IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ワイズグローバルビジョン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-循環式濾過システム 図1
  • 特許-循環式濾過システム 図2
  • 特許-循環式濾過システム 図3
  • 特許-循環式濾過システム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】循環式濾過システム
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/44 20060101AFI20221018BHJP
   C02F 1/42 20060101ALI20221018BHJP
   C02F 1/32 20060101ALI20221018BHJP
   C02F 1/78 20060101ALI20221018BHJP
   C02F 9/02 20060101ALI20221018BHJP
   C02F 9/04 20060101ALI20221018BHJP
   C02F 9/12 20060101ALI20221018BHJP
   C02F 1/28 20060101ALI20221018BHJP
   B01D 61/10 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
C02F1/44 H
C02F1/44 A
C02F1/42 A
C02F1/32
C02F1/78
C02F9/02
C02F9/04
C02F9/12
C02F1/28 B
B01D61/10
C02F1/28 T
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021078519
(22)【出願日】2021-05-06
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】516104537
【氏名又は名称】ワイズグローバルビジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108604
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 義人
(72)【発明者】
【氏名】大嶺 光雄
(72)【発明者】
【氏名】宮城 秀樹
【審査官】松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-148793(JP,A)
【文献】特開平7-108142(JP,A)
【文献】特開2003-039071(JP,A)
【文献】特開2001-314862(JP,A)
【文献】特開平3-218758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 61/00- 71/82
C02F 1/44
C02F 1/00
C02F 1/42
C02F 1/70- 1/78
C02F 1/28
C02F 9/00- 9/14
E03C 1/00- 1/10
A47K 3/00
F24H 9/25- 9/28
F24H 15/00- 15/184
F24H 15/20- 15/493
F24H 9/00
F24H 9/40- 9/45
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
循環させて繰返し使用される水である原水を貯める原水タンクと、
前記原水を循環させるための流路を構成する、その基端が前記原水タンクに接続された管である流路管と、
前記流路管の途中に設けられた、前記原水を浄化して浄水にするための設備であり、少なくとも1つの逆浸透膜浄水ユニットを含む浄化設備と、
前記流路管における、前記流路管に対して最も先端側に位置する前記逆浸透膜浄水ユニットの手前側の部分に設けられた、それが駆動した場合に、前記流路管内の前記原水を、前記流路管内において前記流路管の先端側に流すサブポンプと、前記サブポンプが駆動したときに前記サブポンプと連動して駆動する、前記流路管の前記原水タンク内の前記原水と接する部分に設けられた、それが駆動した場合に、前記原水タンク内の原水を前記流路管の先端側に流すメインポンプと、
前記流路管の先端に設けられた、前記浄水の前記流路管からの排出の許否を選択することのできるようにされた蛇口と、
前記蛇口から排出された前記浄水を受ける受皿と、
を備えており、
前記受皿で受けた前記浄水が前記原水タンクに至るようにされている、
循環式濾過システムであって、
前記原水を循環させるための流路を構成する、その基端が前記流路管における前記サブポンプの手前に接続されることで前記流路管から分岐させられた管である分岐管と、
前記分岐管の途中に設けられた、前記原水を浄化するための設備である第2浄化設備と、
を備えており、
前記分岐管の先端から出た浄化された原水が、前記原水タンクに至るようにされているとともに、
前記メインポンプは、前記サブポンプと独立して駆動させられるようになっているとともに、前記メインポンプが駆動し、且つ前記サブポンプが停止しているときには、前記サブポンプは前記原水を通過させないようになっている、
循環式濾過システム。
【請求項2】
前記メインポンプは、前記サブポンプとは独立して、一日に8時間以上駆動するようになっている、
請求項1記載の循環式濾過システム。
【請求項3】
前記メインポンプは、所定の時間毎に、所定の時間長さだけ駆動するようになっている、
請求項1記載の循環式濾過システム。
【請求項4】
循環させて繰返し使用される水である原水を貯める原水タンクと、
前記原水を循環させるための流路を構成する、その基端が前記原水タンクに接続された管である流路管と、
前記流路管の途中に設けられた、前記原水を浄化して浄水にするための設備であり、少なくとも1つの逆浸透膜浄水ユニットを含む浄化設備と、
前記流路管における、前記流路管に対して最も先端側に位置する前記逆浸透膜浄水ユニットの手前側の部分に設けられた、それが駆動した場合に、前記流路管内の前記原水を、前記流路管内において前記流路管の先端側に流すサブポンプと、前記サブポンプが駆動したときに前記サブポンプと連動して駆動する、前記流路管の前記原水タンク内の前記原水と接する部分に設けられた、それが駆動した場合に、前記原水タンク内の原水を前記流路管の先端側に流すメインポンプと、
前記流路管の先端に設けられた、前記浄水の前記流路管からの排出の許否を選択することのできるようにされた蛇口と、
前記蛇口から排出された前記浄水を受ける受皿と、
を備えており、
前記受皿で受けた前記浄水が前記原水タンクに至るようにされている、
循環式濾過システムであって、
前記原水を循環させるための流路を構成する、その基端が前記原水タンクに接続された管である、前記流路管とは異なる第2流路管と、
前記第2流路管の前記原水タンク内の前記原水と接する部分に設けられた、それが駆動した場合に、前記原水タンク内の原水を前記第2流路管の先端側に流す第2ポンプと、
前記第2流路管の途中に設けられた、前記原水を浄化するための設備である第2浄化設備と、
を備えており、
前記第2流路管の先端から出た浄化された原水が、前記原水タンクに至るようにされているとともに、
前記第2ポンプは、前記メインポンプ及び前記サブポンプと独立して駆動させられるようになっている、
循環式濾過システム。
【請求項5】
前記第2ポンプは、一日に8時間以上駆動するようになっている、
請求項4記載の循環式濾過システム。
【請求項6】
前記第2ポンプは、所定の時間毎に、所定の時間長さだけ駆動するようになっている、
請求項4記載の循環式濾過システム。
【請求項7】
前記第2浄化設備は、オゾン発生装置、紫外線殺菌装置、曝気装置の少なくとも一つを含む、
請求項1又は4記載の循環式濾過システム。
【請求項8】
前記受皿から前記原水タンクへ至る浄水を通過させるための、浄水を濾過するための濾材を備えている、
請求項1又は4記載の循環式濾過システム。
【請求項9】
前記濾材は、オイル吸着シート、イオン交換樹脂、活性炭のうちの少なくとも一つを含んでいる、
請求項8記載の循環式濾過システム。
【請求項10】
前記濾材は、バッグフィルターに内蔵されている、
請求項8又は9記載の循環式濾過システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同じ水を繰返し使用する循環式濾過システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、山奥の工事現場において手洗い場が必要となる。そのような場所では、同じ水を繰返し使用する循環式濾過システムが必要とされる。
なぜなら、そのような場所では、綺麗な水、もっと言えば水自体を確保することが難しいことがあるためであり、また、手洗い後の汚れた水を環境中に放出することが難しいためである。
したがって、そのような場所では、同じ水を繰返し使用することによって、必要な水の量を減らすことができ、且つ環境中に放出される汚れた水の量を減らすことができるという利点を持つ、循環式濾過システムが重宝される。
もちろんこの2つの利点の一方のみが要求されるような場合においても、循環式濾過システムは利用可能であるし、利用される場合がある。
【0003】
大雑把にいえば、循環式濾過システムは、次のようなものである。手洗い場に循環式濾過システムが用いられる場合を例にとって説明する。
循環式濾過システムは、原水を貯める原水タンクを備えている。原水タンクには、原水を循環させるための流路を構成する流路管の基端が接続されている。流路管のどこかにポンプが設けられており、ポンプによって、原水タンク中の原水は、流路管の基端側から先端側に向けて送られる。
流路管の途中には、原水を浄化するための浄化設備が適宜設けられている。浄化設備は、例えば、原水中の固形物を除去するための濾過装置であり、或いは原水中の化学物質や微生物(細菌、ウイルス等)を除去するためのオゾン発生装置や紫外線殺菌装置である。原水は、浄化設備を通過することにより、浄水となる。
流路管の先端には、蛇口が設けられており、蛇口の下には例えばシンクである、受皿が設けられている。蛇口を操作すると、流路管内の浄水が流れ出る。その浄水で手洗いをすることによって生じた汚水が、受皿によって受けられる。
受皿で受けられた汚水は、原水タンクに至って原水に戻るようになっている。例えば、受皿が原水タンクの真上に設けられているのであれば、受皿が受けた汚水は、その真下の原水タンクに落下する。何らかの管によって受皿と原水タンクを接続し、その管を介して、受皿から原水タンクに汚水を導くようになっている場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の如き循環式濾過システムは、少なくとも原理上は成立し得るものの、需要の割には十分に普及しているとは言えない。
その理由は、循環式濾過システムで得られる浄水の質を十分なものとするのが難しいことにある。上述したように、循環式濾過システムでは、浄化設備を通過させることによって、原水を浄水にする。ここで、循環式濾過システムが、例えば、手洗い場を用途とする場合においては、原水には泥や油、或いは石鹸の成分等が含まれることがある。そのような原水を質の高い浄水にするための浄化設備を準備するのは、技術的になかなか難しい。しかも、循環式濾過システムでは、原水が繰返し利用されるから尚更である。
【0005】
本願発明は、汚れがある程度酷い原水であっても質の高い浄水を得ることのできるような、実用に足る循環式濾過システムを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明は以下のようなものである。本願発明は2つに大分することができるので、それらを便宜的に第1発明、第2発明と呼ぶこととする。
第1発明は、以下のようなものである。
第1発明は、循環させて繰返し使用される水である原水を貯める原水タンクと、前記原水を循環させるための流路を構成する、その基端が前記原水タンクに接続された管である流路管と、前記流路管の途中に設けられた、前記原水を浄化して浄水にするための設備であり、少なくとも1つの逆浸透膜浄水ユニットを含む浄化設備と、前記流路管における、前記流路管に対して最も先端側に位置する前記逆浸透膜浄水ユニットの手前側の部分に設けられた、それが駆動した場合に、前記流路管内の前記原水を、前記流路管内において前記流路管の先端側に流すサブポンプと、前記サブポンプが駆動したときに前記サブポンプと連動して駆動する、前記流路管の前記原水タンク内の前記原水と接する部分に設けられた、それが駆動した場合に、前記原水タンク内の原水を前記流路管の先端側に流すメインポンプと、前記流路管の先端に設けられた、前記浄水の前記流路管からの排出の許否を選択することのできるようにされた蛇口と、前記蛇口から排出された前記浄水を受ける受皿と、を備えており、前記受皿で受けた前記浄水が前記原水タンクに至るようにされている、循環式濾過システムである。
そしてこの循環式濾過システムは、前記原水を循環させるための流路を構成する、その基端が前記流路管における前記サブポンプの手前に接続されることで前記流路管から分岐させられた管である分岐管と、前記分岐管の途中に設けられた、前記原水を浄化するための設備である第2浄化設備と、を備えている。また、前記分岐管の先端から出た浄化された原水が、前記原水タンクに至るようにされているとともに、前記メインポンプは、前記サブポンプと独立して駆動させられるようになっているとともに、前記メインポンプが駆動し、且つ前記サブポンプが停止しているときには、前記サブポンプは前記原水を通過させないようになっている。
【0007】
第1発明による循環式濾過システムは、流路管を備えている。流路管の基端は原水を貯める原水タンクに接続されており、流路管の先端には、蛇口が設けられている。蛇口の下には受皿があり、受皿で受けられた浄水は、原水タンクに戻るようになっている。この循環式濾過システムは、基本的に、このような構成によって、原水を循環させるから、原水の量が少なくて済み、また、汚水を環境中に放出することもない。
もっとも、原水を単に循環させるだけでは、蛇口から出る水が綺麗なものとはならない。そのようなことを防止するために、流路管の途中には、原水を浄化して浄水にするための設備である浄化設備を備えている。浄化設備は、原水を浄化するための設備であれば良く、少なくとも1つの逆浸透膜浄水ユニットを含む。
第1発明の循環式濾過システムでは、原水は、メインポンプとサブポンプによって、流路管内を循環する。メインポンプは、流路管の基端に位置しており、原水タンク内の原水を流路管の先端側に向けて流す機能を有している。他方、サブポンプは、流路管の途中、より正確には最も先端側に位置する逆浸透膜浄水ユニットの手前側に位置しており、サブポンプよりも下流側に位置する逆浸透膜浄水ユニット内の原水中の水に、逆浸透膜浄水ユニット内の逆浸透膜を乗り越えさせるために必要な圧力を与える機能を有している。
サブポンプは、蛇口が開放されることにより、流路管の逆浸透膜浄水ユニットよりも先端側の部分の原水(又は浄水)の量が減ったときに駆動され、逆浸透膜浄水ユニットの手前の原水を、逆浸透膜浄水ユニットよりも先の部分に供給するようになっている。そうすると、今度は、流路管の逆浸透膜浄水ユニットよりも手前側の原水の量が減るので、メインポンプがその部分に、原水タンクから原水を供給するようになっている。それが可能なように、メインポンプは、サブポンプが駆動するときには、サブポンプと連動して駆動するようになっている。
第1発明による循環式濾過システムのここまでに説明した構成は、場合にもよるが、従来の循環式濾過システムの構成と概ね変わらないものとすることができる。
【0008】
第1発明の循環式濾過システムは、分岐管を備えている。分岐管は、その基端が流路管におけるサブポンプの手前に接続されることで流路管から分岐させられた管である。分岐管の先端から出た原水は、原水タンクに戻るようになっている。
分岐管の途中には、第2浄化設備が設けられている。第2浄化設備は、原水を浄化するための設備である。第2浄化設備は、原水を浄化するための設備であれば良く、その詳細は問わない。第2浄化設備は、例えば、逆浸透膜浄水ユニットではない濾材、オゾン発生装置、紫外線殺菌装置、曝気装置のうちの少なくとも1つを含んでいても良い。オゾン発生装置は、分岐管を通過する原水に対してオゾンを供給する装置である。紫外線殺菌装置は、分岐管を通過する原水に対して紫外線を照射する装置である。曝気装置は、分岐管を通過する原水に対して空気の泡を供給する装置である。曝気装置は例えば、マイクロバブルやナノバブルを原水に対して供給する。オゾン発生装置、紫外線殺菌装置、曝気装置は、それぞれ異なる機序ではあるが、原水の水質を改善する。
第1発明による循環式濾過システムでは、メインポンプによって、原水が分岐管内を循環する。上述したように、メインポンプは、サブポンプが駆動したときにサブポンプに連動して駆動するようになっているが、他方、サブポンプと独立して駆動することも可能とされている。サブポンプが駆動していない、つまり停止しているときにメインポンプが駆動すると、サブポンプは閉まった弁のように機能して原水を通過させない。
そのような構成により、サブポンプを停止した状態でメインポンプを駆動させると、原水は、原水タンクから流路管内に至り、サブポンプの手前で分岐させられた分岐管に流れ込んで分岐管内を流れ、原水タンクに戻ることになる。このとき、原水は、分岐管の途中にある第2浄化設備によって浄化される。
本願発明者の考えによれば、従来の循環式濾過システムにおいて原水を綺麗に保つことが難しかったのは、以下の理由による。即ち、従来の循環式濾過システムにおける原水タンクから蛇口に至る、流路管によって作られる原水の一連の循環経路は、蛇口が開放されたときにしか原水が流れないから、浄化を行うときに必要となる流れが原水に生じる時間が極めて限られており、それ故原水の浄化を十分に行うのが難しいのである。他方、流路管によって形成される上述の循環経路とは異なる循環経路を作り、そこで原水の浄化を行うこととすれば、蛇口の開放とは無関係に、原水の浄化を行うことが可能となり、必要なだけ原水を浄化することができるから、原水を十分に浄化した浄水を得ることができるのである。
そのような考えから、本願発明者は、流路管とは異なる原水の循環経路として分岐管を採用し、且つ分岐管を流れる原水を浄化するための設備として第2浄化設備を採用することにしたのである。しかも、第1発明において上述の如き分岐管を採用したとしても、分岐管に原水を流す場合に必要なのは、元々存在していたメインポンプとサブポンプのみであり、新たなポンプを採用する必要がないから、コスト面でも有利である。
【0009】
第1発明の循環式濾過システムにおける前記メインポンプは、前記サブポンプとは独立して、一日に8時間以上駆動するようになっていても構わない。
この程度メインポンプを駆動させることとすれば、原水が第2浄化設備によって良く浄化されるので、蛇口から出る浄水の質を高く保つことが可能となる。もちろん、メインポンプをサブポンプから独立させて駆動させる時間を、8時間より長くすることも可能であり、そうすることにより、循環式濾過システムの蛇口から出る浄水の質をより高くすることが可能となる。
前記メインポンプは、所定の時間毎に、所定の時間長さだけ駆動するようになっていても構わない。メインポンプが間隔をおいて駆動する「所定の時間」は同じでもそうでなくても良い。メインポンプが一回に駆動する「所定の時間」は同じでもそうでなくても良い。このようにすることにより、メインポンプがサブポンプと独立して駆動する時間の割合を、所望の割合に決定することが可能となる。
【0010】
第2発明による循環式濾過システムは以下のようなものである。
第2発明による循環式濾過システムは、循環させて繰返し使用される水である原水を貯める原水タンクと、前記原水を循環させるための流路を構成する、その基端が前記原水タンクに接続された管である流路管と、前記流路管の途中に設けられた、前記原水を浄化して浄水にするための設備であり、少なくとも1つの逆浸透膜浄水ユニットを含む浄化設備と、前記流路管における、前記流路管に対して最も先端側に位置する前記逆浸透膜浄水ユニットの手前側の部分に設けられた、それが駆動した場合に、前記流路管内の前記原水を、前記流路管内において前記流路管の先端側に流すサブポンプと、前記サブポンプが駆動したときに前記サブポンプと連動して駆動する、前記流路管の前記原水タンク内の前記原水と接する部分に設けられた、それが駆動した場合に、前記原水タンク内の原水を前記流路管の先端側に流すメインポンプと、前記流路管の先端に設けられた、前記浄水の前記流路管からの排出の許否を選択することのできるようにされた蛇口と、前記蛇口から排出された前記浄水を受ける受皿と、を備えており、前記受皿で受けた前記浄水が前記原水タンクに至るようにされている。
そして、第2発明の循環式濾過システムは、前記原水を循環させるための流路を構成する、その基端が前記原水タンクに接続された管である、前記流路管とは異なる第2流路管と、前記第2流路管の前記原水タンク内の前記原水と接する部分に設けられた、それが駆動した場合に、前記原水タンク内の原水を前記第2流路管の先端側に流す第2ポンプと、前記第2流路管の途中に設けられた、前記原水を浄化するための設備である第2浄化設備と、を備えている。また、第2発明の循環式濾過システムでは、前記第2流路管の先端から出た浄化された原水が、前記原水タンクに至るようにされているとともに、前記第2ポンプは、前記メインポンプ及び前記サブポンプと独立して駆動させられるようになっている。
【0011】
第2発明の循環式濾過システムは、概ね第1発明の循環式濾過システムと同様の構成を採用している。
第2発明の循環式濾過システムも、第1発明による循環式濾過システムと同様に、流路管を備えている。流路管の基端は、第1発明の循環式濾過システムの場合と同様に、原水を貯める原水タンクに接続されており、流路管の先端には、蛇口が設けられている。蛇口の下には受皿があり、受皿で受けられた浄水は、原水タンクに戻るようになっている。したがって、第2発明の循環式濾過システムは、第1発明の場合と同様に原水を循環させるから、原水の量が少なくて済み、また、汚水を環境中に放出することもない。
また、第2発明の循環式濾過システムは、第1発明の循環式濾過システムと同様に、流路管の途中に、原水を浄化して浄水にするための設備である浄化設備を備えている。第2発明の循環式濾過システムにおける浄化設備は、第1発明の循環式濾過システムにおける浄化設備と同様である。
第2発明の循環式濾過システムは、第1発明の循環式濾過システムと同様に、原水は、メインポンプとサブポンプによって、流路管内を循環する。メインポンプ、サブポンプともに、第2発明の循環式濾過システムにおけるそれらは、第1発明におけるそれらと同様である。ただし、第2発明におけるメインポンプは、第1発明における循環式濾過システムの場合とは異なり、サブポンプから独立して駆動することはない。
【0012】
第2発明の循環式濾過システムは、第1発明の循環式濾過システムの場合と異なり、分岐管を備えていない。その代わりに、第2発明の循環式濾過システムは、第2流路管を備えている。
第2流路管は、原水を循環させるための流路を構成する、その基端が原水タンクに接続された管である。第2発明の循環式濾過システムでは、第2流路管の先端から出た浄化された原水が、原水タンクに至るようにされている。そして、第2流路管の途中には、原水を浄化するための設備である第2浄化設備が設けられている。第2発明の循環式濾過システムにおける第2浄化設備は、第1発明の循環式濾過システムにおける第2浄化設備と同様のものとすることができる。
第2発明では、第2流路管内の原水を、第2流路管の原水タンク内の原水と接する部分に設けられた、それが駆動した場合に、原水タンク内の原水を第2流路管の先端側に流す第2ポンプを用いて循環させることとしている。そして、第2ポンプは、メインポンプ及びサブポンプと独立して駆動させられるようになっている。
つまり、第2発明の循環式濾過システムでは、原水タンクから出て原水タンクに戻る流路を形成する流路管とは異なる、原水タンクから出て原水タンクに戻る流路を形成する第2流路管を設けることにより、第2流路管の途中にある第2浄化設備によって、蛇口が開放されるか否か、つまり、流路管内の原水或いは浄水が動くか否かとは無関係に、原水タンク内の原水を浄化できるようにしているのである。
第2発明の循環式濾過システムでは、第1発明の循環式濾過システムとは異なり、第2ポンプが必要となる。他方、第2発明の循環式濾過システムでは、第1発明の循環式濾過システムとは異なり、サブポンプ及びサブポンプと連動するメインポンプが駆動しているときにも、第2ポンプにより第2流路管内で原水を循環させることができる。
【0013】
第2発明の循環式濾過システムにおける第2ポンプは、一日に8時間以上駆動するようになっていても構わない。
この程度第2ポンプを駆動させることとすれば、原水が第2浄化設備によって良く浄化されるので、蛇口から出る浄水の質を高く保つことが可能となる。もちろん、第2ポンプをサブポンプから独立させて駆動させる時間を、8時間より長くすることも可能であり、そうすることにより、循環式濾過システムの蛇口から出る浄水の質をより高くすることが可能となる。
前記第2ポンプは、所定の時間毎に、所定の時間長さだけ駆動するようになっていても構わない。第2ポンプが間隔をおいて駆動する「所定の時間」は同じでもそうでなくても良い。第2ポンプが一回に駆動する「所定の時間」は同じでもそうでなくても良い。このようにすることにより、第2ポンプが、メインポンプ及びサブポンプと独立して駆動する時間の割合を、所望の割合に決定することが可能となる。
【0014】
この段落の記載は、第1発明、第2発明の循環式濾過システムに共通する。
第1発明、第2発明の循環式濾過システムは、前記受皿から前記原水タンクへ至る浄水を通過させるための、浄水を濾過するための濾材を備えていてもよい。受皿から原水タンクに戻る浄水は、例えば循環式濾過システムが手洗い場に応用されている場合等では、泥や石鹸の成分を含む等して既に汚れた状態となっている。汚れた浄水をそのまま原水タンクに戻すのではなく、濾材を通過させてから原水タンクに戻すようにすることで、原水を綺麗に保ちやすくなる。
ここで、受皿から原水タンクへ戻る浄水を通過させるための濾材は、例えば、オイル吸着シート、イオン交換樹脂、活性炭のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。オイル吸着シートは、それを通過する水に含まれている油を除去するのに有用であり、イオン交換樹脂は、それを通過する水に含まれている界面活性剤を除去するのに有用であり、活性炭は、それを通過する水に含まれている重金属類及び悪臭の原因物質を除去するのに有用である。濾材は、オイル吸着シート、イオン交換樹脂、活性炭のうちの2つ以上、或いはすべてを含んでいても良い。
受皿から原水タンクへ戻る浄水を通過させるための前記濾材は、バッグフィルターに内蔵されていてもよい。これにより、バッグフィルターごと濾材を交換できるようになるので、濾材の交換の手間、コストを下げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態による循環式濾過システムの全体構成を概略的に示す図。
図2図1に示した循環式濾過システムに含まれる逆浸透膜浄水ユニットの構成を概念的に示す断面図。
図3図1に示した循環式濾過システムに含まれる濾過部材の構成を概念的に示す断面図。
図4】第2実施形態による循環式濾過システムの全体構成を概略的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい第1実施形態と第2実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
両実施形態の説明において、共通する対象には共通する符号を付すものとする。また、重複する説明は場合により省略するものとする。
【0017】
≪第1実施形態≫
第1実施形態における循環式濾過システム1の全体構成図を図1に示す。これには限られないが、この実施形態における循環式濾過システム1は、手洗い場の用途に用いられる。
【0018】
第1実施形態の循環式濾過システム1は、原水タンク10を備えている。原水タンク10は、後述する浄化設備で浄化される前の水である原水11を貯めるためのタンクである。
原水タンク10は、原水11を漏れなく貯めることができれば良く、例えば金属や樹脂によって構成されている。原水タンク10は、公知或いは周知のタンクで十分であり、市販のものでも良い。この実施形態における原水タンク10の容量は、これには限られないが、100l程度とされている。
【0019】
原水タンク10の原水11と触れる範囲の適当な部分に、メインポンプ21が配置されている。メインポンプ21は、水を送ることのできるポンプであり、それができるのであれば、どのようなものであっても構わない。メインポンプ21は、公知或いは周知のポンプによって構成することができ、市販のものでも良い。
メインポンプ21は、流路管31の基端に接続されている。メインポンプ21は、原水タンク10内の原水11を、流路管31内に導き、流路管31の先端側に向けて流すようになっている。
メインポンプ21は、接続線21Aによってコンピュータ40に接続されており、コンピュータ40の制御下で、駆動と停止の制御が行われるようになっている。コンピュータ40は、そのような制御を行えれば十分であり、公知或いは周知のもので良く、市販のものでも良い。コンピュータ40がどのようにメインポンプ21を制御するかについては後述する。
【0020】
流路管31は、後述するようにして、原水タンク10内の原水11を循環させるための管である。流路管31は、原水(原水は、流路管31の途中で後述するように浄水12となる。)を流すことができる管であれば十分であり、公知或いは周知のもので良く、市販のものでも良い。流路管31は、例えば、金属製、或いは樹脂製である。
【0021】
流路管31には、原水タンク10から運ばれてきた原水11を浄化して浄水とするための設備である浄化設備が設けられている。浄化設備は、原水11を浄化するための設備であれば良く、その詳細は問わないが、少なくとも1つの逆浸透膜浄水ユニット51を含んでいる。
浄化設備は他にも、逆浸透膜ではない濾材、オゾン発生装置、紫外線殺菌装置、曝気装置を含んでいても構わないが、この実施形態では、浄化設備にそれらは含まれていない。濾材の例としては、逆浸透膜浄水ユニット51よりも流路管31の上流側に、例えば、サブポンプ22よりも上流側に設けられた、公知或いは周知のセディメントフィルタを挙げることができる。
浄化設備のうち、流路管31の最も下流側にあるものを通過した原水11が浄水12である。この実施形態であれば、逆浸透膜浄水ユニット51を通過すると、原水11は浄水12となる。
濾材の一種としてのセディメントフィルタについての上述の説明から明らかなように、浄化設備に属する逆浸透膜浄水ユニット51や、セディメントフィルタを含む濾材、オゾン発生装置等の他の設備は、流路管31において、連続して設けられている必要はない。セディメントフィルタを、流路管31におけるサブポンプ22の上流側に設けることができるのと同様に、流路管31の、後述するアキュムレータタンクの更に下流側に、オゾン発生装置等の他の装置が設けられていても構わない。
【0022】
逆浸透膜浄水ユニット51について説明する。逆浸透膜浄水ユニット51は公知或いは周知であり、市販のものでも良い。したがって、その原理を、簡単に説明するにとどめる。
逆浸透膜浄水ユニット51の原理図を、図2に示す。逆浸透膜浄水ユニット51は、ケース51Aを有している。ケース51Aは、例えば、円筒形の耐圧容器である。
ケース51Aの内部は、逆浸透膜51Bによって2つの空間に分けられている。例えば、この実施形態では、逆浸透膜51Bは、ケース51Aの軸に平行とされている。或いは、逆浸透膜51Bは筒状であり、逆浸透膜51Bの外と内の2つの空間に、ケース51Aの内部の空間を分割していても良い。逆浸透膜51Bは、循環式手洗いユニットの特性から、海水専用である必要はなく、むしろ淡水用の低圧力で造水量が多いRO膜が望ましい。例としては、FilmTec(商標)製のExtra Low Energy RO Membraneシリーズの逆浸透膜を、逆浸透膜51Bとして用いることができる。
ケース51Aの一方側の端面(図2の下側)には、原水11が流入する流入口51Cが設けられている。また、ケース51Aの他方側の端面には、濃縮された原水11である排水が流出する排水口51Dが設けられている。流入口51Cと、排水口51Dは、逆浸透膜51Bによって分割されたケース51A内部の2つの空間のうちの同じ空間に連通している。また、ケース51Aの他方側の端面には、逆浸透膜浄水ユニット51で原水11から作られた浄水12を排出するための浄水口51Eが設けられている。浄水口51Eは、逆浸透膜51Bによって分割されたケース51A内部の2つの空間のうち、流入口51Cと、排水口51Dとが連通しない側の空間に連通させられている。
ケース51Aの内部には、流路管31が接続された流入口51Cから原水11が流れ込んで来る。流入口51Cからケース51Aの中に入った原水11には、流入口51Cからの原水11の流入量と、排水口51Dからの排水の流出量を適切な関係に保つことにより、高い圧力がかかるようになっている。
高い圧力のかけられた原水11のうち純水に近い水分は、逆浸透膜51Bによって分割されたケース51A内部の2つの空間のうちの、流入口51Cと、排水口51Dとが連通している空間から、逆浸透膜51Bを通過して、浄水口51Eが連通している空間に滲み出る。
つまり、原水11は、ケース51A内において、逆浸透膜51Bによって、浄水12と、濃縮状態とされた原水11とに分離されることになる。そして、原水11は排水口51Dを介することにより、浄水12は浄水口51Eを介することにより、それぞれケース51Aから出るようになっている。浄水口51Eは、逆浸透膜浄水ユニット51の下流側における流路管31と接続されている。排水口51Dは、後述する排出管に接続されている。
【0023】
流路管31の逆浸透膜浄水ユニット51の上流側(原水タンク10側)には、サブポンプ22が設けられている。サブポンプ22は、逆浸透膜浄水ユニット51に対して、高い圧力で原水11を供給するためのポンプである。サブポンプ22は、水を送ることのできるポンプであり、それができるのであれば、メインポンプ21と同様にどのようなものであっても構わない。
サブポンプ22は、接続線22Aによってコンピュータ40に接続されており、コンピュータ40の制御下で、駆動と停止の制御が行われるようになっている。コンピュータ40がどのようにサブポンプ22を制御するかについては後述する。
【0024】
流路管31における、逆浸透膜浄水ユニット51の下流側には、アキュムレータタンク60が設けられている。
アキュムレータタンク60は、後述する蛇口から出る浄水12の水圧を所定の範囲に保つためのものである。公知或いは周知であるから詳細な説明は省略するが、アキュムレータタンク60は、水密なタンクと、タンクの中に配された、プラダと呼ばれる、伸縮性のある膜材によって作られ、その内部に常圧よりも高い圧力で気体が充填された気密な風船のようなものとを備えている。プラダと、タンクの間の隙間に浄水12が満たされる。アキュムレータタンク60内の浄水12には、アキュムレータタンク60内の浄水12の量を適宜の範囲とすることにより、プラダから適宜の圧力がかかるようになっている。
アキュムレータタンク60は通常蛇口の上方に配されるが、この実施形態でもそうなっている。アキュムレータタンク60が蛇口の上方に位置することと、プラダからアキュムレータタンク60内の浄水12に適宜の圧力がかかることにより、後述する蛇口から出る浄水12は、適宜の水圧がかかった状態で、蛇口から出ることになる。アキュムレータタンク60内で、浄水12にプラダから十分な圧力を加えることができるのであれば、アキュムレータタンク60は蛇口71の上方に位置させる必要はない。
なお、アキュムレータタンク60内の浄水12の水圧は、図示せぬセンサによって検出されており、その水圧のデータは、例えば常時(数秒置き等、適宜の時間が経過する毎でも構わない。)センサから、コンピュータ40に送られるようになっている。
【0025】
流路管31の先端には、蛇口71が取付けられている。蛇口71は、公知或いは周知のものであり、浄水12の流出の許否を選択できるようになっている。
周知なように、蛇口71を開状態とすれば蛇口71から浄水12が出て、蛇口71を閉状態とすれば蛇口71から浄水12が出ない。
蛇口71の下方には、蛇口71から出た浄水12を受ける受皿72が設けられている。受皿72は、排水口を備えた流し台である。なお、この実施形態による循環式濾過システム1において、外部に露出させることが必須なものは、蛇口71と受皿72のみであり、それ以外のすべての部品は、外部に露出させる必要はない。
【0026】
受皿72の排水口には、排水管83が接続されている。排水管83は、受皿72で受けられた浄水12を原水タンク10に導くためのものであり、これには限られないがこの実施形態では、鉛直とされる。受皿72で受けられた、蛇口71から出た浄水12は、重力によって排水管83内を流下して、原水タンク10へと至るようになっている。
排水管83の途中には、濾過部材84が取付けられている。濾過部材84は、排水管83を介して受皿72から原水タンク10へと向かう浄水12を通過させて、浄水12に含まれる泥や石鹸の成分を濾過して除去するためのものである。この実施形態における濾過部材84は、重力によって流下する汚れた浄水12の濾過を行う。
これには限られないがこの実施形態では、濾過部材84は、図3に示したようなものとされている。
濾過部材84は、バッグフィルター84Aを備えている。バッグフィルター84Aは、メッシュ状の生地で構成された袋であって、これには限られないが、上面が開放されている。バッグフィルター84Aとして用いることのできるバッグフィルターは数多く市販されているので、適当なものを選択して利用可能である。
バッグフィルター84Aの上部には、オイル吸着シート84Bが内蔵されている。オイル吸着シート84Bは、浄水12に含まれた油を除去するシートである。オイル吸着シート84Bは複数枚重ねて、バッグフィルター84Aの中に収納されている。オイル吸着シート84Bとしては、例えば、旭化成ホームプロダクツ株式会社が製造販売する油吸着シート(商品名グリースクリーン(商標)シリーズ)を用いることができる。
バッグフィルター84Aの下部には、イオン交換樹脂と、活性炭との混合物84Cが内蔵されている。イオン交換樹脂と活性炭はともに粉状であって、混合した状態で、バッグフィルター84A内に収納されている。
混合物84C中のイオン交換樹脂は、それを通過する汚れた浄水12に含まれている界面活性剤を除去するのに有用であり、混合物84C中の活性炭は、それを通過する汚れた浄水12に含まれている重金属類や悪臭の原因物質を除去するのに有用である。
なお、濾過部材84は、オイル吸着シート84B、イオン交換樹脂、活性炭のうちの少なくとも1つを含んでいれば足りる。
また、濾過部材84に含まれるバッグフィルター84Aは、濾過部材84の交換を容易にするためのものであり、その効果を必要としないのであれば、オイル吸着シート84B、イオン交換樹脂、活性炭のうちの少なくとも1つは、バッグフィルター84Aに収納されている必要はない。
【0027】
第1実施形態における循環式濾過システム1は、分岐管32を備えている。分岐管32は、原水タンク10内の原水11を、流路管31が作る上述の循環経路とは異なる経路で、循環させるための流路を構成する管である。
分岐管32は、その基端が、流路管31のサブポンプ22よりも上流側、つまりは、流路管31の基端側に接続された管であり、流路管31から分岐している。分岐管32を構成する管の仕様は、流路管31を構成する管と同じでも良いし、そうでなくても良い。
分岐管32の先端から出た原水11は、原水タンク10へと至るようになっている。例えば、分岐管32の先端は、原水タンク10の真上に位置しており、分岐管32の先端から出た原水11は重力によって原水タンク10に落ちるようになっている。
【0028】
分岐管32の途中には、第2浄化設備が設けられている。第2浄化設備は、分岐管32の中を流れる原水11を浄化するための設備である。第2浄化設備は、原水11を浄化することができれば良く、その限りにおいて詳細は問わないが、オゾン発生装置、紫外線殺菌装置、曝気装置のうちの少なくとも1つを含んでいる。
オゾン発生装置は、発生させたオゾンを原水11に供給する機能を有している。原水11にオゾンを供給することにより、オゾンの持つ酸化作用によって、原水11中の有機物が分解され、原水11が浄化されることになる。有機物の分解には、例えば、プランクトンや、細菌、ウィルスの死滅又は不活化の効果も含まれ得る。オゾン発生装置は、公知或いは周知のもので良く、市販のものでも良い。オゾン発生装置としては、例えば、人が吸引しても人体への悪影響が出ない、1000mg/h程度の比較的少量のオゾンを発生させる小型のものを用いることができる。
紫外線殺菌装置は、発生させた紫外線を原水11に照射する機能を有している。原水11に紫外線を照射することにより、細菌、ウィルスの死滅又は不活化の効果を得られることになる。紫外線殺菌装置は、公知或いは周知のもので良く、市販のものでも良い。紫外線殺菌装置としては、例えば、日機装株式会社が製造、販売する深紫外線LEDランプ搭載の流水浄化用の紫外線殺菌装置を用いることができる。
曝気装置は、原水11に対して、例えば、マイクロバブル又はナノバブルを供給することにより曝気を行うものとなっている。原水11に対して曝気を行うことにより原水11中の好気性菌が活発に活動するようになり、それにより、原水11の水質が改善する。曝気装置は、公知或いは周知のもので良く、市販のものでも良い。曝気装置は、曝気装置としては、例えば、ナノバブル発生量が1mlあたり1億個以上のナノバブルが発生するものを用いるのが好ましい。
この実施形態では、これには限られないが、第2浄化設備として、オゾン発生装置91と、紫外線殺菌装置92とが、分岐管32の途中に設けられている。分岐管32を通過する原水11は、オゾン発生装置91と、紫外線殺菌装置92により、上述した原理によって浄化され、その水質が改善される。
第2浄化設備には、他の設備、例えばセディメントフィルタが含まれていても良い。セディメントフィルタは、例えば、第2浄化設備の最上流部に設けられるのが一般的である。
【0029】
上述したように、逆浸透膜浄水ユニット51では、濃縮状態とされた原水11が排水口51Dから出るようになっている。排水口51Dは排出管33の基端と接続されている。排出管33の先端は、分岐管32の、第2浄化設備が設けられた部分よりも上流側(流路管31側)に接続されている。
それにより、逆浸透膜浄水ユニット51で濃縮状態とされた原水11は、排出管33を介して分岐管32に至り、分岐管32の途中に設けられた第2浄化設備によって浄化され、水質を改善された上で原水タンク10へと至るようになっている。
【0030】
次に、以上のように構成された循環式濾過システム1の使用方法、及び動作について説明する。
【0031】
この循環式濾過システム1は、上述したように手洗い場に応用される。
ユーザが手を洗おうとしたとき、ユーザは、蛇口71を操作して、閉状態であった蛇口71を開状態にする。
そうすると、アキュムレータタンク60内に貯まっていた浄水12は、蛇口71に対して相対的に高い位置にあることによって持っている位置エネルギーと、アキュムレータタンク60内に配された図示を省略のプラダからの圧力とにより、アキュムレータタンク60から流路管31を通って蛇口71に向かい、蛇口71から流れ出る。アキュムレータタンク60が蛇口71よりも低い位置にあるなら、蛇口71から出る浄水12にはたらく圧力には、重力は寄与せず、プラダからの圧力のみが寄与することになる。
ユーザは、蛇口71から出た浄水12で手を洗う。ここで、例えばユーザが石鹸を使用すれば、浄水12には石鹸の成分が混ざることになり、また、ユーザの手が汚れていれば浄水12には、油や泥が混ざることになる。そのようにして汚れた浄水12は、受皿72によって受けられる。
【0032】
受皿72によって受けられた汚れた浄水12は、受皿72の排水口から排水管83内を重力によって流下して原水タンク10へと向かう。
その途中で汚れた浄水12は、排水管83の途中にある濾過部材84を通過する。上述したように濾過部材84は、バッグフィルター84Aと、バッグフィルター84Aの内部に収納されたオイル吸着シート84B、及びイオン交換樹脂及び活性炭の混合物84Cとから構成されている。
汚れた浄水12に含まれる固形物のうち、バッグフィルター84Aの目よりも大きいものはバッグフィルター84Aによって濾過され捉えられる。汚れた浄水12に含まれる油は、オイル吸着シート84Bによって捉えられる。汚れた浄水12に含まれる金属イオンや、石鹸の成分の一部は、イオン交換樹脂によって捉えられる。また、汚れた浄水12に含まれる臭気物質やトリハロメタンの一部は、活性炭によって捉えられる。
したがって、濾過部材84を通過することにより、汚れた浄水12はある程度綺麗になる。ある程度綺麗になった浄水12は、排水管83の先端から出て、原水タンク10に落下する。
【0033】
他方、上述したように、アキュムレータタンク60では、アキュムレータタンク60内の浄水12の水圧をセンサが検知している。
その水圧についてのデータは、常時コンピュータ40に送られている。コンピュータ40は、浄水12の水圧が小さくなったとき(例えば、ある値を下回ったとき)、メインポンプ21とサブポンプ22のそれぞれに、接続線21A、接続線22Aを介して駆動信号を送る。それにより、メインポンプ21とサブポンプ22は駆動する。つまり、このとき、メインポンプ21とサブポンプ22とは、連動して駆動する。
メインポンプ21が駆動すると、メインポンプ21が吸い込んだ原水タンク10内の原水11が流路管31の基端から、流路管31の先端側に送られる。他方、サブポンプ22は、メインポンプ21から送られてきた原水11を、原水11に含まれた水が逆浸透膜浄水ユニット51内の逆浸透膜51Bを乗り越えるだけの圧力で、逆浸透膜浄水ユニット51に送り込む。このとき、メインポンプ21から流路管31に送られる原水11の単位時間あたりの量は、サブポンプ22から逆浸透膜浄水ユニット51に送られる原水11の単位時間あたりの量と概ね同じになるように、メインポンプ21とサブポンプ22とはコンピュータ40によって制御される。
それにより、原水タンク10から流路管31内にメインポンプ21によって送られた原水11は、分岐管32に向かうことなく、サブポンプ22によって逆浸透膜浄水ユニット51に送られることになる。
【0034】
サブポンプ22により送られた原水11は、逆浸透膜浄水ユニット51のケース51Aに設けられた流入口51Cからケース51A内に入る。
流入口51からケース51A内に入った原水11には高い圧力がかけられている。それにより、原水11に含まれる純水に近い水分は、逆浸透膜51Bによって分割されたケース51A内部の2つの空間のうちの、流入口51Cと、排水口51Dとが連通している空間から、逆浸透膜51Bを通過して、浄水口51Eが連通している空間に滲み出る。つまり、原水11は、ケース51A内において、逆浸透膜51Bによって、浄水12と、濃縮状態とされた原水11とに分離される。
そして、浄水12は浄水口51Eを介して流路管31に至り、流路管31を通ってアキュムレータタンク60に至る。蛇口71を開状態とすることによってアキュムレータタンク60内の浄水12は減ったが、逆浸透膜浄水ユニット51から浄水12が供給されることにより、減った分のアキュムレータタンク60内の浄水が補充されることになる。上述したように、アキュムレータタンク60内の浄水12の水圧はセンサによって常に検知されており、水圧のデータはコンピュータ40に常時送られている。水圧のデータが所定の範囲に達したら、例えば、蛇口71が開状態とされる前の値に戻ったら、コンピュータ40は、接続線21A又は接続線22Aを介して、メインポンプ21とサブポンプ22に対して、それらの駆動を停止するための停止信号を送る。それにより、メインポンプ21とサブポンプ22とは、駆動を停止する。
他方、濃縮された原水11は、排出口51Dを介して排出管33に至り、排出管33から、分岐管32に至る。濃縮された原水11は、分岐管32を下流側に進み、第2浄化設備に至る。上述したように、この実施形態における第2浄化設備には、オゾン発生装置91と、紫外線殺菌装置92とが含まれている。濃縮された原水11は、オゾン発生装置91からオゾンの供給を受け、また、紫外線殺菌装置92から紫外線を照射されることによって、浄化され水質が改善させられる。
水質が改善させられた原水11は、分岐管32を下流側に進み、分岐管32の先端から出て、原水タンク10に落下する。
【0035】
以上の処理は、蛇口71が閉状態から開状態にさせられたときに、その度に実行される。
他方、この循環式濾過システム1では、蛇口71が開状態であるか閉状態であるかを問わず、以下の処理を実行する。
この循環式濾過システム1では、コンピュータ40が、所定の時間毎に、所定の時間長さだけ、メインポンプ21のみを駆動させる。コンピュータ40は、タイマーを内蔵しており、予め定められた定刻が来ると、接続線21Aを介してメインポンプ21に対して駆動信号を送ることにより、メインポンプ21のみを駆動させる。
メインポンプ21のみが駆動した場合、メインポンプ21は、流路管31の基端から流路管31の先端側に向けて、原水タンク10内に貯まっていた原水11を流そうとする。しかしながら、このとき駆動していないサブポンプ22は流路管31において、閉まった弁のように機能し、原水11の通過を許さない。したがって、原水11は、流路管31から分岐した分岐管32に流れ込む。
分岐管32に流れ込んだ原水11は、上述した濃縮された原水11の場合と同様に分岐管32を下流側に進み、第2浄化設備に至る。原水11は、オゾン発生装置91からオゾンの供給を受け、また、紫外線殺菌装置92から紫外線を照射されることによって、浄化され水質が改善させられる。
水質が改善させられた原水11は、分岐管32を下流側に進み、分岐管32の先端から出て、原水タンク10に落下する。
この処理は、例えば、30分毎に15分間の間実行される。もっとも、この処理が開始される時間間隔と、この処理が実行される1回あたりの時間長さは、常に同じである必要はない。仮に、30分毎に15分間の間だけメインポンプ21のみが駆動させられるとすると、1日24時間のうち、12時間は、原水タンク10に貯められた原水11は、蛇口71が開状態にされたか否かと無関係に、第2浄化設備で浄化されることになる。繰返し第2浄化設備での浄化が行われることにより、原水タンク10内の原水11はある程度浄化された状態が保たれることになるので、蛇口71から出ることになるアキュムレータタンク60に一旦貯められる、流路管31にある浄化設備で浄化された浄水12は、良い水質を保ったものとなる。
メインポンプ21のみを駆動させる処理は、1日に8時間以上実施されるのが好ましい。それにより、原水タンク10内の原水11の水質をある程度高く保つことが可能となる。
なお、メインポンプ21のみを駆動させる処理は、蛇口71が開状態とされている場合には、実行されないようにすることができる。それをもってしても、例えば、夜間においてもメインポンプ21のみを駆動させる処理を実行させるようにコンピュータ40を設定しておけば、メインポンプ21のみを駆動させる処理を1日に8時間以上実施させることは容易である。
なお、以上の説明では、メインポンプ21とサブポンプ22との駆動と停止は、コンピュータ40を用いて制御されることとしていたが、同様の制御が可能なのであれば、より簡単な仕組み、例えば、アキュムレータタンク60に設けられたセンサ、そのセンサと組合されたスイッチ、及びメインポンプ21を駆動するためのタイマー等によって、コンピュータ40を置換することも可能である。
【0036】
≪第2実施形態≫
第2実施形態における循環式濾過システム2の全体構成図を図4に示す。これには限られないが、この実施形態における循環式濾過システム2は、手洗い場の用途に用いられる。
第2実施形態の循環式濾過システム2は、第1実施形態の循環式濾過システム1とかなりの部分で共通している。以下に相違点として説明する部分を除けば、第2実施形態の循環式濾過システム2は、第1実施形態の循環式濾過システム1と同様に構成されている。
【0037】
第2実施形態の循環式濾過システム2は、原水タンク10を備えている。循環式濾過システム2が備える原水タンク10は、第1実施形態の循環式濾過システム1が備える原水タンク10と同じで良く、この実施形態ではそうされている。
第2実施形態の循環式濾過システム2は、第1実施形態の循環式濾過システム1が備えていたのと同様の、メインポンプ21及びサブポンプ22を連動して駆動させることにより、原水タンク10から原水タンク10へと原水11を循環させるための一連の設備を備えている。
つまり、第2実施形態の循環式濾過システム2は、メインポンプ21、流路管31、サブポンプ22、浄化設備、アキュムレータタンク60、蛇口71を備えている。
【0038】
基本的に、第2実施形態の循環式濾過システム2が備えるメインポンプ21、流路管31、サブポンプ22、浄化設備、アキュムレータタンク60、蛇口71は、第1実施形態の循環式濾過システム1が備えるそれらと同じで良く、これには限られないがこの実施形態では、以下に説明する部分を除いてそうされている。
第2実施形態の循環式濾過システム2が備えるメインポンプ21、流路管31、サブポンプ22、浄化設備、アキュムレータタンク60、蛇口71における第1実施形態との違いは、浄化設備の構成である。また、浄化設備の構成に伴い、第2実施形態の循環式濾過システム2におけるサブポンプ22の位置が、第1実施形態の場合と異なるものとなっている。加えて、第2実施形態の循環式濾過システム2における流路管31には、分岐管32が接続されていない。これは、後述するように、第2実施形態の循環式濾過システム2には分岐管32が存在していないからである。
【0039】
第2実施形態における浄化設備は、第1実施形態の場合と同様に、原水タンク10から運ばれてきた原水11を浄化して浄水とするための設備である点では第1実施形態と変わりない。第1実施形態の場合と同様に、第2実施形態の浄化設備は、少なくとも1つの逆浸透膜浄水ユニットを含んでいる。また、第1実施形態の場合と同様に、第2実施形態の循環式濾過システム2でも、浄化設備は、逆浸透膜ではない濾材(例えば、セディメントフィルタ)、オゾン発生装置、紫外線殺菌装置、曝気装置を含んでいても構わない。
ただし、第1実施形態では、逆浸透膜浄水ユニットは、流路管31に1つだけ設けられた逆浸透膜浄水ユニット51のみであったが、第2実施形態の循環式濾過システム2における流路管31には、逆浸透膜浄水ユニット51と、逆浸透膜浄水ユニット52という2つの逆浸透膜浄水ユニットが設けられている。
逆浸透膜浄水ユニット51と逆浸透膜浄水ユニット52とは同じものでも良いし、同じものでなくても良い。ただし、それらが原水11を浄化する原理は、図2を用いて説明したものであり、共通である。例えば、逆浸透膜浄水ユニット51と逆浸透膜浄水ユニット52とでは、図2における逆浸透膜51Bのみが異なるものとなっていても構わない。この実施形態ではこれには限られないが、逆浸透膜浄水ユニット51と逆浸透膜浄水ユニット52とは同じものとされている。
第1実施形態では、サブポンプ22は、流路管31における、1つのみとされた逆浸透膜浄水ユニット51の上流側の位置に設けられていた。それに対して、第2実施形態では、サブポンプ22は、流路管31における、2つとされた逆浸透膜浄水ユニット51及び逆浸透膜浄水ユニット52の間に位置するようになっている。もっとも、サブポンプ22は、逆浸透膜浄水ユニットが複数存在している場合には、その最も下流側に位置するものよりも上流側に配置すれば良い。したがって、サブポンプ22は、逆浸透膜浄水ユニット51よりも上流側に配置されていても構わない。この事情は、仮に第1実施形態の循環式濾過システム1に逆浸透膜浄水ユニットが2つ存在する場合でも同様である。
第2実施形態でも、第1実施形態の場合と同様に、浄化設備のうち、流路管31の最も下流側にあるものを通過した原水11が浄水12となる。第2実施形態では、逆浸透膜浄水ユニット52を通過することにより、原水11が浄水12となる。
【0040】
また、既に述べたように、第2実施形態の循環式濾過システム2には、第1実施形態の循環式濾過システム1が備えていた分岐管32が存在しない。
その代わりに、第2実施形態の循環式濾過システム2には、第1実施形態の循環式濾過システム1には存在しなかった第2流路管34と、第2ポンプ23とが存在している。
第2ポンプ23は、原水タンク10の原水11と触れる範囲の適当な部分に配置されている。第2ポンプ23は、メインポンプ21と同等のものとすることができ、水を送ることのできるポンプであれば良い。
第2ポンプ23は、第2流路管34の基端に接続されている。第2ポンプ23は、原水タンク10内の原水11を、第2流路管34内に導き、第2流路管34の先端側に向けて流すようになっている。
第2ポンプ23は、接続線23Aによってコンピュータ40に接続されており、接続線21Aを介してコンピュータ40に接続されたメインポンプ21と、接続線22Aを介してコンピュータ40に接続されたサブポンプ22と同様に、コンピュータ40の制御下で、駆動と停止の制御が行われるようになっている。なお、第2実施形態におけるコンピュータ40は、第1実施形態におけるコンピュータ40と同等のもので良い。
【0041】
第2流路管34は、後述するようにして、原水タンク10内の原水11を循環させるための管である。第2流路管34の仕様は、流路管31と同等で良く、この実施形態ではこの限りではないがそうされている。第2流路管34の先端から出た原水11は、第1実施形態の分岐管32の先端から出た原水11と同じように、原水タンク10へと落下するようになっている。
第1実施形態では分岐管32に存在した第2浄化設備が、第2実施形態の循環式濾過システム2では、第2流路管34に設けられている。
第2実施形態の場合でも、第1実施形態の場合と同様に、第2浄化設備は、第2流路管34内を流れる原水11を浄化するための設備である。第2実施形態における第2浄化設備は、第1実施形態の場合と同様に、原水11を浄化することができれば良く、その限りにおいて詳細は問わないが、オゾン発生装置、紫外線殺菌装置、曝気装置のうちの少なくとも1つを含んでいる。
この実施形態では、これには限られないが、第2浄化設備として、紫外線殺菌装置92と、曝気装置93とが、第2流路管34の途中に設けられている。第2流路管34を通過する原水11は、紫外線殺菌装置92と、曝気装置93とにより、上述した原理によって浄化され、その水質が改善される。
第2浄化設備には、他の設備、例えばセディメントフィルタが含まれていても良い。セディメントフィルタは、例えば、第2浄化設備の最上流部に設けられるのが一般的である。
【0042】
第1実施形態では、逆浸透膜浄水ユニット51から出た濃縮状態とされた原水11は、排出管33を介して分岐管32内の原水11に合流させられるようになっていた。
第2実施形態では、逆浸透膜浄水ユニット51と、逆浸透膜浄水ユニット52とからそれぞれ生じた濃縮状態とされた原水11が、排出管33を介して第2流路管34の原水11に合流させられるようになっている。第2実施形態における排出管33の先端の第2流路管34に対する接続部分は、第1実施形態における排出管33の先端の分岐管32に対する接続部分がそうであったように、第2浄化設備が設けられた部分よりも上流側となっている。
それにより、逆浸透膜浄水ユニット51、逆浸透膜浄水ユニット52で濃縮状態とされた原水11は、排出管33を介して第2流路管34に至り、第2流路管34の途中に設けられた第2浄化設備によって浄化され、水質を改善された上で原水タンク10へと至るようになっている。
【0043】
次に、以上のように構成された第2実施形態における循環式濾過システム2の使用方法、及び動作について説明する。
【0044】
第2実施形態の循環式濾過システム2は、第1実施形態の場合と同様に、手洗い場に応用される。
ユーザが手を洗おうとしたとき、ユーザは、蛇口71を操作して、閉状態であった蛇口71を開状態にする。
そうすると、アキュムレータタンク60内に貯まっていた浄水12は、第1実施形態の場合と同様に、蛇口71から流れ出る。ユーザは、蛇口71から出た浄水12で手を洗う。ここで、例えばユーザが石鹸を使用すれば、浄水12には石鹸の成分が混ざることになり、また、ユーザの手が汚れていれば浄水12には、油や泥が混ざることになる。そのようにして汚れた浄水12は、受皿72によって受けられる。
受皿72によって受けられた汚れた浄水12は、受皿72の排水口から排水管83内を重力によって流下して原水タンク10へと向かう。
その途中で汚れた浄水12は、排水管83の途中にある濾過部材84を通過して浄化される。ある程度綺麗になった浄水12は、排水管83の先端から出て、原水タンク10に落下する。
ここまでは第1実施形態と変わらない。
【0045】
他方、アキュムレータタンク60では、第1実施形態のときと同様に、アキュムレータタンク60内の浄水12の水圧をセンサが検知している。
その水圧についてのデータは、常時コンピュータ40に送られている。コンピュータ40は、浄水12の水圧が小さくなったとき(例えば、ある値を下回ったとき)、メインポンプ21とサブポンプ22のそれぞれに、接続線21A、接続線22Aを介して駆動信号を送る。それにより、停止していたメインポンプ21とサブポンプ22は駆動する。つまり、このとき、メインポンプ21とサブポンプ22とは、連動して駆動する。
メインポンプ21が駆動すると、メインポンプ21が吸い込んだ原水タンク10内の原水11が流路管31の基端から、流路管31の先端側に送られる。メインポンプ21は、原水11に含まれた水が逆浸透膜浄水ユニット51内の逆浸透膜51Bを乗り越えるだけの圧力をかけつつ、原水11を逆浸透膜浄水ユニット51に送り込む。同様に、サブポンプ22は、原水11に含まれた水が逆浸透膜浄水ユニット52内の逆浸透膜を乗り越えるだけの圧力をかけつつ、原水11を逆浸透膜浄水ユニット52に送り込む。
このとき、メインポンプ21が流す原水11の単位時間あたりの流量と、サブポンプ22が流す原水11の単位時間あたりの流量とが概ね同じになるように、メインポンプ21とサブポンプ22とはコンピュータ40によって制御される。
【0046】
メインポンプ21によって逆浸透膜浄水ユニット51に送られた原水11は、第1実施形態で説明したようにして、濃縮された原水11と、浄水12に近い浄化された原水11とに分離される。浄化された原水11は、流路管31を介してサブポンプ22に向かい、サブポンプ22によって逆浸透膜浄水ユニット52に送られる。サブポンプ22によって逆浸透膜浄水ユニット52に送られた原水11は、逆浸透膜浄水ユニット51で原水11が浄化されるのと同様の原理で、濃縮された原水11と、浄水12とに分離される。
逆浸透膜浄水ユニット52から生じた浄水12は、流路管31に至り、流路管31を通ってアキュムレータタンク60に至る。これによって、蛇口71を開状態とすることによって減ったアキュムレータタンク60内の浄水12が補充される。そして、アキュムレータタンク60内の浄水12の水圧が適当な範囲に達したら、コンピュータ40は、メインポンプ21とサブポンプ22とを停止させる。
他方、逆浸透膜浄水ユニット51と逆浸透膜浄水ユニット52から生じた濃縮された原水11は、排出管33を介して第2流路管34に至る。濃縮された原水11は、第2流路管34を下流側に進み、第2浄化設備に至る。上述したように、第2実施形態における第2浄化設備には、紫外線殺菌装置92と、曝気装置93が含まれている。濃縮された原水11は、紫外線殺菌装置92から紫外線を照射され、また、曝気装置93によって曝気されることによって、浄化され水質が改善させられる。
水質が改善させられた原水11は、第2流路管34を下流側に進み、第2流路管34の先端から出て、原水タンク10に落下する。
【0047】
以上の処理は、蛇口71が閉状態から開状態にさせられたときに、その度に実行される。
他方、この循環式濾過システム2では、蛇口71が開状態であるか閉状態であるかを問わず、以下の処理を実行する。
この循環式濾過システム2では、コンピュータ40が、所定の時間毎に、所定の時間長さだけ、第2ポンプ23を駆動させる。コンピュータ40は、タイマーを内蔵しており、予め定められた定刻が来ると、接続線23Aを介して第2ポンプ23に対して駆動信号を送ることにより、第2ポンプ23を駆動させる。
第2ポンプ23が駆動した場合、第2ポンプ23は、第2流路管34の基端から第2流路管34の先端側に向けて、原水タンク10内に貯まっていた原水11を流す。
第2流路管34内を流れる原水11は、上述した濃縮された原水11の場合と同様に第2流路管34を下流側に進み、第2浄化設備に至る。原水11は、濃縮された原水11の場合と同様に、浄化され水質が改善させられる。
水質が改善させられた原水11は、第2流路管34を下流側に進み、第2流路管34の先端から出て、原水タンク10に落下する。
この処理が実行されるタイミングと、この処理が実行されるときの1回あたりの長さは、第1実施形態の循環式濾過システム1において、メインポンプ21のみが駆動される処理が実行されるときのタイミングと、その処理が実行されるときの1回あたりの長さに準じることができる。
それにより、第2実施形態の循環式濾過システム2でも、第1実施形態の循環式濾過システム1の場合と同様に、蛇口71が開状態にされたか否かと無関係に、原水タンク10内の原水11が、第2浄化設備で繰返し浄化されることになる。それにより、原水タンク10内の原水11はある程度浄化された状態が保たれる。したがって、第2実施形態の場合でも、蛇口71から出ることになるアキュムレータタンク60に一旦貯められる、流路管31にある浄化設備で浄化された浄水12は、良い水質を保ったものとなる。
なお、第2実施形態では、メインポンプ21とサブポンプ22と更には第2ポンプ23とを同時に駆動させることも可能である。
第2実施形態でも、第1実施形態の場合と同様に、コンピュータ40を省略し、他のより簡単な仕組みに置換することが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 循環式濾過システム
2 循環式濾過システム
10 原水タンク
11 原水
12 浄水
21 メインポンプ
22 サブポンプ
23 第2ポンプ
31 流路管
32 分岐管
33 排出管
34 第2流路管
40 コンピュータ
51 逆浸透膜浄水ユニット
52 逆浸透膜浄水ユニット
60 アキュムレータタンク
71 蛇口
72 受皿
84 濾過部材
【要約】
【課題】実用的な循環式濾過システムを提供する。
【解決手段】原水タンク10に貯められた原水11は、原水タンク10から、流路管31を通って、流路管31の途中にある逆浸透膜浄水ユニット51で浄化されてから蛇口71に向かい、蛇口71から出た後受皿72で受けられて原水タンク10に戻るという循環を行う。他方、原水タンク10に貯められた原水11は、定期的に駆動される第2ポンプ23によって、蛇口71の開閉とは無関係に第2流路管34を循環し、第2流路管34の途中にある紫外線殺菌装置92、曝気装置93によって繰返し浄化される。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4