(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】錠剤粉砕機
(51)【国際特許分類】
B02C 18/12 20060101AFI20221018BHJP
B02C 18/16 20060101ALI20221018BHJP
B02C 18/18 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
B02C18/12
B02C18/16 Z
B02C18/18 Z
(21)【出願番号】P 2019054584
(22)【出願日】2019-03-22
【審査請求日】2021-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000151472
【氏名又は名称】株式会社トーショー
(74)【代理人】
【識別番号】100106345
【氏名又は名称】佐藤 香
(72)【発明者】
【氏名】大村 義人
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-177438(JP,U)
【文献】特開2004-290795(JP,A)
【文献】特開2012-065969(JP,A)
【文献】特開平07-204110(JP,A)
【文献】実開平06-038832(JP,U)
【文献】特開2001-309859(JP,A)
【文献】特開平11-346939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 13/00-13/31
B02C 18/00-18/38
A47J 43/04-43/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動の駆動部材を内蔵するとともに送受光部材を装備した本体部と、刃状部材を旋回可能に保持するとともに遮光部を有する光路進退部材を装備しており前記本体部に着脱可能であって前記本体部に装着されると前記刃状部材が前記駆動部材によって駆動される状態になるとともに前記光路進退部材が前記送受光部材の光路に臨む状態になる粉砕機構部と、錠剤を出し入れするための開口部を前記粉砕機構部に対して着脱しうる容器部と、前記本体部に組み込まれていて前記駆動部材の作動を前記送受光部材の遮光時には可能にするが受光時には抑制する安全手段とを備えた錠剤粉砕機において、
前記送受光部材が前記本体部に内装されており、前記粉砕機構部を前記本体部に装着すると前記光路進退部材の前記遮光部が前記本体部の上面開口から前記本体部の内部に進入するようになっており、前記光路進退部材が前記粉砕機構部に対して可動状態で装着されており、前記粉砕機構部に前記容器部を装着すると前記遮光部が前記光路の遮光位置に向けて付勢されるようになっており、前記粉砕機構部から前記容器部を外すと前記遮光部が前記遮光位置から外れる向きに付勢されるようになっていることを特徴とする錠剤粉砕機。
【請求項2】
電動の駆動部材を内蔵するとともに送受光部材を装備した本体部と、刃状部材を旋回可能に保持するとともに光路進退部材を装備しており前記本体部に着脱可能であって前記本体部に装着されると前記刃状部材が前記駆動部材によって駆動される状態になるとともに前記光路進退部材が前記送受光部材の光路に臨む状態になる粉砕機構部と、錠剤を出し入れするための開口部を前記粉砕機構部に対して着脱しうる容器部と、前記本体部に組み込まれていて前記駆動部材の作動の可否を前記送受光部材の受光状態に応じて選択する安全手段とを備えた錠剤粉砕機において、
前記光路進退部材が光反射部を具備したものであって前記粉砕機構部に対して可動状態で装着されており、
前記送受光部材が前記本体部に内装されており、前記粉砕機構部を前記本体部に装着すると前記光路進退部材の前記光反射部が前記本体部の上面開口から前記本体部の内部に進入するようになっており、前記粉砕機構部に前記容器部を装着すると前記光反射部が前記送受光部材の送受光を可能にする位置に向けて付勢されるようになっており、前記粉砕機構部から前記容器部を外すと前記光反射部が前記送受光部材の送受光を不可能にする位置に向けて付勢されるようになっており、前記安全手段が前記駆動部材の作動を前記送受光部材の受光時には可能にするがそれ以外のときには抑制するようになっていることを特徴とする錠剤粉砕機。
【請求項3】
前記本体部の上面に対する前記粉砕機構部の着脱に応じて前記本体部の前記上面開口を開閉する粉砕機構部当接板が前記本体部に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された錠剤粉砕機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、錠剤を粉砕して粉状にする錠剤粉砕機に関し、詳しくは、錠剤をそのままでは飲めない患者等でも飲むことができるように錠剤を砕く錠剤粉砕機に関する。
更に詳しくは、錠剤粉砕機を使用する者に係る安全対策に関する
【背景技術】
【0002】
錠剤粉砕機は(例えば特許文献1参照)、電動の駆動部材を内蔵した本体部と、刃状部材を旋回可能に保持した粉砕機構部と、粉砕対象の錠剤を収容しうる容器部とを備えたものであって、開口を上にした容器部に錠剤を投入してから、その上に粉砕機構部を装着すると、開口が塞がれて中に刃状部材と共に錠剤が封じ込められ、更に、それらを上下逆さにすると、容器部の中の錠剤が刃状部材の所へ落下し、それから、それらを逆さの姿勢のまま本体部の上に装着すると、駆動部材と刃状部材とが係合するようになっている。
【0003】
そして、その状態で駆動部材を作動させると、刃状部材が旋回して錠剤が次々に粉砕される。所定時間の経過や手動操作等に応じて駆動部材が停止した後は、容器部の透明部分等から中を見て粉砕状態を確認してから、逆順の操作を行う。
すなわち、本体部から粉砕機構部を取り外し、粉砕機構部と容器部とを上下反転させて粉状の元錠剤を容器部の内底に集め、それから粉砕機構部を容器部から取り外し、単体になった容器部から粉状の元錠剤を適宜な搬器等に移し替える。
【0004】
このような錠剤粉砕機の場合、容器部は可動部材を持たず、粉砕機構部は刃状部材という可動部材を持つがそれを作動させる駆動部材を持たず、容器部も粉砕機構部も電気が供給されるようになっていないうえ、刃状部材が旋回駆動される状態になる前に容器部と粉砕機構部とが連結されて刃状部材が内部に封じ込められる使い方で用いられ、而も薬剤師等の専門家が使用することが想定されているため、安全対策としては、本体部に送受光部材を設けるとともに粉砕機構部に遮光部材などの光路進退部材を設けて、本体部に対する粉砕機構部の着脱に応じて送受光が選択的に行われるようにしたうえで、受光の有無に応じて旋回駆動の可否制御を行う、といった比較的簡便な手法が取られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、使用器具など広範な事項に係る安全意識が高まる中、錠剤粉砕機についても安全性に関する意識が高まってきている。また、高齢化等に伴って錠剤粉砕機の使用が増えつつあり、家庭的・個人的に錠剤粉砕機が使用されることも思い浮かぶ。
そのため、錠剤粉砕機の使用時の安全性を今よりも高めることが検討課題になってきている。具体的には、本体部に対して粉砕機構部を装着済みという現行の第1条件に加えて、粉砕機構部に対して容器部を装着済みという新たな第2条件をも、刃状部材の駆動の開始要件に組み込むことが望まれる。
【0007】
もっとも、安全機能を強化してもコストアップは抑制したいので、調達や備蓄さらには生産体制や安全確保にも実績のある部材や手法などを継続使用するべく、本体部の送受光部材と粉砕機構部の光路進退部材との連携による旋回駆動の可否制御という謂わば送受光可否連携方式を粉砕機構部や容器部にも適用することが思い浮んでくる。
しかしながら、水洗い等が頻繁になされる粉砕機構部や容器部には、電気が供給されていないため、単純に上述の送受光可否連携方式を採用することはできない。しかも、単純に送受光可否連携方式の適用箇所を二カ所に増やせば該当部分の原価等も二倍になる。
そこで、粉砕機構部への容器部の装着も刃状部材駆動の開始要件に含まれる錠剤粉砕機を本体部の送受光可否連携方式の利用にて簡便に実現することが技術課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の錠剤粉砕機は(解決手段1)、このような課題を解決するために創案されたものであり、
電動の駆動部材を内蔵するとともに送受光部材を装備した本体部と、刃状部材を旋回可能に保持するとともに遮光部を有する光路進退部材を装備しており前記本体部に着脱可能であって前記本体部に装着されると前記刃状部材が前記駆動部材によって駆動される状態になるとともに前記光路進退部材が前記送受光部材の光路に臨む状態になる粉砕機構部と、錠剤を出し入れするための開口部を前記粉砕機構部に対して着脱しうる容器部と、前記本体部に組み込まれていて前記駆動部材の作動を前記送受光部材の遮光時には可能にするが受光時には抑制する安全手段とを備えた錠剤粉砕機において、
前記光路進退部材が前記粉砕機構部に対して可動状態で装着されており、前記粉砕機構部に前記容器部を装着すると前記遮光部が前記光路の遮光位置に向けて付勢されるようになっており、前記粉砕機構部から前記容器部を外すと前記遮光部が前記遮光位置から外れる向きに付勢されるようになっていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の錠剤粉砕機は(解決手段2)、上述した技術課題を高度に解決するために創案されたものであり、
電動の駆動部材を内蔵するとともに送受光部材を装備した本体部と、刃状部材を旋回可能に保持するとともに光路進退部材を装備しており前記本体部に着脱可能であって前記本体部に装着されると前記刃状部材が前記駆動部材によって駆動される状態になるとともに前記光路進退部材が前記送受光部材の光路に臨む状態になる粉砕機構部と、錠剤を出し入れするための開口部を前記粉砕機構部に対して着脱しうる容器部と、前記本体部に組み込まれていて前記駆動部材の作動の可否を前記送受光部材の受光状態に応じて選択する安全手段とを備えた錠剤粉砕機において、
前記光路進退部材が光反射部を具備したものであって前記粉砕機構部に対して可動状態で装着されており、前記粉砕機構部に前記容器部を装着すると前記光反射部が前記送受光部材の送受光を可能にする位置に向けて付勢されるようになっており、前記粉砕機構部から前記容器部を外すと前記光反射部が前記送受光部材の送受光を不可能にする位置に向けて付勢されるようになっており、前記安全手段が前記駆動部材の作動を前記送受光部材の受光時には可能にするがそれ以外のときには抑制するようになっていることを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明の錠剤粉砕機は(解決手段3)、上記解決手段1,2の錠剤粉砕機であって、
前記粉砕機構部に対する前記容器部の装着が、前記粉砕機構部に対する前記開口部の嵌入と、その後の前記粉砕機構部に対する前記容器部の軸回転を伴った状態固定とを含むものであり、
前記光路進退部材に係る付勢が、前記嵌入に随伴して行われるとともに、前記嵌入に抗う向きに付勢する弾性部材によっても行われるようになっている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
このような本発明の錠剤粉砕機にあっては(解決手段1)、使用実績を重ねてきた送受光部材と遮光部材(光路進退部材の遮光部)との組み合わせを継続使用しながらも、粉砕機構部における遮光部材の位置が容器部の着脱状態に応じて変わるように改造したうえで、粉砕機構部に容器部が装着されていないと粉砕機構部を本体部に装着しても遮光部材が遮光の役目を果たす所へ行かないようにもしたことにより、本体部への粉砕機構部の装着に加えて粉砕機構部への容器部の装着も刃状部材駆動の開始要件に組み入れられる。
したがって、この発明によれば、粉砕機構部への容器部の装着も刃状部材駆動の開始要件に含まれる錠剤粉砕機を本体部の送受光可否連携方式の利用にて簡便に実現することができる。
【0012】
また、本発明の錠剤粉砕機にあっては(解決手段2)、使用実績を重ねてきた送受光部材と光路進退部材との組み合わせを継続使用しながらも、光路進退部材には光反射部を具備したものを採用するとともに、粉砕機構部における光路進退部材の位置ひいては光反射部の位置が容器部の着脱状態に応じて変わるように改造したうえで、粉砕機構部に容器部が装着されていないと粉砕機構部を本体部に装着しても光路進退部材の光反射部が光反射の役目を果たす所へ行かないようにもしたことにより、本体部への粉砕機構部の装着に加えて粉砕機構部への容器部の装着も刃状部材駆動の開始要件に組み入れられる。
しかも、送受光部材や光路進退部材の故障などによって送受光ができなくなった異常時には、粉砕機構部や容器部の装着の有無に関わらず駆動部材の作動が抑制される。そのため、安全性が一層強化される。
したがって、この発明によれば、粉砕機構部への容器部の装着も刃状部材駆動の開始要件に含まれる錠剤粉砕機であって安全性にも優れるものを本体部の送受光可否連携方式の利用にて簡便に実現することができる。
【0013】
さらに、本発明の錠剤粉砕機にあっては(解決手段3)、光路進退部材に係る付勢のうち一方向については必要な付勢が嵌入に随伴して行われるようにしたことにより、付勢用の弾性部材は、光路進退部材に係る付勢のうち嵌入に抗う他方向について装備すれば足りることとなる。そのため、付勢用の弾性部材が少なくて済むので、付勢機能の具現化についてもコストアップを少なめに抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施例1について、錠剤粉砕機の構造を示す縦断面図であり、(a)が連結状態を示し、(b)が容器部を分離した状態を示している。
【
図2】本発明の実施例1について、錠剤粉砕機の構造を示す外観斜視図であり、(a)が連結状態を示し、(b)が分離状態を示している。
【
図3】本発明の実施例1について、錠剤粉砕機の使用態様を示し、(a)~(e)何れも外観斜視図である。
【
図4】本発明の実施例1について、光路進退部材による送受光部材の動作状態の変化を示し、(a),(b)何れも平面図と正面図である。
【
図5】本発明の実施例2について、光路進退部材による送受光部材の動作状態の変化を示し、(a),(b)何れも平面図と正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
このような本発明の錠剤粉砕機について、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例1~2により説明する。
図1~4に示した実施例1は、上述した解決手段1,3(出願当初の請求項1,3)を具現化したものであり、
図5に示した実施例2は、上述した解決手段2,3(出願当初の請求項2,3)を具現化したものである。
【実施例1】
【0016】
本発明の錠剤粉砕機の実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。
図1(a)は全部20,30,40を連結した状態の錠剤粉砕機10に係る縦断面図であり、
図1(b)は容器部20を外して粉砕機構部30と本体部40とを連結した状態の錠剤粉砕機10に係る縦断面図である。
【0017】
また、
図2(a)は全部20,30,40を連結した状態の錠剤粉砕機10に係る外観斜視図であり、
図2(b)は各部20,30,40を分離した状態の錠剤粉砕機10に係る外観斜視図である。
錠剤粉砕機10は、容器部20と粉砕機構部30と本体部40という連結も分離も可能な三部を具備したものであり(
図1(a),
図2(a),
図2(b)参照)、容器部20を粉砕機構部30に対して着脱することと、粉砕機構部30を本体部40に対して着脱することが、できるようになっている。
【0018】
容器部20は(
図1,
図2参照)、コップ状の椀体部21を主体とした器体であり、一端部の開口部22に、粉砕対象錠剤を投入したり錠剤粉砕物を取り出したりするための開口が形成されるとともに、容器部20側の嵌合状態固定手段として機能する張出部23が複数たとえば図示のものでは二つほど形成されていて(
図2(b)参照)、開口部22を粉砕機構部30に対して着脱しうるものとなっている。椀体部21の全部か一部は、錠剤の粉砕状態を目視で確認するのが容易になるよう、透明か半透明になっている。
【0019】
粉砕機構部30は、概ね円筒状の筒部31とその内部の央盤部32とを主体としたものであり(
図1参照)、央盤部32の中央を貫いて筒部31の芯部に位置する回転軸の一端部には複数の刃状部材33が取り付けられるとともに上記の回転軸の他端部には係合伝動部36が取り付けられていて、係合伝動部36に回転力が伝達されると、その力が回転軸を介して刃状部材33に伝達されて、刃状部材33が筒部31の中で旋回するようになっている。粉砕性能を高めるために、刃状部材33は複数個設けられ、一部の物は斜め下へ延び、他の物は斜め上へ延びている(
図1,
図2(b)参照)。
【0020】
また、粉砕機構部30は、付勢用弾性部材としての引っ張りバネ34と、少なくとも一部(
図1の例では送受光部材46の光路に臨む下端部)が遮光性を持った光路進退部材35も具備している。光路進退部材35の全部と引っ張りバネ34の大部分は、筒軸方向へ限定範囲で往復移動しうる状態で筒部31や央盤部32に取り付けられている。しかも、筒部31のうち開口部22着脱部には(
図2(b)では上端部の内側を参照)、粉砕機構部30側の嵌合状態固定手段として機能する内爪部37が上述の張出部23と同数だけ形成されている。そのため、張出部23と内爪部37とが干渉しない状態で開口部22を粉砕機構部30の開口端部に嵌入してから、容器部20と粉砕機構部30とを相対的に軸回転させると、内爪部37の奥側と張出部23の椀体部21側とが干渉して容器部20が粉砕機構部30に固定されるようになっている。
【0021】
そして、粉砕機構部30に容器部20が装着されていない状態では(
図1(b)と
図2(b)の実線表示を参照)、引っ張りバネ34の付勢によって光路進退部材35が粉砕機構部30における容器部20の装着側に寄せられる。これに対し、上述のようにして容器部20が粉砕機構部30に装着された状態では(
図1(a)の実線表示と
図2(b)の破線表示とを参照)、容器部20によって引っ張りバネ34より強く押されて光路進退部材35が粉砕機構部30における本体部40の装着側へ移動するようになっている。
さらに、粉砕機構部30は、本体部40に対して着脱可能であり、装着状態を維持継続させるための外爪部38が筒部31の他端部に形成されている。
【0022】
本体部40は(
図1,
図2参照)、粉砕機構部30よりも一回り大きい筐体41と、その側面に外装された操作部42と、筐体41の上面のうち周縁部分を占める輪板状の上縁部43と、上縁部43の内周部に形成された切欠43a,43bと、上縁部43より内側に立設された細い柱状の案内部材44と、上縁部43の中心部に配置された係合伝動部45と、上縁部43の内側に収められて切欠43bの近くに配置された送受光部材46と、筐体41に内蔵されていて安全手段の役目も果たす制御部47と、筐体41の下部に組み込まれた電源部48と、筐体41の中心部に配置された駆動部材としての電動モータ49とを具備している。
【0023】
操作部42には動作開始や動作停止を指示するためのボタンスイッチ等が設けられ、上縁部43の中央部分は粉砕機構部30の端部の嵌入のために打ち抜かれており、その嵌入時に切欠43aが外爪部38を通し切欠43bが光路進退部材35を通すように案内部材44が粉砕機構部30の動きを規制する等のことで粉砕機構部30が本体部40に対して円滑に装着され更に粉砕機構部30と本体部40とを相対的に軸回転させる等のことで適切な状態に固定されるようになっている。そして、そのようにして本体部40に粉砕機構部30が装着されると、係合伝動部45と係合伝動部36とが係合して、電動モータ49の回転駆動力が刃状部材33へ旋回駆動力として伝達されるようになっている。
【0024】
送受光部材46は、送光部と受光部との組み合わせ物が使い易いが、そのような一体物に限定される訳でなく、両部の間すなわち送光部から受光部に至る光路の途中に光を遮るものが無ければ送光部から送り出された光が受光部に届くので受光がなされるのに対し、その光路に遮光物が在れば受光ができない、というものであれば良い。
このような送受光部材46は、筐体41の上縁部43等に内装されている。その内装位置は、粉砕機構部30が本体部40に装着されたときに光路進退部材35の遮光部(
図1では下端部,
図2(b)では筒部31から外へ突き出た部分)が臨む所にされる。
【0025】
そして、そのようにして光路進退部材35が送受光部材46の光路に臨む状態になることと、上述した粉砕機構部30に対する容器部20の着脱に伴う光路進退部材35の付勢状態とを併せると、光路進退部材35に係る付勢は、粉砕機構部30に容器部20を嵌入させて装着したときに、その嵌入に随伴して光路進退部材35の遮光部が送受光部材46の光路の遮光位置に向けて付勢される、というものになっている。また、光路進退部材35に係る付勢は、粉砕機構部30から容器部20を抜いて外すと、上記の嵌入に抗う向きに付勢する弾性部材である引っ張りバネ34によって光路進退部材35の遮光部が送受光部材46の光路の遮光位置から外れる向きに付勢される、というものにもなっている。
【0026】
制御部47は、電源部48から電力を供給されて動作するものであり、動作時には、送受光部材46や電動モータ49に電力を供給して送受光部材46から受光状態に応じた受光レベル等の情報を取得するとともに、操作部42の操作に応じて電動モータ49の動作開始や停止といった制御を行うようになっている。
また、制御部47は、駆動部材である電動モータ49の作動を安全時に限定する安全手段も兼ねている。具体的には、送受光部材46が受光できない遮光時には操作部42の操作に応じて電動モータ49を作動させるが、送受光部材46が受光できている受光時には操作部42の操作の如何に関わらず電動モータ49を作動させないようになっている。
【0027】
この実施例1の錠剤粉砕機10について、その使用態様と概要動作とを、図面を引用して説明する。
図3(a)~(e)は何れも外観斜視図である。
【0028】
錠剤粉砕機10の使い方は、従来と同じで良いので簡潔に述べると、先ず(
図3(a)参照)、容器部20を手にして、その開口部22を上に向けてから、その姿勢の容器部20へ適量の錠剤5を投入する。
そして、その上に(
図3(b)参照)、光路進退部材35や外爪部38を上側にし内爪部37を下側にした姿勢で粉砕機構部30を持って来る。
それから(
図3(c)参照)、開口部22と内爪部37とが干渉しないように容器部20と粉砕機構部30との位置を合わせてから開口部22を粉砕機構部30に嵌入させ、十分に嵌合したら両者20,30を相対的に軸回転させて装着状態を安定させる。
【0029】
すると、そのときの嵌合操作に応じて粉砕機構部30において光路進退部材35が移動する。具体的には、嵌合前は少し中央寄りの「遮光位置」に位置していたが(
図3(b)では切欠内の下側部分)、嵌合後はその「遮光位置」から外れて端寄りに位置する(
図3(c)では切欠内の上側部分)。
また、容器部20の開口が粉砕機構部30で塞がれて、刃状部材33と一緒に錠剤5が封じ込められるので、それら[容器部20及び粉砕機構部30]の姿勢をどのように変えても錠剤5の零れるおそれが無い状態になる。
【0030】
そこで、それら[20及び30]を上下逆さにする(
図3(d)参照)。そうすると、容器部20より下に来た刃状部材33のところへ錠剤5が集まる。
それから、外爪部38や光路進退部材35が上縁部43と干渉しないように切欠43a,43bに対して位置合わせしたうえで、粉砕機構部30の両端のうち容器部20の連結されていない端部を(
図3(d)では下端部)、本体部40の上端に嵌入する(
図3(e)参照)。さらに、相対的軸回転等にてロックして連結状態を固定する。そうすると、上記の嵌入操作に随伴して、係合伝動部36と係合伝動部45とが係合するので、刃状部材33の旋回を電動モータ49にて駆動できる状態になる。
【0031】
そして、その状態で操作部42を操作して電動モータ49を作動させると、刃状部材33が旋回して容器部20の中の錠剤5が次々に粉砕される。それから、所定時間の経過や手動操作等に応じて駆動部材が停止した後、透明部分から容器部20の中を見て錠剤5の粉砕状態を確認し、粉砕が足りなければ粉砕動作を追加し、粉砕が十分になされていれば、本体部40から粉砕機構部30を取り外し、粉砕機構部30と容器部20とを上下反転させて粉状の元錠剤を容器部20の内底に集め、それから粉砕機構部30を容器部20から取り外し、単体になった容器部20から粉状の元錠剤を適宜な搬器等に移し替える。
【0032】
この実施例1の錠剤粉砕機10について、特に安全確保に係る構成部分や動作を、図面を引用して説明する。
【0033】
図4(a),(b)は、何れも、粉砕機構部30を本体部40に装着した状態における光路進退部材35と送受光部材46とに係る平面図と正面図であり、それらのうち(a)は、光路進退部材35の遮光部35aが送受光部材46の光路に進入している状態を示し、(b)は、光路進退部材35の遮光部35aが送受光部材46の光路から退出している状態を示している。
【0034】
上述した送受光部材46は、対をなす送光部46aと受光部46bとからなるが、本例では送光部46aと受光部46bとが対向状態で配置されていて、送光部46aと受光部46bとを結ぶ直線が光路を成すものであり、一体物の市販品を使えることが多い。
また、上述した光路進退部材35は、筒部31から露出している端部が、光を透さない遮光部35aになっている。他の部分は、遮光性であっても透光性であっても良いが、粉砕機構部30に対する容器部20の着脱状態に応動するとともに、その応動を遮光部35aに伝達するようになっている。
【0035】
そのため、粉砕機構部30が本体部40に装着されたとき、その粉砕機構部30に容器部20が装着されていれば、送光部46aと受光部46bとの間に遮光部35aが来て(
図4(a)参照)、送光部46aから受光部46bへの光路に遮光部35aが進入し、そこで遮光が行われるため(図では矢付き一点鎖線を参照)、受光部46bでの受光が断たれる。そして、その遮光状態を信号入力した制御部47の安全制御によって安全状態が肯定側に確認され、操作部42の操作に応じた電動モータ49の駆動制御が行われる。
【0036】
これに対し、粉砕機構部30が本体部40に装着されていないときや、粉砕機構部30が本体部40に装着されてもその粉砕機構部30に容器部20が装着されていないときには、遮光部35aと送光部46aとの間にまで遮光部35aが達せず(
図4(b)参照)、送光部46aから受光部46bへの光路から遮光部35aが外れていて、そこで遮光は行われないため(図では矢付き一点鎖線を参照)、受光部46bで受光がなされる。そして、その受光状態を信号入力した制御部47の安全制御によって安全状態が否定側に確認され、操作部42が操作されても電動モータ49の駆動制御は行われない。
【実施例2】
【0037】
本発明の錠剤粉砕機の実施例2について、特に安全確保に係る構成部分や動作を、図面を引用して説明する。
【0038】
図5(a),(b)は、何れも、粉砕機構部30を本体部40に装着した状態における光路進退部材35と送受光部材46とに係る平面図と正面図であり、それらのうち(a)は、光路進退部材35の光反射部35bが送受光部材46の光路に進入している状態を示し、(b)は、光路進退部材35の光反射部35bが送受光部材46の光路から退出している状態を示している。
【0039】
この錠剤粉砕機が上述した実施例1のものと相違するのは、光路進退部材35の遮光部35aが光反射部35bになった点と、送受光部材46の送光部46aと受光部46bとが対向配置でなくなった点と、制御部47の安全制御が電動モータ49の作動を受光部46bの受光時には可能にするがそれ以外のときには抑制するようになった点である。
特に、送光部46aから受光部46bへ至る光路は、光反射部35bの反射によって成り立つ屈折経路であり、その反射位置から光反射部35bが外れると、送光部46aの送光を受光部46bが受光できなくなる、という光路になっている。
【0040】
そのため、粉砕機構部30が本体部40に装着されたとき、その粉砕機構部30に容器部20が装着されていれば、送光部46aの送光方向と受光部46bの受光方向との交点部位に光反射部35bが来て(
図5(a)参照)、送光部46aから受光部46bへの光路の屈折箇所に光反射部35bが位置し、そこで光が反射されるため(図では矢付き一点鎖線を参照)、受光部46bで受光がなされる。そして、その受光可能状態を信号入力した制御部47の安全制御によって安全状態が肯定側に確認され、操作部42の操作に応じた電動モータ49の駆動制御が行われる。
【0041】
これに対し、粉砕機構部30が本体部40に装着されていないときや、粉砕機構部30が本体部40に装着されてもその粉砕機構部30に容器部20が装着されていないときには、送光部46aの送光方向や受光部46bの受光方向にまで光反射部35bが達せず(
図5(b)参照)、送光部46aから受光部46bへの光路から光反射部35bが外れていて、そこで反射が行われないため(図では矢付き一点鎖線を参照)、受光部46bは受光ができない。
【0042】
そして、その受光不可状態を信号入力した制御部47の安全制御によって安全状態が否定側に確認され、操作部42が操作されても電動モータ49の駆動制御は行われない。
送光部46aや受光部46bが故障等のため送受光が正しく行えない場合や、関連する電気回路部分や光路進退部材35などに異常が生じたこと等に起因して送受光が正しく行えない場合も、受光不可状態になって制御部47の安全制御による電動モータ49の駆動の抑制が働くので、安全性が高い。
【0043】
[その他]
上記実施例では言及しなかったが、容器部20と粉砕機構部30との当接面には、がたつき防止や粉末漏出防止などの観点から、ゴム製Oリングといった環状の軟質弾性部材39を装着しておくと良い(
図1(b)参照)。
また、容器部20と粉砕機構部30との係合部位の角部には、円滑な嵌合の簡便な具現化のため、R加工といった丸め処理を施すと良い。
さらに、本体部40の粉砕機構部当接板43cは、粉砕機構部30の装着時には電動モータ49の駆動を妨げないよう係合伝動部45から離れるのに対し(
図1参照)、粉砕機構部30の非装着時には(
図2(b)参照)、密閉のため、図示しないバネ等の付勢力によって係合伝動部45のところまで上昇するようになっている。
【符号の説明】
【0044】
5…錠剤、
10…錠剤粉砕機、
20…容器部、
21…椀体部、22…開口部、23…張出部(嵌合状態固定手段)、
30…粉砕機構部、
31…筒部、32…央盤部、
33…刃状部材、34…引っ張りバネ(付勢用弾性部材)、
35…光路進退部材、35a…遮光部、35b…光反射部、
36…係合伝動部、37…内爪部(嵌合状態固定手段)、38…外爪部、
40…本体部、
41…筐体、42…操作部、43…上縁部、
43a…切欠、43b…切欠、44…案内部材、
45…係合伝動部、46…送受光部材、46a…送光部、46b…受光部、
47…制御部(安全手段)、48…電源部、49…電動モータ(駆動部材)