(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1368 20060101AFI20221018BHJP
G02F 1/1334 20060101ALI20221018BHJP
G02F 1/1339 20060101ALI20221018BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
G02F1/1368
G02F1/1334
G02F1/1339 500
G02F1/13357
(21)【出願番号】P 2018219297
(22)【出願日】2018-11-22
【審査請求日】2021-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥山 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】大植 善英
(72)【発明者】
【氏名】杉山 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】多田 友行
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-167214(JP,A)
【文献】特開2002-268087(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0552281(KR,B1)
【文献】国際公開第2012/105180(WO,A1)
【文献】特開2017-156718(JP,A)
【文献】特開2001-100652(JP,A)
【文献】特開2009-210967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1368
G02F 1/1334
G02F 1/1339
G02F 1/13357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に位置し、ポリマーと、液晶分子とを含む液晶層と、
発光素子と、
スペーサと、を備え、
前記第1基板は、透明基板と、走査線と、前記走査線と交差する信号線と、前記走査線及び前記信号線と電気的に接続されたスイッチング素子と、前記スイッチング素子に重畳する有機絶縁膜と、前記スイッチング素子と電気的に接続された画素電極と、を備え、
前記第2基板は、前記スイッチング素子に重畳する遮光層を備え、
前記有機絶縁膜は、前記発光素子に近接した第1側面と、前記第1側面の反対側の第2側面と、を備え、
前記遮光層は、前記第2側面に重畳し、
前記スペーサは、前記有機絶縁膜と前記遮光層との間に位置し、
前記透明基板と前記画素電極との間における前記有機絶縁膜の膜厚は、前記スイッチング素子に重畳する前記有機絶縁膜の膜厚より小さい、
表示装置。
【請求項2】
前記第1基板は、前記透明基板と前記画素電極との間に位置する無機絶縁膜と、
前記無機絶縁膜と前記画素電極との間に位置する容量電極と、を備え、
前記有機絶縁膜は、前記無機絶縁膜と前記容量電極との間に位置し
前記容量電極は、前記有機絶縁膜に接している、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1基板は、前記容量電極と電気的に接続された金属配線を備え、
前記有機絶縁膜は、前記走査線と前記金属配線との間、及び、前記信号線と前記金属配線との間の少なくとも一方に位置している、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
第1基板と、
第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に位置し、ポリマーと、液晶分子とを含む液晶層と、
発光素子と、
スペーサと、を備え、
前記第1基板は、透明基板と、走査線と、前記走査線と交差する信号線と、前記走査線及び前記信号線と電気的に接続されたスイッチング素子と、前記スイッチング素子に重畳する有機絶縁膜と、前記スイッチング素子と電気的に接続された画素電極と、を備え、
前記第2基板は、前記スイッチング素子に重畳する遮光層を備え、
前記有機絶縁膜は、前記発光素子に近接した第1側面と、前記第1側面の反対側の第2側面と、を備え、
前記遮光層は、前記第2側面に重畳し、
前記スペーサは、前記有機絶縁膜と前記遮光層との間に位置し、
前記有機絶縁膜は、前記透明基板と前記画素電極との間に設けられていない、表示装置。
【請求項5】
前記第1基板は、前記透明基板と前記画素電極との間に位置する無機絶縁膜と、
前記無機絶縁膜と前記画素電極との間に位置する容量電極と、を備え、
前記容量電極は、前記無機絶縁膜の上面に接している、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1基板は、前記容量電極と電気的に接続された金属配線を備え、
前記有機絶縁膜は、前記走査線と前記金属配線との間、及び、前記信号線と前記金属配線との間の少なくとも一方に位置している、請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第2基板は、共通電極を備え、
前記遮光層は、前記共通電極より低抵抗な導電層であり、前記共通電極と電気的に接続されている、請求項
1に記載の表示装置。
【請求項8】
前記有機絶縁膜は、平面視で、前記走査線及び前記信号線の少なくとも一方に重畳している、請求項1乃至
7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記有機絶縁膜は、前記走査線または前記信号線に重畳する第1重畳部及び第2重畳部を備え、
前記第1重畳部及び前記第2重畳部は、離間している、請求項
8に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、入射光を散乱する散乱状態と入射光を透過する透過状態とを切り替え可能な高分子分散液晶を用いた表示装置が提案されている。一例では、アルミニウムや銀などによって形成された反射層が画素スイッチング回路部を覆っている表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態の目的は、表示品位の低下を抑制することが可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態によれば、
第1基板と、
第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に位置し、ポリマーと、液晶分子とを含む液晶層と、
発光素子と、を備え、
前記第1基板は、透明基板と、走査線と、前記走査線と交差する信号線と、前記走査線及び前記信号線と電気的に接続されたスイッチング素子と、前記スイッチング素子に重畳する有機絶縁膜と、前記スイッチング素子と電気的に接続された画素電極と、を備え、
前記透明基板と前記画素電極との間における前記有機絶縁膜の膜厚は、前記スイッチング素子に重畳する前記有機絶縁膜の膜厚より小さい、表示装置が提供される。
本実施形態によれば、
第1基板と、
第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に位置し、ポリマーと、液晶分子とを含む液晶層と、
発光素子と、を備え、
前記第1基板は、透明基板と、走査線と、前記走査線と交差する信号線と、前記走査線及び前記信号線と電気的に接続されたスイッチング素子と、前記スイッチング素子に重畳する有機絶縁膜と、前記スイッチング素子と電気的に接続された画素電極と、を備え、
前記有機絶縁膜は、前記透明基板と前記画素電極との間に設けられていない、表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本実施形態の表示装置DSPの一例を示す平面図である。
【
図2】
図2は、第1基板SUB1における画素PXの第1構成例を示す平面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示したスイッチング素子SWの一例を示す拡大平面図である。
【
図4】
図4は、
図3に示したスイッチング素子SWを含むA-B線に沿った表示パネルPNLを示す断面図である。
【
図5】
図5は、
図3に示した走査線G及び接続部DEAを含むC-D線に沿った表示パネルPNLを示す断面図である。
【
図6】
図6は、
図3に示した信号線Sを含むE-F線に沿った表示パネルPNLを示す断面図である。
【
図7】
図7は、本実施形態の表示パネルPNLを示す概略図である。
【
図8】
図8は、第1基板SUB1における画素PXの第2構成例を示す平面図である。
【
図9】
図9は、第1基板SUB1における画素PXの第3構成例を示す平面図である。
【
図10】
図10は、第1基板SUB1における画素PXの第4構成例を示す平面図である。
【
図11】
図11は、第1基板SUB1における画素PXの第5構成例を示す平面図である。
【
図12】
図12は、第1基板SUB1における画素PXの第6構成例を示す平面図である。
【
図13】
図13は、第1基板SUB1における画素PXの第7構成例を示す平面図である。
【
図14】
図14は、第1基板SUB1における画素PXの第8構成例を示す平面図である。
【
図15】
図15は、サンプルの吸収率を測定するための測定方法を説明するための図である。
【
図16】
図16は、表示パネルPNLを形成する材料の吸収率の測定結果を示す図である。
【
図17】
図17は、発光素子LDからの出射光が表示装置DSPを伝播する様子を説明するための図である。
【
図18】
図18は、本実施形態の表示装置DSP及び比較例の表示装置における輝度の測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
[第1構成例]
図1は、本実施形態の表示装置DSPの一例を示す平面図である。一例では、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。第1方向X及び第2方向Yは、表示装置DSPを構成する基板の主面と平行な方向に相当し、第3方向Zは、表示装置DSPの厚さ方向に相当する。本明細書において、第1基板SUB1から第2基板SUB2に向かう方向を「上側」(あるいは、単に上)と称し、第2基板SUB2から第1基板SUB1に向かう方向を「下側」(あるいは、単に下)と称する。「第1部材の上の第2部材」及び「第1部材の下の第2部材」とした場合、第2部材は、第1部材に接していてもよいし、第1部材から離間していてもよい。また、第3方向Zを示す矢印の先端側に表示装置DSPを観察する観察位置があるものとし、この観察位置から、第1方向X及び第2方向Yで規定されるX-Y平面に向かって見ることを平面視という。
【0009】
本実施形態においては、表示装置DSPの一例として、高分子分散型液晶を適用した液晶表示装置について説明する。表示装置DSPは、表示パネルPNLと、配線基板1と、ICチップ2と、発光素子LDと、を備えている。
表示パネルPNLは、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、液晶層LCと、シールSLと、を備えている。第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、X-Y平面と平行な平板状に形成されている。第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、平面視で、重畳している。第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、シールSLによって接着されている。液晶層LCは、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に保持され、シールSLによって封止されている。
図1において、液晶層LC及びシールSLは、異なる斜線で示している。
【0010】
図1において拡大して模式的に示すように、液晶層LCは、ポリマー31と、液晶分子32と、を含む高分子分散型液晶を備えている。一例では、ポリマー31は、液晶性ポリマーである。ポリマー31は、一方向に沿って延出した筋状に形成されている。例えば、ポリマー31の延出方向D1は、第1方向Xに沿った方向である。液晶分子32は、ポリマー31の隙間に分散され、その長軸が第1方向Xに沿うように配向される。ポリマー31及び液晶分子32の各々は、光学異方性あるいは屈折率異方性を有している。ポリマー31の電界に対する応答性は、液晶分子32の電界に対する応答性より低い。
【0011】
一例では、ポリマー31の配向方向は、電界の有無にかかわらずほとんど変化しない。一方、液晶分子32の配向方向は、液晶層LCにしきい値以上の高い電圧が印加された状態では、電界に応じて変化する。液晶層LCに電圧が印加されていない状態では、ポリマー31及び液晶分子32のそれぞれの光軸は互いに平行であり、液晶層LCに入射した光は、液晶層LC内でほとんど散乱されることなく透過する(透明状態)。液晶層LCに電圧が印加された状態では、ポリマー31及び液晶分子32のそれぞれの光軸は互いに交差し、液晶層LCに入射した光は、液晶層LC内で散乱される(散乱状態)。
【0012】
表示パネルPNLは、画像を表示する表示部DAと、表示部DAを囲む額縁状の非表示部NDAと、を備えている。シールSLは、非表示部NDAに位置している。表示部DAは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列された画素PXを備えている。
【0013】
図1において拡大して示すように、各画素PXは、スイッチング素子SW、画素電極PE、共通電極CE、液晶層LC等を備えている。スイッチング素子SWは、例えば薄膜トランジスタ(TFT)によって構成され、走査線G及び信号線Sと電気的に接続されている。走査線Gは、第1方向Xに並んだ画素PXの各々におけるスイッチング素子SWと電気的に接続されている。信号線Sは、第2方向Yに並んだ画素PXの各々におけるスイッチング素子SWと電気的に接続されている。画素電極PEは、スイッチング素子SWと電気的に接続されている。画素電極PEの各々は、第3方向Zにおいて共通電極CEと対向し、画素電極PEと共通電極CEとの間に生じる電界によって液晶層LC(特に、液晶分子32)を駆動している。容量CSは、例えば、共通電極CEと同電位の電極、及び、画素電極PEと同電位の電極の間に形成される。
【0014】
配線基板1は、第1基板SUB1の延出部Exに電気的に接続されている。配線基板1は、折り曲げ可能なフレキシブルプリント回路基板である。ICチップ2は、配線基板1に電気的に接続されている。ICチップ2は、例えば、画像表示に必要な信号を出力するディスプレイドライバなどを内蔵している。なお、ICチップ2は、延出部Exに電気的に接続されていてもよい。配線基板1及びICチップ2は、表示パネルPNLからの信号を読み出す場合もあるが、主として表示パネルPNLに信号を供給する信号源として機能する。
【0015】
発光素子LDは、延出部Exに重畳している。複数の発光素子LDは、第1方向Xに沿って間隔をおいて並んでいる。これらの発光素子LDは、第2基板SUB2の端部E21に沿って配置され、端部E21に向けて光を出射する。
図2は、第1基板SUB1における画素PXの第1構成例を示す平面図である。第1基板SUB1は、走査線Gと、信号線Sと、スイッチング素子SWと、有機絶縁膜Oと、金属配線Mと、容量電極Cと、画素電極PEと、を備えている。
【0016】
2本の走査線Gは、それぞれ第1方向Xに沿って延出し、第2方向Yに間隔をおいて並んでいる。2本の信号線Sは、それぞれ第2方向Yに沿って延出し、第1方向Xに間隔をおいて並んでいる。画素PXは、2本の信号線Sと、2本の走査線Gとで区画された領域に相当する。
スイッチング素子SWは、走査線Gと信号線Sとの交差部に配置されている。スイッチング素子SWの具体的な構成については、後述するが、スイッチング素子SWは、半導体層の下にゲート電極が位置するボトムゲート型であってもよいし、半導体層の上にゲート電極が位置するトップゲート型であってもよい。半導体層は、例えばアモルファスシリコンによって形成されるが、多結晶シリコンや酸化物半導体によって形成されてもよい。
【0017】
有機絶縁膜Oは、パターン化されており、
図2に示す第1構成例では、平面視で、格子状に形成されている。すなわち、有機絶縁膜Oは、走査線G、信号線S、及び、スイッチング素子SWのそれぞれに重畳している。有機絶縁膜Oは、走査線Gに重畳する第1部OXと、信号線Sに重畳する第2部OYと、を備えている。第1部OXは、発光素子LDに近接した第1側面E1と、第1側面E1の反対側の第2側面E2と、を有している。第1側面E1及び第2側面E2は、ポリマー31の延出方向D1に沿って延出している。第2部OYは、第3側面E3と、第3側面E3の反対側の第4側面E4と、を有している。
なお、本明細書において、有機絶縁膜Oが配置された領域を第1基板SUB1の第1領域A1と称し、有機絶縁膜Oが配置されていない領域を第1基板SUB1の第2領域A2と称する。第2領域A2は、第1領域A1によって囲まれた内側に位置している。
【0018】
金属配線Mは、第1領域A1に配置され、
図2に示す第1構成例では、平面視で、格子状に形成されている。すなわち、金属配線Mは、走査線G、信号線S、及び、スイッチング素子SWのそれぞれに重畳している。金属配線Mは、走査線G及び第1部OXに重畳する第1配線部MXと、信号線S及び第2部OYに重畳する第2配線部MYと、を備えている。
【0019】
容量電極Cは、一点鎖線で示すように、複数の画素PXに亘って配置され、さらには第1基板SUB1のほぼ全域に亘って配置されている。つまり、容量電極Cは、第1領域A1及び第2領域A2のそれぞれに配置されている。容量電極Cは、第1領域A1において、スイッチング素子SW、走査線G、信号線S、有機絶縁膜Oのそれぞれに重畳している。
【0020】
画素電極PEは、第2領域A2において、容量電極Cに重畳している。
図2に示した例において、画素電極PEは、有機絶縁膜Oが配置された領域の内側に設けられている。なお、画素電極PEは、第1部OX及び第2部OYのそれぞれに重畳するように設けられてもよい。
図2に示した例では、スペーサSPは、スイッチング素子SWに重畳し、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に所定のセルギャップを形成している。
【0021】
図3は、
図2に示したスイッチング素子SWの一例を示す拡大平面図である。スイッチング素子SWは、半導体層SCと、ゲート電極GEと、ソース電極SEと、ドレイン電極DEと、を備えている。ゲート電極GEは、走査線Gと一体的に形成されている。半導体層SCは、ゲート電極GEに重畳している。2つのソース電極SEは、信号線Sと一体的に形成され、それぞれ半導体層SCに接している。ドレイン電極DEは、2つのソース電極SEの間に位置し、半導体層SCに接している。ドレイン電極DEは、接続部DEAを有している。接続部DEAは、容量電極Cに形成された開口部CA、及び、コンタクトホールCHを介して画素電極PEと電気的に接続されている。
【0022】
図4は、
図3に示したスイッチング素子SWを含むA-B線に沿った表示パネルPNLを示す断面図である。第1基板SUB1は、さらに、透明基板10と、絶縁膜11乃至13と、配向膜AL1とを備えている。透明基板10は、主面(下面)10Aと、主面10Aの反対側の主面(上面)10Bと、を備えている。主面10A及び10Bは、X-Y平面と略平行な面である。走査線Gと一体のゲート電極GEは、主面10B側に配置されている。絶縁膜11は、ゲート電極GE及び走査線Gを覆い、主面10Bに接している。半導体層SCは、ゲート電極GEの直上において、絶縁膜11の上に位置している。信号線Sと一体の2つのソース電極SEは、それぞれ半導体層SCに接し、それらの一部が絶縁膜11の上に位置している。ドレイン電極DEは、半導体層SCに接している。絶縁膜12は、スイッチング素子SWを構成する半導体層SC、ソース電極SE、及び、ドレイン電極DEをそれぞれ覆うとともに、絶縁膜11を覆っている。
【0023】
有機絶縁膜Oの第1部OXは、ゲート電極GE及び走査線Gの直上、あるいは、スイッチング素子SWの直上において、絶縁膜12の上面12Bに接している。金属配線Mの第1配線部MXは、ゲート電極GE及び走査線Gの直上、あるいは、スイッチング素子SWの直上において、第1部OXの上に位置している。
【0024】
容量電極Cは、第1領域A1において、第1配線部MX及び第1部OXを覆っている。つまり、第1部OXの第1側面E1及び第2側面E2は、容量電極Cによって覆われている。第1配線部MXは、容量電極Cと接し互いに電気的に接続されている。また、容量電極Cは、第2領域A2において、絶縁膜12の上面12Bに接している。
【0025】
絶縁膜13は、第1領域A1及び第2領域A2に配置され、容量電極Cを覆っている。各画素電極PEは、第2領域A2において、絶縁膜13の上に位置している。画素電極PE及び容量電極Cは、絶縁膜13を介して対向し、画素PXにおいて画像表示に必要な蓄積容量を形成する。スイッチング素子SWは、第2方向Yに隣接する画素電極PEの間に位置している。第1側面E1及び第2側面E2の各々は、第2方向Yに沿って、スイッチング素子SWと画素電極PEとの間に位置している。配向膜AL1は、画素電極PE及び絶縁膜13を覆っている。
【0026】
このような第1基板SUB1において、透明基板10と画素電極PEとの間における有機絶縁膜Oの第3方向Zに沿った膜厚は、スイッチング素子SWに重畳する有機絶縁膜Oの第3方向Zに沿った膜厚T0より小さい(薄い)。
図4に示す第1構成例では、有機絶縁膜Oは、透明基板10と画素電極PEとの間には設けられていない。つまり、透明基板10と画素電極PEとの間における有機絶縁膜Oの膜厚はゼロである。
また、透明基板10と金属配線Mとの間の第3方向Zに沿った有機絶縁膜Oの膜厚T11は、透明基板10と画素電極PEとの間の第3方向Zに沿った膜厚T12より大きい。換言すると、画素電極PEは、金属配線Mよりも第3方向Zに沿って下方に位置している。つまり、画素電極PEは、金属配線Mよりも透明基板10に近接している。
【0027】
第2基板SUB2は、透明基板20と、遮光層BMと、共通電極CEと、スペーサSPと、配向膜AL2とを備えている。透明基板20は、主面(下面)20Aと、主面20Aの反対側の主面(上面)20Bと、を備えている。主面20A及び20Bは、X-Y平面とほぼ平行な面である。主面20Aは、主面10Bと向かい合っている。遮光層BM及び共通電極CEは、主面20Aに配置されている。遮光層BMは、第1部OXの第1側面E1及び第2側面E2の直上、スイッチング素子SWの直上、及び、ゲート電極GEの直上にそれぞれ位置している。共通電極CEは、複数の画素PXに亘って配置され、遮光層BMを覆っている。共通電極CEは、容量電極Cと電気的に接続されており、容量電極Cとは同電位である。スペーサSPは、共通電極CEの下に設けられ、配向膜AL1に接している。スペーサSPは、有機絶縁膜Oと遮光層BMとの間に位置している。配向膜AL2は、共通電極CEを覆っている。
【0028】
液晶層LCは、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に位置し、配向膜AL1及びAL2のそれぞれに接している。液晶層LCは、セルギャップCG1及びCG2を有している。セルギャップCG1は、第1領域A1における配向膜AL1から配向膜AL2までの第3方向Zに沿った長さに相当する。セルギャップCG2は、第2領域A2における配向膜AL1から配向膜AL2までの第3方向Zに沿った長さに相当する。セルギャップCG1は、セルギャップCG2より小さい。セルギャップCG1は、一例として、約1.5μmである。セルギャップCG2は、一例として、約3.0μmである。
【0029】
なお、スペーサSPの第3方向Zに沿った高さHと、有機絶縁膜Oの膜厚T0とのバランスを調整することにより、セルギャップCG2を維持しつつ、所望の効果を得ることができる。例えば、
図4に示した例よりも有機絶縁膜Oの膜厚T0を薄くし、且つ、スペーサSPの高さHを大きくすることで、セルギャップCG1が拡大する。このため、液晶層LCを製造する過程で、液晶材料が広がりやすくなる。また、
図4に示した例よりもスペーサSPの高さを小さくし、且つ、有機絶縁膜Oの膜厚T0を厚くすることで、スイッチング素子SWあるいは走査線Gと、金属配線Mとの第3方向Zに沿った間隔を拡張することができる。このため、スイッチング素子SWあるいは走査線Gと、金属配線Mとの間の不所望な容量を低減することができる。
【0030】
透明基板10及び20は、ガラス基板やプラスチック基板などの絶縁基板である。絶縁膜11乃至13は、例えばシリコン窒化物やシリコン酸化物などの透明な無機絶縁材料によって形成されている。有機絶縁膜Oは、例えばアクリル樹脂などの透明な有機絶縁材料によって形成されている。走査線G、信号線S、及び、金属配線Mは、例えば複数の導電層が積層された積層体であり、一例では、モリブデン(Mo)を含む導電層、アルミニウム(Al)を含む導電層、及び、モリブデン(Mo)を含む導電層がこの順に積層された積層体であるが、これに限らず、チタン(Ti)を含む導電層、アルミニウム(Al)を含む導電層、及び、チタン(Ti)を含む導電層がこの順に積層された積層体であってもよい。なお、走査線Gは、モリブデン(Mo)を含む導電層、及び、アルミニウム(Al)を含む導電層の積層体であってもよく、アルミニウム(Al)を含む導電層が主面10Bに接しているのが好ましい。アルミニウム(Al)はモリブデン(Mo)より光の反射率が高いため、走査線Gのモリブデン(Mo)を含む導電層が主面10Bに接している場合と比較して、透明基板10を伝播してきた光が、走査線Gで吸収されることを抑制することができる。容量電極C、画素電極PE、及び、共通電極CEは、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電材料によって形成された透明電極である。遮光層BMは、例えば、共通電極CEよりも低抵抗な導電層である。一例では、遮光層BMは、モリブデン、アルミニウム、タングステン、チタン、銀などの不透明な金属材料によって形成されている。共通電極CEは、遮光層BMに接しているため、遮光層BMと電気的に接続される。これにより、共通電極CEが低抵抗化される。配向膜AL1及びAL2は、X-Y平面に略平行な配向規制力を有する水平配向膜である。一例では、配向膜AL1及びAL2は、第1方向Xに沿って配向処理されている。なお、配向処理とは、ラビング処理であってもよいし、光配向処理であってもよい。
【0031】
図5は、
図3に示した走査線G及び接続部DEAを含むC-D線に沿った表示パネルPNLを示す断面図である。
第1基板SUB1において、接続部DEAは、絶縁膜11の上に位置し、絶縁膜12によって覆われている。画素電極PEは、絶縁膜12及び絶縁膜13を貫通するコンタクトホールCH、及び、容量電極Cの開口部CAを通じて、接続部DEAにコンタクトしている。金属配線Mの第1配線部MXは、走査線Gの直上に位置している。有機絶縁膜Oの第1部OXは、走査線Gと第1配線部MXとの間に位置している。
第2基板SUB2において、遮光層BMは、第1部OXの第1側面E1の直上、走査線Gの直上、第1部OXの第2側面E2(走査線Gと接続部DEAとの間)の直上、及び、接続部DEAの直上に位置している。
【0032】
図6は、
図3に示した信号線Sを含むE-F線に沿った表示パネルPNLを示す断面図である。
第1基板SUB1において、信号線Sは、絶縁膜11の上に位置し、絶縁膜12によって覆われている。なお、絶縁膜11と透明基板10との間に、走査線Gと同一の材料で形成された他の導電層(遮光層または反射層)を設けてもよい。信号線Sは、第1方向Xに隣接する画素電極PEの間に位置している。有機絶縁膜Oの第2部OYは、信号線Sの直上に位置し、第1方向Xに隣接する画素電極PEの間に位置している。第2部OYの第3側面E3及び第4側面E4は、容量電極Cによって覆われている。第3側面E3及び第4側面E4の各々は、第1方向Xに沿って、信号線Sと画素電極PEとの間に位置している。金属配線Mの第2配線部MYは、信号線Sの直上に位置している。また、第2配線部MYは、容量電極Cと接し互いに電気的に接続されている。第2部OYは、信号線Sと第2配線部MYとの間に位置している。
第2基板SUB2において、遮光層BMは、第2部OYの第3側面E3及び第4側面E4の直上、及び、信号線Sの直上に位置している。
【0033】
図7は、本実施形態の表示パネルPNLの概略図である。ここでは、スペーサSPと有機絶縁膜Oに着目する。有機絶縁膜Oは、上述した表示部DAのみならず、非表示部NDAにも設けられている。有機絶縁膜Oは、非表示部NDAにおいて、表示部DAと同等の膜厚T0を有している。なお、有機絶縁膜Oの体積を低減する観点で、有機絶縁膜Oは、非表示部NDAの全体に設けられるのではなく、非表示部NDAのスペーサSPと重畳するようにパターン化されることが望ましい。つまり、表示部DA及び非表示部NDAにおいて、スペーサSPは、有機絶縁膜Oに重畳している。有機絶縁膜Oが非表示部NDAの全体に亘って設けられなかった場合には、セルギャップを均一化する上で、非表示部NDAには、表示部DAのスペーサSPより高い高さのスペーサを設ける必要がある。本実施形態では、表示部DA及び非表示部NDAにおいて有機絶縁膜Oが膜厚T0を有しているため、表示部DA及び非表示部NDAにおいてほぼ同等の高さHを有するスペーサSPを設けることで、セルギャップを均一化することができる。つまり、表示部DA及び非表示部NDAにおいて高さの異なるスペーサSPを設ける必要はなく、製造プロセスを簡素化することができる。
【0034】
本実施形態の表示装置DSPは、発光素子LDからの出射光を第2基板SUB2の端部E21から入射させ、表示パネルPNLを伝播させる方式であり、発光素子LDから離れるほど輝度が低下する傾向にある。このような輝度低下の一因として、有機絶縁膜Oによる光吸収が挙げられる。すなわち、有機絶縁膜Oは、表示パネルPNLを伝播する光の一部を吸収する。このため、表示パネルPNLの内部で複数回(100回以上)の全反射を繰り返して伝播する光は、有機絶縁膜Oを透過する都度、その一部が吸収されるため、発光素子LDから離れるほど、その輝度が低下することになる。
【0035】
本実施形態によれば、有機絶縁膜Oは、スイッチング素子SWに重畳する一方で、透明基板10と画素電極PEとの間には設けられていない。あるいは、透明基板10と画素電極PEとの間に設けられる有機絶縁膜Oの膜厚は、極薄である。このため、有機絶縁膜Oが透明基板10と画素電極PEとの間(あるいは表示部DAの全域)に亘って設けられている場合と比較して、有機絶縁膜Oの総体積が小さい。これにより、表示パネルPNLを伝播する光が、有機絶縁膜Oに入射する確率が減少するため、有機絶縁膜Oによる光吸収を抑制することができる。したがって、表示品位の低下を抑制することができる。
また、有機絶縁膜Oは、スイッチング素子SW、走査線G、及び、信号線Sに重畳している。有機絶縁膜Oは、スイッチング素子SWと金属配線M(または容量電極C)との間、走査線Gと金属配線M(または容量電極C)との間、及び、信号線Sと金属配線M(または容量電極C)との間に位置している。このため、互いに重畳する配線間での不所望な容量を低減することができる。
また、発光素子LDからの光が有機絶縁膜Oに入射した場合に、たとえ有機絶縁膜Oの第2側面E2において不所望な散乱を生じたとしても、第2側面E2の直上に配置された遮光層BMによって散乱光が遮光される。このため、表示品位の低下を抑制することができる。
また、有機絶縁膜Oの第3側面E3及び第4側面E4は、配向膜AL1及びAL2の配向処理方向(第1方向X)と交差している。たとえ第3側面E3及び第4側面E4において液晶分子32の配向不良が生じたとしても、第3側面E3及び第4側面E4の直上に配置された遮光層BMによって不所望な光が遮光される。このため、表示品位の低下を抑制することができる。
ただし、遮光層BMが配置されていても配向不良は少ないことが好ましい。そのため、第3側面E3及び第4側面E4での配向不良を抑制するためには、往復ラビングを行う、ラビング強度を強くする、毛の長いラビング布を用いる等を行えばよい。
遮光層BMは、有機絶縁膜Oの側面での反射光もしくは散乱光を遮光するように配置されていればよい。また、共通電極CEの電位を変化させる駆動法においては、遮光層BMは、導電性を有する材料で構成されることが好ましい。遮光層BMの具体例として、モリブデン/アルミニウム/モリブデンの積層体、モリブデン/アルミニウムの積層体、あるいは、銅化合物と他の金属との積層体などが適用可能である。遮光層BMがモリブデン/アルミニウムの積層体である場合、液晶層LCと向かい合う側にモリブデン層が配置され、透明基板20と向かい合う側にアルミニウム層が配置される。これにより、透明基板20を導光する光の吸収を抑制し、有機絶縁膜Oの側面の反射光もしくは散乱光を効率的に遮光することができる。一方、共通電極CEの電位を一定電位に保持させるような駆動法においては、遮光層BMは、導電性を有する材料で構成される必要はないが、導電性を有する材料で構成されてもよい。遮光層BMが非導電性の材料で構成される場合、その膜厚は不要な散乱を防ぐ目的でできるだけ薄い方が好ましい。また、非導電性の材料で構成された遮光層BMにおいては、透明基板20と向かい合う側に反射率の高い材料が配置され、有機絶縁膜Oと向かい合う側に反射率の低い材料が配置されることが好ましい。
第1構成例において、透明基板10は第1透明基板に相当し、透明基板20は第2透明基板に相当し、絶縁膜12は無機絶縁膜に相当する。
【0036】
次に、
図8乃至
図14を参照して、他の構成例について説明する。なお、
図8乃至
図14において、容量電極C及び画素電極PEの図示は省略する。
[第2構成例]
図8は、表示パネルPNLの第2構成例を示す断面図である。
図8に示す第2構成例は、
図4に示した第1構成例と比較して、有機絶縁膜Oが透明基板10と画素電極PEとの間に第3部OIを有する点で相違している。すなわち、第3部OIは、絶縁膜12と容量電極Cとの間に位置し、第3方向Zに沿って膜厚T1を有する。容量電極Cは、有機絶縁膜Oに接している。膜厚T1は、膜厚T0より小さい(薄い)。上記の通り、本実施形態においては、有機絶縁膜Oによる光吸収を抑制する観点から、有機絶縁膜Oの体積は小さいことが望ましく、有機絶縁膜Oが透明基板10と画素電極PEとの間に介在する第2構成例においても、その膜厚T1は小さいことが望ましい。一例では、膜厚T1は、膜厚T0の1/2以下である。
このような第2構成例においても、有機絶縁膜Oの総体積を低減できるため、第1構成例と同様の効果が得られる。
【0037】
[第3構成例]
図9は、第1基板SUB1における画素PXの第3構成例を示す平面図である。
図9に示す第3構成例は、
図2に示した第1構成例と比較して、有機絶縁膜O及び金属配線Mが第2方向Yに沿って帯状に形成された点で相違している。すなわち、有機絶縁膜Oは、スイッチング素子SWに重畳するとともに、信号線Sに重畳する第2部OYを有している。一方で、有機絶縁膜Oは、第1部OXを有していない。また、金属配線Mは、有機絶縁膜Oを介してスイッチング素子SWに重畳するとともに、信号線Sに重畳する第2配線部MYを有している。一方で、金属配線Mは、第1配線部MXを有していない。
このような第3構成例においても、上記の第1構成例と同様の効果が得られる。加えて、第1部OXが省略されたことにより、有機絶縁膜Oの総体積がさらに減少するため、有機絶縁膜Oによる光吸収がさらに抑制される。
また、第1部OXが省略されたことにより、発光素子LDからの光が有機絶縁膜Oに入射した場合に、
図2に示した第2側面E2での不所望な散乱が抑制される。また、走査線Gに重畳する遮光層BMの第1方向Xに沿った幅を低減することができ、一画素あたりの開口面積を拡大することができる。
【0038】
[第4構成例]
図10は、第1基板SUB1における画素PXの第4構成例を示す平面図である。
図10に示す第4構成例は、
図2に示した第1構成例と比較して、有機絶縁膜O及び金属配線Mが第1方向Xに沿って帯状に形成された点で相違している。すなわち、有機絶縁膜Oは、スイッチング素子SWに重畳するとともに、走査線Gに重畳する第1部OXを有している。一方で、有機絶縁膜Oは、第2部OYを有していない。また、金属配線Mは、有機絶縁膜Oを介してスイッチング素子SWに重畳するとともに、走査線Gに重畳する第1配線部MXを有している。一方で、金属配線Mは、第2配線部MYを有していない。
このような第4構成例においても、上記の第1構成例と同様の効果が得られる。加えて、第2部OYが省略されたことにより、有機絶縁膜Oの総体積がさらに減少するため、有機絶縁膜Oによる光吸収がさらに抑制される。
また、第2部OYが省略されたことにより、
図2に示した第3側面E3及び第4側面E4での液晶分子32の配向不良が抑制される。また、信号線Sに重畳する遮光層BMの第2方向Yに沿った幅を低減することができ、一画素あたりの開口面積を拡大することができる。
【0039】
次に、
図11及び
図12を参照して、第5構成例及び第6構成例について説明する。なお、第5構成例及び第6構成例において、複数の発光素子LDは第2方向Yに沿って間隔を置いて並び、ポリマー31の延出方向D1は、第2方向Yに沿った方向である。
【0040】
[第5構成例]
図11は、第1基板SUB1における画素PXの第5構成例を示す平面図である。
図11に示す第5構成例は、上記した発光素子LDとポリマー31の延出方向D1以外は
図9に示した第3構成例と同様の構造を有している。
このような第5構成例においても、上記の第1構成例と同様の効果が得られる。加えて、第1部OXが省略されたことにより、有機絶縁膜Oの総体積がさらに減少するため、有機絶縁膜Oによる光吸収がさらに抑制される。
また、第1部OXが省略されたことにより、
図2に示した第1側面E1及び第2側面E2での液晶分子32の配向不良が抑制される。また、走査線Gに重畳する遮光層BMの第1方向Xに沿った幅を低減することができ、一画素あたりの開口面積を拡大することができる。
【0041】
[第6構成例]
図12は、第1基板SUB1における画素PXの第6構成例を示す平面図である。
図12に示す第6構成例は、上記した発光素子LDとポリマー31の延出方向D1以外は
図10に示した第4構成例と同様の構造を有している。
このような第6構成例においても、上記の第1構成例と同様の効果が得られる。加えて、第2部OYが省略されたことにより、有機絶縁膜Oの総体積がさらに減少するため、有機絶縁膜Oによる光吸収がさらに抑制される。
また、第1部OXが省略されたことにより、発光素子LDからの光が有機絶縁膜Oに入射した場合に、
図2に示した第4側面E4での不所望な散乱が抑制される。また、信号線Sに重畳する遮光層BMの第2方向Yに沿った幅を低減することができ、一画素あたりの開口面積を拡大することができる。
【0042】
[第7構成例]
図13は、第1基板SUB1における画素PXの第7構成例を示す平面図である。
図13に示す第7構成例は、
図2に示した第1構成例と比較して、有機絶縁膜Oが重畳部OX1及びOX2、及び、重畳部OY1及びOY2を有している点で相違している。重畳部OX1及びOX2は、走査線Gに重畳している。重畳部OX1と重畳部OX2とは離間している。つまり、重畳部OX1と重畳部OX2との間において、有機絶縁膜Oは走査線Gに重畳していない。重畳部OY1と重畳部OY2は、信号線Sに重畳している。重畳部OY1と重畳部OY2とは離間している。つまり、重畳部OY1と重畳部OY2との間において、有機絶縁膜Oは信号線Sに重畳していない。表示パネルPNLは、重畳部OX1と重畳部OX2との間、及び、重畳部OY1と重畳部OY2との間において、
図4に示したセルギャップCG2を有している。このため、液晶層LCを製造する過程で、液晶材料が広がりやすくなる。
このような第7構成例においても、上記の第1構成例と同様の効果が得られる。
第7構成例において、重畳部OX1及び重畳部OY1は第1重畳部に相当し、重畳部OX2及び重畳部OY2は第2重畳部に相当する。
【0043】
[第8構成例]
図14は、第1基板SUB1における画素PXの第8構成例を示す平面図である。
図14に示す第8構成例は、
図2に示した第1構成例と比較して、有機絶縁膜Oがスイッチング素子SWのみに重畳している点で相違している。
このような第8構成例においても、上記の第1構成例と同様の効果が得られる。加えて、第1部OX及び第2部OYが省略されたことにより、有機絶縁膜Oの総体積がさらに減少するため、有機絶縁膜Oによる光吸収がさらに抑制される。
【0044】
次に、
図15乃至18を参照して実測に基づく、本実施形態の効果を説明する。
図15は、サンプルの吸収率を測定するための測定方法を説明するための図である。光源101は、サンプルSAに向けて参照光を照射する。検出器102は、サンプルSAを透過した光の透過率を測定する。検出器103は、サンプルSAで反射された光の反射率を測定する。ここでは、光源101、検出器102、及び、検出器103は、サンプルSAに対する参照光の入射角θi、サンプルSAを透過した光の出射角θt、及び、サンプルSAで反射された光の反射角θrが所定の値となるように設置される。一例では、入射角θi、出射角θt、及び、反射角θrは、いずれも等しく、例えば5°に設定される。サンプルSAの吸収率(%)、透過率(%)、及び、反射率(%)をそれぞれA、T、及び、Rとしたとき、吸収率Aは、以下の通り定義することができる。
A=100-T-R
但し、ここでは、サンプルSAのヘーズ、及び、サンプルSAでの散乱は無視できるものとし、サンプルSAの表面が平坦であるものと仮定している。
【0045】
図16は、有機絶縁膜Oを形成する材料の吸収率の測定結果を示す図である。図中の横軸は波長(nm)であり、縦軸は吸収率(%)である。本実施形態の有機絶縁膜Oを形成する材料(サンプルA)、及び、液晶表示装置の透明基板を形成する材料(サンプルB)の各々の吸収率について、
図15を参照して説明した測定方法により測定した。サンプルAはアクリル樹脂であり、サンプルBはガラスである。本実施形態の発光素子LDの発光主波長は、466nm(青色波長)、531nm(緑色波長)、622nm(赤色波長)である。
【0046】
サンプルBについては、いずれの波長についてもほとんど吸収しない。一方、サンプルAについては、短波長側の吸収率は長波長側の吸収率より大きい傾向がある。例えば、サンプルAにおいて、緑色波長の吸収率は、赤色波長の吸収率より高く、青色波長の吸収率は、緑色波長の吸収率より高い。特に青色波長において吸収率が1%を超えることが確認された。つまり、発光素子LDから出射された光のうち、赤色波長の光及び緑色波長の光と比較して、青色波長の光が有機絶縁膜Oにおいて吸収されやすい。本実施形態によれば、有機絶縁膜Oが表示部DAの全域に亘って設けられている場合と比較して、有機絶縁膜Oの総体積が小さい。このため、特に青色波長の光の有機絶縁膜Oによる吸収を抑制することができ、光が表示装置DSPを伝播していくにつれ、有機絶縁膜Oの各色波長の吸収率の違いによって生じる不所望な色度ずれを抑制でき、表示品位の低下を抑制することができる。
【0047】
図17は、発光素子LDからの出射光が表示装置DSPを伝播する様子を説明するための図である。表示装置DSPは、表示パネルPNLの他に、透明基板30を備えている。透明基板20は、発光素子LDに対向する側面20Cを有している。側面20Cは、
図1に示した第2基板SUB2の端部E21に相当する。透明基板30は、主面(下面)30Aと、主面30Aの反対側の主面(上面)30Bと、側面30Cと、を備えている。主面30A及び30Bは、X-Y平面と略平行な面である。主面30Aは、透明基板20の主面20Bと向かい合っている。主面30Bは、例えば、空気層に接している。側面30Cは、発光素子LDに対向し、側面20Cに重畳している。透明基板30は、透明な接着層ADによって透明基板20に接着されている。接着層ADは主面30A及び20Bに接している。
発光素子LDからの出射光は、図中に矢印で示したように、入光部である側面20C及び側面30Cからの距離が遠いほど減衰する。透明基板10、透明基板20、及び、透明基板30などを形成するガラスにおける光吸収率は、
図16に示したように、0.1%にも満たないため、出射光が減衰する主な原因は、透明基板10と透明基板20との間、及び、透明基板20と透明基板30と間それぞれの各種薄膜における光吸収によるものである。
【0048】
図18は、本実施形態の表示装置DSP及び比較例の表示装置における輝度の測定結果を示す図である。比較例の表示装置(C)は、有機絶縁膜Oが第1基板SUB1の略全域に亘って配置され、走査線Gがモリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)の積層体で形成されている。比較例の表示装置(B)は、有機絶縁膜Oが第1基板SUB1の略全域に亘って配置され、走査線Gがモリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)の積層体で形成されている。本実施形態の表示装置DSP(A)は、上記の通り、有機絶縁膜Oの格子状に配置され、走査線Gがモリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)の積層体で形成されている。入光部からの距離を変えて各表示装置の輝度を測定した。入光部は、
図17に示した側面20C及び側面30Cに相当する。
図18の横軸は入光部からの距離であり、縦軸は輝度の相対値である。
図18に示したように、本実施形態の表示装置DSP(A)は、比較例の表示装置(B)と比較して、有機絶縁膜Oの総容量が少ないことにより、入光部から遠く離れても輝度の低下が少なく、光の減少を約8%程度抑制できることが確認された。また、本実施形態の表示装置DSP(A)は、比較例の表示装置(C)と比較して、有機絶縁膜Oの総容量が少なく、走査線Gを形成する積層体の構造が異なるため、入光部から遠く離れても輝度の低下が少なく、光の減少を約16%程度抑制できることが確認された。
以上説明したように、本実施形態によれば、表示品位の低下を抑制することが可能な表示装置を提供することができる。
【0049】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0050】
本明細書にて開示した構成から得られる表示装置の一例を以下に付記する。
(1)
第1基板と、
第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に位置し、ポリマーと、液晶分子とを含む液晶層と、
発光素子と、を備え、
前記第1基板は、透明基板と、走査線と、前記走査線と交差する信号線と、前記走査線及び前記信号線と電気的に接続されたスイッチング素子と、前記スイッチング素子に重畳する有機絶縁膜と、前記スイッチング素子と電気的に接続された画素電極と、を備え、
前記透明基板と前記画素電極との間における前記有機絶縁膜の膜厚は、前記スイッチング素子に重畳する前記有機絶縁膜の膜厚より小さい、表示装置。
(2)
前記第1基板は、前記透明基板と前記画素電極との間に位置する無機絶縁膜と、
前記無機絶縁膜と前記画素電極との間に位置する容量電極と、を備え、
前記有機絶縁膜は、前記無機絶縁膜と前記容量電極との間に位置し
前記容量電極は、前記有機絶縁膜に接している、(2)に記載の表示装置。
(3)
前記第1基板は、前記容量電極と電気的に接続された金属配線を備え、
前記有機絶縁膜は、前記走査線と前記金属配線との間、及び、前記信号線と前記金属配線との間の少なくとも一方に位置している、(2)に記載の表示装置。
(4)
第1基板と、
第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に位置し、ポリマーと、液晶分子とを含む液晶層と、
発光素子と、を備え、
前記第1基板は、透明基板と、走査線と、前記走査線と交差する信号線と、前記走査線及び前記信号線と電気的に接続されたスイッチング素子と、前記スイッチング素子に重畳する有機絶縁膜と、前記スイッチング素子と電気的に接続された画素電極と、を備え、
前記有機絶縁膜は、前記透明基板と前記画素電極との間に設けられていない、表示装置。
(5)
前記第1基板は、前記透明基板と前記画素電極との間に位置する無機絶縁膜と、
前記無機絶縁膜と前記画素電極との間に位置する容量電極と、を備え、
前記容量電極は、前記無機絶縁膜の上面に接している、(4)に記載の表示装置。
(6)
前記第1基板は、前記容量電極と電気的に接続された金属配線を備え、
前記有機絶縁膜は、前記走査線と前記金属配線との間、及び、前記信号線と前記金属配線との間の少なくとも一方に位置している、(5)に記載の表示装置。
(7)
前記第2基板は、前記スイッチング素子に重畳する遮光層を備え、
前記有機絶縁膜は、前記発光素子に近接した第1側面と、前記第1側面の反対側の第2側面と、を備え、
前記遮光層は、前記第2側面に重畳している、(1)乃至(6)のいずれか1項に記載の表示装置。
(8)
前記第2基板は、共通電極を備え、
前記遮光層は、前記共通電極より低抵抗な導電層であり、前記共通電極と電気的に接続されている、(7)に記載の表示装置。
(9)
前記有機絶縁膜と前記遮光層との間に位置するスペーサを備えている、(7)または(8)に記載の表示装置。
(10)
前記有機絶縁膜は、平面視で、前記走査線及び前記信号線の少なくとも一方に重畳している、(1)乃至(9)のいずれか1項に記載の表示装置。
(11)
前記有機絶縁膜は、前記走査線または前記信号線に重畳する第1重畳部及び第2重畳部を備え、
前記第1重畳部及び前記第2重畳部は、離間している、(10)に記載の表示装置。
【符号の説明】
【0051】
DSP…表示装置 PNL…表示パネル LD…発光素子 10,20,30…透明基板 S…信号線 G…走査線 SW…スイッチング素子 O…有機絶縁膜 PE…画素電極 CE…共通電極 BM…遮光層 M…金属配線