(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】管理装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A01K 1/01 20060101AFI20221018BHJP
【FI】
A01K1/01 801Z
(21)【出願番号】P 2022010321
(22)【出願日】2022-01-26
【審査請求日】2022-01-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517088399
【氏名又は名称】株式会社トレッタキャッツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増山 義人
(72)【発明者】
【氏名】平畑 輝樹
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-208483(JP,A)
【文献】国際公開第2018/096749(WO,A1)
【文献】特開2021-026389(JP,A)
【文献】特開2019-170180(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0092381(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のペットの各々が排泄するスペースを形成するトイレ容器と、前記トイレ容器を支持する複数の位置に配置され、当該トイレ容器にかかる重量を計測する複数のセンサとを備えるペット用トイレを使用する複数のペットを管理する管理装置において、
前記複数のセンサによって計測された重量に基づいて、前記ペット用トイレを使用したペットの排尿量
及び体重を取得する取得する取得手段と、
前記取得された排尿量
及び体重を含むペット情報を管理する管理手段と、
前記
取得された
体重及び前記複数のペットの各々の
過去の体重に基づいて、前記ペット用トイレを使用したペットを判別することができるかを判定する判定手段と、
前記ペット用トイレを使用したペットを判別することができると判定された場合、前記
取得された
体重及び前記複数のペットの各々の
過去の体重に基づいて、当該ペット用トイレを使用したペットを判別する判別手段と
を具備し、
前記判別手段は、前記ペット用トイレを使用したペットを判別することができないと判定された場合、前記ペット用トイレに取り付けられたカメラによって撮像されたペットを含む画像に基づいて、当該ペット用トイレを使用したペットを判別し、
前記ペット情報は、前記判別されたペットを識別するための識別情報に対応づけて管理される
管理装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記複数のペットの各々の
過去の体重に有意な差があり、かつ、前記
取得された
体重に基づいて当該複数のペットのうちの1のペットを特定することができる場合に、前記ペット用トイレを使用したペットを判別することができると判定する請求項1記載の管理装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記複数のペットの各々の
過去の体重に有意な差がない場合または前記
取得された
体重に基づいて当該複数のペットのうちの1のペットを特定することができない場合に、前記ペット用トイレを使用したペットを判別することができないと判定する請求項2記載の管理装置。
【請求項4】
前記判別手段は、前記複数のペットの各々を含む画像を学習した学習済モデルであって、前記カメラによって撮像されたペットを含む画像を入力することによって当該ペットを識別するための識別情報を出力するように構築された学習済モデルを用いて、前記ペット用トイレを使用したペットを判別する請求項1~3のいずれか一項に記載の管理装置。
【請求項5】
複数のペットの各々が排泄するスペースを形成するトイレ容器と、前記トイレ容器を支持する複数の位置に配置され、当該トイレ容器にかかる重量を計測する複数のセンサとを備えるペット用トイレを使用する複数のペットを管理する管理装置が実行する方法であって、
前記複数のセンサによって計測された重量に基づいて、前記ペット用トイレを使用したペットの排尿量
及び重量を取得するステップと、
前記取得された排尿量
及び重量を含むペット情報を管理するステップと、
前記
取得された
体重及び前記複数のペットの各々の
過去の体重に基づいて、前記ペット用トイレを使用したペットを判別することができるか否かを判定するステップと、
前記ペット用トイレを使用したペットを判別することができると判定された場合、前記
取得された
体重及び前記複数のペットの各々の
過去の体重に基づいて、当該ペット用トイレを使用したペットを判別するステップと、
前記ペット用トイレを使用したペットを判別することができないと判定された場合、前記ペット用トイレに取り付けられたカメラによって撮像されたペットを含む画像に基づいて、当該ペット用トイレを使用したペットを判別するステップと
を具備し、
前記ペット情報は、前記判別されたペットを識別するための識別情報に対応づけて管理される
方法。
【請求項6】
複数のペットの各々が排泄するスペースを形成するトイレ容器と、前記トイレ容器を支持する複数の位置に配置され、当該トイレ容器にかかる重量を計測する複数のセンサとを備えるペット用トイレを使用する複数のペットを管理する管理装置のコンピュータによって実行されるプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記複数のセンサによって計測された重量に基づいて、前記ペット用トイレを使用したペットの排尿量
及び体重を取得するステップと、
前記取得された排尿量
及び体重を含むペット情報を管理するステップと、
前記
取得された
体重及び前記複数のペットの各々の
過去の体重に基づいて、前記ペット用トイレを使用したペットを判別することができるか否かを判定するステップと、
前記ペット用トイレを使用したペットを判別することができると判定された場合、前記
取得された
体重及び前記複数のペットの各々の
過去の体重に基づいて、当該ペット用トイレを使用したペットを判別するステップと、
前記ペット用トイレを使用したペットを判別することができないと判定された場合、前記ペット用トイレに取り付けられたカメラによって撮像されたペットを含む画像に基づいて、当該ペット用トイレを使用したペットを判別するステップと
を実行させ、
前記ペット情報は、前記判別されたペットを識別するための識別情報に対応づけて管理される
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、家庭内で例えば猫等のペットを飼うことが広く知られており、当該ペットの排泄物を適切に処理するためのペット専用のトイレ(以下、ペット用トイレと表記)が普及している。
【0003】
また、上記したペット用トイレにおいては、各種センサを組み込むことによって当該ペット用トイレを使用するペット(の健康状態等)を管理することが考えられている。
【0004】
しかしながら、ペット用トイレは複数のペットによって使用される場合があり、当該複数のペットを適切に管理するためには、当該ペット用トイレを使用したペットを高い精度で判別(識別)する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、ペット用トイレを使用したペットの判別精度を向上させることが可能な管理装置、方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの態様によれば、複数のペットの各々が排泄するスペースを形成するトイレ容器と、前記トイレ容器を支持する複数の位置に配置され、当該トイレ容器にかかる重量を計測する複数のセンサとを備えるペット用トイレを使用する複数のペットを管理する管理装置が提供される。前記管理装置は、前記複数のセンサによって計測された重量に基づいて、前記ペット用トイレを使用したペットの排尿量及び体重を取得する取得手段と、前記取得された排尿量及び体重を含むペット情報を管理する管理手段と、前記取得された体重及び前記複数のペットの各々の過去の体重に基づいて、前記ペット用トイレを使用したペットを判別することができるかを判定する判定手段と、前記ペット用トイレを使用したペットを判別することができると判定された場合、前記取得された体重及び前記複数のペットの各々の過去の体重に基づいて、当該ペット用トイレを使用したペットを判別する判別手段とを具備する。前記判別手段は、前記ペット用トイレを使用したペットを判別することができないと判定された場合、前記ペット用トイレに取り付けられたカメラによって撮像されたペットを含む画像に基づいて、当該ペット用トイレを使用したペットを判別する。前記ペット情報は、前記判別されたペットを識別するための識別情報に対応づけて管理される。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、ペット用トイレを使用したペットの判別精度を向上させることを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】猫が罹る腎不全のIRISステージ分類を示す図。
【
図2】本発明の実施形態に係る管理システムの構成の一例を示す図。
【
図4】ペットが入室する側から見たペット用トイレの断面を概略的に示す図。
【
図5】ペットがペット用トイレで排尿する場合に重量センサによって計測される重量の遷移を示す図。
【
図6】ペットが排尿せずに退室する場合に重量センサによって計測される重量の遷移を示す図。
【
図7】ペットがペット用トイレで排便する場合に重量センサによって計測される重量の遷移を示す図。
【
図8】管理装置のハードウェア構成の一例を示す図。
【
図10】管理装置の処理手順の一例を示すフローチャート。
【
図12】ペット情報のデータ構造の他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
一般に、猫は、泌尿器系の病気に罹ることが非常に多く、半数近くが泌尿器系疾患を経験すると言われている。また、猫の泌尿器系疾患の中で重病化しやすいものの1つが腎不全である。
【0011】
図1は、猫が罹る腎不全のIRISステージ分類を示す。
図1に示すIRISステージ分類によれば、腎不全の重症度は、血液中のクレアチニン濃度によって分類される。すなわち、腎不全の重症度(ステージ)は、血液検査を実施することによって判別可能である。
【0012】
ところで、腎不全を適切に治療するためには当該腎不全を早期に発見することが望ましいが、猫の場合、例えば犬等と比較して病院(動物病院)に行く機会が少ないため、腎不全を早期に発見することが困難である。ステージ4の段階になると「全身症状が強く出る」ため、飼い主も異常を察知しやすいが、この段階で医師による診察を受けたとしても、治療が難しい場合が多い。
【0013】
ここで、ステージ2の症状として「多飲・多尿が見られる」があり、猫をペットとして飼う場合、当該猫に多飲・多尿の症状が表れているか否かをチェックすることによって、飼い主は腎不全を早期に発見することができる可能性がある。
【0014】
また、猫が慢性腎疾患と診断される前から体重の減少という兆候が表れるという調査結果があり、猫の体重をチェックすることも腎不全の早期発見に有用である。
【0015】
しかしながら、猫に多飲・多尿の症状や体重の減少という兆候が表れているか否かを飼い主が日常の中でチェックすることは困難である。
【0016】
そこで、本実施形態における管理システムは、上記した猫のようなペットの飼い主が当該ペット(の健康状態等)を管理するために利用される。
【0017】
以下、本実施形態における管理システムについて詳細に説明する。
図2は、本実施形態における管理システムの構成の一例を示す。
【0018】
図2に示す管理システムは、主として、センサ装置10、管理装置20及びユーザ端末30を備える。なお、センサ装置10及びユーザ端末30は、例えばインターネットのようなネットワーク40を介して管理装置20と通信可能に接続されている。また、
図2においては、便宜的にセンサ装置10及びユーザ端末30が1つずつ示されているが、管理システムは、当該センサ装置10及びユーザ端末30を複数備えていても構わない。
【0019】
センサ装置10は、ペットが使用するペット用トイレに組み込まれている。センサ装置10は、上記したペット(例えば、猫)の排尿量や体重を取得するために用いられる。
【0020】
管理装置20は、サーバ装置として動作する電子機器(情報処理装置)であって、ペット用トイレを使用する複数のペットを管理する機能を有する。詳細については後述するが、管理装置20は、センサ装置10を用いて当該センサ装置10が組み込まれているペット用トイレを使用する複数のペットの各々に関する情報(以下、ペット情報と表記)を生成し、当該ペット情報を管理する。なお、管理装置20は、例えばクラウドコンピューティングサービスを提供するサーバ装置等であってもよい。
【0021】
ユーザ端末30は、上記したセンサ装置10が組み込まれているペット用トイレを使用するペットの飼い主(以下、ユーザと表記)によって使用される電子機器である。ユーザ端末30は、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン及びタブレットコンピュータ等を含む。
【0022】
ここで、
図3は、互いに直交するX方向、Y方向及びZ方向によって規定されている3次元空間に配置されたペット用トイレの外観の一例を示す。
図3においては、ペット用トイレ100が例えば猫用に開発された多層式全自動トイレである例を示している。
【0023】
図3に示すように、ペット用トイレ100は、上層トイレ容器101、下層トイレ容器102及び尿回収トレイ103を備える。
【0024】
上層トイレ容器101は、ペットが排尿するスペースを形成するものであり、底面に例えばすのこが配置されている。ここでは上層トイレ容器101の底面にすのこが配置されているものとして説明したが、当該上層トイレ容器101の底面は、ペットが排泄した尿が通過するように形成されていればよい。ペット用トイレ100を使用するペットが猫である場合には、上層トイレ容器101の底面(すのこ)の上には例えばねこ砂が敷き詰められる。
【0025】
下層トイレ容器102は、上層トイレ容器101の下方に配置され、当該上層トイレ容器101を支持するように構成されている。
【0026】
尿回収トレイ103は、上層トイレ容器101と重畳する位置に配置される。また、下層トイレ容器102の下部には切り欠き加工が施されており、尿回収トレイ103は、当該切り欠き部から引き出すことが可能である。この尿回収トレイ103には、例えば吸水及び防臭効果のあるペット用シート等を敷くことができる。
【0027】
図3に示すペット用トイレ100は、上記した上層トイレ容器101、下層トイレ容器102及び尿回収トレイ103を重ねた状態で使用される。このようなペット用トイレ100においてペットが排尿した場合、当該ペットの尿は、上層トイレ容器101の底面(すのこ)を通過し、尿回収トレイ103で回収される。これによれば、ペットの飼い主(ユーザ)は、尿回収トレイ103を下層トイレ容器102の切り欠き部から引き出すことによってペットの尿を容易に清掃することが可能である。
【0028】
なお、上層トイレ容器101には、
図3に示すように更にカバー部材104が取り付けられてもよい。
【0029】
更に、本実施形態において、ペット用トイレ100は、下層トイレ容器102及び尿回収トレイ103の下部にセンサプレート105を備える。センサプレート105には、重量センサ11が設けられている。
【0030】
図3に示す例では、センサプレート105は下層トイレ容器102の形状に合わせて略矩形形状を有しているが、重量センサ11は、当該センサプレート105の四隅に配置された4つのセンサ11a~11dによって構成されている。本実施形態においては、この重量センサ11を用いて上記したペットの排尿量及び体重を取得する。
【0031】
なお、
図3に示すように、ペット用トイレ100には、例えばカメラ(撮像装置)12が取り付け可能である。
図3に示す例では、カメラ12は、カバー部材104に取り付けられるが、ペット用トイレ100を使用するペットの様子を撮像することが可能な位置であれば、他の位置に取り付けられてもよい。
【0032】
上記した重量センサ11及びカメラ12は、ペット用トイレ100に組み込まれるセンサ装置10を構成する。また、
図3においては省略されているが、センサ装置10は、重量センサ11及びカメラ12以外に、例えばCPU、メモリ及び無線通信デバイス等を備えているものとする。
【0033】
以下、
図4及び
図5を参照して、
図3に示すペット用トイレ100を使用するペットの排尿量及び体重を取得する原理を説明する。なお、本実施形態においては、ペットがペット用トイレ100の使用を開始する(つまり、ペット用トイレ100に入る)ことをペットが入室すると称し、当該ペットがペット用トイレ100の使用を終了する(つまり、ペット用トイレ100から出る)ことをペットが退室すると称する。
【0034】
図4は、ペットが入室する側から見たペット用トイレ100の断面を概略的に示している。なお、
図4においては、上記した上層トイレ容器101及びカバー部材104については省略されている。
【0035】
図4に示すように、重量センサ11は、トイレ本体の重量を計測することができるように構成されている。なお、トイレ本体とは、上層トイレ容器101、下層トイレ容器102及びカバー部材104等を含み、尿回収トレイ103は含まれないものとする。すなわち、本実施形態において、重量センサ11は、尿回収トレイ103の重量を計測しないように構成されている。なお、重量センサ11は、上記したトイレ本体の重量を常時監視(計測)することができるものとする。
【0036】
ここで、
図5は、ペットがペット用トイレ100で排尿する場合に重量センサ11によって計測される重量の遷移を示している。なお、本実施形態において、重量センサ11によって計測される重量とは、当該重量センサ11を構成するセンサ11a~11dの各々によって計測された重量の合計値に相当する。
【0037】
図5においては、重量センサ11によって計測される重量と基準値との差分が示されている。基準値とは、ペットが入室していないときに重量センサ11によって計測される重量(つまり、トイレ本体の重量)をいう。以下の
図6及び
図7においても同様である。
【0038】
図5に示すように、ペットが入室した場合には、重量センサ11によって計測される重量は当該ペットの体重に応じて増加する。
【0039】
入室したペットが排尿した場合、当該ペットの尿は上記したように尿回収トレイ103において回収される。本実施形態において、重量センサ11は尿回収トレイ103(及び当該尿回収トレイ103において回収された尿)の重量を計測しないため、当該重量センサ11によって計測される重量は、ペットの体内から排泄された尿の量(つまり、排尿量)に応じて減少する。すなわち、本実施形態においては、このような重量センサ11によって計測される重量の減少量を監視することによって、ペットの排尿量を得ることができる。
【0040】
また、上記したペットの排尿後に重量センサ11によって計測される重量(基準値との差分)は、当該ペットの体重として得ることができる。
【0041】
なお、ペットは入室した場合であっても排尿せずに退室する場合がある。
図6は、このような場合に重量センサ11によって計測される重量の遷移(変化)を示している。この場合には、ペットが入室した後に重量センサ11によって計測される重量(基準値との差分)をペットの体重として得ることができる。すなわち、ペットが入室してから退室するまでの期間において重量センサ11によって計測される重量に変化がない場合には、当該ペットが排尿せずに退室したと判別することができる。
【0042】
ここではペット用トイレ100(重量センサ11)を用いてペットの排尿量及び体重を取得する場合について説明したが、当該ペットの健康状態を把握するためには、当該ペットの排便量を取得することも有用である。
【0043】
以下、
図7を参照して、ペットの排便量を取得する原理を説明する。
図7は、ペットがペット用トイレ100で排便する場合に重量センサ11によって計測される重量の遷移(変化)を示している。
【0044】
例えば
図3及び
図4において説明したペット用トイレ100においてペットが排便した場合、当該ペットによって排泄された便は、尿とは異なり、上層トイレ容器101上に残ることになる。このため、ペットが退室していない状態において重量センサ11によって計測される重量は、排便前と排便後とで変化しない。しかしながら、ペットが退室した場合には、上層トイレ容器101上にペットが排泄した便のみが残っている状態となるため、この時点で重量センサ11によって計測される重量(と基準値との差分)を排便量として得ることができる。なお、この場合におけるペットの体重は、ペットが入室している間に重量センサ11によって計測された重量から上記したように得られる排便量を減算した値に相当する。
【0045】
上記したペット用トイレ100によれば、重量センサ11を用いることによって、当該ペット用トイレ100を使用するペットの排泄量(排尿量及び排便量)及び体重を取得することができる。
【0046】
なお、本実施形態においては、上記したように重量センサ11を用いてペットの排泄量及び体重を取得するものとして説明するが、センサ装置10が他のセンサを備え、当該他のセンサを用いてペットの排泄量及び体重や当該ペットを管理するためのその他の情報を取得するようにしてもよい。
【0047】
図8は、管理装置20のハードウェア構成の一例を示す。
図8に示すように、管理装置20は、バス21に接続された、不揮発性メモリ22、CPU23、メインメモリ24及び無線通信デバイス25等を備える。
【0048】
不揮発性メモリ22は、各種プログラムを格納する。不揮発性メモリ22に格納されている各種プログラムには、例えばオペレーティングシステム(OS)及び上記したペット(ペット情報)を管理する機能を実現するためのプログラム(以下、管理プログラムと表記)等が含まれる。
【0049】
CPU23は、例えば不揮発性メモリ22に格納されている各種プログラムを実行する。なお、CPU23は、管理装置20全体の制御を司るものである。
【0050】
メインメモリ24は、例えばCPU23が各種プログラムを実行する際に必要とされるワークエリア等として使用される。
【0051】
無線通信デバイス25は、上記したセンサ装置10及びユーザ端末30との無線通信を実行する機能を有する。
【0052】
なお、
図8においては、不揮発性メモリ22及びメインメモリ24のみが示されているが、管理装置20は、HDD(Hard Disk Drive)及びSSD(Solid State Drive)等の他の記憶装置を備えていてもよい。
【0053】
図9は、管理装置20の機能構成の一例を示すブロック図である。
図9に示すように、管理装置20は、受信部201、管理部202、ペット情報格納部203、判別部204及び送信部205を含む。
【0054】
本実施形態において、受信部201、管理部202、判別部204及び送信部205の一部または全ては、例えば
図8に示すCPU23(つまり、管理装置20のコンピュータ)が不揮発性メモリ22に格納されている管理プログラムを実行すること、すなわち、ソフトウェアによって実現されるものとする。なお、この管理プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に予め格納して頒布可能である。また、この管理プログラムは、例えばネットワーク40を介して管理装置20にダウンロードされても構わない。
【0055】
ここでは、各部201、202、204及び205がソフトウェアによって実現されるものとして説明したが、当該各部201、202、204及び205は、例えばハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェア及びハードウェアの組み合わせによって実現されてもよい。
【0056】
また、本実施形態において、ペット情報格納部203は、例えば
図8に示す不揮発性メモリ22または他の記憶装置等によって実現される。
【0057】
上記したセンサ装置10(ペット用トイレ100)は、ペットがペット用トイレ100を使用している間に当該センサ装置10が備える重量センサ11によって計測された重量(つまり、ペット用トイレ100において計測された重量)を含むセンサ情報を管理装置20に送信する。同様に、センサ装置10(ペット用トイレ100)は、ペットがペット用トイレ100を使用している間に当該センサ装置10が備えるカメラ12によって撮像された画像(例えば、動画像)を管理装置20に送信する。
【0058】
受信部201は、上記したようにセンサ装置10から送信されたセンサ情報及び画像を受信する。
【0059】
管理部202は、受信部201によって受信されたセンサ情報に基づいて、ペット用トイレ100を使用したペットの排泄量及び体重を取得(算出)し、当該排泄量及び体重と受信部201によって受信された画像とを含むペット情報を生成する。このように管理部202によって生成されたペット情報は、ペット情報格納部203に格納され、当該管理部202によって管理される。
【0060】
ここで、ユーザが複数のペットを飼っているものとすると、1つのペット用トイレ100を当該複数のペットで共有する場合がある。このような場合において複数のペットに関するペット情報を適切に管理するためには、ペット用トイレ100の使用(つまり、センサ装置10から送信されるセンサ情報及び画像)毎に、当該複数のペットのうちの当該ペット用トイレ100を使用したペットを判別(識別)する(つまり、ペット毎にペット情報を管理する)必要がある。この場合、上記した受信部201によって受信された画像(つまり、ペット用トイレ100に取り付けられているカメラ12によって撮像されたペットの画像)に基づいてペット用トイレ100を使用したペットを判別することが考えられる。
【0061】
このような構成によれば、例えばペット用トイレ100を使用したペットを判別するために当該ペットにRFタグ(が内蔵された首輪)等を装着する場合と比較して、ペットにストレスを与えることなく、当該ペットを判別することができる。
【0062】
しかしながら、例えばペットが黒色の猫等である場合には当該ペットを含む画像に基づいて当該ペットを判別することが困難な場合があり、画像を用いたペットの判別精度には限界があることが考えられる。
【0063】
そこで、本実施形態において、判別部204は、上記した画像を用いてペットを判別する処理(画像に基づく判別処理)に加えて、センサ情報に基づいて取得される体重を用いてペットを判別する処理(体重に基づく判別処理)を実行することによって、ペット用トイレ100を使用したペットを判別するものとする。
【0064】
なお、判別部204によって実行される処理の詳細については後述するが、当該判別部204によってペット用トイレ100を使用したペットが判別された場合には、上記したペット情報を当該判別されたペットを識別するための識別情報(以下、ペットIDと表記)に対応づけて管理する(つまり、ペット情報格納部203に格納する)ことができる。
【0065】
送信部205は、管理部202によって管理されているペット情報を例えばユーザ端末30に送信する。このように送信部205によって送信されたペット情報は、ユーザが確認可能な態様でユーザ端末30に表示される。
【0066】
以下、
図10のフローチャートを参照して、管理装置20の処理手順の一例について説明する。
【0067】
まず、上記した複数のペットのうちの1匹のペット(以下、対象ペットと表記)がペット用トイレ100を使用する場合、当該ペット用トイレ100に組み込まれているセンサ装置10(重量センサ11)によって計測される重量は、当該対象ペットの入室に応じて変化する。これによれば、センサ装置10は、重量センサ11によって計測される重量に基づいて対象ペットが入室したこと(つまり、ペット用トイレ100の使用を開始したこと)を検知することができる。
【0068】
同様に、重量センサ11によって計測される重量は、対象ペットの退室に応じて変化する。このため、センサ装置10は、重量センサ11によって計測される重量に基づいて対象ペットが退室したこと(つまり、ペット用トイレ100の使用を終了したこと)を検知することができる。
【0069】
この場合、センサ装置10は、対象ペットが入室してから退室するまでの間に重量センサ11によって継続的に計測された重量を含むセンサ情報を管理装置20に送信する。なお、センサ情報には、対象ペットが入室したことが検知された日時(以下、入室日時と表記)及び当該対象ペットが退室したことが検知された日時(以下、退室日時と表記)が付されているものとする。
【0070】
なお、この時点では上記した複数のペットのうちのいずれかのペットによる入退室が検知されるのみであって、いずれのペットが入室したかは不明であるため、上記したセンサ情報には当該対象ペットを識別するためのペットIDのような情報は付されていない。
【0071】
また、センサ装置10は、ペットがペット用トイレ100に入室した場合に例えばカメラ12の電源をオンし、当該ペットがペット用トイレ100から退室した場合に当該カメラ12の電源をオフする。これによれば、カメラ12は、ペット用トイレ100を使用している間のペットの様子を含む動画像を撮像することができる。この場合、センサ装置10は、カメラ12によって撮像された動画像を管理装置20に送信する。ここではカメラ12が動画像を撮像するものとして説明したが、当該カメラ12は静止画像を撮像してもよい。
【0072】
受信部201は、上記したようにセンサ装置10から送信されたセンサ情報及び動画像を受信する(ステップS1)。
【0073】
次に、管理部202は、ステップS1において受信されたセンサ情報及び動画像に基づいて、対象ペットに関するペット情報を生成する(ステップS2)。
【0074】
ステップS2において、管理部202は、ステップS1において受信されたセンサ情報に付加されている入室日時及び退室日時を取得する。また、管理部202は、ステップS1において受信されたセンサ情報に基づいて、ペットの排泄量(排尿量または排便量)及び体重を取得する。具体的には、ステップS1において受信されたセンサ情報には重量センサ11によって継続的に計測された重量が含まれているところ、管理部202は、当該重量(の遷移)に基づいて、上記した
図5~
図7において説明したように対象ペットの排泄量(排尿量または排便量)及び体重を取得することができる。これにより、管理部202は、例えば入室日時、退室日時、排泄量、体重及び動画像を含むペット情報を生成する。
【0075】
なお、本実施形態においては重量センサ11によって計測された重量(つまり、センサ11a~11dの各々によって計測された重量の合計値)がセンサ情報に含まれている場合を想定しているが、当該センサ情報には、センサ11a~11dの各々によって計測された重量(つまり、センサ毎の重量)が含まれていてもよい。この場合、管理部202は、センサ情報に含まれるセンサ毎の重量の合計値を算出し、当該算出された合計値に基づいて排泄量及び体重を取得すればよい。
【0076】
次に、判別部204は、ペット用トイレ100を使用する可能性がある複数のペット(以下、候補ペットと表記)の各々の体重を取得する(ステップS3)。この場合、複数の候補ペットに含まれる例えば第1候補ペットの体重は、当該第1候補ペットを識別するためのペットIDを含むペット情報であって、入室日時(または退室日時)が直近のペット情報から取得される。同様に、複数の候補ペットに含まれる例えば第2候補ペットの体重は、当該第2候補ペットを識別するためのペットIDを含むペット情報であって、入室日時(または退室日時)が直近のペット情報から取得される。すなわち、ステップS3においては、例えば既にペット情報格納部203に格納されているペット情報から複数の候補ペットの各々の体重(つまり、直近の体重)を取得することができる。
【0077】
ここではペット情報格納部203に格納されているペット情報から複数の候補ペットの各々の体重を取得するものとして説明したが、当該複数の候補ペットの各々の体重は、例えばユーザが管理システム(によって提供されるサービス)の利用を開始する際に当該ユーザによって予め登録されていてもよい。
【0078】
ステップS3の処理が実行されると、判別部204は、ステップS2においてペット情報を生成する際にセンサ情報に基づいて取得された体重(以下、対象ペットの体重と表記)及びステップS3において取得された複数の候補ペットの各々の体重に基づいて、対象ペットを判別することができる(つまり、対象ペットが判別可能である)か否かを判定する(ステップS4)。
【0079】
なお、ステップS4の処理は、複数の候補ペットの中から、対象ペットとの体重の差分が一定の範囲内となる1の候補ペットを特定することができるか否かという観点に基づいて実行される。
【0080】
具体的には、例えば複数の候補ペットが第1及び第2候補ペットであって、当該第1候補ペットの体重が2kgであり、当該第2候補ペットの体重が4kgであるものとすると、対象ペットの体重が概ね2kgであれば、対象ペットの体重との差分が一定の範囲内となる1の候補ペットとして第1候補ペットを特定することができる。この場合、第1候補ペットが対象ペットであると判別することができるといえる。また、対象ペットの体重が4kgであれば、対象ペットの体重との差分が一定の範囲内となる1の候補ペットとして第2候補ペットを特定することができるといえる。このような場合には、対象ペットを判別することができると判定される。
【0081】
一方、例えば第1候補ペットの体重が2kgであり、当該第2候補ペットの体重が2.5kgあり、対象ペットの体重が2kg~2.5kgの間であるものとすると、第1候補ペットの体重と対象ペットの体重との差分も第2候補ペットの体重と対象ペットの体重との差分も両方とも一定の範囲内にあるといえる。このように第1候補ペットの体重と第2候補ペットの体重との間に当該第1候補ペットと第2候補ペットとを区別することができる程度の差異がない場合には、対象ペットとの体重の差分が一定の範囲内となる1の候補ペットを特定することができないため、対象ペットを判別することができないと判定されるのが妥当である。
【0082】
すなわち、本実施形態においては、ペット用トイレ100を使用する可能性がある複数の候補ペットの各々の体重に対象ペットを判別することができる程度の有意な差異があり、かつ、対象ペットの体重に基づいて複数の候補ペットのうちの1の候補ペットを特定することができる場合に、対象ペットを判別することができると判定される。
【0083】
一方、ペット用トイレ100を使用する可能性がある複数の候補ペットの各々の体重に有意な差がない場合または対象ペットの体重に基づいて複数の候補ペットのうちの1の候補ペットを特定することができない場合には、対象ペットを判別することができないと判定される。
【0084】
対象ペットを判別することができると判定された場合(ステップS4のYES)、判別部204は、上記した対象ペットの体重及び複数の候補ペットの各々の体重に基づいて当該対象ペットを判別する(ステップS5)。この場合、判別部204は、対象ペットの判別結果として、上記したように対象ペットの体重に基づいて特定された1の候補ペットを識別するためのペットID(以下、対象ペットIDと表記)を取得する。
【0085】
なお、上記した複数の候補ペットの各々を識別するためのペットIDは、予め管理装置20において管理されているものとする。換言すれば、ペット用トイレ100を使用する可能性のある複数の候補ペットの各々には、予めペットIDが割り当てられている(登録されている)ものとする。
【0086】
一方、対象ペットを判別することができないと判定された場合(ステップS4のNO)、判別部204は、ステップS1において受信された画像に基づいて対象ペットを判別する(ステップS6)。
【0087】
なお、ステップS6においては、例えば複数の候補ペットの各々を含む画像と当該候補ペットを識別するためのペットIDとの対応関係を学習した学習済モデルを用いた判別処理が実行されるものとする。この場合、学習済モデルは、例えば機械学習または人工知能(AI:Artificial Intelligence)と称される技術に基づくアルゴリズムを用いて生成され得る。このような学習済モデルは例えばペットを含む画像を入力することによって当該ペットを識別するためのペットIDを出力(推定)するように構築され、判別部204は、対象ペットを含む画像(例えば、動画像)を入力した当該学習モデルから出力されるペットIDを、対象ペットの判別結果(つまり、対象ペットID)として取得することができる。
【0088】
ステップS5またはS6の処理が実行されると、管理部202は、当該ステップS5またはS6における対象ペットの判別結果として取得された対象ペットID(つまり、判別部204によって判別された対象ペットを識別するためのペットID)に対応づけてステップS2において生成されたペット情報をペット情報格納部203に格納(登録)する(ステップS7)。
【0089】
このようにペット情報格納部203に格納されたペット情報は、例えばユーザ端末30(を使用するユーザ)からの要求等に応じて、当該ユーザ端末30に送信することができる。
【0090】
ここで、
図11は、ステップS7においてペット情報格納部203に格納されたペット情報のデータ構造の一例を示す。
【0091】
図11に示す例では、ペット情報は、ペットID「01」に対応づけてペット情報格納部203に格納され、例えば入室日時「2021/12/01 8:10」、退室日時「2021/12/01 8:15」、排泄量「100(g)」、体重「3.25(kg)」及び動画像「動画像1」を含む。
【0092】
図11に示すペット情報によれば、ペットID「01」によって識別されるペットが2021年12月1日の8時10分に入室し、2021年12月1日の8時15分に退室したことが示されている。また、
図11に示すペット情報によれば、ペットID「01」によって識別されるペットの排泄量(例えば、排尿量)が100gであり、当該ペットの体重が3.25kgであることが示されている。更に、
図11に示すペット情報によれば、ペットID「01」によって識別されるペットがペット用トイレ100を使用している間に撮像された動画像(ファイル)が動画像1であることが示されている。
【0093】
ここではペット情報が入室日時、退室日時、排泄量、体重及び動画像を含むものとして説明したが、当該ペット情報においては、例えばこれらのうちの少なくとも1つが省略されてもよいし、これら以外の情報(例えば、ペット用トイレ100に滞在した時間等)が更に含まれていてもよい。また、ペット情報に含まれる排泄量は、排尿量と排便量とに分けられていてもよい。
【0094】
また、ここでは1つのペット情報がペット情報格納部203に格納される場合について説明したが、上記した
図10に示す処理は複数のペットの各々がペット用トイレ100を使用する度に実行され、当該処理が実行される度にペット情報がペット情報格納部203に蓄積される。
【0095】
また、
図11に示すペット情報はペット用トイレ100の1回の使用に関するペット情報(1回当たりのペット情報)であるが、ペット情報格納部203には、例えばペット用トイレ100の1日の使用に関するペット情報(1日当たりのペット情報)が格納されてもよい。詳しい説明については省略するが、1日当たりのペット情報は、例えば
図12に示すように日付、当該日付に対応する1日の間の排泄量(合計排尿量及び合計排便量)、当該1日の間の最新の体重、当該1日の間の排泄回数(排尿回数及び排便回数)、当該1日の間のペット用トイレ100の使用回数(入室回数)、当該1日の間でペット用トイレ100に滞在した時間(滞在時間)の合計値及び当該1日のうちのペット用トイレ100の使用間隔の最大値(経過時間)等を含む。この1日当たりのペット情報は、例えば1日分蓄積されたセンサ情報に基づいて生成することができる。
【0096】
なお、本実施形態においては、上記した1回当たりのペット情報及び1日当たりのペット情報の両方が管理装置20(管理部202)において管理される構成であってもよい。
【0097】
また、
図11及び
図12においては省略されているが、管理装置20が複数のユーザのペット(に関するペット情報)を管理する場合には、ペット情報は、当該ペットの飼い主であるユーザを識別するためのユーザIDに対応づけて管理されるものとする。
【0098】
上記したように本実施形態においては、ペット用トイレ100において計測された重量(つまり、センサ装置10が備える重量センサ11によって計測された重量)に基づいて対象ペット(当該ペット用トイレ100を使用したペット)の体重を取得し、当該取得された対象ペットの体重及びペット用トイレ100を使用する可能性がある複数の候補ペットの各々の体重に基づいて、当該対象ペットを判別することができるか否かを判定する。本実施形態においては、対象ペットを判別することができると判定された場合、当該対象ペットの体重及び複数の候補ペットの体重に基づいて当該対象ペットが判別される。一方、対象ペットを判別することができないと判定された場合、ペット用トイレ100に取り付けられたカメラ12によって撮像されたペットを含む画像(動画像または静止画像)に基づいて当該対象ペットが判別される。
【0099】
本実施形態においては、このような構成により、ペット用トイレ100を使用したペットの判別精度を向上させることができる。
【0100】
具体的には、画像に基づく判別処理が実行される場合、ペットの形態(例えば、色等)及び当該ペットの姿勢(例えば、向き等)によっては対象ペットの判別精度の低下が懸念されるが、本実施形態によれば、このような画像に基づく判別処理における判別精度の低下を体重に基づく判別処理によってカバーすることが可能である。
【0101】
同様に、体重に基づく判別処理が実行される場合、例えば複数の候補ペットの体重(の差異)によっては対象ペットを判別することができない場合があるが、本実施形態においては、体重に基づいて対象ペットを判別することができない場合であっても、画像に基づく判別処理によって対象ペットを判別することができる可能性がある。
【0102】
上記したようにペット用トイレ100に設けられる重量センサ11によって計測される重量はペットの排泄量及び体重を取得するために有用であるが、本実施形態においては、当該体重を対象ペットの判別処理にも利用し、体重に基づく判別処理及び画像に基づく判別処理を合わせ込むことにより、高い判別精度を実現することができる。
【0103】
なお、本実施形態においては、例えば複数の候補ペットの各々の体重に有意な差があり、対象ペットの体重に基づいて当該複数の候補ペットのうちの1の候補ペットを特定することができる場合に、対象ペットを判別することができると判定される。一方、複数の候補ペットの各々の過去の体重に有意な差がない場合または対象ペットの体重に基づいて当該複数の候補ペットのうちの1の候補ペットを特定することができない場合に、対象ペットを判別することができないと判定される。
【0104】
このような構成によれば、例えば対象ペットを判別することができると判定された場合には、上記した画像に基づく判別処理を実行する必要がないため、管理装置20(判別部204)の処理量を低減することができる。また、例えば複数の候補ペットの各々の体重に有意な差がない場合には、対象ペットを判別することができないと判定されるため、画像に基づく判別処理の必要性を簡易な処理(低い処理負荷)で判定することができる。
【0105】
なお、本実施形態の画像に基づく判別処理においては、複数の候補ペットの各々を含む画像を学習した学習済モデルであって、カメラ12によって撮像された対象ペットを含む画像を入力することによって当該対象ペットを識別するためのペットID(識別情報)を出力するように構築された学習済モデルを用いて、対象ペットを判別するものとして説明したが、本実施形態は体重に基づく判別処理及び画像に基づく判別処理を組み合わせることによって判別精度を向上させる構成であればよく、当該画像に基づく判別処理は、例えば予め用意された複数の候補ペットの各々を含む画像とカメラ12によって撮像された対象ペットを含む画像とを比較することによって計算される一致度に基づいて対象ペットを判別するような処理(つまり、学習モデルを用いない処理)であってもよい。
【0106】
また、本実施形態においては、体重に基づく判別処理によって対象ペットを判別することができない場合には画像に基づく判別処理が実行されるが、当該体重に基づいて当該対象ペットである可能性がある候補ペットを絞ることができるようであれば、当該絞られた候補ペットの中から対象ペットを判別するようにしてもよい。具体的には、例えば第1候補ペット及び第2候補ペットの体重が2kgであり、第3候補ペットの体重が4kgであり、対象ペットの体重が概ね2kgであるような場合には、対象ペットは第3候補ペットではないと考えられる(つまり、対象ペットの候補を第1候補ペット及び第2候補ペットに絞ることができる)。このような場合には、画像に基づく判別処理を第1及び第2候補ペットを対象として実行することによって、管理装置20の処理量を低減することが可能となる。
【0107】
また、本実施形態においてはペットを管理するために有用な情報としてペット情報に画像(例えば、動画像)が含まれるものとして説明したが、当該ペット情報に画像が含まれない(つまり、画像が対象ペットの判別のみに用いられる)場合には、体重に基づく判別処理によって対象ペットを判別することができないと判定された時点(つまり、画像に基づく判別処理が実行される時点)で当該画像をセンサ装置10から受信する構成としてもよい。このような構成によれば、体重に基づく判別処理によって対象ペットを判別することができる場合には、センサ装置10及び管理装置20間の通信量(通信負荷)を低減することができる。このような構成は、例えば多数のユーザが管理システムを利用する(つまり、管理装置20に多数のセンサ装置10が接続される)ような場合に有用であるといえる。
【0108】
なお、上記した実施形態に記載した手法は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD-ROM、DVD等)光磁気ディスク(MO)、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して頒布することもできる。
【0109】
また、この記憶媒体としては、プログラムを記憶でき、かつコンピュータが読み取り可能な記憶媒体であれば、その記憶形式は何れの形態であってもよい。
【0110】
また、記憶媒体からコンピュータにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)や、データベース管理ソフト、ネットワークソフト等のMW(ミドルウェア)等が本実施形態を実現するための各処理の一部を実行してもよい。
【0111】
更に、本発明における記憶媒体は、コンピュータと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝送されたプログラムをダウンロードして記憶または一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0112】
また、記憶媒体は1つに限らず、複数の媒体から本実施形態における処理が実行される場合も本発明における記憶媒体に含まれ、媒体構成は何れの構成であってもよい。
【0113】
なお、本発明におけるコンピュータは、記憶媒体に記憶されたプログラムに基づき、本実施形態における各処理を実行するものであって、パソコン等の1つからなる装置、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等の何れの構成であってもよい。
【0114】
また、本発明におけるコンピュータとは、パソコンに限らず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって本発明の機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
【0115】
なお、本願発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組合せてもよい。
【符号の説明】
【0116】
10…センサ装置、11…重量センサ、11a~11d…センサ、12…カメラ、20…管理装置、21…バス、22…不揮発性メモリ、23…CPU、24…メインメモリ、25…無線通信デバイス、30…ユーザ端末、100…ペット用トイレ、101…上層トイレ容器、102…下層トイレ容器、103…尿回収トレイ、104…カバー部材、105…センサプレート、201…受信部、202…管理部、203…ペット情報格納部、204…判別部、205…送信部。
【要約】
【課題】ペット用トイレを使用したペットの判別精度を向上させることを可能とする。
【解決手段】ペット用トイレを使用する複数のペットを管理する管理装置は、ペット用トイレにおいて計測された重量に基づいて当該ペット用トイレを使用したペットの体重を取得し、取得された体重及び複数のペットの各々の体重に基づいて、ペット用トイレを使用したペットを判別することができるかを判定する。管理装置は、ペット用トイレを使用したペットを判別することができると判定された場合、取得された体重及び複数のペットの各々の体重に基づいて、当該ペット用トイレを使用したペットを判別する。管理装置は、ペット用トイレを使用したペットを判別することができないと判定された場合、ペット用トイレに取り付けられたカメラによって撮像されたペットを含む画像に基づいて、当該ペット用トイレを使用したペットを判別する。
【選択図】
図10