(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】訓練装置
(51)【国際特許分類】
A61H 1/02 20060101AFI20221018BHJP
【FI】
A61H1/02 N
(21)【出願番号】P 2022034528
(22)【出願日】2022-03-07
【審査請求日】2022-07-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503102663
【氏名又は名称】株式会社トップラン
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】小野 哲夫
【審査官】今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-018159(JP,U)
【文献】特開2007-268140(JP,A)
【文献】特開2013-236759(JP,A)
【文献】特開昭61-149176(JP,A)
【文献】特開2018-068463(JP,A)
【文献】特開2014-14493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 1/00- 1/02
A63B 23/04-23/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の肢体の一の位置が載置される支持台と、前記一の位置から延びる前記肢体の他の位置が載置され、揺動する揺動部と、前記支持台の載置面から延びる水平方向を基準としてプラス方向とマイナス方向との間で前記揺動部を往復運動させる駆動部とを備え
、
前記揺動部は、前記肢体の他の位置が載置される搭載部と、前記搭載部が先端部に設けられ、基端部が駆動部により駆動される棒状の腕部と、前記腕部の先端部と基端部との間で前記腕部を揺動自在に支持する支点部とを備えた訓練装置。
【請求項2】
前記支持台および前記搭載部は、前記腕部を中心として両側に配置可能である請求項
1記載の訓練装置。
【請求項3】
前記腕部は、伸縮可能に形成された請求項
2記載の訓練装置。
【請求項4】
前記支点部は、前記腕部の先端部と基端部との間の複数箇所に設定可能に設けられた請求項
1記載の訓練装置。
【請求項5】
前記駆動部は、回転駆動するモーターと、前記モーターにより軸回転して、円周面により前記腕部の基端部を押圧する偏心カムとを備えた請求項
1から
4のいずれかの項に記載の訓練装置。
【請求項6】
前記腕部の基端部を前記偏心カムの方向に付勢する弾性部材が設けられた請求項
5記載の訓練装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の運動機能の回復に使用される訓練装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
股関節、膝関節、足関節等の下肢関節疾患を罹患するに伴い、関節部の可動に制限が起こり拘縮または、関節症へと繋がってしまうことが知られている。そのため関節部の可動制限を抑制するためには関節可動運動を実施し、関節包内の関節液の分泌・浸潤を行うことが望ましいが、可動制限が顕現すると、関節液の分泌・関節軟骨への浸潤がうまく働かず、その可動範囲は狭小化してしまう。
【0003】
関節部に負荷をかけずに可動訓練を実施することは、医療現場でも推奨されており関節の改善、修復、関節周囲筋の弛緩、弛緩による疼痛除去等が報告されている。自力で行う踵挙げ運動、つま先上げ運動、ももあげ運動等、保存療法は、健康体操として実施されている。貧乏揺すり様運動もその一つで、近年ではジグリングとして学会での報告も多数行われている。しかし、ジグリングで下肢の関節症の治療、リハビリを実施し効果を得るためには毎日1~2時間程度実施することが求められており、自力で関節の可動運動を行うためには筋肉運動を伴い、場合によっては筋疲労、筋肉痛を発症し多くの罹患者にとっては持続的・継続的に行うことが困難である。
【0004】
そこで、貧乏揺すり運動を行うことによってリハビリ等を行う装置が開発されている。例えば、膝関節および股関節に有効な刺激を加えることができる下肢刺激装置が特許文献1にて知られている。また、下肢基端である股関節に刺激を加えて、いわゆる貧乏揺すり運動をすることができる下肢振動装置が特許文献2にて知られている。
【0005】
この特許文献1に記載の下肢刺激装置は、支持板に載置させた膝関節を左右交互に上下動させるようにしたものである。この支持板は、下動位置で、背臥位または長坐位での膝関節の裏側を支持できる低い位置となり、上動位置で、股関節を屈曲させることができる位置となる。そして、下動位置と上動位置との間を、垂線に対して5度~10度斜めに上下させている。
【0006】
また、特許文献2に記載の下肢振動装置は、足底の踵部が載置可能な動作板が、つま先部が載置される床面に対し、4cm以下の高さの位置を下限の位置として、上下動してするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第5986240号公報
【文献】特開2013-236759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の下肢刺激装置では、膝関節を載置させた支持板が左右交互に上下動するため、膝の屈伸運動を無理せず自然な状態で行うことができる。
しかし、特許文献2に記載の下肢振動装置では、つま先部が床面に載置され、踵部が載置される動作板が4cm以下の高さの位置を下限の位置として上下動するだけであるため、足関節の運動範囲が限定的である。
機能回復のためのリハビリは、患者の負担にならない程度に、関節を曲げる角度を広範囲に動かしながら、筋肉を緊張させたり弛緩したりすることが重要である。また、様々な関節の可動域を広げるリハビリにも適用できれば有用である。
【0009】
そこで本発明は、関節の運動範囲を広範囲に動作させることができ、様々な関節の可動域を広げるリハビリにも適用することが可能な訓練装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の訓練装置は、患者の肢体の一の位置が載置される支持台と、前記一の位置から延びる前記肢体の他の位置が載置され、揺動する揺動部と、前記支持台の載置面から延びる水平方向を基準としてプラス方向とマイナス方向との間で前記揺動部を往復運動させる駆動部とを備え、前記揺動部は、前記肢体の他の位置が載置される搭載部と、前記搭載部が先端部に設けられ、基端部が駆動部により駆動される棒状の腕部と、前記腕部の先端部と基端部との間で前記腕部を揺動自在に支持する支点部とを備えたことを特徴としたものである。
【0012】
本発明によれば、駆動部が揺動部を往復運動させることができる。従って、例えば、支持台につま先部を載せ、揺動部に踵部を載せることにより、距腿関節に対して底屈の状態と背屈の状態とを繰り返す訓練を行うことができる。このとき、揺動部が、支持台の載置面から延びる水平方向を基準としてプラス方向とマイナス方向との間で往復運動するので、関節の運動範囲を広げることができる。また、腕部が駆動部により駆動されて揺動することで、搭載部に載置された肢体の他の位置を揺動させることができ、腕部を揺動自在に支持する支点部を備えることにより、駆動部を力点、肢体の他の位置が載置される場所を作用点とすることができるので、駆動部による揺動を効率よく腕部により伝達することができる。
ここで、一の位置から延びる肢体の他の位置とは、例えば、一の位置を足部、脚部や腕部の所定位置としたときに、他の位置は一の位置から繋がった同じ足部、脚部や腕部の異なる位置を言う。
【0014】
前記支持台および前記搭載部は、前記腕部を中心として両側に配置可能であるものとすることができる。
支持台と搭載部とが、腕部を中心として両側に配置可能であると、患者が腕部を正面に位置すれば、肢体の右側の部位を訓練したり、左側を訓練したりすることができる。
【0015】
前記腕部は、伸縮可能に形成されたものとすることができる。そうすることで、腕部を伸ばせば、先端部に設けられた搭載部の揺動幅を大きくすることができ、腕部を縮めれば、搭載部の揺動幅を小さくすることができる。
【0017】
前記支点部は、前記腕部の先端部と基端部との間の複数箇所に設定可能に設けられたものとすることができる。
腕部の先端部と基端部との間の設定可能な位置に支点部を移動させることにより、支点の異なるテコの原理により腕部の揺動幅を変更することができる。
【0018】
前記駆動部は、回転駆動するモーターと、前記モーターにより軸回転して、円周面により前記腕部の基端部を押圧する偏心カムとを備えたものとすることができる。
モーターにより偏心カムが軸回転して、円周面により腕部の基端部を押圧することにより、揺動部を往復運動させることができる。
【0019】
前記腕部の基端部を前記偏心カムの方向に付勢する弾性部材が設けられたものとすることができる。
偏心カムが軸回転するときに、弾性部材が腕部の基端部が偏心カムから離れることを抑止するため、駆動部による駆動を確実に腕部に伝達させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、支持台の載置面から延びる水平方向を基準としてプラス方向とマイナス方向との間で往復運動することにより、関節の運動範囲を広げることができるので、様々な関節の可動域を広げるリハビリにも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施の形態に係る訓練装置の斜視図であり、(A)は訓練装置の外観斜視図、(B)はカバー部を外した状態の斜視図である。
【
図4】
図1(B)に示す訓練装置の支持台につま先部を載せ、搭載部に踵部を載せて、踵部を揺動することを説明するための図であり、(A)は搭載部がプラス方向に移動した状態の図、(B)は搭載部がマイナス方向に移動した状態の図である。
【
図5】
図1(B)に示す訓練装置の支点部を移動させたときの腕部の揺動幅を説明するための図である。
【
図6】
図1(B)に示す訓練装置の支持台に腓腹筋部を載せ、搭載部に膝裏の下部を載せて、膝裏の下部を揺動することを説明するための図であり、(A)は搭載部がプラス方向に移動した状態の図、(B)は搭載部がマイナス方向に移動した状態の図である。
【
図7】
図1(B)に示す訓練装置の搭載部に膝裏の上部を載せて、膝裏の上部を揺動することを説明するための図であり、(A)は搭載部がプラス方向に移動した状態の図、(B)は搭載部がマイナス方向に移動した状態の図である。
【
図8】
図1(B)に示す訓練装置の支持台および搭載部を付け替えることを説明するための図であり、(A)は右側に位置させた状態の図、(B)は左側に位置させた状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態に係る訓練装置を図面に基づいて説明する。
図1(A)および同図(B)に示す訓練装置10は、股関節、膝関節、足関節等の下肢関節疾患を罹患した患者が、関節可動運動を実施するためのものである。
訓練装置10は、支持台20と、揺動部30と、駆動部40とを備え、基板部11に搭載されている。
揺動部30は、上下方向に沿って揺動範囲に切り欠き部12nが形成された揺動カバー部12に覆われている。駆動部40は、前面に、揺動部30が挿入されていると共に、揺動カバー部12が接続される開口が形成された本体カバー部13に覆われている。
【0023】
図1から
図3に示す支持台20は、患者の肢体の一の位置が載置されるものである。肢体の一の位置は、例えば、つま先部や腓腹筋部とすることができる。支持台20は、円柱状の支持バー21と、支持バー21の両端部から基板部11に向かって延びるL字状の支持脚22とを備えている。支持バー21の円周面は、柔らかいスポンジ部材またはゴム部材によりカバーされている。この支持台20は、基板部11に固定されていないため、揺動部30を中心として右側または左側に設置可能である。
【0024】
揺動部30は、一の位置から延びる肢体の他の位置が載置され、揺動するものである。揺動部30は、搭載部31と、腕部32と、支点部33とを備えている。
搭載部31は、揺動部30を長さ方向F1から見たときに、腕部32の先端部32tから、長さ方向F1と直交する幅方向F2(左右方向)の双方に延びるように形成されている。搭載部31は、支持台20の支持バー21と同様に柔らかいスポンジ部材またはゴム部材によりカバーされている。
腕部32は、基端部が駆動部40により駆動される。腕部32は、棒状に形成されている。腕部32の先端部32tと基端部32eとの間における一対の垂下壁32wには、支点部33を配置可能とする切り欠き部32nが形成されている。
支点部33は、腕部を揺動自在に支持するものである。腕部32を挟んで両側に立つ一対の支柱部33pと、支柱部33pの上端部同士に架設された梁部33bとを備えている。本実施の形態では、支点部33は、支持台20と同じ高さに形成されている。
【0025】
駆動部40は、支持台20の載置面21sから延びる水平方向を基準としてプラス方向(上方向)とマイナス方向(下方向)との間で揺動部30を往復運動させるものである。本実施の形態では、プラス方向とマイナス方向の間の距離を±1cm~±2cmとしている。
駆動部40は、モーター41と、減速部42と、偏心カム43と、ばね部44と、フレーム部45とを備えている。
【0026】
モーター41は、図示しない電源により回転駆動する。本実施の形態では、モーター41は、回転軸が幅方向F2に向くように配置されているがモーター41の回転軸を、幅方向F2と平行に配置することも可能である。この場合、ウォームギア等により軸方向を変更することができる。
減速部42は、モーター41の回転速度を減速するものであり、例えば、大小ギアを組み合わせたギア群とすることができるが、プーリーとベルトとにより減速することも可能である。
偏心カム43は、回転軸線が幅方向F2を向き、円周面43sを腕部32の長さ方向F1を向けて配置されている。
偏心カム43は、モーター41により軸回転して、円周面43sにより腕部32の基端部32eを上方から押圧する。
ばね部44は、腕部32の基端部32eを偏心カム43の方向に付勢する弾性部材として機能する圧縮ばねである。ばね部44は、一端部44aがフレーム部45の天井部45cに接続され、他端部44bが腕部32の基端部32eに接続されることで、基端部32eを引き上げる。
フレーム部45は、基板部11に立設された立壁部45wと、立壁部45wの上端部同士に架設された天井部45cとにより形成されている。
【0027】
以上のように構成された本発明の実施の形態に係る訓練装置10の動作および使用状態について、図面に基づいて説明する。
本実施の形態では、一例として、支持台20につま先部を載せ、揺動部30に踵部を載せて、びんぼうゆすり様運動となるジグリングを行うことを説明する。
【0028】
図1から
図3に示すように、モーター41が回転すると、減速部42により回転速度が適正な速度に減少させられる。減速した速度により偏心カム43が回転する。
偏心カム43が回転することで円周面43sにより腕部32の基端部32eが押圧される。
偏心カム43は、回転軸が中心からずれているため、腕部32の基端部32eを大きく押したり、小さく押したりする。腕部32は、支点部33により、腕部32の基端部32eと先端部32tとの間で支持されている。
そのため、偏心カム43により大きく押されたときには、基端部32eが下がり、先端部32tが支持台20の載置面21sから延びる水平方向を基準としてプラス方向に上がる。また、偏心カム43により小さく押されたときには、基端部32eが上がり、先端部32tが水平方向を基準としてマイナス方向に下がる。
特に、本実施の形態では、支点部33が支持台20と同じ高さに形成されているため、揺動部30をプラス方向とマイナス方向との間で同じ幅に揺動させることができる。
【0029】
従って、
図4(A)に示すように、支持台20における支持バー21(載置面21s)につま先部Tを載せ、揺動部30(搭載部31)に踵部Hを載せた状態では、踵部Hを高く押し上げることで、底屈の状態とすることができる。また、
図4(B)に示すように、踵部Hをつま先部Tより低く下げることで、背屈の状態とすることができる。
よって、訓練装置10は、距腿関節の運動範囲を広範囲に動作させることができるので、可動域を広げることができる。
【0030】
図3に示すように、支持台20は、揺動部30(腕部32)を中心として右側または左側に設置可能であり、搭載部31は、腕部32を中心として右側および左側の両方に配置されている。従って、支持台20を右側に配置したり、左側に配置したりすることにより、揺動部30(腕部32)を訓練者(患者)の正面に位置させた状態で、訓練者の右足や左足の両方の訓練を行うことができる。
【0031】
また、支点部33が、腕部32を揺動自在に支持しているため、駆動部40を力点、搭載部31を作用点とすることができ、揺動部30が梃子のように動作するので、駆動部40による揺動を効率よく腕部32により伝達することができる。
【0032】
例えば、特許文献2に記載の下肢振動装置では、基端部がヒンジ部により回動可能に軸着され、偏心カムが当接して上下動する回動板の先端部が、足底の踵部が載置可能な動作板に固定されている。従って、偏心カムを交換しなければ、ヒンジ部から動作板までの振動幅を変更することはできない。
【0033】
しかし、
図2に示すように、本実施の形態では、腕部32には、長さ方向F1に沿って切り欠き部32nが複数形成されている。従って、支点部33を切り欠き部32nが形成された位置に合わせて位置させることで、駆動部40から支点部33までの距離と、支点部33から搭載部31までの距離とを変更することができる。
【0034】
従って、
図5に示すように、支点部33が最も駆動部40に寄ったときには(位置P1参照)、搭載部31の揺動を最も大きく(揺動R1参照)することができ、支点部33が最も搭載部31に寄ったときには(位置P3参照)、搭載部31の揺動を最も小さく(揺動R3参照)することができる。
このように、搭載部31の揺動幅を変更することができるので、訓練者にとって適切な揺動を選択することができる。
【0035】
なお、本実施の形態では、腕部32に形成された切り欠き部32nによって、支点部33の位置を段階的に変更するようにしていたが、腕部32に沿って支点部33をスライドさせて無段階に支点部33の位置を変更可能とすることで、支点部33を複数箇所に設定可能としてもよい。
【0036】
図2に示すように、腕部32の基端部32eにはばね部44が接続され、偏心カム43の回転中も常に偏心カム43の方へ基端部32eを引き上げている。
例えば、ばね部44が無いと偏心カム43が回転する際に腕部32が偏心カム43から離れる可能性がある。そうなると、再度、偏心カム43が腕部32に接触したときに、耳障りな接触音が発生してしまう。
本実施の形態では、偏心カム43が基端部32eを大きく押しても小さく押しても、ばね部44が、常に偏心カム43が基端部32eに常に接触した状態とすることで、接触音の発生を防止することができる。
【0037】
本実施の形態では、患者の肢体の一の位置となるつま先部を支持台20に載せ、一の位置から延びる肢体の他の位置となる踵部を揺動部30(搭載部31)に載せて、踵部を揺動させていたが、反対に、支持台20に踵部を載せ、搭載部31につま先部を載せて、つま先部を揺動させるようにしてもよい。
【0038】
また、
図6(A)に示すように、患者が仰臥位の状態で、支持台20に腓腹筋部Gを載せ、搭載部31に膝裏Kの下部を載せて、膝裏Kの下部を揺動することができる。そうすることで、膝裏Kの下部が、プラス方向に移動したときには、膝関節を曲げた状態とすることができる。また、
図6(B)に示すように、マイナス方向に移動したときには、膝関節を伸ばした状態とすることができ、股関節も同時に可動運動させることができ、刺激を与えることができる。
【0039】
更に、
図7(A)および同図(B)に示すように、支持台20を使用せずに、搭載部31に膝裏Kの上部を載せ、膝裏Kの上部を揺動することができる。そうすることで、大腿部がプラス方向およびマイナス方向に揺動するので、股関節を更に大きく可動運動させることができる。
【0040】
なお、
図4と
図6と
図7とに示す上記例では、患者の下肢の訓練であったが、
図1に示す訓練装置10をテーブルに設置することで、訓練装置10は上肢の訓練にも使用することが可能である。
【0041】
本実施の形態では、
図3に示すように、揺動部30は、搭載部31および腕部32によりT字状に形成されているが、
図8(A)および同図(B)に示すように、搭載部31は腕部32と着脱可能に形成することもできる。
例えば、腕部32の先端部32tの垂下壁32wに雌ねじ部を形成し、搭載部31の軸線位置に雄ねじ部31sを形成することにより、訓練を行う足部や脚部に合わせて、腕部32を中心として、支持台20および搭載部31と右側(
図8(A)参照)に位置させたり、左側(
図8(B)参照)に位置させたりすることができる。
【0042】
また、腕部32については、長さ方向に伸縮可能とすることも可能である。その場合には、腕部を、ロッドがシリンダ内を進退して無段階に伸縮するようにしたり、先端側のロッドが基端側に隣接するロッドに収納されるようにして段階的に伸縮するようにしたりすることができる。
そうすることで、腕部を伸ばせば、先端部に設けられた搭載部31の揺動幅を大きくすることができ、腕部を縮めれば、搭載部31の揺動幅を小さくすることができる。
【0043】
更に、支持台20は基板部11に固定されていないが、揺動カバー部12や本体カバー部13に連結して移動可能に固定するようにしてもよい。そうすることで、揺動部30の揺動時の振動や、片側に掛かる荷重の安定など図ることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、上肢および下肢の動作の機能改善・回復を必要とする患者の運動機能の回復に好適であるため、病院施設、介護施設などの医療関係施設だけでなく、患者の自宅などでも容易に訓練することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 訓練装置
11 基板部
12 揺動カバー部
12n 切り欠き部
13 本体カバー部
20 支持台
21 支持バー
21s 載置面
22 支持脚
30 揺動部
31 搭載部
31s 雄ねじ部
32 腕部
32t 先端部
32e 基端部
32n 切り欠き部
32w 垂下壁
33 支点部
33p 支柱部
33b 梁部
40 駆動部
41 モーター
42 減速部
43 偏心カム
43s 円周面
44 ばね部
44a 一端部
44b 他端部
45 フレーム部
45w 立壁部
45c 天井部
F1 長さ方向
F2 幅方向
H 踵部
T つま先部
G 腓腹筋部
K 膝裏
P1~P3 位置
R1~R3 揺動
【要約】
【課題】関節の運動範囲を広範囲に動作させることができ、様々な関節の可動域を広げるリハビリにも適用することが可能な訓練装置および訓練方法を提供する。
【解決手段】訓練装置10は、患者のつま先部が載置される支持台20と、踵部が載置され、揺動する揺動部30の搭載部31と、支持台20の載置面21sから延びる水平方向を基準としてプラス方向とマイナス方向との間で揺動部30を往復運動させる駆動部40とを備えている。
【選択図】
図1