向配置されている。図示省略するが、接続部CN1では、信号線30Aおよび外部電極P11が、層間接続導体を介さずにZ軸方向に対向配置されている。また、本実施形態に係る信号線30Aは、
図1(B)、
図3(B)および
図4等に示すように、層間接続導体に接続されていない(導通していない)。
【0035】
図2および
図3(A)等に示すように、線路部SLに配置された複数の第1層間接続導体VG11~VG13は、Z軸方向から視て、信号線30Aに沿って信号線30Aを囲むように配置されている。なお、「複数の第1層間接続導体が信号線を囲むように配置される」とは、Z軸方向から視たときに、少なくとも3つの第1層間接続導体をそれぞれ結ぶ線分でできた三角形内に、信号線の一部が重なっている状態を言う。
【0036】
また、
図2および
図3(A)等に示すように、接続部CN1,CN2に配置された複数の第2層間接続導体VG21~VG23は、次のように配置されている。Z軸方向から視て、信号線30Aと外部電極P11とが対向する部分、および、信号線30Aと外部電極P12とが対向する部分を、それぞれ対向部分とする。第2層間接続導体VG21~VG23は、これらの対向部分を、それぞれに囲む。
【0037】
なお、本発明において「複数の第2層間接続導体が対向部分を囲むように配置される」とは、次の(イ)~(ハ)のいずれかの場合を言う。
(イ)第2層間接続導体が、Z軸方向から視たときに、対向部分を基準として任意の直交3方向側にそれぞれ配置されている状態。例えば、
図3(A)に示すように、対向部分(信号線30Aの右端)よりも+X方向側に少なくとも一つの第2層間接続導体(
図3(A)において、対向部分よりも右側に配置された3つの第2層間接続導体VG21を参照)が配置され、対向部分よりも+Y方向側に少なくとも一つの第2層間接続導体(
図3(A)において、対向部分よりも上側に配置された3つの第2層間接続導体VG21を参照)が配置され、対向部分よりも-Y方向に少なくとも一つの第2層間接続導体(
図3(A)において、対向部分よりも下側に配置された3つの第2層間接続導体VG21を参照)が配置されている状態。
(ロ)第2層間接続導体が、Z軸方向から視たときに、対向部分上で交わる直交二線(任意の方向に延びる2つの直線)によって区切られた4つの象限のうち、少なくとも3つの象限にそれぞれ配置されている状態。
(ハ)対向部分の少なくとも一部が、Z軸方向から視たときに、少なくとも3つの第2層間接続導体をそれぞれ結ぶ線分でできた三角形内に重なっている状態。
なお、上記(イ)の場合には、Z軸方向から視たときに、対向部分を基準として任意の直交4方向側にそれぞれ第2層間接続導体が配置されていることが好ましい。また、上記(ロ)の場合には、Z軸方向から視たときに、対向部分上で交わる直交二線(任意の方向に延びる2つの直線)によって区切られた4つの象限のうち、4つの象限全てに第2層間接続導体がそれぞれ配置されていることが好ましい。さらに、上記(ハ)の場合には、対向部分全体が、Z軸方向から視たときに、少なくとも3つの第2層間接続導体をそれぞれ結ぶ線分でできた三角形内に重なっていることが好ましい。
【0038】
また、接続部CN1,CN2に配置された複数の第2層間接続導体VG21~VG23は、線路部SLに配置された複数の第1層間接続導体VG11~VG13よりも高密度に配置されている。より具体的には、
図2および
図3(A)等に示すように、複数の第2層間接続導体(VG21~VG23)の間隔G2は、複数の第1層間接続導体(VG11~VG13)の間隔G1よりも狭い(G2<G1)。なお、本実施形態では、複数の第1層間接続導体VG11~VG13の間隔G1は、例えばλ/4(λ:伝送信号の波長)以下である(G1≦λ/4)。また、複数の第2層間接続導体VG21~VG23の間隔G2は、例えばλ/16以下である(G2≦λ/16)。ここで、層間接続導体の間隔とは、間隔を示す対象とする2個の層間接続導体を最短経路で結んだ距離である。
【0039】
このような構成により、接続部CN1,CN2のうち、複数の第2層間接続導体VG21~VG23で囲まれた対向部分(信号線30Aと外部電極P11,P12とがZ軸方向に対向する部分)は、Z軸方向に延伸する導波路WGとして機能する。すなわち、伝送路基板101では、接続部CN1,CN2において、ストリップライン構造の伝送線路から導波路WGのモードに変換される。そのため、信号線30Aと外部電極P11,P12とが直接接続していなくても、TE波(H波)によって高周波信号が伝送される。
【0040】
本実施形態に係る伝送路基板101は、例えば次の工程で製造される。
【0041】
(1)まず、複数の基材層11,12,13,14を準備する。基材層11~14は、例えば液晶ポリマー(LCP)またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の熱可塑性樹脂を主材料とするシートである。
【0042】
(2)その後、複数の基材層11~14に、信号線30A、第1グランド導体41、第2グランド導体42、複数の中間グランド導体51,52および外部電極P11,P12を形成する。具体的には、基材層11~14の表面に金属箔(例えばCu箔)をラミネートし、その金属箔をフォトリソグラフィでパターニングする。これにより、基材層11の表面に第1グランド導体41を形成し、基材層12の表面に信号線30Aおよび複数の中間グランド導体51を形成し、基材層13の表面に複数の中間グランド導体52を形成し、基材層14の表面に外部電極P11,P12および第2グランド導体42を形成する。
【0043】
(3)また、基材層12~14には、複数の第1層間接続導体および複数の第2層間接続導体がそれぞれ形成される。これら層間接続導体は、複数の基材層12~14にそれぞれ孔(貫通孔)を設けた後、その孔にCu,Snもしくはそれらの合金等の金属粉と樹脂材料とを含む導電性接合材を配設(充填)し、後の加熱プレス処理によって導電性接合材を固化させることにより設けられる。
【0044】
(4)次に、複数の基材層11,12,13,14の順に積層し、積層した複数の基材層11~14を加熱プレス(一括プレス)することにより、積層体を形成する。
【0045】
(5)その後、積層体の表面(基材層14側の面)に保護層1を形成して伝送路基板101(基材10A)を得る。保護層1は、例えばカバーレイフィルムやソルダーレジスト膜、またはエポキシ樹脂膜等である。
【0046】
上記製造方法によれば、熱可塑性樹脂を主材料とする複数の基材層11~14を積層して加熱プレス(一括プレス)することによって、基材10Aを容易に形成できるため、製造工程が削減され、コストを低く抑えることができる。
【0047】
また、上記製造方法によれば、基材層に設けた孔に導電性接合材(導電性ペースト)を配設し、加熱プレス(一括プレス)によって導電性接合材を固化させることができるため、層間接続導体を形成する工程が削減できる。
【0048】
次に、複数の第2層間接続導体VG21~VG23で囲まれた対向部分(信号線30Aと外部電極P11,P12とがZ軸方向に対向する部分)が導波路WGとして機能することによる利点について、比較例を挙げて説明する。
図5は、比較例である伝送路基板100の接続部CN2付近における断面図である。
【0049】
比較例である伝送路基板100は、層間接続導体V1,V2および信号導体31をさらに備える点で、伝送路基板101と異なる。伝送路基板100の他の構成については、伝送路基板101と同じである。
【0050】
伝送路基板100の接続部CN2では、基材10Aの内部に形成された信号線30Aと、基材10Aの第1主面VS1に形成された外部電極P12とが、層間接続導体V1,V2および信号導体31を介して、互いに接続されている。なお、図示省略するが、伝送路基板100の接続部CN1も同様の構成である。
【0051】
図5に示すように、信号線30Aと外部電極P12とを、層間接続導体V1,V2を介して互いに接続する場合には、基材10Aを形成する際(複数の基材層11~14を積層する際)の位置ずれによって、信号線30Aおよび複数と層間接続導体V1,V2と外部電極P12との位置関係にばらつきが生じることがある。そのため、信号線30Aと外部電極P12との間(伝送経路のうち、伝送路基板の表面に引き出す部分)で反射損失が生じる虞がある。特に、本実施形態では、信号線30Aと外部電極P12との間を接続する層間接続導体が2つ以上あるため、上記層間接続導体が1つの場合に比べて、反射損失が生じやすくなる。
【0052】
一方、本実施形態では、接続部CN1,CN2において、信号線30Aと外部電極P11,P12との対向部分が、Z軸方向に延伸する導波路WGとして機能する。この構成により、信号線30Aと外部電極P11,P12とを直接接続することなく(層間接続導体を介することなく)、信号線30Aおよび外部電極P11,P12間に信号を伝送できる。そのため、基材10Aを形成する際の位置ずれに伴って生じる反射損失を低減することができる。
【0053】
伝送路基板101は例えば次のように用いられる。
図6は、第1の実施形態に係る電子機器301の主要部を示す斜視図である。
図7は、
図6におけるC-C断面図である。
【0054】
電子機器301は、伝送路基板101、回路基板201および部品81,82,83等を備える。なお、電子機器301は上記以外の構成も備えるが、
図6では図示省略している。回路基板201は、例えばガラス/エポキシ基板である。部品81~83は、例えばチップ型インダクタやチップ型キャパシタ等のチップ部品、RFIC素子またはインピーダンス整合回路等である。
【0055】
回路基板201は、本発明における「他の基板」の一例である。
【0056】
回路基板201は主面PS1を有する。
図7に示すように、回路基板201の主面PS1には、基板側電極EP11,EP12および基板側グランド電極EG11,EG12等が形成されている。
【0057】
伝送路基板101は、導電性接合材を介して回路基板201に実装される。具体的には、伝送路基板101の外部電極P11,P12が、はんだ等の導電性接合材5を介して、回路基板201の基板側電極EP11,EP12にそれぞれ接合される。また、伝送路基板101のグランド電極(PG11,PG12)は、導電性接合材5を介して、回路基板201の基板側グランド電極EG11,EG12にそれぞれ接合される。なお、部品81~83も導電性接合材を介して回路基板201に接合されるが、図示省略している。
【0058】
このように、伝送路基板101は、第1主面VS1が回路基板201の主面PS1に対向した状態で、回路基板201に実装される。
【0059】
また、伝送路基板101は次のように用いられてもよい。
図8は、第1の実施形態に係る別の電子機器302の主要部を示す断面図である。
【0060】
電子機器302は、伝送路基板101、回路基板201,202等を備える。回路基板202は主面PS2を有する。
図8に示すように、回路基板201の主面PS1と回路基板202の主面PS2とは、Z軸方向における高さが互いに異なる。回路基板201,202は、本発明における「他の基板」の一例である。
【0061】
回路基板201の主面PS1には、基板側電極EP11および基板側グランド電極EG11が形成されている。回路基板202は主面PS2を有する。回路基板202の主面PS2には、基板側電極EP12,EG12が形成されている。
【0062】
図8に示すように、伝送路基板101は、線路部SLが曲げられた状態で、回路基板201,202にそれぞれ実装される。具体的には、伝送路基板101の外部電極P11およびグランド電極(PG11)は、導電性接合材5を介して、回路基板201の基板側電極EP11および基板側グランド電極EG11にそれぞれ接合される。また、伝送路基板101の外部電極P12およびグランド電極(PG12)は、導電性接合材5を介して、回路基板202の基板側電極EP12および基板側グランド電極EG12にそれぞれ接合される。
【0063】
このように、電子機器302の伝送路基板101は線路部SLが曲げられているため、Z軸方向における高さ互いに異なる主面PS1,PS2を有した回路基板201,202への実装が容易となる。
【0064】
本実施形態に係る伝送路基板101および電子機器301によれば、上述した効果以外に、次のような効果を奏する。
【0065】
(a)本実施形態では、信号線30Aに層間接続導体が接続されていない(導通していない)。この構成によれば、基材10Aを形成する際(複数の基材層11~14を積層する際)における、複数の基材層11~14の位置ずれに起因した反射損失を効果的に抑制できる。また、この構成により、上記層間接続導体を介して信号線30Aと外部電極P11,P12と接続する場合に比べて、外部電極P11,P12(伝送経路)間の導体損失を抑えることができる。
【0066】
なお、本実施形態に係る伝送路基板101では、信号線30Aが層間接続導体に接続されていない例を示したが、この構成に限定されるものではない。接続部CN1,CN2において、信号線30Aと外部電極P11,P12との間の少なくとも一部に、Z軸方向に延伸する導波路WGが形成されていれば、信号線30Aが層間接続導体に接続(導通)されていてもよい。但し、複数の基材層の位置ずれに伴って生じる反射損失を抑制するという点において、信号線30Aは層間接続導体に接続(導通)していないことが好ましい。
【0067】
(b)本実施形態では、線路部SLに配置された複数の第1層間接続導体VG11~VG13が、Z軸方向から視て、信号線30Aに沿って信号線30Aを囲むように配置されている。この構成により、線路部SLの側面からのY軸方向への不要輻射を抑制できる。
【0068】
(c)また、本実施形態では、接続部CN1,CN2に配置された複数の第2層間接続導体VG21~VG23が、線路部SLに配置された複数の第1層間接続導体VG11~VG13よりも高密度に配置されている。この構成により、接続部CN1,CN2における信号線30Aと外部電極P11,P12との対向部分に対する外部からのノイズの影響を抑制できる。また、この構成により、接続部CN1,CN2の機械的強度および外力に対する耐久性を相対的に高めることができる。そのため、伝送路基板101を回路基板201に実装する際の接続部CN1,CN2の変形等が抑制され、回路基板201に対する伝送路基板101の実装不良や、伝送路基板101に対する他の部材の実装不良が抑制される。さらに、この構成によれば、線路部SLに配置される第1層間接続導体VG11~VG13の密度が低いため、基材10Aが可撓性を有する材料からなる場合に、線路部SLの可撓性を高めることができ、線路部SLを曲げやすくできる(
図8における伝送路基板101を参照)。また、この構成によれば、線路部SLに配置される第1層間接続導体VG11~VG13を高密度にした場合と比べて、伝送路基板101全体の層間接続導体の数を減らせるため、基材層に形成する孔の点数、およびその孔に導電性接合材を充填する点数が削減できる。そのため、層間接続導体を形成する工程に要する時間を短縮できる。
【0069】
なお、本実施形態に係る伝送路基板101のように、複数の第2層間接続導体VG21~VG23の間隔は、接続部CN1,CN2に対する外部からのノイズの影響を抑制する点、または接続部CN1,CN2からの不要輻射を抑制する点から、λ/16以下であることが好ましい。
【0070】
また、グランドである複数の第2層間接続導体VG21~VG23を狭い間隔で接続部CN1,CN2に配置した場合でも、複数の第2層間接続導体VG21~VG23の間隔から外部ノイズは伝搬(入り込む)ことがある。一方、伝送路基板101の接続部CN1,CN2の対向部分では、導波路WGのモードに変換され、この導波路WG部分がハイパスフィルタとして機能する。そのため、低周波ノイズ(カットオフ周波数以下のノイズ)の影響は受け難い。
【0071】
(d)また、本実施形態では、接続部CN1に配置された複数のグランド電極PG11(第1グランド電極)が、Z軸方向から視て、外部電極P11(第1外部電極)を囲む位置に配置されている。また、接続部CN2に配置された複数のグランド電極PG12(第1グランド電極)は、Z軸方向から視て、外部電極P12(第1外部電極)を囲む位置に配置されている。この構成によれば、伝送路基板101の接続部CN1,CN2を回路基板201等に高い位置精度で実装できる。具体的には、リフロープロセス時に生じる複数のグランド電極と他の基板等の基板側電極とのセルフアライメント作用によって、接続部CN1,CN2の実装位置が補正される。これにより、位置ずれに伴う外部電極P11,P12と基板側電極EP11,EP12との間の接合不良が抑制される。
【0072】
また、この構成によれば、複数のグランド電極PG11が外部電極P11を囲むように配置されているため、導電性接合材5を介した外部電極P11と基板側電極EP11との接合箇所からの不要輻射が抑制される。また、この構成によれば、基材10Aが曲がった場合等に生じる曲げ応力による外部電極P11と基板側電極EP11との接合箇所の破損が抑制される。このことは、外部電極P12と基板側電極EP12との接合箇所も同様である。
【0073】
なお、本発明における「接続部」とは、伝送路基板の外部電極などを、別基板(回路基板や他の伝送路基板等)に接合する部分であって、別基板へ信号を伝送する部分を言う。本発明の「線路部」とは、多数の第2層間接続導体を配置する必要があるため、例えば、幅が他の部分よりも太い部分(第3の実施形態を参照)を言う。また、Z軸方向から視たときに、導波路WGとして機能する部分、および複数の層間接続導体が他の部分よりも狭い間隔で配置された部分を含んだ領域全体を、本発明の「線路部」と定義してもよい。
【0074】
なお、本発明の伝送路基板において、複数の層間接続導体(第1層間接続導体)は線路部SLに配置されていなくてもよい。複数の第1層間接続導体が線路部SLに配置されていない場合には、線路部SLを曲げやすくできる。一方、伝送路基板101のように、複数の第1層間接続導体を線路部SLに配置することにより、線路部SLに近接配置される部品等との結合を抑制できる。
【0075】
《第2の実施形態》
第2の実施形態では、第1の実施形態とは、信号線の形状および中間グランドの形状が異なる伝送路基板の例を示す。
【0076】
図9は、第2の実施形態に係る伝送路基板102の外観斜視図である。
図10は、伝送路基板102の分解平面図である。
図11は、伝送路基板102の接続部CN2付近における基材層12の拡大平面図である。
図10および
図11では、構造を分かりやすくするため、信号線30Bをドットパターンで示している。
【0077】
伝送路基板102は、基材10Bを備える点で、第1の実施形態に係る伝送路基板101と異なる。また、伝送路基板102は、Z軸方向から視て、接続部CN1,CN2の略全面に亘って形成された中間グランド導体51A,51Bを備える点で、伝送路基板101と異なる。伝送路基板102の他の構成については、伝送路基板101と実質的に同じである。
【0078】
以下、第1の実施形態に係る伝送路基板101と異なる部分について説明する。
【0079】
基材10Bは、複数の基材層11,12,13および保護層1をこの順に積層して形成されている。基材層11~13および保護層1は、第1の実施形態で説明したものと同じである。
【0080】
基材層11の表面には、第1グランド導体41が形成されている。第1グランド導体41は、第1の実施形態で説明したものと同じである。
【0081】
基材層12の表面には、信号線30B、中間グランド導体51A,51B,51Cが形成されている。信号線30Bは、伝送方向(X軸方向)に延伸する線状の導体パターンである。信号線30Bは、第1端(
図10における信号線30Bの左端)付近に、他の部分よりも線幅(Y軸方向の幅)が広い幅広部を有する。また、信号線30Bは、第2端(
図10および
図11における信号線30Bの右端)付近に、幅広部を有する。後に詳述するように、これらの幅広部は、外部電極(P11,P12)とZ軸方向に対向する対向部分である。
【0082】
中間グランド導体51A,51B,51Cは、Z軸方向から視て、それぞれ信号線30Bを囲むように配置された矩形の導体パターンである。中間グランド導体51Aは、基材層12の第1端の略全面に亘って形成されており、中間グランド導体51Bは、基材層12の第2端の略全面に亘って形成されている。中間グランド導体51Cは、基材層12の長手方向の中央付近に配置され、信号線30Bに沿って配置されている。
【0083】
また、基材層12には、複数の第1層間接続導体VG11および複数の第2層間接続導体VG21が形成されている。
【0084】
基材層13の表面には、外部電極P11,P12および第2グランド導体42が形成されている。外部電極P11,P12および第2グランド導体42は、第1の実施形態で説明したものと同じである。また、基材層13には、複数の第1層間接続導体VG12および複数の第2層間接続導体VG22が形成されている。
【0085】
複数の第2層間接続導体VG21,VG22は、対向部分(信号線30Bの幅広部と外部電極P11,P12とが対向する部分)を囲むように配置された一連の層間接続導体である。ここにいう「一連」とは、Z軸方向から視て、対向部分の外形に沿って対向部分を囲むように一列に配列された状態を言う。
【0086】
本実施形態では、これら一連の第2層間接続導体VG21,VG22の直径D2の合計値(TD2)は、一連の第2層間接続導体VG21,VG22の間隔G2の合計値(TG2)よりも大きい(TD2>TG2)。この直径D2が、本発明の「一連の第2層間接続導体を結ぶ線分が第2層間接続導体を横断する長さ」に対応し、間隔G2が、「一連の第2層間接続導体を結ぶ線分上の第2層間接続導体の間隔」に対応する。
【0087】
なお、この概念は、次に示すような構成でも適用できる。
図12(A)、
図12(B)は、層間接続導体とその間隔との関係を示す図である。
【0088】
図12(A)では、第2層間接続導体VG21の平面視形状が、円形であり、第2層間接続導体VG21の配列が、屈曲する直線の場合である。この場合、対向部分を囲む一連の第2層間接続導体VG21のそれぞれの中心を最短で結ぶ線分LYが、第2層間接続導体VG21を横切る長さが、直径D2になる。また、この線分LY上の隣り合う第2層間接続導体VG21間の距離が、間隔G2になる。
【0089】
図12(B)では、第2層間接続導体VG21の平面視形状が、矩形であり、第2層間接続導体VG21の配列が、円形の場合である。この場合、対向部分を囲む一連の第2層間接続導体VG21のそれぞれの中心を通る円形(円弧)の線分LYrが、第2層間接続導体VG21を横切る長さが、横断距離D2rになる。この横断距離D2rが、本発明の「一連の第2層間接続導体を結ぶ線分が第2層間接続導体を横断する長さ」に対応する。また、この線分LYr上の隣り合う第2層間接続導体VG21間の距離が、間隔G2rになる。この間隔G2rが、「一連の第2層間接続導体を結ぶ線分上の第2層間接続導体の間隔」に対応する。この場合は、横断距離D2rの合計値が間隔G2rの合計値よりも大きくなればよい。
【0090】
また、上述の概念は、第2層間接続導体VG21の形状が均一でなくても、間隔が均一でなくても適用できる。また、上述のそれぞれの場合において、層間接続導体の形状は、円形に限らず、楕円形、矩形等であってもよい。それぞれ個別に定義を行う場合、楕円形であれば、円形における直径に対応するのは、長径であり、矩形であれば、円形における直径の対応するのは、対角線の長さである。一方、上述の一連の第2層間接続導体に対する定義の場合は、層間接続導体の形状によることなく、この一連の線分が第2層間接続導体を横断する長さによって上述の関係は規定される。
【0091】
また、本実施形態では、信号線30Bの幅広部(幅広部の中心TC)が、信号線30Bの第2端(
図11における信号線30Bの右端)から離れた位置(例えば、信号線30Bの伝送方向における端部からλ/4離れた位置)に形成されている。
【0092】
本実施形態によれば、第1の実施形態で述べた効果以外に、次のような効果を奏する。
【0093】
(a)本実施形態では、一連の第2層間接続導体VG21,VG22の直径D2の合計値(TD2)が、一連の第2層間接続導体VG21,VG22の間隔G2の合計値(TG2)よりも大きい(TD2>TG2)。この構成によれば、接続部CN1,CN2における信号線30Bと外部電極との対向部分が、高密度に配置された複数の第2層間接続導体VG21,VG22(グランド)によって囲まれるため、上記対向部分に対する外部からのノイズの影響をさらに抑制できる。また、この構成により、接続部CN1,CN2からの不要輻射をさらに抑制できる。
【0094】
(b)さらに、本実施形態では、幅広部が、信号線30Bの伝送方向における端部(
図11における信号線30Bの左端および右端)から離れた位置に形成されている。このような構成にすることで、伝送線路から導波路WGにモード変換しやすい。
【0095】
次に、第2の実施形態に係る伝送路基板102の変形例について説明する。
図13は、第2の実施形態の変形例である伝送路基板102Aの接続部CN2付近における、基材層12の拡大平面図である。
【0096】
図13に示すように、伝送路基板102Aでは、複数の第2層間接続導体VG21,VG22が、Z軸方向から視て、隙間を埋めるように千鳥状に配置されている。図示省略するが、伝送路基板102Aの接続部CN1に配置される複数の第2層間接続導体VG21,VG22も同様の構成である。この構成により、接続部CN1,CN2に配置された複数の第2層間接続導体VG21,VG22が千鳥状に配置されていない場合(伝送路基板102を参照)に比べて、複数の第2層間接続導体VG21,VG22による接続部CN1,CN2のシールド性がさらに高まり、結果的に伝送損失がさらに抑制される。
【0097】
なお、千鳥状の配置とは、例えば、
図14(A)、
図14(B)、
図14(C)のような第2層間接続導体の配置によって定義される。
図14(A)、
図14(B)、
図14(C)は、千鳥状の配置の定義を説明するための図である。
図14(A)、
図14(B)、
図14(C)に示すように、隣り合う第2層間接続導体VG21の配列方向に沿った最短距離となる間隔G2の線分に対して、それぞれの第2層間接続導体VG21の接線TLを定義する。間隔G2を表す方向に沿って、これら接線TLに挟まれる領域ZNcを定義する。この領域ZNcを定義する2個の第2層間接続導体VG21と異なる別の第2層間接続導体VG21が、領域ZNcに少なくとも係るように配置される状態を、千鳥状の配置とする。
【0098】
例えば、
図14(A)では、対象の第2層間接続導体VG21は、領域ZNcを跨いで配置される。
図14(B)では、対象の第2層間接続導体VG21は、領域ZNcに部分的に係るように配置される。
図14(C)では、対象の第2層間接続導体VG21は、全体が領域ZNc内に含まれる。
【0099】
図14(A)の構成とすることで、側面視して、隣り合う2つの第2層間接続導体の間隔を塞ぐことができる。また、
図14(C)の構成とすることで、第2層間接続導体が形成される全体の面積を小さくしながら、側面視して、隣り合う2つの第2層間接続導体の間隔の少なくとも一部を塞ぐことができる。また、
図14(B)の構成では、側面視して、隣り合う2つの第2層間接続導体の間隔の少なくとも一部を塞ぐことができる。
【0100】
さらに、複数の第2層間接続導体VG21,VG22を千鳥状に配置した伝送路基板102Aの接続部CN1,CN2では、伝送路基板102の接続部CN1,CN2よりも、複数の第2層間接続導体VG21,VG22をさらに高密度に配置できる。これにより、接続部CN1,CN2の機械的強度がさらに高まって、接続部CN1,CN2の変形がさらに抑制される。また、これにより、接続部CN1,CN2のシールド性がさらに高まる。
【0101】
《第3の実施形態》
第3の実施形態では、複数の伝送路基板を互いに接合して一つの伝送路基板を形成する例を示す。
【0102】
図15は、第3の実施形態に係る電子機器303の主要部を示す斜視図である。
図16は、
図15におけるD-D断面図である。
【0103】
電子機器303は、複数の伝送路基板101A,103A,103Bを備える点で、第1の実施形態で説明した電子機器301と異なる。電子機器303の他の構成については、電子機器301と実質的に同じである。
【0104】
図15に示すように、伝送路基板101A,103A,103Bおよび部品81~83は、導電性接合材を介して回路基板201に実装される。伝送路基板101A,103A,103Bは、導電性接合材を介して接合され、一つの伝送路基板を形成している。
【0105】
本実施形態では、伝送路基板101Aが本発明の「第1伝送路基板」の一例であり、伝送路基板103A,103Bが本発明の「第2伝送路基板」の一例である。
【0106】
次に、各伝送路基板の具体的な構成について説明する。
図17(A)は第3の実施形態に係る伝送路基板101Aの外観斜視図であり、
図17(B)は伝送路基板101Aを別の視点から視た外観斜視図である。伝送路基板101Aは、線路部SLおよび接続部CN1,CN2を有する。伝送路基板101Aの接続部CN1、線路部SLおよび接続部CN2は+Y方向にこの順に配置されている。伝送路基板101Aは、長手方向がY軸方向に一致する基材10Cを備える点で、第1の実施形態に係る伝送路基板101と異なる。伝送路基板101Aの他の構成については、伝送路基板101と同じである。
【0107】
本実施形態では、伝送路基板101Aの外部電極P11,P12が本発明の「第2外部電極」に相当し、伝送路基板101Aのグランド電極PG11,PG12が「第2グランド電極」に相当する。なお、「第2外部電極」とは、他の伝送路基板の外部電極に接合される電極を言い、「第2グランド電極」とは、他の伝送路基板のグランド電極に接合される電極を言う。
【0108】
次に、各伝送路基板103Aの具体的な構成について説明する。
図18(A)は第3の実施形態に係る伝送路基板103Aの外観斜視図であり、
図18(B)は伝送路基板103Aを別の視点から視た外観斜視図である。
図19は、伝送路基板103Aの分解平面図である。
図20は、
図18(A)におけるE-E断面図である。
図21(A)は
図18(A)におけるF-F断面図であり、
図21(B)は
図18(A)におけるG-G断面図である。
【0109】
伝送路基板103Aは、線路部SL1および接続部CN11,CN21を有する。伝送路基板103Aの接続部CN11、線路部SL1および接続部CN12は+X方向にこの順に配置されている。伝送路基板103Aは、基材10D、外部電極P11A、外部電極P22A、複数のグランド電極PG10A,PG11A,PG12A,PG22A等を備える点で、第1の実施形態に係る伝送路基板101と異なる。
【0110】
本実施形態では、伝送路基板103Aの外部電極P11Aが本発明の「第1外部電極」に相当し、グランド電極PG10A,PG11A,PG12Aが「第1グランド電極」に相当する。また、伝送路基板103Aの外部電極P22Aが本発明の「第2外部電極」に相当し、グランド電極PG22Aが「第2グランド電極」に相当する。
【0111】
基材10Dは、長手方向がX軸方向に一致する略矩形の平板であり、互いに対向する第1主面VS11および第2主面VS21を有する。外部電極P11Aおよび複数のグランド電極PG12Aは、接続部CN21の第1主面VS11に形成されており、複数のグランド電極PG12Aは、接続部CN21の第1主面VS11に形成されている。複数のグランド電極PG10Aは、線路部SLの第1主面VS11に形成されている。また、外部電極P22Aおよび複数のグランド電極PG22Aは、接続部CN21の第2主面VS21に形成されている。
【0112】
基材10Dは、保護層2d、複数の基材層11d,12d,13dおよび保護層1dをこの順に積層して形成されている。複数の基材層11d~13dは、長手方向がX軸方向に一致する略矩形の樹脂平板である。具体的には、複数の基材層11d~13dは、長手方向の両端(
図19における基材層11d~13dの左端および右端)の幅(Y軸方向の幅)が他の部分よりも広い。複数の基材層11d~13dの主材料は、第1の実施形態で説明した基材層11~14と同じである。
【0113】
基材層11dの裏面には、外部電極P22Aおよび第1グランド導体41が形成されている。外部電極P22Aは、基材層11dの第2端(
図19における基材層11dの右端)付近に配置される矩形の導体パターンである。第1グランド導体41は、基材層11dの裏面の略全面に形成される導体パターンである。また、基材層11dには、複数の第1層間接続導体VG11および複数の第2層間接続導体VG21が形成されている。第1層間接続導体VG11および第2層間接続導体VG21の構成については、第1の実施形態で説明したものと同じである。
【0114】
基材層12dの表面には、信号線30A、および複数の中間グランド導体51が形成されている。信号線30Aおよび中間グランド導体51の構成については、第1の実施形態で説明したものと同じである。また、基材層12dには、複数の第1層間接続導体VG12および複数の第2層間接続導体VG21が形成されている。第1層間接続導体VG12および第2層間接続導体VG22の構成については、第1の実施形態で説明したものと同じである。
【0115】
基材層13dの表面には、外部電極P11Aおよび第2グランド導体42が形成されている。外部電極P11Aは、基材層13dの第1端(
図19における基材層13dの左端)付近に配置された矩形の導体パターンである。第2グランド導体42は、基材層13dの表面の略全面に形成された導体パターンである。また、基材層13dには、複数の第1層間接続導体VG13および複数の第2層間接続導体VG23が形成されている。第1層間接続導体VG13および第2層間接続導体VG23の構成については、第1の実施形態で説明したものと同じである。
【0116】
保護層1dは、基材層13dの表面に形成される保護膜であり、平面形状が基材層13dと略同じである。保護層1dは、矩形の開口AP11A,AG10A,AG11A,AG12Aを有する。開口AP11A,AG11Aは、保護層1dの第1端(
図19における保護層1dの左端)付近に配置されており、開口AG12Aは、保護層1dの第2端(
図19における保護層1dの右端)付近に配置されており、開口AG10Aは、保護層1dの長手方向の中央付近に配置されている。具体的には、開口AP11Aは外部電極P11Aの位置に応じた位置に形成されている。そのため、基材層13dの表面に保護層1dが形成された場合でも、上記開口AP11Aから外部電極P11Aが外部に露出する。また、基材層13dの表面に保護層1dが形成された場合に、上記開口AG10A,AG11A,AG12Aから第2グランド導体42の一部が外部に露出する。本実施形態では、開口AG11A,AG12Aからそれぞれ露出するグランド導体の一部が、グランド電極(PG10A,PG11A,PG12A)に相当する。
【0117】
保護層2dは、基材層11dの裏面に形成される保護膜であり、平面形状が基材層11dと略同じである。保護層2dは、矩形の開口AP22A,AG22Aを有する。開口AP22A,AG22Aは、保護層2dの第2端(
図19における保護層2dの右端)付近に配置されている。具体的には、開口AP22Aは外部電極P22Aの位置に応じた位置に形成されている。そのため、基材層11dの裏面に保護層2dが形成された場合でも、上記開口AP22Aから外部電極P22Aが外部に露出する。また、基材層11dの裏面に保護層2dが形成された場合に、上記開口AG22Aから第1グランド導体41の一部が外部に露出する。本実施形態では、開口AG22Aから露出する第2グランド導体42の一部が、グランド電極(PG22A)に相当する。
【0118】
図19、
図20、
図21(A)および
図21(B)等に示すように、第1グランド導体41および第2グランド導体42は、中間グランド導体51,52と層間接続導体(第1層間接続導体VG11~VG13または第2層間接続導体VG21~VG23)とを介して、電気的に接続されている。
【0119】
また、伝送路基板103Aの線路部SL1では、信号線30A、第1グランド導体41、第2グランド導体42、信号線30Aと第1グランド導体41とで挟まれる基材層11d,12d、および信号線30Aと第2グランド導体42とで挟まれる基材層13d、を含んだストリップライン構造の伝送線路が構成されている。
【0120】
図21(A)等に示すように、伝送路基板103Aの接続部CN11では、信号線30Aおよび外部電極P11Aが、層間接続導体を介さずに、積層方向(Z軸方向)に対向配置されている。また、
図21(B)等に示すように、接続部CN21では、信号線30Aおよび外部電極P22Aが、層間接続導体を介さずに、Z軸方向に対向配置されている。
【0121】
次に、各伝送路基板103Bの具体的な構成について説明する。
図22(A)は第3の実施形態に係る伝送路基板103Bの外観斜視図であり、
図22(B)は伝送路基板103Bを別の視点から視た外観斜視図である。
図22(A)および
図22(B)に示すように、伝送路基板103Bは、線路部SL2および接続部CN12,CN22を有する。伝送路基板103Aの接続部CN12、線路部SL2および接続部CN12は+X方向にこの順に配置されている。伝送路基板103Bは、平面方向(X軸方向およびY軸方向)に延伸するL字形の基材10Eを備える点で、伝送路基板103Aと異なっている。その他の伝送路基板103Bの基本的な構造は、伝送路基板103Aと同じであるため、説明を省略する。
【0122】
本実施形態では、伝送路基板103Bの外部電極P11Bが本発明の「第1外部電極」に相当し、グランド電極PG10B,PG11B,PG12Bが本発明の「第1グランド電極」に相当する。また、伝送路基板103Bの外部電極P22Bが本発明の「第2外部電極」に相当し、グランド電極PG22Bが「第2グランド電極」に相当する。
【0123】
図15および
図16に示すように、伝送路基板103A,103Bは、それぞれ第1主面VS11,VS12が回路基板201の主面PS1に対向した状態で、回路基板201に実装されている。また、伝送路基板101Aの接続部CN1の第1主面VS1は、伝送路基板103Aの接続部CN21の第2主面VS21に接合されており、伝送路基板101Aの接続部CN2の第1主面VS1は、伝送路基板103Bの接続部CN22の第2主面VS22に接合されている。
【0124】
回路基板201の主面PS1には、基板側電極EP31および基板側グランド電極EG12A,EG12B等が形成されている。伝送路基板103Aの第1グランド電極(
図18(A)におけるグランド電極PG12A)は、導電性接合材を介して、回路基板201の基板側グランド電極EG12Aに接合されている。伝送路基板103Bの第1グランド電極(
図22(A)におけるグランド電極PG12B)は、導電性接合材を介して、回路基板201の基板側グランド電極EG12Bに接合されている。図示省略するが、伝送路基板103A,103Bの外部電極(P11A,P11B)も、導電性接合材を介して、回路基板201の基板側電極に接合されている。さらに、部品83は、導電性接合材を介して、回路基板201の基板側電極EP31に接合されている。図示省略するが、部品81,82も導電性接合材を介して回路基板201に接合されている。
【0125】
さらに、伝送路基板101A,103Aの第2外部電極(外部電極P11,P22A)同士は、導電性接合材を介して接合されており、伝送路基板101A,103Bの第2外部電極(外部電極P12,P22B)同士は、導電性接合材を介して接合されている。
【0126】
このように、複数の伝送路基板101A,103A,103Bは、第2外部電極同士が導電性接合材を介して接合されて、平面方向に曲げ部を有する一つの伝送路基板を形成している。
図16等に示すように、伝送路基板101Aの信号線30Aおよび第2外部電極(外部電極P11,P12)は、層間接続導体を介さずに、Z軸方向に対向配置されている。また、伝送路基板103Aの信号線30Aおよび第2外部電極(外部電極P22A)は、層間接続導体を介さずに、Z軸方向に対向配置されている。さらに、伝送路基板103Bの信号線30Aおよび第2外部電極(外部電極P22B)は、層間接続導体を介さずに、Z軸方向に対向配置されている。
【0127】
本実施形態によれば、第1の実施形態で述べた効果以外に、次のような効果を奏する。
【0128】
(a)ケーブルや表面実装部品である伝送路基板は、マザー基板状態で製造した後に複数の個片に分離する工法が一般的である。しかし、平面方向に曲げ部を有するような形状の部材をマザー基板から分離する場合には、マザー基板から得られる部材の個数が少なくなるなど、取り個数への影響が大きい。一方、本実施形態では、複数の伝送路基板101A,103A,103Bを接合して一つの伝送路基板を形成している。この構成によれば、マザー基板から分離した小さな個片(複数の伝送路基板)を接合することにより一つの伝送路基板を形成できるため、一つのマザー基板から得られる伝送路基板の個数(取り個数)を多くできる。
【0129】
(b)本実施形態では、
図16に示すように、回路基板201に実装された伝送路基板103A,103B上に伝送路基板101Aを実装(載置)して、回路基板201に実装された部品83上を跨いでいる(避けている)。このような構成により、回路基板201の主面PS1に垂直な高さ方向(Z軸方向)のスペースを有効利用できる。
【0130】
(c)また、本実施形態では、伝送路基板101Aの長手方向(Y軸方向)の長さが、回路基板201に実装された伝送路基板103A,103Bの長手方向(X軸方向)の長さよりも短い。回路基板201上に実装される伝送路基板101Aの長手方向の長さを短くすることにより、伝送路基板101Aを変形(撓み等)し難くできる。すなわち、この構成により、複数の伝送路基板を接合してなる伝送路基板の構造的な安定性を高めることができる。
【0131】
(d)さらに、本実施形態では、回路基板201に実装される伝送路基板103A,103Bの接続部の幅が、線路部の幅よりも太い。この構成によれば、回路基板201の主面PS1に伝送路基板103A,103Bを載置したときに、伝送路基板103A,103Bが転倒し難くなり、回路基板201の主面PS1に伝送路基板103A,103Bを載置しやすくできる。すなわち、この構成により、回路基板201に載置される伝送路基板103A,103Bの安定性が高まり、伝送路基板103A,103Bの実装性が高まる。また、この構成によれば、接続部に配置される外部電極やグランド電極を大きくできるため、回路基板201への実装性(または、他の伝送路基板への接合性)が高まる。
【0132】
(e)また、本実施形態では、回路基板201に実装される伝送路基板103A,103Bの線路部の幅が、接続部の幅よりも狭い。この構成によれば、伝送路基板103A,103Bを実装するための専有面積が小さくなるため、回路基板201の主面PS1に実装された部品81~83や他の構造物等を回避しやすくでき、伝送路基板103A,103Bを回路基板201の主面PS1上の限られたスペースに実装しやすくできる。
【0133】
(f)本実施形態では、伝送路基板103A,103Bの線路部に、伝送方向に沿って配置された複数のグランド電極PG10A,PG10Bを備える。この構成により、伝送路基板が一定の長さを有していても、伝送路基板を高い位置精度で回路基板に実装できる。具体的には、伝送路基板を回路基板上に載置する際に多少の位置ずれが生じた場合でも、リフロープロセス時に発生するグランド電極および基板側グランド電極でのセルフアライメント作用によって、伝送路基板の実装位置が補正される。
【0134】
なお、本実施形態では、3つの伝送路基板101A,103A,103Bを接合して一つの伝送路基板を形成した例を示したが、この構成に限定されるものではない。互いに接合される伝送路基板の数は、例えば2または4以上であってもよい。
【0135】
また、本実施形態では、1つの信号線30Aを備える伝送路基板の例を示したが、この構成に限定されるものではない。本発明の伝送路基板は、複数の信号線を備える構成でもよい。複数の信号線を備える伝送路基板を互いに接合する場合には、例えば一方の信号線を他の伝送路基板の信号線に接続し、他方の信号線を回路基板の信号線に接続してもよい。
【0136】
《第4の実施形態》
第4の実施形態では、外部電極を備えていない伝送路基板の例を示す。
【0137】
図23は、第4の実施形態に係る電子機器304の主要部を示す斜視図である。
図24は、
図23におけるH-H断面図である。
【0138】
電子機器304は、複数の伝送路基板101B,104A,104Bを備える点で、第3の実施形態で説明した電子機器303と異なる。電子機器304の他の構成については、電子機器303と同じである。
【0139】
図23に示すように、伝送路基板101B,104A,104Bおよび部品81~83は、導電性接合材を介して回路基板201に実装される。伝送路基板101B,104A,104Bは、接続部同士が互いに導電性接合材を介して接合され、一つの伝送路基板を形成している。
【0140】
本実施形態では、伝送路基板101Bが本発明の「第1伝送路基板」の一例であり、伝送路基板104A,104Bが本発明の「第2伝送路基板」の一例である。
【0141】
次に、各伝送路基板の具体的な構成について説明する。
図25は、第4の実施形態に係る伝送路基板101Bの外観斜視図である。伝送路基板101Bは、外部電極(P11,P12)を備えていない点で、第3の実施形態に係る伝送路基板101Bと異なる。伝送路基板101Bの他の構成については、伝送路基板101Aと実質的に同じである。
【0142】
次に、各伝送路基板104A,104Bの具体的な構成について説明する。
図26(A)は第4の実施形態に係る伝送路基板104Aの外観斜視図であり、
図26(B)は第4の実施形態に係る伝送路基板104Bの外観斜視図である。
【0143】
伝送路基板104Aは、外部電極(P22A)を備えていない点で、第3の実施形態に係る伝送路基板103Aと異なる。また、伝送路基板104Bは、外部電極(P22B)を備えていない点で、第3の実施形態に係る伝送路基板103Bと異なる。伝送路基板104A,104Bの他の構成については、伝送路基板103A,103Bと実質的に同じである。
【0144】
図22に示すように、伝送路基板104A,104Bは、それぞれ第1主面VS11,VS12が回路基板201の主面PS1に対向した状態で、回路基板201に実装されている。また、伝送路基板101Bの接続部CN1の第1主面VS1は、伝送路基板104Aの接続部CN21の第2主面VS21に接合されており、伝送路基板101Bの接続部CN2の第1主面VS1は、伝送路基板104Bの接続部CN22の第2主面VS22に接合されている。
【0145】
伝送路基板104Aの第1グランド電極(
図16(A)におけるグランド電極PG12A)は、導電性接合材を介して、回路基板201の基板側グランド電極EG12Aに接合されている。伝送路基板104Bの第1グランド電極(
図22(A)におけるグランド電極PG12B)は、導電性接合材を介して、回路基板201の基板側グランド電極EG12Bに接合されている。図示省略するが、伝送路基板104A,104Bの第1外部電極(
図18(A)および
図22(A)における外部電極P11A,P11B)は、導電性接合材を介して、回路基板201の基板側電極に接合されている。
【0146】
さらに、伝送路基板101Bの第2グランド電極(
図24におけるグランド電極PG11)と、伝送路基板104Aの第2グランド電極(
図26(A)におけるグランド電極PG22A)とは、導電性接合材を介して接合されている。また、伝送路基板101Bの第2グランド電極(
図25におけるグランド電極PG12)と、伝送路基板104Bの第2グランド電極(
図26(B)におけるグランド電極PG22B)とは、導電性接合材を介して接合されている。
【0147】
このように、複数の伝送路基板101B,104A,104Bは、複数の第2グランド電極同士が導電性接合材を介して接合されて、一つの伝送路基板を形成している。
【0148】
本実施形態では、
図24に示すように、互いに接合された接続部CN1,CN21では、伝送路基板101B,104Aの信号線30A同士が、層間接続導体および導電性接合材を介さずに、Z軸方向に対向配置され接続されている。具体的には、接続部CN1,CN21において、伝送路基板101Bの信号線30Aと伝送路基板104Aの信号線30Aとの対向部分(信号線30A同士がZ軸方向に対向配置された部分)が、Z軸方向に延伸する導波路WGとして機能する。
【0149】
また、互いに接合された接続部CN2,CN22では、伝送路基板101Bの信号線30Aと伝送路基板104Bの信号線30Aとが、層間接続導体および導電性接合材を介さずに、Z軸方向に対向配置されている。具体的には、接続部CN2,CN22において、伝送路基板101Bの信号線30Aと伝送路基板104Bの信号線30Aとの対向部分が、Z軸方向に延伸する導波路WGとして機能する。
【0150】
本実施形態では、互いに接合される伝送路基板101B,104A,104Bの信号線30A同士が、導電性接合材を介さずに接続されているため、導電性接合材を介して伝送路基板の信号線同士を接続する場合(第3の実施形態に係る電子機器303を参照)に比べて、インピーダンスマッチングしやすい。
【0151】
なお、本実施形態では、複数の伝送路基板101B,104A,104Bが、導電性接合材を介して互いに接合され、一つの伝送路基板を形成した例を示したが、この構成に限定されるものではない。本実施形態で示したように、互いに接合された2つの伝送路基板に跨った導波路WGを形成する場合には、絶縁性接着材等を介して、複数の伝送路基板を互いに接合して一つの伝送路基板を形成してもよい。但し、複数の伝送路基板を高い位置精度で互いに接合するという点では、複数の伝送路基板が、導電性接合材を介して互いに接合されることが好ましい。例えば、互いに接合される接続部CN1,CN21において、リフロープロセス時に生じる第2グランド電極(伝送路基板101Bのグランド電極PG11、および伝送路基板104Aのグランド電極PG22A)間のセルフアライメント作用によって、接続部CN1,CN2の実装位置が補正される。
【0152】
また、本実施形態では、互いに接合された2つの伝送路基板101B,104A(または、互いに接合された伝送路基板101B,104B)に跨った導波路WGを形成した例を示したが、この構成に限定されるものではない。例えば、伝送路基板および回路基板201(他の基板)に跨った導波路が形成されていてもよい。すなわち、第1外部電極を備えていない伝送路基板を、基板側電極を備えていない回路基板に実装することで、上記伝送路基板の信号線と回路基板が備える信号線(基板側信号線)とを、層間接続導体等を介さずに、Z軸方向に対向配置させて接続してもよい。また、この場合には、基板側信号線が層間接続導体に接続されていないことが好ましい。
【0153】
《その他の実施形態》
以上に示した各実施形態では、2つの接続部および1つの線路部を有する伝送路基板の例を示したが、伝送路基板が有する接続部の数および線路部の数は、本発明の作用・効果を奏する範囲において適宜変更可能である。
【0154】
以上に示した各実施形態では、伝送路基板の基材が矩形または略矩形の平板である例を示したが、この構成に限定されるものではない。基材の形状は、本発明の作用・効果を奏する範囲において適宜変更可能である。基材の平面形状は、例えば多角形、円形、楕円形、L字形、クランク形、T字形、Y字形、U字形等でもよい。
【0155】
また、以上に示した各実施形態では、1つの保護層および4つの基材層を積層して形成される基材、または2つの保護層および3つの基材層を積層して形成される基材を備えた伝送路基板の例を示したが、これに限定されるものではない。基材に含まれる基材層の積層数は、本発明の作用・効果を奏する範囲において適宜変更可能である。また、基材において保護層は必須ではない。
【0156】
以上に示した各実施形態では、基材に含まれる複数の基材層が熱可塑性樹脂からなる例を示したが、この構成に限定されるものではない。複数の基材層は、熱硬化性樹脂からなるシートでもよい。また、複数の基材層は、低温同時焼成セラミックス(LTCC)の誘電体セラミックシートでもよい。また、基材は、複数の樹脂の複合積層体であってもよく、例えばガラス/エポキシ基板等の熱硬化性樹脂シートと、熱可塑性樹脂シートとが積層されて形成される構成でもよい。また、基材は、複数の基材層を加熱プレス(一括プレス)してその表面同士を融着するものに限らず、各基材層間に接着材層を有していてもよい。
【0157】
また、伝送路基板に形成される回路構成は、以上に示した各実施形態の構成に限定されるものではなく、本発明の作用・効果を奏する範囲において適宜変更可能である。伝送路基板に形成される回路は、例えば導体パターンで構成されるコイルや、導体パターンで形成されるキャパシタ、各種フィルタ(ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ、バンドパスフィルタ、バンドエリミネーションフィルタ)等の周波数フィルタが形成されていてもよい。また、伝送路基板には、ストリップライン構造の伝送線路以外に、例えば他の各種伝送線路(ミアンダ、コプレーナ等)が形成されていてもよい。さらに、伝送路基板には、チップ部品等の各種電子部品が実装または埋設されていてもよい。
【0158】
以上に示した各実施形態では、線路部に1つの伝送線路が構成された伝送路基板の例を示したが、この構成に限定されるものではない。伝送線路の数は、伝送路基板に形成される回路構成によって適宜変更可能であり、2つ以上でもよい。2つ以上の伝送線路を備える場合、これら2つ以上の伝送線路はそれぞれ同一のシステム(同一の周波数帯)で利用されていてもよく、それぞれ異なるシステム(異なる周波数帯)で利用されていてもよい。
【0159】
また、以上に示した各実施形態では、各導体パターン(外部電極、グランド電極、グランド導体、中間グランド導体等)の平面形状が、矩形である例を示したが、これに限定されるものではない。各導体パターンの平面形状は、本発明の作用・効果を奏する範囲において適宜変更可能であり、例えば多角形、円形、楕円形、円弧状、リング状、L字形、U字形、T字形、Y字形、クランク形であってもよい。また、各電極(外部電極およびグランド電極)の個数・位置は、本発明の作用・効果を奏する範囲において適宜変更可能である。なお、伝送路基板には、これら各電極以外に、信号線やグランドに接続されないダミー電極が形成されていてもよい。
【0160】
さらに、以上に示した各実施形態では、複数の層間接続導体(第1層間接続導体VG11~VG13および第2層間接続導体VG21~VG23)が、基材層に形成した貫通孔に充填した導電性接合材を、加熱プレス処理によって固化してなるビア導体である例を示したが、これに限定されるものではない。伝送路基板に形成される層間接続導体は、例えば、基材層に形成した貫通孔内にめっき処理によって設けられためっきビア(スルーホールめっき、またはフィルドビアめっき)と、上記めっきビアに接合される導電性接合材とを有する導体でもよい。
【0161】
樹脂多層基板が高周波伝送線路の用途に用いられる場合、配線用導体には導体損失の小さなCu等を用いることが好ましいが、Cuは融点が高い。そこでCuよりも融点の低い導電性接合材が層間接続導体に用いられるが、導電性接合材のみで形成された層間接続導体は導電率が比較的に低い。一方、めっきビアおよび導電性接合材を併用して層間接続導体を形成した場合には、導電性接合材のみで形成された層間接続導体に比べて、導体損失を低減できる。なお、層間接続導体がめっきビアを有する場合、めっきビアに接続される導体パターンとめっきビアとが同材料(例えば、Cu)であることが好ましい。この構成により、めっきビアと導体パターンとが一体化されるため、合金層(金属間化合物)がめっきビアと導体パターンとの接続箇所に形成されることが少なく、めっきビアと導体パターンとの接続箇所の機械的強度が高まる。
【0162】
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。当業者にとって変形および変更が適宜可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変更が含まれる。
【符号の説明】
【0163】
AP11,AP11A,AP12,AP22A,AG10A,AG11,AG11A,AG12,AG12A,AG22A…開口
CN1,CN2,CN11,CN12,CN21,CN22…接続部
EP11,EP12,EP31…基板側電極
EG11,EG12,EG12A,EG12B…基板側グランド電極
P11,P11A,P12,P11B,P22A,P22B…外部電極
PG10A,PG10B,PG11,PG11A,PG11B,PG12,PG12A,PG12B,PG22A,PG22B…グランド電極
PS1,PS2…回路基板の主面
SL,SL1,SL2…線路部
TC…幅広部の中心
VG11,VG12,VG13…第1層間接続導体
VG21,VG22,VG23…第2層間接続導体
VS1,VS11,VS12…基材の第1主面
VS2,VS21,VS22…基材の第2主面
WG…導波路
1,1d,2d…保護層
1d,2d…保護層
5…導電性接合材
10A,10B,10C,10D,10E…基材
11,11d,12,12d,13d,14…基材層
30A,30B…信号線
41…第1グランド導体
42…第2グランド導体
51,51A,51B,51C,52…中間グランド導体
81,82,83…部品
101,101A,102,102A,103A,103B,104A,104B…伝送路基板
201,202…回路基板(他の基板)
301,302,303,304…電子機器