(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】出隅材の製造装置
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20221018BHJP
B28D 1/04 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
E04F13/08 101Q
B28D1/04 Z
(21)【出願番号】P 2021099299
(22)【出願日】2021-06-15
(62)【分割の表示】P 2017250273の分割
【原出願日】2017-12-26
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】514147930
【氏名又は名称】株式会社西田
(74)【代理人】
【識別番号】100154025
【氏名又は名称】田中 聡
(72)【発明者】
【氏名】西田 進
【審査官】清水 督史
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-097405(JP,A)
【文献】登録実用新案第3192523(JP,U)
【文献】実開平05-051611(JP,U)
【文献】特開2006-070455(JP,A)
【文献】特開2007-301685(JP,A)
【文献】特開2004-332231(JP,A)
【文献】特開2004-230867(JP,A)
【文献】特開2006-347154(JP,A)
【文献】特開2012-172333(JP,A)
【文献】特開平05-237804(JP,A)
【文献】特許第7012395(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/08
E04F 21/00
B28D 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板の一端が第2基板の一端と接続され、前記第1基板の他端が第3基板の一端と接続された略コの字型の中間部材から前記第2基板および前記第3基板の一部を切断することができる製造装置であって、
前記第1基板をガイドする第1ガイドと、前記第2基板をガイドする第2ガイドと、前記第3基板をガイドする第3ガイドとを有し、前記中間部材を通過させる通路と、
前記第1基板の裏面にそろうように前記第2基板の一部を切断する第1切断器と、
前記第1基板の裏面にそろうように前記第3基板の一部を切断する第2切断器と、
前記第1ガイドに前記第1基板を押しつけ、搬送する第1送り部と、
前記第2ガイドに前記第2基板を押しつけ、搬送する第2送り部と、
前記第3ガイドに前記第3基板を押しつけ、搬送する第3送り部とを備えた出隅材の製造装置。
【請求項2】
第1基板、第2基板および第3基板を有し、第1基板の一端が第2基板の一端と略90度で接続され、前記第1基板の他端が第3基板の一端と略90度で接続され、前記第2基板と前記第3基板が向き合う中間部材から前記第2基板および前記第3基板の一部を切断することができる製造装置であって、
前記第1基板をガイドする第1ガイドと、前記第2基板をガイドする第2ガイドと、前記第3基板をガイドする第3ガイドとを有し、前記中間部材を通過させる通路と、
前記第1基板の裏面にそろうように前記第2基板の一部を切断する第1切断器と、
前記第1基板の裏面にそろうように前記第3基板の一部を切断する第2切断器と、
前記第1ガイドに前記第1基板を押しつけ、搬送する第1送り部と、
前記第2ガイドに前記第2基板を押しつけ、搬送する第2送り部と、
前記第3ガイドに前記第3基板を押しつけ、搬送する第3送り部とを備えた出隅材の製造装置。
【請求項3】
前記第1切断器を配置するために、前記第1ガイドが第1切り欠け部を有し、前記第2ガイドが第2切り欠け部を有し、さらに、前記第2切断器を配置するために、前記第1ガイドが第3切り欠け部を有し、前記第3ガイドが第4切り欠け部を有する、請求項1
または2に記載の出隅材の製造装置。
【請求項4】
前記第2送り部が前記第1切断器の下部に配置され、前記第3送り部が前記第2切断器の下部に配置されている、
請求項1~3のうちの1つに記載の出隅材の製造装置。
【請求項5】
前記第1および第2切断器が丸鋸である、
請求項1~4のうちの1つに記載の出隅材の製造装置。
【請求項6】
第1基板の一端が第2基板の一端と接続された略L型の中間部材から前記第2基板の一部を切断することができる請求項1~5のうちの1つに記載の出隅材の製造装置。
【請求項7】
第1基板および第2基板を有し、第1基板の一端が第2基板の一端と略90度で接続された中間部材から前記第2基板の一部を切断することができる請求項1~5のうちの1つに記載の出隅材の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出隅材の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の一方の端部を球面状または多面状に切削することにより、出隅材を製造することが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されている方法では、基板の一方の端部を切削し、コーナが形成されるため、出隅材を製造するのに時間が掛かるという問題がある。
【0005】
さらに、特許文献1に示されている方法では、切削により出隅材の角部が形成されるため、その角部が基板の外面の模様を反映することがないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の出隅材製造方法は、表面と、裏面と、一端と、それに対向する他端と、別の一端と、それに対向する別の他端とを有し、前記一端には第1嵌合部が形成され、前記他端には第2嵌合部が形成され、前記別の他端は、前記表面が前記裏面よりも長くなるように斜めに切断されている第1基板を用意する工程と、表面と、裏面と、一端と、それに対向する他端と、別の一端と、それに対向する別の他端とを有し、前記一端には第1嵌合部が形成され、前記他端には第2嵌合部が形成され、前記別の一端は、前記表面が前記裏面よりも長くなるように斜めに切断されている第2基板を用意する工程と、前記第1基板の前記別の他端および前記第2基板の前記別の一端の少なくとも一方に接着剤を塗布し、前記第1基板の前記別の他端と前記第2基板の前記別の一端とを合わせて接着する接着工程と、前記第1基板の前記裏面にそろうように前記第2基板を切断する切断工程とを包含する。本発明の別の出隅材製造方法は、表面と、裏面と、一端と、それに対向する他端と、別の一端と、それに対向する別の他端とを有し、前記表面の面と前記別の一端の面がなす角が鋭角であり、前記表面の面と前記別の他端の面がなす角が鋭角である第1基板を用意する工程と、表面と、裏面と、一端と、それに対向する他端と、別の一端と、それに対向する別の他端とを有し、前記表面の面と前記別の他端の面がなす角が鋭角である第2基板を用意する工程と、表面と、裏面と、一端と、それに対向する他端と、別の一端と、それに対向する別の他端とを有し、前記表面の面と前記別の一端の面がなす角が鋭角である第3基板を用意する工程と、前記第1基板の前記別の一端および前記第2基板の前記別の他端の少なくとも一方に接着剤を塗布し、前記第1基板の前記別の一端と前記第2基板の前記別の他端とを合わせて接着する接着工程と、前記第1基板の前記別の他端および前記第3基板の前記別の一端の少なくとも一方に接着剤を塗布し、前記第1基板の前記別の他端と前記第3基板の前記別の一端とを合わせて接着する接着工程と、前記第1基板の前記裏面にそろうように前記第2基板および前記第3基板のうちの少なくとも一方を切断する切断工程とを包含する。
【0007】
本発明のある実施形態における出隅材製造方法は、前記第1基板の前記別の他端と、前記第2基板の前記別の一端との接着部から外に漏れ出した接着剤を除去する除去工程を包含していてもよい。本発明の別の実施形態における出隅材製造方法は、前記第1基板と前記第2基板の接着部から外に漏れ出した接着剤を除去し、前記第1基板と前記第3基板の接着部から外に漏れ出した接着剤を除去する除去工程とを包含してもよい。
【0008】
本発明のある実施形態における出隅材製造方法は、前記除去工程において、前記接着剤を除去する際に、前記第1基板の一部と前記第2基板の一部を含めて除去する除去工程を包含してもよい。本発明の別の実施形態における出隅材製造方法は、前記除去工程において、前記接着剤を除去する際に、前記第1基板の一部と前記第2基板の一部を含めて除去し、前記第1基板の一部と前記第3基板の一部を含めて除去する除去工程を包含してもよい。
【0009】
本発明のある実施形態における出隅材製造方法は、前記除去工程の後に、第1基板および第2基板の除去された部分を着色する着色工程を包含してもよい。本発明の別の実施形態における出隅材製造方法は、前記除去工程の後に、前記第1基板および前記第2基板の除去された部分と、前記第1基板および前記第3基板の除去された部分を着色する着色工程を包含してもよい。
【0010】
本発明のある実施形態における出隅材製造方法では、前記着色する色が、前記第1基板の前記表面の色と略同じであってもよい。本発明の別の実施形態における出隅材製造方法は、前記着色する色が、前記第1基板の前記表面の色と略同じであってもよい。
【0011】
本発明のある実施形態における出隅材製造方法では、前記切断工程において、前記接着された前記第1基板および前記第2基板を搬送し、略水平面内で切断器により前記第2基板の一部を切断してもよい。本発明の別の実施形態における出隅材製造方法は、前記切断工程において、前記接着された前記第1基板、前記第2基板および第3基板を搬送し、略水平面内で切断器により、前記第2基板の一部および前記第3基板の一部の少なくとも一方を切断してもよい。
【0012】
本発明の製造装置は、第1基板および第2基板を有する中間部材から前記第2基板の一部を切断する製造装置であって、前記第1基板をガイドする第1ガイドと、前記第2基板をガイドする第2ガイドとを有し、前記中間部材を通過させる通路と、鉛直方向を法線とする面で、前記第1基板の裏面にそろうように前記第2基板の一部を切断する切断器と、前記第1ガイドに前記第1基板を押しつけ、搬送する第1送り部と、前記第2ガイドに前記第2基板を押しつけ、搬送する第2送り部とを備えている。本発明の別の製造装置は、第1基板、第2基板および第3基板を有する中間部材から前記第2基板および前記第3基板の一部を切断する製造装置であって、前記第1基板をガイドする第1ガイドと、前記第2基板をガイドする第2ガイドと、前記第3基板をガイドする第3ガイドとを有し、前記中間部材を通過させる通路と、鉛直方向を法線とする面で、前記第1基板の裏面にそろうように前記第2基板の一部を切断する第1切断器と、鉛直方向を法線とする面で、前記第1基板の裏面にそろうように前記第3基板の一部を切断する第2切断器と、前記第1ガイドに前記第1基板を押しつけ、搬送する第1送り部と、前記第2ガイドに前記第2基板を押しつけ、搬送する第2送り部と、前記第3ガイドに前記第3基板を押しつけ、搬送する第3送り部とを備えている。
【0013】
本発明のある実施形態における製造装置では、前記切断器を配置するために、前記第1ガイドが第1切り欠け部を有し、前記第2ガイドが第2切り欠け部を有していてもよい。本発明の別の実施形態における製造装置は、前記第1切断器を配置するために、前記第2ガイド付近の前記第1ガイドが第1切り欠け部を有し、前記第2ガイドが第2切り欠け部を有し、さらに、前記第2切断器を配置するために、前記第3ガイド付近の前記第1ガイドが第3切り欠け部を有し、前記第3ガイドが第4切り欠け部を有していてもよい。
【0014】
本発明のある実施形態における製造装置では、前記第2送り部が前記切断器の下部に配置されていてもよい。本発明の別の実施形態における製造装置は、前記第2送り部が前記第1切断器の下部に配置され、前記第3送り部が前記第2切断器の下部に配置されていてもよい。
【0015】
本発明のある実施形態における製造装置では、前記切断器が丸鋸であってもよい。本発明の別の実施形態における製造装置は、前記第1および第2切断器が丸鋸であってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の出隅材製造方法は、第1基板の裏面にそろうように第2基板を切断する切断工程を包含している。このため、本発明の出隅材製造方法で製造された出隅材は板状となり、L型の出隅材よりも梱包がしやすい。また、本発明の出隅材製造方法で製造された出隅材は板状となるため、L型の出隅材に比べて、箱詰めした場合デットスペースが生じにくい。本発明の別の出隅材製造方法では、第1基板の裏面にそろうように第2基板および第3基板が切断され得る。このため、本発明の別の出隅材製造方法で製造された出隅材は板状となり、コの字型の出隅材よりも梱包がしやすい。また、本発明の出隅材製造方法で製造された出隅材は板状となるため、コの字型の出隅材に比べて、箱詰めした場合デットスペースが生じにくい。
【0017】
本発明の出隅材製造方法は、第1基板の別の他端と第2基板の別の一端とを合わせて接着する接着工程を包含している。このため、本発明の出隅材製造方法で製造された出隅材は、特許文献1の出隅材製造方法のように外観を成形する必要がないため、特許文献1の出隅材製造方法に比べて、安価に製造することが可能である。本発明の別の出隅材製造方法についても同様である。
【0018】
本発明のある実施形態における出隅材製造方法は、第1基板の別の他端と、第2基板の別の一端との接着部から外に漏れ出した接着剤を除去する除去工程を包含している。このため、この出隅材製造方法で製造された出隅材は、接着剤が足りずに接着不良となることがない。本発明の別の実施形態における出隅材製造方法についても同様である。
【0019】
本発明のある実施形態における出隅材製造方法は、除去工程において、接着剤を除去する際に、第1基板の一部と第2基板の一部を含めて除去する。このため、予め破損の原因となる出隅材の隅を取り除くことができる。また、接着剤を除去する際に、出隅材の隅を傷つけないように作業する必要がないため、この出隅材製造方法は、接着剤だけを除去する作業に比べて、接着剤を除去するスピードを上げることができる。本発明の別の実施形態における出隅材製造方法についても同様である。
【0020】
本発明のある実施形態における出隅材製造方法は、接着剤並びに第1基板の一部および第2基板を除去する除去工程の後に、除去された第1基板の一部と第2基板の一部を着色する着色工程を包含する。このため、看者に対して第1基板および第2基板の削られた部分に違和感を感じさせないようにすることができる。本発明の別の実施形態における出隅材製造方法についても同様である。
【0021】
本発明のある実施形態における出隅材製造方法は、接着剤並びに第1基板の一部および第2基板を除去する除去工程の後に、第1基板および第2基板の除去された部分を、第1基板および第2基板と略同じ色で着色する着色工程を包含する。このため、第1基板および第2基板の削られた部分が、第1基板および第2基板の表面と同じに見え、出隅材の商品価値があがる。本発明の別の実施形態における出隅材製造方法についても同様である。
【0022】
本発明のある実施形態における出隅材製造方法では、切断工程において、接着された第1基板および第2基板が搬送され、略水平面内で切断器により第2基板の一部が切断される。
【0023】
仮に、縦方向で第2基板の一部を切断すれば、第2基板の表面が上向きとなり、第1基板の表面が横向きとなり流れ、第1基板の自重と梃子の原理によって切断される部分が僅かに増えて、第1基板に残る第2基板の切断部分が切り始めよりも切り終わりの方が切断器により深く切られる。しかし、横方向で第2基板の一部を切断すると、第1基板と接着されている第2基板の切断面は綺麗にまっすぐ切断される。
【0024】
また、横方向で第2基板の一部を切断する場合、第1基板の表面が上向きになり流れてくるため、製造者は、面積の広い第1基板の外観をチェックしながら作業をすることができ、不良品を選別することができる。
【0025】
また、横方向で第2基板の一部を切断する場合、第1基板の表面が上向きになり流れてくるため、製造者は、第1基板の表面が横になり流れてくる場合に比べて作業がしやすい。例えば、製造者が切断された出隅材を集積する場合、表面が上を向いている出隅材を手に取り移動させればよい。本発明の別の実施形態における出隅材製造方法についても同様である。
【0026】
本発明の製造装置は、鉛直方向を法線とする面で、第1基板の裏面にそろうように第2基板の一部を切断する。
【0027】
仮に、縦方向で第2基板の一部を切断する場合、第2基板の表面が上向きとなり、第1基板の表面が横向きとなり流れ、第1基板の自重と梃子の原理によって切断する部分が僅かに増えて、第1基板に残る第2基板の切断部分が切り始めよりも切り終わりの方が切断器により深く切られる。しかし、横方向で第2基板の一部を切断すると、第1基板と接着されている第2基板の切断面は綺麗にまっすぐ切断される。
【0028】
また、横方向で第2基板の一部を切断する場合、第1基板の表面が上向きとなり流れてくるため、製造者は、面積の広い第1基板の表面の外観をチェックしながら作業をすることができ、不良品を選別することができる。
【0029】
また、横方向で第2基板の一部を切断する場合、第1基板の表面が上向きになり流れてくるため、製造者は、第1基板の表面が横向きになり流れてくる場合に比べて作業がしやすい。例えば、製造者が切断された出隅材を集積する場合、表面が上を向いている出隅材を手に取り移動させればよい。
【0030】
切断器が第1基板の裏面の面にて、第2基板の一部を切断する場合、切断器付近において、第1ガイドおよび第2ガイドが中間部材をガイドしていると、誤差0で切断器が第2基板の一部を切断することとなり、切断器の刃こぼれにつながる。しかし、本発明のある実施形態における製造装置は、切断器を配置するために、第1ガイドが第1切り欠け部を有し、第2ガイドが第2切り欠け部を有する。このため、この製造装置では、切断器がガイドに当接して刃こぼれすることがない。本発明の別の製造装置についても同様である。
【0031】
本発明のある実施形態における製造装置では、第2送り部が切断器の下部に配置されている。このため、第2基板に強い力を加えても、製品となる出隅材の表面を傷つけてしまうことはない。また、第2送り部が切断器の下部で第2基板を第2ガイドに押しつけるため、切断器が発生する振動を効率よく吸収することができる。本発明の別の実施形態における製造装置についても同様である。
【0032】
本発明のある実施形態における製造装置では、切断器が丸鋸である。このため、この製造装置は、往復運動する鋸に比べで、機構を簡単にすることができる。本発明の別の実施形態における製造装置についても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態における出隅材の製造方法を示す流れ図である。
【
図2】
図2は、第1基板10および第2基板20の一例を示す外観図である。
【
図3】
図3は、第1基板10および第2基板20を接着した中間部材30の一例を示す正面図である。
【
図4】
図4は、接着剤が漏れ出している中間部材40の一例を示す外観図である。
【
図5】
図5は、接着剤の除去の一例を説明するための図である。
【
図6】
図6は、本発明の第3実施形態における出隅材の製造方法を示す流れ図である。
【
図7】
図7(a)は、第1基板60、第2基板70および第3基板80が切り出される基板の一例を示す正面図であり、
図7(b)は、第1基板60と第2基板70を高周波接着機91、92にて接着する様子を説明するための図であり、
図7(c)は、第1基板60と第3基板80を高周波接着機91、92にて接着する様子を説明するための図である。
【
図8】
図8(a)は、第1基板60、第2基板70および第3基板80が接着された中間部材98の一例を示す図であり、
図8(b)は、中間部材98から第3基板の一部を切断した中間部材99の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の第4実施形態における製造装置100の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、製造装置100における、第1ベルト151と第2ベルト161がある位置の一例を示す模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、図面を参照しながら本発明の第1実施形態における出隅材の製造方法について説明する。
【0035】
図1は、本発明の第1実施形態における出隅材の製造方法を示す流れ図である。また、
図2は、第1基板10および第2基板20の一例を示す外観図である。
【0036】
製造者は、
図2に示すような第1基板10と第2基板20を用意する(ステップS10)。第1基板10と第2基板20は、1枚の基板から切り出されてもよい。その基板は、表面11、21と、裏面12、22と、一端13、23と、その一端13、23に対向する他端14、24と、別の一端15と、その別の一端15に対向する別の他端26とを有している。なお、別の他端16と別の一端25にて挟まれていた部分は、第1基板10と第2基板20を切り出す際に切り落とされた部分である。
【0037】
基板同士を接続するために、基板の一端13、23に、第1嵌合部が形成されていてもよい。また、基板同士を接続するために、基板の他端14、24に、第2嵌合部が形成されていてもよい。その場合、一方の基板の第1嵌合部が他の基板の第2嵌合部と嵌合することができる。
【0038】
嵌合部の形状として、合いじゃくりや、本実が用いられてもよい。例えば、基板の一端付近において、基板の表面が基板の裏面より長くなり、基板の他端付近において、基板の表面が基板の裏面より短くなってもよい。また、基板の一端に凸部が設けられ、基板の他端に凹部が設けられてもよい。
【0039】
基板の主な材質は、セメント質材であってもよい。さらに、基板は、繊維質および混和材の少なくとも1つを含んでいてもよい。基板が繊維質を含んでいる場合、繊維質を含んでいないものに比べ基板の強度を高めることができる。また、混和材としては、砂や砂利よりも比重が軽いものが用いられることが好ましい。
【0040】
基板の表面には、模様が形成されていてもよい。また、この模様は、基板の表面に凹凸を設けることにより、形成されてもよい。基板の表面は、着色されていてもよい。
【0041】
第1基板10は、
図2に示すように、表面11と、裏面12と、一端13と、それに対向する他端14と、別の一端15と、それに対向する別の他端16とを有している。一端13には第1嵌合部(具体的な形状については図示せず)が形成されてもよく、他端14には第2嵌合部(具体的な形状については図示せず)が形成されてもよい。別の他端16は、表面11が裏面12よりも長くなるように斜めに切断されている。表面11の面と別の他端16の面がなす角は、鋭角であるが略45度であってもよい。表面11の面と別の一端15の面がなす角は、略90度であってもよい。裏面12の面と別の一端15の面がなす角は、略90度であってもよい。裏面12の面と別の他端16の面がなす角は、鈍角であるが略135度であってもよい。また、表面11に凹凸がある場合があるが表面11の面と裏面12の面とは、
図2や
図3に示すように略平行である。
【0042】
第2基板20は、
図2に示すように、表面21と、裏面22と、一端23と、それに対向する他端24と、別の一端25と、それに対向する別の他端26とを有している。一端23には第1嵌合部(具体的な形状については図示せず)が形成されてもよく、他端24には第2嵌合部(具体的な形状については図示せず)が形成されてもよい。別の一端25は、表面21が裏面22よりも長くなるように斜めに切断されていてもよい。表面21の面と別の一端25の面がなす角は、鋭角であるが略45度であってもよい。また、表面21の面と別の他端26の面がなす角は、略90度であってもよい。また、裏面22の面と別の他端26の面がなす角は、略90度であってもよい。裏面22の面と別の一端25の面がなす角は、鈍角であるが略135度であってもよい。また、表面21に凹凸がある場合があるが表面21の面と裏面22の面とは、
図2や
図3に示すように略平行である。また、表面11の面と別の他端16の面がなす角と表面21の面と別の一端25の面がなす角の和が略90度であることが好ましい。第1実施形態における出隅材の製造方法によって製造された出隅材を使用して建物の出隅付近の外壁を覆う場合、出隅材の表面21の面を、その出隅材と直交関係にある他の外壁材の表面の面と略同一平面にすることができ、建物の見栄えをよくすることがきるからである。
【0043】
製造者は、基板から第1基板10と第2基板20を切り出すために、裏面の面から反時計方向に鋭角に傾いた鋸やカッタ等を用意してもよい。製造者が基板を手前から、体から離れる方向に押して、第1基板を切り出す場合、他端14から切り始め、一端13で切り終わる。また、製造者が基板を手前から、体から離れる方向に押して、第2基板を切り出す場合、他端23から切り始め、一端24で切り終わる。この鋭角は略45度であってもよい。
【0044】
製造者は、基板から第1基板10と第2基板20を切り出すために、裏面の面から反時計方向に鈍角に傾いた鋸やカッタ等を用意してもよい。製造者が基板を手前から、体から離れる方向に押して、第1基板を切り出す場合、一端13から切り始め、他端14で切り終わる。また、製造者が基板を手前から、体から離れる方向に押して、第2基板を切り出す場合、一端24から切り始め、他端23で切り終わる。この鈍角は略135度であってもよい。
【0045】
製造者は、基板から第1基板10および第2基板20を略一度に切り出すために、裏面の面から反時計方向に鋭角に傾いた鋸やカッタ等と、裏面の面から反時計方向に鈍角に傾いた鋸やカッタ等を用意してもよい。製造者が基板を手前から、体から離れる方向に押して、第1基板および第2基板を切り出す場合、第1基板の他端14から切り始め第1基板の一端13で切り終わり、第2基板の一端24から切り始め第2基板の他端23で切り終わる。この鋭角は略45度であってもよい。この鈍角は略135度であってもよい。
【0046】
第1基板10と第2基板20を用意した後、第1基板10と第2基板20を接着する(ステップS20)。例えば、第1基板10の別の他端16と、第2基板20の別の一端25に接着剤を塗布し、それらの面を重ね合わせ、少なくとも第1基板10の表面11と第2基板20の表面21に力を加え且つ第1基板10の裏面12と第2基板20の裏面22がずれないようにささえることにより行われてもよい。
【0047】
また、第1基板10の別の他端16と、第2基板20の別の一端25に接着剤が塗布される前に、第1基板10の別の他端16と、第2基板20の別の一端25にプライマ処理のような下処理が行われてもよい。
【0048】
また、第1基板10の別の他端16と、第2基板20の別の一端25に接着剤が塗布された後、高周波接着機によって接着面に高周波電圧を印加することにより、接着速度を速めてもよい。その場合、接着剤としてウレタン系接着剤が使用されてもよい。
【0049】
また、高周波接着機のような機械を使用することなく、自然養生で、第1基板10と第2基板20が、接着されてもよい。その場合、接着剤として、ポリウレタン系接着剤、ウレタン系接着剤、またはエポキシ系接着剤が接着面に塗布されていてもよい。
【0050】
図3は、第1基板10および第2基板20を接着した中間部材30の一例を示す図である。中間部材30を第1基板の他端(
図2における符号14)からみた場合、中間部材30は略L型をしている。
【0051】
出隅材を形成するため、第1基板10の裏面12にそろうように第2基板20を切断する(ステップS30)。例えば、破線27に沿って、鋸やカッタ等にて第2基板20の一部が切断される。切断された一部は、別の他端26を含んでいる。
【0052】
以下に、図面を参照しながら本発明の第2実施形態における出隅材の製造方法について説明する。
【0053】
図4は、第1基板10および第2基板20を接着した中間部材40の一例を示す外観図である。
【0054】
中間部材40では、第1基板10および第2基板20の接着面から接着剤41が第1基板10および第2基板の表面に出てきている。第1基板10および第2基板20の接着面から接着剤があふれない適量を塗布することが好ましいが、接着剤の量が適量より少ないと、接着面に隙間ができ第1基板10と第2基板20を接着する強度が落ちる。このため、接着面に接着剤を適量より多めに塗布することになり、
図4に示す中間部材40が形成され得る。
【0055】
この場合、ステップS20とステップS30の間またはステップS30の後に、中間部材40の表面にある接着剤41を除去する除去工程を設けることが好ましい。完成した出隅材の外観をよくするためである。
【0056】
また、第1基板10および第2基板20の接着面から接着剤が第1基板10および第2基板の裏面に出てきている場合には、ステップS20とステップS30の間に中間部材40の裏面にある接着剤を除去する除去工程を設けることが好ましい。後述する製造装置によって、第2基板20の一部を綺麗に切断するためである。
【0057】
図5は、接着剤の除去の一例を説明するための図である。
【0058】
製造者が、中間部材50の表面にある接着剤51を除去する場合、
図5に示すように、第1基板10の表面の一部17および第2基板20の表面の一部18を除去してもよい。言い換えると、中間部材50のL型のコーナが面取りされていてもよい。第1基板10と第2基板20の接続部からはみ出している接着剤だけを取り除くことが難しいからである。中間部材50のL型のコーナは、第1基板10の尖った部分17と第2基板20の尖った部分27からできており、中間部材50の表面にある接着剤を切削等により綺麗に取り除く場合、少しでも深く削ると、先端部17、27が欠けたりして、最終完成品である出隅材の見栄えが悪くなる。また、製造者は、中間部材50の裏面にある接着剤52を除去する場合、中間部材50の表面にある接着剤51を除去するほど留意する必要はない。
【0059】
このため、敢えて中間部材50のL型のコーナについては面取りを行い、第1基板10の尖った部分17と第2基板20の尖った部分27を削ることにより、見栄えが悪くなる破損を生じなくすることができる。
図5に示す例では、尖った部分17における、中間部材50のL型のコーナの頂点から第1基板10の削り出されたところと削り出されていないところの境までの直線距離は、2mm~5mmであってもよく、尖った部分27における、中間部材50のL型のコーナの頂点から第2基板20の削り出されたところと削り出されていないところの境までの直線距離は、2mm~5mmであってもよく、直線状55(実際には1つの面)に面取りが行われているがこれに限られない。面取り部分が複数の線(実際には複数の面)で構成されていてもよい。面取り部分が円弧状(実際には曲面)で構成されていてもよい。また、直線状55の長さは、2mm~7mmであってもよい。
【0060】
接着剤とともに、第1基板10の表面の一部および第2基板20の表面の一部を除去する場合、除去後(ステップS30の前または後)に、除去により削られた部分に彩色が施されてもよい。彩色する色は、第1基板10および第2基板20と略同じ色であることが好ましい。
【0061】
以下に、図面を参照しながら本発明の第3実施形態における出隅材の製造方法について説明する。
【0062】
図6は、本発明の第3実施形態における出隅材の製造方法を示す流れ図である。
図7は、その出隅材の製造方法の一例を説明するための、その中間部材の図である。
【0063】
製造者は、
図7(a)に示すような第1基板60、第2基板70および第3基板80を用意する(ステップS110)。第1基板60、第2基板70および第3基板80は、1枚の基板から切り出されてもよい(
図7(a))。その基板は、表面61、71、81と、裏面62、72、82と、一端63、73、83、その一端63、73、83に対向する他端と、別の一端75、その別の一端75に対向する別の他端86とを有し、
図7(a)に示す正面図の横方向(以下、X方向という)における基板の長さは200mm~450mmであってもよい。また、その基板の奥行きは、400mm~500mmであってもよい。また、その基板の厚さは、15mm~20mmであってもよい。
【0064】
基板同士を接続するために、基板の一端63、73、83には、第1実施形態と同様に第1嵌合部が形成されていてもよい。基板同士を接続するために、基板の一端63、73、83に対向する他端には、第1実施形態と同様に第2嵌合部が形成されていてもよい。また、基板の材質は、第1実施形態と同様であってもよい。基板の表面には、模様が形成されていてもよい。また、この模様は、基板の表面に凹凸を設けることにより、形成されてもよい。基板の表面は、着色されていてもよい。
【0065】
第1基板60は、
図7(a)に示すように、表面61と、裏面62と、一端63と、それに対向する他端と、別の一端65と、それに対向する別の他端66とを有している。第1基板60において、一端63には第1嵌合部(具体的な形状については図示せず)が形成されてもよく、他端には第2嵌合部(具体的な形状については図示せず)が形成されてもよい。別の一端65および別の他端66は、X方向における表面61の長さが裏面62の長さよりも長くなるように斜めに切断されていてもよい。表面61の面と別の一端65の面がなす角は、鋭角であってもよい。表面61の面と別の他端66の面がなす角は、鋭角であってもよい。また、裏面62の面と別の一端65の面がなす角は、鈍角であってもよい。また、裏面62の面と別の他端66の面がなす角は、鈍角であってもよい。これらの鋭角は、略45度であってもよい。また、これらの鈍角は略135度であってもよい。
【0066】
第2基板70は、
図7(a)に示すように、表面71と、裏面72と、一端73と、それに対向する他端と、別の一端75と、それに対向する別の他端76とを有している。第2基板70において、一端73には第1嵌合部(具体的な形状については図示せず)が形成されてもよく、他端には第2嵌合部(具体的な形状については図示せず)が形成されてもよい。別の他端76は、X方向における表面71の長さが裏面72の長さよりも長くなるように斜めに切断されていてもよい。表面71の面と別の一端75の面がなす角は、略90度であってもよい。表面71の面と別の他端76の面がなす角は、鋭角であってもよい。また、裏面72の面と別の一端75の面がなす角は、略90度であってもよい。また、裏面72の面と別の他端76の面がなす角は、鈍角であってもよい。この鋭角は、略45度であってもよい。また、この鈍角は略135度であってもよい。また、第1実施形態と同様の理由により、表面61の面と別の一端65の面がなす角と表面71の面と別の他端76の面がなす角の和が略90度であることが好ましい。
【0067】
第3基板80は、
図7(a)に示すように、表面81と、裏面82と、一端83と、それに対向する他端と、別の一端85と、それに対向する別の他端86とを有している。第3基板80において、一端83には第1嵌合部(具体的な形状については図示せず)が形成されてもよく、他端には第2嵌合部(具体的な形状については図示せず)が形成されてもよい。別の一端85は、X方向における表面81の長さが裏面82の長さよりも長くなるように斜めに切断されていてもよい。表面81の面と別の一端85の面がなす角は、鋭角であってもよい。表面81の面と別の他端86の面がなす角は、略90度であってもよい。また、裏面82の面と別の一端85の面がなす角は、鈍角であってもよい。また、裏面82の面と別の他端86の面がなす角は、略90度であってもよい。この鋭角は、略45度であってもよい。また、この鈍角は略135度であってもよい。また、第1実施形態と同様の理由により、表面61の面と別の他端66の面がなす角と表面81の面と別の一端85の面がなす角の和が略90度であることが好ましい。
【0068】
1枚の基板から、第2基板70を切り出す場合、製造者は、例えば、その基板のX方向から反時計方向に鋭角に傾いた丸鋸の刃によって、別の他端76を形成しつつ、その基板から第2基板20を切り出してもよい。この鋭角は、略45度であってもよい。
【0069】
製造者は、その基板のX方向から反時計方向に略45度傾いた丸鋸の刃によって第2基板70を切り出した後、第1基板60を切り出す場合、製造者は、例えばその基板のX方向から反時計方向に鈍角に傾いた丸鋸の刃によって、別の一端65を形成し、その基板のX方向から反時計方向に鋭角に傾いた丸鋸の刃によって別の他端66を形成することにより、第1基板60が切り出されてもよい。この鈍角は略135度であってもよい。また、この鋭角は、略45度であってもよい。
【0070】
第3基板80を切り出す場合、製造者は、例えば、その基板のX方向から反時計方向に鈍角に傾いた丸鋸の刃によって別の一端85を形成し、第3基板80が切り出されてもよい。この鈍角は略135度であってもよい。
【0071】
上述した例では、第1基板60、第2基板70、第3基板80という順番でそれぞれが切り出されたが、上述した例と同様の方法を使い、第3基板80、第1基板60、第2基板70という順番でそれぞれが切り出されてもよい。また、第1基板60、第2基板70および第3基板80は、第1実施形態と同様に切り出されてもよい。
【0072】
第1基板60、第2基板70および第3基板80を用意した後、第1基板60と第2基板70を接着する(ステップS120)。例えば、第1基板60の別の一端65と、第2基板70の別の他端76に接着剤を塗布し、それらの面を重ね合わせ、少なくとも第1基板60の表面61と第2基板70の表面71に力を加え且つ第1基板60の裏面62と第2基板70の裏面72がずれないようにささえることにより行われてもよい。
【0073】
第1基板60と第2基板70を接着した後、第1基板60と第3基板80を接着する(ステップS122)。例えば、第1基板60の別の他端66と、第3基板80の別の一端85に接着剤を塗布し、それらの面を重ね合わせ、少なくとも第1基板60の表面61と第3基板80の表面81に力を加え且つ第1基板60の裏面62と第3基板80の裏面82がずれないようにささえることにより行われてもよい。
【0074】
また、第1基板60の別の一端65と、第2基板70の別の他端76に接着剤が塗布される前に、第1基板60の別の一端65と、第2基板70の別の他端76にプライマ処理のような下処理が行われてもよい。同様に、第1基板60の別の他端66と、第3基板80の別の一端85に接着剤が塗布される前に、第1基板60の別の他端66と、第3基板80の別の一端85にプライマ処理のような下処理が行われてもよい。
【0075】
図7(b)および(c)に示すように、第1基板60、第2基板70、および第3基板80は、高周波接着機によって接着されてもよい。高周波接着機によってそれぞれの基板が接着される場合、接着剤として、ウレタン系接着剤が接着面に塗布されていてもよい。例えば、高周波接着機の電極91、92に高周波の電圧をかけることにより、自然養生に比べ短時間で接着することができる。
【0076】
ただし、高周波接着機のような機械を使用することなく、自然養生で、第1基板60、第2基板70、および第3基板80が、接着されてもよい。その場合、接着剤として、ポリウレタン系接着剤、ウレタン系接着剤、またはエポキシ系接着剤が接着面に塗布されていてもよい。自然養生する場合、高周波溶接機等の設備を備える必要はない。
【0077】
図8(a)は、第1基板60、第2基板70および第3基板80が接着された中間部材98の一例を示す図であり、
図8(b)は、中間部材98から第3基板80の一部を切断した中間部材99の一例を示す図である。中間部材98は、略コの字型をしている。
【0078】
中間部材98から、第1基板60の裏面62にそろうように第2基板70および第3基板80の一方を切断し、中間部材99を形成する(ステップS130)。
図8(a)に示す例では、破線95に沿って、鋸やカッタ等にて第3基板80の一部が切断される。切断された一部は、別の他端86を含んでいる。
【0079】
次に、出隅材を形成するため、中間部材99から、第1基板60の裏面62にそろうように第2基板70および第3基板80の他方を切断する(ステップS132)。
図8(b)に示す例では、破線96に沿って、鋸やカッタ等にて第2基板70の一部が切断される。切断された一部は、別の一端75を含んでいる。
【0080】
この第3実施形態における出隅材の製造工程では、上述した第2実施形態における出隅材の製造工程と同様に、接着剤の除去が行われていてもよい。
【0081】
以下に、図面を参照しながら本発明の第4実施形態における製造装置について説明する。
【0082】
図9は、ステップS30において、第2基板20の一部を切断するための製造装置100の一例を示す図である。
【0083】
本発明の第4実施形態における製造装置100は、第1基板10をガイドする第1ガイド110と第2基板20をガイドする第2ガイド120とを有し、中間部材30を通過させる通路部130と、鉛直軸を法線とする面で、第1基板10の裏面にそろうように第2基板20の一部を切断する切断器140と、第1ガイド110に第1基板10を押しつけ、搬送する第1送り部150と、第2ガイド120に第2基板20を押しつけ、搬送する第2送り部160とを備えている。
【0084】
第1ガイド110は、中間部材30が製造装置100中を移動する際に、摩擦を小さくするような構成を有している。例えば、第1ガイド110は、複数のローラにより形成されてもよい。
【0085】
同様に、第2ガイド120は、中間部材30が製造装置100中を移動する際に、摩擦を小さくするような構成を有している。例えば、第2ガイド120は、複数のローラにより形成されてもよい。
【0086】
切断器140は、鋸であってもよい。切断器140が鋸である場合、往復運動をするものよりも回転運動するものが好ましい。モータ等の動力源からの回転運動を一度往復運動に変換する必要がないからである。
【0087】
また、切断器140が、略鉛直軸を法線とする面、言い換えると略水平面で、第1基板10の裏面12にそろうように第2基板20の一部を切断することができるため、以下の効果を奏する。
【0088】
例えば、通常の丸鋸のように丸鋸が縦に回転し、縦方向で第2基板20の一部を切断する場合、第2基板20の表面21が上向きとなり、第1基板10の表面11が横向きとなり流れる。第1基板の大きさは、第2基板の大きさよりも大きく、それぞれの自重も、第2基板に比べ第1基板が重い。第1基板10の自重と梃子の原理によって第1基板10が僅かに切断部から離れ、第1基板10側にある第2基板20の切断される部分が僅かに増えて、第1基板10に残る第2基板20の切断部分が切り始めよりも切り終わりの方が切断器140により深く切られる。しかし、この第4実施形態のように横方向で第2基板20の一部を切断すると、第2基板は、第1基板に比べ軽いため、上述した変化は僅かである。
【0089】
また、横方向で第2基板20の一部を切断する場合、第1基板10の表面11が上向きになり流れてくるため、製造者は、面積の広い第1基板10の表面11の外観をチェックしながら作業をすることができ、不良品を選別することができる。
【0090】
また、横方向で第2基板20の一部を切断する場合、第1基板10の表面11が上向きになり流れてくるため、製造者は、第1基板10の表面11が横になり流れてくる場合に比べて作業がしやすい。例えば、製造者が切断された出隅材を集積する場合、第1基板10の表面11が上を向いている出隅材を手に取り移動させればよい。しかし、横方向で第2基板20の一部を切断する場合、表面が横を向いている出隅材を手に取り移動させる必要がある。作業を正確にするためには、両手で出隅材を持つことになるが、表面が横を向いている出隅材を両手で受け取るには、一方の肩が下がり、製造者は不自然な状態を繰り返ししなくてはならず、製造者に負担が掛かる。
【0091】
以下、切断器140が丸鋸である場合について説明する。切断器140は、モータ141により回転する。製造装置100は、切断器140の位置を変えることができる機構を備えていてもよい。例えば、モータ141はレール142に沿って、上下に移動させることが可能である。また、レール142は、台座143に取り付けられている。台座143は、機構144により、第1ガイド110または第2ガイド120から離れたり、近づいたりすることができる。
【0092】
第1送り部150は、第1ガイド110に第1基板10を押しつけ、中間部材30を搬送する。第1送り部150は、輪っか状の第1ベルト151と第1モータ152を有していてもよい。第1モータ152が回転することにより、第1ベルト151が回転し、中間部材30が搬送される。
【0093】
また、第2送り部160は、第2ガイド120に第2基板20を押しつけ、中間部材30を搬送する。第2送り部160は、輪っか状の第2ベルト161と第2モータ162を有していてもよい。第2モータ162が回転することにより、第2ベルト161が回転し、中間部材30が搬送される。第2送り部160が第2ガイド120に第2基板20を押しつけるため、第1基板10側にある第2基板20の切断される面に変動が殆ど生じず、第1基板10と接着されている第2基板20の切断面は綺麗にまっすぐ切断される。
【0094】
図10は、製造装置100における、第1ベルト151と第2ベルト161がある位置の一例を示す模式的な図である。
図10では、第1ベルト151および第2ベルト161については、中間部材30を第1ガイド110および第2ガイド120に押されつけている部分についてのみ記載しており、モータ等については、その記載を省略している。
【0095】
図10における左側から右側に中間部材30が搬送されている。中間部材30は、第1ベルト151と第1ガイド110に挟まれ、さらに、第2ベルト161と第2ガイド120に挟まれ移動する。
図10における左側から右側に中間部材30が搬送されている場合、切断器140は、反時計方向に回転する。
【0096】
切断器140付近において、第1ガイド110は切り欠け部111を有している。同様に、切断器140付近において、第2ガイド120は切り欠け部121を有している。切断器140が第1基板10の裏面12の面にて、第2基板20の一部を切断する場合、切断器140付近において、第1ガイド110および第2ガイド120が中間部材30をガイドしていると、誤差0で切断器140が第2基板20の一部を切断することとなり、切断器140の刃こぼれにつながる。このため、切断器140付近において、切り欠け部111、121が設けられている。
【0097】
なお、切り欠け部111は、第1ガイド110の全範囲に渡り設けられていてもよい。同様に、切り欠け部121は、第2ガイド120の全範囲に渡り設けられていてもよい。第1基板10の裏面12と第2基板20の裏面22との角には、接着剤の削除不良や、付着した接着剤を削除する際の過度の切削の可能性があり、また、その角から漏れ出る接着剤を除去しないとすると、その角を基準として、中間部材を搬送することは好ましくないからである。
【0098】
また、第1基板10の裏面12の面にて、第2基板20の一部を切断するためには、中間部材30が、切断器140の回転軸方向並びに、切断器140の回転軸方向および中間部材30の進行方向に垂直な方向180にぶれないように、中間部材30を押さえる必要がある。このため、第1送り部150は、第1ベルト151で第1基板10の表面11を第1ガイド110に押し付け、切断器140の回転軸方向にぶれないようにする。また、中間部材30を上下方向に振動させる主な震動源は、切断器140であるため、中間部材30を介して、切り欠け部111付近の第1ガイド110を第1ベルト151が押すことが好ましい。また、第1ベルト151において中間部材30を押さえつけている部分の長さは、丸鋸の直径よりも長くてもよい。
【0099】
同様に、第2送り部160は、第2ベルト161で第2基板20の表面21を第2ガイド120に押し付け、方向180にぶれないようにする。また、中間部材30を方向180に振動させる主な震動源は、切断器140であるため、中間部材30を介して、切り欠け部121付近の第2ガイド120を第2ベルト161が押すことが好ましい。また、第2ベルト161において中間部材30を押さえつけている部分の長さは、丸鋸の直径よりも長くてもよい。また、第1ベルト151において中間部材30を押さえつけている部分の長さは、第2ベルト161において中間部材30を押さえつけている部分の長さと略同じであってもよい。
【0100】
また、第2ベルト161は、切断器140の下に配置されている。言い換えると、第2ベルト161は、第2ガイド120のうち、第1基板10から切断器140を介して遠い位置に配置されている。このため、第2ベルト161が第2基板20を非常に強く第2ガイド120に押しつけたしても、製品となる出隅材の表面を傷つけることがない。
【0101】
切断器140は、金属製のカバーで覆われていてもよい。製造者が切断器140によって身体を傷付けることを防止するためである。また、カバーには、基板等の削りかす等を吸引する吸引ダクトが接続されていてもよい。カバー内に削りかす等がたまり、切断器140の回転が悪くなることを避けるためである。また、カバーに吸引ダクトを設ける場合、カバーにさらに吸気ダクトを設けることが好ましい。単にカバーに吸気用の穴をあけただけでは、製造者が切断器140によって身体を傷付けることがあるからである。また、吸気ダクトを設けることにより、吸引力をアップさせることができる。
【0102】
中間部材30を用いて製造装置100の動作を説明したが、中間部材30の代わりに、上述したように中間部材40から接着剤41を取り除いた部材、中間部材50から先端部17、27接着剤51、52を取り除いた部材等が用いられても、出隅材を製造することができる。
【0103】
また、製造装置100に、中間部材98またはそこから表面のコーナおよび裏面のコーナからはみ出た少なくとも一方の接着剤を取り除いた部材を流すことにより、第2基板70または第3基板80の一部が切断されてもよい。同様に、製造装置100に、中間部材99またはそこから表面のコーナおよび裏面のコーナからはみ出た少なくとも一方の接着剤を取り除いた部材を流し、第2送り部160が第3基板80を第2ガイド120に押しつけることにより、第3基板80の一部が切断されてもよい。また、中間部材98から先に第3基板80の一部が切断された場合、その後、第2基板70の一部が製造装置100によって切断されてもよい。
【0104】
製造装置100は、第3基板80をガイドする第3ガイドと、第3ガイドに第3基板80を押しつけ搬送する第3送り部と、第1基板60の裏面にそろうように第3基板80の一部を切断する第2切断器とをさらに備えていてもよい。また、第3ガイド、第3送り部および第2切断器は、通路部130を介して第2ガイド120、第2送り部160および切断器140の略反対側に配置されていてもよい。このように、製造装置100が、第3ガイド、第3送り部および第2切断器をさらに備えている場合、中間部材98を一度この装置に通しただけで、第2基板70の一部および第3基板80の一部を切断することができる。このように、製造装置100が第3ガイドと、第3送り部と、第2切断器とをさらに備えていても、中間部材98の表面のコーナおよび裏面のコーナからはみ出た少なくとも一方の接着剤を取り除いた部材から第2基板70の一部および第3基板80の一部を切断することができることは言うまでもない。
【0105】
製造装置100が第2切断器を備えている場合、第2切断器を配置するために、第1ガイドが切り欠け部111と同様の第3切り欠け部を第2切断器付近に有し、第3ガイドが第2ガイドの欠け部121と同様の第4切り欠け部を第2切断器付近に有していることが好ましい。第2切断器の刃こぼれを防止するためである。
【0106】
また、製造装置100が第2切断器を備えている場合、第3送り部が第2切断器の下部に配置されていることが好ましい。このため、第3送り部が第2切断器の下部で第3基板を第3ガイドに押しつけるため、切断器が発生する振動を効率よく吸収することができる。
【0107】
第2切断器は、丸鋸であってもよい。往復運動する鋸に比べて機構を簡単にすることができるからである。
【符号の説明】
【0108】
10、60 第1基板
20、70 第2基板
80 第3基板
11、21 表面
12、22 裏面
13、23 一端
14、24 他端
15、25 別の一端
16、26 別の他端
30、40 中間部材
100 製造装置
110 第1ガイド
120 第2ガイド
130 通路部
140 切断器
150 第1送り部
160 第2送り部