(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】ベビーカーシャーシ及びベビーカー
(51)【国際特許分類】
B62B 7/08 20060101AFI20221018BHJP
【FI】
B62B7/08
(21)【出願番号】P 2019514287
(86)(22)【出願日】2017-09-14
(86)【国際出願番号】 EP2017073091
(87)【国際公開番号】W WO2018050728
(87)【国際公開日】2018-03-22
【審査請求日】2020-09-10
(31)【優先権主張番号】202016105140.1
(32)【優先日】2016-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】202017100792.8
(32)【優先日】2017-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505222381
【氏名又は名称】サイベックス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キースラー、フランツ
(72)【発明者】
【氏名】ホライス、ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ホイザー、ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】バーカー、ジェイソン
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0273553(US,A1)
【文献】特開2005-132245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み式ベビーカーシャーシであって、
前記ベビーカーシャーシは、前記ベビーカーシャーシを押すためのプッシュ要素(11)および車輪を有し、少なくともロック可能な使用状態と少なくとも1つの折り畳まれたロック可能な収納状態とにすることができ、
ロックされた前記使用状態からロックされた前記収納状態への移行が、単一の第1の作動によって前記使用状態におけるロックの解除と前記収納状態におけるロックの設定との両方を行うことができるように構成される
手動の作動装置(16)と、
少なくとも1つの第1の位置と第2の位置とに調整することができ、前記使用状態が前記第1の位置にロックされているか、または、前記収納状態のロックが前記第1の位置に解除されているか、または、前記収納状態が前記第2の位置にロックされているか、または、前記使用状態のロックが前記第2の位置に解除されるように、前記作動装置(16)と協働して機能する調整装置(20)と、
を備え、
前記調整装置(20)は、前記使用状態における前記第1の位置から前記第2の位置への移動中において、引っ張り装置(31a,31b)の作用に抗して第1のロック要素(26)をロック受け部(30a,30b)内に移動させる第1の傾斜面(23)を有する第1の動作伝達装置を備えているか、または、前記収納状態における第1の位置から第2の位置への移動中において、前記引っ張り装置(31a,31b)の作用に抗して第2のロック要素(27)を付属のロック受け部(37)内に移動させる第2の傾斜面(24)を有する第2の動作伝達装置を備えていることを特徴とする折り畳み式ベビーカーシャーシ。
【請求項2】
前記第1の作動は、逆向きに移動しない一方向への動作であることを特徴とする請求項1に記載の折り畳み式ベビーカーシャーシ。
【請求項3】
ロックされた前記収納状態からロックされた前記使用状態への移行中の前記収納状態におけるロックの解除は、前記作動装置(16)の単一の第2の作動によって実行することができ、前記第2の作動は、逆向きに移動しない一方向への動作であるか、または前記第1の作動の運動学的に逆向きの動作であることを特徴とする請求項1に記載の折り畳み式ベビーカーシャーシ。
【請求項4】
前記作動装置(16)は、前記第1の作動が、前記使用状態におけるロックの解除と前記収納状態におけるロックの設定とを重ねて同時に起こさせるか、または前記ロックの解除と前記ロックの設定とを順次連続して起こさせるという結果をもたらすように前記作動装置が構成されていることを特徴とする請求項1に記載の折り畳み式ベビーカーシャーシ。
【請求項5】
前記作動装置(16)は、前記第1の作動および前記第2の作動を実行するために旋回することができることを特徴とする請求項3に記載の折り畳み式ベビーカーシャーシ。
【請求項6】
前記作動装置(16)は、前記プッシュ要素(11)の一部、クリップ、レバー、またはフラップのうちのいずれかであるか、または、前記プッシュ要素(11)の少なくとも1つのプッシュ要素セクションは、ハンドル(18)の高さ調整のために旋回可能であり、かつ異なる旋回位置でロックすることができることを特徴とする請求項1に記載の折り畳み式ベビーカーシャーシ。
【請求項7】
前記第1および第2のロック要素のうちから選択される一方のロック要素は軸方向に動かされ、前記第1および第2のロック要素のうちから選択される他方のロック要素は半径方向に動かされることを特徴とする
請求項1に記載の折り畳み式ベビーカーシャーシ。
【請求項8】
前記第2のロック要素(27)は、互いに向かって動くことができる少なくとも2つのロック要素部分(28,29)を備え、
前記引っ張り装置は、前記引っ張り装置が少なくとも2つのロック要素部分(28,29)を互いから押し出すように前記少なくとも2つのロック要素部分(28,29)の間に設けられていることを特徴とする
請求項1に記載の折り畳み式ベビーカーシャーシ。
【請求項9】
前記ベビーカーシャーシを更なる状態に折り畳むことができるように、前記収納状態をロックすることができ、
前記第2のロック要素(27)および前記付属のロック受け部(37)は、前記収納状態が展開に対してロックされているが、同時に前記更なる状態にさらに折り畳むことが可能であるように構成されていることを特徴とする
請求項1に記載の折り畳み式ベビーカーシャーシ。
【請求項10】
スポーツモデルのベビーカーシャーシ、バギーシャーシまたは同様の子供用乗り物シャーシであって、
車輪およびベビーカーシャーシを押すためのプッシュ要素(11)を有し、前記ベビーカーシャーシを少なくともロック可能な前記使用状態にすることができ、
前記プッシュ要素(11)の少なくとも1つのプッシュ要素セクション(16)がハンドル(18)の高さ調整のために旋回可能であり、少なくとも1つの折り畳まれたロック可能な前記収納状態にあり、
前記使用状態および/または前記収納状態のロックおよび/またはロック解除は、旋回可能な前記プッシュ要素セクション(16)を旋回させることによって達成されることを特徴とする請求項1に記載の折り畳み式ベビーカーシャーシ。
【請求項11】
前記少なくとも1つのプッシュ要素セクション(16)は、少なくとも2つの旋回位置にロックすることができ、または、前記少なくとも1つのプッシュ要素セクション(16)は、さらなるプッシュ要素セクションに対して旋回可能であることを特徴とする
請求項10に記載の折り畳み式ベビーカーシャーシ。
【請求項12】
スポーツモデルのベビーカーシャーシ、バギーシャーシまたは同様の子供用乗り物シャーシ、車輪およびベビーカーシャーシを押すための押し部材(11)を含み、
前記ベビーカーシャーシは、少なくともロック可能な前記使用状態と、折り畳まれた任意にロック可能な前記収納状態とにすることができ、
前記使用状態のロックの解除は、同時に行われる2つの異なる作動ステップか、または3つの連続する作動ステップのいずれかによって達成され得るように、前記ベビーカーシャーシが構成され、
前記ベビーカーシャーシは、少なくとも2つの異なる前記使用位置を調整することができる少なくとも1つの調整可能性を有し、
前記使用状態にロックされるか又は解除される、ロック解除位置としての少なくとも1つのさらなる位置を採用することができることを特徴とする
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の折り畳み式ベビーカーシャーシ。
【請求項13】
前記使用状態または前記収納状態のうちのいずれかのロックまたはロック解除が達成されるピボット位置への旋回可能な前記プッシュ要素セクション(16)の旋回が、前回の後か又は同時の後にのみ行うことができるように、前記プッシュ要素セクション(16)の水平部分の中央に配置されるノブの作動が旋回プロセス中に行われることが可能になるようにベビーカーシャーシが構成されることを特徴とする
請求項10に記載の折り畳み式ベビーカーシャーシ。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載のベビーカーシャーシを有するベビーカー、スポーツモデルのベビーカー、バギー、または同様の子供用乗り物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベビーカーシャーシ及びベビーカーに関する。
【背景技術】
【0002】
折り畳み式ベビーカーシャーシは、例えば、DE 10 2014 110 215 A1号公報により公知である。ここで論じられている種類の車椅子用シャーシ、特にスポーツモデルのベビーカーシャーシ、バギー、または子供用の類似の車両は、乳児および幼児の実用的な搬送に使用される。公知のベビーカーシャーシでしばしば問題となるのは、非使用状態でのスペース要件である。特に、運搬中、ベビーカーを一緒に折り畳むことができれば有利である。この場合に、ベビーカーシャーシの変換はユーザーにとってできるだけ簡単に行われるべきである。
【0003】
ベビーカーシャーシを使用状態から収納状態へと移行させるための各種の折り畳み機構が従来技術において種々提案されている。少なくとも使用状態(使用位置)では、折りたたみ機構の偶発的な作動に対してベビーカーを固定しなければならない。任意に安全装置を収納位置(収納状態)に設けることもできる。
【0004】
折り畳み式ベビーカーは、通常、例えばプッシュ要素と前側脚部および/または後側脚部とが互いに対して回転することができ、またはそれらの位置に対して固定されることができる関節運動(アーティキュレーション)を有する。安全装置が収納状態用に設けられている場合に、これはしばしば独立した機構によって実施される。
【0005】
しかしながら、公知の折り畳み機構は全体的に不利であると思われる。特に、ベビーカーをその使用状態から収納状態に(または逆に)移動させるためには、ユーザーのいくつかの別々の操作が必要とされる。例えば、第1の操作として使用位置の横方向のロック解除、および第2の操作としてシャーシの折り畳み、また必要に応じて、収納状態での自動ロック、または第1の操作として任意に収納状態の横方向のロック解除、および第2の操作として使用位置での任意の自動ロックを伴うシャーシの展開などの操作が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
収納状態で安全装置が設けられていない限り、シャーシは偶発的に意図しないところで(例えば、乗用車のトランクに積み込むときなどに)展開してしまう可能性がある。さらに、折り畳み機構は通常片手で操作することはできず、ユーザーは、例えば、まず最初に使用状態の横方向のロック解除(両側で同時に)を行い、次いで折り畳み工程、または最初に片手で収納状態のロック解除を行いながら、もう一方の手でシャーシを同時に展開しなければならない。
【0007】
本発明の目的は、ベビーカーを簡単な方法で折り畳み可能とし、使用位置と収納位置との両方を簡単な方法で固定可能とし、ベビーカーまたは対応するベビーカーシャーシを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を解決するために、請求項1の特徴を有するベビーカーシャーシが提案される。
【0009】
特に、この目的は、ベビーカーシャーシと、ベビーカーシャーシを押すためのプッシュ要素と、ベビーカー付属品を締結するための締結手段とを含み、ベビーカーシャーシをロック可能な使用状態および折り畳み式のロック可能な収納状態にすることができ、(手動)作動装置が設けられ、ロックされた使用状態からロックされた収納状態への移行中において少なくとも2つの工程(特に折り畳み工程および/またはロック工程)を実行できるように構成され、好ましくは、使用状態におけるロックの解除と、作動装置の(単一の)第1の作動による収納状態におけるロックの調整との両方であることが好ましい折り畳み可能なベビーカーシャーシ、特にスポーツ用ベビーカーシャーシ、バギーシャーシ、または同様の子供用乗り物のシャーシによって解決される。
【0010】
(手動の)作動装置は、(ベビーカーを分解することなく)ユーザーが手を伸ばせば届くことができ、(手動で)ユーザーが作動させることができる作動装置として特に理解されるべきである。ここで、手動作動は、とくに手および/または足による作動として理解されるべきである。作動装置は、特に、例えばクリップまたはレバーのような(一体の)作動要素によって形成されている。作動装置の単一の作動は、特にユーザーが作動装置を一度作動させる(特に移動させる)工程として理解されるべきである。収納状態は、前後脚または前後一対の脚が互いに向かって移動され(回転され)、および/またはプッシュ要素が(使用状態から始まる)前方脚(一対の脚)の方向に移動(回転)される状態として特に理解されるべきである。
【0011】
本発明の核心となる態様は、ベビーカーのシャーシを、それぞれロック(ロックされた)使用位置からロック(ロックされた)保管位置へ(場合によっては)戻すことができる操作を(単一の)操作とすることができることにある。(ベビーカーシャーシの折り畳み用の)1つの折り畳みジョイントでは、この1つの動作において、任意にいくつかの工程を同時に、または時間的に重複して、あるいは時間的に連続して開始することができる。具体的には、例えば、収納位置をロックするためのロック装置の予張力(収納状態)および使用位置(使用状態)のロックの解除(ロック)を行うことができる。作動は、特に(純粋に)並進移動および/または(純粋に)回転移動であるか、またはそれらの組み合わせである。作動中、回転方向は回転中および/または並進中に逆転しないことが好ましい。好ましくは、第1の作動は、逆向きに移動させない一方向への動作である。
【0012】
全体として、本発明による折り畳み式ベビーカーシャーシによって、使用状態から収納状態への移行を簡単な方法で達成することができるにもかかわらず、ベビーカーシャーシの安全な使用が可能になる。とくに、折り畳み工程は、(任意で片手で)(単一の)操作で実行することができ、そのような操作は、好ましくは(設定または把持することなく)連続的な移動シーケンスとして理解されるべきである。
【0013】
ロック収納状態からロック使用状態への移行中、好ましくは(少なくともまたは正確に)1つまたは少なくとも2つのロック工程、例えば、収納状態でのロックの解除および/または使用状態におけるロックの設定は、作動装置の(単一の)第2の作動によって行われる。第2の作動は、好ましくは、逆向きに移動させない一方向への動作である。さらに、第2の作動は、第1の作動の運動学的逆向き動作であり得る。運動学的逆向き動作は、特に(回転作動の場合には)逆回転または(並進作動の場合には)後退として理解されるべきである。有利には、収納状態から使用状態への展開は、一回の操作で(好ましくは片手で)行うことができる。
【0014】
ロックの調整は、それを用いたときにそれぞれの状態がロックされるプロセスとして特に理解されるべきである。したがって、ロックの調整は、特に、それぞれの状態が採用される前に、例えば事前張力付与装置(特にばね)にプリテンションをかけることによって行うことができる。それぞれの状態への排他的な持ち込みは、好ましくは作動として理解されるべきではない。したがって、(第1または第2の)作動は、ロックの解除またはロックの解除が(ユーザーによって)能動的に制御されるプロセスとして特に理解されるべきである。
【0015】
作動装置は、第1の作動が使用状態でのロックの解除と収納状態でのロックの調整とが少なくとも部分的に一時的に重なる、特に同時に起こるか又は時間的に連続して(おそらく時間間隔で)起こるという結果を有するように構成することができる。代替的にまたは付加的に、作動装置は、第2の作動が収納状態でのロック解除および(実施されている場合)使用状態でのロックの調整が少なくとも部分的に一時的に重なる、特に同時に起こるかまたは時間的に連続して(おそらく時間間隔で)起こるという結果を有するように構成することができる。
【0016】
特定の実施形態では、作動装置は、第1および/または第2の作動を実行するために旋回することができる。この場合に、第2の作動は、第1の作動の形態での旋回の後方への旋回であることが好ましい。旋回による作動は、(例えば、伸縮式の解決策と比較して)障害を比較的受けにくく、特に、汚れの侵入に関して比較的耐性がある。機能性をそれほど制限することなく、製造における比較的大きな公差もまた許容可能である。これにより、全体的に信頼性があり、かつ極めて簡単な折り畳み式ベビーカーシャーシの操作が達成される。
【0017】
作動装置は、プッシュ要素および/またはクリップ、特にスライド式クリップ(またはそのようなものを含む)、および/またはレバー(またはそのようなものを含む)および/またはフラップ(またはそのようなものを含む)の一部とすることができる。代替的に又は追加的に、プッシュ要素の少なくとも1つのプッシュ要素部分は、ハンドルの高さ調整のために旋回可能にすることができ、とくに異なるピボット位置でロックされるようにできる。全体として折り畳み機構の動作はさらに単純化される。
【0018】
作動装置は、好ましくは引張り要素、特にボーデンケーブルを介して調整装置と協働することができ、前記調整装置は、少なくとも1つの第1および第2の位置に調整することができ、使用状態では第1の位置に固定され、収納状態のロックが第1の位置で解除され、および/または収納状態のロックが第2の位置で固定され、および/または使用状態のロックが第2の位置で解除される。調整装置は、好ましくは、第1の位置から第2の位置への移動中に並進的に、任意に純粋に並進的に移動する。特に好ましくは、この場合、作動装置は(任意に)回転枢動によって作動させることができる。その結果、簡単な方法でベビーカーシャーシの確実に機能する折り畳みが可能になる。
【0019】
調節装置は、使用状態における第1の位置から第2の位置への移動中に第1のロック要素が特に引っ張り装置、好ましくはロック受け部からのばねの作用の反対方向に移動するように、第1の動作伝達装置、特に第1の傾斜面を含むことができる。代替的に又は付加的に、調節装置は、第2の動作伝達装置、特に第2の傾斜面を備え、収納状態において第1の位置から第2の位置への移動中に第2のロック要素が移動する。特に引っ張り装置、好ましくはばねの作用に抗してロック受け部内に入る。第1及び/又は第2のロック要素を回転および/または並進移動可能にすることができる。1つの特定の実施形態では、第1のロック要素は(純粋に)並進的に動かすことができ、第2のロック要素は(純粋に)回転的に動かすことができる。これにより、全体としてロック方法がさらに簡単になる。
【0020】
好ましくは、第1および第2のロック要素からの一方のロック要素、特に第1のロック要素は軸方向に動かされ、他方、特に第2のロック要素は半径方向に動かされる。その結果、種々のロック方法に対して省スペースで効果的な構造が提供される。
【0021】
第2のロック要素は、互いに向かって動くことができる少なくとも2つのロック要素部分を含むことができ、その場合、引っ張り装置がロック要素部分を押すように、引っ張り装置、特にばねがロック要素部分の相互間に設けられる。
【0022】
ベビーカーシャーシをさらに折り畳むことができるように、収納状態をロックすることができる(すなわち、再度の折り畳みに対する安全装置が1つだけ設けられる)。この目的のために、第2のロック要素および付属のロック受け部は、展開に対して収納状態がロックされるように(特に非対称に)構成されるが、同時にさらなる状態に折り畳みが可能であるようにも構成される。
【0023】
上記の目的は、特に上述した種類の折り畳み式ベビーカーシャーシ、好ましくは車輪を備えたスポーツモデルベビーカーシャーシ、バギーシャーシ、または同様の子供用車両シャーシ、ならびにベビーカーシャーシを押すためのプッシュ要素ばかりでなく、任意にベビーカー付属品を締結するための締結手段を有することによってもさらに解決される。このようなベビーカーシャーシは、少なくとも1つのロック可能な使用状態と、折り畳まれた任意にロック可能な収納状態とにすることができ、プッシュ要素の少なくとも1つのプッシュ要素セクションは、高さ方向に旋回可能である。使用状態および/または収納状態のロックおよび/またはロック解除は、旋回可能プッシュ要素セクション(pivotable push element section)を旋回させることによって達成される。したがって、他の点では(高さ調整のために)旋回可能なプッシュ要素部分において、この旋回可能性が利用されるか、またはさらに構成されてロッキングプロセスも行われ得るかという中核的な考え方を見ることができる。高さ調節のために旋回可能な通常のプッシュ要素部分は、ベビーカー折り畳み用の関節から比較的離れて配置されているが、本発明によれば、全体的な操作および構造もまた単純化することができる。旋回可能なプッシュ要素部分と折り畳みジョイントとの間の比較的大きな距離は、好ましくはプッシュおよび/またはプル装置、例えばボーデンケーブルによって橋渡しすることができる。このように本発明のアプローチは、ロックのための作動装置が通常直ちに又は折り畳みジョイントに空間的に近接して設けられていた従来の解決法からある程度は逸脱している。旋回による作動は、(例えば、伸縮式の解決策と比較して)全体的に故障しにくく、とくに汚れの侵入に対して比較的耐性がある。機能性をそれほど制限することなく、製造における比較的大きな公差もまた許容可能である。本発明の解決手段によって、全体として単純で安全なロック、特に使用状態のロックが可能になる。
【0024】
好ましくは、旋回可能プッシュ要素セクションは、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのピボット位置にロックすることができる。代替的にまたは追加的に、旋回可能プッシュ要素セクションは、さらなるプッシュ要素セクションに対しても旋回可能であり得る。旋回可能プッシュ要素セクションの旋回軸は、折り畳みジョイントに対して少なくとも10cm、好ましくは少なくとも20cmの距離を有することが好ましい。プッシュ要素セクションは、全体として(U字形状の)クリップとすることができ、クリップの脚部は、少なくとも10cm、または少なくとも15cm、および/または最大で30cm、最大で25cm、または最大で20cmの長さである。
【0025】
しかしながら、好ましくは上記の態様と組み合わされる本発明のさらなる(独立した)態様によれば、ベビーカーシャーシを押すためのプッシュ要素ばかりでなく車輪を有する折り畳み可能なベビーカーシャーシ、特にスポーツモデルのベビーカーシャーシ、バギーシャーシ、または子供用の類似の車両用シャーシが提案される。
使用状態のロックの解除が、(同時に)同時に行われる2つの異なる作動ステップ(プロセスステップ)によって、または(連続して)3つの連続した作動ステップ(プロセスステップ)によって達成され得るように、ベビーカーシャーシは構成される。ここで、ベビーカーシャーシは、少なくとも2つの異なる使用位置を調節することができる少なくとも1つの調節可能性を有し、少なくとも1つのさらなる(少なくとも第3の)位置、すなわち、使用状態のロックが解除されるか、または解除される解除位置を採用することができる。
【0026】
調整可能性は、特に、(特に隣接するセクション間の相対角度に関して、または隣接するセクションからの距離に関して)ベビーカーシャーシのフレーム(またはフレームワーク)の調整、すなわち、例えば高さ調整、特にプッシュ要素の高さ調整を含む。1つの位置(特に最後の使用位置)から別の位置(特にアンロック位置)への移動は、2つの同時作動工程(例えば、ボタンを押すこと、および例えばレバーまたはフレームの部分、特にプッシュ要素部分を旋回させることによって)のみで行われることが好ましい。代替として、これはまた、3つの(連続的な)工程(のみ)によって可能にされ得る。一実施形態では、少なくとも2つの使用位置間の移動および(最後の)使用位置からアンロック位置への移動のための同じ作動ステップ(特に同時)は、同じステップ(または対応する)作動ステップによって実行することができる。例えば、(同じ)ボタンまたはほぼ同じ安全装置を押すことと、ベビーカーシャーシのセクション、特にプッシュ要素セクションを(特に旋回させると)同時に移動することによる(プロセスステップ)。好ましくは、ロック解除位置は少なくとも2つの(異なる)使用位置の間にはない。
【0027】
代替的なアイデアによれば、追加の位置が調整可能性(特に高さ調整)に追加される。この追加の位置は、好ましくは調整のためにすでに存在する2つの位置の間にはない(高さ調整)。追加の位置は、この位置が採用されたときにフレームロックが解除されてベビーカーを折り畳むことができるように構成されている。
【0028】
特に好ましくは、調整可能性(高さ調整)の調整、特に旋回可能部分の旋回、例えば安全装置の作動(特にボタンを押す)およびプッシュ要素の同時変位(旋回)のために2つの同時処理ステップが必要である。好ましくは最後の使用位置と追加の位置との間に、特に好ましくは追加の位置に到達する直前に機構が設けられ、この機構は追加の位置への(偶然の)移動、例えば停止(またはロック)を防止する。結果として、ユーザーは、追加位置への移行の前に実際に両方のステップを同時に実行することを強いられる(そしておそらく最後の使用位置を離れるためだけではない)。好ましくは、追加の位置は、偶発的な移行を起こりにくくするために、通常の使用には不適切であるように、例えばプッシュ要素の押し込みに不適切な高さおよび/または位置に設定される。
【0029】
ベビーカーシャーシは、好ましくは、使用状態および/または収納状態の施錠および/または施錠の解除は、特にノブ、好ましくはプッシュ要素の水平部分にある安全装置の前回の作動後または同時作動後にのみ行うことができるピボット位置への旋回可能プッシュ要素セクションが旋回運動をするように構成される。ノブは、好ましくは、水平方向のプッシュ要素セクションの中央に配置される。このノブは、ボタンを押すこと(一般的には安全装置を作動させること)と旋回可能プッシュ要素セクションの同時旋回とによってのみ行うことができるという意味でプッシュ要素の高さ調整をさらに可能にする。
【0030】
特に、これがもはや(意味のある)有用な位置(しかし特にロック位置の前の位置)を採用していない旋回可能プッシュ要素セクションのピボット位置において、例えば、停止および/またはラッチ装置は、使用状態および/または収納状態のロックおよび/またはロック解除を行うことができるピボット位置にプッシュ要素セクションがもたらされることを防止することができる。安全装置を作動させる(特にボタンを押す)ことによってのみ、(これに必要なピボット位置は、次に選択することができるので)使用状態および/または収納状態のロックおよび/またはロック解除が可能になることが好ましい。好ましくは、安全装置の作動(特にボタンを押す)は、旋回可能プッシュ要素セクション(したがって、ここでは、旋回可能プッシュ要素セクションは、とくに旋回可能プッシュ要素セクションに隣接するプッシュ要素セクションに当接するようになる)が垂直方向の整列(vertical alignment)と前記旋回可能プッシュ要素セクションに隣接するプッシュ要素セクションと反平行な整列(alignment antiparallel)との間の角度範囲に位置するピボット位置において必要である。好ましくは、安全装置の作動は、例えば、少なくとも10°または少なくとも20°の角度と、これが旋回可能プッシュ要素セクションに隣接するプッシュ要素セクションと(少なくとも実質的に)反平行に延びるか、または好ましくはこの隣接するプッシュ要素セクションに対して少なくとも10°の角度で延びる旋回可能プッシュ要素セクションの位置とによって、旋回可能プッシュ要素セクションが垂直延長部から出発してさらに旋回可能プッシュ要素セクションに隣接するプッシュ要素セクションの方向に回転する旋回可能プッシュ要素セクションの位置との間の角度範囲で必要である。
【0031】
安全装置(またはベビーカーシャーシの対応する構成)を作動させる必要性の結果として、特に2つの同時並行処理ステップ(旋回可能プッシュ要素セクションの旋回作動および安全装置の作動、特にボタンの押下)によってのみ可能となるフレームロックが提供される。
【0032】
好ましくは、車椅子は、ロック解除位置(追加位置)への移動およびフレームの折り畳みが、大きさが異なる力またはトルクおよび/または方向が異なる力またはトルクを必要とするように構成される。特に、ベビーカーは、ロッキングの旋回可能なセクションを旋回させる及び/又は使用状態及び/又は収納状態のロックを解除するためのトルクが、フレームを折り畳むために必要とされるトルクの方向とは異なる方向を向くように構成される。好ましくは、追加位置(ロック解除位置)は、(平均して)使用位置として、最後の位置からさらに少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、3倍、または少なくとも5倍離れている。
【0033】
一般に、ベビーカーシャーシは、前脚部を有し、特に一対の脚部と少なくとも1つの後脚部を有し、特に一対の後脚部を有することができる。それぞれの場合において、前脚および後脚は、好ましくは関節方式の折り畳みジョイントに接続され、それにプッシュ要素も任意に関節方式に接続することができる。加えて、任意に、接続部(接続リンク機構)が、前脚部と後脚部、任意に前脚部対と後脚部対を互いに接続することができる。この接続部は、任意に、関節方式の折り畳みジョイントに接続することもできる。
【0034】
作動装置は、使用状態におけるロックの解除、収納状態への移行、および収納状態のロックが、特に把持して対応する力を加えることによって、特にハンドルを押すことによって、特にプッシュ要素ハンドルを押すことによって、片手で実行できるように構成することができる。代替的にまたは追加的に、作動装置は、ハンドル、特にプッシュ要素ハンドルを握り、それに対応して力を加えること、特に引っ張ることによって、収納状態でのロック解除、使用状態への移行、及び使用状態のロックを片手で実行できるように構成することができる。
【0035】
上記の目的は、上述した種類のベビーカーシャーシを備えたベビーカー、特にスポーツモデルのベビーカー、バギーまたは同様の子供用の車両によってさらに解決される。ベビーカーでは、一体型のレセプタクルを子供または(任意で分離可能な)ベビーカー用アタッチメント、特にチャイルドシート、ハイチェアフレーム、チャイルドシートなどに提供することができる。
【0036】
さらに、前述の目的は、それに応じて機能的に定式化された特徴を対応するプロセスステップで置き換えることができる前述の種類のベビーカーシャーシを折り畳むおよび/または展開する方法によって独立して解決される。さらなる実施形態は従属請求項から得られる。
【0037】
本発明は、図面を参照して詳細に説明される例示的な実施形態を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1a】
図1aは、本発明のベビーカーシャーシを示す側面図である。
【
図1b】
図1bは、
図1aのベビーカーシャーシの異なる状態を示す側面図である。
【
図1c】
図1cは、前図のベビーカーシャーシのさらなる状態を示す側面図である。
【
図1d】
図1dは、前図のベビーカーシャーシのさらなる状態を示す側面図である。
【
図1e】
図1eは、前図のベビーカーシャーシのさらなる状態を示す側面図である。
【
図1f】
図1fは、前図のベビーカーシャーシのさらなる状態を示す側面図である。
【
図1g】
図1gは、前図のベビーカーシャーシのさらなる状態を示す側面図である。
【
図1h】
図1hは、前図のベビーカーシャーシのさらなる状態を示す側面図である。
【
図1i】
図1iは、前図のベビーカーシャーシのさらなる状態を示す側面図である。
【
図1j】
図1jは、前図のベビーカーシャーシのさらなる状態を示す側面図である。
【
図2】
図2は、折り畳みジョイントを示す分解図である。
【
図3a】
図3aは、第1の状態における折り畳みジョイントを示す第1の断面図である。
【
図3b】
図3bは、
図3aの状態の折り畳みジョイントの部分断面図である。
【
図4a】
図4aは、折り畳みジョイントの異なる状態における
図3aと同様の折り畳みジョイントを示す断面図である。
【
図4b】
図4bは、
図4aの状態における折り畳みジョイントのさらなる状態を示す断面図である。
【
図5】
図5は、折り畳みジョイントのさらなる状態における
図3aと
図4aと同様の折り畳みジョイントを示す断面図である。
【
図6】
図6は、折り畳みジョイントのさらなる状態における
図3a、
図4a、
図5と同様の折り畳みジョイントを示す断面図である。
【
図7】
図7は、折り畳みジョイントのさらなる状態における
図3aととりわけ同様の折り畳みジョイントを示す断面図である。
【
図8】
図8は、折り畳みジョイントのさらなる状態における
図3aととりわけ同様の折り畳みジョイントを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。
【0040】
図1aに、(中央)折り畳みジョイント10によって関節方式で互いに接続されるプッシュ要素11および前部対脚部の前脚12、後部対の脚部の後脚13および接続部14を備えた折り畳み式車椅子シャーシを示す。対応して構成され配置された第2の折り畳みジョイントは、
図1aによる図面において、図示された折り畳みジョイント10の後方に配置することができる。したがって、要素12、13、14および/または46は、二重になるように設計することができる。プッシュ要素11、前脚12および後脚13は、軸15まわりに回転可能である。接続部14は(以下でさらに詳細に説明するように)この軸15に対して偏心的に回転するようになっている。プッシュ要素11は、遠位プッシュ要素セクション16と近位プッシュ要素セクション17とを含む。遠位プッシュ要素セクション16は、ハンドル18を含み、プッシュ要素ジョイント19を介して近位プッシュ要素セクション17に関節方式に接続されている。ハンドル18の高さは、近位プッシュ要素セクション17に対して遠位プッシュ要素セクション16を旋回させることによって(例えば、3つの異なる位置、特に下方に折り畳まれた位置、中央に配置された位置、および上方に折り畳まれた位置に)調整することができる。異なる位置では、遠位プッシュ要素セクション16を近位プッシュ要素セクション17に対して任意にロックすることができる。ロックを解除するために、(中央)解除機構(ボタン)を遠位プッシュ要素セクション16のハンドル18(横方向ロッド)に設けることができる。この解除機構(ボタン)は、例えば、プル要素(特にボーデンケーブル)を介してプッシュ要素ジョイント19内のロックを解除することができる。
【0041】
図1bは、
図1aの状態(使用状態)を示しているが、
図1aとは異なり、遠位プッシュ要素セクション16は、ハンドル18がより高い位置に配置されるように異なる(中間)位置に旋回される。
図1cは、ハンドル18がさらに高く(最大高さで)位置決めされるように、遠位プッシュ要素セクション16がまた更に旋回される位置を示す。
【0042】
図1a~
図1cの使用状態では、ベビーカーは子供を運ぶために(ベビーカーアタッチメントにおいて)使用することができる。
【0043】
図1dおよび
図1eに示すように、遠位プッシュ要素セクション16は、近位プッシュ要素セクション17に対して前方に衝突するまで(
図1e)、
図1cの位置(
図1d)を超えて回転させることができる。結果として、折り畳みジョイント10内の調整要素は、(特に、以下でさらに詳細に説明するように、ばねの力に抗して)第1の位置から第2の位置へと変位することができる。しかしながら、ここで重要なことは、
図1eの折り畳みジョイント10のロックを解除して、ベビーカーシャーシを
図1fの状態(折り畳み収納状態)にすることができるようにすることである。したがって、使用状態のロックは、遠位プッシュ要素セクション16を旋回させることによって解除される。ベビーカーシャーシは、旋回中において、特にこれら2つの位置の間の少なくとも中間位置で、
図1dの位置から
図1eの位置へと旋回するように、すなわち、安全装置を作動させなければならず、特に(好ましくは上述の)解放機構(ボタン)を作動させなければならないように構成することができる。結果として、意図しないところで
図1eの位置に達する可能性が少なくとも著しく低い。安全装置、好ましくはボタンの作動は、安全装置(ボタン)が(例えば、ばね力に抗して)積極的に圧力を受ける作動として特に理解されるべきである。
【0044】
図1gは、
図1fと比較して、ベビーカーシャーシがさらに折り畳まれた状態を示している。
図1fの状態では、
図1gに示すように、ベビーカーシャーシは、再び折り畳まれることに対してロックされているが、さらに折り畳まれることに対してロックされているわけではない。
図1gの状態もまたロックされていないので、この状態では、適切な展開によって(遠位プッシュ要素セクション16が動かされることなく)
図1fの状態に再び達することができる。
【0045】
使用位置におけるベビーカーシャーシのさらなる展開は、基本的に、
図1a~
図1fまたは
図1gを参照して説明した折り畳みの場合と同様にして達成される。最初に、遠位プッシュ要素セクション16が後方に旋回され(
図1h参照)、それによって折り畳みジョイント10内のロックが再び解除される。その結果、
図1iおよび1jに示すように、ベビーカーシャーシを再び展開することができる。
図1jは、
図1cの使用状態を示す。
【0046】
使用状態または収納状態をロックするための機構は、
図2~
図8を参照して以下にさらに説明される。
【0047】
図2に、
図1aまたは
図1jの状態の折り畳みジョイント10の(部分)分解図を示す。具体的には、
図2は、上部プッシュ要素セクション16または引っ張り要素(本明細書および以下では他に特定されない限り、半径方向および軸方向は常に
図1aの軸15に関係している)によって半径方向に引っ張ることができる調整装置20(調整要素)を示す。この引っ張り要素は、第1のばね22の作用に抗して矢印21の方向にこれ(特にボーデンケーブル。図には示されていない)に接続されている。その結果、第1の傾斜面(斜面)23および第2の傾斜面(斜面)24が矢印21の方向に移動する。
【0048】
傾斜面23,24の結果としてのジョイント部25a,25bに対する調整装置20の移動中において、第1のロック要素26は軸方向に変位し、第1の(外側)ロック要素部分28および第2の(内側)ロック要素部分29を含む第2ロック要素27は半径方向に変位する。このロック要素26、27の変位または移動は、
図3a~
図8を参照して以下に説明されるように、ばね(
図2には示されず、参照番号31a,31bおよび35で局在化されている)の力に抗して達成される。
【0049】
図3aおよび
図3bは、
図1a、
図1b、
図1cまたは
図1dのベビーカーシャーシの状態に対応している。第1のロック要素26のロックセクション26a、26bを
図3b中に見ることができ、それらは対応するロック受け部30a、30b内に配置されている。結果として、折り畳みジョイント10は折り畳み不能に固定される。
図3aおよび
図3bの状態では、第1のロック要素26は、折り畳みジョイントを介したあらゆる折り畳みを防止する。第2のロック要素は
図3aの断面図中に見ることができる。
図3aの状態では、第2のロック要素27は折り畳みに対して使用状態を保証するものではなく(この機能は第1のロック要素26により引き継がれる)、(以下でさらに詳細に説明されるように)ロック要素27は収納状態を確保することができる状態にもない。
【0050】
図4aおよび
図4bは、
図1eの状態に対応している。この状態では、ベビーカーはまだ展開されているが、上部プッシュ要素セクション16はすでにその最大旋回端位置に旋回している。これは、
図2による調整装置20が矢印21の方向に半径方向に移動されたことと等価であり、その結果は
図4aと
図4bに示されている。
図2に示す
第1の傾斜面23の結果として、ロックセクション26aと26bは、割り当てられたロック受け部30aと30bに対して、特に第2のばね(一部詳細には示されていない:
符号31aおよび
符号31bに
局在している。
図3b参照)のばね力に抗して付勢される。したがって、第1のロック要素26は折り畳みに対してもはやチャイルドシートを固定しない。また、
図4aの第2のロック要素27も、折り畳みプロセスに対してチャイルドシートを(まだ)固定していない。しかしながら、第2のロック要素27は、これが採用されるとすぐに(
図1fに示すように)、
図1fの収納状態を確保(ロック)することができる状態になる。これは(とりわけ)第2のロック要素部分29の第1のロック要素部分28の方向への移動の結果である。第1のロック要素部分28の位置は、
図3aの位置に対応している。しかし、第2のロック要素部分29は変わっていない。具体的には、この位置変更の結果として、第3のばね(詳細には見ることができない、
符号31に
局在している、
図2と
図3aを参照)が圧縮され、ロック突起32にバネ力が作用して、ロック突起32が基本的に半径方向に付勢される。しかしながら、ここではロック突起32は周囲部分34の内面33に当接しており、その結果としてばね付勢力が掛かっているにもかかわらず
図3aと同様の位置に留まる。第4のばね(図には詳細には示されていない、
符号35に
局在している、
図3a参照)は、遠位プッシュ要素セクション16の移行または作動(すなわち、
図3a、
図3bから
図4a、
図4bへの移行)によって圧縮される。このばね35は、一方が第2のロック要素部分29上に支持され、他方が周囲部分34の内面33上に支持されている。この目的のために、開口部36(
図2参照)が第1のロック要素部分に設けられている。したがって、第4のばね35は、基本的に第1のばね部品要素を半径方向内向きに付勢することになる。しかしながら、第2の傾斜面24の作用の結果として、この内側への付勢は
図4aと
図4bの状態では阻止される。
【0051】
図4aと
図4bでは、第1のロック要素も第2のロック要素も固定されていないので、ベビーカーシャーシを折り畳むことができる。
【0052】
図5は、
図1fと同様の状態、すなわち折り畳み収納状態にある折り畳みジョイント10を示す。ここではプッシュ要素11は前脚12に対して回転する。この回転の結果として、予張力をかけられたロック突起32は対応する
付属のロック受け部37に入り、その結果として、この収納状態がロックされる。しかしながら、ロック突起32および
付属のロック受け部37は、(
図1gの位置への)さらなる折り畳み中において、固定が存在しないように(または存在しても僅かな固定となるように)、特に、(いかなる機構も解除することなく)ロックを単にさらに折り畳むことを克服することができるように(非対称に)構成されている。これは(
図1gと同様に)
図6に示されている。特に、アンダーカット38は、(対応する作動装置の作動なしに)使用状態の方向への折り返しを防止する。
【0053】
作動装置(遠位プッシュ要素セクション16)が再び作動されると、すなわち
図1hに従って後退されると、第2のロック要素部分29(
図7参照)は半径方向内向きに移動することができる。この動きは、第4のばね35の予張力の結果として強制される。さらに、第2のロック要素部分29によって第1のロック要素部28が半径方向内側に引っ張られてロック突起32が付属のロック受け部37から引き出され、ロックが全体的に解除されてチャイルドシートを展開することができる。
図1iの状態は、再び
図8の断面図に示されている。
図1jの状態は、
図3aの断面に対応している。
【0054】
(例えば)
図3aに見られるように、第1のロック要素部分28は、第2のロック要素部分29に対して軸40まわりに旋回可能に取り付けられ、この旋回はピボットリミッタ41(特に、第1のロック要素部分の対応するピンと協働することができる第2のロック要素部分の細長い穴の形態)によって範囲が定められている。
【0055】
図1fの位置では、ベビーカーはすべての車輪の上に自由に立つこと(「自立機能」)ができる。
図1gの更に折り畳まれた(平坦な)第2の収納状態では、これはもはや不可能である。
図1gの第2の収納状態から、抵抗を克服することなく、ベビーカーシャーシを再び
図1fの第1の収納状態にする(ロックする)ことができる。
【0056】
図3~
図8に記載されているように、原則として(
図3~
図8に示されている)プッシュ要素11は、それぞれの前脚12に対してロックすることができる。この場合に、残りの全ての旋回可能に取り付けられた部品、すなわち後脚および接続部品は固定されている(外れないようにしっかりと取り付けられている)。さらに、前脚12対に対するプッシュ要素11の折り畳み中に、残りの部分(接続部分14と後脚13)も自動的に折り畳まれる。これが達成され、それによって、接続部14は、軸15に対して偏心して(
図9に破線の円として示される)旋回軸43の周りを旋回可能である。さらに、連結部14は、リンケージ45を備えるリンク部44にしっかりと連結されている。このリンケージ45は案内機能を有し、(対応するアンダーカットが形成されているとき)任意に固定機能も有することができる。しかしながら、
図1aに示すように、全体的な構造の結果として、偏心旋回取付けの結果として、連結部14が上方に移動することが重要である。その結果、前脚12と後脚13とは互いに接近し、
図1aに示す連結ストラット46は互いに接近する。これを達成するために、前脚12、後脚13およびそれぞれの接続部14は、互いに旋回可能である。
【0057】
この点において、単独でまたは任意の組み合わせで見たときに上記のすべての部分、特に図面に示された詳細は、本発明に必須であると主張されることを指摘すべきである。その変形は当業者にはよく知られている。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 折り畳み式ベビーカーシャーシ、特にスポーツモデルのベビーカーシャーシ、バギーシャーシ、または同様の子供用乗り物のシャーシであって、前記ベビーカーシャーシは、前記ベビーカーシャーシを押すためのプッシュ要素(11)および車輪を有し、少なくともロック可能な使用状態と少なくとも1つの折り畳まれたロック可能な収納状態とにすることができ、ロックされた前記使用状態からロックされた前記収納状態への移行中において、単一の第1の作動によって、少なくとも2つのロックプロセス、特に前記使用状態におけるロックの解除と前記収納状態におけるロックの調整との両方を行うことができるように構成される特に手動の作動装置(16)が設けられていることを特徴とする折り畳み式ベビーカーシャーシ。
[2] 前記第1の作動は、動きが反転しない作動であることを特徴とする[1]に記載の折り畳み式ベビーカーシャーシ。
[3] ロックされた前記収納状態からロックされた前記使用状態への移行中に、ロックプロセス、特に前記収納状態におけるロックの解除は、好ましくは動きが反転しない作動であり、および/または、好ましくは前記第1の作動の運動学的反転であるところの前記作動装置(16)の単一の第2の作動によって実行され得ることを特徴とする[1]または[2]のいずれか1に記載の折り畳み式ベビーカーシャーシ。
[4] 前記作動装置(16)は、前記第1の作動が、前記使用状態におけるロックの解除と前記収納状態におけるロックの調整とが少なくとも部分的に時間的に重なる、特に同時に起こるか又は時間的に連続して起こるという結果を有するように構成されることを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1に記載の折り畳み式ベビーカーシャーシ。
[5] 前記作動装置(16)は、第1および/または第2の作動を実行するために旋回することができることを特徴とする[1]乃至[4]のいずれか1に記載の折り畳み式ベビーカーシャーシ。
[6] 前記作動装置(16)は、ハンドルの高さ調整のために旋回可能であり、特に異なるピボット位置にロックすることができるプッシュ要素(11)の一部および/またはクリップ、特にスライド式クリップ、および/またはレバーおよび/またはフラップ、および/または少なくとも1つのプッシュ要素セクション(16)であることを特徴とする[1]乃至[5]のいずれか1に記載の折り畳み式ベビーカーシャーシ。
[7] 前記作動装置(16)は、好ましくは引張り要素、特にボーデンケーブルを介して調整装置(20)と協働し、
前記調整装置(20)は、少なくとも1つの第1の位置と第2の位置とに調整することができるものであり、前記使用状態が前記第1の位置にロックされている、および/または、前記収納状態のロックが前記第1の位置に解除されている、および/または、前記収納状態が前記第2の位置にロックされ、および/または前記使用状態のロックが前記第2の位置に解除されることを特徴とする[1]乃至[6]のいずれか1に記載の折り畳み式ベビーカーシャーシ。
[8] 前記調整装置(20)は、前記使用状態における前記第1の位置から前記第2の位置への移動中において、特に引っ張り装置、好ましくはロック受け部(30a,30b)からの第2のばね(31a,31b)の作用に対して第1のロック要素(26)が動かされるように、第1の動作伝達装置、特に第1の追い込み傾斜面(23)を備え、および/または、前記収納状態における第1の位置から第2の位置への移動中において、第2のロック要素(27)が、特に引っ張り装置、好ましくは第4のばね(35)の作用に抗してロック受け部内に移動させる第2の動作伝達装置、特に第2の追い込み傾斜面(24)を備えていることを特徴とする[7]に記載の折り畳み式ベビーカーシャーシ。
[9] 前記第1および第2のロック要素のうち一方のロック要素は軸方向に動かされ、他方のロック要素は半径方向に動かされることを特徴とする[8]に記載の折り畳み式ベビーカーシャーシ。
[10] 前記第2のロック要素(27)は、互いに向かって動くことができる少なくとも2つのロック要素部分(28,29)を備え、引っ張り装置、特に第3のばね(31)は、前記引っ張り装置がロック要素部分(28,29)を互いから押し出すように前記ロック要素部分(28,29)の間に設けられていることを特徴とする[8]または[9]のいずれか1に記載の折り畳み式ベビーカーシャーシ。
[11] 前記ベビーカーシャーシをさらに折り畳むことができるように、前記収納状態をロックすることができ、この目的のために、好ましくは、請求項8、9または10のうちの1項に記載の前記第2のロック要素(27)および付属ロック受け部(37)は、特に非対称的には、前記収納状態が展開に対してロックされているが、同時にさらに折り畳むことが可能であるように構成されていることを特徴とする[1]乃至[10]のいずれか1に記載の折り畳み式ベビーカーシャーシ。
[12] 特に、スポーツモデルのベビーカーシャーシ、バギーシャーシまたは同様の子供用乗り物シャーシであって、車輪およびベビーカーシャーシを押すためのプッシュ要素(11)を有し、前記ベビーカーシャーシを少なくともロック可能な前記使用状態にすることができ、プッシュ要素(11)の少なくとも1つの前記プッシュ要素セクション(16)がハンドル(18)の高さ調整のために旋回可能であり、少なくとも1つの折り畳まれたロック可能な前記収納状態にあり、前記使用状態および/または前記収納状態のロックおよび/またはロック解除は、旋回可能な前記プッシュ要素セクション(16)を旋回させることによって達成されることを特徴とする[1]乃至[11]のいずれか1に記載の折り畳み式ベビーカーシャーシ。
[13] 旋回可能な前記プッシュ要素セクション(16)は、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのピボット位置にロックすることができ、および/または、旋回可能なプッシュ要素セクションは、さらなるプッシュ要素セクションに対して旋回可能であることを特徴とする[1]乃至[12]のいずれか1に、特に[12]に記載の折り畳み式ベビーカーシャーシ。
[14] 特に、スポーツモデルのベビーカーシャーシ、バギーシャーシまたは同様の子供用乗り物シャーシ、車輪およびベビーカーシャーシを押すための押し部材(11)を含む。前記ベビーカーシャーシは、少なくともロック可能な前記使用状態と、折り畳まれた任意にロック可能な前記収納状態とにすることができ、前記使用状態のロックの解除は、同時に行われる2つの異なる作動ステップか、または3つの連続する作動ステップのいずれかによって達成され得るように、ベビーカーシャーシが構成され、 前記ベビーカーシャーシは、少なくとも2つの異なる前記使用位置を調整することができる少なくとも1つの調整可能性を有し、前記使用状態にロックされるか又は解除される、少なくとも1つのさらなる位置、すなわちロック解除位置を採用することができることを特徴とする[1]乃至[13]のいずれか1に記載の折り畳み式ベビーカーシャーシ。
[15] 前記使用状態および/または前記収納状態のロックおよび/またはロック解除が達成されるピボット位置への旋回可能な前記プッシュ要素セクション(16)の旋回が、前回の後か又は同時の後にのみ行うことができるように、すなわち、安全装置、特にノブ、好ましくはプッシュ要素の水平部分の作動が旋回プロセス中に行われることが可能になるようにベビーカーシャーシが構成されることを特徴とする[12]乃至[14]のいずれか1に記載の折り畳み式ベビーカーシャーシ。
[16] [1]乃至[15]のいずれか1に記載のベビーカーシャーシを有するベビーカー、特にスポーツモデルのベビーカー、バギー、または同様の子供用乗り物。
【符号の説明】
【0058】
10;折り畳みジョイント、11;プッシュ要素、12;前脚、13;後脚、14;接続部、
15;軸、16;遠位プッシュ要素セクション、17;近位プッシュ要素セクション、
18;ハンドル、19;プッシュ要素ジョイント、
20;調整装置、21;矢印、22;第1のばね、23;第1の傾斜面、24;第2の傾斜面、
25a;第1のセクション、25b;第1のセクション、
26;第1のロック要素、26a;ロックセクション、26b;ロックセクション、
27;第2のロック要素、
28;第1の(外側の)ロック要素部分、
29;第2の(内側の)ロック要素部分、
30a;ロック受け部、30b;ロック受け部、
31;第3のばね、31a;(第2の)ばね、31b;(第2の)ばね、
32;ロック突起、33;内面、34;取り囲み部、35;第4のばね、36;開口、37;ロック受け部、38;アンダーカット、
40;軸、41;旋回リミッター、43;旋回軸、44;リンク部、45;リンケージ、46;接続ストラット。