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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】医薬品容器用ラベル及び医薬品容器
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/00 20060101AFI20221018BHJP
   G09F 3/02 20060101ALI20221018BHJP
   A61J 1/05 20060101ALI20221018BHJP
   B65D 23/00 20060101ALI20221018BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
G09F3/00 D
G09F3/02 C
A61J1/05 310
B65D23/00 H
B65D25/20 Q
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020519525
(86)(22)【出願日】2019-04-16
(86)【国際出願番号】 JP2019016259
(87)【国際公開番号】W WO2019220840
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-02-01
(31)【優先権主張番号】P 2018095097
(32)【優先日】2018-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591037476
【氏名又は名称】株式会社ILファーマパッケージング
(74)【代理人】
【識別番号】100131048
【弁理士】
【氏名又は名称】張川 隆司
(72)【発明者】
【氏名】三輪田 徹
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-201403(JP,A)
【文献】特開2011-209463(JP,A)
【文献】特開2006-55392(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第0283064(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0234481(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 3/00
G09F 3/02
A61J 1/05
B65D 23/00
B65D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する医薬品容器の外周面に貼り付けられる医薬品容器用ラベルであって、
前記医薬品容器の外周面に対し所定領域に非接着部を形成する形で接着される遮光性を有した下層ラベルと、
少なくとも前記非接着部を被覆し、かつその非接着部と接着する形で前記下層ラベルの外表面に対し剥離可能に貼り付けられ、当該剥離の際には接着した前記非接着部と一体となって前記下層ラベルから剥離する上層ラベルと、
を備え、前記医薬品容器の外周面に前記下層ラベルが接着した状態で前記上層ラベルを剥離することにより、前記非接着部による前記医薬品容器の被覆領域が外部に露出し、その露出部から内容物が視認可能となることを特徴とする医薬品容器用ラベル。
【請求項2】
前記下層ラベルは、前記非接着部の外周縁周辺において前記露出部となる領域を取り囲む切り込み線を有し、前記上層ラベルはその切り込み線を被覆するよう前記下層ラベルの外表面に張り付けられている請求項1に記載の医薬品容器用ラベル。
【請求項3】
前記露出部は、前記医薬品容器を所定位置から側面視した際に、手前側に位置する容器外壁部の所定領域と、その所定領域の奥側に視認される容器外壁部の所定領域との双方に形成される請求項1又は請求項2に記載の医薬品容器用ラベル。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の医薬品容器用ラベルが貼付されたことを特徴とする医薬品容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品容器用ラベル及びそのラベルが貼付された医薬品容器に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品を収容する容器には、遮光性を有したラベルを貼付して内容物の光による変質を防ぐものがある。ところが、こうしたラベルは、金属箔や有色かつ半透明な素材で形成されるため、容器に貼付されることで内容物の色等の状態を外から正確に確認できなくなるという課題があった。
【0003】
これに対し、容器に貼付されたラベルの所定領域を切り離して窓部を形成し、その窓部から内容物を目視できるようにする技術がある(特許文献1)。しかしながら、こうしたラベルには、窓部を形成するための切り込み線としてミシン目等が予め形成されており、その部分が光の入光部となる恐れがあった。
【0004】
【文献】特開2018-30625号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、ミシン目等の入光部を形成することなく、内容物を外から確認できる窓部を容易に形成可能な遮光性を有した医薬品容器用ラベル及びそのラベルが貼付された医薬品容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の医薬品容器用ラベルは、
透光性を有する医薬品容器の外周面に貼り付けられる医薬品容器用ラベルであって、
前記医薬品容器の外周面に対し所定領域に非接着部を形成する形で接着される遮光性を有した下層ラベルと、
少なくとも前記非接着部を被覆し、かつその非接着部と接着する形で前記下層ラベルの外表面に対し剥離可能に貼り付けられ、当該剥離の際には接着した前記非接着部と一体となって前記下層ラベルから剥離する上層ラベルと、
を備え、前記医薬品容器の外周面に前記下層ラベルが接着した状態で前記上層ラベルを剥離することにより、前記非接着部による前記医薬品容器の被覆領域が外部に露出し、その露出部から内容物が視認可能となることを特徴とする。
また、本発明の医薬品容器は、本発明の医薬品容器用ラベルが貼付されたことを特徴とする。
【0007】
上記本発明によれば、下層ラベルの非接着部は、医薬品容器の外周面に接着されず、かつ上層ラベルに接着された状態にあるから、上層ラベルを剥離することで上層ラベルと一体に剥離される。一方で、下層ラベルの接着部は、医薬品容器の外周面に接着されたまま残る。このため、医薬品容器から上層ラベルを剥離させるだけで、下層ラベルの非接着部が覆っていた被覆領域が外部に露出し、内容物を目視確認できる窓部(露出部)になる。また、下層ラベルの非接着部を上層ラベルと一体に剥離するにあたって下層ラベルの非接着部が残余部からスムーズに切り離されるよう、下層ラベルにミシン目等の切り込み線を設ける場合、その切り込み線は非接着部内に形成されることになる。上記本発明によれば、上層ラベルは下層ラベルの非接着部を被覆した状態で接着されるから、非接着部内のどの位置に切り込み線が形成されても切り込み線は上層ラベルによって必ず被覆され、入光部とはならない。
【0008】
上記本発明における前記下層ラベルは、前記非接着部の外周縁周辺において前記露出部となる領域を取り囲むミシン目等の切り込み線を有し、前記上層ラベルはその切り込み線を被覆するよう前記下層ラベルの外表面に貼り付けられるように構成できる。下層ラベルにミシン目等の切り込み線が形成されていることで、上層ラベルを剥離する際、非接着部の下層ラベルからの分離・切り離しがスムーズに進行する。一方で、下層ラベルに形成されたミシン目等の切り込み線は、上層ラベルに被覆された状態になるから、切り込み線からの入光を防ぐこともできる。
【0009】
上記本発明の医薬品容器用ラベルによって医薬品容器に形成される前記露出部は、前記医薬品容器を所定位置から側面視した際に、手前側に位置する容器外壁部と、奥側に位置する容器外壁部との双方に形成されるようにできる。遮光性を有する下層ラベルが金属箔や有色かつ半透明な材料等で形成されている場合、手前側の容器外壁部に窓部(露出部)が形成されているだけでは、内容物の色が確認しにくい。例えば、下層ラベルが茶色系の半透明な材料で形成されていた場合、手前側の容器外壁部に窓部(露出部)が形成されているだけでは、内容物は、その奥側の容器外壁部に貼付されている下層ラベルの茶色系の色として見えるため、変色等の状態は確認しづらい。これに対し上記本発明によれば、手前側の容器外壁部とその奥側の容器外壁部との双方に窓部(露出部)が形成される。その結果、手前側と奥側との双方の容器外壁部に互いに同色で透明な窓部(露出部)が形成される。これにより、医薬品容器を手前側と奥側の窓部が前後で対向する位置で側面視することにより、容器本体の色の影響は受けるものの、遮光性を有した下層ラベルの色の影響を受けずに医薬品容器の内容物の状態変化を確認できる。仮に、医薬品容器の容器本体が無色透明であれば、その手前側と奥側との双方の容器外壁部に互いに無色透明な窓部(露出部)が形成されることで、下層ラベルの色に全く影響を受けることなく、医薬品容器の内容物そのものの色を確認できるから、変色などの状態変化の発生を確認しやすい。
【0010】
なお、本発明において透光性を有するとは、全光線透過率が70%以上(望ましくは80%以上、より望ましくは90%以上)であることをいう。また、本発明において遮光性を有するとは、所定期間において容器の内容物の変化が予め定められた基準レベル以下に抑えられるよう、特定の波長の光の侵入が抑制された状態のことをいう。必ずしも特定の波長の光が完全に遮断される必要は無い。したがって、本発明においては、透光性(透明)と遮光性との双方が両立しうる。また、本発明におけるラベルとは、容器に表示を一体化させる印刷物のことであり、タックラベルに限らず、シュリンクスリーブ(最下層が糊が付与されていない収縮フィルムで構成されたラベル)等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第一実施例をなす医薬品容器用ラベルの平面図。
図2図1の医薬品容器用ラベルが貼付される医薬品容器の容器本体を示した斜視図。
図3図1の医薬品容器用ラベルが貼付された医薬品容器の斜視図。
図4図3の医薬品容器の底面図。
図5図1の医薬品容器用ラベルを構成する下層ラベルの表面を示した図。
図6図1の医薬品容器用ラベルを構成する下層ラベルの裏面を示した図。
図7図1の医薬品容器用ラベルを構成する上層ラベルの表面を示した図。
図8図1の医薬品容器用ラベルを構成する上層ラベルの裏面を示した図。
図9図3の医薬品容器に貼付された医薬品容器用ラベルの上層ラベルを剥離した状態を示した斜視図。
図10図1に示す医薬品容器用ラベルのX-X断面を、医薬品容器の容器本体に貼付した状態で示した断面図。
図11図10において上層ラベルを剥離した状態を示した断面図。
図12】本発明の第二実施例をなす医薬品容器用ラベルが貼付された医薬品容器において上層ラベルを剥離した状態を示した斜視図。
図13図12の医薬品容器用ラベルの平面図。
図14図13の医薬品容器用ラベルを構成する下層ラベルの裏面を示した図。
図15図13の医薬品容器用ラベルを構成する上層ラベルの裏面を示した図。
図16】本発明の第三実施例をなす医薬品容器用ラベルの平面図。
図17図16の医薬品容器用ラベルの裏面を示した図。
図18図16の医薬品容器用ラベルが貼付された医薬品容器においてその上下方向中央部を水平に切断した断面図。
図19】本発明の第四実施例をなす医薬品容器用ラベルの平面図。
図20図19の医薬品容器用ラベルを構成する下層ラベルの表面を示した図。
図21図19の医薬品容器用ラベルを構成する下層ラベルの裏面を示した図。
図22図19の医薬品容器用ラベルを構成する上層ラベルの表面を示した図。
図23図19の医薬品容器用ラベルを構成する上層ラベルの裏面を示した図。
図24図19の医薬品容器用ラベルが貼付された医薬品容器の斜視図。
図25図24の医薬品容器に貼付された医薬品容器用ラベルの上層ラベルを剥離した状態を示した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の医薬品容器用ラベル及び医薬品容器の第一実施例を、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本実施例の医薬品容器用ラベル1であり、図2に示す医薬品容器100の容器本体10に対し貼付され、図3に示すような医薬品容器100として使用される。容器本体10は、透光性を有した容器であり、図2に示すように、上端の開口を有した筒状の胴部12と、胴部12と一体をなしてその下端を塞ぐ底部13と、を有し、その外周面12rに医薬品容器用ラベル1が貼付される。ここでの容器本体10は無色透明なバイアル瓶であるが、本発明はこれに限るものではない。
【0014】
図3の医薬品容器100には、胴部12の上側に、上端の開口を塞ぐように、遮光性を有した別体の蓋部11が着脱可能に組み付いている。ここでの胴部12は、図2に示すように、上側に径方向幅が狭くなる首部12Nと、その首部12Nの上側に首部12Nよりも径方向幅が広がった筒状の胴部上端12Lと、を有しており、蓋部11は、その胴部上端12Lに対し螺合する形で組み付けられる。なお、蓋部11と胴部12との組み付け方法については、他の方法であってもよい。
【0015】
また、図3の医薬品容器100には、図4に示すように、底部13の底面13bに遮光性を有した底面被覆部材4(ここでは底面用遮光ラベル)が配置される。医薬品容器用ラベル1は、医薬品容器100の胴部12の外周面12rに対し接着するとともに、その底面被覆部材4の外周に対しても重なって接着している。なお、ここでの底面被覆部材4は、底面用遮光ラベルであるが、ラベルとは異なる部材でもよい。また、医薬品容器用ラベル1は、胴部12に組み付いた蓋部11に対しても、その外周面等に重なって接着してもよい。本実施例の医薬品容器100は、医薬品容器用ラベル1と、底面被覆部材4と、蓋部11とによって、内容物に向かう入光を妨げる遮光状態を形成している。
【0016】
医薬品容器用ラベル1は、図5及び図6に示す下層ラベル2と、図7及び図8に示す上層ラベル3と、を有した二層構造のラベルである。
【0017】
下層ラベル2は、遮光性を有した有色かつ半透明のラベルであり、医薬品容器100(容器本体10)の外周面12r(図2参照)に対し非接着部2B(図6参照)を形成する形で接着される。非接着部2Bは、下層ラベル2において医薬品容器100の外周面12rに対し接着されない、もしくは残余領域よりも弱い接着力で接着する部位である。そして、下層ラベル2においてこの非接着部2Bを除く残余部が、医薬品容器100の外周面12rに対し接着する接着部2A(図6参照)である。ここでの下層ラベル2は、全体的に茶色の半透明ラベルであり、表面2aの一部の印字部や印字領域において有色不透明とされている。下層ラベル2の接着部2Aは、医薬品容器100(容器本体10)の首部12N及びその周辺においても、その形に対応する形で接着している。
【0018】
なお、下層ラベル2は、遮光性を有し、かつ透光性を有した、容器本体10とは異なる色の半透明ラベルとしてもよい。また、下層ラベル2は、例えばアルミ蒸着により形成された金属被膜等の不透明ラベルでもよい。
【0019】
上層ラベル3は、下層ラベル2の表面2aに対し、少なくとも非接着部2Bと接着する形で剥離可能に貼り付けられる。具体的にいえば、上層ラベル3は、図5に示す下層ラベル2の表面2a上で、非接着部2Bとその外周側とを覆う形で、図1のように貼り付けられる。上層ラベル3は、図7に示すように、表面3aに白色や青色などベタの背景色を有し、その背景色上に必要情報が印字された表示用ラベルである。
【0020】
上層ラベル3は、図9に示すように、下層ラベル2から剥離可能である。この剥離の際、上層ラベル3は、下層ラベル2の非接着部2Bと一体となって下層ラベル2から剥離する。下層ラベル2の非接着部2Bは、医薬品容器100(容器本体10)に接着されず、かつ上層ラベル3に接着された状態となっているから、上層ラベル3を剥離することで、接着している上層ラベル3と一体に剥離していき、接着部2Aを残して下層ラベル2から切り離される。これにより医薬品容器100は、下層ラベル2の非接着部2Bに覆われていた被覆領域が外部に露出し、その露出部が内容物を目視確認可能な窓部15となる。
【0021】
さらに、この窓部15(露出部)は、図9に示すように、医薬品容器100を所定位置から所定方向Iに側面視した際に、手前側に位置する容器外壁部の所定領域15Fと、その所定領域の奥側に視認される容器外壁部の所定領域15Bとの双方に形成される。これにより、手前側と奥側の窓部15(15F、15B)が前後で対向する位置で医薬品容器100を側面視することにより、下層ラベル2の色に影響を受けることなく、医薬品容器の内容物の状態(例えば変色等)を正確に確認することができる。
【0022】
ここでの窓部15(露出部)は、医薬品容器100(容器本体10)の上下方向よりも周方向に長く形成されている。また、窓部15(露出部)は、その周方向において、医薬品容器100(容器本体10)の外周長さの3分の1以上、より望ましくは半分以上(ここでは円筒状の胴部12に対し180度以上の外周区間)に形成されている。
【0023】
以下、本実施例の下層ラベル2と上層ラベル3とについて詳細に説明する。
【0024】
下層ラベル2は、図10に示すように、遮光性を有した有色(ここでは茶色)のかつ半透明なポリエチレンテレフタレート製のラベル基材20と、ラベル基材20の裏側全体に糊等の接着剤や粘着剤により形成される接着層21と、を一体に有する。ただし、接着層21は、所定領域において接着層21の接着力を残余領域よりも低下させる、もしくは接着力を無くす所定の接着力低下処理が施された領域2S(接着力低下領域:図6の一点鎖線による斜線領域)を有する。ここでの接着力低下処理は、例えば周知の糊殺し処理等とすることができる。本実施例においては、下層ラベル2のこの領域2Sに対応する部分が非接着部2Bであり、残余領域に対応する部分が接着部2Aである。これにより、非接着部2Bは、医薬品容器100(容器本体10)の外周面12rに対し接着しない、もしくは接着部2Aよりも医薬品容器100(容器本体10)の外周面12rに接着しにくくされている。また、下層ラベル2は、表面2aの所定領域に、上層ラベル3(接着層31)と接着しにくくする所定の接着抑制処理が施された領域2T(接着抑制領域:図5の二点鎖線の枠内領域)を有する。ここでの接着抑制処理は、例えばニスの塗布等とすることができる。これにより、表面2aに貼付される上層ラベル3の剥離を容易にしている。
【0025】
上層ラベル3は、図10に示すように、遮光性を有した有色(ここでは主に白色や青色の背景色)かつ不透明なポリプロピレン製のラベル基材30と、ラベル基材30の裏側全体に糊等の接着剤又は粘着剤により形成される接着層31と、を一体に有する。ただし、接着層31は、所定領域において接着力を残余領域よりも低下させる所定の接着力低下処理が施された領域3U(接着力低下領域:図8の一点鎖線による斜線領域)を有する。ここでの接着力低下処理は、例えば周知の糊殺し処理等とすることができる。これにより、下層ラベル2からの上層ラベル3の剥離を容易にしている。また、上層ラベル3は、図7及び図8に示すように、第一側(図中左側)の端部に、剥離を開始するためのつまみ部3Xを有している。
【0026】
上層ラベル3は、図1及び図10に示すように、下層ラベル2の一部領域に対し重畳する形で貼り付けられるとともに、その貼り付け状態において、図9及び図11に示すように剥離することが可能とされている。このため、医薬品容器用ラベル1は、下層ラベル2と上層ラベル3とが重なる重畳部1Pと、重ならない非重畳部1Qを有する(図1及び図10参照)。
【0027】
重畳部1Pは、下層ラベル2の非接着部2Bと上層ラベル3とが接着する一体剥離部1PYと、一体剥離部1PYに対し第一側に形成され、上層ラベル3の剥離を開始するためのつまみ部3Xを有したつまみ形成部1PXと、一体剥離部1PYに対し第一側とは逆の第二側に形成され、上層ラベル3と下層ラベル2とが強く接着する強接着部1PZと、を有する。
【0028】
ここでの重畳部1Pは、上層ラベル3の長手方向(図1の左右方向)においてその第一側(図1左側)につまみ形成部1PXが、その逆の第二側(図1右側)に強接着部1PZが形成され、その長手方向が医薬品容器100(容器本体10)の周方向となるように形成されている。
【0029】
一体剥離部1PYは、その中央部において下層ラベル2の非接着部2Bが位置し、上層ラベル3と接着している。そして、その中央部を取り囲む外周部において、中央部よりも弱い接着力で上層ラベル3と下層ラベル2とが接着しており、上層ラベル3が下層ラベル2から剥離しやすくなっている。具体的にいえば、その外周部における上層ラベル3の接着層31に上述の接着力低下処理(符号3U:図8参照)が施され、また、外周部における下層ラベル2の表面2aに上述の接着抑制処理(符号2T:図5参照)が施されている。なお、これらの処理はいずれか一方とされてもよい。
【0030】
つまみ形成部1PXは、一体剥離部1PYの第一側(図1左側)から連続しており、つまみ形成部1PXの上記外周部と同様、接着力低下処理(符号3U:図8参照)と接着抑制処理(符号2T:図5参照)とのいずれか又は双方が施され、上層ラベル3と下層ラベル2とが弱い接着力で接着している。これにより、つまみ部3Xが容易に剥離し、上層ラベル3を剥離する際に指でつまみやすくなっている。
【0031】
ただし、つまみ形成部1PXは、部分的に上述の接着力低下処理及び接着抑制処理のいずれか又は双方が施されない部分強接着部(ここでは接着力低下処理のみが施されない)を有している。これにより、つまみ形成部1PXは、つまみ部3Xが剥離した後に再接着が可能となっている。ここでのつまみ形成部1PXには、上層ラベル3において接着力低下処理が施されない部分強接着部3x(図8参照)が複数点在しており、それらが下層ラベル2に対しやや強く接着している。また、ここでのつまみ形成部1PXは、下層ラベル2において接着抑制処理が施されない部分強接着部2x(図5参照)を一体剥離部1PY側に有しており、上層ラベル3に対しこの部分強接着部2xがやや強く接着している。
【0032】
強接着部1PZは、一体剥離部1PYの第二側(図1右側)から連続しており、接着力低下処理と接着抑制処理との双方が施されておらず、上層ラベル3(符号3z:図8参照)と、下層ラベル2(符号2z:図5参照)とが接着層31のそのままの接着力で接着している。これにより、上層ラベル3がつまみ部3X側から剥離していく際にも剥離されず、上層ラベル3と下層ラベル2とをこの強接着部1PZの部分で一体に保ち、つまみ部3X側を下層ラベル2の同位置で再接着させることを可能にしている。剥離により形成された目視確認用の窓部15(露出部:図9参照)は、この再接着によって下層ラベル2の非接着部2Bにより覆われて再び遮光状態に戻すことができる。
【0033】
また、一体剥離部1PYでは、図5図6及び図10に示すように、下層ラベル2の非接着部2Bの外周縁内側に、目視確認用の窓部15(露出部)となる領域を取り囲む形で切り込み線2k(ここではミシン目)が形成されている。これにより、下層ラベル2から上層ラベル3を剥離する際に、非接着部2Bが切り込み線2kに沿って切り離されるから、下層ラベル2からの分離がスムーズに進行する。他方、上層ラベル3は、その切り込み線2kを包含するように下層ラベル2の表面2aに貼り付けられている。つまり、上層ラベル3は、切り込み線2kを被覆するようにして下層ラベル2に貼り付けられる切り込み線被覆部3Kを有する。ここでは環状に形成される切り込み線2kに対し、これを被覆するよう同じく環状の切り込み線被覆部3Kが形成されている。この切り込み線被覆部3Kにより、切り込み線2kからの入光を防ぐことができる。なお、この切り込み線被覆部3Kは、上層ラベル3が剥離した後に再接着した際も、非接着部2Bの外縁外周側を覆う。このため、再接着の際に、下層ラベル2の非接着部2Bが元の位置からずれたとしても、そのずれにより形成される隙間から目視確認用の窓部(露出部)15への光の侵入を防ぐことができる。
【0034】
以上、本発明の第一実施例を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではない。例えば上記第一実施例において一部の構成要件を省略する、さらには他の構成要件を追加する等、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【0035】
以下、上記第一実施例とは異なる別の実施例や変形例について説明する。なお、上記第一実施例と共通の機能を有する部位には同一符号を付して詳細な説明を省略する。また、上記第一実施例と下記例とは、技術的な矛盾を生じない範囲において適宜組み合わせて実施できる。
【0036】
本発明の第二実施例を、図12図15を用いて説明する。
【0037】
第二実施例の医薬品容器用ラベル1では、上層ラベル3を下層ラベル2から剥離して形成される窓部15が医薬品容器100の周方向において連続しておらず、分断されて2つの窓部15F、15B(露出部)となっている点で第一実施例と異なる。
【0038】
この分断部2Mは、下層ラベル2における接着部2Aの一部である。下層ラベル2は、図13に示すように、その接着部2Aの両隣りに上述の手前側と奥側の窓部15F、15B(15)を形成する非接着部2B、2Bを有する。この分断部2Mは、その表面に上層ラベル3の剥離を許容する所定の剥離許容処理(第一実施例の接着力低下処理及び接着抑制処理)がなされていないため、上層ラベル3の剥離の際には上層ラベル3と一体に剥離せず、医薬品容器100(容器本体10)に貼付されたまま残る。このため、分断部2Mは、剥離後においても視認可能な表示部として利用することができる。具体的にいえば、分断部2Mには、例えば図13のような印字が施された表示をすることができる。他にも、医薬品容器100の内容物の状態確認に関する表示、例えばどのような状態が異常であるか等を記述した表示等を施してもよい。なお、上層ラベル3は、図15に示すように、下層ラベル2の分断部2Mに対応する部位が接着力低下処理の施された領域3Uとなっている点で、第一実施例と異なる。
【0039】
本発明の第三実施例を、図16図18を用いて説明する。
【0040】
第三実施例の医薬品容器用ラベル1は、図16及び図17に示すように、上層ラベル3と下層ラベル2とが、上層ラベル3の剥離方向において連続してひとつながりに形成されている。この上下層がひとつながりとなった医薬品容器用ラベル1は、図18に示すように、上層ラベル3のつまみ部3X側とは逆に位置する下層ラベル2の端部から、医薬品容器100(容器本体10)の外周面12rを取り巻くように貼付される。そして、下層ラベル2が外周面12rに貼付された後、残された上層ラベル3がその下層ラベル2上に重なって貼付される。このように第三実施例の医薬品容器用ラベル1は、上層ラベル3と下層ラベル2とを一体に有した1つのラベルとして形成することができるから、製造工程を簡略化でき、製造コストを抑えることができる。なお、第三実施例の医薬品容器用ラベル1は、上層ラベル3と下層ラベル2とが一体につながっているため、第一実施例における強接着部1PZ(上層ラベル3の領域3z及び下層ラベル2の領域2z)を省略することができ、上層ラベル3を短くすることも可能である。
【0041】
なお、第二実施例及び第三実施例において、下層ラベル2上に上層ラベル3が貼付されてそれらが所定の剥離許容処理により剥離可能とされている点や、その剥離によって下層ラベル2の非接着部2Bが上層ラベル3と一体に剥離して医薬品容器100に窓部15が形成される点、また、剥離後の医薬品容器100を所定位置から所定方向Iに側面視した際に、手前側に位置する容器外壁部の所定領域と、その所定領域の奥側に視認される容器外壁部の所定領域との双方に窓部15(露出部)が存在するとして形成される点、下層ラベル2の切り込み線2kが上層ラベル3の切り込み線被覆部3Kに覆われている点等については、第一実施例と同様である。
【0042】
本発明の第四実施例を、図19図25を用いて説明する。
【0043】
第四実施例の医薬品容器用ラベル1は、図19図23に示すように、既に述べた実施例よりも上層ラベル3の上下方向の幅が広く形成されている。これにより、より多くの必要情報をラベル上に記載することができる。ここでの医薬品容器用ラベル1は、図24及び図25に示すように、医薬品容器100(容器本体10)の外周に接着されるとともに、首部12N及びその周辺に対しても、その形に対応する形で接着されている。そして、図25に示すように医薬品容器100に窓部15が形成された場合には、その窓部15は、胴部12において首部12Nの下側に位置し、上方を臨むよう傾斜した肩部12Mにも存在する。これにより、医薬品容器100内容物を上方からも視認可能となる。
【符号の説明】
【0044】
1 医薬品容器用ラベル
10 容器本体
15 窓部(露出部)
100 医薬品容器
2 下層ラベル
2A 接着部
2B 非接着部
20 下層ラベルのラベル基材
21 下層ラベルの接着層
3 上層ラベル
30 上層ラベルのラベル基材
31 上層ラベルの接着層
図1
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