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  • 特許-バルブ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】バルブ
(51)【国際特許分類】
   F16K 1/02 20060101AFI20221018BHJP
   F16K 1/42 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
F16K1/02 B
F16K1/42 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018119955
(22)【出願日】2018-06-25
(65)【公開番号】P2020002960
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】517240687
【氏名又は名称】株式会社生活環境研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100088856
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 佳之夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(72)【発明者】
【氏名】岩頭 文雄
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-080723(JP,U)
【文献】特開平06-201417(JP,A)
【文献】特開2005-083445(JP,A)
【文献】実公昭37-031040(JP,Y1)
【文献】実開平03-112184(JP,U)
【文献】特開2009-2507(JP,A)
【文献】特開2005-147222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 1/00-1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流路を形成しているハウジングと、
前記ハウジングの流体の入口から流体の出口に至る経路中に着脱可能に装着され中心軸線に沿って流体流通孔を有するノズルと、
前記ノズルの前記流体流通孔に対し前記ノズルの一端側から進退するニードルと、を有し、
前記ノズルは、一体成形品からなる前記ハウジングのノズル装着部にねじ込みによって装着され、
前記ハウジングは、前記ノズルを挟んで前記ニードル保持部とは反対側にノズル交換用孔と、前記ノズル交換用孔を塞ぐ蓋を有し、
前記ニードルは、外部からの操作によって進退し前記ノズルの前記流体流通孔を通る流体の流量調整機構を構成しているバルブ。
【請求項2】
前記ノズルは前記ハウジング内に装着され、前記ニードルは前記ハウジングのニードル保持部に装着されて前記ノズルの流体排出端側に進退可能に設けられている請求項1記載のバルブ。
【請求項3】
前記ハウジングの前記入口と前記出口の中心軸線は共通で、前記ノズルは前記流体流通孔が前記ハウジングの前記共通の中心軸線方向に対し直交する方向に向けて装着されている請求項1または2記載のバルブ。
【請求項4】
前記ノズルは、前記流体流通孔の大きさが異なる複数の仕様のものがあり、流体の流量に対応したノズルを選択して前記ノズル装着部に装着することができる請求項1乃至3のいずれかに記載のバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルとニードルを備え、流体の流量を広範囲にわたって調節することができるバルブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
流体の流通と停止とを切り替えるために、流路を開閉するバルブが用いられる。バルブはまた、流路の開閉度合いを調節することにより流体の流通量を調節することもでき、ある種のものにおいては流体の流通方向を切り替えることができるものもある。
【0003】
バルブには、その形や仕組み、動作などによって、ゲートバルブ、ボールバルブ、バタフライバルブ、ニードルバルブ、ストップバルブ、チェックバルブ、スライドバルブ、ロータリーバルブなど、各種のものがある。
【0004】
ほとんどの形式のバルブが、流体の流通量を調節することができる。しかし、従来のバルブは、それぞれの方式によって流体流通路の開閉度を調節するものであり、一つのバルブによって粗調整と微調整とを行うことはできない。したがって、大流量から微小な流量まで広範囲にわたって流量を調節することができるバルブは存在しない。
【0005】
本発明は、後で詳細に説明するように、ノズルとニードルバルブを組み合わせることにより、大流量から微小な流量まで広範囲にわたって流量を調節可能なバルブを提供するものである。ノズルとニードルバルブを組み合わせたものとして、燃料噴射弁、塗布装置のノズル、射出成型機の射出ノズルなどが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0006】
特許文献1および特許文献2記載の発明は何れも、流体の出口すなわち噴出口あるいは射出口になっているノズルの先端部を、ニードルバルブによって開閉するもので、これらも一種のバルブといえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特表2006-518289号公報
【文献】特開2008-290029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1および特許文献2に記載されているノズルは、流体の噴出あるいは射出とその停止とを切り替えるものであり、流体の流量を、粗調整および微調整することはできない。
【0009】
本発明は、流体の流量を広範囲にわたって調整可能なバルブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るバルブは、
流体の流路を形成しているハウジングと、
前記ハウジングの流体の入口から流体の出口に至る経路中に着脱可能に装着され中心軸線に沿って流体流通孔を有するノズルと、
前記ノズルの前記流体流通孔に対し前記ノズルの一端側から進退するニードルと、を有し、
前記ニードルは、外部からの操作によって進退し前記ノズルの前記流体流通孔を通る流体の流量調整機構を構成していることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
ハウジング内を入口から出口に向かって流れる流体の流量は、ノズルの流体流通孔によって制限される。ノズルの流体流通孔とニードルとでニードルバルブを構成しており、ニードルを進退させることにより、流体流通孔を通過した流体の流量を調整することができる。ノズルの流体流通孔による流量制限は流量の粗調整に相当し、前記ニードルバルブによる調整は微調整に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係るバルブの実施例を流体の出口側からみた側面図である。
図2】前記実施例の図1に示す線A-Aに沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るバルブの実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例
【0014】
図1図2に示すように、例えば、金属を素材とするダイキャスト法による一体成形品であるハウジング1を主体としてバルブが構成されている。ハウジング1はほぼ円筒形状であって、流体の入口11と流体の出口12を有する。
【0015】
流体の入口11と出口12は共通の中心軸線Oに沿って並んでいる。図2に示すハウジング1の態様では、上記中心軸線Oは水平方向になっている。流体の入口11には流体の配管の上流側が接続され、流体の出口12には流体の配管の下流側が接続される。本実施例に係るバルブを前記配管に接続するために、ハウジング1の入口11側と出口12側には、円筒形の内周面に雌ねじが形成されている。
【0016】
本実施例に係るバルブは上記のように流体の流路となる配管の途中に装着された態様で使用される。流体は、一般的には液体または気体であり、場合によっては液体と気体の中間的なゼル状のもの、粉体あるいは微小な粒状のものなどがある。流体の入口11側には、流体から固形物を取り除くために、ストレーナを装着してもよい。
【0017】
ハウジング1内には、流体の入口11と出口12との間の上記中心軸線O方向のほぼ中央部に、ノズル装着部15が形成されている。ノズル装着部15は、ハウジング1の半径方向すなわちハウジング1の中心軸線Oに対し直交する方向に突出して上記入口11と出口12を区切るように、また、中心軸線O方向に厚みをもって形成されている。ノズル装着部15には、図2において下側に、流体の連通路13が、入口11側から中心軸線O方向に、出口12側の壁を残して途中まで形成されている。ノズル装着部15には、図2において上側に、流体の連通路14が、出口12側から中心軸線O方向に、入口11側の壁を残して途中まで形成されている。
【0018】
ハウジング1には、その外周から中心軸線Oに直交する方向に、かつ、前記連通路13および中心軸線Oを横切って、ノズル装着孔15Aが形成されている。ノズル装着孔15Aは円筒形状で、前記連通路13と連通路14を連通させている。ノズル装着孔15Aの内周面には雌ねじが形成され、この雌ねじにノズル5がねじ込まれることによって、ノズル装着部15にノズル5が装着されている。
【0019】
ノズル5は、ノズル5の中心軸線に沿ってノズル5を貫通した流体流通孔51を有する。図2においては、ハウジング1の中心軸線Oが左右方向を向いているのに対し、ノズル5の流体流通孔51は、上下方向に向いている。ノズル5は、流体流通孔51の径が異なる複数の仕様のものが用意され、流体の流量に適合した仕様のものを選択して装着することができる。ノズル5の外径はノズル装着孔15Aの径に合わせて一定の外径である。
【0020】
流体は、入口11、連通孔13、ノズル5の流体流通孔51、連通孔14、出口12の順に流れる。図2においてノズル5は上下方向に向けて装着され、流体は流体流通孔51を下から上に向かって流れる。
【0021】
ハウジング1には、ノズル5の一端側と対向する位置にニードル保持部16が形成されている。より具体的には、ノズル5の流体流通孔51の流体排出端と対向する位置にニードル保持部16が形成されている。ニードル保持部16は、全体として円筒形状のハウジング1の長さ方向中心部において外周面から半径方向外方に向かって円筒形状に膨出している。
【0022】
ニードル保持部16の内周面には雌ねじが形成され、この雌ねじに、ニードル20の外周のネジ部22がねじ込まれることによってニードル20が装着されている。ニードル20は、その中心軸線の周りに回転させることにより、ネジ部22が上記雌ねじにガイドされ、ニードル保持部16において進退可能に保持されている。
【0023】
ニードル20は、図2において下端部に該当する先端部21が鋭角的な円錐形状になっていて、先端部21の一部がノズル5の上端部において流体流通孔51に進入するとともに、流体流通孔51に対して進退することができる。ニードル20とノズル5とでニードルバルブを構成している。ノズル5の流体排出端は、ニードルバルブの円形の弁座に相当する。
【0024】
上記弁座にニードル20の円錐形状の先端部21が進退することにより、ノズル5の流体流通孔51の流体排出端側周壁とニードル20の先端部21との間に生じるリング状の間隙の面積が増減する。上記間隙の面積の増減によって、入口11から出口12に流れる流体の流量を調整することができる。すなわち、上記ニードルバルブは、ノズル5の流体流通孔51を通る流体の流量調整機構を構成している。
【0025】
ニードル20は、図2において上端部が操作部23になっていて、操作部23を回転操作することにより、上記のとおりニードル20を進退させることができる。ニードル20は袋ナット32を貫いている。袋ナット32はニードル保持部16の外周に形成されている雄ねじにねじ込まれている。ニードル20とニードル保持部16との間、袋ナット32とニードル20およびニードル保持部16との間には適宜のシール材が介在していて、ハウジング1の内部が密閉されている。
【0026】
ハウジング1は、ノズル20を挟んでニードル保持部16とは反対側に、ノズル交換用孔18を有している。ノズル交換用孔18の周壁には雌ねじが形成され、この雌ねじには蓋30がねじ込まれている。ノズル交換用孔18は蓋30および適宜のシール材によって密閉されている。
【0027】
以上説明したバルブの実施例は、例えば送水管の途中に接続する。送水管の上流側を入口11に、送水管の下流側を出口12に接続する。ハウジング1の入口11から、連通孔13、ノズル5の流体流通孔51、連通路14および出口12の順に水が流れる。ノズル5を備えていることにより、水の流速、水圧および流量が軽減される。さらに、ニードル20とノズル5で構成されているニードルバルブで水の流量が制限され出口12から排出される。ノズル5に対してニードル20を進退させることにより水の流量を調整することができる。
【0028】
図1図2は、バルブをニードル保持部16が上、ノズル交換用孔18が下になる態様で表している。しかし、バルブの装着姿勢は任意である。例えば、蓋30が上側になるように、ハウジング1をその中心軸線の周りに回転させて設置することも可能であり、そうすることによってノズル5の交換が容易になる。蓋30が上側になる上記の設置態様ではニードル20の操作部23がハウジング1の下側に位置することになるが、操作部23の操作による流量調整は回転操作するだけであるから、操作に支障はない。ハウジング1の回転姿勢が、横向きあるいは斜め向きになってニードル20の操作部23が横あるいは斜めに位置しても、ノズル5の交換および操作部23の操作性は良好である。
【0029】
ノズル5の着脱は、蓋30を取り外し、ノズル5に対向するハウジング1の位置を開放することにより容易に行うことができる。ノズル5は、流体流通孔51の径が異なる複数の仕様の中から、流体の流量に適応した孔径のノズル5を選択して装着する。
【0030】
ノズル5の仕様の選定は、流体の流量の粗調整ということができる。流体の流量の微調整は、ノズル5とニードル20からなるニードルバルブによって行うことができる。ノズル5は排出孔が大きめのものを選定しておき、ニードルバルブによって流量を絞りながら微調整を行う。
【0031】
上記実施例係るバルブによれば、比較的大きな流体流通孔51を有するノズル5を装着しておき、流体の流量はニードルバルブを外部操作することにより微調整すすることができる。したがって、流体の流量を広範囲にわたり容易かつ迅速に行うことができる。また、ニードルバルブによって、流体の流量を、段階的にではなく連続的に、きめ細かく調節することができる。ニードルバルブを外部から操作するだけで、排出する流体の流量を微調整し、最も適した流量に設定することができる。
【0032】
流体の流量の調整を、出口12から排出される流体の様子を観察しながら行うことができるように、出口12に接続される配管に観察窓を設け、あるいは、観察用の分岐管を設けてもよい。
【0033】
仮に、ノズル5を仕様の異なるものに交換する必要性が生じた場合でも、蓋30を取り外すことによってノズル5を容易に交換することができる。
【0034】
流体の流量調整を行った後はニードル20の調整位置を保持する。ニードル20は調整する必要がある場合にのみ操作できればよい。そこで、ニードル20の操作部23はニードル20に着脱できる構造にし、必要な場合にのみ操作部材を装着するようにするとよい。
【0035】
図示の実施例では、ニードルバルブをノズル5の流体排出端側に配置していたが、ノズル5の流体流入端側に配置してもよい。その場合、ノズル5を挟んでニードル保持部とは反対側にノズル交換用孔を設け、このノズル交換用孔からノズル5を着脱するようにする。前記ノズル交換用孔は蓋によって塞ぐ。
【0036】
ノズル5だけでなく、ニードル20も複数の仕様のものを用意しておき、流体の流通条件に対応して最適なものを選択して装着するようにしてもよい。ニードル20は、円錐形状の先端部21の角度を異ならせることによって仕様を変えることができる。ニードル20をその先端部21が先鋭的な仕様のものを選択すると、ニードルの移動距離に対して、ノズル5の流体流通孔51の周壁とニードル20の先端部21との間に生じる間隙の面積変化が微小になる。よって、流量をきめ細かく調整することができる。
【0037】
前記実施例に係るバルブは、ノズルとニードルバルブを組み合わせることにより、流体の流量調整を広範囲にわたって調整することが可能であり、かつ、流体流量の微調整も可能になった。また、ノズルを利用してニードルバルブを構成したため、上記の流量調整が可能であるにもかかわらず、バルブの構成を簡略化することができる。
【0038】
本発明に係るバルブは、例えば、プラントや各種装置などにおいて、各種流体の制御に利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 ハウジング
5 ノズル
11 流体の入口
12 流体の出口
15 ノズル装着部
16 ニードル保持部
18 ノズル交換用孔
20 ニードル
図1
図2