(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】電源シーケンス制御回路
(51)【国際特許分類】
G06F 15/78 20060101AFI20221018BHJP
G06F 1/26 20060101ALI20221018BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
G06F15/78 517
G06F1/26
H02J1/00 309H
H02J1/00 310K
H02J1/00 310L
(21)【出願番号】P 2018073386
(22)【出願日】2018-04-05
【審査請求日】2021-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】100113608
【氏名又は名称】平川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100123098
【氏名又は名称】今堀 克彦
(74)【代理人】
【識別番号】100146330
【氏名又は名称】本間 博行
(72)【発明者】
【氏名】森▲崎▼ 知治
(72)【発明者】
【氏名】小山 輝芳
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-206223(JP,A)
【文献】実開平07-006807(JP,U)
【文献】実開平03-083445(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 15/78
H02J 1/00
G06F 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された制御信号
が電力の供給を行わせる信号状態の場合に、複数の負荷回路に規定の順序で電力供給
を開始
させる起動シーケンスを行い、前記制御信号が電力の供給を停止させる信号状態の場合に、前記複数の負荷回路への電力供給を規定の順序で停止
させる停止シーケンスを行うシーケンス回路と、
前記シーケンス回路へ入力された制御信号をラッチするラッチ回路と、
最初に電力を供給する負荷回路への電力供給が開始されてから最後に電力を供給する負荷回路への電力供給が開始されるまでの
前記起動シーケンスの間、又は最初に電力供給を停止する負荷回路への電力供給が停止されてから最後に電力供給を停止する負荷回路への電力供給が停止されるまでの
前記停止シーケンスの間、前記制御信号を遮断する遮断回路と、
前記起動シーケンス
において最後に電力を供給する負荷回路への電力供給が開始された場合又は前記停止シーケンス
において最後に電力供給を停止する負荷回路への電力供給が停止された場合に、前記ラッチ回路による遮断前の値に応じた信号を出力する状態を解除する解除回路と、
を備え、
前記シーケンス回路は、
前記遮断回路によって遮断されずに入力された前記制御信号の信号状態に応じて前記起動シーケンス又は前記停止シーケンスを行い、前記遮断回路によって前記制御信号が遮断された場合、前記ラッチ回路によってラッチされた前記制御信号の信号状態に応じて前記起動シーケンス又は前記停止シーケンスを行う
電源シーケンス制御回路。
【請求項2】
前記ラッチ回路が、
前記制御信号を入力され、当該制御信号と同じ論理値の信号を出力するバッファと、
前記バッファの出力を前記バッファの入力側に帰還させる素子と、
を備える請求項1に記載の電源シーケンス制御回路。
【請求項3】
前記ラッチ回路が、
前記制御信号を入力され、当該制御信号と同じ論理値の信号を出力するバッファと、
前記起動シーケンスの間、前記バッファの出力を前記バッファの入力側に帰還させる第一のスイッチング素子と、
前記停止シーケンスの間、前記バッファをバイパスさせる第二のスイッチング素子と、を備える請求項1に記載の電源シーケンス制御回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、 電源シーケンス制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロコンピュータ(以下、マイコンとも称す)としては、一つのチップに複数の電源端子を有しているものが知られている。この場合、マイコンの起動時には、それぞれの電源端子に対して所定のシーケンスで電圧の印加を開始し、停止時には、起動時と逆のシーケンスでそれぞれの電源端子への電圧の印加を停止する。例えば、電圧値が低い順に各電源端子への電圧を印加し、電圧値が高い順に各電源端子への電圧を印加を停止する。
【0003】
特許文献1では、複数の構成要素からなる電子機器に電力を供給する電源装置であって、前記複数の構成要素に電力をそれぞれ供給する複数の電源回路と、前記複数の電源回路を起動制御するための起動制御データを格納する記憶回路とを備え、前記複数の電源回路が、起動の際に、前記記憶回路に格納される起動制御データに基づいて起動制御される電源装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-115114号公報
【文献】特開2004-282930号公報
【文献】実開平03-083445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の電源端子を備えるマイコンに対しては、前述のように起動時と停止時に所定のシーケンスで電圧を印加しているが、起動シーケンスの途中で停止が指示された場合や、停止時のシーケンスの途中で起動が指示された場合、各電源端子に対する電圧印加の開始や停止が正しい順序で行われないことがある。この場合、上限電圧の低い回路に高い電圧がかかり、損傷することがある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、複数の負荷回路に対して適切なシーケンスで電力を供給する電源シーケンス制御回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の電源シーケンス制御回路は、
制御信号に応じて複数の負荷回路に規定の順序で電力供給の開始又は停止を行わせるシーケンス回路と、
最初に電力を供給する負荷回路への電力供給が開始されてから最後に電力を供給する負荷回路への電力供給が開始されるまでの起動シーケンスの間、又は最初に電力供給を停止する負荷回路への電力供給が停止されてから最後に電力供給を停止する負荷回路への電力供給が停止されるまでの停止シーケンスの間、前記制御信号を遮断する遮断回路と、
前記制御信号が遮断されていない場合に前記制御信号の値に応じた信号を前記シーケンス回路へ出力し、前記制御信号が遮断されている場合に、遮断前の記制御信号の値に応じた信号を前記シーケンス回路へ出力するラッチ回路と、
前記起動シーケンス又は前記停止シーケンスが完了した場合に、前記ラッチ回路による遮断前の値に応じた信号を出力する状態を解除する解除回路と、
を備える。
【0008】
前記電源シーケンス制御回路は、
前記ラッチ回路が、
前記制御信号を入力され、当該制御信号と同じ論理値の信号を出力するバッファと、
前記バッファの出力を前記バッファの入力側に帰還させる素子と、
を備えてもよい。
【0009】
前記電源シーケンス制御回路は、
前記ラッチ回路が、
前記制御信号を入力され、当該制御信号と同じ論理値の信号を出力するバッファと、
前記起動シーケンスの間、前記バッファの出力を前記バッファの入力側に帰還させる第一のスイッチング素子と、
前記停止シーケンスの間、前記バッファをバイパスさせる第二のスイッチング素子と、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の負荷回路に対して適切なシーケンスで電力を供給する電源シーケンス制御回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係る電源シーケンス制御回路の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、比較例としての電源シーケンス制御回路の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、比較例としての電源シーケンス制御回路において、起動及び停止のシーケンスを正常に行った場合の各部の信号状態を示すタイミングチャートである。
【
図4】
図4は、比較例としての電源シーケンス制御回路において、起動シーケンスの途中で停止を行った場合の各部の信号状態を示すタイミングチャートである。
【
図5】
図5は、比較例としての電源シーケンス制御回路において、停止シーケンスの途中で起動を行った場合の各部の信号状態を示すタイミングチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態に係る電源シーケンス制御回路において、起動シーケンスの途中で停止を行った場合の各部の信号状態を示すタイミングチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態に係る電源シーケンス制御回路において、停止シーケンスの途中で起動を行った場合の各部の信号状態を示すタイミングチャートである。
【
図8】
図8は、変形例1に係る電源シーケンス制御回路の構成を示す図である。
【
図9】
図9は、変形例2に係る電源シーケンス制御回路の構成を示す図である。
【
図10】
図10は、変形例3に係る電源シーケンス制御回路の構成を示す図である。
【
図11】
図11は、変形例4に係る電源シーケンス制御回路の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〈装置構成〉
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る電源シーケンス制御回路100の構成を示す図、
図2は、比較例としての電源シーケンス制御回路90の構成を示す図である。電源シーケンス制御回路90,100は、ドライブレコーダ等の車載装置において、マイクロコンピュータ(マイコンとも称す)に電力を供給する。
【0013】
図1に示すように、電源シーケンス制御回路100は、電源回路11~13や、オア回路21、アンド回路22、バッファ31~33、時定数設定回路40、ラッチ回路50、遮断回路60、解除回路70、入力端子29を備えている。なお、本実施形態のシーケンス回路20は、オア回路21、アンド回路22、バッファ31~33、時定数設定回路40
を備えている。
【0014】
ユーザの操作等により起動信号が入力端子29に入力されると、電源シーケンス制御回路100は、電力の供給開始や供給停止のシーケンスを行う。本実施形態において、起動信号は、電力の供給を行う場合に「High」、電力供給を行わない場合に「Low」となる信号(制御信号)である。起動信号は例えば、ドライブレコーダが搭載された車両のACC(アクセサリ)電源や、IG(イグニッション)電源がONの時に「High」、ACC電源や、IG電源がOFFの時に「Low」となる信号であってもよい。
【0015】
入力端子29に入力された起動信号は、遮断回路60と、時定数設定回路40の抵抗R1を介してバッファ31に入力される。抵抗R1とバッファ31の間には、コンデンサC1の一端が接続され、当該コンデンサC1の他端が接地されている。
【0016】
バッファ31の出力端は、オア回路21及びアンド回路22に接続されている。また、バッファ31の出力端は、時定数設定回路40の抵抗R2を介してバッファ32の入力端に接続されている。抵抗R2とバッファ32の間には、コンデンサC2の一端が接続され、当該コンデンサC2の他端が接地されている。
【0017】
バッファ32の出力端は、電源回路12に接続されていると共に、時定数設定回路40の抵抗R3を介してバッファ33の入力端に接続されている。抵抗R3とバッファ33の間には、コンデンサC3の一端が接続され、当該コンデンサC3の他端が接地されている。
【0018】
バッファ33の出力端は、オア回路21及びアンド回路22に接続されている。オア回路21の出力端は、電源回路11に接続され、アンド回路22の出力端は、電源回路13に接続されている。
【0019】
電源回路11~13は、それぞれマイコン80の電源端子T1~T3と接続され、所定のシーケンスで各電源端子T1~T3へ電力を供給する。なお、マイコン80は、各電源端子に接続されている負荷回路で必要とされる電力の電圧値が異なっており、この電圧値は、電源端子T1よりも電源端子T2、電源端子T2よりも電源端子T3において高い値となっている。このため、マイコン80は、起動時のシーケンス(以下、起動シーケンスとも称す)では、電源端子T1、電源端子T2、電源端子T3の順序で電力を供給し、停止時のシーケンスでは、電源端子T3、電源端子T2、電源端子T1の順序で電力の供給を停止する仕様となっている。
【0020】
時定数設定回路40は、各バッファ31~33が「High」又は「Low」に切り替わるタイミングを設定している。時定数設定回路40の抵抗R1は、バッファ31側へ流れる電流を制限するように所定の抵抗値に設定されている。そして、起動信号が「High」又は「Low」に切り替わるタイミングに対して、信号buffinの切り替わるタイミングが所定時間遅延するように、コンデンサC1の容量が設定されている。同様に、抵抗R2は、バッファ32側に流れる電流を制限するように所定の抵抗値に設定されている。そして、信号buff1が「High」又は「Low」に切り替わるタイミングに対して、バッファ32に入力される信号の切り替わるタイミングが所定時間遅延するように、コンデンサC2の容量が設定されている。抵抗R3は、バッファ33側に流れる電流を制限するように所定の抵抗値に設定されている。そして、信号buff2が「High」又は「Low」に切り替わるタイミングに対して、バッファ33に入力される信号の切り替わるタイミングが所定時間遅延するように、コンデンサC3の容量が設定されている。
【0021】
遮断回路60は、起動信号が入力されて、起動又は停止のシーケンスが開始された場合
に、このシーケンスの途中で反転した起動信号が入力されないように、当該シーケンスが完了するまで起動信号を遮断する。例えば、電源回路11へ入力される信号EN1が「High」となって、電源端子T1への電力供給を行っており、電源回路13へ入力される信号EN3が「Low」となって、電源端子T3への電力供給が行われていない状態は、起動又は停止のシーケンスの途中である。このため、遮断回路60は、信号EN1が「High」、及び信号EN3が「Low」の場合に、トランジスタTR1をOFFにして起動信号を遮断する。
図1の例では、トランジスタTR1が、pnp型のトランジスタであり、エミッタが入力端子29に接続され、コレクタが抵抗R1を介してバッファ31に接続されている。トランジスタTR1のベースは、トランジスタTR2を介してグランドに接続される。また、トランジスタTR1のベースには、信号EN1が入力される。信号EN1は、起動シーケンスで最初に電力供給が開始される電源回路11、即ち、停止時のシーケンスで最後に電力供給が停止される電源回路11に入力される信号である。
【0022】
トランジスタTR2は、例えばnpn型のトランジスタであり、コレクタがトランジスタTR1のベースと接続され、エミッタがグランドに接続される。また、起動シーケンスで最後に電力供給が開始される電源回路13、即ち、停止時のシーケンスで最初に電力供給が停止される電源回路13に入力される信号EN3が、トランジスタTR2のベースに入力される。
【0023】
ラッチ回路50は、バッファ31と抵抗RAを有している。ラッチ回路50は、バッファ31の出力信号を入力へ帰還させることで、起動又は停止のシーケンス中に、起動信号が遮断回路60によって遮断された状態でも、バッファ31の出力信号buff1を安定的に保持させる。
【0024】
解除回路70は、ラッチ回路50によってバッファ31の出力信号buff1が保持された状態を解除し、出力信号buff1が入力端子29に入力される起動信号に応じた値となる状態へ復帰させる。
図1の例では、抵抗RRの一端が、トランジスタTR1のコレクタと抵抗R1の間に接続され、他端がトランジスタTR3を介してグランドに接続されている。トランジスタTR3は、信号EN3に応じてON/OFFを切り替える。
図1の例において、トランジスタTR3は、npn型のトランジスタであり、コレクタが抵抗RRと接続され、エミッタがグランドに接続され、ベースに信号EN3が入力されるように構成されている。
【0025】
なお、本実施形態では、トランジスタTR1~TR3をトランジスタで構成したが、これに限らず、他のスイッチング素子であってもよい。また、遮断回路60や解除回路70は、
図1の回路構成に限らず、
図1と同様に信号EN1及び信号EN3に応じて起動信号を遮断する又はラッチ回路のラッチ状態を解除する機能を実行するものであれば、論理回路で構成する等、他の回路構成としてもよい。
【0026】
図2に示す電源シーケンス制御回路90は、
図1の電源シーケンス制御回路100と比べて、ラッチ回路50、遮断回路60、解除回路70を省いた構成である。即ち、電源シーケンス制御回路90において、電源回路11~13や、オア回路21、アンド回路22、バッファ31~33、時定数設定回路40の構成は、前述の電源シーケンス制御回路100と同じであるため、再度の説明を省略する。
【0027】
〈電源シーケンス制御回路90のシーケンス制御〉
図3は、比較例としての電源シーケンス制御回路90において、起動及び停止のシーケンスを正常に行った場合の各部の信号状態を示すタイミングチャート、
図4は、比較例としての電源シーケンス制御回路90において、起動シーケンスの途中で停止を行った場合の各部の信号状態を示すタイミングチャート、
図5は、比較例としての電源シーケンス制
御回路90において、停止シーケンスの途中で起動を行った場合の各部の信号状態を示すタイミングチャートである。
図3~
図5では、横軸に時間をとり、縦軸に各信号の電圧の高さをとって、各信号の低いラインが「Low」の状態を示し、高いラインが「High」の状態を示している。
【0028】
電源シーケンス制御回路90において、入力端子29に入力された起動信号が「High」となると、抵抗R1を介してコンデンサC1を満たした後にバッファ31の入力信号buffinが「High」となるので、
図3に示すように起動信号の立ち上がりから所定時間遅延してバッファ31の出力側の信号buff1が「High」となる。
【0029】
信号buff1が「High」となると、オア回路21の出力信号、即ち電源回路11へ入力する信号EN1が「High」となり、電源回路11からマイコン80の電源端子T1への電力供給が開始される。
【0030】
また、信号buff1が「High」となると、抵抗R2を介してコンデンサC2を満たした後にバッファ32の入力信号が「High」となるので、信号buff1の立ち上がりから所定時間遅延してバッファ32の出力側の信号buff2が「High」となる。
【0031】
信号buff2、即ち電源回路12へ入力する信号EN2が「High」となると、電源回路12からマイコン80の電源端子T2への電力供給が開始される。
【0032】
信号buff2が「High」となると、抵抗R3を介してコンデンサC3を満たした後にバッファ33の入力信号が「High」となるので、信号buff2の立ち上がりから所定時間遅延してバッファ33の出力側の信号buff3が「High」となる。
【0033】
信号buff3が「High」となり、信号buff1が「High」であれば、アンド回路22の出力信号、即ち電源回路13へ入力する信号EN3が「High」となり、電源回路13からマイコン80の電源端子T3への電力供給が開始される。
【0034】
このように電源シーケンス制御回路90は、正常な起動シーケンスであれば、電源端子T1、電源端子T2、電源端子T3の順序で電力を供給する。
【0035】
また、電源シーケンス制御回路90において、入力端子29に入力された起動信号が「Low」となると、コンデンサC1の放電後にバッファ31の入力信号buffinが「Low」となるので、起動信号の立ち下がりエッジから所定時間遅延してバッファ31の出力側の信号buff1が「Low」となる。
【0036】
信号buff1が「Low」となると、アンド回路22の出力信号、即ち電源回路13へ入力する信号EN3が「Low」となり、電源回路13からマイコン80の電源端子T3への電力供給が停止される。
【0037】
また、信号buff1が「Low」となると、コンデンサC2の放電後にバッファ32の入力信号が「Low」となるので、信号buff1の立ち下がりエッジから所定時間遅延してバッファ32の出力側の信号buff2が「Low」となる。
【0038】
信号buff2、即ち電源回路12へ入力する信号EN2が「Low」となると、電源回路12からマイコン80の電源端子T2への電力供給が停止される。
【0039】
信号buff2が「Low」となると、コンデンサC3の放電後にバッファ33の入力
信号が「Low」となるので、信号buff2の立ち下がりエッジから所定時間遅延してバッファ33の出力側の信号buff3が「Low」となる。
【0040】
信号buff3が「Low」となり、信号buff1が「Low」であれば、オア回路21の出力信号、即ち電源回路11へ入力する信号EN1が「Low」となり、電源回路11からマイコン80の電源端子T1への電力供給が停止される。
【0041】
このように電源シーケンス制御回路90は、正常な停止時のシーケンスであれば、電源端子T3、電源端子T2、電源端子T1の順序で電力の供給を停止する。
〈違反例1〉
次に、電源シーケンス制御回路90において、起動シーケンスの途中で起動信号が「Low」となった場合を説明する。
【0042】
図4において、起動信号が「High」となり、信号buff1及び信号buff2が順次「High」となって、信号EN1及び信号EN2が順次「High」となるまでの動作は、前述の
図3と同じである。
【0043】
そして、
図4の例では、信号buff2が「High」となった後、信号buff3が「High」になる前に、起動信号が「Low」となっている。この場合、コンデンサC1の放電後にバッファ31の入力信号buffinが「Low」となるので、起動信号の立ち下がりエッジから所定時間遅延してバッファ31の出力側の信号buff1が「Low」となる。このとき信号buff3が「Low」であるので、信号buff1が「Low」となると、オア回路21の出力信号、即ち電源回路11へ入力する信号EN1が「Low」となり、電源回路11からマイコン80の電源端子T1への電力供給が停止される。
【0044】
また、信号buff1が「Low」となると、コンデンサC2の放電後にバッファ32の入力信号が「Low」となるので、信号buff1の立ち下がりエッジから所定時間遅延してバッファ32の出力側の信号buff2が「Low」となる。信号buff2、即ち電源回路12へ入力する信号EN2が「Low」となると、電源回路12からマイコン80の電源端子T2への電力供給が停止される。
【0045】
このように電源シーケンス制御回路90において、起動シーケンスの途中で起動信号が「Low」になると、電源端子T1、電源端子T2の順番で電力の供給を停止することになるので、マイコン80の要求する仕様に違反してしまう。このため、マイコン80の損傷を招く恐れがある。
〈違反例2〉
次に、電源シーケンス制御回路90において、停止時のシーケンスの途中で起動信号が「High」となった場合を説明する。
【0046】
図5において、起動信号が「Low」となり、信号buff1及び信号buff2が順次「Low」となって、信号EN3及び信号EN2が順次「Low」となるまでの動作は、前述の
図3と同じである。
【0047】
そして、
図5の例では、信号buff2が「Low」となった後、信号buff3が「Low」になる前に、起動信号が「High」となっている。この場合、コンデンサC1を満たした後にバッファ31の入力信号buffinが「High」となるので、起動信号の立ち上がりエッジから所定時間遅延してバッファ31の出力側の信号buff1が「High」となる。このとき信号buff3が「High」であるので、信号buff1が「High」となると、アンド回路22の出力信号、即ち電源回路13へ入力する信号
EN3が「High」となり、電源回路13からマイコン80の電源端子T3への電力供給が停止される。
【0048】
また、信号buff1が「High」となると、コンデンサC2が満たされた後にバッファ32の入力信号が「High」となるので、信号buff1の立ち上がりエッジから所定時間遅延してバッファ32の出力側の信号buff2が「High」となる。信号buff2、即ち電源回路12へ入力する信号EN2が「High」となると、電源回路12からマイコン80の電源端子T2への電力供給が開始される。
【0049】
このように電源シーケンス制御回路90において、停止時のシーケンスの途中で起動信号が「High」になると、電源端子T3、電源端子T2の順番で電力の供給を開始することになるので、マイコン80の要求する仕様に違反してしまう。このため、マイコン80の損傷を招く恐れがある。
【0050】
〈電源シーケンス制御回路100のシーケンス制御〉
電源シーケンス制御回路100は、各電源回路11~13からの電力供給が停止している状態、即ちEN1~EN3が「Low」の状態において、起動信号が「High」となった場合、トランジスタTR1のエミッタが「High」、ベースが「Low」となる。このため、起動信号が「High」となると、抵抗R1を介してコンデンサC1を満たした後にバッファ31の入力信号buffinが「High」となるので、
図3に示すように起動信号の立ち上がりから所定時間遅延してバッファ31の出力側の信号buff1が「High」となる。
【0051】
信号buff1が「High」となると、オア回路21の出力信号、即ち電源回路11へ入力する信号EN1が「High」となり、電源回路11からマイコン80の電源端子T1への電力供給が開始される。
【0052】
このとき信号EN3は「Low」でありトランジスタTR2はOFFであるから、トランジスタTR1のベースが「High」に保たれるので、トランジスタTR1がOFF状態となり、遮断回路60は、起動信号を遮断する(起動信号の状態に関係なくトランジスタTR1のコレクタはハイインピーダンスに保たれる)。なお、トランジスタTR1がOFF状態となり、「High」の起動信号が入力されなくなってもラッチ回路50の抵抗RAがバッファ31の出力を入力側へ帰還させて、信号buff1を「High」にラッチする。
【0053】
この信号buff1が「High」となった後、
図3のとおり、信号buff2、信号buff3、そして、信号EN2、信号EN3が順次「High」となり、電源端子T1、電源端子T2、電源端子T3の順序で電力を供給する動作は、前述した電源シーケンス制御回路90の動作と同じである。
【0054】
信号EN3が「High」となり、電源回路13からの電力供給が開始されて、起動シーケンスが完了すると、トランジスタTR2のベースが「High」となり、トランジスタTR2がON状態となるので、トランジスタTR1もON状態となる。また、信号EN3が「High」となり、トランジスタTR3のベースが「High」となって、トランジスタTR3がON状態になると、抵抗RRがプルダウン抵抗として機能するので、ラッチ回路50によるバッファ31のラッチ状態が解除される。これによりバッファ31に入力される信号buffinの値(「High」又は「Low」)が、起動信号の値に従って変化する状態に復帰する。
【0055】
このため、入力端子29に入力された起動信号が「Low」となると、コンデンサC1
の放電後にバッファ31の入力信号buffinが「Low」となり、起動信号の立ち下がりエッジから所定時間遅延してバッファ31の出力側の信号buff1が「Low」となる。
【0056】
信号buff1が「Low」となると、アンド回路22の出力信号、即ち電源回路13へ入力する信号EN3が「Low」となり、電源回路13からマイコン80の電源端子T3への電力供給が停止される。
【0057】
このように停止時のシーケンスが開始され、信号EN3が「Low」、信号EN1が「High」となると、トランジスタTR1のベースが「High」に保たれるので、トランジスタTR1がOFF状態となり、遮断回路60は、起動信号を遮断する。なお、ラッチ回路50は、バッファ31の出力を入力側へ帰還させることで、信号buff1を「Low」にラッチする。
【0058】
この信号buff1が「Low」となった後、
図3のとおり、信号buff2、信号buff3、そして、信号EN2、信号EN1が順次「Low」となり、電源端子T3、電源端子T2、電源端子T1の順序で電力供給を停止する動作は、前述した電源シーケンス制御回路90の動作と同じである。
【0059】
信号EN1が「Low」となり、電源回路11からの電力供給が停止されて、停止時のシーケンスが完了すると、トランジスタTR1のベースが「Low」となるので、バッファ31に入力される信号buffinの値が、起動信号の値に従って変化する状態に復帰する。
【0060】
図6は、電源シーケンス制御回路100において、起動シーケンスの途中で停止を行った場合の各部の信号状態を示すタイミングチャートである。
図6では、横軸に時間をとり、縦軸に各信号の電圧の高さをとって、各信号の低いラインが「Low」の状態(論理値)を示し、高いラインが「High」の状態(論理値)を示している。
【0061】
電源シーケンス制御回路100において、入力端子29に入力された起動信号が「High」となると、抵抗R1を介してコンデンサC1を満たした後にバッファ31の入力信号buffinが「High」となるので、
図6に示すように起動信号の立ち上がりから所定時間遅延してバッファ31の出力側の信号buff1が「High」となる。
【0062】
信号buff1が「High」となると、オア回路21の出力信号、即ち電源回路11へ入力する信号EN1が「High」となり、電源回路11からマイコン80の電源端子T1への電力供給が開始される。
【0063】
このように起動シーケンスが開始され、信号EN3が「Low」、信号EN1が「High」となると、トランジスタTR1のベースが「High」に保たれるので、トランジスタTR1がOFF状態となり、遮断回路60は、起動信号を遮断する。なお、ラッチ回路50は、バッファ31の出力を入力側へ帰還させることで、信号buff1を
「High」にラッチする。
【0064】
そして、
図6の例では、信号buff1が「High」となった後、信号buff2が「High」になる前に、起動信号が「Low」となっている。この場合でも電源シーケンス制御回路100は、遮断回路60によって起動信号の入力を遮断し、ラッチ回路50によって信号buffin及び信号buff1をラッチしているので、起動シーケンスが中断されることはない。このため、信号buff1が「High」となった後、信号buff2及び信号buff3が順次「High」となり、信号EN2及び信号EN3が順次
「High」となって起動シーケンスを完了するまで、前述の
図3と同様に動作する。
【0065】
そして、起動シーケンスが完了し、信号EN3が「High」となると、トランジスタTR2のベースが「High」となり、トランジスタTR2がON状態となるので、トランジスタTR1もON状態となる。また、信号EN3が「High」となり、トランジスタTR3のベースが「High」となって、トランジスタTR3がON状態になると、ラッチ回路50によるバッファ31のラッチ状態が解除される。
図6の例では、このとき起動信号が「Low」となっているので、このラッチ状態が解除され、コンデンサC1の放電後にバッファ31の入力信号buffinが「Low」となる。即ち、信号EN3の立ち上がりエッジから所定時間遅延してバッファ31の出力側の信号buff1が「Low」となる。
【0066】
信号buff1が「Low」となると、アンド回路22の出力信号、即ち電源回路13へ入力する信号EN3が「Low」となり、電源回路13からマイコン80の電源端子T3への電力供給が停止される。そして、信号buff1が「Low」となった後、信号buff2及び信号buff3が順次「Low」となり、信号EN2及び信号EN1が順次「Low」となって停止時のシーケンスを完了するまで、前述の
図3と同様に動作する。
【0067】
このように電源シーケンス制御回路100は、起動シーケンスの途中で起動信号が「Low」となっても、起動シーケンスを中断せずに、起動シーケンスを完了させた後、停止シーケンスを開始するので、停止シーケンスに係るマイコン80の仕様に違反することがない。
【0068】
図7は、電源シーケンス制御回路100において、停止シーケンスの途中で起動を行った場合の各部の信号状態を示すタイミングチャートである。
図7では、横軸に時間をとり、縦軸に各信号の電圧の高さをとって、各信号の低いラインが「Low」の状態を示し、高いラインが「High」の状態を示している。
【0069】
電源シーケンス制御回路100において、信号EN1~EN3が「High」の状態で、入力端子29に入力された起動信号が「Low」となると、コンデンサC1の放電後にバッファ31の入力信号buffinが「Low」となるので、
図7に示すように起動信号の立ち下がりエッジから所定時間遅延してバッファ31の出力側の信号buff1が「Low」となる。
【0070】
信号buff1が「Low」となると、アンド回路22の出力信号、即ち電源回路13へ入力する信号EN3が「Low」となり、電源回路13からマイコン80の電源端子T3への電力供給が停止される。
【0071】
このように停止シーケンスが開始され、信号EN3が「Low」、信号EN1が「High」となると、トランジスタTR1のベースが「High」に保たれるので、トランジスタTR1がOFF状態となり、遮断回路60は、起動信号を遮断する。なお、ラッチ回路50は、バッファ31の出力を入力側へ帰還させることで、信号buff1を
「Low」にラッチする。
【0072】
そして、
図7の例では、信号buff1が「Low」となった後、信号buff2が「Low」になる前に、起動信号が「High」となっている。この場合でも電源シーケンス制御回路100は、遮断回路60によって起動信号の入力を遮断し、ラッチ回路50によって信号buffin及び信号buff1をラッチしているので、停止シーケンスが中断されることはない。このため、信号buff1が「Low」となった後、信号buff2及び信号buff3が順次「Low」となり、信号EN2及び信号EN1が順次「Lo
w」となって起動シーケンスを完了するまで、前述の
図3と同様に動作する。
【0073】
そして、停止シーケンスが完了し、信号EN1が「Low」となると、トランジスタTR1のベースが「Low」となるので、バッファ31に入力される信号buffinの値が、起動信号の値に従って変化する状態に復帰する。
図7の例では、このとき起動信号が「High」となっているので、抵抗R1を介してコンデンサC1が満たされた後にバッファ31の入力信号buffinが「High」となる。即ち、信号EN1の立ち下がりエッジから所定時間遅延してバッファ31の出力側の信号buff1が「High」となる。
【0074】
信号buff1が「High」となると、オア回路21の出力信号、即ち電源回路11へ入力する信号EN1が「High」となり、電源回路11からマイコン80の電源端子T1への電力供給が開始される。そして、信号buff1が「High」となった後、信号buff2及び信号buff3が順次「High」となり、信号EN2及び信号EN3が順次「High」となって起動シーケンスを完了するまで、前述の
図3と同様に動作する。
【0075】
このように電源シーケンス制御回路100は、停止シーケンスの途中で起動信号が「High」となっても、停止シーケンスを中断せずに、停止シーケンスを完了させた後に、起動シーケンスを開始するので、起動シーケンスに係るマイコン80の仕様に違反することがない。
【0076】
〈変形例1〉
前述の電源シーケンス制御回路100は、三系統の電源回路11~13を備えた構成としたが、これに限らず、二系統の電源を備える構成としてもよい。本変形例の電源シーケンス制御回路101は、前述の電源シーケンス制御回路100と比べて、二系統の電源回路11,12を備える構成が異なり、その他の構成は同じである。このため、同一の要素には同符号を付すなどして再度の説明を省略する。
図8は、本変形例に係る電源シーケンス制御回路101の構成を示す図である。
【0077】
図8に示すように、電源シーケンス制御回路101は、電源回路11、12や、オア回路21、アンド回路22、バッファ31、32、時定数設定回路40、ラッチ回路50、遮断回路60、解除回路70、入力端子29を備えている。
【0078】
バッファ32の出力端は、オア回路21及びアンド回路22に接続されている。オア回路21の出力端は、電源回路11に接続され、アンド回路22の出力端は、電源回路12に接続されている。
【0079】
電源回路11,12は、それぞれマイコン81の電源端子T1,T2と接続され、所定のシーケンスで各電源端子T1,T2へ電力を供給する。なお、マイコン81は、各電源端子で必要とする電力の電圧値が異なっており、電源端子T1よりも電源端子T2において高い値となっている。このため、マイコン81は、起動時のシーケンス(以下、起動シーケンスとも称す)では、電源端子T1、電源端子T2の順序で電力を供給し、停止時のシーケンスでは、電源端子T2、電源端子T1の順序で電力の供給を停止する仕様となっている。
【0080】
本変形例では、信号EN2が、起動シーケンスで最後に電力供給が開始される電源回路12、即ち、停止時のシーケンスで最初に電力供給が停止される電源回路12に入力されるので、信号EN2が、トランジスタTR2,TR3のベースに入力される。
【0081】
電源シーケンス制御回路101は、起動信号が「High」となると、
図3と同様に起動信号の立ち上がりから所定時間遅延してバッファ31の出力側の信号buff1が「High」となる。
【0082】
信号buff1が「High」となると、オア回路21の出力信号、即ち電源回路11へ入力する信号EN1が「High」となり、電源回路11からマイコン81の電源端子T1への電力供給が開始される。
【0083】
このとき信号EN3は「Low」であるため、遮断回路60が、起動信号を遮断し、ラッチ回路50が、信号buffin、信号buff1を「High」にラッチする。
【0084】
この信号buff1が「High」となった後、信号buff2、そして信号EN2が「High」となり、電源端子T1、電源端子T2の順序で電力供給が開始される。
【0085】
信号EN2が「High」となり、電源回路12からの電力供給が開始されて、起動シーケンスが完了すると、トランジスタTR2のベースが「High」となり、トランジスタTR2がON状態となるので、トランジスタTR1もON状態となる。また、信号EN2が「High」となり、トランジスタTR3のベースが「High」となって、トランジスタTR3がON状態になると、抵抗RRがプルダウン抵抗として機能するので、ラッチ回路50によるバッファ31のラッチ状態が解除される。
【0086】
また、電源シーケンス制御回路101は、入力端子29に入力された起動信号が「Low」となると、起動信号の立ち下がりエッジから所定時間遅延してバッファ31の出力側の信号buff1が「Low」となる。
【0087】
信号buff1が「Low」となると、アンド回路22の出力信号、即ち電源回路12へ入力する信号EN2が「Low」となり、電源回路13からマイコン81の電源端子T2への電力供給が停止される。
【0088】
このように停止時のシーケンスが開始され、信号EN2が「Low」、信号EN1が「High」となると、トランジスタTR1のベースが「High」に保たれるので、トランジスタTR1がOFF状態となり、遮断回路60は、起動信号を遮断する。なお、ラッチ回路50は、バッファ31の出力を入力側へ帰還させることで、信号buff1を「Low」にラッチする。
【0089】
この信号buff1が「Low」となった後、信号buff2、そして、信号EN2が「Low」となり、電源端子T2、電源端子T1の順序で電力供給が停止する。
【0090】
このように本変形例の電源シーケンス制御回路101は、マイコン81の仕様のとおり適切なタイミングで二つの電源端子T1,T2に対して電力を供給できる。
【0091】
〈変形例2〉
前述の電源シーケンス制御回路100は、三系統の電源回路11~13を備えた構成としたが、これに限らず、四系統以上の電源を備える構成としてもよい。本変形例の電源シーケンス制御回路101は、前述の電源シーケンス制御回路100と比べて、四系統の電源回路11~14を備える構成が異なり、その他の構成は同じである。このため、同一の要素には同符号を付すなどして再度の説明を省略する。
図9は、本変形例に係る電源シーケンス制御回路102の構成を示す図である。
【0092】
図9に示すように、電源シーケンス制御回路102は、電源回路11~14や、オア回
路21,23、アンド回路22,24、バッファ31~34、時定数設定回路40、ラッチ回路50、遮断回路60、解除回路70、入力端子29を備えている。
【0093】
バッファ32,33の出力端は、オア回路23及びアンド回路24に接続されている。オア回路23の出力端は、電源回路12に接続され、アンド回路24の出力端は、電源回路13に接続されている。
【0094】
バッファ34の出力端は、オア回路21及びアンド回路22に接続されている。オア回路21の出力端は、電源回路11に接続され、アンド回路22の出力端は、電源回路14に接続されている。
【0095】
電源回路11~14は、それぞれマイコン82の電源端子T1~T4と接続され、所定のシーケンスで各電源端子T1~T2へ電力を供給する。なお、マイコン82は、各電源端子で必要とする電力の電圧値が異なっており、電源端子T1よりも電源端子T2、電源端子T2よりも電源端子T3、電源端子T3よりも電源端子T4において高い値となっている。このため、マイコン82は、起動時のシーケンス(以下、起動シーケンスとも称す)では、電源端子T1、電源端子T2、電源端子T3、電源端子T4の順序で電力を供給し、停止時のシーケンスでは、電源端子T4、電源端子T3、電源端子T2、電源端子T1の順序で電力の供給を停止する仕様となっている。
【0096】
本変形例では、信号EN4が、起動シーケンスで最後に電力供給が開始される電源回路14、即ち、停止時のシーケンスで最初に電力供給が停止される電源回路14に入力されるので、信号EN4が、トランジスタTR2,TR3のベースに入力される。
【0097】
電源シーケンス制御回路102は、起動信号が「High」となると、
図3と同様に起動信号の立ち上がりから所定時間遅延してバッファ31の出力側の信号buff1が「High」となる。
【0098】
信号buff1が「High」となると、オア回路21の出力信号、即ち電源回路11へ入力する信号EN1が「High」となり、電源回路11からマイコン82の電源端子T1への電力供給が開始される。
【0099】
このとき信号EN4は「Low」であるため、遮断回路60が、起動信号を遮断し、ラッチ回路50が、信号buffin、信号buff1を「High」にラッチする。
【0100】
この信号buff1が「High」となった後、信号buff2、信号buff3、信号buff4、及び信号EN2、信号EN3、信号EN4が順次「High」となり、電源端子T1、電源端子T2、電源端子T3、電源端子T4の順序で電力供給が開始される。
【0101】
信号EN4が「High」となり、電源回路14からの電力供給が開始されて、起動シーケンスが完了すると、トランジスタTR2のベースが「High」となり、トランジスタTR2がON状態となるので、トランジスタTR1もON状態となる。また、信号EN4が「High」となり、トランジスタTR3のベースが「High」となって、トランジスタTR3がON状態になると、抵抗RRがプルダウン抵抗として機能するので、ラッチ回路50によるバッファ31のラッチ状態が解除される。
【0102】
また、電源シーケンス制御回路102は、入力端子29に入力された起動信号が「Low」となると、起動信号の立ち下がりエッジから所定時間遅延してバッファ31の出力側の信号buff1が「Low」となる。
【0103】
信号buff1が「Low」となると、アンド回路22の出力信号、即ち電源回路14へ入力する信号EN4が「Low」となり、電源回路14からマイコン82の電源端子T4への電力供給が停止される。
【0104】
このように停止時のシーケンスが開始され、信号EN4が「Low」、信号EN1が「High」となると、トランジスタTR1のベースが「High」に保たれるので、トランジスタTR1がOFF状態となり、遮断回路60は、起動信号を遮断する。なお、ラッチ回路50は、バッファ31の出力を入力側へ帰還させることで、信号buff1を「Low」にラッチする。
【0105】
この信号buff1が「Low」となった後、信号buff2、信号buff3、信号buff4、そして、信号EN2、信号EN3、信号EN4が順次「Low」となり、電源端子T4、電源端子T3、電源端子T2、電源端子T1の順序で電力供給が停止する。
【0106】
このように本変形例の電源シーケンス制御回路102は、マイコン82の仕様のとおり適切なタイミングで四つの電源端子T1~T4に対して電力を供給できる。また、本変形例は、電源シーケンス制御回路102が、四系統の電源回路11~14を備えた例を示したが、これに限らず、電源シーケンス制御回路が、五系統以上(任意の系統数)の電源回路を備え、シーケンス回路20が当該五系統以上の電源回路による電力供給の開始又は停止を規定の順序で行わせる構成であってもよい。この場合、上記信号EN4に代えて、ENn(nは最後の系統の番号)を用いて、遮断回路60のトランジスタTR1,TR2をON/OFFする。これにより任意の系統数の電源回路を備えた電源シーケンス制御回路に本発明を適用でき、適切なシーケンスで電力を供給することができる。
【0107】
〈変形例3〉
前述の電源シーケンス制御回路100は、抵抗RAでバッファ31の出力信号を入力側へ帰還させたが、これに限らず、他の素子でバッファ31の出力信号を入力側へ帰還させてもよい。本変形例の電源シーケンス制御回路103は、前述の電源シーケンス制御回路100と比べて、ラッチ回路50の構成が異なり、その他の構成は同じである。このため、同一の要素には同符号を付すなどして再度の説明を省略する。
図10は、本変形例に係る電源シーケンス制御回路103の構成を示す図である。
【0108】
電源シーケンス制御回路103は、ラッチ回路50Aとして、インバータ(NOT回路)51,52を備えている。電源シーケンス制御回路103は、
図1の電源シーケンス制御回路100と比べ、バッファ31に代えてインバータ51を備えている。即ち、インバータ51は、一端が時定数設定回路40の抵抗R1、及び遮断回路60のトランジスタTR1を介して入力端子29と接続され、他端が、オア回路21に接続されている。インバータ52は、インバータ51の出力を反転させてインバータ51の入力へ帰還させる。これによりインバータ51及びインバータ52は、互いに信号を反転させてオア回路21へ入力する信号buff1をラッチする。なお、解除回路70によるラッチの解除や、遮断回路60による起動信号の遮断は、前述の電源シーケンス制御回路100と同様である。
【0109】
本変形例の電源シーケンス制御回路102は、起動シーケンスや停止シーケンスが開始されると、遮断回路60で起動信号を遮断し、インバータ51,52で信号buff1をラッチする。これにより、起動シーケンスや停止シーケンスの途中で起動信号が反転しても前述の電源シーケンス制御回路100と同様に、マイコン80の仕様に違反することなく適切なシーケンスで電力を供給することができる。
【0110】
〈変形例4〉
前述の電源シーケンス制御回路100は、抵抗RAでバッファ31の出力信号を入力側へ帰還させたが、これに限らず、スイッチング素子でバッファ31の出力信号を入力側へ帰還させてもよい。本変形例の電源シーケンス制御回路104は、前述の電源シーケンス制御回路100と比べて、ラッチ回路、遮断回路、解除回路の構成が異なり、その他の構成は同じである。このため、同一の要素には同符号を付すなどして再度の説明を省略する。
図11は、本変形例に係る電源シーケンス制御回路104の構成を示す図である。
【0111】
電源シーケンス制御回路104は、ラッチ回路50Bとして、トランジスタTR4、TR5や、ダイオードD1,D2を有している。
【0112】
トランジスタTR4、TR5は、スイッチング素子の一形態であり、信号EN1、EN3に応じてON/OFFを行う素子であれば、他のスイッチング素子であってもよい。
【0113】
トランジスタTR4(第二のスイッチング素子)は、npn型であり、エミッタがバッファ31の出力側に接続され、コレクタがダイオードD1のカソードに接続され、ベースに信号EN1が入力される。当該ダイオードD1のアノードはバッファ31の入力側に接続されている。
【0114】
トランジスタTR5(第一のスイッチング素子)は、npn型であり、コレクタがバッファ31の入力側に接続され、エミッタがダイオードD2のカソードに接続され、ベースに信号EN3が入力される。当該ダイオードD1のアノードはバッファ31の入力側に接続されている。なお、本例において、信号EN3は、起動シーケンスで最後に電力供給が開始される電源回路13、即ち、停止時のシーケンスで最初に電力供給が停止される電源回路13に入力される信号である。
【0115】
電源シーケンス制御回路104は、入力端子29に入力される起動信号が「High」となると、抵抗R1を介してコンデンサC1を満たした後にバッファ31の入力信号buffinが「High」となるので、
図3に示すように起動信号の立ち上がりから所定時間遅延してバッファ31の出力側の信号buff1が「High」となる。
【0116】
信号buff1が「High」となると、オア回路21の出力信号、即ち電源回路11へ入力する信号EN1が「High」となり、電源回路11からマイコン80の電源端子T1への電力供給が開始される。
【0117】
このとき信号EN3は「Low」であり、トランジスタTR5のベースが「Low」に保たれるので、トランジスタTR5がON状態となり、ダイオードD2及びトランジスタTR5を介してバッファ31の出力を入力側へ帰還させる。これにより信号buffin、信号buff1が「High」にラッチされる。このとき起動信号が「Low」となり、入力端子29側が「Low」に保たれたとしても、抵抗R1よりもバッファ31側は、ラッチ回路50Bによるバッファ31の出力の帰還により「High」に保たれる。このため抵抗R1は、本例において、遮断回路60Aとしても機能する。
【0118】
また、信号buff1が「High」となった後は、信号buff2、信号buff3、及び信号EN2、信号EN3が順次「High」となり、電源端子T1、電源端子T2、電源端子T3の順序で電力供給が開始される。
【0119】
この起動シーケンスが完了し、信号EN1が「High」となると、トランジスタTR5がOFF状態となり、ラッチ回路50Bによるラッチが解除される。このため起動時において、トランジスタTR5は、解除回路70Aとしても機能する。
【0120】
そして、電源シーケンス制御回路104は、入力端子29に入力された起動信号が「Low」となると、起動信号の立ち下がりエッジから所定時間遅延してバッファ31の出力側の信号buff1が「Low」となる。
【0121】
信号buff1が「Low」となると、アンド回路22の出力信号、即ち電源回路13へ入力する信号EN3が「Low」となり、電源回路13からマイコン82の電源端子T3への電力供給が停止される。
【0122】
また、信号buff1が「Low」となり、信号EN1が「High」であると、トランジスタTR4がON状態となり、ダイオードD1及びトランジスタTR4を介してバッファ31の入力側から出力側を導通させ、バッファ31をバイパスして、信号buff1を「Low」にラッチする。このためトランジスタTR4がON状態のとき、即ち停止シーケンス中に起動信号が「High」となっても信号buff1が「Low」に保たれる。
【0123】
この信号buff1が「Low」となった後、信号buff2、信号buff3、そして、信号EN2、信号EN3が順次「Low」となり、電源端子T3、電源端子T2、電源端子T1の順序で電力供給が停止する。
【0124】
このように本変形例の電源シーケンス制御回路104は、マイコン83の仕様のとおり適切なタイミングで電源端子T1~T3に対して電力を供給できる。
【0125】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0126】
1 :抵抗
11~14 :電源回路
20 :シーケンス回路
21 :オア回路
22 :アンド回路
31~34 :バッファ
40 :時定数設定回路
50 :ラッチ回路
60 :遮断回路
70 :解除回路
80~83 :マイコン
100 :電源シーケンス制御回路