(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】吸収性脂肪族ポリウレタン発泡体製品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/00 20060101AFI20221018BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20221018BHJP
A61F 13/532 20060101ALI20221018BHJP
A61F 13/535 20060101ALI20221018BHJP
A61F 13/533 20060101ALI20221018BHJP
A61F 13/536 20060101ALI20221018BHJP
A61F 13/02 20060101ALI20221018BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20221018BHJP
A41C 3/04 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
A61F13/00 301J
A61F13/00 351
A61F13/53 300
A61F13/532 200
A61F13/535 200
A61F13/533
A61F13/536
A61F13/02 310H
A61F13/02 310A
A61F13/00 301A
A61F13/02 310F
A61F13/02 310T
A61F13/02 390
A61F13/15 350
A41C3/04 B
A61F13/15 352
(21)【出願番号】P 2019517179
(86)(22)【出願日】2017-06-09
(86)【国際出願番号】 GB2017051694
(87)【国際公開番号】W WO2017212292
(87)【国際公開日】2017-12-14
【審査請求日】2020-06-09
(32)【優先日】2016-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】518435688
【氏名又は名称】センティエント フォームズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デヴィッドソン,ロデリック
(72)【発明者】
【氏名】コラララージュ,シャミンダ
【審査官】津田 健嗣
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-527349(JP,A)
【文献】特表2015-521079(JP,A)
【文献】特開2015-181790(JP,A)
【文献】登録実用新案第3187099(JP,U)
【文献】特開2013-078366(JP,A)
【文献】特開2015-186511(JP,A)
【文献】特開2000-045503(JP,A)
【文献】特表2013-532216(JP,A)
【文献】特表2013-517097(JP,A)
【文献】特表2015-517874(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/00-13/84
B29C 59/00
A61L 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの賦形面を有する吸収性脂肪族ポリウレタン発泡体製品であって、前記賦形面が一つ以上のへこみ部分及び一つ以上の隆起部分を備え、
前記一つ以上の隆起部分が、前記一つ以上のへこみ部分よりも低い密度を有し、前記一つ以上の隆起部分が、100~140kg/m
3の密度を有し、前記一つ以上のへこみ部分が、140~180kg/m
3の密度を有し、
前記一つ以上の隆起部分は、前記一つ以上のへこみ部分よりも流体の吸収性が高く、
前記一つ以上のへこみ部分は、前記一つ以上の隆起部分と比較すると、流体滴吸収速度がより速
く、
前記へこみ部分は、前記隆起部分よりも流体保持率が低い、吸収性製品。
【請求項2】
前記へこみ部分は、前記隆起部分と比較すると、吸収試験後厚さ増加率が低減されている
、請求項1に記載の吸収性製品。
【請求項3】
(a)前記隆起部分は、以下の特性、すなわち、
(i)約40g/100cm
2を超える吸収性、
(ii)約5g/gを超える吸収性、
(iii)約50%を超える流体保持率、
(iv)約40%を超える吸収性試験後の厚さ増加率、
(v)約1~4.3秒の流体滴吸収速度
のうちの一つ以上を有する、及び/又は、
(b)前記へこみ部分は、以下の特性、すなわち、
(i)約40g/100cm
2未満の吸収性、
(ii)約5g/g未満の吸収性、
(iii)約50%未満の流体保持率、
(iv)約40%未満の吸収性試験後の厚さ増加率、
(v)約1秒未満の流体滴吸収速度、
のうちの一つ以上を有する、請求項2に記載の吸収性製品。
【請求項4】
(i)前記賦形面が、一つ以上の隆起部分を設けるように前記面に形成された、連結すなわち相互連結へこみのパターンを備え、任意選択的に、連結へこみの前記パターンが非直線であり、少なくとも三つの主方向に、好ましくは角度が付いた広がりで、さらに好ましくはハニカムパターンの形で進行し、任意選択的に、前記隆起部分が本質的に円形又は六角形の断面である、及び/又は、
(ii)前記賦形面が、前記面に形成された、連結すなわち相互連結隆起部分のパターンを備え、好ましくは、前記賦形面が、前記製品の一縁部から、(正反対に)対向する又は実質的に平行である縁部まで実質的に延びる細長い中心隆起部分と、前記中心隆起部分から、好ましくは実質的に前記製品の一つ以上の縁部まで延びる複数の追加の細長い隆起部分とを含む、及び/又は、
(iii)前記賦形面が、前記面に形成された、連結すなわち相互連結へこみ部分のパターンを備え、好ましくは、前記賦形面が、前記製品の一縁部から、(正反対に)対向する又は実質的に平行である縁部まで実質的に延びる細長い中心へこみ部分と、前記中心へこみ部分から、好ましくは実質的に前記製品の一つ以上の縁部まで延びる複数の追加の細長いへこみ部分とを含む、及び/又は、
(iv)前記賦形面がV形すなわちヘリンボーンの輪郭を含む、及び/又は
(v)前記賦形面が、前記面の本質的に中心に位置するへこみ部分から放射状に延びる複数の細長いへこみ部分を備え、任意選択的に、前記中心のへこみ部分が本質的に円形であり、好ましくは直径が約5~50mmである、及び/又は
(vi)前記賦形面が傾斜縁部を備え、好ましくは前記傾斜が前記製品の周縁部の最も外側の0.2cm以内に備えられ、好ましくは前記発泡体の密度が約80~500kg/cm
3の間である、請求項1~3のいずれか一項に記載の吸収性製品。
【請求項5】
以下の特性、すなわち、
(i)約100~180kg/m
3の密度、
(ii)約85g/100cm
2を超える吸収性、
(iii)約14.5g/gを超える吸収性、
(iv)約58%を超える流体保持率、
(v)約11%超える吸収性試験後の厚さ増加率、
(vi)約4.3秒未満の流体滴吸収速度、
のうちの一つ以上を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の吸収性脂肪族ポリウレタン発泡体製品。
【請求項6】
一つ以上の添加物/活性成分をさらに含み、任意選択的に、前記一つ以上の添加物/活性成分が一つ以上の医薬品を含む、及び/又は、前記一つ以上の添加物/活性成分が以下のもの、すなわち、
i)クロルヘキシジン、
ii)銀又はその塩、
iii)塩化ナトリウム、
のうちの一つ以上を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の吸収性製品。
【請求項7】
ポリウレタン層を備え、さらにフィルム層及び/又はアルギン酸塩ベースの層を備える、及び/又は、第1のポリウレタン層が第2のポリウレタン層にラミネートされ又は並置され、前記第2の層が第1の層とは異なる特性を有し、任意選択的に、
(i)前記第2の層が熱形成可能である、及び/又は、
(ii)前記第2の層が、前記第1の層とは異なる吸収性、たとえば、前記第1の層よりも高いもしくは低い吸収性、及び/又は低い流体保持率を有する、及び/又は、
(iii)前記第1の層が賦形され、好ましくは前記第1の層が賦形ローラによって賦形され、より好ましくは前記第2の層が賦形されない、及び/又は、
(iv)前記製品が、不織材料の層をさらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の吸収性製品。
【請求項8】
前記製品が、乳房又はかかとなどの身体の部分の輪郭に合致するように成形される、及び/又は、前記吸収性製品が、被覆材、創傷被覆材、パッド、乳房パッド、授乳パッド、ヒールパッド、褥瘡予防パッド、尿失禁パッド、生理用パッド、おむつ(おしめ)、生理用品、衛生用製品、女性用衛生用品、又はマタニティタオルである、請求項1~7のいずれか一項に記載の吸収性製品。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の賦形吸収性ポリウレタン発泡体製品を製造する方法であって、前記方法が、
a)発泡ポリウレタンプレポリマー組成物を用意及び/又は調製するステップと、
b)前記発泡組成物を硬化させるステップと、
c)前記発泡組成物を賦形して一つ以上のへこみ部分及び/又は一つ以上の隆起部分を備える賦形面を形成するステップと、
d)前記発泡組成物を乾燥させるステップと
を含み、前記賦形ステップ(c)が前記乾燥ステップ(d)の前に行われる、方法。
【請求項10】
前記ポリウレタン発泡体が脂肪族ポリウレタン発泡体である、及び/又は、前記ポリウレタン発泡体が親水性脂肪族ポリウレタン発泡体である、及び/又は、前記ポリウレタン発泡体が、脂肪族イソシアネートベースのプレポリマーを触媒の存在下で水及び界面活性剤と反応させることを含む方法によって調製される、及び/又は、ステップ(c)が賦形ローラを使用して実行される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
e)少なくとも一つのポリウレタンプレポリマーを含む組成物を用意するステップと、 f)前記組成物を発泡させて、ステップa)の前記発泡ポリウレタンプレポリマー組成物を形成するステップと
をさらに含み、任意選択的に、ステップ(e)の前記組成物が、
(i)剥離紙の上に提供されるか、又は一つ以上の剥離紙の間に積層され、かつ/又は (ii)一つの層として、フィルム層の上、又はフィルム層とアルギン酸塩ベースの層との間に、好ましくは接着剤なしで用意される、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
すべての賦形が乾燥ステップ(d)の前に行われる、及び/又は、前記賦形ステップ(c)が、前記硬化ステップ(b)の後に、かつ前記乾燥ステップ(d)の前に行われる、及び/又は、前記賦形ステップ(c)が、前記発泡体がその最終サイズまで増大した後に、かつ前記乾燥ステップ(d)の前に行われる、及び/又は、前記賦形ステップ(c)が、前記発泡体が完全に硬化した後に、かつ前記乾燥ステップ(d)の前に行われる、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
一つ以上の添加物/活性成分を前記発泡体製品に組み入れることを含む、及び/又は、前記発泡体製品を一つ以上の添加物/活性成分でコーティングすることを含み、任意選択的に、前記添加物/活性成分が前記プレポリマー組成物の中に提供される、及び/又は、前記添加物/活性成分を組み入れることが硬化前及び/又は硬化中に行われる、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~8のいずれか一項に記載の賦形吸収性ポリウレタン発泡体製品を製造する装置であって、前記装置が、
a)硬化手段と、
b)乾燥手段と、
c)一つ以上のへこみ部分及び/又は一つ以上の隆起部分を備える賦形面を形成する賦形手段と、
を備え、前記賦形手段(c)が、前記硬化手段と前記乾燥手段の間に動作可能に置かれる、装置。
【請求項15】
前記賦形手段が賦形ローラを備え、任意選択的に、前記賦形ローラが加熱される、及び/又は、前記装置が、以下のもの、すなわち、
d)混合ヘッド、
e)発泡体厚さ調整手段、
f)一つ以上のペイオフローラ、
g)張力制御手段、
h)巻き戻しリール
のうちの一つ以上をさらに備える、請求項14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一製品に関する。詳細には、本発明は吸収性の物品及び製品、特に、いくつかの製造利点を有する、賦形発泡による吸収性製品に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡体は、創傷被覆材及び生理用品などの吸収性物品の製造において広く使用されている。
【0003】
このような吸収性物品を製造する際に困難なことは、吸収性の程度と着用者が感じる快適さの間で適切なトレードオフを実現することである。従来形状の発泡パッド及び被覆材には、着用者の皮膚と接触する領域での圧力点という問題、及び/又は包帯を当てたり被せたりした領域での空気循環の不足という問題がある。
【0004】
WO2007/033678は、湿潤中に制御可能に膨張する創傷被覆材に関するものである。その被覆材はバッキング層及び吸収層を備え、この吸収層は、創傷対向面の少なくとも50%を覆う一連の離散した発泡パッドを備える。
【0005】
WO2007/033679は傾斜縁部付き発泡創傷被覆材に関するものであり、発泡体の縁部の密度は発泡体の中心部の密度よりも高い。縁部の密度が高いことにより創傷滲出液漏洩が防止される。
【0006】
WO2004/047695では、一連の粘着性の島を画定する多数のへこみを備える、身体の関節又は湾曲部分のための被覆材を開示している。そのへこみ及び粘着性の島は、皮膚の外に向く面にある。
【0007】
このような吸収性物品の製造における律速段階は、その物品が製造ラインから送り出された後に発泡体を外形形成、成形又はエンボス加工する必要があるということである。
【0008】
WO2010/003559には、低分子量脂肪族ジイソシアネートベースのポリウレタン発泡体を製造するための処理が記載されており、発泡体は硬化処理にかけられる。発泡体は、調製された後にシートに形成される。US2002/0160037は、硬化の前に型に入れて形成されるポリウレタンマトリクス創傷被覆材を記載している。WO2007/033678もまた、硬化の前に発泡体パッドを外形形成することを記載している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、快適でもあり、被覆されたり覆われたりする領域の十分な空気流が可能でもあるとともに、時間効率がよく、コスト効率がよい製造プロセスによって製造できる、賦形吸収性発泡製品が当技術分野で必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、賦形吸収性の発泡体(profiled absorbent foams)及び発泡製品(発泡体製品)、特に脂肪族の発泡体及び発泡製品が、流体の吸収中に有利な毛細管運動効果を示すことを見出した。
【0011】
さらに、本発明者らは、吸収性の発泡体及び発泡製品、特に脂肪族の発泡体及び発泡製品が、製品製造プロセスに従って成形、賦形、エンボス加工又は外形形成できることを見出した。
【0012】
したがって第1の態様では、本発明は、少なくとも一つの賦形面を有する吸収性脂肪族ポリウレタン発泡製品を提供する。本発明の発泡製品は、本発明の方法によって入手可能であってよく、又は入手されてよい。
【0013】
第2の態様では、本発明は、賦形吸収性ポリウレタン発泡製品を製造する方法を提供し、前記方法は、
a)発泡ポリウレタンプレポリマー組成物を用意するステップと、
b)発泡組成物を硬化させるステップと、
c)発泡組成物を賦形する(profiling)ステップと、
d)発泡組成物を乾燥させるステップと
を含み、前記賦形するステップ(c)が、前記乾燥させるステップ(d)の前に行われる。
【0014】
第3の態様では、本発明は、賦形吸収性ポリウレタン発泡製品を製造する装置を提供し、前記装置は、
a)硬化させる手段と、
b)乾燥させる手段と、
c)賦形する手段と
を備え、前記賦形手段(c)が、硬化させる手段と乾燥させる手段の間に動作可能に設置される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1A】発泡体ライン製造アセンブリに使用される賦形ローラの注釈付き図であり、ハニカム輪郭(賦形)ローラの拡大構造を示す。
【
図1B】発泡体ライン製造アセンブリに使用される賦形ローラの注釈付き図であり、製造ライン上の賦形ローラの配置を示す。
【
図2】発泡体ライン製造アセンブリの注釈付き図である。
【
図3】傾斜縁部(面取り縁部)を有する発泡被覆材をmm単位の寸法で示す図である。
【
図4】「ディンプル付き(dimpled)」輪郭を有する、又は隆起部分及びへこみがある輪郭を有する発泡被覆材を示す図である。Aは清浄な被覆材を示す。Bは人工血液で検証された被覆材を示す。
【
図5】反転ヘリンボーンすなわち「V形」輪郭を有する発泡被覆材を、mm単位の寸法で示す図である。
【
図6】反転「花形」輪郭を有する発泡被覆材を、mm単位の寸法で示す図である。
【
図7】様々な発泡製品の吸収性(g/100cm
2)の比較棒グラフである。
【
図8】様々な発泡製品の吸収性(g/g)の比較棒グラフである。
【
図9】様々な発泡製品の流体保持率(%)の比較棒グラフである。
【
図10】様々な発泡製品の厚さ増加率(%)の比較棒グラフである。
【
図11】様々な発泡製品の吸収速度(s)の比較棒グラフである。
【
図12】「花形」輪郭を有する発泡被覆材を、mm単位の寸法で示す図である。
【
図13】ヘリンボーンすなわち「V形」輪郭を有する発泡被覆材を、mm単位の寸法で示す図である。
【
図14A】本発明の褥瘡予防パッド/褥瘡創傷パッドを示す図である。
【
図14B】パッド断面をmm単位の寸法で示す図である。
【
図15】本発明の花形被覆材の圧縮部分と非圧縮部分の吸収性(g/100cm
2)の比較棒グラフである。
【
図16】本発明の花形被覆材の圧縮部分と非圧縮部分の吸収性(g/g)の比較棒グラフである。
【
図17】本発明の花形被覆材の圧縮部分と非圧縮部分の厚さ増加率(%)の比較棒グラフである。
【
図18】本発明の花形被覆材の圧縮部分と非圧縮部分の吸収速度(s)の比較棒グラフである。
【
図19】本発明の花形被覆材の圧縮部分と非圧縮部分の流体保持率(%)の比較棒グラフである。
【
図20】
図15~19の試験を実施するために使用された花形被覆材の写真画像である。試験前の被覆材の厚さは圧縮部分で1.3mm、非圧縮部分で4.4mmである。試験前の被覆材の重量は6.29gであった。
【
図21】本発明の、人工血液で検証されたヘリンボーン輪郭被覆材の下側(すなわち非賦形側)の代表的な写真画像である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書で用いられる、単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」及び「その(the)」は、特に指示がない限り単数と複数の両方の指示対象を含むことに留意されたい。
【0017】
本明細書で用いられる用語の「備えている(comprising)」、「備える(comprises)」、「~から成る(comprised of)」は、「含んでいる(including)」、「含む(includes)」又は「含んでいる(containing)」、「含む(contains)」と同義であり、包含的又は非限定的(open-ended)であり、追加、非列挙の部材、要素又は方法ステップを排除しない。用語の「備えている」、「備える」、「~から成る」はまた、用語の「~のみから成る(consisting of)」を含む。
【0018】
本発明の賦形吸収性ポリウレタン発泡製品は、追加層又は活性成分を含まない基本的な発泡パッドとすることができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、本発明の吸収性製品は、剥離紙層、バッキング層、フィルム、支持フィルム、アルギン酸塩ベースの層、接着層又は追加吸収層などの追加層を備えることができる。
【0020】
吸収性製品の賦形面は、任意のテクスチャード加工、エンボス加工若しくはレリーフのパターン又はデザインでよい。
【0021】
吸収性製品は、一つ以上の添加物又は活性成分を含むことができる。
【0022】
賦形面
「賦形される(profiled)」とは、本発明の吸収性発泡体又は発泡製品が、たとえば、成形される、外形形成される、テクスチャード加工される、インプリントされる、隆起する、へこむ、エンボス加工される、又はレリーフの形状にされることを意味する。このような賦形は、発泡体を板又はローラと接触させることによって行うことができる。このような板又はローラはその面に、発泡体にエンボス加工又はインプリントされるテンプレートレリーフパターンを備え得る。いくつかの実施形態では、用語の「賦形された」は、本発明の方法に同様に適用可能な方法である、硬化前における発泡体の成形又は注型を包含しない。
【0023】
本発明の賦形面は、本明細書では非圧縮部分とも呼ばれる一つ以上の隆起部分又はレリーフ部分を備えることができる。このような隆起又はレリーフ部分は、当技術分野でバンプ又はディンプル(dimple)と呼ばれることがあり、製品表面にいわゆる「丘と谷」効果を生み出す。
【0024】
賦形面は、たとえば、このような「丘」と「谷」の構造及び形状の観点から定義することができる。
【0025】
隆起(非圧縮)部分は、本明細書で圧縮部分とも呼ばれる谷又はへこみに対して隆起させることができる。その隆起部分は、吸収性製品の皮膚又は創傷の対向面にあり得る。隆起部分すなわち「丘」は着用者の皮膚と接触し得るが、へこみすなわち「谷」は着用者の皮膚と接触することがなく、したがって、創傷、皮膚、流体を滲出する領域、又はこの製品によって覆われる領域の空気流を改善することができる。
【0026】
したがって、一つの実施形態では、賦形面は、一つ以上の隆起(非圧縮)部分及び/又は一つ以上のへこみ(圧縮)部分を備える。賦形面は、一つ以上のへこみ(圧縮)部分及び一つ以上の隆起(非圧縮)部分を備え得る。
【0027】
本発明の吸収性発泡製品は、流体吸収中の有利な又は好適な毛細管運動作用又は効果を有する。理論に拘束されることを望むものではないが、ここでは、凝縮された発泡体の圧縮部分又は領域(すなわち「谷」)に接触する流体は、この毛細管運動効果によって圧縮部分から非圧縮部分又は領域(すなわち「丘」)に吸い出されると考えられる。非圧縮部分が最大容積の流体を吸収した(すなわち、丘が流体で「満杯」になっている)場合、それ以上は「満杯の」丘で吸収できない過剰な流体が、最大容積まではまだ流体を吸収していない別の丘へと毛細管運動効果によって吸い出される。それによって、発泡製品の賦形面の非圧縮部分は、吸収された流体の貯蔵器として機能する。このようにして、吸収された流体は、非賦形製品におけるよりも均一に発泡体製品全体に分布する。
【0028】
したがって、ある実施形態では、本発明の吸収性製品のへこみ領域又は圧縮領域が創傷又は流体滲出領域に接触すると、滲出液が創傷領域又は流体滲出領域から、創傷又は流体滲出領域に接触していない近傍の隆起領域又は非圧縮領域に吸い出される。それによって、この賦形吸収性製品の機能は、不快な滲出液が患部との接触から吸い出されるので、他の形状の被覆材とは対照的に、着用者の快適性の向上という利点をもたらす。
【0029】
本発明の吸収性発泡製品の賦形面は、任意のテクスチャード加工、エンボス加工若しくはレリーフのパターン又は形状のデザインでよい。しかし、ある形状及びデザインについて、特定の技術的利点を伴うものとして以下で説明する。
【0030】
同一又は異なる実施形態において、本発明の賦形面は、多数などの一つ以上の隆起部分(非圧縮部分又は島)を設けるように前記面に形成された、連結すなわち相互連結へこみ(圧縮部分)のパターンを備える。本発明の隆起(非圧縮)部分は、別個の隆起部分とすることができる。
【0031】
連結すなわち相互連結へこみのパターンは、前記面に第1の方向に形成された第1のへこみと、前記面に第1の方向と異なる第2の方向に形成された第2のへこみと、前記面に第1の方向及び第2の方向と異なる第3の方向に形成された第3のへこみとを含み得る。
【0032】
第1、第2及び第3のへこみは出会ったり交差したりし得る。第1、第2及び第3のへこみは、たとえばその全長にわたって非直線である、非直線の連結へこみのパターンの形状でよい。第1、第2及び第3のへこみは、少なくとも三つの主方向に進行し得る。連結へこみのパターンは、角度が付いた広がりを有してよい。
【0033】
隆起(非圧縮)部分のそれぞれは、任意の断面形状であってよく、特に互いに隙間なく埋め尽くすことができる形状であってよく、より具体的には一様な断面形状であってよい。たとえば、隆起部分は本質的に円形、多角形、六角形、八角形、長方形、正方形又は三角形の断面にすることができる。円形又は六角形の断面の隆起部分が好ましい。
【0034】
より好ましくは、へこみがハニカムパターンの形状であり、このへこみは、吸収性製品の最大厚さを有する隆起(非圧縮)部分のパターンを画定することが好ましい。
【0035】
連結へこみのパターンは、本発明の吸収性製品の創傷又は皮膚の対向面の半分を越えて、たとえば実質的に全部を覆うことができる。
【0036】
複数の隆起部分は、前記へこみによって互いに分離することができ、前記複数の隆起部分(ディンプル)が垂直、水平又は対角のいずれかに連続して配置される。
【0037】
本発明によるディンプル付き吸収性発泡製品(被覆材)が
図4に示されている。
【0038】
特性
「吸収性」は、発泡体又は発泡製品がそのセル構造体の中に流体を吸収できることを意味する。適切には、発泡製品は前記流体を保持し、たとえば、発泡製品は、それ自体の重量の30倍までの流体を吸収し保持することができる。いくつかの実施形態では、本発明の発泡製品はそれ自体の重量の15倍以上の、好ましくはそれ自体の重量の20倍以上の流体を吸収する。
【0039】
本発明の製品の吸収性を測定するための適切な吸収性試験が当技術分野で知られている。この試験は、製品の重量を計量すること、及び/又はその表面積を計算すること、製品を生理食塩水の中に、たとえば約36℃で0.9重量%の(過剰)生理食塩水の中に入れること、製品を恒温器の中に、たとえば約35℃で約30分間入れること、製品を垂直につるすこと、次いで、製品の重量を再計量して吸収性をたとえばg/g又はg/100cm2の単位で計算することを含み得る。
【0040】
この吸収性試験に続いて、製品は次に、4kgの質量でたとえば約30秒間均一に圧縮され、重さが再計量されてよい。場合により、製品は手で主観的に圧縮され、重さが再計量されてもよい。これにより、製品の流体保持率(%)の計算が可能になる。
【0041】
吸収による製品の厚さ増加率(%)は、上述の吸収性試験の前後に製品の厚さを(たとえばmm単位で)測定することによって決定することができる。
【0042】
その結果、本発明の発泡製品は、発泡製品の表面積100cm2当たりの流体の吸収性(g/100cm2)が約85gを超え、好ましくは約85~135g、好ましくは約95~125g、好ましくは約105~115g、最も好ましくは約110gであり得る。
【0043】
追加的又は代替的に、本発明の発泡製品は、発泡製品のg当たりの流体の吸収性(g/g)が14.5gを超え、好ましくは約14.5~16.5g、好ましくは約15~16g、好ましくは約15.5gであり得る。
【0044】
追加的又は代替的に、本発明の吸収性発泡製品は、流体保持率が約58%を超え、好ましくは約58~70%、好ましくは約60~67%、好ましくは約63%であり得る。
【0045】
追加的又は代替的に、本発明の吸収性発泡製品は、吸収試験後厚さ増加率が約11%を超え、好ましくは約11~30%、好ましくは約15~25%、好ましくは約19%であり得る。
【0046】
別の試験では、シリンジ(針が装着されていない)から排出される流体滴の吸収速度を測定することができる。この流体滴は生理食塩水でよい。シリンジは約2mmの口径又は開口を有してよい。この試験は、滴を製品の上に落下させること、及び製品表面との滴の接触から製品中への滴の完全な吸収までの間隔を時間測定することを含む。
【0047】
その結果、本発明の吸収性発泡製品は、流体滴吸収速度が約4.3秒未満であり、好ましくは約4秒未満、好ましくは約3秒未満、好ましくは約2秒未満、より好ましくは約1秒未満であり得る。
【0048】
本発明の吸収性発泡製品は、流体吸収中の有利な又は好適な毛細管運動作用又は効果を有する。
【0049】
一実施形態では、本発明は、以下の特性、すなわち、
(i)約100~180kg/m3の密度、
(ii)約85g/100cm2を超える吸収性(たとえば、本明細書に記載の吸収試験で測定されたとき)、
(iii)約14.5g/gを超える吸収性(たとえば、本明細書に記載の吸収試験で測定されたとき)、
(iv)約58%を超える流体保持率(たとえば、本明細書に記載の流体保持率試験で測定されたとき)、
(v)約11%を超える吸収性試験後の厚さ増加率(たとえば、本明細書に記載の厚さ増加率試験で測定されたとき)、
(vi)約4.3秒未満の流体滴吸収速度(たとえば、本明細書に記載の流体滴吸収試験で測定されたとき)、
のうちの一つ以上を有する吸収性脂肪族ポリウレタン発泡製品を提供し、発泡製品は賦形されていることが好ましい。
【0050】
賦形発泡製品の隆起部分又は非圧縮部分は、密度が約100~140kg/m3であり得る。発泡製品のへこみ部分又は圧縮部分は、密度が約140~180kg/m3であり得る。
【0051】
賦形発泡製品の隆起部分又は非圧縮部分は、発泡製品の表面積100cm2当たりの流体の吸収性(g/100cm2)が(たとえば、本明細書に記載の吸収性試験で決定されたとき)、約40、50、60、70又は80gを超え、たとえば約85gを超え、たとえば約80~135g、たとえば約80~100g、たとえば約85~95gであり得る。発泡製品のへこみ部分又は圧縮部分は、吸収性が、約40g/100cm2未満、たとえば約20g/100cm2未満、たとえば約10~20g/100cm2、たとえば約15g/100cm2であり得る。
【0052】
賦形発泡製品の隆起部分又は非圧縮部分は、発泡製品のg当たりの流体の吸収性(g/g)が(たとえば、本明細書に記載の吸収性試験で決定されたとき)、5、6、7、8、9、10、11又は12gを超え、たとえば約14gを超え、たとえば約14.5gを超え、たとえば約14~16g、たとえば約14~15g、たとえば約14.5gであり得る。発泡製品のへこみ部分又は圧縮部分は、吸収性が約5g/g未満、たとえば約4g/g未満、たとえば約2~4g/g、たとえば約3g/gであり得る。
【0053】
賦形発泡製品の隆起部分又は非圧縮部分は、吸収試験後厚さ増加率が(たとえば、本明細書に記載の厚さ増加率試験で決定されたとき)、約10%を超え、たとえば約40%を超え、たとえば約60~100%、たとえば約70~90%、たとえば約80%であり得る。発泡製品のへこみ部分又は圧縮部分は、吸収試験後厚さ増加率が、約60%未満、たとえば約40%未満、たとえば約30~40%であり得る。
【0054】
賦形発泡製品の隆起部分又は非圧縮部分は、流体滴吸収速度が(たとえば、本明細書に記載の流体滴吸収試験で決定されたとき)、約4.3秒未満、たとえば約4秒未満、たとえば約3秒未満であり得、かつ/又は、約0.8秒を超え、たとえば約1秒を超え、たとえば約2秒を超え得る。発泡製品のへこみ部分又は圧縮部分は、吸収速度が、約2秒未満、たとえば約1.5秒未満、たとえば約1秒未満、たとえば約0.5~1秒、たとえば約0.75秒であり得る。
【0055】
賦形発泡製品の隆起部分又は非圧縮部分は、流体保持率が(たとえば、本明細書に記載の流体保持率試験で決定されたとき)、約15%を超え、たとえば約20、30、40又は50%を超え、たとえば約58%を超え、たとえば約58~70%、たとえば約60~70%、たとえば約65%であり得る。発泡製品のへこみ部分又は圧縮部分は、流体保持率が、約50%未満、たとえば約20%未満、たとえば約5~15%、たとえば約10~15%であり得る。
【0056】
上述の試験又は検定は、EN ISO 527-2に記載されている試験に従って実施することもできる。
【0057】
したがって、本発明は、少なくとも一つの賦形面を有する吸収性脂肪族ポリウレタン発泡製品を提供し、この賦形面は、一つ以上の隆起部分又は非圧縮部分、及び一つ以上のへこみ部分又は圧縮部分を備え、
(i)へこみ部分又は圧縮部分は、隆起部分又は非圧縮部分よりも密度が高い、かつ/又は
(ii)へこみ部分又は圧縮部分は、隆起部分又は非圧縮部分よりも吸収性が低い、かつ/又は
(iii)へこみ部分又は圧縮部分は、隆起部分又は非圧縮部分と比較すると、吸収試験後厚さ増加率が低減されている、かつ/又は
(iv)へこみ部分又は圧縮部分は、隆起部分又は非圧縮部分と比較すると、流体滴吸収速度がより速い、かつ/又は
(v)へこみ部分又は圧縮部分は、隆起部分又は非圧縮部分よりも流体保持率が低い。
【0058】
本発明はまた、少なくとも一つの賦形面を有する吸収性脂肪族ポリウレタン発泡製品を提供し、この賦形面は、一つ以上の隆起部分又は非圧縮部分、及び/又は一つ以上のへこみ部分又は圧縮部分を備え、隆起部分又は非圧縮部分は、以下の特性、すなわち、
(i)約100~140kg/m3の密度、
(ii)約40g/100cm2を超える吸収性(たとえば、本明細書に記載の吸収試験で測定されたとき)、
(iii)約5g/gを超える吸収性(たとえば、本明細書に記載の吸収試験で測定されたとき)、
(iv)約50%を超える流体保持率(たとえば、本明細書に記載の流体保持率試験で測定されたとき)、
(v)約40%を超える吸収性試験後の厚さ増加率(たとえば、本明細書に記載の厚さ増加率試験で測定されたとき)、
(vi)約1~4.3秒の流体滴吸収速度(たとえば、本明細書に記載の流体滴吸収試験で測定されたとき)、
のうちの一つ以上を有し、かつ/又は、へこみ部分又は圧縮部分は、以下の特性、すなわち、
(i)約140~180kg/m3の密度、
(ii)約40g/100cm2未満の吸収性(たとえば、本明細書に記載の吸収試験で測定されたとき)、
(iii)約5g/g未満の吸収性(たとえば、本明細書に記載の吸収試験で測定されたとき)、
(iv)約50%未満の流体保持率(たとえば、本明細書に記載の流体保持率試験で測定されたとき)、
(v)約40%未満の吸収性試験後の厚さ増加率(たとえば、本明細書に記載の厚さ増加率試験で測定されたとき)、
(vi)約1秒未満の流体滴吸収速度(たとえば、本明細書に記載の流体滴吸収試験で測定されたとき)、
のうちの一つ以上を有する。
【0059】
本発明の賦形脂肪族ポリウレタン発泡層などの発泡体又は発泡製品は、最大厚さが10、9、8、7、6、5、4、3又は2mm以下であり得る。たとえば隆起部分又は非圧縮部分の最大厚さは、10、9、8、7、6、5、4、3又は2mm以下であり得る。へこみ部分又は圧縮部分の最大厚さは、5、4、3、2、1.5、1又は0.5mm以下であり得る。好ましい実施形態では、隆起部分又は非圧縮部分の最大厚さは、約3~6mmの間、たとえば約4.4mm又は4.5mmであり、へこみ部分又は圧縮部分の最大厚さは、約1~2mmの間、たとえば約1.3mm又は1.5mmである。
【0060】
ヘリンボーン又はV形の輪郭
本発明のいくつかの実施形態では、賦形面は、前記面に形成された連結すなわち相互連結隆起(非圧縮)部分のパターンを備える。
【0061】
一実施形態では、賦形面は、吸収性製品の一縁部から、(正反対に)対向する又は実質的に平行である縁部まで実質的に延びる、細長い中心へこみ(圧縮)部分と、中心へこみ(圧縮)部分から、好ましくは実質的に製品の一つ以上の縁部まで延びる、複数の追加の細長いへこみ(圧縮)部分とを備え得る。追加の細長いへこみ(圧縮)部分は、互いに平行であり得る。追加のへこみ(圧縮)部分のそれぞれは、中心へこみ(圧縮)部分からのその延長線の点において、中心へこみ(圧縮)部分と鋭角を形成し得る。
【0062】
したがって、賦形面は、V形すなわちヘリンボーンの輪郭を備え得る。結果として生じる外観は、
図13に示されるように、魚の背骨及び肋骨の外観になる。
【0063】
別の実施形態では、賦形面は、吸収性製品の一縁部から、(正反対に)対向する又は実質的に平行である縁部まで実質的に延びる、細長い中心隆起(非圧縮)部分と、中心隆起(非圧縮)部分から、好ましくは実質的に製品の一つ以上の縁部まで延びる、複数の追加の細長い隆起(非圧縮)部分とを備え得る。追加の細長い隆起(非圧縮)部分は、互いに平行であり得る。追加の隆起(非圧縮)部分のそれぞれは、中心隆起(非圧縮)部分からのその延長線の点において、中心隆起(非圧縮)部分と鋭角を形成し得る。
【0064】
したがって、賦形面は、V形すなわちヘリンボーンの輪郭を備え得る。結果として生じる、このいわゆる「反転」V形すなわちヘリンボーンの輪郭の外観は、
図5に示されるように、魚の背骨及び肋骨の外観になる。
【0065】
ヘリンボーンすなわちV形デザインは、有利なことに、流体及び/又は滲出液のその場(in situ)ドレナージシステムを提供する。追加の細長い隆起又はへこみ部分(リブ)は、滲出流体が創傷又は湿潤部位から負圧のもとで滲出液の潜在的な固体成分で詰まることなく取り去られるように、十分に大きい一連のチャネルを提供する。へこみ(圧縮)部分は、かなりの量の流体すなわち滲出液を保持できる隆起(非圧縮)部分に至る「排水溝」を提供する。
【0066】
花形の輪郭
賦形面は、前記面の本質的に中心に位置するへこみ(圧縮)領域から放射状に延びる複数のへこみ(圧縮)領域を備え得る。
【0067】
放射状のへこみ(圧縮)領域は、吸収性製品の縁部まで延びても延びなくてもよい。これらの領域は吸収性製品の縁部まで延びないことが好ましい。
【0068】
二つ以上、たとえば3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12以上の細長いへこみ領域があり得る。好ましい実施形態では、八つの細長いへこみ領域がある。
【0069】
中心へこみ領域は、任意の直径でよく、たとえば直径約5~50mm、たとえば直径約15~40mm、たとえば直径約25~35mm、たとえば直径約30~25mm、たとえば直径約32.6mmでよい。
【0070】
放射状のへこみ領域は細長くてよい。中心へこみ領域は、本質的に円形でも本質的に多角形でもよい。多角形の辺の数は、細長いへこみ領域の数に依存する。たとえば、八つの細長いへこみ領域がある場合、中心へこみ領域は八角形になり得る。中心の円形へこみ領域から放射状に延びる細長いへこみ領域の組み合わせは、中心のネクサス(中枢)又はノード(節)から放射状に延びるスポーク又は花弁の印象を与える。
【0071】
それに応じて、賦形面は「花」形の輪郭を有し得る。結果として生じる外観は、
図12及び
図20に例示されている。
【0072】
本明細書ではまた、いわゆる「反転」花形の輪郭が意図される。すなわち、賦形面は、本質的に前記面の中心に位置する隆起領域から放射状に延びる複数の非圧縮領域又は隆起領域を備える。放射状の隆起領域は、吸収性製品の縁部まで延びても延びなくてもよい。これらの領域は吸収性製品の縁部まで延びないことが好ましい。結果として生じる外観は、
図6に例示されている。
【0073】
すべての実施形態において、吸収性製品は、いずれの隆起部分又はへこみも含めて非粘着性でよい。
【0074】
傾斜縁部(bevelled edge)
本発明の賦形面は傾斜縁部を備え得る。創傷被覆材の縁部が真っすぐであると、患者の皮膚に望ましくないへこみ跡ができ、その後不快になり得る。したがって、傾斜縁部付き被覆材が快適さの改善をもたらす。
【0075】
従来の発泡製品は比較的高密度である。有利なことに、本発明の発泡体の密度はたった80kg/m3、100kg/m3、120kg/m3又は140kg/m3であり得、そのことは吸収性製品の皮膚に接触する領域の圧力が低減することにつながる。
【0076】
したがって、本発明はまた、少なくとも一つの賦形面を有する吸収性脂肪族ポリウレタン発泡製品を提供し、前記賦形面は傾斜縁部を備え、さらに発泡体の密度は、約80~400kg/m3の間、好ましくは約80~140kg/m3、たとえば約120~140kg/m3、たとえば約80~99kg/m3である。このような密度値は、発泡体又は発泡製品の全体としての密度を指すことも、発泡体又は発泡製品の中心部分(すなわち、縁部ではない)の密度を指すこともある。
【0077】
いくつかの実施形態では、縁部、たとえば傾斜縁部における発泡体の密度は、中心部における発泡体の密度のおよそ5倍である。たとえば、縁部における密度は、少なくとも約400kg/m3、たとえば少なくとも約500kg/m3であり得る。
【0078】
本発明の吸収性製品の縁部は、周縁部の、最も外側の1cm、たとえば最も外側の0.8cm、最も外側の0.7cm、最も外側の0.6cm、最も外側の0.5cm、最も外側の0.4cm、最も外側の0.3cm、さらには最も外側の0.2cmと定義されてよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、本発明の傾斜縁部は、吸収性製品の周縁部の最も外側の0.2cm以内に備えられる。
【0080】
よって、好ましくは、本発明の吸収性製品では、賦形面は傾斜縁部を備え、好ましくは傾斜が製品の周縁部の最も外側の0.2cm以内に備えられ、好ましくは発泡体の密度が約80~500kg/cm3の間である。
【0081】
本発明による傾斜縁部付き吸収性製品(被覆材)が
図3に示されている。
【0082】
傾斜は、製品又は被覆材の、皮膚又は創傷に対向しない面にあってよく、あるいは製品又は被覆材の、皮膚又は創傷に対向する面にあってよい。
【0083】
本発明の追加の技術的デザイン実施形態では、高密度の傾斜が不要になる。
【0084】
上記のデザイン実施形態(たとえば、傾斜縁部、ディンプル、ヘリンボーン、花)は、互いに組み合わせて使用することができる。特に、傾斜縁部デザインは、ディンプル、ヘリンボーン又は花デザインのうちの一つ以上と組み合わせて使用することができる。
【0085】
添加物及び活性成分
本発明の製品は、一つ以上の添加物及び/又は活性成分、たとえば医薬品を含むか含侵させることができる。
【0086】
この機能により、たとえば創傷の組み合わせ治療が可能になり、被覆材が(創傷)滲出液を吸収し、医薬品が創傷、皮膚、又は流体滲出領域に塗布される。
【0087】
医薬品などの添加物及び/又は活性成分は、たとえば発泡体に(たとえば硬化前又は硬化中に)組み入れることができ、吸収性製品上の別個の層又はコーティングとして提供してもよい。
【0088】
したがって、本発明の方法は、一つ以上の添加物及び/又は活性成分を発泡製品に組み入れることを含み得る。添加物/活性成分は、プレポリマー組成物中に用意する、すなわち組み入れることができる。添加物/活性成分の組み入れは、硬化前又は硬化中に行うことができる。本発明の方法は、発泡製品に一つ以上の添加物/活性成分をコーティングすることを含み得る。添加物/活性成分は医薬品とすることができる。
【0089】
このような医薬品の例には、成長ホルモンなどのサイトカイン、又はTGF、FGF、PDGF、EGF、IGF-l、IGF-2などのポリペプチド成長因子、コロニー刺激因子、トランスフォーミング成長因子、神経刺激成長因子などが含まれる。他の薬剤は、たとえば、静菌性又は殺菌化合物、たとえばヨウ素、ヨードポビドン複合体、クロラミン、クロルヘキシジン、リン酸ナトリウム銀ジルコニウム(Alphasanとして入手可能)、スルファジアジン、硝酸銀、酢酸銀、乳酸銀、硫酸銀、チオ硫酸銀ナトリウム又は塩化銀などの銀塩、亜鉛又はその塩、メトロニダゾール、サルファ剤及びペニシリン、組織治癒増強剤、たとえばRGDトリペプチドなど、タンパク質、タウリンなどのアミノ酸、アスコルビン酸などのビタミン、創傷又は患部を洗浄するための酵素、たとえばペプシン、トリプシンなど、イロスタット(Illostat)又はエチレンジアミンテトラ酢酸などのプロテイナーゼ阻害剤又はメタロプロテイナーゼ阻害剤、NSAID(たとえばイブプロフェン)、リドカイン又はシンコカインなどの鎮痛剤、皮膚軟化剤、レチノイド、又は冷却効果を有する作用薬である。
【0090】
添加物/活性成分にはまた、におい抑制材料又はにおい低減材料、たとえば脱臭剤又は芳香剤が含まれ得る。
【0091】
特に好ましい添加物/活性成分には、クロルヘキシジンなどの消毒薬、銀又はその塩などの殺菌活性剤、炭素(木炭)、超吸収体、及び塩(塩化ナトリウム)などの導電性付与剤が含まれる。
【0092】
超吸収体(超吸収性ポリマー又はヒドロゲルとも呼ばれる)は、好ましくはポリアクリル酸ナトリウム塩である。
【0093】
本発明の一つ以上の添加物/活性成分は、水分解性でよい。この関連で、本発明の脂肪族発泡製品は、脂肪族発泡体の形成の際に使用される水がより少なく、かつ脂肪族発泡体の乾燥時間がより短いという点で、芳香族発泡製品に対して有利になる。脂肪族発泡体では、水分解性添加物/活性成分が水にさらされることがより少なく、したがって、それらの最大有効性が脂肪族発泡体内に、芳香族発泡体内よりも容易に維持される。
【0094】
追加層
本発明の発泡製品は、賦形吸収性脂肪族ポリウレタン発泡体の上に積層又は接合された材料の追加層を備え得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、これらの追加層は、フィルム又はアルギン酸塩ベース層を含む。別の実施形態では、これらの追加層は粘着性である。好ましい実施形態では、本発明の発泡体及び発泡製品には、少なくとも一つのフィルム層がラミネートされる(積層される、被せられる)。
【0096】
フィルム又はアルギン酸塩ベース層は、賦形吸収性脂肪族ポリウレタン発泡体の上面又は下面にあり得る。好ましくは、賦形吸収性脂肪族ポリウレタン発泡体は、一つのフィルム層と一つのアルギン酸塩ベース層との間にある。
【0097】
適切なフィルムには、AQUACEL(登録商標)という名称の、コベストロ(Covestro)からのものが含まれる。適切なアルギン酸塩ベース層には、スペシャルティファイバアンドマテリアルズ社(Speciality Fibres and Materials Ltd(SFM))からのものが含まれる。
【0098】
したがって、本発明は、ポリウレタン層、フィルム層及びアルギン酸塩ベース層を備える吸収性製品を提供する。好ましくは、ポリウレタン層はフィルム層とアルギン酸塩層の間に積層される。好ましくは、ポリウレタンは親水性脂肪族ポリウレタンなどの脂肪族ポリウレタンである。好ましくは、この製品は、いかなる粘着剤も製品の層間又は外面に含まない。
【0099】
追加ポリウレタン層
いくつかの実施形態では、追加層はポリウレタン発泡体から構成されるか、これを含む。追加層のポリウレタン発泡体は、賦形吸収性脂肪族ポリウレタン発泡層のポリウレタン発泡体とは異なるポリウレタン発泡体でよい。好ましくは、追加(又は第2の)ポリウレタン層は、賦形吸収性脂肪族ポリウレタン発泡層とは異なる特性を有し、異なるポリウレタンの特性が、本発明の発泡製品に有利に組み合わされることが可能になる。
【0100】
追加又は第2のポリウレタン層は、脂肪族ポリウレタン発泡層でよい。追加又は第2のポリウレタン層は、熱形成可能又は熱可塑性でよい。「熱形成可能」は、発泡体が熱を用いて成形できることを意味する。追加ポリウレタン層は、微小孔性セル構造を有し得る。このような特徴は、高速流体輸送を可能にする。
【0101】
いくつかの実施形態では、追加(第2の)ポリウレタン層は、賦形ポリウレタン層と比較した場合に、異なる吸収性及び/又は流体保持率及び/又は吸収試験後厚さ増加率及び/又は流体滴吸収速度を有する。
【0102】
たとえば、追加ポリウレタン層は吸収性が賦形層よりも、特に賦形層の非圧縮部分よりも低くてよい。追加ポリウレタン層は流体保持率が賦形層よりも、特に賦形層の非圧縮部分よりも、低くてよい。追加ポリウレタン層は吸収試験後厚さ増加率が、賦形層と比較した場合、特に賦形層の圧縮部分及び/又は非圧縮部分と比較した場合、低減していてよい。追加ポリウレタン層は流体滴吸収速度が、賦形層と比較した場合、特に賦形層の非圧縮部分と比較した場合、同一であるか又は低減していてよい。
【0103】
追加ポリウレタン層は、密度が、80~200kg/m3、たとえば100~140kg/m3、たとえば約120kg/m3であり得る。
【0104】
加えて、又は代替形態では、追加ポリウレタン層は吸収性が、約85g/100cm2未満、たとえば約50g/100cm2未満、たとえば10~40g/100cm2、たとえば20~30g/100cm2、たとえば約26g/100cm2であり得る。
【0105】
加えて、又は代替形態では、追加ポリウレタン層は吸収性が、約14.5g/g未満、たとえば約10g/g未満、たとえば5~10g/g、たとえば約9.3g/gであり得る。
【0106】
加えて、又は代替形態では、追加ポリウレタン層は流体保持率が、約58%未満、たとえば50~55%、たとえば約53%であり得る。
【0107】
加えて、又は代替形態では、追加ポリウレタン層は吸収試験後厚さ増加率が、約11%未満、たとえば約10、9、8、7、6、5、4又は3%未満であり得、より好ましくは約2%未満であり得る。
【0108】
加えて、又は代替形態では、追加ポリウレタン層は流体滴(たとえば生理食塩水滴)吸収速度が、約2秒未満、たとえば1.5又は1秒未満であり得る。
【0109】
加えて、又は代替形態では、追加ポリウレタン層は引っ張り強度が、約0.5~1MPa、たとえば約0.7MPaであり得る。引っ張り強度を決定するための適切な試験は、試験EN ISO 527-2に記載されているものなど、当技術分野で知られている。
【0110】
加えて、又は代替形態では、追加ポリウレタン層は破断時伸びが、約200~400%、たとえば約250~350%、たとえば約300%であり得る。破断時伸びを決定するための適切な試験は、試験EN ISO 9073-3に記載されているものなど、当技術分野で知られている。
【0111】
したがって、好ましい実施形態では、本発明の追加ポリウレタン層は、以下の特性、すなわち、
(i)約80~200kg/m3の密度、
(ii)約85g/100cm2未満の吸収性、
(iii)約14.5g/g未満の吸収性、
(iv)約58%未満の流体保持率、
(v)約11%未満の吸収試験後厚さ増加率、
(vi)約2秒未満の流体滴(たとえば生理食塩水滴)吸収速度、
(vii)約0.5~1MPaの引っ張り強度、
(viii)約200~400%の破断時伸び、
のうちの一つ以上を有する。
【0112】
本発明の特定の追加ポリウレタン層の特性が以下の表1に示されている。
【0113】
【0114】
追加ポリウレタン層は、5-クロロ-2-メチル-3(2H)-イソチアゾロンと2-メチル-3(2H)-イソチアゾロンを好ましくは3:1の比率で含むプレポリマー組成物から製造することができる。
【0115】
追加ポリウレタン層は、プレポリマー組成物を水溶液中で機械的に起泡させることよって製造することができる。起泡させた組成物は次に、約120℃で10~30分間(発泡体厚さによる)乾燥させることができる。したがって、気泡のサイズを混合時間によって調整できるので、発泡体の透過性は混合/起泡ステップによって制御することができる。Niax L-6889コポリマー(compolymer)が、製造プロセス中に安定剤として使用されてよい。
【0116】
適切な追加又は第2のポリウレタン層は、BAYMEDIX(登録商標)FD103プレポリマーから製造されたポリウレタン発泡体を含む。
【0117】
一実施形態では、賦形ポリウレタン層は、BAYMEDIX(登録商標)FP505プレポリマーから製造され、追加層はBAYMEDIX(登録商標)FD103プレポリマーから製造される。
【0118】
不織材料
いくつかの実施形態では、不織材料が追加層として提供されてよい。不織材料は、流体を吸収したときに、不織材料層の平面における賦形ポリウレタン発泡体の膨張を防止する。したがって、流体を吸収したときに、不織材料の層に接合された賦形ポリウレタン発泡体は、不織材料の面に垂直な軸に(すなわち、垂直面又はZ軸に)膨張するが、不織材料の面では(すなわち、水平面又はX-Y軸には)膨張しない。本発明の発泡製品が身体と接触するところでは、この膨張により製品が身体との接触部から持ち上がって、身体への空気流が促進され、また敏感な領域への圧力が緩和される可能性があり、それによって本発明の別の利点が得られる。
【0119】
不織材料は、乾燥ポリエステル繊維材料などのポリエステルを含み得る。不織材料は親水性繊維を含み得る。不織材料は密度が、30~50g/m3、たとえば約40g/m3であり得る。不織材料は厚さが、0.5~2mm、たとえば1~1.5mm、たとえば約1.2mmであり得る。不織材料は引っ張り強度が、縦方向(MD)で40~50N/5cm、たとえば約42N/5cm、であり得、横方向(CD)で4.5~5.5N/5cm、たとえば約4.9N/5cmであり得る。不織材料は破断時伸び(Fmax)が、MDで15~25%、たとえば約19%であり、CDで60~70%、たとえば約65%であり得る。適切な不織材料には、ドライウェブ(DryWeb)又はトウィハイジーン(twe hygiene)からのもの、たとえばDRY WEB T28Fが含まれる。
【0120】
上記の追加層についての説明から、発泡体又は発泡製品の賦形面は、必ずしも空気、皮膚、創傷又は流体滲出領域にさらされる面ではないことが分かる。たとえば、賦形面には、その上に直にラミネートされるか形成されるかした上述の追加層のうちの一つ以上があってよく、それによって賦形面が見えなくなる。
【0121】
したがって、一つの実施形態では、賦形面は、創傷、皮膚、患部、又は流体滲出領域に対向又は直に接触し得る。別の実施形態では、賦形面は、創傷、皮膚、患部、又は流体滲出領域に対向するが、追加層により、直に接触しない。流体滲出領域は、たとえば、せつ(腫れ物)、潰瘍、乳房、膣であり得る。
【0122】
成形
本発明の吸収性製品は、(上述の隆起部又はへこみのいずれも考慮に入れなければ、)身体の平坦な、又はわずかに湾曲した領域に当てるように、たとえば尿失禁製品として使用するために設計された、本質的に平坦な製品又は被覆材であってよい。いくつかの実施形態では、この吸収性製品は、身体の突き出ている部分(たとえば、乳房、乳首)又は関節の周囲(たとえば、かかと、指関節、肘、膝、又は手の部分)の皮膚の輪郭に合わせて成形又は外形形成されるか、又は該輪郭に適合することができる。いくつかの実施形態では、吸収性製品は、身体の突き出ている部分の皮膚の輪郭に合った形になる熱形成可能層を含む。熱形成可能層は製品の外層とすることができ、賦形吸収性脂肪族ポリウレタン発泡体は、皮膚に接触する内層を形成する。それによって、外層は製品の形を与え、内層は緩衝性を与え滲出液を吸収する。
【0123】
したがって、本発明はまた、かかとの輪郭に適合することができるヒールパッドと、乳房又は乳首の輪郭に適合することができる授乳パッドとを提供する。一実施形態では、製品は、第2のポリウレタン層にラミネートされた又は並置された少なくとも一つの賦形面を有する吸収性脂肪族ポリウレタン発泡体の第1の層を備え、好ましくは第2の層は熱形成可能である。適切な第1の層はBAYMEDIX(登録商標)FP505であり、適切な第2の層はBAYMEDIX(登録商標)FD103である。このようなパッドはまた、上述のデザイン実施形態(たとえば、傾斜縁部、ディンプル、ヘリンボーン、花)のうちの一つ以上を含み得る。特に、ディンプル又は隆起部を有するヒールパッドが好ましい。
【0124】
特定の製品
好ましい実施形態では、本発明の賦形吸収性製品は、被覆材(創傷、せつ又は潰瘍用の被覆材など)、パッド(乳房パッド、授乳パッド、生理用パッド、尿失禁パッド、褥瘡予防パッド、又はヒールパッドなど)、おむつ(おしめ)、又は他の生理用又は衛生用製品(たとえば、マタニティタオル(産褥パッド)などの女性用衛生用品)である。
【0125】
特に好ましい実施形態について以下でさらに詳細に説明する。
【0126】
せつ又は潰瘍用の被覆材
一つの実施形態では、本発明の賦形吸収性製品はせつ又は潰瘍用の被覆材であり、賦形面はせつ又は潰瘍に対向する。賦形面は、本明細書に記載の賦形(輪郭)形状又はデザインのいずれかを有し得る。好ましくは、被覆材の賦形面は、本明細書に記載の「花形」の輪郭を有する。
【0127】
好ましくは、賦形発泡体は、本明細書に記載の脂肪族発泡体、たとえばBAYMEDIX(登録商標)FP505プレポリマーから製造された脂肪族発泡体である。被覆材は、このような脂肪族ポリウレタン発泡体の単一層を備え得る。被覆材は、本明細書に記載の追加層のうちの一つ以上を備え得る。好ましくは、賦形発泡体層は、被覆材の最も内側の層である(すなわち皮膚に最も近い)。層のうちの一つ以上は、本明細書に記載の添加物/活性成分のうちの一つ以上を備え得る。
【0128】
このような実施形態では、せつ又は潰瘍は「花」の中心のへこみ(圧縮された)領域にある。中心のへこみ領域に接触するせつ又は潰瘍からの滲出液は、接触点から周囲の被覆材の隆起部の中へと毛細管運動作用によって吸い出される。それによって、滲出液はせつ又は潰瘍との接触部から取り除かれて、非賦形被覆材よりも向上した快適性を着用者にもたらす。
【0129】
乳房パッド
一つの実施形態では、本発明の賦形吸収性製品は乳房パッドであり、賦形面が乳房に対向する。賦形面は、本明細書に記載の賦形(輪郭)形状又はデザインのいずれかを有し得る。好ましくは、乳房パッドの賦形面は、本明細書に記載の「花形」の輪郭を有する。
【0130】
一つの実施形態では、乳房パッドは脂肪族ポリウレタン発泡体の単一の層を備える。脂肪族ポリウレタン発泡体の単一の層の一例は、BAYMEDIX(登録商標)FP505プレポリマーから製造されたものである。
【0131】
別の実施形態では、乳房パッドは脂肪族ポリウレタン発泡体の二つの層を備え、第1の層は、上述のように乳房に対向する賦形面を備える。好ましくは、第2の層は熱形成可能である。好ましくは、第2の層は、乳房の輪郭に合致するように成形される。適切な第1の層はBAYMEDIX(登録商標)FP505プレポリマーから製造され、適切な第2の層はBAYMEDIX(登録商標)FD103プレポリマーから製造される。
【0132】
乳房パッドは、本明細書に記載の追加層のうちの一つ以上を備え得る。好ましくは、賦形発泡体層は、被覆材の最も内側の層である(すなわち皮膚、乳房又は乳首に最も近い)。層のうちの一つ以上は、本明細書に記載の添加物/活性成分のうちの一つ以上を備え得る。したがって、乳房パッド(乳房パッドの第1の層など)は、におい抑制材料又はにおい低減材料、たとえば脱臭剤又は芳香剤を含み得る。
【0133】
上記の実施形態では、乳房の乳首は「花」の中心のへこみ(圧縮された)領域にあってよい。中心のへこみ領域に接触する乳首からの滲出液は、接触点から周囲の乳房パッドの隆起部の中へと毛細管運動作用によって吸い出される。それによって、滲出液は乳首との接触部から取り除かれて、非賦形乳房パッドよりも向上した快適性を着用者にもたらす。本発明の乳房パッドは、ブラジャーの挿入物又は内側のもの(インナー)として提供され得る。
【0134】
生理用パッド又はナプキン
一つの実施形態では、本発明の賦形吸収性製品は生理用パッド又は生理用ナプキンである。その賦形面は、本明細書に記載の賦形(輪郭)形状又はデザインのいずれかを有し得る。好ましくは、生理用パッド又はナプキンは、本明細書に記載の「V形」すなわちヘリンボーンの輪郭を有する。
【0135】
一実施形態では、生理用パッド又はナプキンは、第2のポリウレタン層にラミネートされた又は並置された第1のポリウレタン層を備え、第1の層は賦形面を備え、第2の層は第1の層の賦形面の上にラミネートされ、第2の層は膣接触面を形成する。
【0136】
好ましくは、第2の層は、第1の層とは異なる吸収性、たとえば第1の層よりも高い又は低い吸収性を有し、かつ/又は第1の層よりも低い流体保持率を有する。適切な第1の層は、本明細書に記載の脂肪族ポリウレタン発泡体、たとえばBAYMEDIX(登録商標)FP505プレポリマーから製造された脂肪族ポリウレタン発泡体である。適切な第2の層は、熱形成可能な発泡体、たとえばBAYMEDIX(登録商標)FD103プレポリマーから製造された発泡体である。
【0137】
生理用パッドは、本明細書に記載の追加層のうちの一つ以上を備え得る。好ましくは、少なくとも膣接触面には、月経液の粘性を低減する不織材料が積層される。層のうちの一つ以上が、本明細書に記載の添加物/活性成分のうちの一つ以上を備え得る。
【0138】
同様に、生理用パッド又はナプキンは、不織材料を内層(すなわち膣接触面)と外層の両方として備え得る。別の実施形態では、内層は不織材料であり、外層はポリエチレン層である。適切な不織材料が本明細書に記載されている。
【0139】
褥瘡予防パッド
一つの実施形態では、本発明の賦形吸収性製品は褥瘡予防パッドであり、その賦形面は身体に対向する。
【0140】
賦形面は、本明細書に記載の賦形(輪郭)形状又はデザインのいずれかを有し得る。好ましくは、褥瘡予防パッドの賦形面は、本明細書に記載の、ディンプル付き賦形によって取り囲まれた本質的に中心のへこみ(圧縮された)領域を備え、たとえば隆起部は、本質的に円形又は六角形の断面である。中心のへこみ(圧縮された)領域は、ディンプルのどれよりも大きい表面積を有し得る。ディンプル自体は、均一の表面積でなくてもよい。たとえば、一方の表面積が他方よりも大きい、ディンプルの二つの集団があり得る。
【0141】
中心のへこみ領域は、収容しなければ身体とベッドの間に圧力点を形成し得る、身体の突出部を収容する。周囲のディンプル付き賦形は、体重による圧力を多数の点に分散し、それによって、身体とベッドの間のどの単一の接触点も、褥瘡を生じさせ得る圧力点を形成しないようにする。
【0142】
中心のへこみ(圧縮された)領域は、たとえば、着用者の(腰部)脊骨領域又は尾骨を収容するために、細長く、たとえば断面を本質的に長方形又は楕円形にしてよい。中心のへこみ領域に最も近いディンプルは、表面積が最大のディンプルであってよい。一つの実施形態では、中心のへこみ領域の全部又は一部が、アパーチャもしくは開口を備えるか又はアパーチャもしくは開口に置き換えられる。別の実施形態では、中心のへこみ領域の全部又は一部は、発泡体クッションを備える。発泡体クッション、開口又はアパーチャは、断面が本質的に長方形又は楕円形など、細長くしてよい。発泡体クッションを有する実施形態は、すでに既存の褥瘡創傷がある患者にいっそう適している場合がある。褥瘡予防パッドは、中心のへこみ領域を通って延び得るミシン目切り取り線を備えてよい。
【0143】
本発明の褥瘡予防パッドの一例が
図14に提示されている。
【0144】
褥瘡予防パッドは、本明細書に記載の追加層のうちの一つ以上を備えてよい。層のうちの一つ以上は、本明細書に記載の添加物/活性成分のうちの一つ以上を備えてよい。
【0145】
ヒールパッド
一つの実施形態では、本発明の賦形吸収性製品はヒールパッドであり、賦形面がかかとに対向する。賦形面は、本明細書に記載の賦形(輪郭)形状又はデザインのいずれかを有し得る。好ましくは、ヒールパッドの賦形面は、本明細書に記載のディンプル付きの輪郭を有する。
【0146】
一実施形態では、ヒールパッドは、第2のポリウレタン層にラミネートされた又は並置された第1のポリウレタン層を備え、第1の層は、かかとに対向する賦形面を備える。好ましくは、第2の層は熱形成可能である。好ましくは、第2の層は、かかとの輪郭に合致するように成形される。適切な第1の層はBAYMEDIX(登録商標)FP505プレポリマーから製造されるものであり、適切な第2の層はBAYMEDIX(登録商標)FD103プレポリマーから製造されるものである。
【0147】
褥瘡予防パッドは、本明細書に記載の追加層のうちの一つ以上を備えてよい。層のうちの一つ以上は、本明細書に記載の添加物/活性成分のうちの一つ以上を備えてよい。
【0148】
賦形発泡体を製造する方法
プレポリマー組成物
一つの実施形態では、本発明のポリウレタン発泡体は、脂肪族ポリウレタン発泡体であり、好ましくは親水性脂肪族ポリウレタン発泡体である。そのため、本発明のポリウレタン発泡体は、脂肪族イソシアネートベースのプレポリマーを触媒の存在下で水及び界面活性剤と反応させることを含む方法によって、調製することができる。
【0149】
脂肪族発泡体は、膨張後の体積減少が全くないので、本発明の実施において特に有利である。脂肪族発泡体はまた、生理食塩水又は創傷流体の急速で高い吸収を超吸収性ポリマーの必要性なしに提供する。脂肪族発泡体はまた、優れた引っ張り強度を示し、また紫外波にさらしたときに観察される典型的な黄ばみが明らかに無い。脂肪族発泡体はまた、乾燥前に通常含んでいる水の量が少ないので(たとえば約10重量%)、有利な短い時間枠内で硬化及び乾燥させることもできる。
【0150】
脂肪族発泡体を製造する方法は、たとえばWO 2010/003559及びWO 2009/007018により当技術分野で知られており、これらの各文献は参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0151】
本発明の発泡体は、
A)モル質量が140~278g/molである低分子量脂肪族ジイソシアネートのプレポリマー重量に対する重量分率が1.0%未満である、イソシアネート官能基のプレポリマーであって、好ましくは、
A1)モル質量が140~278g/molである低分子量脂肪族ジイソシアネートと、
A2)OH数が22.5~112、好ましくは31.5~56であり、存在するオキシアルキレン基の総量に対するエチレンオキシド含有量が50~100モル%、好ましくは60~85モル%である、2~6官能、好ましくは3~6官能のポリアルキレンオキシドと
の反応によって得ることができるイソシアネート官能基のプレポリマー、
B)水、
C)場合により触媒、
D)場合により界面活性剤、
E)場合により、140~278g/molのモル質量を有する低分子量脂肪族ジイソシアネートのヘテロ環4環又は6環オリゴマー、
F)場合により、C8~C22モノカルボン酸又はそのアンモニウム若しくはアルカリ金属塩、あるいはC12~C44ジカルボン酸又はそのアンモニウム若しくはアルカリ金属塩、
G)場合により、一価又は多価アルコール、
を含む組成物とすることができる。
【0152】
プレポリマーは、イソシアネートベースのプレポリマー、たとえば脂肪族イソシアネートプレポリマー、たとえば脂肪族ジイソシアネートプレポリマー、たとえば低分子量脂肪族ジイソシアネートプレポリマーであってよい。特に好ましい(低分子量)脂肪族ジイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)である。
【0153】
成分B)として使用される水は、塩の結晶水として、双極性非プロトン溶媒中の溶液として、あるいはエマルジョンとして、それ自体使用することができる。好ましくは、水はそれ自体で、又は双極性非プロトン溶媒中で使用される。このように水を使用することは特に非常に好ましい。
【0154】
ウレタン形成を早めるために、成分C)には触媒を利用してよい。当該触媒は、ポリウレタン技術の当業者にはよく知られている典型的な組成物である。ここで好ましいのは炭酸水素ナトリウム及び/又はクエン酸である。好ましくは、成分C)は、炭酸水素ナトリウム(たとえば、総プレポリマー組成物の約1.5重量%の濃度)とクエン酸(たとえば、総プレポリマー組成物の約3.5重量%の濃度)の両方を含む。
【0155】
成分D)の組成物を使用して、発泡形成、発泡安定性又は結果として得られるポリウレタン発泡体の特性を改善することができ、この場合、このような添加物は原則として、任意の知られているアニオン性、カチオン性、両性、及び非イオン性の界面活性剤、並びにこれらの混合物とすることができる。Pluronic(登録商標)PE 6800を使用することが好ましい。界面活性剤は、総プレポリマー組成物の約40重量%の濃度で使用されてよい。
【0156】
本発明はまた、本明細書に記載の賦形吸収性ポリウレタン発泡製品を製造する方法を提供し、この方法は、
少なくとも一つのポリウレタンプレポリマーを含む組成物を提供するステップと、
場合によりその組成物を発泡させる、又はその組成物が発泡できるようにするステップと
をさらに含む。
【0157】
少なくとも一つのポリウレタンプレポリマーを含む組成物は、好ましくは成分A)、B)、C)及びD)を含むか、又はこれらから構成されてよい。このような実施形態では、組成物は、成分A)、B)、C)及びD)を任意の順序で混合することによって提供されてよい。成分B)、C)及びD)は、A)を加える前に互いに混合されることが好ましい。
【0158】
組成物は通常、A)が9部に対してB)、C)及びD)の混合物が1部の比率で使用される。好ましくは、組成物は、A)が7部に対してB)、C)及びD)の混合物が1部、より好ましくはA)が5部に対してB)、C)及びD)の混合物が1部の比率で使用される。このような比率は、引っ張り強度を改善するのに、及び/又は結果として得られる発泡体の好適な密度を得るのに有利であり得る。
【0159】
いくつかの実施形態では、成分A)はBAYMEDIX(登録商標)、特にBAYMEDIX(登録商標)FP505である。同一の、又は別の実施形態で、成分B)、C)及びD)は、たとえばAQUACEL(登録商標)からの、単一の成分として提供される。
【0160】
発泡
発泡は原則として、水とイソシアネート基の反応中に形成される二酸化炭素によって生じさせることができるが、別の発泡剤を使用することも同様に可能である。すなわち、C3-C6アルカンなどの炭化水素、たとえばブタン、n-ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ヘキサンなど、又はハロゲン化炭化水素、たとえばジクロロメタン、ジクロロモノ-フルオロメタン、クロロジフルオロエタン、1,1-ジクロロ-2,2,2-トリフルオロエタン、2,2-ジクロロ-2-フルオロエタン、特に無塩素ヒドロフルオロカーボン、たとえばジフルオロメタン、トリフルオロメタン、ジフルオロエタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、テトラフルオロエタン(R 134又はR 134a)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(R 245 fa)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(R 256)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(R 365 mfc)、ヘプタフルオロプロパン、あるいは六フッ化硫黄の群からの発泡剤を使用することもまた原則として可能である。これらの発泡剤の混合物もまた使用することができる。
【0161】
好ましくは、発泡は、プレポリマー組成物の前述の成分を混合したことの必然的な結果である。このような実施形態では、本発明の方法は発泡剤を使用する必要がない。しかし、別の実施形態では、発泡剤が、たとえば適切な低密度発泡体を実現するために使用されてよい。
【0162】
本発明の発泡体の密度は、吸収能力が最適化され、かつ発泡製品と皮膚の間の空気流、滲出液の毛細管作用、及び着用者の快適さが最大化されるようなものであり得る。したがって、本発明の吸収性発泡製品は、約80から約500kg/m3の間、たとえば約80から約400kg/m3の間、たとえば約100から約200kg/m3の間、又は約100から約150kg/m3の間の密度を有し得る。本発明の好ましい実施形態では、密度は約80から約100kg/m3の間、又は約80から約99kg/m3の間である。
【0163】
本発明の傾斜縁部付き吸収性製品では、発泡体の密度は縁部の方が製品の中心よりも高くなり得る。そのため上記の密度値は、製品の中心の(すなわち中心部の)発泡体の密度に関連し得る。
【0164】
発泡は硬化プロセス中に行われてよい。
【0165】
硬化
本発明の文脈では、用語の「硬化」は、ポリウレタンプレポリマー組成物がクリーム状になり、ゲル化し、その最終サイズまで増大することができる、発泡体製造プロセスの段階を指す。したがって、硬化段階は、発泡体がその最終サイズまで増大したときに終了する。たとえば、硬化は、賦形ステップの前、たとえば直前に、又は(能動)乾燥ステップ(たとえば、発泡体が高温空気トンネル又は炉に入るとき)の前、たとえば直前に、終了したと考えることができる。
【0166】
ポリウレタンプレポリマー組成物は、硬化ステップの直前に注型又は金型の中に注入することができる。硬化ステップは、硬化手段上で、たとえば硬化トラック又は硬化コンベヤ上で実施することができる。
【0167】
硬化は三つの別個のパラメータ、すなわち、
i)クリーム時間、
ii)ゲル時間、
iii)増大時間、
によって測定することができる。
【0168】
クリーム時間は、イソシアネート混合物が液体状態からクリームのような状態へ変化し始め、続いて膨張を開始するときの時間である。ゲル時間は、発泡体が堅くなり始め、CO2生成がその最大速度にあり得る時間である。増大時間は、発泡体がその最大高さに達するのに要する時間である。
【0169】
いくつかの実施形態では、硬化プロセスの全体は約30秒から約5分の間、たとえば約1分から約3分の間、好ましくは約2分を要し得る。
【0170】
好ましくは、本発明の発泡体の、硬化の終わりにおける最大高さは約2から4mmの間、たとえば約3mmである。
【0171】
硬化は、約15℃から約45℃の間の温度で行われてよい。好ましい実施形態では、硬化は室温(たとえば約15℃から約22℃)で、又は約40℃から約45℃の間で行われる。
【0172】
乾燥
本発明の文脈における用語の「乾燥」とは、発泡体の能動乾燥の段階、すなわち、発泡体を、発泡体から水分又は湿気を除去することを意図した特定の乾燥ステップ又は乾燥手段にかけることを指すことを意図したものである。これは、最も一般的には熱を用いて行われる。
【0173】
乾燥は、加熱トンネル、高温空気トンネル、乾燥炉、又は赤外線輻射源などの乾燥手段を使用して行われてよい。
【0174】
いくつかの実施形態では、乾燥プロセス全体は約30秒から約2分の間、たとえば約45秒から約1分30秒の間、好ましくは約1分を要し得る。
【0175】
乾燥は、約80℃から約120℃の間の温度で行われてよい。好ましい実施形態では、乾燥は約90℃から約110℃の間、好ましくは約100℃で行われる。本発明の文脈では、硬化プロセス中に実質的な又は定量化できる乾燥が行われることは考慮されていない。
【0176】
一つの実施形態では、乾燥段階中に乾燥温度の段階的な変化(たとえば、増加)があってよく、たとえば、80℃の乾燥の期間があり、その後に100℃の期間が続き、その後に120℃の期間が続いてよい。
【0177】
賦形
一つの利点として、本発明の発泡体は、発泡体が乾燥する前に賦形できるということがある。
【0178】
賦形は、任意の適切な賦形手段、たとえばローラ又はプレートによって実現することができる。ローラ又はプレートは、任意の適切な材料で作ることができる。このようなプレート又はローラはその表面に、使用の際に前記プレート又はローラが発泡体と接触するときに発泡体にエンボス加工又はインプリントされるべき、テンプレートレリーフパターンを備え得る。
【0179】
好ましくは、本発明の方法の賦形ステップは、賦形ローラ又はエンボスローラなどのローラを使用して実施される。別の実施形態では、ローラは、それが発泡体の上にエンボス加工する、又は与える形状によって説明することができる。たとえば、ハニカムローラは、使用の際に複数の隆起した六角形の部分を発泡体の上にエンボス加工するように、その表面に複数の六角形の断面の凹部を備える。関連する実施形態では、ローラはキスカッティングロールではない。
【0180】
一つの実施形態では、ローラは、たとえば0.5秒~1秒の期間、たとえば室温を超える任意の温度まで加熱される。加熱は、加熱カートリッジ、たとえばローラに挿入されるカートリッジを用いて行われてよい。
【0181】
適切なハニカムローラの構造が
図1Aに示されている。本発明の賦形ローラの、発泡体ライン製造アセンブリ上の配置は、
図1Bに示されている。
【0182】
本明細書では、用語の「賦形(profiling)ローラ」、「賦形ロール」、「賦形(profiled)ローラ」、及び「賦形ロール」は同義である。
【0183】
本発明の方法では、賦形ステップが、乾燥ステップの前、たとえば乾燥ステップの直前に行われる。
【0184】
いくつかの実施形態では、すべての賦形が乾燥ステップの前に行われる。別の実施形態ではまた、賦形が乾燥ステップの後に、又は乾燥ステップの前後に行われてもよい。
【0185】
いくつかの実施形態では、賦形ステップは、硬化ステップの後、たとえば硬化ステップの直後に行われる。同一又は異なる実施形態では、賦形ステップは、発泡体がその最終サイズまで増大した後、たとえば直後に行われる。この関連で、硬化ステップ又は増大時間後の賦形は、発泡体が賦形後にさらに歪まない可能性があるので、有利であり得る。
【0186】
好ましくは、賦形ステップは、硬化ステップ及び/又は発泡ステップの後に、かつ/又は発泡体がその最終サイズ若しくは最大高さまで増大した後に、かつ乾燥ステップの前(たとえば直前)に行われる。言い換えると、賦形ステップは、硬化ステップと乾燥ステップの(ちょうど)間に行われてよい。したがって、賦形ステップは、全硬化ステップが行われた後に、かつ、何らかの乾燥が行われる前、たとえば乾燥ステップの(直)前に、行われてよい。一実施形態では、賦形ステップは、発泡体が完全に硬化した後に、かつ、乾燥ステップの前に行われる。関連する実施形態では、賦形ステップは増大時間の後に行われる。
【0187】
一例として、
図2の構成は、乾燥炉の直前、すなわち硬化ステップと乾燥ステップのちょうど間に配置された賦形ロールを示す。賦形手段と乾燥手段の間にコンベヤの小区域があり得るが、硬化は製品が賦形されるときまでに完了していると考えられる。
図2で、コンベヤの前記小区域は、賦形された製品を乾燥トンネルの中に送り込むように機能する。
【0188】
したがって、本発明は、賦形吸収性ポリウレタン発泡製品を製造する方法を提供し、前記方法は、連続したステップ、すなわち、
a)少なくとも一つのポリウレタンプレポリマーを含む組成物を提供するステップと、
b)前記ポリウレタンプレポリマー組成物を同時に発泡させ硬化させるステップと、
c)発泡組成物を硬化後に賦形するステップと、
d)発泡組成物を賦形後に乾燥させるステップと
を含む。
【0189】
本発明の以前には、理論に拘束されることを望むものではないが、特定の発泡体組成物は水分を多く含みすぎるので適切に賦形できないと考えられていたので、特定の発泡体組成物は乾燥が行われる前に賦形するのには適していないという先入観が当技術分野にあった。
【0190】
この関連で、当技術分野のいくつかの発泡ラインプロセスは、「硬化の終了」前の発泡体の外形形成を教示する。このような場合には、発泡体の一部の乾燥が賦形ステップの前にすでに起こっていることは避けられない。
【0191】
したがって、別の態様では、本発明は、賦形され、硬化され、乾燥されていない(たとえば非加熱の)吸収性ポリウレタン発泡製品を提供し、また別の態様では、事前乾燥され(たとえば予熱され)、賦形され、硬化された吸収性ポリウレタン発泡製品を提供する。
【0192】
関連する実施形態では、賦形ステップは、何らかの硬化が行われる前に行われる。
【0193】
賦形ステップの結果として、賦形手段が発泡体と物理的に接触した場所において圧縮又はへこみ部分を有し、賦形手段が発泡体と接触しなかった場所において(圧縮/へこみ部分に対して隆起している)非圧縮部分を有する製品が得られる。
【0194】
したがって、用語の「隆起/へこみ」及び「圧縮/非圧縮」は、本発明の同じ特徴についての二つの記述法である。第1のものは、レリーフにおける発泡製品の部分の相対的配置を示す。第2のものは、問題の部分が、機械的手段、たとえば賦形手段、たとえば本発明の賦形手段(たとえばローラ)によって、圧力を受け又は平坦にされたかどうかを示す。したがって、二つの組の用語は交換可能に使用され得る。
【0195】
装置
本発明は、賦形吸収性ポリウレタン発泡製品を製造するための装置を提供し、前記装置は硬化手段、乾燥手段及び賦形手段を含み、前記賦形手段は、硬化手段と乾燥手段の間に動作可能に置かれる。
【0196】
本発明の他の態様に関連する硬化手段、乾燥手段及び賦形手段についての説明は、本発明の装置にも同様に当てはまる。
【0197】
本発明の装置は以下のもの、すなわち、混合ヘッド、発泡体厚さ調整手段、一つ以上のペイオフローラ、張力制御手段、巻き戻しリールのうちの一つ以上をさらに備え得る。
【0198】
混合ヘッドにおいて、プレポリマー組成物(たとえば成分A))は、水相(たとえば成分B)、C)及びD))と混合することができる。混合ヘッドは、任意のrpmで回転することができ、混合は、室温から上昇させた温度で行われてよい。発泡体厚さ調整手段は、硬化前に混合組成物の最終厚さを調整するように機能する。
【0199】
ペイオフローラは、一つ以上のフィルム、紙、又はラミネート、特に剥離紙、の上又は間に組成物を積層するのに適している。このようなフィルム、紙及びラミネートの適切な構成要素には、PTFE及び木炭が含まれる。
【0200】
本発明のポリウレタンプレポリマー組成物は、剥離紙の上に提供されるか、又は一つ以上の剥離紙の間に積層されてよい。剥離紙は、耐高温ポリマーでコーティングすることができる。好ましくは、剥離紙は特殊イメージング紙であり、たとえばFelix Schoellerのものである。
【0201】
張力制御手段は、たとえば剥離紙の張力を制御するように機能する。巻き戻しリールは、最終製品が製造ラインを出るところにある。
【0202】
図2は、本発明による発泡体ラインアセンブリ装置の注釈付き図を示す。一つの実施形態では、本発明は、
図2を参照して説明された装置を提供する。
【0203】
追加の処理
本発明の吸収性製品の追加の処理は、たとえば乾燥ステップの後の、第2の賦形ステップの形であり得る。
【0204】
追加の処理はまた、ポリウレタン発泡体プレポリマー組成物を、一つ以上のフィルム又はアルギン酸塩ベースの層の上又は間の層として提供すること、及び/又は吸収性製品に一つ以上の皮膚/創傷対向若しくは非皮膚/創傷対向の粘着層を設けることを含み得る。
【0205】
フィルム又はアルギン酸塩ベースの層は、本発明の吸収性製品の底部の最上面に設けられてよい。好ましくは、ポリウレタンプレポリマー組成物は、一つのフィルム層と一つのアルギン酸塩ベースの層との間に提供されるか又は接合される。好ましくは、このような積層化又は接合に接着剤は使用されない。
【0206】
適切なフィルムには、AQUACEL(登録商標)という名称のCovestroからのものが含まれる。適切なアルギン酸塩ベースの層には、Speciality Fibres and Materials社(SFM)からのものが含まれる。
【0207】
したがって、本発明は、ポリウレタン層、フィルム層及びアルギン酸塩ベースの層を備える吸収性製品を提供する。好ましくは、ポリウレタン層はフィルム層とアルギン酸塩層の間に積層される。好ましくは、ポリウレタンは、親水性脂肪族ポリウレタンなどの脂肪族ポリウレタンである。好ましくは、製品は、層間又は製品の外面のどちらにも接着剤を全く含まない。
【0208】
追加の処理はまた、第2の層としての追加の(たとえば異なる)ポリウレタン発泡体にラミネートされるか又は並置される第1の層として、ポリウレタン発泡体を提供することも含み得る。第1と第2の層のポリウレタン発泡体は異なる特性を有し得る。たとえば第2の層は、第1の層と比較して異なる吸収性、流体保持率及び/又は熱形成性を有し得る。すなわち、二つのポリウレタンの特性は、本発明の発泡製品では有利に組み合わせることができる。適切な追加ポリウレタン層が本明細書に記載されている。
【0209】
したがって、本発明は、第2のポリウレタン層にラミネートされた又は並置された第1のポリウレタン層を備える少なくとも一つの賦形面を有する吸収性脂肪族ポリウレタン発泡製品を提供し、第2の層は第1の層とは異なる特性を有する。一実施形態では、第2の層は熱形成可能である。一実施形態では、第2の層は、第1の層とは異なる吸収性、たとえば第1の層よりも高い又は低い吸収性、及び/又は第1の層よりも低い流体保持率を有する。第1の層は、BAYMEDIX(登録商標)FP505プレポリマーから製造された発泡体でよく、第2の層はBAYMEDIX(登録商標)FD103プレポリマーから製造された発泡体でよい。
【実施例】
【0210】
本発明についてさらに、以下の非限定的な実施例で説明する。
【0211】
実施例1 毛細管作用
図4Aに示されたディンプル付き脂肪族ポリウレタン吸収性製品が、「+」で印付けられた位置で人工血液の滴を用いて検証された(
図4B参照)。
【0212】
人工血液は効果的に吸収され、当初の検証部位から離れて、製品におけるへこみ又は「谷」)、すなわちへこみ領域又は圧縮領域の中に分散し、次いで、隆起した「丘」又は非圧縮領域に蓄積された。これにより、優れた毛細管作用、及び架空の創傷部からの流体の除去が実証される。
【0213】
実施例2 比較による例
本発明の吸収性製品(本明細書でSENTIENT(登録商標)と呼ばれることがある)を、4つの競合他社市販製品(ACTIVHEAL(登録商標)、ALLEVYN(登録商標)、BIATAIN(登録商標)及びMEPILEX(登録商標))と一緒に、吸収性、保持率、厚さ増加率、及び吸収速度の各特性について試験した。
【0214】
実施例2A 吸収性
重さを量った各被覆材を、36℃で0.9重量%生理食塩水の過剰溶液を入れた容器の中に置いた。次に、各被覆材を35℃の恒温器の中に30分間入れた。この時間の後、各被覆材を30秒間垂直につるし、次いで重さを計量した。
【0215】
結果は、
図7(g/100cm
2)及び
図8(g/g)に示されている。本発明の製品は、最良の吸収能力を示した。
【0216】
実施例2B 保持率
実施例1の試験に続いて、被覆材を4kgの質量で30秒間均一に圧縮し、次いで重さを再計量した。最後に、各被覆材を手で主観的に圧縮し、最終的に重さを再計量した。
【0217】
結果は
図9(%流体保持率)に示されている。本発明の製品は、最良の流体保持能力を示した。
【0218】
実施例2C 厚さ増加率
各被覆材の厚さを、実施例2Aの吸収試験の前後に測定した。次に、この差を用いて百分比増加率を作成した。
【0219】
結果は
図10に示されている。本発明の製品は、最大の厚さ増加率を示した。
【0220】
実施例2D 吸収速度
2mmのアパーチャを有するシリンジを使用して、生理食塩水溶液を被覆材の上に滴下した。接触したときから被覆材の中に完全に吸収されるまでの時間を計測した。このプロセスを5回繰り返し、平均値を求めた。
図11に示された結果で用いたのは、この平均値である。本発明の製品は、最速の吸収時間を示した。
【0221】
実施例3 圧縮部分と非圧縮部分の比較
「花」形賦形(輪郭)デザイン(
図20に示される)を有する本発明の吸収性製品を、吸収性、流体保持率、厚さ増加率、及び吸収速度の特性について試験した。圧縮部分(すなわち花自体)及び非圧縮部分(花と製品縁部の間の領域)を別個に試験し、結果を比較した。
【0222】
実施例3A 吸収
被覆材を切断することによって、被覆材をその圧縮部分と非圧縮部分に分離した。各部分の重さを量り、36℃で0.9重量%生理食塩水の過剰溶液の入った容器の中に置いた。次に、各部分を35℃の恒温器の中に30分間入れた。この時間の後、各部分を30秒間垂直につるし、次いで重さを計量した。
【0223】
結果は、
図15(g/100cm
2)及び
図16(g/g)に示されている。圧縮部分は、非圧縮部分よりも低い吸収能力を示した。
【0224】
実施例3B 厚さ増加率
各部分の厚さを、実施例3Bの吸収試験の前後に測定した。吸収試験前の各部分の厚さがmm単位で
図20に示されている(圧縮部分が1.3mmで非圧縮部分が4.4mm)。次に、試験の前後の厚さの差を用いて百分比増加率を作成した。
【0225】
結果は
図17に示されている。圧縮部分では、非圧縮部分と比較すると、低減された吸収試験後厚さ増加率を示した。
【0226】
実施例3C 吸収速度
2mmのアパーチャを有するシリンジを使用して、生理食塩水溶液を各部分の上に滴下した。接触したときから被覆材部分の中に完全に吸収されるまでの時間を計測した。このプロセスを5回繰り返し、平均値を求めた。
図18に示された結果で用いたのは、この平均値である。圧縮部分は、非圧縮部分よりも速い吸収時間を示した。
【0227】
実施例3D 保持率
実施例3Aの試験に続いて、切り取り部分を、4kgの質量で30秒間均一に圧縮し、次いで重さを再計量した。最後に、各部分を手で主観的に圧縮し、最終的に重さを再計量した。
【0228】
結果は
図19(%流体保持率)に示されている。圧縮部分は、非圧縮部分よりも低い流体保持能力を示した。
【0229】
実施例3A~3Dの方法を、本発明の「ディンプル付き」被覆材に対して繰り返し、同一又は非常に類似している結果を得た。
【0230】
本明細書に挙げられたすべての文書は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0231】
別途定義されていない限り、本発明を開示する際に用いられるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるような意味を有する。さらなるガイダンスによって、本明細書に用いられる用語の定義が、本発明の教示をよりよく理解するために含まれる。本明細書に用いられる用語又は定義は、単に本発明の理解を助けるために提供されている。
【0232】
本明細書全体での「一つの実施形態」又は「一実施形態」への言及は、その実施形態との関連で記載された特定の特徴、構造又は特性が、本発明の少なくとも一つの実施形態に含まれることを意味する。それゆえに、本明細書全体の様々な場所での「一つの実施形態では」又は「一実施形態では」という文言の出現は、すべてが同一の実施形態について言及しているとは限らないが、そうであることもある。さらに、特定の特徴、構造、又は特性は、一つ以上の実施形態において、本開示から当業者に明らかなように、任意の適切な方法で組み合わせることができる。さらに、本明細書に記載のいくつかの実施形態は、別の実施形態に含まれる別の特徴ではないいくつかの特徴を含むが、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、本発明の範囲内にあることが意図され、当業者には理解されるように、異なる実施形態を形成する。たとえば、添付の特許請求の範囲では、特許請求された実施形態のいずれも任意の組み合わせで使用することができる。
【0233】
本発明はまた、以下の番号付きの項で定義された態様に関連する。
1.賦形吸収性ポリウレタン発泡製品を製造する方法であって、前記方法が、
a)発泡ポリウレタンプレポリマー組成物を提供及び/又は調製するステップと、
b)発泡組成物を硬化させるステップと、
c)発泡組成物を賦形するステップと、
d)発泡組成物を乾燥させるステップと
を含み、前記賦形ステップ(c)が前記乾燥ステップ(d)の前に行われる、方法。
2.ポリウレタン発泡体が脂肪族ポリウレタン発泡体である、項1に記載の方法。
3.ポリウレタン発泡体が親水性脂肪族ポリウレタン発泡体である、項1又は項2に記載の方法。
4.ポリウレタン発泡体が、脂肪族イソシアネートベースのプレポリマーを触媒の存在下で水及び界面活性剤と反応させることを含む方法によって調製される、前出の項のいずれかに記載の方法。
5.ステップ(c)が賦形ローラを使用して実行される、前出の項のいずれかに記載の方法。
6.さらに、
e)少なくとも一つのポリウレタンプレポリマーを含む組成物を提供するステップと、
f)その組成物を発泡させて、ステップa)の前記発泡ポリウレタンプレポリマー組成物を形成するステップと
を含む、前出の項のいずれかに記載の方法。
7.ステップ(e)の組成物が、
(i)剥離紙の上に提供されるか、又は一つ以上の剥離紙の間に積層され、かつ/又は
(ii)一つの層として、フィルム層とアルギン酸塩ベースの層との間に、好ましくは接着剤なしで提供される、項6に記載の方法。
8.すべての賦形が乾燥ステップ(d)の前に行われる、前出の項のいずれかに記載の方法。
9.賦形ステップ(c)が、硬化ステップ(b)の後に、かつ乾燥ステップ(d)の前に行われる、前出の項のいずれかに記載の方法。
10.前出の項のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる、吸収性脂肪族ポリウレタン発泡製品。
11.前出の項のいずれか一項に記載の方法によって得られた、吸収性脂肪族ポリウレタン発泡製品。
12.少なくとも一つの賦形面を有する吸収性脂肪族ポリウレタン発泡製品。
13.賦形面が傾斜縁部を備え、好ましくは傾斜が製品の周縁部の最も外側の0.2cm以内に備えられ、好ましくは発泡体の密度が約80~500kg/cm3の間である、項12の吸収性製品。
14.賦形面が一つ以上の隆起部分を備える、項12又は項13の吸収性製品。
15.賦形面が、一つ以上の隆起部分を設けるように前記面に形成された、連結すなわち相互連結へこみのパターンを備える、項12~14のいずれか一項の吸収性製品。
16.連結へこみの前記パターンが非直線であり、少なくとも三つの主方向に、好ましくは角度が付いた広がりで、さらに好ましくはハニカムパターンの形で進行する、項15の吸収性製品。
17.隆起部分が本質的に円形又は六角形の断面である、項14~16のいずれか一項の吸収性製品。
18.賦形面が、前記面に形成された、連結すなわち相互連結隆起部分のパターンを備え、好ましくは、賦形面が、製品の一縁部から、(正反対に)対向する又は実質的に平行である縁部まで実質的に延びる細長い中心隆起部分と、中心隆起部分から、好ましくは実質的に製品の一つ以上の縁部まで延びる複数の追加の細長い隆起部分とを含む、項12~17のいずれか一項の吸収性製品。
19.賦形面がV形すなわちヘリンボーンの輪郭を含む、項12~18のいずれか一項の吸収性製品。
20.賦形面が、前記面の本質的に中心に位置する隆起部分から放射状に延びる複数の細長い隆起部分を備える、項12~19のいずれか一項の項の吸収性製品。
21.ポリウレタン層、フィルム層及びアルギン酸塩ベース層を備える、項12~20のいずれか一項の吸収性製品。
22.以下の特性、すなわち、
(i)約100kg/m3未満の密度、
(ii)約85g/100cm2を超える吸収性、
(iii)約14.5g/gを超える吸収性、
(iv)約58%を超える流体保持率、
(v)約11%超える吸収性試験後の厚さ増加率、
(vi)約4.3秒未満の流体滴吸収速度、
のうちの一つ以上を有する、吸収性脂肪族ポリウレタン発泡製品。
23.賦形され、硬化され、乾燥されていない吸収性ポリウレタン発泡製品。
24.事前乾燥され、賦形され、硬化された吸収性ポリウレタン発泡製品。
25.前記吸収性製品が、被覆材、創傷被覆材、パッド、授乳パッド、ヒールパッド、尿失禁パッド、生理用パッド、おむつ(おしめ)、生理用品、衛生用製品、女性用衛生用品、又はマタニティタオルである、項10~24のいずれか一項の吸収性製品。
26.賦形吸収性ポリウレタン発泡製品を製造する装置であって、前記装置が、
a)硬化手段と、
b)乾燥手段と、
c)賦形手段と、
を備え、前記賦形手段(c)が、硬化手段と乾燥手段の間に動作可能に置かれる、装置。
27.賦形手段が賦形ローラを備える、項26に記載の装置。
28.以下のもの、すなわち、
d)混合ヘッド、
e)発泡体厚さ調整手段、
f)一つ以上のペイオフローラ、
g)張力制御手段、
h)巻き戻しリール
のうちの一つ以上をさらに備える、項26又は項27に記載の装置。
29.本明細書で図を参照して実質的に記載された方法。
30.本明細書で図を参照して実質的に記載された吸収性製品。
31.本明細書で図を参照して実質的に記載された装置。
[項A1]
少なくとも一つの賦形面を有する吸収性脂肪族ポリウレタン発泡体製品。
[項A2]
前記賦形面が一つ以上の隆起部分及び/又は一つ以上のへこみ部分を備える、項A1に記載の吸収性製品。
[項A3]
前記賦形面が一つ以上の圧縮部分及び/又は一つ以上の非圧縮部分を備える、項A1又は項A2に記載の吸収性製品。
[項A4]
前記賦形面が一つ以上の隆起部分又は非圧縮部分、及び一つ以上のへこみ部分又は圧縮部分を備え、さらに、
(i)前記へこみ部分又は圧縮部分は、前記隆起部分又は非圧縮部分よりも密度が高い、かつ/又は
(ii)前記へこみ部分又は圧縮部分は、前記隆起部分又は非圧縮部分よりも吸収性が低い、かつ/又は
(iii)前記へこみ部分又は圧縮部分は、前記隆起部分又は非圧縮部分と比較すると、吸収試験後厚さ増加率が低減されている、かつ/又は
(iv)前記へこみ部分又は圧縮部分は、前記隆起部分又は非圧縮部分と比較すると、流体滴吸収速度が速い、かつ/又は
(v)前記へこみ部分又は圧縮部分は、前記隆起部分又は非圧縮部分よりも流体保持率が低い、項A1~A3のいずれか一項に記載の吸収性製品。
[項A5]
前記隆起部分又は非圧縮部分は、以下の特性、すなわち、
(i)約100~140kg/m
3
の密度、
(ii)約40g/100cm
2
を超える吸収性、
(iii)約5g/gを超える吸収性、
(iv)約50%を超える流体保持率、
(v)約40%を超える吸収性試験後の厚さ増加率、
(vi)約1~4.3秒の流体滴吸収速度
のうちの一つ以上を有する、項A2~A4のいずれか一項に記載の吸収性製品。
[項A6]
前記へこみ部分又は圧縮部分は、以下の特性、すなわち、
(i)約140~180kg/m
3
の密度、
(ii)約40g/100cm
2
未満の吸収性、
(iii)約5g/g未満の吸収性、
(iv)約50%未満の流体保持率、
(v)約40%未満の吸収性試験後の厚さ増加率、
(vi)約1秒未満の流体滴吸収速度、
のうちの一つ以上を有する、項A2~A5のいずれか一項に記載の吸収性製品。
[項A7]
前記賦形面が、一つ以上の隆起部分を設けるように前記面に形成された、連結すなわち相互連結へこみのパターンを備える、項A1~A6のいずれか一項に記載の吸収性製品。
[項A8]
連結へこみの前記パターンが非直線であり、少なくとも三つの主方向に、好ましくは角度が付いた広がりで、さらに好ましくはハニカムパターンの形で進行する、項A7に記載の吸収性製品。
[項A9]
前記隆起部分が本質的に円形又は六角形の断面である、項A2~A8のいずれか一項に記載の吸収性製品。
[項A10]
前記賦形面が、前記面に形成された、連結すなわち相互連結隆起部分のパターンを備え、好ましくは、前記賦形面が、前記製品の一縁部から、(正反対に)対向する又は実質的に平行である縁部まで実質的に延びる細長い中心隆起部分と、前記中心隆起部分から、好ましくは実質的に前記製品の一つ以上の縁部まで延びる複数の追加の細長い隆起部分とを含む、項A1~A9のいずれか一項に記載の吸収性製品。
[項A11]
前記賦形面が、前記面に形成された、連結すなわち相互連結へこみ部分のパターンを備え、好ましくは、前記賦形面が、前記製品の一縁部から、(正反対に)対向する又は実質的に平行である縁部まで実質的に延びる細長い中心へこみ部分と、前記中心へこみ部分から、好ましくは実質的に前記製品の一つ以上の縁部まで延びる複数の追加の細長いへこみ部分とを含む、項A1~A10のいずれか一項に記載の吸収性製品。
[項A12]
前記賦形面がV形すなわちヘリンボーンの輪郭を含む、項A1~A11のいずれか一項に記載の吸収性製品。
[項A13]
前記賦形面が、前記面の本質的に中心に位置するへこみ部分から放射状に延びる複数の細長いへこみ部分を備える、項A1~A12のいずれか一項に記載の吸収性製品。
[項A14]
前記中心のへこみ部分が本質的に円形であり、好ましくは直径が約5~50mmである、項A13に記載の吸収性製品。
[項A15]
前記賦形面が傾斜縁部を備え、好ましくは前記傾斜が前記製品の周縁部の最も外側の0.2cm以内に備えられ、好ましくは前記発泡体の密度が約80~500kg/cm
3
の間である、項A1~A14のいずれか一項に記載の吸収性製品。
[項A16]
以下の特性、すなわち、
(i)約100~180kg/m
3
の密度、
(ii)約85g/100cm
2
を超える吸収性、
(iii)約14.5g/gを超える吸収性、
(iv)約58%を超える流体保持率、
(v)約11%超える吸収性試験後の厚さ増加率、
(vi)約4.3秒未満の流体滴吸収速度、
のうちの一つ以上を有する、吸収性脂肪族ポリウレタン発泡体製品。
[項A17]
一つ以上の添加物/活性成分をさらに含む、項A1~A16のいずれか一項に記載の吸収性製品。
[項A18]
前記一つ以上の添加物/活性成分が一つ以上の医薬品を含む、項A17に記載の吸収性製品。
[項A19]
前記一つ以上の添加物/活性成分が以下のもの、すなわち、
i)クロルヘキシジン、
ii)銀又はその塩、
iii)塩化ナトリウム、
のうちの一つ以上を含む、項A17又は項A18に記載の吸収性製品。
[項A20]
ポリウレタン層を備え、さらにフィルム層及び/又はアルギン酸塩ベースの層を備える、項A1~A19のいずれか一項に記載の吸収性製品。
[項A21]
第2のポリウレタン層にラミネートされた又は並置された第1のポリウレタン層を備え、前記第2の層が第1の層とは異なる特性を有する、項A1~A20のいずれか一項に記載の吸収性製品。
[項A22]
前記第2の層が熱形成可能である、項A21に記載の吸収性製品。
[項A23]
前記第2の層が、前記第1の層とは異なる吸収性、たとえば、前記第1の層よりも高いもしくは低い吸収性、及び/又は低い流体保持率を有する、項A21又は項A22に記載の吸収性製品。
[項A24]
前記第1の層がBAYMEDIX(登録商標)FP505プレポリマーから製造され、かつ/又は前記第2の層がBAYMEDIX(登録商標)FD103プレポリマーから製造される、項A21~A23のいずれか一項に記載の吸収性製品。
[項A25]
前記第1の層が賦形され、好ましくは前記第1の層が賦形ローラによって賦形され、より好ましくは前記第2の層が賦形されない、項A21~A24のいずれか一項に記載の吸収性製品。
[項A26]
不織材料の層を備える、項A1~A25のいずれか一項に記載の吸収性製品。
[項A27]
前記製品が、乳房又はかかとなどの身体の部分の輪郭に合致するように成形される、項A1~A26のいずれか一項に記載の吸収性製品。
[項A28]
賦形され、硬化され、乾燥されていない吸収性ポリウレタン発泡体製品。
[項A29]
事前乾燥され、賦形され、硬化された吸収性ポリウレタン発泡体製品。
[項A30]
前記ポリウレタンが脂肪族ポリウレタンである、項A28又は項A29に記載の製品。
[項A31]
前記吸収性製品が、被覆材、創傷被覆材、パッド、乳房パッド、授乳パッド、ヒールパッド、褥瘡予防パッド、尿失禁パッド、生理用パッド、おむつ(おしめ)、生理用品、衛生用製品、女性用衛生用品、又はマタニティタオルである、項A1~A30のいずれか一項に記載の吸収性製品。
[項A32]
賦形吸収性ポリウレタン発泡体製品を製造する方法であって、前記方法が、
a)発泡ポリウレタンプレポリマー組成物を用意及び/又は調製するステップと、
b)前記発泡組成物を硬化させるステップと、
c)前記発泡組成物を賦形するステップと、
d)前記発泡組成物を乾燥させるステップと
を含み、前記賦形ステップ(c)が前記乾燥ステップ(d)の前に行われる、方法。
[項A33]
前記ポリウレタン発泡体が脂肪族ポリウレタン発泡体である、項A32に記載の方法。
[項A34]
前記ポリウレタン発泡体が親水性脂肪族ポリウレタン発泡体である、項A32又は項A33に記載の方法。
[項A35]
前記ポリウレタン発泡体が、脂肪族イソシアネートベースのプレポリマーを触媒の存在下で水及び界面活性剤と反応させることを含む方法によって調製される、項A32~A34のいずれか一項に記載の方法。
[項A36]
ステップ(c)が賦形ローラを使用して実行される、項A32~A35のいずれか一項に記載の方法。
[項A37]
e)少なくとも一つのポリウレタンプレポリマーを含む組成物を用意するステップと、
f)前記組成物を発泡させて、ステップa)の前記発泡ポリウレタンプレポリマー組成物を形成するステップと
をさらに含む、項A32~A36のいずれか一項に記載の方法。
[項A38]
ステップ(e)の前記組成物が、
(i)剥離紙の上に提供されるか、又は一つ以上の剥離紙の間に積層され、かつ/又は
(ii)一つの層として、フィルム層の上、又はフィルム層とアルギン酸塩ベースの層との間に、好ましくは接着剤なしで用意される、項A37に記載の方法。
[項A39]
すべての賦形が乾燥ステップ(d)の前に行われる、項A32~A38のいずれか一項に記載の方法。
[項A40]
前記賦形ステップ(c)が、前記硬化ステップ(b)の後に、かつ前記乾燥ステップ(d)の前に行われる、項A32~A39のいずれか一項に記載の方法。
[項A41]
前記賦形ステップ(c)が、前記発泡体がその最終サイズまで増大した後に、かつ前記乾燥ステップ(d)の前に行われる、項A32~A40のいずれか一項に記載の方法。
[項A42]
前記賦形ステップ(c)が、前記発泡体が完全に硬化した後に、かつ前記乾燥ステップ(d)の前に行われる、項A32~A41のいずれか一項に記載の方法。
[項A43]
一つ以上の添加物/活性成分を前記発泡体製品に組み入れることを含む、項A32~A42のいずれか一項に記載の方法。
[項A44]
前記発泡体製品を一つ以上の添加物/活性成分でコーティングすることを含む、項A32~A43のいずれか一項に記載の方法。
[項A45]
前記添加物/活性成分が前記プレポリマー組成物の中に提供される、項A43又は項A44に記載の方法。
[項A46]
前記添加物/活性成分を組み入れることが硬化前及び/又は硬化中に行われる、項A43~A45のいずれか一項に記載の方法。
[項A47]
項A32~A46のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる、吸収性脂肪族ポリウレタン発泡体製品。
[項A48]
項A32~A46のいずれか一項に記載の方法によって得られた、吸収性脂肪族ポリウレタン発泡体製品。
[項A49]
賦形吸収性ポリウレタン発泡体製品を製造する装置であって、前記装置が、
a)硬化手段と、
b)乾燥手段と、
c)賦形手段と、
を備え、前記賦形手段(c)が、前記硬化手段と前記乾燥手段の間に動作可能に置かれる、装置。
[項A50]
前記賦形手段が賦形ローラを備える、項A49に記載の装置。
[項A51]
前記賦形ローラが加熱される、項A50に記載の装置。
[項A52]
以下のもの、すなわち、
d)混合ヘッド、
e)発泡体厚さ調整手段、
f)一つ以上のペイオフローラ、
g)張力制御手段、
h)巻き戻しリール
のうちの一つ以上をさらに備える、項A49~A51のいずれか一項に記載の装置。
[項A53]
本明細書で図を参照して実質的に記載された吸収性製品。
[項A54]
本明細書で図を参照して実質的に記載された方法。
[項A55]
本明細書で図を参照して実質的に記載された装置。