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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20221018BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
H01L21/306 R
H01L21/304 648H
H01L21/304 643A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018086881
(22)【出願日】2018-04-27
(65)【公開番号】P2019192864
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100113608
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100123319
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 武彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123098
【弁理士】
【氏名又は名称】今堀 克彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125357
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 剛
(72)【発明者】
【氏名】水上 大乗
(72)【発明者】
【氏名】石井 弘晃
【審査官】高柳 匡克
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-049108(JP,A)
【文献】特開2006-080547(JP,A)
【文献】国際公開第2017/135064(WO,A1)
【文献】特開2008-098425(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一種以上の薬液および純水を含む処理液を基板に吐出することで該基板に対して所定の処理を行う基板処理装置であって、
前記基板に前記所定の処理を行うための前記処理液が貯留された貯留槽と、
前記貯留槽から供給される前記処理液を基板に対して吐出することで、前記基板に対して前記所定の処理を実行する基板処理部と、
前記基板処理部が前記基板に対して吐出した前記処理液の吐出量を取得する吐出量取得手段と、
前記基板処理部において前記基板に対して吐出された前記処理液を前記貯留槽に回収する回収配管と、
前記回収配管によって前記貯留槽に回収される前記処理液の回収量を取得する回収量取得手段と、
前記吐出量と前記回収量とを基に前記処理液の回収量の前記吐出量に対する割合を示す回収率を算出する算出手段と、
前記吐出量と(1-前記回収率)との積によって決定される補充量の前記処理液を前記貯留槽に補充する処理液供給部と、を備えることを特徴とする、
基板処理装置。
【請求項2】
前記処理液供給部は、前記基板処理部が前記基板に対して前記処理液を吐出するたびに、前記処理液を前記貯留槽に補充する、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記処理液供給部は、前記吐出量の累積が所定量に達する毎に、前記補充量の前記処理液を前記貯留槽に補充する、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記処理液供給部は、補充する前記処理液の単位時間当たりの流量を計測する瞬時流量計を含み、
前記処理液供給部は、前記瞬時流量計によって計測された前記流量に基づいて、前記貯留槽に補充する前記処理液の量が前記補充量となるように制御する、
請求項1からのいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記基板処理装置は、前記基板処理部を複数備え、
複数の前記基板処理部の各々において前記基板に対して吐出された前記処理液は、前記貯留槽に回収される、
請求項1からのいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記吐出量取得手段は、複数の基板処理部の各々に設けられ、複数の基板処理部の各々で前記基板に対して吐出された前記処理液の量を計測する積算流量計を含み、
前記補充量は、前記基板処理部各々で前記積算流量計によって計測された前記吐出量の合計値に基づいて決定される、
請求項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記処理液は、フッ化水素酸、リン酸、硝酸、酢酸の少なくとも一つ及び純水を含む混酸水溶液、純水、イソプロピルアルコール(IPA)の群から選択されるいずれかである、
請求項1からのいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
一種以上の薬液および純水を含む処理液を基板に吐出することで該基板に対して所定の処理を行う基板処理方法であって、
貯留槽から供給される前記処理液を基板に対して吐出することで、基板に対して前記所定の処理を実行し、
前記基板に対して吐出した前記処理液の吐出量を取得し、
前記基板に対して吐出された前記処理液を前記貯留槽に回収し、
前記貯留槽に回収される前記処理液の回収量を取得し、
前記吐出量と前記回収量とを基に前記処理液の回収量の前記吐出量に対する割合を示す回収率を算出し、
前記吐出量と(1-前記回収率)との積によって決定される補充量の前記処理液を前記貯留槽に補充する、ことを特徴とする、
基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハ等の基板に対して処理液を吐出し、エッチング処理や洗浄処理を行う基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置では、基板の処理準備として、基板処理装置のタンクに所定濃度の処理液が、通常タンクに貯留される量である定量になるまで供給される。供給された処理液はタンクに貯留される。半導体装置の製造工程には、基板処理装置のタンクに貯留された処理液を基板に対して吐出することにより、当該基板にエッチング処理や洗浄処理等の処理を施す工程が含まれる。吐出した処理液はタンクに回収されて基板に対する処理に再利用される。処理液が再利用されることで、処理液の消費量が低減される。
【0003】
処理液の再利用を続けると、時間の経過とともに、処理液構成成分の蒸発、分解等によってタンクに貯留される処理液の量が減少することがある。タンクに貯留される処理液の量を維持するために、タンクへの処理液の補充が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-79884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
処理液の補充が定量になるまで行われた後に、処理に用いられた処理液がタンクに回収されると、タンクの容量が定量に対して余裕がない場合、処理液がタンクから溢れる可能性がある。処理液がタンクから溢れないように、タンクの容量は定量に対して余裕をもって設計される。そのため、基板処理装置の製造コストが増大したり、より広い設置スペースが要求されたりしていた。
【0006】
開示の技術の1つの側面は、処理液を再利用する基板処理装置において、タンクの容量を小型化しても処理液のタンクからの溢れを抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の技術の1つの側面は、次のような基板処理装置によって例示される。本基板処理装置は、一種以上の薬液および純水を含む処理液を基板に吐出することで該基板に対して所定の処理を行う基板処理装置である。本基板処理装置は、基板に所定の処理を行うための処理液が貯留された貯留槽と、貯留槽から供給される処理液を基板に対して吐出することで、基板に対して所定の処理を実行する基板処理部と、基板処理部が基板に対して吐出した処理液の吐出量を取得する吐出量取得手段と、基板処理部において基板に対して吐出された処理液を貯留槽に回収する回収配管と、吐出量に基づいて決定される補充量の処理液を貯留槽に補充する処理液供給部と、を備える。
【0008】
開示の技術では、基板処理部において基板に対して吐出された処理液の吐出量が取得される。貯留槽には、基板処理部において吐出された処理液が回収配管を介して回収される。処理液供給部が貯留槽に補充する処理液の補充量は吐出量に基づいて決定されるため、従来よりも定量に対する余裕を少なくした貯留槽を用いても、貯留槽から処理液が溢れることが抑制される。
【0009】
開示の技術において、回収配管によって貯留槽に回収される処理液の回収量の吐出量に対する割合を示す回収率を記憶する記憶部をさらに備え、補充量は、吐出量と(1-回収率)との積によって決定されてもよい。補充量が吐出量と(1-回収率)との積によって決定されるため、所定の処理において吐出された処理液の一部が回収される場合でも、回収されなかった分の処理液を貯留槽に補充することができる。なお、吐出量と(1-回収率)との積によって、とは、必ずしも補充量が吐出量と(1-回収率)との積に等しいことを意味するわけではない。補充量は、吐出量と(1-回収率)との積に依拠して決定されればよく、例えば、補充量の決定にはさらに貯留槽から蒸発する処理液の量をさらに考慮してもよい。また、開示の技術において、補充量は、回収配管によって貯留槽に回収される処理液の回収量を取得する回収量取得手段によって取得された回収量と吐出量とに基づいて決定されてもよい。
【0010】
開示の技術において、処理液供給部は、基板処理部が基板に対して処理液を吐出するたびに、処理液を前記貯留槽に補充してもよいし、所定期間内における吐出量の合計に基づいて決定される補充量の処理液を所定期間ごとに補充してもよいし、吐出量の累積が所定量に達する毎に、所定量の処理液を貯留槽に補充してもよい。
【0011】
開示の技術において、処理液供給部は、補充する処理液の単位時間当たりの流量を計測する瞬時流量計を含み、処理液供給部は、瞬時流量計によって計測された流量に基づいて、貯留槽に補充する処理液の量が補充量となるように制御してもよい。
【0012】
開示の技術において、基板処理装置は基板処理部を複数備え、複数の基板処理部の各々において基板に対して吐出された処理液は、貯留槽に回収されてもよい。基板処理部の数が増加すると、貯留槽に回収される処理液の量は増加する。開示の技術では、基板処理部が基板に対して吐出した処理液の量に基づいて貯留槽への処理液の補充量が決定されるため、基板処理部を複数備える場合でも、貯留槽から処理液が溢れることが抑制される。
【0013】
基板処理部を複数備える場合、吐出量取得手段は、複数の基板処理部の各々に設けられ、複数の基板処理部の各々で基板に対して吐出された処理液の量を計測する積算流量計を含み、補充量は、基板処理部各々で積算流量計によって計測された吐出量の合計値に基づいて決定されてもよい。
【0014】
開示の技術では、基板処理装置で用いられる処理液は、フッ化水素酸、リン酸、硝酸、酢酸の少なくとも一つ及び純水を含む混酸水溶液、純水、イソプロピルアルコール(IPA)の群から選択されるいずれかであってもよい。
【0015】
開示の技術は基板処理方法の側面から捉えることも可能である。
【発明の効果】
【0016】
本基板処理装置は、処理液を再利用する基板処理装置において、タンクの容量を小型化しても処理液のタンクからの溢れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施形態に係る基板処理装置の構成の一例を示す図である。
図2図2は、基板処理装置の機能ブロック図の一例である。
図3図3は、回収管および処理チャンバーに積算流量計を設けた構成の一例を示す図である。
図4図4は、複数の処理チャンバーを備えた基板処理装置の構成の一例を示す図である。
図5図5は、基板の処理を行わずに温度調整が行われた場合における処理液中の所定成分の濃度の変化の一例を示す図である。
図6図6は、処理液の再利用を行いつつ基板の処理を行った場合における処理液中の所定成分の濃度の変化の一例を示す図である。
図7図7は、実施例に係る基板処理装置の構成の一例を示す図である。
図8図8は、処理液の作製時における基板処理装置の配管動作の一例を示す第1の図である。
図9図9は、処理液の作製時における基板処理装置の配管動作の一例を示す第2の図である。
図10図10は、処理液の作製時における基板処理装置の配管動作の一例を示す第3の図である。
図11図11は、処理液の作製時における基板処理装置の配管動作の一例を示す第4の図である。
図12図12は、処理液の作製時における基板処理装置の配管動作の一例を示す第5の図である。
図13図13は、処理液の作製時における基板処理装置の配管動作の一例を示す第6の図である。
図14図14は、基板に対する処理を行う基板処理装置の配管動作の一例を示す第1の図である。
図15図15は、基板に対する処理を行う基板処理装置の配管動作の一例を示す第2の図である。
図16図16は、基板に対する処理を行う基板処理装置の配管動作の一例を示す第3の図である。
図17図17は、基板に対する処理を行う基板処理装置の配管動作の一例を示す第4の図である。
図18図18は、基板に対する処理を行う基板処理装置の配管動作の一例を示す第5の図である。
図19図19は、基板に対する処理を行う基板処理装置の配管動作の一例を示す第6の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、一実施形態に係る基板処理装置および基板処理装置を用いた基板処理方法について説明する。以下に示す実施形態の構成は例示であり、開示の技術は実施形態の構成に限定されない。
【0019】
<実施形態>
図1は、実施形態に係る基板処理装置1の構成の一例を示す図である。この基板処理装置1は、主として半導体ウェハ等の基板Wに対してエッチング処理や洗浄処理(以下、単に“処理”ともいう)を施すものである。基板処理装置1は、基板Wを1枚ずつ処理する方式の装置であり、いわゆる枚様式の基板処理装置である。以下、図1を参照して、基板処理装置1の構成について説明する。基板Wに対するエッチング処理や洗浄処理等の処理は、「所定の処理」の一例である。
【0020】
処理チャンバー11は、基板Wに対して処理液を吐出することで処理を行う。処理チャンバー11は、基板Wを載置するテーブル111、吐出口112、壁113を有する。テーブル111は、略円柱形状に形成され、処理対象となる基板Wを載置して回転可能である。吐出口112は、テーブルに載置された基板Wに対して処理液を吐出する。テーブル111の周囲は壁113によって囲まれており、基板Wに対して吐出された処理液の飛散が抑制される。処理チャンバー11は、「基板処理部」の一例である。
【0021】
純水供給源17には純水が貯留される。純水供給源17にはタンク12への純水の流路
となる純水供給管25が接続される。純水供給管25には、開閉弁31a(例えば、ゲートバルブ)、調整弁32a(例えば、ニードルバルブ)および瞬時流量計33a(例えば、超音波流量計)がこの順で設けられており、開閉弁31aが開弁されることでタンク12への純水の供給を開始し、開閉弁31aが閉弁されることでタンク12への純水の供給を停止する。純水供給源17からタンク12に供給される純水の流量は、調整弁32aによって制御される。瞬時流量計33aは、純水供給管25を流れる純水の単位時間当たりの流量を計測する。
【0022】
薬液供給源18には所定成分を所定の補充濃度(例えば、49%)含む薬液が貯留される。薬液供給源18にはタンク12への薬液の流路となる薬液供給管26が接続される。薬液供給管26には、タンク12側から開閉弁31b、タンク12側から開閉および瞬時流量計33bが設けられており、開閉弁31bが開弁されることでタンク12への薬液の供給を開始し、開閉弁31bが閉弁されることでタンク12への薬液の供給を停止する。薬液供給源18からタンク12に供給される薬液の流量は調整弁32bによって制御される。瞬時流量計33bは、薬液供給管26を流れる薬液の単位時間当たりの流量を計測する。薬液供給源18がタンク12に供給する薬液は、例えば、所定成分としてフッ化水素酸(フッ酸)を含むフッ酸水溶液である。純水供給源17と薬液供給源18は、「処理液供給部」の一例である。
【0023】
タンク12には、処理に用いられる処理液が貯留される。タンク12には、薬液供給源18から供給される薬液を純水供給源17から供給される純水によって希釈することで、上記補充濃度より低い初期濃度(例えば、40%)の所定成分を含む処理液が貯留される。基板Wに対する処理効率(例えば、処理がエッチングの場合にはエッチングレート)は、処理液中の所定成分の濃度と処理液の温度に依存する。すなわち、基板Wに対する処理効率を考えると処理液中の所定成分の濃度は高い方が好ましい。しかしながら、本実施形態では、後述する濃度制御で用る処理液の量を低減するため、薬液を純水で希釈することで薬液よりも低い初期濃度となるようにタンク12に貯留される処理液の濃度が制御される。濃度を低くすることによる処理効率の低下は、後述する温度調整において、薬液をそのまま処理に用いる場合(すなわち、上記補充濃度の薬液を処理に用いる場合)よりも高い温度に処理液の温度が調整されることで、抑制される。タンク12には、タンク12内の処理液の液面の高さを検知する液面センサ121が設けられる。液面センサ121が液面の高さを検知することで、タンク12に貯留される処理液の量を判定できる。すなわち、液面センサ121によって液面高さを検知することで、液面高さが、タンク12に通常貯留される量である「定量」位置であるか、補充を開始すべき量である「補充開始」位置であるか、これ以上タンクに処理液が供給されるとタンクから処理液が溢れることを示す「オーバーフロー」位置であるか、タンク内に貯留される処理液の下限を示す「下限」位置であるか、を判定できる。タンク12は、「貯留槽」の一例である。
【0024】
供給管21は、処理液の供給元と処理液の供給先とを接続する内径25mm程度の配管である。図1では、処理液の供給元であるタンク12と処理液の供給先である処理チャンバー11とが供給管21によって接続される。供給管21には、供給管21内を流れる処理液を加熱するヒーター13及びポンプ14が設けられている。ヒーター13により処理に適した温度に調整された処理液は、ポンプ14によって供給管21を介して処理チャンバー11に圧送される。タンク12の底部には開閉弁31fを備えるタンク廃液管24が設けられており、タンク12に貯留される処理液の全液交換を実施する際には、開閉弁31fが開弁されてタンク廃液管24を介してタンク12内の処理液がドレイン(排出)される。
【0025】
循環配管22は、一端を供給管21の管路途中21pと接続し、他端をタンク12と接続する配管である。循環配管22は供給管21よりも細い配管であり、例えば、循環配管
22の内径は6mm程度である。供給管21において、循環配管22が接続される管路途中21pよりもヒーター13の方がタンク12側に設けられるため、循環配管22にはヒーター13によって加熱された処理液が流入する。
【0026】
回収管23は、一端を処理チャンバー11と接続し、他端をタンク12と接続する配管である。回収管23は、処理チャンバー11において処理に用いられた処理液をタンク12へ返送する流路となる。すなわち、処理チャンバー11で処理に用いられた処理液は、回収管23を介してタンク12に回収される。回収管23は、「回収配管」の一例である。
【0027】
温度計15は、循環配管22に設けられる。上記の通り、ヒーター13によって加熱された処理液が循環配管22に流入するため、温度計15はヒーター13によって加熱された処理液の温度を計測できる。
【0028】
濃度計16は、循環配管22に設けられ、処理液中の所定成分の濃度を計測する。濃度計16は、濃度の計測対象となる処理液中に泡が混在すると計測精度が低下する。処理液中の泡は、処理液が流れていない箇所や処理液と気体とが接する箇所において生じやすい。そこで、本実施形態では、処理液に流れがあるとともに処理液と気体とが接することがない循環配管22に濃度計16を設ける。濃度計16は、例えば、導電率を基に処理液中のフッ酸の濃度を計測するものであり、例えば、株式会社堀場製作所のフッ酸濃度モニタ
HF-960EMを採用することができる。
【0029】
開閉弁31eは、供給管21において、管路途中21pよりも処理チャンバー11側に設けられる弁であり、例えば、ゲートバルブである。開閉弁31eが閉弁されることで、タンク12から処理チャンバー11への処理液の流路が閉塞され、開閉弁31eが開弁されることで、タンク12から処理チャンバー11への処理液の流路が開放される。
【0030】
循環配管22には、循環配管22内を流れる処理液のドレインに用いられる配管廃液管27が設けられる。配管廃液管27は、循環配管22のうち温度計15および濃度計16よりもタンク12側に接続される。また、循環配管22には、循環配管22のうち配管廃液管27が接続される位置よりもタンク12側に、開閉弁31cが設けられる。配管廃液管27には開閉弁31dが設けられており、開閉弁31dが開弁されることで循環配管22を流れる処理液が配管廃液管27を介してドレインされる。配管廃液管27を介してドレインを行う際には、開閉弁31cを閉弁してタンク12への流路を閉塞するとともに、開閉弁31eを閉弁して処理チャンバー11への流路を閉塞する。なお、上記の通り、循環配管22の内径は供給管21よりも細いため、循環配管22内を流れる処理液の流量は供給管21内を流れる処理液の流量よりも少ない。そのため、配管廃液管27が循環配管22に設けられることで、供給管21に配管廃液管27を設ける場合よりも、ドレインする処理液の量の制御が容易になる。
【0031】
<機能ブロック>
図2は、基板処理装置1の機能ブロック図の一例である。上記した処理チャンバー11、タンク12、ヒーター13、純水供給源17、薬液供給源18は制御部55によって統括的に制御される。また、制御部55は、温度計15および濃度計16による計測結果を取得する。制御部55のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部55は、各種演算処理を行うCPU551、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM552、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAM553および制御用アプリケーションやデータなどを記憶しておく磁気ディスク等を備えている。本実施形態においては、制御部55のCPU551が所定のプログラムPを実行することにより、処理液の温度調整、処理チャンバー11による基板Wへの
処理の実行、処理液の濃度制御およびレベル補充が実行される。上記のプログラムPは、記憶部57に記憶されている。
【0032】
<温度調整>
温度調整は、タンク12に貯留される処理液の温度を処理に適した温度に調整する処理である。温度調整では、ポンプ14によってタンク12から供給管21に圧送された処理液が供給管21に設けられたヒーター13によって加熱される。加熱された処理液は循環配管22を経由してタンク12に返送される。このような循環を繰り返すことで、タンク12に貯留される処理液の温度が、処理に適した温度に調整される。上記の通り、基板Wの処理効率は処理液の温度と濃度とに関係して変化するため、本実施形態に係る温度調整では、補充濃度の薬液を処理に用いる場合に好適な温度よりも高い温度にタンク12に貯留される処理液の温度が調整される。処理液を高い温度に調整することで、補充濃度より低い初期濃度の処理液を用いても処理効率の低下を避けることが可能である。
【0033】
温度調整では、開閉弁31eが閉弁されることで処理チャンバー11への処理液の流路が閉塞される。タンク12から供給管21に圧送された処理液は、供給管21に設けられたヒーター13によって加熱され、加熱された処理液は循環配管22に流入する。循環配管22を流れる処理液は、温度計15によって温度が計測されてから、タンク12に返送される。温度計15によって計測される温度が基板Wの処理に適した温度範囲内になるまでの間、このような循環が繰り返される。なお、循環配管22には、上記の通り、濃度計16も設けられており、濃度計16は、循環配管22を流れる処理液の所定成分の濃度を計測する。温度調整において温度計15によって計測された温度が基板Wの処理に適した温度範囲内になると開閉弁31eが開弁され、タンク12に貯留される処理液の処理チャンバー11への供給が開始される。
【0034】
<基板Wの処理>
処理チャンバー11は、上記の通り、タンク12から供給される処理液を吐出口112から基板Wに吐出することで、処理を行う。ここで、半導体ウェハ等の基板Wの製造工程においては、例えばシリコン等の単結晶インゴッドをその棒軸方向にスライスし、得られたものに対して面取り、ラッピング、エッチング処理、ポリッシング等の処理が順次施される。その結果、基板Wの表面上には異なる材料による複数の層、構造、回路が形成される。処理チャンバー11において行われる基板Wの処理は、例えば、基板Wに残ったタングステン等のメタルを除去する目的で行われ、基板Wに対して処理液を吐出することにより行われる。処理チャンバー11では、処理対象となる基板Wがテーブル111に載置され、テーブル111が回転することで、テーブル111に載置された基板Wが回転する。処理チャンバー11は、処理液を吐出口112から回転する基板Wに対して吐出することで、基板Wに対する処理を実行する。テーブル111の周囲を囲む壁113によって処理に用いられた処理液の飛散が抑制されるとともに、処理に用いられた処理液は壁113に囲まれた領域113a内に貯留される。領域113a内に貯留された処理液は、処理チャンバー11とタンク12とを接続する回収管23を介してタンク12に回収される。すなわち、処理に用いられた処理液は、回収管23を介してタンク12に回収されることで、処理チャンバー11に供給する処理液として再利用される。処理チャンバー11に処理液を供給している間も、処理液の一部は管路途中21pを介して循環配管22に流入し、温度計15による温度計測と濃度計16による濃度計測とが継続して行われる。
【0035】
基板処理装置1では、基板Wの処理に用いた処理液を再利用することで、処理液の消費量を削減する。しかしながら、このような処理液の再利用が繰り返されると、処理液中の所定成分の濃度は、処理液構成成分の蒸発、分解等によって変化する場合がある。例えば、上記の温度調整においては、処理液中の水分の蒸発によって、図5に例示されるように、処理液中の所定成分の濃度が上昇することがある。また、例えば、基板Wの処理におい
て処理液の再利用を続けると、処理液中の所定成分の蒸発、分解等によって、図6に例示されるように、処理液中の所定成分の濃度が低下することがある。処理液中の所定成分の濃度が変化することで、タンク12に貯留される処理液中の所定成分の濃度が、基板Wの処理に適した濃度範囲から逸脱することがある。そこで、濃度計16によって計測される処理液中の所定成分の濃度が基板Wの処理に適した濃度範囲を逸脱した場合、濃度制御が実行される。
【0036】
<濃度制御>
基板処理装置1では、処理の進行に応じて薬液供給源18からタンク12へ薬液が供給される。薬液供給源18が薬液を供給する時期および量は、あらかじめ実験等に基づいて処理液の濃度の変化を抑制できるように決定されればよい。薬液供給源18は、例えば、所定枚数の基板の処理が行われた場合や、処理の累積実行時間が所定時間に達したときに薬液をタンク12に供給する。
【0037】
濃度計16によって計測される処理液中の所定成分の濃度が基板Wの処理に適した濃度範囲を逸脱した場合、純水供給源17からタンク12に純水を供給したり、薬液供給源18からタンク12に薬液を供給したりする濃度制御が実行される。濃度制御においては、例えば、処理液中の所定成分の濃度が上昇している場合には純水供給源17から純水を供給することで処理液中の所定成分の濃度を低下させる。また、例えば、上記の図6に例示されるように、処理液の再利用が続けられると処理液中の所定成分の濃度が低下するため、薬液供給源18から薬液を供給することで処理液中の所定成分の濃度の低下が抑制される。濃度計16が示す処理液中の所定成分の濃度が基板Wの処理に適した濃度範囲の下限を下回る場合、開閉弁31dを開弁するとともに開閉弁31cを閉弁して、配管廃液管27を介して所定成分の濃度が低下した処理液を所定量(例えば、3L)ドレインする。ドレインした処理液と同量の薬液が薬液供給源18からタンク12に供給されることで、タンク12に貯留される処理液中の所定成分の濃度を上昇させる。
【0038】
上記の通り、本実施形態では、タンク12に貯留される処理液の初期濃度は、薬液供給源18が供給する濃度よりも低く設定される。そのため、タンク12に貯留される処理液の濃度と薬液供給源18から薬液が供給される薬液の濃度とが等しい場合と比較して、より少量の薬液の供給によってタンク12に貯留される処理液の濃度を上昇させることができる。すなわち、本実施形態によれば、濃度制御に用いる薬液の量を低減することができる。
【0039】
<レベル補充>
上記した濃度制御において処理の進行に応じて薬液がタンク12へ供給されるが、それでもタンク12に貯留される処理液が減少することがある。タンク12に貯留される処理液の量が補充開始を示す量にまで減少した場合、レベル補充が行われる。レベル補充では、薬液供給源18から薬液がタンク12に供給されるとともに、純水供給源17から純水がタンク12に供給される。薬液供給源18が供給する薬液の流量と純水供給源17が供給する純水の流量は、それぞれ調整弁32b、32aによって薬液の濃度が初期濃度になるように制御される。レベル補充では、タンク12に貯留される処理液の量が、タンク12に通常貯留される量である定量を示すまで継続される。
【0040】
<補充量>
ところで、上記したように、処理チャンバー11で処理に用いられた処理液は、回収管23を介してタンク12に回収される。処理チャンバー11とタンク12との間の距離は、基板処理装置1の設置場所によって異なるため、処理チャンバー11で使用されてから処理液がタンク12に回収されるまでの時間をあらかじめ決定しておくことはできない。また、基板処理装置1は、図4のように複数の処理チャンバー11を備えることが可能で
あり、処理チャンバー11の数が増加すればタンク12に回収される処理液の量も増加する。
上記した濃度制御やレベル補充において処理液や薬液がタンク12の定量まで処理液が補充された後に処理チャンバー11から処理液がタンク12に回収された場合でも処理液がタンク12から溢れることが無いように、タンク12は容量に余裕をもって設計される。タンク12の容量に余裕をもって設計されると、タンク12の製造コストが増大したり、基板処理装置1の設置により広い設置スペースが必要になったりする。
【0041】
そこで、処理チャンバー11から回収される処理液の量を考慮して、濃度制御やレベル補充において補充される薬液や純水の量を決定してもよい。すなわち、濃度制御やレベル補充においてタンク12に補充される薬液や純水の量と処理チャンバー11から回収される処理液の量とでタンク12の処理液の量が定量になるように、補充される薬液および純水の量が制御されればよい。
【0042】
回収される処理液の量は、例えば、処理チャンバー11における処理において吐出された処理液の量と回収率とを基に決定できる。回収率は、処理チャンバー11における処理において吐出された処理液の量のうち、タンク12に回収される処理液の量を示す割合であり、例えば、次の式(1)によって決定できる。
【数1】
【0043】
式(1)において、「処理チャンバー11が吐出した処理液の量」は、タンク12に接続される処理チャンバー11が複数存在する場合、その複数の処理チャンバー11が吐出した処理液の合計量である。式(1)において回収率の変域は0から1の範囲であり、例えば、処理チャンバー11が吐出した処理液が全てタンク12に回収される場合の回収率は1となる。
【0044】
処理チャンバー11で吐出される処理液の量は、例えば、基板Wの処理内容を定めたレシピから取得できる。レシピは、例えば、記憶部57に記憶されており、制御部55が記憶部57からレシピを読み込み、吐出される処理液の量を取得すればよい。また、例えば、図3に例示されるように、処理チャンバー11の吐出口112に吐出される処理液の流量の積算を計測可能な積算流量計112aを設け、積算流量計112aによって吐出口112が吐出する処理液の量を計測しても取得可能である。基板処理装置1が処理チャンバー11を複数備える場合、処理チャンバー11の各々が有する積算流量計112aによる計測結果の合計値を吐出される処理液の量とすればよい。タンク12に回収される処理液の量は、タンク12が有する液面センサ121から取得できる。また、タンク12に回収される処理液の量は、図3に例示されるように、回収管23に設ける積算流量計23aによって計測することでも取得可能である。あらかじめ試験等によって回収率を確認し、確認した回収率を記憶部57に記憶させておくことで、製品として販売される基板処理装置1から積算流量計23aを省略することができる。タンク12に補充する薬液および純水の供給量は、例えば、次の式(2)によって決定できる。記憶部57に記憶されたレシピから吐出される処理液の量を取得する制御部55は、「吐出量取得手段」の一例である。積算流量計112aは「吐出量取得手段」の一例であり、「積算流量計」の一例でもある。積算流量計23aは、「回収量取得手段」の一例である。
【数2】
【0045】
式(2)において、「現在の液量」は、タンク12に貯留されている処理液の量であり、例えば、タンク12に設けられている液面センサ121によって検出できる。「吐出量」は処理チャンバー11が吐出した処理液の量であり、処理チャンバー11が複数存在する場合は、複数の処理チャンバー11が吐出した処理液の合計である。すなわち、「(吐出量)×(回収率)」によって、タンク12に回収される処理液の量が決定される。例えば、タンク12の定量が30L,タンク12の現在の液量が20L、処理チャンバー11の吐出した処理液の量が10L、回収率が0.9である場合、タンク12に供給する薬液および純水の合計量は、式(2)によって、1Lと決定される。薬液および純水の各々の供給量は、例えば、濃度制御において薬液を供給する場合、薬液の供給量が1Lであり、純水の供給はない。また、例えば、濃度制御において純水を供給する場合、純水の供給量が1Lであり、薬液の供給は無い。また、レベル補充においては、処理液における所定成分の濃度と式(2)によって決定された合計量に基づいて、薬液と純水の各々の供給量が決定されればよい。なお、タンク12に補充する薬液および純水の供給量は、式(2)以外によって決定されてもよい。また、タンク12に補充する薬液および純水の供給量の合計は、さらにタンク12から蒸発する処理液の量が考慮されてもよい。
【0046】
なお、実施形態においては、処理チャンバー11において処理に用いられた処理液が回収管23によってタンク12に回収されたが、処理チャンバー11が吐出した処理液をタンク12に回収しない基板処理装置も考えられる。吐出した処理液を回収しない場合におけるタンクへの補充量は、式(2)において回収率を0として決定してもよいし、処理チャンバー11が吐出した吐出量と同量としてもよい。
【0047】
濃度制御では、上記のように、タンク12に貯留される処理液の量が定量を下回った時に実施されてもよいが、処理チャンバー11が処理液を吐出するたびに実施されてもよいし、所定期間毎に実施されてもよいし、処理チャンバー11が吐出した処理液の量が所定量に達したときに実施されてもよい。例えば、所定期間毎に実施する場合、所定期間における吐出量の合計に基づいて補充量を決定すればよい。また、例えば、処理チャンバー11が吐出した処理液の量が所定量に達したときに実施する場合、当該所定量を補充量とすればよい。
【0048】
<実施形態の作用効果>
実施形態では、タンク12には、薬液供給源18から供給される薬液を純水供給源17から供給される純水によって希釈した処理液が貯留される。希釈された処理液が用いられることで、薬液をそのまま処理液として使用する場合よりも処理液の再利用に伴う濃度の低下が緩やかになる。また、処理液における所定成分の濃度が低いため、少量の薬液の供給によってタンク12に貯留される処理液の濃度を高めることができる。濃度の低下が緩やかであり、かつ、少量の薬液の供給で濃度を高めることができるため、実施形態によれば、濃度制御で使用する処理液の量を低減することができる。
【0049】
実施形態では、循環配管22に濃度計16が設けられる。濃度計16は、上記の通り、濃度計測の対象となる処理液中に泡が生じると計測精度が低下する。泡は、処理液の流れが無い場所や処理液と気体とが接する場所に生じやすい。循環配管22内はポンプ14によって圧送される処理液が流れており、かつ、処理液と気体とが接することもないため、濃度計の設置に好適であり、濃度計の計測精度の低下が抑制される。
【0050】
実施形態では、循環配管22には、循環配管22内を流れる処理液を排出する配管廃液管27が接続されており、濃度計16が示す濃度が処理に適した濃度範囲を下回った場合に、配管廃液管27から所定量の処理液を排出するとともに、薬液供給源18が所定量の薬液をタンク12に供給する。濃度の低下した処理液を排出した上で薬液が補充されるため、処理液の濃度を容易に回復できる。
【0051】
実施形態では、純水供給源17は、濃度計16が示す濃度が処理に適した濃度範囲を上回った場合に、純水をタンク12に供給する。純水が供給されることで、所定成分の濃度が高くなりすぎた処理液の濃度を下げることができる。
【0052】
実施形態では、循環配管22の内径は供給管21の内径よりも細く形成される。循環配管22の内径が供給管21の内径よりも細いことにより、循環配管22内を流れる処理液の流量は供給管21内を流れる処理液の流量よりも少なくなる。そのため、濃度計測のために循環配管22内を流す処理液の量を低減できる。また、処理液の流量が少ない循環配管22に配管廃液管27が設けられることで、ドレインする処理液の量の制御が容易になる。
【0053】
実施形態において、薬液供給源18から供給される薬液をそのまま処理に用いる場合に好適な温度よりも高い温度に処理液の温度は調整される。基板Wに対する処理効率は、処理液中の所定成分の濃度と処理液の温度とに依存する。薬液をそのまま処理に用いる場合よりも高い温度に処理液の温度を調整することで、薬液よりも所定成分の濃度が低い処理液を処理に用いることによる処理効率の低下が抑制される。
【0054】
実施形態では、薬液供給源18や純水供給源17がタンク12に補充される薬液や純水の量は、処理チャンバー11から回収される処理液の量を考慮して決定される。そのため、薬液供給源18や純水供給源17がタンク12に薬液や純水を供給した後に、処理チャンバー11で処理に使用された処理液がタンク12に回収されても、タンク12に貯留される処理液の量を定量とすることが可能となる。そのため、タンク12に処理液が回収された状態でタンク12に貯留される処理液の量が定量になるため、タンク12を大きめに製造しなくともよくなり、タンク12の小型化が実現される。
【0055】
実施形態では、薬液供給源18から薬液が供給され、純水供給源17から純水が供給されたが、基板処理装置1はこのような形態に限定されない。基板処理装置1は、例えば、薬液供給源18または純水供給源17の一方を省略してもよい。また、薬液供給源18が供給する薬液は、リン酸、硝酸、酢酸の少なくとも一つ及び純水を含む混酸水溶液またはイソプロピルアルコール(IPA)であってもよい。
【0056】
<実施例>
実施形態において説明した基板処理装置1について、より具体的な構成について説明する。図7は、実施例に係る基板処理装置1aの構成の一例を示す図であり、図1に例示される構成をより具体的に示したものである。基板処理装置1aにおいて、基板処理装置1と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。以下、図面を参照して、実施例に係る基板処理装置1aについて説明する。
【0057】
基板処理装置1aは、2つのタンク12(第1タンク12a、第2タンク12b)を備える。第1タンク12aは処理チャンバー11への処理液の供給に用いられ、第2タンク12bは処理液の作製と作製した処理液の第1タンク12aへの供給に用いられる。第2タンク12bでは、薬液供給源18から供給される薬液と純水供給源17aから供給される純水とを基に、初期濃度の処理液が作製される。供給管21aは第2タンク12bから第1タンク12aへの処理液の流路となる配管であり、供給管21aには複数のヒーター13a、13b、13c、13dが供給管21aに沿って配置される。ヒーター13a、13bが処理液を加熱する温度は、例えば、ヒーター13c、13dよりも高く設定される。供給管21aにおいて、ヒーター13bとヒーター13bの隣に配置されたヒーター13cとの間には温度計15aが介挿され、ヒーター13dよりも第2タンク12b側には温度計15bが設けられており、供給管21a内を流れる処理液の温度が温度計15a
、15bによって計測される。ヒーター13a、13bによって加熱された処理液の温度が温度計15aによって計測される。供給管21aには、さらに、ポンプ14aが設けられており、第2タンク12bに貯留された処理液は、ポンプ14aによって供給管21aに圧送される。また、供給管21aには、ヒーター13a、13b、13c、13dおよびポンプ14aよりも第1タンク12a側に、開閉弁31e1が設けられる。制御部55は、温度計15aの計測結果に基づいて、ヒーター13c、13dの温度を制御する。供給管21aにおいて、開閉弁31e1よりも第2タンク12b側で、ポンプ14aよりも第1タンク12a側の管路途中21p1には、管路途中21p1から第2タンク12bに延びる循環配管22aが接続される。循環配管22aには、開閉弁31c1が設けられる。第2タンク12bにおいて処理液の温度調整が行われるときは、開閉弁31e1が閉弁されることで第1タンク12aへの流路が閉塞されるとともに、開閉弁31c1が開弁されることで第2タンク12bへの流路が開放される。第2タンク12bに貯留される処理液は、ポンプ14aによって供給管21aに圧送され、圧送された処理液はヒーター13a、13b、13c、13dによって加熱されて、循環配管22aを介して第2タンク12bに返送される。
【0058】
第1タンク12aには、第2タンク12bにおいて作製され、温度調整された処理液が、供給管21aを介して供給される。供給管21b、21bの各々は第1タンク12aから処理チャンバー11、11の各々への処理液の流路となる配管であり、供給管21b、21bの各々にはヒーター13e、13eおよびポンプ14bが設けられる。供給管21b、21bの管路途中21p2、21p2には、管路途中21p2、21p2から第1タンク12aに延びる循環配管22bが接続される。循環配管22bには、管路途中21p2から第1タンク12aへ向かって順に開閉弁31g、積算流量計33c、調整弁32c、濃度計16および開閉弁31c2が設けられる。濃度計16は循環配管22aに設けられてもよいが、濃度計16が循環配管22bに設けられることで、処理チャンバー11により近い位置における処理液の濃度を計測可能である。供給管21b、21bには、さらに、管路途中21p2よりも処理チャンバー11側に設けられた管路途中21p3、21p3には、管路途中21p3、21p3から第1タンク12aに延びる返送管21b1、21b1が接続される。返送管21b1、21b1は循環配管22bよりも内径が大きい(すなわち、流路断面積が大きい)配管であり、例えば、返送管21b1、21b1の内径は25mmであり、循環配管22bの内径は6mmである。
【0059】
第1タンク12aおよび第2タンク12bの各々には、上記した液面センサ121が設けられる。なお、第2タンク12bは、第1タンク12aへの処理液の供給元となるため、第2タンク12bは第1タンク12aよりも容量の大きいタンクが用いられる。そのため、第2タンク12bにおいて液面高さが「定量」となる処理液の量は、第1タンク12aにおいて液面高さが「定量」となる処理液の量よりも多くなるように設定される。例えば、第2タンク12bにおいて液面高さが「定量」となる処理液の量は「60L」であり、第1タンク12aにおいて液面高さが「定量」となる処理液の量は「30L」である。
【0060】
薬液供給源18には、第2タンク12bへの薬液の流路となる薬液供給管26a、26bが接続される。薬液供給管26aには、開閉弁31b1、調整弁32b1および瞬時流量計33b1が設けられる。開閉弁31b1が開弁されると薬液供給源18から第2タンク12bへの薬液供給管26aを介した流路が確保され、開閉弁31b1が閉弁されると薬液供給源18から第2タンク12bへの薬液供給管26aを介した流路が閉塞される。薬液供給管26a内を流れる薬液の流量は、調整弁32b1によって制御される。瞬時流量計33b1は、薬液供給管26aを流れる薬液の単位時間当たりの流量を計測する。薬液供給管26bには、開閉弁31b2、調整弁32b2および瞬時流量計33b2が設けられる。薬液供給管26bの管路途中26pにおいて、純水供給管25aが接続される。開閉弁31b2が開弁されると薬液供給源18から第2タンク12bへの薬液供給管26
bを介した流路が確保され、開閉弁31b2が閉弁されると薬液供給源18から第2タンク12bへの薬液供給管26bを介した流路が閉塞される。薬液供給管26b内を流れる薬液の流量は、調整弁32b2によって制御される。瞬時流量計33b2は、薬液供給管26bを流れる薬液の単位時間当たりの流量を計測する。
【0061】
基板処理装置1aでは、純水供給源として、純水供給源17aと純水スパイクタンク17b(図中では、DIW SPK Tankと記載)とを有する。純水供給源17aには、第2タンク12bへの純水の流路となる純水供給管25aが接続される。純水供給管25aには、開閉弁31a、調整弁32aおよび瞬時流量計33aが設けられる。純水供給源17aは、純水の供給先が第2タンク12bになることを除いて、実施形態に係る純水供給源17と同様である。
【0062】
純水スパイクタンク17bには、第2タンク12bへの純水の流路となる純水供給管25bが接続される。純水供給管25bにはポンプ14dが設けられる。ポンプ14dによって圧送されることで、純水スパイクタンク17bから第2タンク12bへ所定量(例えば、100ml)の純水が供給される。
【0063】
ところで、基板Wの処理に用いられて回収管23によって回収される処理液の温度は、基板Wの処理に適した温度よりも低くなる。このような処理液を第1タンク12aに返送してしまうと、第1タンク12aに貯留される処理液の温度を低下させてしまう。そこで、基板処理装置1aでは、基板Wの処理に用いた処理液をタンク12に返送する回収管23は、処理チャンバー11から第2タンク12bへ延びるように設けられる。すなわち、処理チャンバー11で基板Wの処理に使用された処理液は、回収管23を介して第2タンク12bへ返送される。第2タンク12bから第1タンク12aへ処理液が圧送される処理液は、ヒーター13a、13b、13c、13dによって加熱される。そのため、第1タンク12aに貯留される処理液の温度の低下が抑制される。
【0064】
以上の構成を有する基板処理装置1aにおける基板Wの処理の流れについて、以下図8から図19を参照して説明する。図8から図19において、処理液が流れる配管は太線で示されている。
【0065】
<処理液の作製>
図8から図13は、処理液の作製時における基板処理装置1aの配管動作の一例を示す図である。以下、図8から図13を参照して、処理液の作製時における基板処理装置1aの配管動作の一例について説明する。
【0066】
図8は、処理液の作製時における基板処理装置1aの配管動作の一例を示す第1の図である。処理液の作製開始時点であるため、第1タンク12aおよび第2タンク12bのいずれもタンク内は空になっている。処理液の作製が開始されると、薬液供給源18は、開閉弁31b2が開弁されるとともに開閉弁31b1が閉弁された状態で薬液供給管26bへ薬液を送出する。薬液供給管26bを流れる薬液の流量は、調整弁32b2によって制御される。純水供給源17aは、開閉弁31aが開弁された状態で純水供給管25aへ純水を送出する。純水供給管25aを流れる純水の流量は、調整弁32aによって制御される。薬液供給管26bと純水供給管25aとは管路途中26pにおいて接続され、薬液供給源18から供給される薬液の流量と純水供給源17aから供給される純水の流量とはそれぞれ調整弁32b2および調整弁32aによって制御されることで、第2タンク12bに初期濃度に調整された処理液が供給される。
【0067】
図9は、処理液の作製時における基板処理装置1aの配管動作の一例を示す第2の図である。第2タンク12bに貯留される処理液の液面高さが下限を超えると、処理液の温度
調整が開始される。温度調整では、開閉弁31c1が開弁され、開閉弁31e1が閉弁される。そして、第2タンク12b内の処理液がポンプ14aによって供給管21aに圧送され、供給管21aに圧送された処理液はヒーター13a、13bによって加熱される。ヒーター13a、13bによって加熱された処理液の温度は温度計15aによって計測される。制御部55は温度計15aから温度計15aが計測した温度を取得し、取得した温度に基づいて、ヒーター13c、13dの温度を制御する。ヒーター13c、13dによって加熱された処理液は、その温度が温度計15bによって計測されてから、循環配管22aを介して第2タンク12bに返送される。温度計15bによって計測される処理液の温度が、基板Wの処理に適した温度範囲内を示すまでの間、このような循環が繰り返されて処理液の温度調整が実行される。さらに、温度調整が実行されている間も、図8を参照して説明した処理液の作製が継続される。
【0068】
図10は、処理液の作製時における基板処理装置1aの配管動作の一例を示す第3の図である。第2タンク12bに貯留される処理液の温度が基板Wの処理に適した温度範囲に調整されており、かつ、第2タンク12bに貯留される処理液の液面高さが「定量」に達すると、第2タンク12bから第1タンク12aへの処理液の供給が開始される。まず、開閉弁31c1が閉弁されるとともに開閉弁31e1が開弁されることで、第2タンク12bから第1タンク12aへの処理液の流路が確保される。その後、ポンプ14aによって第2タンク12bに貯留される処理液が供給管21aを介して第1タンク12aへ圧送される。なお、供給管21aに設けられたヒーター13a、13b、13c、13dは、第1タンク12aへ圧送される処理液が基板Wの処理に適した温度範囲から逸脱しないように制御される。
【0069】
図11は、処理液の作製時における基板処理装置1aの配管動作の一例を示す第4の図である。第1タンク12aにおいて処理液の液面高さが定量に達するまでの間に、第1タンク12aに貯留される処理液の温度が低下することがある。そこで、基板処理装置1aでは、第1タンク12aに貯留される処理液の液面高さが「下限」を超えると、第1タンク12aにおいて処理液の温度調整が行われる。この温度調整では、第1タンク12aに貯留される処理液が、ポンプ14bによって供給管21bに圧送される。供給管21bに圧送された処理液は、ヒーター13eによって加熱される。ヒーター13eによって加熱された処理液は、管路途中21p2において、そのまま供給管21b内を管路途中21p3に向けて流れる流れと、循環配管22bに流入する流れとに分かれる。管路途中21p3に向けて流れる処理液は、管路途中21p3において返送管21b1に流入し、第1タンク12aに返送される。また、循環配管22bに流入した処理液は、濃度計16によって処理液中の所定成分の濃度が計測されてから第1タンク12aに返送される。
【0070】
図12は、処理液の作製時における基板処理装置1aの配管動作の一例を示す第5の図である。第2タンク12bからの処理液の供給により、第1タンク12aに貯留される処理液の液面高さが定量に達すると、第2タンク12bから第1タンク12aへの処理液の供給が停止される。具体的には、開閉弁31e1が閉弁されて第2タンク12bから第1タンク12aへの処理液の流路が閉塞されるとともに、開閉弁31c1が開弁されて循環配管22aから第2タンク12bへの流路が確保される。第2タンク12bにおいては、図9を参照して説明した処理液の温度調整と処理液の作製が実行される。また、第1タンク12aにおいては、図11を参照して説明した処理液の温度調整が実行される。
【0071】
図13は、処理液の作製時における基板処理装置1aの配管動作の一例を示す第6の図である。図13では、図12で説明した、第1タンク12aにおける温度調整と、第2タンク12bにおける温度調整および処理液の作成とによって、第1タンク12aおよび第2タンク12bのいずれもが処理液の温度調整を終えるとともに、貯留される処理液の液面高さが定量に達した状態が例示されている。第1タンク12aおよび第2タンク12b
に貯留される処理液の濃度は初期濃度に調整されており、初期濃度は、例えば、43%である。図13に例示される状態において、第1タンク12aおよび第2タンク12bに貯留される処理液の量がいずれも定量に達しており、処理液の温度および濃度がいずれも処理に適した範囲内になっている。そのため、図13に例示される状態は、基板Wの処理を開始する準備が整った状態ということができる。
【0072】
<処理実行時>
図14から図19は、基板Wに対する処理を行う基板処理装置1aの配管動作の一例を示す図である。以下、図14から図19を参照して、基板Wに対する処理を行う基板処理装置1aの配管動作の一例について説明する。
【0073】
図14は、基板Wに対する処理を行う基板処理装置1aの配管動作の一例を示す第1の図である。図14において、第1タンク12aに貯留される処理液は、供給管21bを介して処理チャンバー11に供給される。処理チャンバー11は、第1タンク12aから供給された処理液を吐出口112から基板Wに対して吐出して処理を実行する。処理チャンバー11による処理に用いられた処理液は、回収管23を介して第2タンク12bに返送される。そのため、処理チャンバー11における処理が継続されると、第1タンク12aに貯留される処理液の液面は低下する。そこで、第1タンク12aに貯留される処理液の液面高さが定量を下回ると、第2タンク12bから第1タンク12aへの処理液の供給が開始される。具体的には、開閉弁31e1が開弁されて第2タンク12bから第1タンク12aへの処理液の流路が確保される。ポンプ14aが第2タンク12bに貯留される処理液を第1タンク12aへ供給管21aを介して圧送する。なお、第2タンク12bに貯留される処理液の液面高さが下限を下回っている場合は、第2タンク12bから第1タンク12aへの処理液の供給は実行されない。このような場合の処理は、後述される。
【0074】
図15は、基板Wに対する処理を行う基板処理装置1aの配管動作の一例を示す第2の図である。図15では、上記した濃度制御の一例が示される。上記の通り、基板Wの処理が継続されると、処理液中の所定成分の濃度が変化する。そこで、基板Wの処理枚数に応じて所定量の薬液が薬液供給源18から第2タンク12bに供給され、第2タンク12bから第1タンク12aに当該処理液が供給されることで、処理に用いられる処理液の濃度の変化が抑制される。例えば、基板Wを25枚処理する毎に1Lの薬液が薬液供給源18から第2タンク12bに供給される。なお、薬液供給源18が供給する薬液の量は、例えば、処理チャンバー11から回収される処理液の量を考慮して決定されてもよい。具体的には、薬液供給源18が供給する薬液の量は、上記した式(1)および式(2)に基づいて決定されてもよい。
【0075】
図16は、基板Wに対する処理を行う基板処理装置1aの配管動作の一例を示す第3の図である。図16では、上記したレベル補充の一例が示される。薬液供給源18から第2タンク12bへ薬液の供給が行われても、第2タンク12bに貯留される処理液の液面高さが補充開始を下回る場合、開閉弁31b1を閉弁するとともに開閉弁31b2を開弁して薬液の供給に用いる配管を薬液供給管26aから薬液供給管26bに切り替える。また、開閉弁31aを開弁することで、純水供給源17aから第2タンク12bへ純水が供給されるようにする。すなわち、上記の通り、第2タンク12bに対して、初期濃度に調整された処理液が供給される。初期濃度に調整された処理液の供給は、第1タンク12aおよび第2タンク12bに貯留される処理液の液面高さが定量を示すまで継続される。なお、薬液供給源18が供給する薬液の量と純水供給源17が供給する純水の量との合計量は、例えば、処理チャンバー11から回収される処理液の量を考慮して決定されてもよい。具体的には、薬液供給源18が供給する薬液の量と純水供給源17が供給する純水の量との合計量は、上記した式(1)および式(2)に基づいて決定されてもよい。
【0076】
図17は、基板Wに対する処理を行う基板処理装置1aの配管動作の一例を示す第4の図である。図17では、上記した濃度制御の一例が示される。基板Wの処理を継続すると、時間の経過とともに、処理液構成成分の蒸発、分解等によって処理液の濃度が低下する場合がある。図15に例示した薬液の供給を行っても第1タンク12aに貯留される処理液の濃度が低下する場合、開閉弁31dを開弁して、処理液が所定量(例えば、3L)ドレインされる。ドレインした処理液の量は、例えば、積算流量計33cによって管理される。ドレインを行っている間は、処理チャンバー11への処理液の供給は停止され、処理チャンバー11による基板Wへの処理も停止される。さらに、第2タンク12bから第1タンク12aへの処理液の供給は停止され、第2タンク12bにおいては、処理液の温度調整が実行される。
【0077】
図18は、基板Wに対する処理を行う基板処理装置1aの配管動作の一例を示す第5の図である。図18では、上記した濃度制御の一例が示される。図17に例示するように、処理液のドレインが実行されると、第1タンク12aに貯留される処理液の量が減少する。処理液の量が減少した結果、第1タンク12aに貯留される処理液の液面高さが定量を下回ると、第2タンク12bから第1タンク12aに処理液が供給される。さらに、ドレインした量と同量(例えば、3L)の薬液が薬液供給源18から第2タンク12bに供給される。
【0078】
図19は、基板Wに対する処理を行う基板処理装置1aの配管動作の一例を示す第6の図である。図19では、上記した濃度制御の一例が示される。基板Wの処理を継続すると、処理液中の水分が時間とともに蒸発し、処理液中の所定成分の濃度が上昇することがある。所定成分の濃度が上昇した場合には純水スパイクタンク17bから適量(例えば、100ml)の純水を第2タンク12bに供給し、所定成分の濃度を低下させる。この制御により、処理液中の所定成分の濃度の変化が抑制される。また、一回で供給する純水量を規定しているため、処理液中の所定成分の濃度が許容範囲内より低くなることもない。
【0079】
<実施例の作用効果>
実施例では、第2タンク12bには、薬液供給源18から供給される薬液を純水供給源17aから供給される純水によって希釈した処理液が貯留される。希釈された処理液が用いられることで、薬液をそのまま処理液として使用する場合よりも処理液の再利用に伴う濃度の低下が緩やかになる。また、処理液における所定成分の濃度が低いため、少量の薬液の供給によって第2タンク12bに貯留される処理液の濃度を高めることができる。濃度の低下が緩やかであり、かつ、少量の薬液の供給で濃度を高めることができるため、実施例によれば、濃度制御で使用する処理液の量を低減することができる。
【0080】
実施例では、第1タンク12aに接続される循環配管22bに濃度計16が設けられる。第1タンク12aは、処理チャンバー11に供給する処理液が貯留されるため、循環配管22bに濃度計16が設けられることで、処理チャンバー11に供給される処理液の濃度を高精度に計測することが可能である。
【0081】
実施例では、配管廃液管27は循環配管22bに接続される。濃度計16が示す濃度が処理に適した濃度範囲を下回った場合に、配管廃液管27から所定量の処理液を排出するとともに、薬液供給源18が所定量の薬液を第2タンク12bに供給する。薬液が供給される供給先が第1タンク12aではなく第2タンク12bであるため、第1タンク12aにおける処理液の濃度や温度の急激な変化が抑制される。
【0082】
実施例では、純水供給源17aは、濃度計16が示す濃度が処理に適した濃度範囲を上回った場合に、純水を第2タンク12bに供給する。純水が供給される供給先が第1タンク12aではなく第2タンク12bであるため、第1タンク12aにおける処理液の濃度
や温度の急激な変化が抑制される。
【0083】
実施例では、第2タンク12bと第1タンク12aとを接続する供給管21aには、ヒーター13a、13b、13c、13dが設けられ、第1タンク12aと処理チャンバー11とを接続する供給管21bにはヒーター13eが設けられる。ヒーター13a、13b、13c、13dが処理液に与える熱量は、ヒーター13eが処理液に与える熱量よりも大きい。そのため、第2タンク12bにおける温度調整においてはより短時間で処理に好適な温度に処理液の温度を調整できるとともに、第1タンク12aから処理チャンバー11に処理液を供給する際には、ヒーター13eによって処理液の温度が微調整される。そのため、処理液をより短い時間で処理に好適な温度に調整できるとともに、処理チャンバー11に供給される処理液の温度を高精度に制御できる。
【0084】
実施例では、供給管21a設けられる複数のヒーター13a、13b、13c、13dにおいて、ヒーター13a、13bが処理液を加熱する温度は、ヒーター13c、13dよりも高く設定される。ヒーター13bとヒーター13cとの間及びヒーター13dよりも第2タンク12b側には、それぞれ温度計15a、15bが設けられており、供給管21a内を流れる処理液の温度が計測される。制御部55は、温度計15aの計測結果に基づいて、ヒーター13c、13dの温度を制御する。すなわち、ヒーター13a、13bによって処理液の温度が大まかに調整された後、ヒーター13c、13dによって処理液の温度が微調整されることで、処理液の温度制御の精度を高めることができる。
【0085】
実施例では、薬液供給源18、純水供給源17aおよび純水スパイクタンク17bによる供給先は第2タンク12bである。第2タンク12bに貯留される処理液は、濃度および温度が調整されてから第1タンク12aに供給される。そのため、第1タンク12aにおいて、薬液供給源18、純水供給源17aまたは純水スパイクタンク17bからの供給による処理液の濃度や温度の変化が抑制される。
【0086】
以上で開示した実施形態や実施例はそれぞれ組み合わせる事ができる。
【0087】
<<コンピュータが読み取り可能な記録媒体>>
コンピュータその他の機械、装置(以下、コンピュータ等)に上記いずれかの機能を実現させる情報処理プログラムをコンピュータ等が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。そして、コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0088】
ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、Compact Disc Read Only Memory(CD-ROM)、Compact Disc - Recordable(CD-R)、Compact Disc - ReWriterable(CD-RW)、Digital Versatile Disc(DVD)、ブ
ルーレイディスク(BD)、Digital Audio Tape(DAT)、8mmテープ、フラッシュメモリなどのメモリカード等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスクやROM等がある。
【符号の説明】
【0089】
1、1a・・・基板処理装置
11・・・処理チャンバー
111・・・テーブル
112・・・吐出口
113・・・壁
12・・・タンク
121・・・液面センサ
12a・・・第1タンク
12b・・・第2タンク
13、13a、13b、13c、13d、13e・・・ヒーター
15・・・濃度計
16・・・温度計
17、17a・・・純水供給源
17b・・・DIWスパイクタンク
18・・・薬液供給源
21・・・供給管
21b1・・・返送管
22・・・循環配管
23・・・回収管
24・・・タンク廃液管
25、25a・・・純水供給管
26、26a、26b・・・薬液供給管
27・・・配管廃液管
33a、33b、33b1、33b2・・・瞬時流量計
23a、112a・・・積算流量計
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図18
図19