(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】包装袋ストッカー
(51)【国際特許分類】
B65B 43/18 20060101AFI20221018BHJP
B65H 1/30 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
B65B43/18
B65H1/30 320
(21)【出願番号】P 2018147602
(22)【出願日】2018-08-06
【審査請求日】2021-06-11
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1)展示会名;FOOMA JAPAN 2018 国際食品工業展 2)開催日;平成30年6月12日-15日 3)主催;一般社団法人 日本食品機械工業会 4)開催場所;東京ビッグサイト
(73)【特許権者】
【識別番号】000142850
【氏名又は名称】株式会社古川製作所
(72)【発明者】
【氏名】隅田 幸雄
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-151018(JP,A)
【文献】特開平03-069418(JP,A)
【文献】特開昭60-248520(JP,A)
【文献】特開昭59-103815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 43/00
B65B 57/00
B65H 5/00
B65H 1/00- 3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マシニングボックス上に多量の包装袋をストックする多段の棚設備を備え、包装作業を行っている包装機に包装袋を供給するための包装袋ストッカーであって、前記包装袋ストッカーは、回転軸の軸心を中心として回転する回転カラムと、この回転カラムの側面から径外方向へ
各々独立して延出し、かつ前記回転カラムの側面に多段に設けられ、前記包装袋の袋束を載置する棚と、前記多段の棚を備えた前記回転カラムを回転駆動する回転駆動機構と、を備え、
前記棚は、基板の両側に側板を備えたチャネル材状に形成され、各基板の後端部に挿通穴が形成され、複数の前記挿通穴に一枚の長尺な規制板が挿通されると共に、包装袋の長さ方向のサイズに合わせて前記規制板が基板の前後方向に移動可能に固定され、
チャネル材状の棚の基板は、長手方向中央で二分割されて棚が各部の二つに分かれ、縦方向の一列の各部は、連結片で連結され、縦方向の一列全体の各部が一体に横方向にスライドして、棚を包装袋の幅寸法に合わせることが可能である、
ことを特徴とする包装袋ストッカー。
【請求項2】
最下段の棚に載置された包装袋の有無を検知する検知手段を備えたことを特徴とする
請求項1に記載の包装袋ストッカー。
【請求項3】
マシニングボックスには、包装袋ストッカーの進行方向を操作する操舵輪と、包装袋ストッカーに推進力を与える駆動輪とを備え、制御装置の指示によって、
作業領域と作業領域外との間を自動操縦により自走する、ことを特徴とする請求項1に記載の包装袋ストッカー。
【請求項4】
棚の外周部に、棚に
積層して載置された袋
束のコンディションを調整する、エアーを噴射するためのエアーブロー装置を設け、
前記エアーブロー装置は、イオンを噴射して袋の静電気を除去する機構、袋の間にエアーを吹き込んで袋束をほぐす機構の何れか又はこれらを組み合わせた機構を備えたことを特徴とする、請求項1に記載の包装袋ストッカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、多軸ロボット型のハンドリングロボット装置を用いて、ロータリー包装機等に包装袋を供給する包装袋ストッカーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なロータリー包装機は、回転するロータの外周縁部に一対のクランプアームを複数組備え付け、包装袋供給装置から吸着手段で吸着した包装袋を受渡し装置で前記一対のクランプアームに受け渡し、回転移送しながら被包装物を充填した後、袋口をシールして機外に搬出して包装が完了する。
【0003】
図17は、特許文献1の包装袋供給装置の一例を示す側面図である。この包装袋供給装置1は、送り方向後方へ傾倒するように縦列に並べた包装袋Pを載置する丸ベルトコンベア3と、前記丸ベルトコンベア3を駆動する駆動ローラー4と、前記丸ベルトコンベア3の上方に設置した繰り出し装置5と、前記丸ベルトコンベア3の送り方向前方に設置されたストッパ6とを備えている。
【0004】
前記包装袋供給装置1は、前記丸ベルトコンベア3に載置された包装袋Pの袋群を上方から前記繰り出し装置5の繰り出しベルト7で押圧し、上下から前記両ベルト3,7で挟んで、前記両ベルト3,7の回転によって前記包装袋Pが前記ストッパ6に当接するまで搬送される。
【0005】
吸着手段8は、前記包装袋供給装置1に載置された最上位の包装袋Pを吸着する下降位置と、吸着した包装袋Pを前記受渡し装置(図示せず)に受け渡す上昇位置とを、上下動する。吸着手段8が上昇した位置で受け渡し装置により、ロータリー包装機の一対のクランプアームに包装袋Pを受け渡す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記従来の包装袋供給装置1は、丸ベルトコンベア3上に載置した包装袋Pの枚数が少なくなると、作業者が新しい包装袋Pを丸ベルトコンベア3上に載置して袋束を平らにならす作業を行っている。しかし、前記従来の袋供給装置1は丸ベルトコンベア3上に載置できる数量が限られている。このため、作業者は絶えず包装袋Pを包装袋供給装置1に供給しなければならず作業者の作業負担が大きいという問題点があった。
【0008】
このような問題点を改良するため、ハンドリングロボット装置を用いて自動的に包装袋を包装袋供給装置に供給できる包装袋供給システムも考えられるが、包装袋をストックする包装袋ストッカーの収納量が少なければ、頻繁に包装袋ストッカーの交換ないしは袋の供給作業をしなければならず、作業者の負担軽減や包装作業の自動化、省力化は期待できない。そこで、この発明は包装袋を多量にストックできる包装袋供給システム用の包装袋ストッカーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の包装袋ストッカーは、マシニングボックス上に多量の包装袋をストックする多段の棚設備を備え、包装作業を行っている包装機に包装袋を供給するための包装袋ストッカーであって、前記包装袋ストッカーは、回転軸の軸心を中心として回転する回転カラムと、この回転カラムの側面から径外方向へ各々独立して延出し、かつ前記回転カラムの側面に多段に設けられ、前記包装袋の袋束を載置する棚と、前記多段の棚を備えた前記回転カラムを回転駆動する回転駆動機構と、を備え、
前記棚は、基板の両側に側板を備えたチャネル材状に形成され、各基板の後端部に挿通穴が形成され、複数の前記挿通穴に一枚の長尺な規制板が挿通されると共に、包装袋の長さ方向のサイズに合わせて前記規制板が基板の前後方向に移動可能に固定され、
チャネル材状の棚の基板は、長手方向中央で二分割されて棚が各部の二つに分かれ、縦方向の一列の各部は、連結片で連結され、縦方向の一列全体の各部が一体に横方向にスライドして、棚を包装袋の幅寸法に合わせることが可能である、ことを特徴とする。
【0010】
この、包装袋ストッカーは、包装袋の袋束が複数段の棚のそれぞれに収納されるので、包装袋ストッカー全体としては非常に多くの包装袋を収納できると共に、包装袋のサイズを変更した場合でも棚を包装袋の寸法に合わせることができる。
【0011】
また、最終段の棚が空になれば回転駆動機構により棚設備が間歇回転し、それにより新しい列の棚がハンドリングロボット装置等の受け渡し装置と対面するので、継続して包装袋の袋束が供給できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の包装袋ストッカーによって、多量の包装袋をストックすることが可能となるので 、包装機に対して長時間の包装袋の供給が可能となり、従来の包装袋供給装置に比べて自動化、省力化が図れると共に、包装袋のサイズの変更にも対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の包装袋ストッカーの使用状態の平面図
【
図2】本発明のハンドリングロボット装置と包装袋ストッカーの側面図
【
図11】本発明の包装袋ストッカーの他の実施例の平面図
【
図12】本発明の包装袋ストッカーの他の実施例の正面図
【
図13】本発明の包装袋ストッカーのさらに他の実施例の平面図
【
図14】本発明の包装袋ストッカーのさらに他の実施例の左側面図
【
図15】静電気除去機構を備えた前記他の実施例の部分拡大正面図
【
図16】エアーノズルを備えた前記他の実施例の部分拡大右側面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1はロータリー包装機と本発明の包装袋ストッカーを備えた包装袋供給システムの使用状態平面図、
図2は包装袋供給システムの側面図である。先ず、
図1、
図2及び他の図面を用いてロータリー包装機及び包装袋供給システムについて簡単に説明する。前記ロータリー包装機10は、円形のロータ11の周縁に一対のクランプアーム12が支持され、各クランプアーム12は、それぞれの先端に包装袋Pを挟持するクランプ13を備え、前記ロータ11の各セクションで包装作業を行う。
図1のロータリー包装機10は、ロータ11の周方向に包装作業を行うセクションが割り振られており、この実施例のロータリー包装機10では10セクションに均等に割り振られている。なお、本発明の包装袋ストッカー30はロータリー包装機10用に限定されるものではない。
【0015】
ロータ11の外周に記載する数字の(1)は袋供給セクション、(2)は印字セクション、(3)は袋開口セクション、(4)は充填セクション、(5)はタッピングセクション、(6)は袋閉じセクション、(7)は脱気セクション、(8)はシールセクション、(9)は冷却セクション、(10)は搬出セクションである。
【0016】
包装袋供給システムは、包装袋供給装置1と、ハンドリングロボット装置20と、包装袋ストッカー30とから構成されている。先ず、包装袋供給装置1と、ハンドリングロボット装置20について簡単に説明する。包装袋供給装置1は、ロータリー包装機10に包装袋Pを供給する装置であって、前記背景技術で記載した従来の構成と基本的に同じである。即ち、包装袋供給装置1は、送り方向後方へ傾倒するように縦列に並べられた包装袋Pを載置する丸ベルトコンベア3と、前記丸ベルトコンベア3を駆動する駆動ローラー4と、前記丸ベルトコンベア3の上方に設置された繰り出し装置5と、前記丸ベルトコンベア3の送り方向前方に設置されたストッパ6とを備えている。
【0017】
前記包装袋供給装置1の作用も、丸ベルトコンベア3に並べられた包装袋Pの袋群が、上方から前記繰り出しベルト7に押圧され、上下から前記両ベルト3,7に挟まれた状態になり、前記両ベルト3,7の回転によって前記包装袋Pが前記ストッパ6に当接するまで搬送され、丸ベルトコンベア3の先端部の包装袋Pが受け渡し装置によりロータリー包装機10のクランプ13に受け渡される。
【0018】
ハンドリングロボット装置20は、包装袋ストッカー30から包装袋Pの袋束P1を取り出して、前記包装袋供給装置1に受け渡す装置である。前記ハンドリングロボット装置20は、多関節のアーム機構21を備えている。
図1、
図2に示すハンドリングロボット装置20は、既に公知の6軸ロボットを用いており、作業場の床に基台22が立設し、この基台22の上部にベース部23を備え、このベース部23上にアーム機構21を備え、アーム機構21の先端にツール部24を備えている。
【0019】
アーム機構21の先端のツール部24には、包装袋ストッカー30の棚32の袋束P1を把持し、アーム機構21によって前記丸ベルトコンベア3の上流側に載置するフィンガー部25と、前記丸ベルトコンベア3上流側に載置した袋束P1を上方から振動を与えつつ、丸ベルトコンベア3の下流側にならしながら、丸ベルトコンベア3上の既にある袋群の後列部に潜り込ませる振動部26とを備えている。
【0020】
次に、本発明の包装袋ストッカー30について説明する。包装袋ストッカー30は、
図1に示すように前記ハンドリングロボット装置20のアーム機構21の旋回範囲内に設置され、ハンドリングロボット装置20を介して前記包装袋供給装置1に供給する袋束P1を多量にストックする。包装袋ストッカー30は、回転軸の軸心を中心として間歇回転又は通常に回転する回転カラム31と、回転カラム31に設けられた多段の棚32とからなる棚設備と、前記棚設備を回転する回転駆動機構33と、から構成されている。
【0021】
回転カラム31は、ステンレス等で出来た四角形状の柱体であって、この柱体の各面の幅は前記の棚32の後端面42が取り付けられるに十分な幅を有しており、高さは棚32を設定する段数に応じて決められる。具体的には、包装作業を行う包装袋Pの必要枚数に応じて決定される。前記回転カラム31の下端部は、前記回転駆動機構33の駆動伝達機構34の回転軸に取り付けられ、水平に配置された駆動モータ35の回転力が駆動伝達機構34を介して前記回転軸に伝達され、回転カラム31および棚32が回転する。なお、回転カラム31の上端部は、包装袋ストッカー30の天板36に支持軸37を介して支持され、回転カラム30の回転がぶれないように構成されている。
【0022】
前記回転カラム31の側面から径外方向(水平方向)へ棚32が延出し、かつ回転カラム31に対し軸心方向(上下方向)に、多段な棚(
図4-
図6では10段)32が設けられている。即ち、この実施例では、多段な棚32が回転カラム31の四面の各面に沿って、90度の角度で設けられ、平面視において
図7に示されているように十文字状を呈している。
【0023】
多段に設けられたそれぞれの棚32は、
図8に示すように包装袋Pの袋束P1を載置する基板38と、前記基板38の両側に立設する側板39とを有するチャンネル材状に形成され、
図7に示すように基板38の先端部に取り出し用の切り欠き部40が形成され、袋束P1が入れやすいように側板39の先端片41は外側に折り曲げられている。
【0024】
棚32の後端面42が回転カラム31の側面にボルト43で固定され、棚32全体が水平に保持されている。さらに、
図7に示すように、棚32の基板38の後端部に大きな長方形の挿通穴44が形成されており、縦方向の一列の棚(
図4-
図6では10段)32の前記挿通穴44に、一枚の長尺な規制板45が挿通されて移動可能に固定されている。この規制板45は、以下に説明するように、包装袋Pのサイズを変更する場合に使用する。
【0025】
規制板45の下端部は、回転カラム31の下部に取り付けられた下板46で支持され、上部は回転カラム31の上板47で支持され、前記上板47をハンドルネジ48で回転カラム31の上端面に止めて、規制板45を固定する。この規制板45と側板39とにより、棚32に載置された袋束P1の形が崩れないように規制している。包装袋Pの長さ方向のサイズを変更する場合は、ハンドルネジ48を回して上板47を外し、規制板45を棚32の手前か奥側(基板38の前後方向)に移動させて包装袋Pのサイズに合わせた後、規制板45を上板47で上から支持して、前記上板47をハンドルネジ48で回転カラム31に締め付けて、規制板45を固定する。
図8(A)は規制板45の上端部を示しており、仮想線で示す規制板45から実線で示す規制板45の間の移動を可能にし、この移動距離だけ袋サイズを変更することができる。
【0026】
図8(A)(B)の棚32は、幅方向の寸法を変更できる構造ではない。このように棚32は、幅方向の寸法を変更できないものであってもよいが、変更できる方が好ましい。
図9は、その幅方向の寸法を変更することができる構造の他の一例を図示している。回転カラム31には、支持板49が棚32の数だけ水平方向に固定され、チャンネル材状の棚32を支持している。棚32の基板38は、長手方向中央で裁断されて二分割され、棚32が各部32aの二つに分かれている。前記支持板49に長孔50が形成され、前記長孔50に前記基板38の底部から下方に突出するピン51を嵌め込んで、二分割された各部32aが長孔51に沿って基板38の幅方向に移動できるよう構成されている。
【0027】
棚32の各部32aの後端面42にも長孔52が形成され、長孔52に回転カラム31から突出するピン53が嵌め込まれており、二分割された棚32の各部32aが長孔52に沿って移動できるよう構成されている。なお、縦方向の一列の各部32aは、連結片32bで連結されており、縦方向の一列全体の各部32aが一体に横方向(基板38の幅方向)にスライドでき、幅変更作業を容易にしている。スライドした後の各部32aは、図示していない一か所又は二か所程度の固定手段により全体の各部32aを一体的に固定する。このように構成することにより、
図9の左右方向に各棚32の各部32aが一体にスライドして棚32を包装袋Pの幅寸法に合わせることができる。
【0028】
図10は
図4の部分拡大図である。この
図10に示すように、多段の棚32の下部には、棚32の基板38の下方から上方に向けて赤外線等の光線Rを照射することにより最下段の棚32に載置された包装袋Pの有無を検知する検知手段が設けられている。具体的には、マシニングボックス54上に、赤外線の投光器55が取り付けられ、この投光器55の光を透過させる貫通孔56が最下段の棚32の基板38に形成されている。前記貫通孔56を透過した光線Rを反射する反射板57が一段上の棚32の基板38の裏面に貼り付けられ、この反射板57から帰ってくる光線を投光器55の受光部で検知して最下段の棚32の包装袋Pの有無を検知する。なお、包装袋Pを検知する検知手段は赤外線センサーや光センサーに限定されるものではなく、近接センサーやリミットスイッチのようなものでもよい。
【0029】
図3において、符号58は、包装袋ストッカー30の周囲を覆う安全カバーを示している。この安全カバー58は、マシニングボックス54の外周縁のハンドリングロボット装置20の旋回範囲外に設置されている。ハンドリングロボット装置20が袋束P1を取り出す面と対向する面に安全カバー58の開閉扉59が設けられ、この開閉扉59には取っ手59aが取り付けられている。この開閉扉59を開放することにより、必要に応じ棚32に袋束P1を供給できるようになっている。なお、開閉扉59には、安全装置60が設けられ(
図6参照)、開閉扉59が解放されている間は回転カラム31の回転およびハンドリングロボット装置20の動作が停止する。
【0030】
図4-
図6において、符号61はキャスターを示し、ハンドリングロボット装置20による作業領域から作業領域外へ、逆に、作業領域外から作業領域内へ包装袋ストッカー30を移動させるためのものである。したがって、包装袋Pの供給の必要に応じ新たな包装袋ストッカー30に交換することが可能となる。なお、図中の符号62は、アジャスターであって、包装袋ストッカー30を安全のため固定できるようになっている。
【0031】
次に、上記実施例における包装袋ストッカー30の作用について説明する。包装袋ストッカー30がハンドリングロボット装置20のアーム機構21の旋回範囲内に設置してあり、包装袋ストッカー30の多段な棚32に平袋やガセット袋等の袋束P1が充填されている。
図7に示した包装袋ストッカー30の場合、多段の棚32は、回転カラム31の周囲に縦方向に4列設けられ、また各一列の棚32は10段であるので、棚32に載置される袋束P1が一束100枚とすると全部で100枚×10段×4列で4000枚の包装袋Pがセットできる。
【0032】
全部の棚32に袋束P1を充填し終わったら、開閉扉59を閉めてスタートスイッチ63を押して包装作業を開始する。ハンドリングロボット装置20のアーム機構21の先端のフィンガー部25で、前記棚32の最上段の袋束P1を把持し、アーム機構21によって前記丸ベルトコンベア3の上流側上に載置する。各棚32の先端部には切り欠き部40が形成されているので、ハンドリングロボット装置20のフィンガー部25は袋束P1を容易に掴むことができる。振動部26で包装袋供給装置1の丸ベルトコンベア3上流側上に載置した袋束P1を上方から振動を与えつつ平らに均しながら、丸ベルトコンベア3上の袋群の後列部に潜り込ませる。
【0033】
このようにして、最上段の棚32から最下段の棚32へと袋束P1を掴み出して丸ベルトコンベア3へ供給していくが、最下段の棚32から袋束P1を掴み出すと、
図10に示すように、それまで袋束P1で遮断されていた投光器55からの光が、貫通孔56を透過し、下から二段目の棚32の裏面に設けられた反射板57に至り、反射されて投光器55に入射され、最下段の棚32に袋束P1が無くなったことを制御装置が認識する。
【0034】
以上のようにして、制御装置が縦一列の棚32全体から袋束P1がなくなったと判断すると、制御装置からの制御信号により、回転駆動機構33で棚設備を90度回転し、新しい列の棚32がハンドリングロボット装置20に対面するようにする。このようにして、袋束P1が包装袋供給装置1及びロータリー包装機10に順次供給される。なお、中途で袋束P1の供給が必要になった場合は、安全カバー58に設けた開閉扉59を開けると、安全装置60が作動してハンドリングロボット装置20および包装袋ストッカー30の回転駆動機構33が停止するので、各棚32に新たに袋束P1を随時供給することもできる。なお、その間、包装袋供給装置1及びロータリー包装機10は包装作業を継続する。
【0035】
上記包装袋ストッカー30の例として四角柱状の回転カラム31の周囲に90度間隔で縦四列にわたって10段の棚32を設けた場合を示したが、本発明はこのような構成に限定されるもではない。例えば、
図11に示すように六角形状の回転カラム31に六列にわたって棚32を設けたものや八角形状の回転カラム31に八列にわたって棚32を設けたものであってもよく、その列の数は限定されない。この実施例の回転カラム31の回転角度はそれぞれの棚32の列に応じて設定が変更されることは言うまでもない。その他の構成として、円形の回転カラムの外周に多数の棚を螺旋状に設けてもよい。なお、
図11の包装袋ストッカー30の棚32の構成は、前記実施例の棚32の構成と同じである。同一の構成は、同一符号を付すことにより詳細な説明は省略する。
【0036】
図12は、さらに別の自走式の包装袋ストッカー30の実施例を示している。前記実施例では、マシニングボックス54の底部の四隅にキャスター61を取り付けて、作業者が包装袋ストッカー30を移動できるように構成していたが、
図12の包装袋ストッカー30は、制御装置により包装袋ストッカー30が自動操縦により所定の位置に自走できるように構成している。即ち、
図12の実施例では、マシニングボックス54の底部の前方に操舵輪64が設けられ、後方に駆動輪65が設けられている。
【0037】
前方の操舵輪64は、包装袋ストッカー30の進行方向を変える車輪である。この操舵輪64の上部のボックス66にサーボモータが格納されており、制御装置からの指示により、操舵輪64を操縦して所定の場所に包装袋ストッカー30を自動制御で移動できるようになっている。後方の駆動輪65は、包装袋ストッカー30に推進力を与える車輪であり、ギャーとモータの組合せからなる推進機構67により回転し、包装袋ストッカー30を移動させる。
【0038】
この実施例では、袋束P1を棚32に満杯にした包装袋ストッカー30を複数台準備しておき、制御装置が包装袋ストッカー30に袋束P1が無くなったと判断すると、マシニングボックス54内の制御装置に指令を与え、空の包装袋ストッカー30を待機位置に移動させた後、待機位置に待機していた満杯の包装袋ストッカー30を
図1に示す作業位置まで移動させ、新しい包装袋ストッカー30に入れ替える。このように複数の包装袋ストッカー30を準備しておけば、昼夜の自動包装作業が可能となる。
【0039】
次に、棚32に載置した袋Pのコンディションを調整するためのエアーブロー装置70を装備した他の実施例について説明する。
図13は、前記エアーブロー装置70を装備した本発明の包装袋ストッカー30を示す平面図、
図14は左側面図である。通常、プラスチック製の袋Pは静電気を帯びたり表面がウエットな状態になる場合がある。袋Pが静電気を帯びたりウエットな状態になると、包装袋供給装置1の袋Pを吸着手段8で吸着する際に、袋P同士が分離しづらくなって吸着手段8による吸着ミスが発生することがある。さらに、袋Pは自然にカールしたり、反ったりすることがあるが、袋Pがカールしたり反ったりする場合も吸着ミスが発生するおそれがある。この他の実施例では、前記のような問題点を解決するために、吸着に適した袋Pのコンディションに調整するためのエアーブロー装置70を装備している。前記エアーブロー装置70は、静電気を除去する機構、袋Pの袋束P1をほぐす機構、袋のカールや反り等の歪みを除去する機構の何れか又はこれらを組み合わせた機構を備えている。
【0040】
図13~
図15の符号71は、静電気を除去する静電気除去機構である。この静電気除去機構71は、コロナ放電を利用するタイプの除電器(イオナイザ)72であって、ファンタイプのものを用いている。コロナ放電は、高電圧を印加して電極針の先端部にコロナ放電を発生させ、ファンでイオンを拡散する。なお、静電気除去装置71は、コロナ放電を利用したものに限定されず、電離放射線を利用するものであってもよい。さらに、ファンタイプの他にノズルタイプ、ガンタイプのようなものであってもよい。
【0041】
前記静電除去機構71は、棚32の外周部の上下方向に、複数のファンタイプの徐電器72が支持体73に取り付けられている。前記実施例のように10段の棚32であれば、上下方向の棚32に対応させて10台の除電器72を支持体73に取り付けている。徐電器72は、設置位置、設置角度、ファンの風量等を調節して除電効果を発揮するようにする。なお、前記実施例では10段の棚32に対応させて徐電器72を10台設置した旨を記載したが、徐電器72の設置方法はかかる構成に限定されず、例えば、支持体を筒状とし、下端内部に除電器72を一台ないしは数台直列に設置し、筒状の支持体から棚32方向に設けたノズル(図示せず)からイオンを含んだエアーを噴射するようにしてもよい。
【0042】
図16の符号74は、袋Pの袋束P1をほぐしたり、袋のカールや反り等の歪みを除去するエアーノズルである。前記エアーノズル74から圧縮空気を噴射し、袋Pと袋Pの間にエアーを吹き込んで、静電気等により分離しづらくなった袋Pをほぐすことができる。さらに、エアーノズル74から温風を噴射して袋Pを加温することによりカールしたり、反ったりした袋Pの歪みを直すことができる。
【0043】
前記エアーノズル74は、先端側が細くなっており、袋束P1の一端に対向して配置されている。前記エアーノズル74は、棚32の外周部に立設する中空ダクト75の上下方向に等間隔に10個取り付けられている。なお、エアーノズル74は、中空ダクト75に固定しているが、ノズルが上下、左右方向に可動にしてもよい。前記通気ダクト75は、マシニングボックス54内のエアーコンプレッサ76と連通している。前記中空ダクト75とエアーコンプレッサ76とは、通気管77を介して連通しているが、通気管77の途中には加熱ヒータ78が設けられている。加熱ヒータ78は、エアーノズル74から温風を噴射して袋Pのカールや反り等の歪みを除去する場合に通電し、通気管77を流れるエアーを加熱する。なお、袋束P1をほぐすだけの場合は、エアーを加熱する必要がないので、加熱ヒータ78に通電せず、エアーだけを噴射する。
【0044】
次に、前記構成の使用状態について説明する。前記ロータリー包装機10による包装作業を行う前に、先ず、包装袋ストッカー30の多段の棚に袋束P1を全て補充する。その後、回転駆動機構33の駆動モータ35に電源を入れて棚32を回転すると同時に、静電除去機構71の除電器72に通電してイオンを発生させ、ファンで拡散し、袋束P1にイオンを吹き付ける。イオンを帯びたエアーを袋束P1に吹き付けることにより、袋束P1に帯電する静電気を除去する。一回の除電だけで不十分な場合は棚32を数回、回転して袋束P1の静電気を除去する。
【0045】
前記のように静電気除去機構71を起動させると同時に、エアーノズル74からも袋束P1にエアーを噴射する。静電気等で分離しづらくなった袋Pをほぐす場合は、加熱ヒータには通電せず、通常のエアーを袋P間に噴射して袋Pを分離する。袋Pにカールや反り等の歪みがある場合は、加熱ヒータ78に通電してエアーを加熱し、この加熱エアーを袋Pに噴射する。袋Pを加熱エアーで加熱することによって袋Pのカールや歪みが矯正できる。このエアー又は加熱エアーの噴射も1回だけでは不十分な場合は棚32を複数回、回転する。
なお、前記使用状態では、包装作業を行う前に袋Pの除電作業や矯正作業を行ったが、包装作業と同時に棚32ごとに行ってよい。即ち、棚32が間欠停止している間に前記のような袋Pの除電作業や矯正作業を間欠的に行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、ロータリー包装機に包装袋を連続的に供給する包装袋供給システムにおいて包装袋を多量にストックして包装作業の自動化、省力化が図れる。
【符号の説明】
【0047】
30 包装袋ストッカー
31 回転カラム
32 棚
33 回転駆動機構
34 駆動伝達機構
35 駆動モータ
38 基板
39 側板
44 挿通穴
45 規制板
54 マシニングボックス
55 投光器
56 貫通孔
57 反射板
64 操舵輪
65 駆動輪
67 推進機構
70 エアーブロー装置
71 静電気除去機構
72 除電器
74 エアーノズル
76 エアーコンプレッサ
77 通気管
78 加熱ヒータ