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特許7160344皺状メッシュの製造方法および製造方法を実行する設備
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  • 特許-皺状メッシュの製造方法および製造方法を実行する設備 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】皺状メッシュの製造方法および製造方法を実行する設備
(51)【国際特許分類】
   B29C 69/02 20060101AFI20221018BHJP
   B29C 55/18 20060101ALI20221018BHJP
   B29C 59/04 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
B29C69/02
B29C55/18
B29C59/04 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019106644
(22)【出願日】2019-06-07
(65)【公開番号】P2020189477
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2019-06-07
【審判番号】
【審判請求日】2021-04-21
(31)【優先権主張番号】108117156
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】599161948
【氏名又は名称】龍湶實業有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】張 哲源
【合議体】
【審判長】松波 由美子
【審判官】河原 正
【審判官】関根 洋之
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-355178(JP,A)
【文献】米国特許第2009/0061130(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/00-43/58
B29C 48/00-48/96
B29C 55/00-55/30
B29C 59/00-59/18
B29C 69/02
A47K 7/02
D02G 1/12
D02G 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの相対する第一ローラーの間に一本のメッシュ状部材を送り込んで皺生成工程を行うステップa)と、
二つの相対する第二ローラーの間に前記メッシュ状部材を送り込んで圧延工程を行い、同時に二つの前記第二ローラーと前記メッシュ状部材との間に生じる摩擦熱によって前記メッシュ状部材を軟化させるステップb)と、
前記メッシュ状部材の軟化した部分を容器に集めて相互に押し詰めるステップc)と、
前記容器内の前記メッシュ状部材を相互かつ持続的に押し詰めた後、前記メッシュ状部材の押し詰められた部分が、前記容器から放出され一本の皺状メッシュが完成するステップd)と、
を含み、
前記メッシュ状部材は二つの前記第二ローラーによって圧迫された上で変形し、前記ステップb)において表面に形成された皺が、前記ステップa)において表面に形成された皺より著しく、
二つの前記第二ローラーの間の間隔は二つの前記第一ローラーの間の間隔より小さく、
二つの前記第二ローラーの回転速度は二つの前記第一ローラーの回転速度より速く、
前記摩擦熱は、前記第二ローラーと前記第一ローラーの間の間隔差及び回転速度差により生じ
前記ステップb)において、前記メッシュ状部材の軟化において、加熱部材は用いられないことを特徴とする皺状メッシュの製造方法。
【請求項2】
ステップd)において、前記容器の蓋が閉鎖位置から開放位置に上昇し、前記メッシュ状部材が放出されることを特徴とする請求項1に記載の皺上メッシュ製造方法。
【請求項3】
前記蓋に配置された重りにより、前記蓋前記閉鎖位置に維持されることを特徴とする請求項2に記載の皺状メッシュ製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入浴および清拭用品に関し、詳しくは皺状メッシュの製造方法および製造方法を実行する設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シャボンボールまたは浴用手袋などの入浴および清拭用品の多くは押出成形によって製作されたプラスチックメッシュである。プラスチックメッシュに付着する洗浄剤はプラスチックメッシュの網目によって泡沫を迅速に生じさせ、使用者の肌を清潔することができる。上述した方法で製作したプラスチックメッシュは表面粗さがあまり著しくないため、体の汚れが溜りやすい部位、例えば肘または足の裏を洗う時に力を入れて洗うか何回か繰り返して洗うことが必要であるという欠点がある。
【0003】
図1に示すように、上述した欠点を解決するために、従来の皺状メッシュ製造設備の工程は次のとおりである。まずメッシュ状部材1は加熱部材2によって軟化し、続いて軟化した部分が二つのローラー3によって圧延加工され、続いて延圧加工が完了した部分が容器4に送り込まれる。続いて、容器4に集まったメッシュ状部材1は相互に押し付けられて不規則に変形する。同時に容器4は加熱装置5によって一定の温度に維持される。続いて、容器4の中のメッシュ状部材1を送り出せば、皺状メッシュの製造工程が完了する。しかしながら、上述した従来の設備において、加熱部材2でメッシュ状部材1を軟化させる工程が完了するまで待たなければ次の工程は進めないため、生産効率があまりよくない。また加熱部材2および加熱装置5の配置は全体空間に影響を与えるだけでなく、設備のコストを増加させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は生産効率を向上させ、設備のコストを削減し、良好な皺効果を生じることができる皺状メッシュの製造方法を提供することを主な目的とする。
【0005】
本発明は皺状メッシュ製造設備を提供することをもう一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、皺状メッシュの製造方法は次のとおりである。まず二つの相互に間隔を置く第一ローラーの間に一本のメッシュ状部材を送り込んで皺生成工程を行う。続いて二つの相互に間隔を置く第二ローラーの間にメッシュ状部材を送り込んで圧延工程を行い、同時に二つの第二ローラーとメッシュ状部材との間の摩擦によって生じる熱エネルギーでメッシュ状部材を軟化させる。続いて、メッシュ状部材の軟化した部分を一つの容器に集めて相互に押し詰める。続いて、容器内のメッシュ状部材を相互かつ持続的に押し詰めた後、メッシュ状部材の押し詰められた部分を容器から送り出せば一本の皺状メッシュが完成する。
【0007】
上述しとおり、本発明による製造方法は摩擦熱でメッシュ状部材を軟化させ、容器内のメッシュ状部材を相互に押し詰めて変形させる時間を延長することによって表面に良好な皺効果を生じることができる。また本発明による製造方法において、加熱部材は配置されないため、加熱時間が不要となるだけでなく、生産効率を向上させ、整備のコストを削減することができる。
【0008】
上述した課題を解決するため、皺状メッシュ製造設備は容器、二つの第二ローラーおよび二つの第一ローラーを備える。容器はメッシュ状部材を収容し、入口および出口を有する。二つの第二ローラーは容器の入口に隣接し、メッシュ状部材を圧延加工して変形させ、摩擦熱によってメッシュ状部材を軟化させ、続いてメッシュ状部材を容器に送り込む。二つの第一ローラーは二つの第二ローラーとともに容器と同じ側に配置され、かつ二つの第二ローラーと距離を保ち、メッシュ状部材の皺生成工程を行って二つの第二ローラーへ送り出す。
【0009】
本発明による皺状メッシュの製造方法および製造方法を実行する設備の詳細な構造、特徴、組み立てまたは使用方法は、以下の実施形態の詳細な説明を通して明確にする。また、以下の詳細な説明および本発明により提示された実施形態は本発明を説明するための一例に過ぎず、本発明の請求範囲を限定できないことは、本発明にかかわる領域において常識がある人ならば理解できるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】従来の皺状メッシュ製造設備の構造を示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態による皺状メッシュ製造設備において蓋が閉鎖位置に維持される状態を示す模式図である。
図3】本発明の一実施形態による皺状メッシュ製造設備において蓋が開放位置に維持される状態を示す模式図である。
図4】本発明の一実施形態による皺状メッシュの製造方法を示すプロセスである。
図5】本発明の一実施形態による皺状メッシュの製造方法で製造したシャボンボールを示す斜視図である。
図6】本発明の一実施形態による皺状メッシュの製造方法で製造した浴用手袋を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明による皺状メッシュの製造方法および製造方法を実行する設備を図面に基づいて説明する。明細書において方向性用語は図面に示した方向に基づいて表現される。図面中の同じ符号は同じ部品または類似した部品の構造特徴を示す。
【0012】
(一実施形態)
図2および図3に示すように、本発明の一実施形態による皺状メッシュ製造設備10は容器20、二つの相互に間隔を置く第二ローラー30、二つの相互に間隔を置く第一ローラー32、蓋23、アーム24および重り25を備える。
【0013】
容器20は入口21および出口22を有する。
【0014】
二つの第二ローラー30は容器20の入口21に隣接する。二つの第一ローラー32は二つの第二ローラー30とともに容器20と同じ側に配置され、かつ二つの第二ローラー30と距離を保つ。二つの第二ローラー30の間の間隔は二つの第一ローラー32の間の間隔より小さい。二つの第二ローラー30の回転速度は二つの第一ローラー32の回転速度より速い。
【0015】
蓋23は容器20に回転可能に配置され、容器20に対して閉鎖位置P1(図2参考)と開放位置P2(図3参照)の間を往復運動する。蓋23が閉鎖位置P1にあると容器20の出口22が遮蔽状態となる。蓋23が開放位置P2にあると容器20の出口22が開放状態となる。
【0016】
重り25はアーム24に吊り上げられる。アーム24は一端が蓋23の外側面に連結され、重り25の生じるトルクによって蓋23を閉鎖位置P1に維持することができる。
【0017】
図4に示すように、本発明の一実施形態による皺状メッシュの製造方法は次のステップを含む。
【0018】
図4のS1に示すように、ステップa)において二つの第一ローラー32の間に一本のメッシュ状部材40を送り込み、二つの第一ローラー32を持続的に回転させてメッシュ状部材40を圧延し、メッシュ状部材40の表面に複数の皺を形成する。続いて二つの第二ローラー30にメッシュ状部材40を輸送する。
【0019】
図4のS2に示すように、ステップb)において、二つの第二ローラー30の間にメッシュ状部材40を送り込む。二つの第二ローラー30は間隔が二つの第一ローラー32の間の間隔より小さく、回転速度が二つの第一ローラー32の回転速度より速いため、二つの持続的に回転する第二ローラー30はメッシュ状部材40に対する圧力が増大してメッシュ状部材40を変形させてメッシュ状部材40の表面の皺を著しくし、同時にメッシュ状部材40との間に生じる摩擦熱によってメッシュ状部材40を軟化させ、メッシュ状部材40の変形および軟化した部分を容器20へ輸送する。
【0020】
図4のS3に示すように、ステップc)において、二つの第二ローラー30を持続的に回転させてメッシュ状部材40の変形および軟化した部分を容器20の入口21から容器20内に持続的に送り込む。容器20内に集まったメッシュ状部材40が増えれば増えるほど、メッシュ状部材40は相互に押し詰められて不規則に変形する。
【0021】
図4のS4に示すように、ステップd)において、容器20内のメッシュ状部材40を相互かつ持続的に押し詰めた後、容器20内の相互に押し詰められたメッシュ状部材40は蓋23に集まり、蓋23を閉鎖位置P1に維持する重り25の力を突破し、図3に示すように蓋23を開放位置P2まで上昇させて容器20の出口22から放出される。このときメッシュ状部材40の放出された部分の表面が皺状であれば皺状メッシュの製造工程が完了する。
【0022】
上述しとおり、本発明による製造方法は摩擦熱でメッシュ状部材40を軟化させ、容器20内のメッシュ状部材40を相互に押し詰めて変形させる時間を延長し、容器20内のメッシュ状部材40を押し詰める効果を増大させることによって表面に良好な皺効果を生じるため、メッシュ状部材40で製造されたシャボンボール44(図5参照)または浴用手袋46(図6参照)などの入浴用品は良好な清潔効果を発揮できる。また本発明による製造方法は加熱部材でメッシュ状部材40を加熱するステップを省略するため、加熱時間が不要となるだけでなく、生産効率を向上させ、整備のコストを削減することができる。
【符号の説明】
【0023】
(先行技術)
1:メッシュ状部材、
2:加熱部材、
3:ローラー、
4:容器、
5:加熱装置、
(本発明)
10:設備、
20:容器、
21:入口、
22:出口、
23:蓋、
24:アーム、
25:重り、
30:第二ローラー、
32:第一ローラー、
40:メッシュ状部材、
42:皺状メッシュ、
44:シャボンボール、
46:浴用手袋、
P1:閉鎖位置、
P2:開放位置、
S1からS4:ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6