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特許7160311表示装置及び表示装置を組み込んだ電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】表示装置及び表示装置を組み込んだ電子機器
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20221018BHJP
   G02F 1/1343 20060101ALI20221018BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20221018BHJP
   G03B 7/095 20210101ALI20221018BHJP
   G03B 9/08 20210101ALI20221018BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/1343
G02F1/13357
G03B7/095
G03B9/08 G
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018123159
(22)【出願日】2018-06-28
(65)【公開番号】P2020003648
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】金子 寿輝
(72)【発明者】
【氏名】海東 拓生
(72)【発明者】
【氏名】西山 和廣
(72)【発明者】
【氏名】木村 裕之
【審査官】近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/022887(WO,A1)
【文献】特開2015-129869(JP,A)
【文献】特開平09-080581(JP,A)
【文献】国際公開第2017/075459(WO,A1)
【文献】特開2014-211573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02F 1/1343
G02F 1/13357
G03B 7/095
G03B 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラと、
第1偏光板と、
第2偏光板と、
前記第1偏光板と前記第2偏光板との間に位置する液晶パネルと、
前記液晶パネルを制御するコントローラと、を備え、
前記液晶パネルは、第1基板と第2基板とで封止された液晶層を備え、
前記液晶パネルは、カラーフィルタ層が配置された第1表示領域と、カラーフィルタ層を配置されていない第2表示領域と、前記第1表示領域及び前記第2表示領域に亘って配置された透明層と、を有し、
前記透明層は、前記第1表示領域でカラーフィルタ層と接し、前記第2表示領域で前記第2基板と接し、
前記液晶パネルの前記第1表示領域は、マトリクス状に配置された画素を有し、
前記液晶パネルの前記第2表示領域は、前記カメラに重畳する第1領域及び第2領域を有し、
前記コントローラは、前記第1領域及び前記第2領域で透光する第1開口モードと、前記第1領域の透過光量を前記第2領域の透過光量よりも低減する第2開口モードと、を制御する、電子機器。
【請求項2】
さらに、明るさを計測する光センサを備え、
前記コントローラは、前記光センサによる計測結果に基づいて、前記第1開口モード及び前記第2開口モードのいずれかを選択する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記液晶パネルは、前記カメラの外側で前記第1領域を囲む第3領域を有し、
前記コントローラは、前記第1開口モードに対応して前記第3領域に環状の第1パターンを表示し、前記第2開口モードに対応して前記第3領域に環状の第2パターンを表示するように前記液晶パネルを制御し、
前記第2パターンの内側に表示される開口パターンの面積は、前記第1パターンの内側に表示される開口パターンの面積より小さい、請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
さらに、側面と、前記液晶パネルに対向する主面と、を有する導光板と、
前記側面に対向する光源と、を備え、
前記第3領域は、前記導光板に重畳している、請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記導光板は、第1貫通孔を有し、
前記第1領域及び前記第2領域は、前記第1貫通孔に重畳している、請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記カメラは、前記第1貫通孔に設けられている、請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
さらに、前記導光板と前記液晶パネルとの間に位置する光学シートを備え、
前記光学シートは、前記第1貫通孔に重畳する第2貫通孔を有している、請求項5または6に記載の電子機器。
【請求項8】
さらに、反射シートを備え、
前記導光板は、前記反射シートと前記光学シートとの間に位置し、
前記反射シートは、前記第1貫通孔に重畳する第3貫通孔を有している、請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
カメラの前方に配置される表示装置であって、
第1偏光板と、
第2偏光板と、
前記第1偏光板と前記第2偏光板との間に位置する液晶パネルと、を備え、
前記液晶パネルは、第1基板と第2基板とで封止された液晶層を備え、
前記液晶パネルは、カラーフィルタ層が配置された第1表示領域と、カラーフィルタ層を配置されていない第2表示領域と、前記第1表示領域及び前記第2表示領域に亘って配置された透明層と、を有し、
前記透明層は、前記第1表示領域でカラーフィルタ層と接し、前記第2表示領域で前記第2基板と接し、
前記液晶パネルの前記第1表示領域は、マトリクス状に配置された画素を有し、
前記液晶パネルの前記第2表示領域は、前記カメラに重畳する第1領域及び第2領域を有し、
第1開口モードにおいて、前記第1領域及び前記第2領域で透光し、
第2開口モードにおいて、前記第1領域の透過光量を前記第2領域の透過光量よりも低減する、表示装置。
【請求項10】
前記液晶パネルは、前記カメラの外側で前記第1領域を囲む第3領域を有し、
前記第1開口モードにおいて、前記第3領域に環状の第1パターンを表示し、
前記第2開口モードにおいて、前記第3領域に環状の第2パターンを表示し、
前記第2パターンの内側に表示される開口パターンの面積は、前記第1パターンの内側に表示される開口パターンの面積より小さい、請求項9に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置、表示装置を組み込んだ電子機器、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示部及びカメラを同一面側に備えたスマートフォン等の電子機器が広く実用化されている。このような電子機器では、カメラが表示部の外側に設けられており、カメラを設置するためのスペースを確保する一方で、表示部の外側の額縁幅を縮小する要望が高まっている。
また、鮮明な写真を撮影可能とすることが要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-40908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態の目的は、狭額縁化が可能な表示装置、表示装置を組み込んだ電子機器、及び、プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態によれば、
カメラと、
第1偏光板と、
第2偏光板と、
前記第1偏光板と前記第2偏光板との間に位置する液晶パネルと、
前記液晶パネルを制御するコントローラと、を備え、
前記液晶パネルは、前記カメラに重畳する第1領域及び第2領域を有し、
前記コントローラは、前記第1領域及び前記第2領域で透光する第1開口モードと、前記第1領域の透過光量を前記第2領域の透過光量よりも低減する第2開口モードと、を制御する、電子機器が提供される。
本実施形態によれば、
カメラの前方に配置される表示装置であって、
第1偏光板と、
第2偏光板と、
前記第1偏光板と前記第2偏光板との間に位置する液晶パネルと、を備え、
前記液晶パネルは、前記カメラに重畳する第1領域及び第2領域を有し、
第1開口モードにおいて、前記第1領域及び前記第2領域で透光し、
第2開口モードにおいて、前記第1領域の透過光量を前記第2領域の透過光量よりも低減する、表示装置が提供される。
本実施形態によれば、
カメラと、
前記カメラに重畳する第1領域及び第2領域を有する液晶素子と、を制御するコンピュータに、
前記第1領域及び前記第2領域で透光する第1開口モードと、
前記第1領域の透過光量を前記第2領域の透過光量よりも低減する第2開口モードと、
を実現させるためのプログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本実施形態の表示装置DSPの一構成例を示す分解斜視図である。
図2図2は、図1に示した表示装置DSP及びカメラ1を含む断面図である。
図3図3は、図1に示した液晶パネルPNLの一構成例を示す平面図である。
図4図4は、図3に示した第1画素PX1を含む液晶素子LCDの断面図である。
図5図5は、図3に示した第2画素PX2を含む液晶素子LCDの断面図である。
図6図6は、液晶パネルPNLを制御するための一構成例を示すブロック図である。
図7図7は、カメラ1に重畳する液晶素子LCDの一構成例を示す平面図である。
図8図8は、図7に示した液晶素子LCDの制御例を示す平面図である。
図9図9は、図7に示した液晶素子LCDの他の制御例を示す平面図である。
図10図10は、本実施形態の液晶素子LCDの制御例を説明するためのフローチャートである。
図11図11は、カメラ1に重畳する液晶素子LCDの他の構成例を示す平面図である。
図12図12は、図11に示した液晶素子LCDの断面図である。
図13図13は、図11に示した液晶素子LCDの制御例を示す平面図である。
図14図14は、図11に示した液晶素子LCDの他の制御例を示す平面図である。
図15図15は、本実施形態の液晶素子LCDにおいてカメラ1の外側に表示されるパターンの表示例を示す図である。
図16図16は、本実施形態の液晶素子LCDの制御例を説明するためのフローチャートである。
図17図17は、本実施形態の表示装置DSPにおける表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
図1は、本実施形態の表示装置DSPの一構成例を示す分解斜視図である。一例では、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。第1方向X及び第2方向Yは、表示装置DSPを構成する基板の主面と平行な方向に相当し、第3方向Zは、表示装置DSPの厚さ方向に相当する。
【0009】
表示装置DSPは、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2と、液晶パネルPNLと、光学シートOSと、導光板LGと、光源EMと、反射シートRSと、を備えている。反射シートRS、導光板LG、光学シートOS、第1偏光板PL1、液晶パネルPNL、及び、第2偏光板PL2は、この順に第3方向Zに沿って並んでいる。複数の光源EMは、第1方向Xに沿って間隔をおいて並んでいる。少なくとも光源EM及び導光板LGは、液晶パネルPNLを照明する面状光源ALSを構成している。面状光源ALSは、さらに、光学シートOS及び反射シートRSを含んでいてもよい。第1偏光板PL1、第2偏光板PL2、及び、液晶パネルPNLは、第3方向Zに沿って進行する光に対して、光学的なスイッチ機能を備えた液晶素子LCDを構成している。このような液晶素子LCDは、第1方向X及び第2方向Yによって規定されるX-Y平面内の領域毎に、透光または遮光する機能を発揮するものである。
このような表示装置DSPを組み込んだ電子機器100は、カメラ1を備えている。
【0010】
液晶パネルPNLは、X-Y平面と平行な平板状に形成されている。液晶パネルPNLは、第1偏光板PL1と第2偏光板PL2との間に位置している。液晶パネルPNLは、画像を表示する表示部DAと、表示部DAを囲む額縁状の非表示部NDAと、を備えている。本実施形態では、液晶パネルPNLが第3方向Zにおいてカメラ1に重畳しており、特に、表示部DAがカメラ1に重畳している。液晶パネルPNLの詳細な構成について、ここでは説明を省略するが、液晶パネルPNLは、基板主面に沿った横電界を利用する表示モード、基板主面の法線に沿った縦電界を利用する表示モード、基板主面に対して斜め方向に傾斜した傾斜電界を利用する表示モード、さらには、上記の横電界、縦電界、及び、傾斜電界を適宜組み合わせて利用する表示モードに対応したいずれの構成を備えていてもよい。ここでの基板主面とは、X-Y平面と平行な面である。
【0011】
第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2は、液晶パネルPNLに対して、少なくとも表示部DAに重畳している。また、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2は、第3方向Zにおいて、カメラ1に重畳している。
【0012】
導光板LGは、光源EMに対向する第1側面SAと、第1側面SAの反対側の第2側面SBと、液晶パネルPNLに対向する主面SCと、主面SCの反対側の主面SDと、第1貫通孔TH1と、を有している。第1貫通孔TH1は、第2方向Yにおいて、第1側面SAと第2側面SBとの間に位置し、第1側面SAよりも第2側面SBに近接している。カメラ1は、第3方向Zにおいて、第1貫通孔TH1に重畳している。
【0013】
複数の光学シートOSは、導光板LGと液晶パネルPNLとの間に位置し、主面SCに対向している。光学シートOSの各々は、第1貫通孔TH1に重畳する第2貫通孔TH2を有している。光学シートOSは、例えば、プリズムシートや拡散シートである。
【0014】
反射シートRSは、主面SDに対向している。つまり、導光板LGは、反射シートRSと光学シートOSとの間に位置している。反射シートRSは、第1貫通孔TH1に重畳する第3貫通孔TH3を有している。第3貫通孔TH3、第1貫通孔TH1、及び、第2貫通孔TH2は、第3方向Zに沿ってこの順に並び、同一直線上に設けられている。反射シートRSは、例えば金属からなるフレームに固定されていてもよい。その場合、フレームにも第1貫通孔TH1に重畳する貫通孔を設けてもよい。
【0015】
光源EMは、例えば、発光ダイオード(LED)であり、白色の照明光を出射する。光源EMから出射される照明光は、第1側面SAから入射し、第2方向Yを示す矢印の向きに沿って進行する。そして、導光板LGによって導光された照明光は、主面SCから液晶パネルPNLに向かって出射され、液晶パネルPNLを照明する。液晶パネルPNL、第1偏光板PL1、及び、第2偏光板PL2は、表示部DAにおいて、照明光を選択的に透過することで、画像を表示する。
【0016】
図2は、図1に示した表示装置DSP及びカメラ1を含む断面図である。液晶パネルPNLは、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、液晶層LCと、シールSEと、を備えている。シールSEは、非表示部NDAに位置し、第1基板SUB1と第2基板SUB2とを接着するとともに、液晶層LCを封止している。
【0017】
以下、第1基板SUB1及び第2基板SUB2の主要部について、簡単に説明する。第1基板SUB1は、第1絶縁基板10と、配向膜AL1と、を備えている。第2基板SUB2は、第2絶縁基板20と、カラーフィルタ層CFと、遮光層BMAと、透明層OCと、配向膜AL2と、を備えている。
第1絶縁基板10及び第2絶縁基板20は、ガラス基板や可撓性の樹脂基板などの透明基板である。配向膜AL1及びAL2は、液晶層LCに接している。
カラーフィルタ層CF、遮光層BMA、及び、透明層OCは、第2絶縁基板20と液晶層LCとの間に位置している。
遮光層BMAは、非表示部NDAに位置している。表示部DAと非表示部NDAとの境界Bは、遮光層BMAの内側端に相当する。シールSEは、遮光層BMAと重畳する位置に設けられている。
カラーフィルタ層CFの詳細については、ここでは省略するが、例えば、カラーフィルタ層CFは、赤色、緑色、青色のそれぞれのカラーフィルタを備えている。透明層OCは、カラーフィルタ層CF及び遮光層BMAを覆っている。透明層OCは、例えば、透明な有機絶縁膜である。
【0018】
本実施形態において、表示部DAは、カラーフィルタ層CFが配置された領域A1と、カラーフィルタ層CFが配置されていない領域A2と、を有している。透明層OCは、領域A1及び領域A2に亘って配置され、領域A1においてはカラーフィルタ層CFに接し、領域A2においては第2絶縁基板20に接している。カメラ1と表示部DAとの位置関係に着目すると、カメラ1は、領域A2に重畳している。つまり、カラーフィルタ層CFは、カメラ1に重畳していない。
【0019】
第1偏光板PL1は、第1絶縁基板10に接着されている。第2偏光板PL2は、第2絶縁基板20に接着されている。第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2は、領域A1及び領域A2に亘って配置され、カメラ1に重畳している。なお、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2は、必要に応じて位相差板、散乱層、反射防止層などを備えていてもよい。
例えば、第2偏光板PL2または第1偏光板PL1に、超複屈折フィルムを備えることも可能である。超複屈折フィルムは、直線偏光が入射したときに透過光を非偏光化(自然光化)することが知られており、被写体に偏光を発するものが含まれていても違和感なく撮影が可能となる。例えば、カメラ1の被写体に液晶表示装置等が映り込んだ場合に、液晶表示装置からは直線偏光が出射されているので、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2と、被写体となっている液晶表示装置の偏光板との角度の関係で、カメラ1に入射する被写体の液晶表示装置の明るさが変化し、撮影時に違和感を生ずるおそれがある。しかしながら、第2偏光板PL2または第1偏光板PL1に超複屈折フィルムを備えることで、違和感を生じさせる明るさの変化を抑えることが可能である。
超複屈折性を示すフィルムとしては、例えば東洋紡(株)のコスモシャイン(登録商標)などが好適に用いられる。ここで超複屈折性とは、可視域、例えば550nmの光に対する面内方向のリタデーションが800nm以上のものを言う。
【0020】
第1貫通孔TH1、第2貫通孔TH2、及び、第3貫通孔TH3は、互いに重畳し、液晶パネルPNLの下方に開放されたスペースSPを形成している。カメラ1は、第1貫通孔TH1等によって形成されたスペースSPに設けられている。カメラ1は、例えば、少なくとも1つのレンズを含む光学系2と、イメージセンサ(撮像素子)3と、ケース4と、を備えている。ケース4は、光学系2及びイメージセンサ3を収容している。光学系2は、液晶パネルPNLとイメージセンサ3との間に位置しており、カメラ1は液晶パネルPNLを介して受光可能である。カメラ1は、配線基板Fに電気的に接続されている。なお、カメラ1は、必ずしも第1貫通孔TH1内に設けられる必要はなく、スペースSPの外側に設けられていてもよい。いずれにしても、カメラ1は、第3方向Zにおいて第1貫通孔TH1に重畳する位置に設けられていればよい。本実施形態では、第1貫通孔TH1に重畳するカメラ1を設けた例について説明したが、第1貫通孔TH1及び光学系2を通して照射された光を受光して電気信号を出力する受光素子が第1貫通孔TH1に重畳していてもよい。
【0021】
本実施形態によれば、カメラ1は、液晶パネルPNLの表示部DAに重畳している。このため、非表示部NDAにカメラ1を設置するためのスペースを設ける必要がない。したがって、カメラ1が非表示部NDAに重畳している場合、あるいは、カメラ1が表示部DAに重畳することなくカメラ1及び液晶パネルPNLが第2方向Yに並んで配置された場合と比較して、非表示部NDAの額縁幅を縮小することができる。
【0022】
また、カメラ1がカラーフィルタ層CFに重畳していないため、液晶パネルPNLを介してカメラ1に入射した光は、カラーフィルタ層CFの影響をほとんど受けない。このため、カラーフィルタ層CFによる不所望な吸収や色付きを抑制することができる。
【0023】
なお、図2に示した例では、カラーフィルタ層CFは、第2基板SUB2に設けられたが、第1基板SUB1に設けられていてもよい。
【0024】
図3は、図1に示した液晶パネルPNLの一構成例を示す平面図である。図3において、液晶層LC及びシールSEは、異なる斜線で示している。表示部DAは、ノッチ部を含まない略四角形の領域であり、シールSEで囲まれた内側に位置している。
【0025】
表示部DAにおいて、領域A1及び領域A2は、第2方向Yに沿って並んでいる。図2を参照して説明したように、領域A1はカラーフィルタ層CFが配置された領域であり、領域A2はカラーフィルタ層CFが配置されていない領域である。つまり、領域A2は、モノクロ表示領域であり、白(または透明)表示から黒表示までの段階的な表示が可能な領域に相当する。つまり、領域A2では、中間調(グレー)表示も可能である。一方、領域A1は、カラー表示が可能な領域に相当する。図3に示した例では、領域A2は、カメラ1と重畳する領域を含み、第1方向Xに延出している。なお、領域A2は、カメラ1と重畳する領域のみであってもよく、この場合には、領域A1は、カメラ1の周囲の領域まで拡張される。
【0026】
液晶パネルPNLは、表示部DAの領域A1及び領域A2において、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列された画素PXを備えている。領域A1に含まれる第1画素PX1は、カメラ1に重畳していない。領域A2は、カメラ1に重畳する第2画素PX2を含んでいる。表示部DAにおける各画素PXは、同一の回路構成を有している。
なお、図3において、カメラ1の外形を点線で示し、カメラ1に重畳する第2画素PX2を示している。理想的には第2画素PX2はカメラ1のレンズを含む光学系2と、平面視で重なるものであるが、カメラ1のケース4と重なる画素PXを第2画素PX2に含めてもよい。
【0027】
図3において拡大して示すように、各画素PXは、スイッチング素子SW、画素電極PE、共通電極CE、液晶層LC等を備えている。スイッチング素子SWは、例えば薄膜トランジスタ(TFT)によって構成され、走査線G及び信号線Sと電気的に接続されている。画素電極PEは、スイッチング素子SWと電気的に接続されている。画素電極PEの各々は、共通電極CEと対向し、画素電極PEと共通電極CEとの間に生じる電界によって液晶層LCを駆動している。容量CSは、例えば、共通電極CEと同電位の電極、及び、画素電極PEと同電位の電極の間に形成される。
【0028】
配線基板5は、第1基板SUB1の延出部Exに電気的に接続されている。ICチップ6は、配線基板5に電気的に接続されている。なお、ICチップ6は、延出部Exに電気的に接続されていてもよい。ICチップ6は、例えば、画像表示に必要な信号を出力するディスプレイドライバなどを内蔵している。配線基板5は、折り曲げ可能なフレキシブルプリント回路基板である。
【0029】
図4は、図3に示した第1画素PX1を含む液晶素子LCDの断面図である。ここでは、第1偏光板PL1と第2偏光板PL2との間に、横電界を利用する表示モードに対応した液晶パネルPNLを備えた液晶素子LCDについて説明する。
【0030】
第1基板SUB1は、第1絶縁基板10と配向膜AL1との間に、絶縁膜11及び12と、共通電極CEと、画素電極PEと、を備えている。なお、図3に示した走査線、信号線、及び、スイッチング素子は、例えば、第1絶縁基板10と共通電極CEとの間に位置している。共通電極CEは、絶縁膜11の上に位置し、絶縁膜12によって覆われている。画素電極PEは、絶縁膜12の上に位置し、配向膜AL1によって覆われている。画素電極PEは、絶縁膜12を介して、共通電極CEと対向している。共通電極CE及び画素電極PEは、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)やインジウム・ジンク・オキサイド(IZO)などの透明な導電材料によって形成されている。絶縁膜11は、詳述しないが、無機絶縁膜及び有機絶縁膜を含んでいる。絶縁膜12は、例えば、シリコン窒化物等の無機絶縁膜である。
【0031】
第2基板SUB2において、遮光層BMBは、図2を参照して説明した非表示部NDAの遮光層BMAと一体的に形成されている。カラーフィルタ層CFは、赤色のカラーフィルタCFR、緑色のカラーフィルタCFG、及び、青色のカラーフィルタCFBを含んでいる。カラーフィルタCFGは、画素電極PEと対向している。他のカラーフィルタCFR及びCFBも、それぞれ図示しない他の画素電極PEと対向している。
【0032】
液晶素子LCDを駆動する駆動部DRは、例えば、図3に示した走査線Gと電気的に接続された走査線駆動回路、及び、信号線Sと電気的に接続された信号線駆動回路を含んでいる。
駆動部DRは、表示部DAの各画素PXに対して、画像表示に必要な信号を出力し、液晶素子LCDの透過率を制御する。液晶素子LCDの透過率は、液晶層LCに印加される電圧の大きさに応じて制御される。
例えば、第1画素PX1において、液晶層LCに電圧が印加されていないオフ状態では、液晶層LCに含まれる液晶分子LMは、配向膜AL1及びAL2の間で所定の方向に初期配向している。このようなオフ状態では、図1に示した光源EMから第1画素PX1に導光された光は、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2によって吸収される。このため、液晶素子LCDは、オフ状態の第1画素PX1において、黒を表示する。
一方、液晶層LCに電圧が印加されたオン状態では、液晶分子LMは、画素電極PEと共通電極CEとの間に形成された電界により初期配向方向とは異なる方向に配向し、その配向方向は電界によって制御される。このようなオン状態では、第1画素PX1に導光された光の一部は、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2を透過する。このため、液晶素子LCDは、オン状態の第1画素PX1において、カラーフィルタ層CFに応じた色を表示する。
上記の例は、オフ状態で黒を表示する所謂ノーマリーブラックモードに相当するが、オン状態で黒を表示する(オフ状態で白を表示する)ノーマリーホワイトモードが適用されてもよい。
【0033】
図5は、図3に示した第2画素PX2を含む液晶素子LCDの断面図である。第2画素PX2は、図4に示した第1画素PX1と比較して、第2基板SUB2がカラーフィルタ層CFを備えていない点で相違している。すなわち、透明層OCは、画素電極PEの直上において、第2絶縁基板20に接している。尚、透明層OCの厚みを調整するため、透明層OCと第2絶縁基板20との間に、透明な樹脂層を設けてもよい。
【0034】
液晶素子LCDの第2画素PX2における透過率は、第1画素PX1と同様に、駆動部DRにより制御される。すなわち、液晶素子LCDは、液晶層LCに電圧が印加されていないオフ状態の第2画素PX2において、第1画素PX1と同様に、最小透過率となり、黒を表示する。つまり、液晶素子LCDは、第2画素PX2において、遮光機能を発揮する。
一方、液晶層LCに電圧が印加されたオン状態では、第2画素PX2に導光された光の一部は、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2を透過する。液晶素子LCDは、オン状態の第2画素PX2において、最大透過率の場合に、白を表示する、あるいは、透明状態となる。また、上記の通り、液晶素子LCDは、最小透過率と最大透過率との間の中間透過率となるように制御され、グレーを表示する場合もありうる。つまり、液晶素子LCDは、第2画素PX2において、透光機能を発揮する。
尚、本実施形態では、領域A1と領域A2とに遮光層BMBが形成されているが、領域A2における遮光層BMBの幅を、領域A1における遮光層BMBの幅よりも狭くしてもよい。更には、領域A2に遮光層BMBを設けなくてもよい。遮光層BMBの幅を狭くする、或いは、遮光層BMBを設けないのは、第1方向X又は第2方向Yの一方だけでもよく、第1方向X及び第2方向Yの双方向であってもよい。
【0035】
図6は、液晶パネルPNLを制御するための一構成例を示すブロック図である。電子機器100は、カメラ1及び液晶パネルPNLの他に、メインコントローラ110と、メモリ120と、光センサ130と、モードスイッチ140と、を備えている。メモリ120は、電子機器100を制御するための各種データ及び各種プログラムを記憶している。光センサ130は、電子機器100の周囲の明るさを計測するものであり、計測結果をメインコントローラ110に出力する。光センサ130は、例えば、フォトダイオードやフォトトランジスタなどの受光素子によって構成されている。一例では、光センサ130は、明るさとして照度を計測する照度計である。モードスイッチ140は、ユーザが操作するユーザインターフェースであり、所望のモードの設定入力を受け付けるものである。メインコントローラ110は、メモリ120に記憶したプログラムにより、各種機能を実現する。例えば、メインコントローラ110は、光センサ130からの計測結果、または、モードスイッチ140を介した設定入力に基づいて、液晶パネルPNLの駆動部DRを制御する。
【0036】
図7は、カメラ1に重畳する液晶素子LCDの一構成例を示す平面図である。液晶素子LCDは、一例では、カメラ1に重畳する領域として、4つの領域A21乃至A24を有している。領域A21乃至A23は、それぞれ環状に形成されている。領域A24は、ほぼ円形状に形成されている。領域A22は領域A21の内側に隣接し、領域A23は領域A22の内側に隣接し、領域A24は領域A23の内側に隣接している。4つの領域A21乃至A24は、カメラ1の光軸OXを中心としてほぼ等方的に形成される。なお、液晶素子LCDは、カメラ1に重畳する領域として、5つ以上の領域に分割されてもよいし、3つ以下の領域に分割されてもよい。また、環状の例として真円が示されているが、楕円等の真円以外であってもよい。また、領域A21乃至A23は、環状に限定されるものでなく、領域A21乃至A24は、ストライプ状等であってもよい。例えば、逆光での撮影の場合、カメラや画像処理にてある程度の補正が可能であるが、本願発明の領域A21を最も逆光が強い領域の形状に対応させ、領域A24を被写体の形状に合わせた形状とすることも可能である。
また、液晶素子LCDは、カメラ1の外側で領域A21を囲む領域A30を有している。これらの領域A21乃至A24、及び、領域A30には、図5に示した第2画素PX2がマトリクス状に配列されている。図7に示した構成例において、例えば領域A21乃至A23の少なくとも1つが第1領域に相当し、第1領域の内側の領域A22乃至A24の少なくとも1つが第2領域に相当し、領域A30は第3領域に相当する。
カメラ1は、図2を参照して説明したように、導光板LGの第1貫通孔TH1に設けられており、4つの領域A21乃至A24はいずれも第1貫通孔TH1に重畳している。領域A30は、導光板LGに重畳している。
【0037】
このような液晶素子LCDは、領域毎に透光または遮光することにより、カメラ1に入射する光量を調整する絞りとして機能することができる。透光する領域の面積が小さいほど、カメラ1に入射する光線が制限され、光学系2における収差の影響を低減することができ、鮮鋭度を向上することができ、さらには、焦点深度を大きくすることもできる。つまり、透光する領域の面積を調整することにより、被写体の明るさ、鮮鋭度、焦点深度などを調整することができる。
【0038】
図8は、図7に示した液晶素子LCDの制御例を示す平面図である。
図8の(A)は、第1開口モードを説明するための図である。第1開口モードの液晶素子LCDは、領域A21乃至A24で透光する。例えば、領域A21乃至A24の各々の第2画素PX2は、図5を参照して説明したオン状態である。但し、第2画素PX2における透過率は、最大透過率である必要はなく、中間透過率であってもよい。したがって、液晶素子LCDが第1開口モードに設定された場合には、領域A21乃至A24を透過した光がカメラ1で受光される。
図示した例では、領域A30の第2画素PX2はオフ状態であり、液晶素子LCDは領域A30で遮光する。但し、液晶素子LCDは、領域A30で透光してもよい。図において、透光する第2画素PX2は白で表し、遮光する第2画素PX2はグレーで表している。
【0039】
図8の(B)は、第2開口モードを説明するための図である。第2開口モードの液晶素子LCDは、領域A21で遮光するとともに、領域A22乃至A24で透光する。領域A21の第2画素PX2はオフ状態であり、領域A22乃至A24の各々の第2画素PX2はオン状態である。また、領域A30の第2画素PX2もオフ状態であり、領域A30では遮光される。したがって、液晶素子LCDが第2開口モードに設定された場合には、領域A22乃至A24を透過した光がカメラ1で受光される。
第1開口モード及び第2開口モードを比較した場合、カメラ1に重畳する第2画素PX2のうち、透光する第2画素PX2の総数は、第1開口モードよりも第2開口モードの方が少ない。また、カメラ1に重畳する領域のうち、透光する領域の総面積は、第1開口モードよりも第2開口モードの方が少ない。
なお、ここでは、第2開口モードとして、領域A21で遮光する場合について説明したが、領域A21の透過光量が領域A22乃至A24の透過光量よりも低減されていればよい。換言すると、領域A21の透過率は、領域A22乃至A24の透過率よりも低く設定されていればよい。
【0040】
図9は、図7に示した液晶素子LCDの他の制御例を示す平面図である。
図9の(A)は、第3開口モードを説明するための図である。第3開口モードの液晶素子LCDは、領域A21及びA22で遮光するとともに、領域A23乃至A24で透光する。図9の(B)は、第4開口モードを説明するための図である。第4開口モードの液晶素子LCDは、領域A21乃至A23で遮光するとともに、領域A24で透光する。
【0041】
図10は、本実施形態の液晶素子LCDの制御例を説明するためのフローチャートである。ここでは、カメラ1での撮影が実行される際に、図6に示したメインコントローラ110が光センサ130による計測結果に基づいて上記の第1乃至第4開口モードを制御する制御例について説明する。
メインコントローラ110は、光センサ130による計測結果に基づき外光の明るさがレベル1以下であるか否かを判定する(ステップST1)。メインコントローラ110は、レベル1以下であると判定した場合には(ST1,YES)、図8の(A)に示した第1開口モードを実現するように駆動部DRを制御する(ステップST2)。液晶パネルPNLは駆動部DRによって駆動され、液晶素子LCDは領域A21乃至A24で透光する。このため、明るさがレベル1以下と判定される暗所であっても、より多くの光をカメラ1に取り込むことができる。
【0042】
メインコントローラ110は、明るさがレベル1より高いと判定した場合には(ST1,NO)、明るさがレベル2以下であるか否かを判定する(ステップST3)。以下同様に、メインコントローラ110は、明るさがレベル2以下であると判定した場合には(ST3,YES)、図8の(B)に示した第2開口モードを実現するように制御し(ステップST4)、また、明るさがレベル3以下であると判定した場合には(ST5,YES)、図9の(A)に示した第3開口モードを実現するように制御し(ステップST6)、明るさがレベル3より高いと判定した場合には(ST5,NO)、図9の(B)に示した第4開口モードを実現するように制御する(ステップST7)。このように、明るさがレベル1より高いと判定される明所においては、明るさに応じてカメラ1に取り込む光の量を適宜調整することができる。
【0043】
このように、本実施形態によれば、カメラ1に重畳した液晶素子LCDにより、周囲の明るさに応じてカメラ1に取り込む光の量を調整することができ、明るい場所でも暗い場所でも鮮明な写真を撮影することができる。
【0044】
なお、図10においては、光センサ130による測定結果に基づいて開口モードが制御される例について説明したが、ユーザによるモードスイッチ140を介した設定入力に基づいて開口モードが制御されてもよい。
【0045】
図11は、カメラ1に重畳する液晶素子LCDの他の構成例を示す平面図である。液晶素子LCDは、一例では、カメラ1に重畳する領域において、3つの電極51乃至53を備えている。電極51乃至53は、それぞれ環状に形成された透明電極である。電極52は電極51の内側に隣接し、電極53は電極52の内側に隣接し、電極53の内側の領域A50はほぼ円形状に形成されている。3つの電極51乃至53は、カメラ1の光軸OXを中心としてほぼ等方的に形成される。なお、液晶素子LCDは、カメラ1に重畳する領域において、4つ以上の透明電極を備えていてもよいし、2つ以下の透明電極を備えていてもよい。電極51乃至53、及び、領域A50は、いずれも第1貫通孔TH1に重畳している。
なお、図11では3つの電極51乃至53のみを図示しているが、電極51乃至53以外の領域には、図3に示す画素PXと同様の画素が形成されている(以下、電極51乃至53以外の画素を画素PXと呼ぶ)。また、図11の場合では図3に示す領域A2に含まれる画素PXも電極51乃至53以外は、カラー表示が可能な画素としてもよい。
【0046】
図12は、図11に示した液晶素子LCDの断面図である。第1基板SUB1は、第1絶縁基板10と配向膜AL1との間に、電極51乃至53を備えている。電極51乃至53の各々は、スイッチング素子SW1乃至SW3を介して、駆動部DRと電気的に接続されている。第2基板SUB2は、第2絶縁基板20と配向膜AL2との間に、電極54を備えている。電極54は、透明電極であり、電極51乃至53の各々に対向している。電極54は、駆動部DRと電気的に接続されている。配向膜AL1及びAL2の間に位置する液晶層LCは、電圧が印加されていないオフ状態で、ツイスト配向した液晶分子LMを備えている。駆動部DRがスイッチング素子SW1乃至SWを介して電極51乃至53の各々に電極54とは異なる電位を印加した状態は、液晶層LCに電圧が印加されたオン状態に相当する。液晶分子LMは、オン状態では、第1基板SUB1及び第2基板SUB2に対してほぼ垂直に配向する。
第1偏光板PL1の偏光軸AX1、及び、第2偏光板PL2の偏光軸AX2は、互いに直交している。
【0047】
このような液晶素子LCDは、液晶層LCに電圧が印加されていないオフ状態では透光し、液晶層LCに電圧が印加されたオン状態では遮光する。また、液晶素子LCDは、領域A50において、液晶層LCに電圧が印加されないため、透光する。
電極51乃至53は、画素PXの透明電極(画素電極)よりも大きい(面積比:数倍~数十倍)。そのため、スイッチング素子SW1乃至SW3を、画素PXに信号を供給する配線(図3に示す走査線G及び信号線S等)に接続すると、駆動部DRに接続する信号線のうちで、電極51乃至53に接続された信号線と、電極51乃至53に接続されない信号線とで、駆動部DRの負荷(信号線の容量)に差が生じる。信号線の容量に差があると、表示の均一性が損なわれる等の不具合が生じるため、図12に示すように、スイッチング素子SW1乃至SW3に接続される配線を、画素PXに信号を供給する配線とは別に、表示領域の外側の周辺領域に形成することで、信号線の容量の差によって生じる不具合を避けることが可能である。
また、スイッチング素子SW1乃至SW3も図12に示すように、カメラ1に入射する光を遮光しないように、表示部DAの外側の非表示部NDAに形成される。なお、スイッチング素子SW1乃至SW3を非表示部NDAではなく、カメラ1と重畳する位置または表示部DAに形成することも可能である。ただし、遮光される光を低減するため、スイッチング素子SW1乃至SW3は画素PXに形成されるスイッチング素子SWに比較して低密度で形成される。なお、電極51乃至53が、画素PXの画素電極よりも大きいために、スイッチング素子SW1乃至SW3をスイッチング素子SWに比較して大きく(チャネル幅を長く)してもよい。
【0048】
図13は、図11に示した液晶素子LCDの制御例を示す平面図である。
図13の(A)は、第1開口モードを説明するための図である。第1開口モードの液晶素子LCDは、電極51乃至53に重畳する領域、及び、領域A50で透光する。例えば、電極51乃至53に重畳する領域、及び、領域A50では、図12に示した液晶層LCに電圧が印加されていない。したがって、液晶素子LCDが第1開口モードに設定された場合には、電極51乃至53、及び、領域A50を透過した光がカメラ1で受光される。
【0049】
図13の(B)は、第2開口モードを説明するための図である。第2開口モードの液晶素子LCDは、電極51に重畳する領域で遮光するとともに、電極52及び53に重畳する領域、及び、領域A50で透光する。電極51に重畳する領域では、液晶層LCに電圧が印加されている。したがって、液晶素子LCDが第2開口モードに設定された場合には、電極52及び53、及び、領域A50を透過した光がカメラ1で受光される。
【0050】
図14は、図11に示した液晶素子LCDの他の制御例を示す平面図である。
図14の(A)は、第3開口モードを説明するための図である。第3開口モードの液晶素子LCDは、電極51及び52に重畳する領域で遮光するとともに、電極53に重畳する領域、及び、領域50で透光する。図14の(B)は、第4開口モードを説明するための図である。第4開口モードの液晶素子LCDは、電極51乃至53に重畳する領域で遮光するとともに、領域A50で透光する。
【0051】
このような構成例においても、図10を参照して説明した制御例が適用可能である。また、ユーザによるモードスイッチ140を介した設定入力に基づいて開口モードが制御されてもよい。したがって、上記の構成例と同様の効果が得られる。
【0052】
図15は、本実施形態の液晶素子LCDにおいてカメラ1の外側に表示されるパターンの表示例を示す図である。ここで説明する各種パターンは、例えば、図7に示した領域A30に表示される。
図15の(A)は第1開口モードに対応して表示される第1パターンPT1を示し、図15の(B)は第2開口モードに対応して表示される第2パターンPT2を示し、図15の(C)は第3開口モードに対応して表示される第3パターンPT3を示し、図15の(D)は第4開口モードに対応して表示される第4パターンPT4を示している。第1乃至第4パターンPT1乃至PT4は、いずれも環状パターンである。図示した例では、第1乃至第4パターンPT1乃至PT4は、いずれもカメラ1を囲む複数の羽根で表示されるが、これに限らず、単純なドーナツ形の環状パターンで表示されてもよいし、渦巻き状の環状パターンで表示されてもよし、その他の模様で表示されてもよい。
【0053】
第1乃至第4パターンPT1乃至PT4の各々の内側には、開口パターンAP1乃至AP4が表示される。開口パターンAP1乃至AP4は、円形状のパターンで表示されてもよいし、多角形状のパターンで表示されてもよい。開口パターンAP2の面積は開口パターンAP1の面積より小さく、開口パターンAP3の面積は開口パターンAP2の面積より小さく、開口パターンAP4の面積は開口パターンAP3の面積より小さい。
【0054】
第1パターンPT1は、その内側及び外側とは異なる階調で表示される。例えば、第1パターンPT1は黒あるいはグレーで表示され、第1パターンPT1の外側は白で表示され、第1パターンPT1の内側の開口パターンAP1は白で表示される。他の第2乃至第4パターンPT2乃至PT4も、第1パターンPT1と同様の手法で表示される。
【0055】
なお、ここでは、4つの環状パターンが図示されているが、これらの4つの環状パターンが段階的に表示される形態に限らず、開口パターンの面積が連続的に変化するような表示形態が適用されてもよい。
【0056】
図16は、本実施形態の液晶素子LCDの制御例を説明するためのフローチャートである。
メインコントローラ110は、光センサ130による計測結果に基づき外光の明るさがレベル1以下であると判定した場合には(ST11,YES)、図8の(A)に示した第1開口モードを実現するように制御し(ステップST12)、また図15の(A)に示した第1パターンPT1及び開口パターンAP1を表示するように制御する(ステップST13)。
メインコントローラ110は、明るさがレベル2以下であると判定した場合には(ST14,YES)、図8の(B)に示した第2開口モードを実現するように制御し(ステップST15)、また図15の(B)に示した第2パターンPT2及び開口パターンAP2を表示するように制御する(ステップST16)。
メインコントローラ110は、明るさがレベル3以下であると判定した場合には(ST17,YES)、図9の(A)に示した第3開口モードを実現するように制御し(ステップST18)、また図15の(C)に示した第3パターンPT3及び開口パターンAP3を表示するように制御する(ステップST19)。
メインコントローラ110は、明るさがレベル3より高いと判定した場合には(ST17,NO)、図9の(B)に示した第4開口モードを実現するように制御し(ステップST20)、また図15の(D)に示した第4パターンPT4及び開口パターンAP4を表示するように制御する(ステップST21)。
【0057】
本実施形態によれば、光センサ130によって計測された明るさに基づいて自動的に開口モードが制御された際に、ユーザに対して、設定された開口モードを視覚的に報知することができる。特に、小型のカメラ1が搭載された電子機器100においては、カメラ1に重畳する液晶素子LCDの面積が小さく、設定された開口モードを直接視認することが困難となりうる。このような場合に、カメラ1に重畳する領域の外側に、開口モードに対応したパターンが表示されることで、ユーザが開口モードを認識しやすくなる。
また、ユーザがモードスイッチ140を介して開口モードを選択した場合であっても、開口モードに対応したパターンが表示されることで、同様の効果が得られる。
【0058】
図17は、本実施形態の表示装置DSPにおける表示例を示す図である。図17の(A)は、カメラ1で撮影する撮影モードにおける表示例に相当する。ここでの撮影モードは、例えば、電子機器100のユーザが自身を被写体として撮影するモードである。表示部DAの領域A2において、カメラ1に重畳する領域は、例えば図8及び図9に示したいずれかの開口モードに設定され、カメラ1の外側には、開口モードに対応した環状パターンPTが表示され、パターンPTの内側には開口パターンAPが表示される。環状パターンPTは、例えばモノクロ表示される。一方、表示部DAの領域A1には、カメラ1で撮影した被写体が表示される。
図17の(B)は、カメラ1を未使用時の表示例に相当する。領域A2には、数字、文字、記号、マークなどのキャラクタがモノクロ表示される。また、カメラ1に重畳する位置においても、キャラクタの表示が可能である。領域A1には、図示したようなホーム画面の他に、静止画、動画などがカラー表示される。
【0059】
また、上記した実施形態では、光源EMとして白色の発光ダイオード(LED)を使用した例を示したが、赤、青、緑等の異なる発光色の発光ダイオード(LED)を並置して用いても良い。またこの場合は、各色の発光ダイオード(LED)を順次発光させ、これに合わせて各色表示を順次切り替えることで、カラー表示を実現する、所謂フィールドシーケンシャル方式を用いることもできる。これにより、表示部DAの領域A1及びA2共にカラーフィルタ層CFを配置することなく、いずれの領域もカラー表示を実現することができる。また、領域A1にはカラーフィルタ層CFが配置される一方で、領域A2にはカラーフィルタ層CFが配置されず、領域A2においてフィールドシーケンシャル方式を用いてカラー表示を実現してもよい。このため、領域A2にはカラーフィルタ層CFが配置されなくとも、環状パターンPTをカラー表示することもできる。
【0060】
以上説明したように、本実施形態によれば、狭額縁化が可能な表示装置、表示装置を組み込んだ電子機器、及び、プログラムを提供することができる。また、鮮明な写真を撮影することが可能な電子機器を提供することができる。
【0061】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
DSP…表示装置 LCD…液晶素子 PNL…液晶パネル 1…カメラ LG…導光板 EM…光源 PL…偏光板 OS…光学シート PX…画素 CF…カラーフィルタ層 LC…液晶層 OC…透明層 LS…遮光層 100…電子機器
図1
図2
図3
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図5
図6
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図8
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