(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】空気調和機の室内ユニット
(51)【国際特許分類】
F24F 1/0063 20190101AFI20221018BHJP
【FI】
F24F1/0063
(21)【出願番号】P 2021508513
(86)(22)【出願日】2019-03-26
(86)【国際出願番号】 JP2019013028
(87)【国際公開番号】W WO2020194557
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】我科 賢二
(72)【発明者】
【氏名】横関 誠
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 英樹
【審査官】村山 美保
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-104943(JP,A)
【文献】実開昭61-034017(JP,U)
【文献】特開平09-166335(JP,A)
【文献】実開昭57-096018(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0063
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側板を含む筐体と、
前記筐体に収容され、前記側板に対向する端部を有する熱交換器と、
前記熱交換器の前記端部を保持する保持具と、を備え、
前記熱交換器は、前記端部に設けられた第1ブラケットおよび第2ブラケットを備え、
前記保持具は、
樹脂材料で構成され、前記熱交換器の前記端部と前記側板とを連結する第1部材と、
発泡プラスチックで構成され、前記熱交換器と前記側板の間に介在するとともに、前記第1部材の少なくとも一部を覆う第2部材と、
を備え
、
前記第1部材は、前記第1ブラケットを介して前記熱交換器の荷重を受ける第1支持面を有し、
前記第2部材は、前記第1支持面と対向する第2支持面を有し、
前記第2ブラケットは、前記第2支持面に接触している、
空気調和機の室内ユニット。
【請求項2】
空気の吸込み口と吹出し口を有し、前記筐体の下面を覆うパネルを備え、
前記第1部材は、前記パネルと前記第1ブラケットの間に位置する
、
請求項1に記載の室内ユニット。
【請求項3】
前記第1部材は、前記第1支持面の反対側の裏面と、前記裏面から突出するリブと、を有し、
前記第2部材は、前記裏面の少なくとも一部および前記リブを覆っている、
請求項2に記載の室内ユニット。
【請求項4】
前記筐体は、前記熱交換器を収容する熱交換室と、送風装置を収容する送風室とを有し、
前記熱交換室および前記送風室は、前記側板に沿って並び、
前記第1支持面は、前記熱交換室に位置し、前記送風室側の一端が他端よりも前記パネルに近くなるように傾斜している、
請求項2に記載の室内ユニット。
【請求項5】
前記保持具は、前記第1部材と前記第2部材の一体成形品である、
請求項1ないし
4のうちいずれか1項に記載の室内ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気調和機の室内ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば天井埋め込み型の空気調和機においては、室内ユニットが天井裏から吊り下げられている。室内ユニットは、送風装置と、熱交換器と、これらを収容する筐体とを備えている。熱交換器は、板金によって筐体の側板に接続されている。筐体の内面には、例えば発泡スチロール製の断熱材が配置される。
【0003】
上記のような室内ユニットの構造においては、熱交換器が低温となる場合に、板金を介した伝熱や、熱交換器からの冷気が板金と断熱材との隙間から漏れることによって側板が冷やされ、側板の内外に結露が生じることがある。このような結露は、天井埋め込み型以外の空気調和機の室内ユニットにおいても生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、熱交換器を保持する部品の近傍における結露を抑制することが可能な空気調和機の室内ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る空気調和機の室内ユニットは、側板を含む筐体と、前記筐体に収容され、前記側板に対向する端部を有する熱交換器と、前記熱交換器の前記端部を保持する保持具と、を備えている。前記熱交換器は、前記端部に設けられた第1ブラケットおよび第2ブラケットを備えている。前記保持具は、樹脂材料で構成され、前記熱交換器の前記端部と前記側板とを連結する第1部材と、発泡プラスチックで構成され、前記熱交換器と前記側板の間に介在するとともに、前記第1部材の少なくとも一部を覆う第2部材と、を備えている。前記第1部材は、前記第1ブラケットを介して前記熱交換器の荷重を受ける第1支持面を有している。前記第2部材は、前記第1支持面と対向する第2支持面を有している。前記第2ブラケットは、前記第2支持面に接触している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る室内ユニットの外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、上記室内ユニットの内部を示す概略的な斜視図である。
【
図3】
図3は、上記室内ユニットの概略的な断面図である。
【
図4】
図4は、
図2に示す要素の一部を拡大して示す概略的な斜視図である。
【
図5】
図5は、上記室内ユニットが備える第1保持具の概略的な斜視図である。
【
図6】
図6は、上記第1保持具を他の角度から見た概略的な斜視図である。
【
図7】
図7は、上記第1保持具をさらに他の角度から見た概略的な斜視図である。
【
図8】
図8は、上記第1保持具とブラケットを連結した状態を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
一実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る室内ユニット1の外観を示す斜視図である。
図2は、室内ユニット1の内部を示す概略的な斜視図である。
図3は、室内ユニット1の概略的な断面図である。室内ユニット1は、例えば屋内に配置され、屋外に配置された室外ユニットと冷媒配管を介して接続される。室内ユニット1、室外ユニットおよび冷媒配管により、冷凍サイクルを備えた空気調和機が構成される。
【0009】
図1に示すように、室内ユニット1は、筐体2と、筐体2の下面を覆うパネル3とを備えている。筐体2の外周面には、複数の吊り金具2aが設けられている。これら吊り金具2aを天井裏の梁から吊り下げられた吊りボルトに連結することにより、室内ユニット1が空調対象の空間の天井に固定される。
【0010】
パネル3は、本体30と、吸込み口31と、吹出し口32とを有している。吸込み口31は、本体30に対して取り外し可能なグリル33と、グリル33の内側に配置されたフィルタ34(
図3参照)とを含む。吹出し口32は、本体30に対して開閉可能なフラップ35を含む。
図1においては、フラップ35により吹出し口32が閉じられた状態を示している。
【0011】
図2に示す内部構造は、パネル3および後述のドレンパン50を取り外して、筐体2の内部を
図1における下方から見たものに相当する。筐体2は、パネル3側(
図2における上側)が開口した箱型である。具体的には、筐体2は、天井への取り付け時には室内ユニット1の上面となる長方形の天板20と、天板20の一方の短辺に沿う第1側板21と、天板20の他方の短辺に沿う第2側板22と、天板20の一方の長辺に沿う第3側板23とを含む。
【0012】
なお、筐体2は、天板20の他方の長辺に沿う第4側板24(
図1参照)をさらに含むが、
図2においてはこの第4側板24を省略するとともに、第4側板24に沿って配置される断熱材25の一部を破断している。例えば、天板20および各側板21~24は、いずれも金属製である。断熱材25は、例えば発泡スチロールなどの発泡プラスチックで構成することができる。
【0013】
筐体2の内部には、仕切り板26が筐体2の長手方向に沿って配置されている。筐体2の内部空間は、仕切り板26によって送風室Aと熱交換室Bとに区画されている。送風室Aには、送風装置4が配置されている。熱交換室Bには、熱交換器5が配置されている。
【0014】
図3に示すように、熱交換器5とパネル3との間には、熱交換器5から滴下するドレン水を受けるドレンパン50が配置されている。ドレンパン50は、例えば発泡スチロールなどの発泡プラスチックで構成することができる。
【0015】
図2に示すように、熱交換器5と第2側板22との間には、ドレンパン50に溜ったドレン水を排出するためのドレンポンプ6等が配置されている。第2側板22には、冷媒が流れる配管を接続するための接続口51a,51bと、ドレン水を排出する配管を接続するための接続口60とが設けられている。接続口51a,51bは、熱交換器5に接続されている。接続口60は、ドレンポンプ6に接続されている。
【0016】
送風装置4は、ファンモータ40と、一対のファンユニット41a,41bと、回転軸42とを備えている。ファンユニット41a,41bは、ファンモータ40を挟んで向かい合うように配置されている。回転軸42は、ファンモータ40によって回転可能に支持されており、両端がそれぞれファンユニット41a,41bに向けて延出している。なお、送風装置4が備えるファンユニットの数は、2つに限定されない。
【0017】
図2および
図3に示すように、ファンユニット41a,41bは、回転軸42に接続された多翼ファン43と、多翼ファン43を収容するファンケース44とを備えている。ファンケース44は、吸気孔45およびノズル部46を有している。ノズル部46は、熱交換室Bに開口するとともに、熱交換器5と向かい合っている。
【0018】
図3に示すように、熱交換器5は、複数の板状のフィン52と、冷媒が流れる複数の伝熱管53とを備えている。各フィン52は、送風室A側の一端が他端よりも下方(パネル3に向かう方向)に位置するように傾斜している。複数のフィン52は、室内ユニット1の長手方向(第1側板21から第2側板22に向かう方向)に並んでいる。複数の伝熱管53は、室内ユニット1の長手方向に延びており、各フィン52を貫通している。
【0019】
各伝熱管53を含む熱交換器5の流路は、接続口51a,51bに接続されている。すなわち、接続口51a,51bの一方から供給される冷媒は、各伝熱管53を通った後、接続口51a,51bの他方へと排出される。
【0020】
送風室Aは、吸込み口31に通じている。多翼ファン43が回転すると、空気が吸込み口31を通じて送風室Aに取り込まれる。さらに、当該空気は、吸気孔45を通じて多翼ファン43の内側に吸い込まれ、ノズル部46から熱交換器5に向けて吹き出される。熱交換器5は、当該空気を冷気または暖気の熱交換空気に変える。熱交換空気は、吹出し口32を通じて空調対象の空間に送り出される。
【0021】
続いて、熱交換器5の固定構造について説明する。
図2に示すように、熱交換器5は、第1側板21側の第1端部5aと、第2側板22側の第2端部5bとを有している。第1端部5aは、熱交換器5と第1側板21との間に配置された第1保持具71によって保持されている。第2端部5bは、熱交換器5と第2側板22との間に配置された第2保持具72によって保持されている。
【0022】
図4は、
図2における熱交換器5、第1保持具71および第2保持具72を拡大して示す概略的な斜視図である。以下、説明の便宜のために、
図4中に示すようにX方向、Y方向およびZ方向を定義する。X方向は、第1端部5aから第2端部5bに向かう方向であり、熱交換器5の長手方向に相当する。Y方向は、熱交換器5の短手方向に相当する。Z方向は、熱交換器5の高さ方向に相当し、室内ユニット1を天井に取り付けた際の重力方向と一致する。
【0023】
熱交換器5は、第1端部5aから突出する第1ブラケット54および第2ブラケット55と、第2端部5bから突出する第3ブラケット56とを備えている。第1ブラケット54および第2ブラケット55は、互いに平行であるとともに、Y方向およびZ方向と交差する方向に延びている。第3ブラケット56も同様に、Y方向およびZ方向と交差する方向に延びている。
【0024】
第1保持具71と第1ブラケット54は、複数のねじS1によって連結されている。第2保持具72は、例えばL字型に曲げられた板金で構成され、X方向に延びる第1部分72aと、第2方向Yに延びる第2部分72bとを有している。第1部分72aは、例えば上述の天板20または第2側板22に連結される。第2部分72bの先端部が第3ブラケット56の裏側に曲げられており、当該先端部と第3ブラケット56とが1つまたは複数のねじS2によって連結されている。第1部分72aと第2部分72bとで形成されるスペースには、熱交換器5と接続口51a,51bとを繋ぐ配管等が配置されている。
【0025】
図5ないし
図7は、第1保持具71の概略的な斜視図である。第1保持具71は、第1部材80と、第2部材90とを備えている。各図においては、第1部材80に斜線を付している。
【0026】
第1部材80は、第2部材90よりも剛性に優れた樹脂材料で形成されている。第2部材90は、第1部材80よりも断熱性に優れた樹脂材料で形成されている。例えば、第1部材80としては、ABS樹脂やPS樹脂を用いることができる。また、第2部材90としては、発泡プラスチックの一種である発泡スチロールを用いることができる。
【0027】
第1部材80と第2部材90は、一体成形品であってもよい。この場合、例えば射出成形により第1部材80を作成した後に、当該第1部材80を第1保持具71の形状の金型に収容し、第2部材90を当該金型内で発泡成形することで第1保持具71を製造できる。第1部材80と第2部材90とが一体成形品であれば、接着剤を介さずに両者を一体化することが可能である。さらに、第1部材80と第2部材90の間に隙間が生じない。
【0028】
第2部材90は、扁平な板状の基部91を有している。基部91は、
図5に示す第1面91aと、
図7に示す第2面91bとを有している。さらに、第2部材90は、第1面91aからX方向に突出する第1凸部92および第2凸部93を有している。第1凸部92は、基部91に向けて窪んだ第1凹部92aおよび第2凹部92bを有している。
図5に示す例においては、第2凹部92bの幅が第1凹部92aの幅よりも大きい。
【0029】
第1部材80は、Y方向およびZ方向に対して傾斜したプレート部81を有している。
図5および
図7に示すように、X方向におけるプレート部81の両端は、それぞれ第2部材90から露出している。すなわち、プレート部81は、第2部材90をX方向に貫通している。
【0030】
プレート部81の基部91から突出した部分は、
図6に示す第1支持面F1と、
図5に示す裏面RFとを有している。第1支持面F1は、その大部分が第2部材90から露出している。一方、裏面RFは、第1凹部92aおよび第2凹部92bに対応する領域を除き、第1凸部92で覆われている。
【0031】
図5に示すように、第2凸部93は、第1支持面F1に対向する第2支持面F2を有している。第2支持面F2は、第1支持面F1と平行である。図示したように、第2支持面F2に複数の凹部が適宜に設けられてもよい。第1支持面F1と第2支持面F2の間には、熱交換器5の第1端部5aを挿入するための溝GRが形成される。
【0032】
プレート部81は、第1凹部92aおよび第2凹部92bに対応する領域において、複数の貫通孔82を有している。
図5および
図6の例においては、第1凹部92aに対応する領域に1つの貫通孔82が設けられ、第2凹部92bに対応する領域に2つの貫通孔82が設けられている。
【0033】
図5ないし
図7に示すように、第1部材80は、裏面RFから突出する3つの第1リブ83を有している。これら第1リブ83のX方向における両端、それぞれ第2部材90から露出している。すなわち、第1リブ83は、第2部材90(第1凸部92)をX方向に貫通している。
【0034】
図6に示すように、第1部材80は、プレート部81から突出する5つの第2リブ84をさらに有している。これら第2リブ84は、第1凸部92の内部において、X方向に延びている。なお、第2リブ84は、第1支持面F1には及んでいない。したがって、第2リブ84のX方向における長さは、第1リブ83のX方向における長さよりも短い。
【0035】
図7に示すように、第1部材80は、プレート部81から各第1リブ83とは反対方向に突出する3つの第3リブ85をさらに有している。各第3リブ85は、基部91の内部においてX方向に延びている。
【0036】
また、
図7に示すように、第1部材80は、第2面91b側に開口する3つの雌ねじ87を有している。これら雌ねじ87の周壁は、それぞれ第3リブ85と繋がっている。なお、第1ないし第3リブ83~85および雌ねじ87の数は、
図5ないし
図7に示した例に限られない。
【0037】
第1ないし第3リブ83~85により、プレート部81の強度が高められる。さらに、第1ないし第3リブ83~85により、第1部材80と第2部材90との接触面積が増えるとともに、第1部材80に加わる力が第2部材90の各所に分散される。これにより、第1部材80と第2部材90の接触面の剥がれを抑制できる。
【0038】
第1保持具71は、
図7に示す第2面91bを筐体2の第1側板21に接触させた状態で、複数のねじを第1側板21に設けられた貫通孔を通じて各雌ねじ87にねじ込むことにより、第1側板21に連結される。一方、熱交換器5は、
図5に示す第1面91a側の要素と、第1ブラケット54および第2ブラケット55とにより第1保持具71に連結される。
【0039】
図8は、第1保持具71、第1ブラケット54および第2ブラケット55を連結した状態を概略的に示す図である。
図8において各種の斜線を付した領域は、貫通孔82に対応する位置における第1部材80、第1凸部92、第2凸部93、第1ブラケット54および第2ブラケット55のY-Z断面に相当する。
【0040】
さらに、
図8においては、室内ユニット1が天井に取り付けられた状態と同様に、Z方向(重力方向)が図中の下方を向いた状態を表している。すなわち、図中右側の矢印で示す方向に送風室Aが位置し、図中下側の矢印で示す方向にパネル3が位置する。
【0041】
各支持面F1,F2および各ブラケット54,55は、いずれも送風室A側の一端が他端よりもパネル3に近くなるように傾斜している。当該送風室A側の一端に向けてドレン水が流れた場合でも、このドレン水は上述のドレンパン50によって受けられる。
【0042】
第1ブラケット54および第2ブラケット55は、第1支持面F1と第2支持面F2との間の溝GRに挿入されている。第1ブラケット54は、第1支持面F1に接触している。第2ブラケット55は、第2支持面F2に接触している。
【0043】
第1ブラケット54は、第1部材80の各貫通孔82に対応する位置に雌ねじ54aを有している。
図4にも示したねじS1は、貫通孔82を通り、雌ねじ54aにねじ込まれている。
図8の例においては、第2凹部92bに対応する2組の貫通孔82および雌ねじ54aの一方にねじS1が挿入され、他方には挿入されていない。ただし、これら2組の貫通孔82および雌ねじ54aの双方に対してねじS1がそれぞれ挿入されてもよい。
【0044】
第1支持面F1は、第1ブラケット54と下方のパネル3との間に位置している。したがって、第1支持面F1が第1ブラケット54を介して熱交換器5の荷重を受ける。また、第2ブラケット55が第2支持面F2に接触していることから、熱交換器5のY方向やZ方向へのがたつきが抑制される。
【0045】
仮に、第1保持具71に代えて板金で熱交換器5の第1端部5aと第1側板21とを連結した場合、当該板金を介した伝熱によって第1側板21が冷やされ、第1側板21の内外に結露が生じ得る。この結露水は、ドレンパン50にて受けることが難しいため、パネル3の上面に溜ったり、室内ユニット1から滴下したりする可能性がある。
【0046】
これに対し、本実施形態のように樹脂製の第1保持具71にて熱交換器5の第1端部5aを保持する場合、金属材料に比べて樹脂材料の熱伝導率が低いことから、第1側板21や第1保持具71における結露水の発生を抑制できる。
【0047】
熱交換器5の荷重は、主に剛性に優れた第1部材80によって受けられるため、熱交換器5を安定的に支持することができる。また、断熱性に優れた第2部材90が、熱交換器5と第1側板21との間に介在するとともに、第1部材80の一部を覆っている。これにより、熱交換器5からの冷気が第1側板21に伝わりにくくなり、第1側板21における結露の発生をより確実に抑制できる。
【0048】
第1部材80と第2部材90とが一体成形品であれば、両者の間に隙間が生じない。したがって、熱交換器5からの冷気をより好適に遮断することができる。上述の通り、第1部材80に第1ないし第3リブ83~85を設けることで、第1部材80の強度が高められるとともに、第1部材80と第2部材90の接触面の剥がれを抑制できる。
【0049】
なお、仮に第1部材80と第2部材90とを接着剤にて接着する場合、熱交換器5の熱伸縮に起因した力による第1部材80と第2部材90の界面の剥がれや、この剥がれに伴う異音が生じ得る。しかしながら、第1部材80と第2部材90とが一体成形品であれば、このような問題が生じにくい。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0051】
例えば、第1保持具71の構造は、熱交換器5の第1端部5aの形状や、第1端部5aに設けられるブラケットの形状に応じて、種々の態様に変形できる。
【0052】
上述の実施形態においては、熱交換器5の第2端部5bは板金の第2保持具72で保持されるとした。しかしながら、第2端部5bについても第1端部5aと同じく樹脂製の保持具にて保持されてもよい。
【0053】
上述の実施形態においては、天井埋め込み型の室内ユニットにおける熱交換器5の保持構造を開示した。この保持構造は、天井埋め込み型だけでなく、他種の室内ユニットにも適用できる。
【符号の説明】
【0054】
1…室内ユニット、2…筐体、3…パネル、4…送風装置、5…熱交換器、21~24…第1~第4側板、54…第1ブラケット、55…第2ブラケット、71…第1保持具、72…第2保持具、80…第1部材、81…プレート部、82…貫通孔、83~85…第1~第3リブ、87…雌ねじ、90…第2部材、F1…第1支持面、F2…第2支持面、RF…裏面。