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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】扇風機
(51)【国際特許分類】
   F04D 27/00 20060101AFI20221018BHJP
   F04D 25/16 20060101ALI20221018BHJP
   F04D 25/08 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
F04D27/00 101X
F04D25/16
F04D25/08 305K
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021517884
(86)(22)【出願日】2018-12-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-07
(86)【国際出願番号】 CN2018123809
(87)【国際公開番号】W WO2020010808
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2020-12-09
(31)【優先権主張番号】201810750820.0
(32)【優先日】2018-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516285032
【氏名又は名称】広東美的環境電器制造有限公司
【氏名又は名称原語表記】GD MIDEA ENVIRONMENT APPLIANCES MFG CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.28 East District Hesui Industrial Park,Dongfu Road,Dongfeng Zhongshan,Guangdong 528425,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】512237419
【氏名又は名称】美的集団股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】MIDEA GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】B26-28F, Midea Headquarter Building, No.6 Midea Avenue, Beijiao, Shunde, Foshan, Guangdong 528311 China
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】郭 ▲潤▼明
(72)【発明者】
【氏名】崔 世▲強▼
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 永▲強▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 旭升
(72)【発明者】
【氏名】方 ▲与▼
(72)【発明者】
【氏名】康 瑞祥
(72)【発明者】
【氏名】易 榕
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-238059(JP,A)
【文献】中国実用新案第207229425(CN,U)
【文献】特開2014-196713(JP,A)
【文献】国際公開第2009/057598(WO,A1)
【文献】中国実用新案第202560599(CN,U)
【文献】中国実用新案第2695689(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 27/00
F04D 25/08
F04D 25/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱と、
前記支柱に取り付けられ、第一回転軸を有する第一電気モータと、
前記第一回転軸に取り付けられている第一羽根と、
前記支柱に取り付けられて、第二回転軸を有し、前記第一電気モータと同軸上に設置されている第二電気モータと、
前記第二回転軸に取り付けられて、ねじれ方向が前記第一羽根のねじれ方向とは逆である第二羽根と、
前記第一電気モータと前記第二電気モータと電気的に接続して、且つ前記第一電気モータと前記第二電気モータの反対回転を制御する電気制御ボードとを含み、
前記電気制御ボードは前記第一電気モータの回転速度ω1と前記第二電気モータの回転速度ω2との比([数式1])を、予め設定された前記比に対応する複数の段階の送風モードで調節且つ制御するように構成された回転速度比調節モジュールを含み
前記電気制御ボードはさらに、前記第一電気モータと前記第二電気モータの回転方向を同期して切り換えるように構成された方向転換調節モジュールを含む
扇風機。
【数1】
【請求項2】
前記第一電気モータと前記第二電気モータの運転時に前記方向転換調節モジュールを切断するように構成された、前記方向転換調節モジュールは保護スイッチを含む
請求項1に記載の扇風機。
【請求項3】
前記電気制御ボードはさらに風速、および/または送風モードの段階を調節する段階調節モジュールを含み、前記段階調節モジュールは段階を編集できるエディタとメモリを含み、前記段階調節モジュールはさらに複数のプリセット段階選択ボタンと少なくとも一つのカスタマイズ段階選択ボタンを含む
請求項1に記載の扇風機。
【請求項4】
前記第一羽根のブレード数はn1で、前記第二羽根のブレード数はn2であり、前記第一羽根のねじれ角はθ1で、前記第二羽根のねじれ角はθ2であり、前記第一羽根のブレード数と第二羽根のブレード数との比と前記第一羽根のねじれ角と第二羽根のねじれ角との比の積を第一差異係数として定義すると、第一差異係数は[数式2]であり、
前記第一差異係数は[数式3]になる
請求項1に記載の扇風機。
【数2】
【数3】
【請求項5】
前記第一電気モータと前記第二電気モータの回転速度の比は[数式4]であり、且つ前記第一差異係数が[数式5]である
請求項4に記載の扇風機。
【数4】
【数5】
【請求項6】
前記第一電気モータと前記第二電気モータの回転速度の比は[数式6]であり、且つ前記第一差異係数が[数式7]である
請求項4に記載の扇風機。
【数6】
【数7】
【請求項7】
前記第一羽根のブレード長さはl1で、面積はS1であり、前記第二羽根のブレード長さはl2で、面積はS2であり、前記第一羽根のブレード面積と前記第一羽根のブレード長さとの比と前記第二羽根のブレード面積と前記第二羽根のブレード長さとの比の積を第二差異係数として定義すると、第二差異係数は[数式8]であり、
前記第二差異係数は[数式9]になる
請求項4に記載の扇風機。
【数8】
【数9】
【請求項8】
前記第一電気モータと前記第二電気モータの回転速度の比は[数式10]であり、且つ前記第二差異係数が[数式11]である
請求項7に記載の扇風機。
【数10】
【数11】
【請求項9】
前記第一電気モータと前記第二電気モータの回転速度の比は[数式12]であり、前記第二差異係数が[数式13]である
請求項7に記載の扇風機。
【数12】
【数13】
【請求項10】
前記扇風機はさらに第三羽根を含み、前記第三羽根は前記第一回転軸に取り付けられている
請求項1に記載の扇風機。
【請求項11】
前記第三羽根は第一羽根の外側に設置されて、且つ前記第三羽根のブレード長さは前記第一羽根のブレード長さより小さい
請求項10に記載の扇風機。
【請求項12】
前記扇風機はさらに第四羽根を含み、前記第四羽根は前記第二回転軸に取り付けられている
請求項10に記載の扇風機。
【請求項13】
前記第四羽根は前記第一羽根と前記第二羽根の間に設置されており、且つ前記第四羽根のブレード長さは前記第二羽根のブレード長さより小さい
請求項12に記載の扇風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は家庭電器の分野に関し、特に扇風機に関する。
(関連出願)
本願は2018年7月9日に提出された、出願番号201810750820.0、発明名称「扇風機」である中国特許出願の優先権を主張し、その全文を参考としてここに援用する。
【背景技術】
【0002】
電気扇風機は異なる機能と形態により天井扇、卓上扇風機、床置き扇風機、壁掛け扇風機、換気扇、冷風扇などの複数種類に分けられ、吸気と送風方法の違いにより、軸流式扇風機、貫流式扇風機、遠心式扇風機と横流式扇風機などの複数種類に分けられる。家庭用卓上扇風機と床置き扇風機の多くは軸流式扇風機であり、通常では家庭用卓上扇風機と床置き扇風機の風量が比較的小さく、強段階時の風量が比較的大きめではあるが、強段階で大風量時には比較的大きい騒音が生じて、使用環境は通常室内であるため、騒音の影響はより大きいものになる。それに、軸流式扇風機の送風モードは単一であり、比較的遠い送風距離が必要とされる場合及び比較的近い送風距離が必要とされる場合に向いていない。例えば、客間の面積が比較的大きい場合、普通の家庭用床置き扇風機の送風距離では、客間の端から端まで吹くことが難しく、特にスイング送風の場合、その送風距離がより近くなる。寝室の面積が比較的小さく、年寄りや幼児に送風する必要がある場合、距離が近すぎて体感風速を比較的速くしやすく、年寄りや乳児、幼児の健康には不利になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願の主な目的は、現在の電気扇風機の送風モードが単一で、実際の需要により送風量と送風距離を具体的に調整できないという問題を解決するための扇風機を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を実現するために、本願が提案する扇風機は支柱、第一電気モータ、第一羽根、第二電気モータ、第二羽根と電気制御ボードを含み、前記第一電気モータと前記第二電気モータは何れも前記支柱に取り付けられて且つ同軸上に設置され、前記第一電気モータと前記第二電気モータはそれぞれ第一回転軸と第二回転軸を有し、前記第一羽根は前記第一回転軸に取り付けられ、前記第二羽根は前記第二回転軸に取り付けられ、前記第一羽根のねじれ方向は前記第二羽根のねじれ方向とは逆であり、前記電気制御ボードは前記第一電気モータと前記第二電気モータと電気的に接続して、且つ前記第一電気モータと前記第二電気モータの反対回転を制御し、前記電気制御ボードは前記第一電気モータの回転速度ω1と前記第二電気モータの回転速度ω2との比([数式1])を調節するための回転速度比調節モジュールを含む。
【0005】
【数1】
【0006】
好ましくは、前記電気制御ボードはさらに、前記第一電気モータと前記第二電気モータの回転方向を同期して切り換えるための方向転換調節モジュールを含む。
【0007】
好ましくは、前記第一電気モータと前記第二電気モータの運転時に前記方向転換調節モジュールを切断するために、前記方向転換調節モジュールは保護スイッチを含む。
【0008】
好ましくは、前記電気制御ボードはさらに段階調節モジュールを含み、前記段階調節モジュールは段階を編集できるエディタとメモリを含み、前記段階調節モジュールはさらに複数のプリセット段階選択ボタンと少なくとも一つのカスタマイズ段階選択ボタンを含む。
【0009】
好ましくは、前記第一羽根のブレード数はn1で、前記第二羽根のブレード数はn2であり、前記第一羽根のねじれ角はθ1で、前記第二羽根のねじれ角はθ2であり、前記第一羽根のブレード数と第二羽根のブレード数との比と前記第一羽根のねじれ角と第二羽根のねじれ角との比の積を第一差異係数として定義すると、第一差異係数は[数式2]であり、前記第一差異係数は[数式3]になる。
【0010】
【数2】
【0011】
【数3】
【0012】
好ましくは、前記第一電気モータと前記第二電気モータの回転速度の比は[数式4]であり、且つ前記第一差異係数が[数式5]である。
【0013】
【数4】
【0014】
【数5】
【0015】
好ましくは、前記第一電気モータと前記第二電気モータの回転速度の比は[数式6]であり、且つ前記第一差異係数が[数式7]である。
【0016】
【数6】
【0017】
【数7】
【0018】
好ましくは、前記第一羽根のブレード長さはl1で、面積はS1であり、前記第二羽根のブレード長さはl2で、面積はS2であり、前記第一羽根のブレード面積と前記第一羽根のブレード長さとの比と前記第二羽根のブレード面積と前記第二羽根のブレード長さとの比の積を第二差異係数として定義すると、第二差異係数は[数式8]であり、前記第二差異係数は[数式9]になる。
【0019】
【数8】
【0020】
【数9】
【0021】
好ましくは、前記第一電気モータと前記第二電気モータの回転速度の比は[数式10]であり、且つ前記第二差異係数が[数式11]である。
【0022】
【数10】
【0023】
【数11】
【0024】
好ましくは、前記第一電気モータと前記第二電気モータの回転速度の比は[数式12]であり、前記第二差異係数が[数式13]である。
【0025】
【数12】
【0026】
【数13】
【0027】
好ましくは、前記扇風機はさらに第三羽根を含み、前記第三羽根は前記第一回転軸に取り付けられている。
【0028】
好ましくは、前記第三羽根は第一羽根の外側に設置されて、且つ前記第三羽根のブレード長さは前記第一羽根のブレード長さより小さい。
【0029】
好ましくは、前記扇風機はさらに第四羽根を含み、前記第四羽根は前記第二回転軸に取り付けられている。
【0030】
好ましくは、前記第四羽根は前記第一羽根と前記第二羽根の間に設置されており、且つ前記第四羽根のブレード長さは前記第二羽根のブレード長さより小さい。
【0031】
本願の技術案によれば、互いに独立した第一電気モータと第二電気モータにより第一羽根と第二羽根の回転を駆動し、且つ中間制御システムにより第一電気モータと第二電気モータの回転速度比の調節を行うことで、本願の扇風機に気流が迅速に分散する軟風送風能力から気流が集中する遠距離送風能力まで与えて、且つ需要に応じて異なる送風モード間のスピーディーな調節を行うことが可能である。
【0032】
本願実施例及び従来技術の技術案をより明確に説明するため、以下では、実施例或いは従来技術の説明に必要とされる添付図面を簡単に紹介する。下記説明における添付図面は本願の一部の実施例に過ぎないことは明らかであって、当業者にとって、創造的な労働を行わないことを前提に、これらの添付図面が示す構造により他の添付図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本願の扇風機の分解構造模式図である。
図2】本願の扇風機の羽根及び電気モータの側面構造模式図である。
図3】本願の扇風機の羽根及び電気モータの構造模式図である。
図4】本願の扇風機のもう一つの実施例における電気モータと扇風機の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
添付図面を参照して、実施例と組み合わせて本願目的の実現、機能特徴及び長所をさらに説明する。
【0035】
以下では、本願実施例における添付図面と組み合わせ、本願実施例における技術案を明確且つ完全に説明する。説明される実施例は本願の全ての実施例ではなく、本願の一部の実施例に過ぎないことは明らかである。本願における実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行わないことを前提に得られた全ての他の実施例は、本願の保護する範囲に属す。
【0036】
もし本願実施例で方向性指示(例えば上、下、左、右、前、後...)に関わる場合、当該方向性指示はある特定の姿勢(添付図面に示す)における各部品間の相対的位置関係、運動状況等を説明するためだけに用いられ、もし当該特定の姿勢が変わる場合、当該方向性指示もそれ相当に変わることは説明すべきである。
【0037】
また、本願実施例において「第一」、「第二」等の説明に関わる場合、当該「第一」、「第二」等の説明は、説明のために利用されるだけであって、その相対的重要性を提示又は暗示する、或いは提示される技術的特徴の数を暗示的に指定するように理解すべきではない。これにより、「第一」、「第二」に限定されている特徴は明示的或いは暗示的に少なくとも一つの当該特徴を含んでもよい。また、各実施例の技術案はお互いに組み合わせることができる。ただし、当業者が実現できることはその前提である。技術案の組み合わせに矛盾が生じるか、実現できない場合には、このような技術案の組み合わせが存在しない、且つ本願が請求する保護範囲にないと理解すべきである。
【0038】
家庭用床置き扇風機、卓上扇風機、窓用扇風機などの軸流扇風機では、一つの電気モータにより電気モータの回転軸に固定された傾斜のある羽根の回転を駆動することで、電気モータの軸方向に空気を駆動する送風方式を採用している。このような扇風機は構造が簡単で、送風方式が直接であり、最も一般的に応用されている。しかしながら、このような扇風機の羽根により直接駆動された空気には、軸方向の運動量に加えて、羽根と空気との摩擦で気体に生じた回転軸と垂直な運動量もある。回転軸と垂直な気流の運動量は気流を拡散させ、気流が拡散してから、気流束の横断面が拡大して、軸方向に運動する時に受ける抵抗力が急激に増大して、軸方向の有効送風距離を比較的近くしてしまう。特に、扇風機の首ふりスイング送風の場合、軸方向の有効送風距離は単一方向の送風の場合の送風距離に比べてより近くなる。
【0039】
「美的FS40-12DR」床置き扇風機を対象に風量測定スタンドによる風速測定テストを行った結果、美的FS40-12DRの最大送風速度は4m/s前後であり、他の床置き扇風機と大体同一である。扇風機を起動して、最高段階に調節し、風量測定スタンドを扇風機軸線の前方の異なる距離に置いて、風速を測定した結果、データは以下の[表1]のようになる。
【0040】
【表1】
【0041】
実験データからわかるように、扇風機の減衰は非線形減衰であり、速度が大きいほど減衰が速くなり、且つ3mのところで1.65m/sまで減衰するが、風があると人の体に感じさせるためには、風速を1.6m/s前後にする必要がある。
【0042】
上記テストデータにより、普通の床置き扇風機の有効送風距離は3m前後であるという結論を導くことができ、日常使用の経験と一致している。
【0043】
通常では、3mの有効送風距離では、多くの応用場面の要求を満たせるが、床置き扇風機などの軸流扇風機を高い段階にした場合に生じる騒音は比較的大きい。同様に「美的FS40-12DR」を持って段階と騒音の対照テストを行う(段階が高いほど風速が速い)。「美的FS40-12DR」は同類の製品で機械騒音に対する制御が比較的よく、運転中に部品の機械的振動或いは摩擦による騒音がほとんどないため、測定される騒音を全て羽根により気流を生じさせる時に生じた騒音による騒音とみなすことが可能である。FS40-12DRは三つの段階を持ち、扇風機から2メートル離れた箇所で各段階に対応する騒音の大きさを測定した結果、データは以下の[表2]のようになる。
【0044】
【表2】
【0045】
昼間で騒音が50デシベル、夜で45デシベルを超えた場合、正常な睡眠と休憩を邪魔してしまう。音環境品質の基準により、第0種音環境区域(リハビリ療養区域など特に静穏を必要とする区域を指す)に対する要求は、昼間の騒音が50デシベル以下で、夜間の騒音が40デシベル以下であり、第1種音環境区域(住宅、医療衛生、文化教育、科学研究や設計、行政事務などを主要機能として、静穏の保持を必要とする区域を指す)に対する要求は、昼間の騒音が55デシベル以下で、夜間の騒音が45デシベル以下である。
【0046】
これによりわかるように、一般的な床置き扇風機を夜で使用する場合、その最大段階の場合に生じる騒音は比較的著しく睡眠や休憩に影響してしまう。たとえ昼間でも、その最大段階の場合に生じる騒音は第0類音環境区域の要求を満たさない。
【0047】
よって、通常のシングル電気モータシングル羽根構造の床置き扇風機では、十分な静穏を保つ前提で、十分な有効送風距離を保証することは不可能である。それとともに、通常の床置き扇風機では、いくつかの比較的大きい空間での送風需要、例えば面積が比較的大きい客間などの需要の場面を満たすことはできない。
【0048】
それに、いくつかの特殊の応用場面、例えば面積が比較的小さい寝室内で乳児、幼児或いはお年寄りに送風するなどの場合では、比較的大きい有効送風距離の代わりに、比較的大きい風速で直接乳児、幼児或いはお年寄りの体に吹き付けるのを避けるように、できるだけはやく気流を拡散させるやさしい風が必要とされる。現在では、通常のやり方としては、扇風機を壁に向けて、壁の気流に対する反動により、気流を迅速に拡散させる目的を達成しているが、直接扇風機を調節することで目的を達成することはできない。
【0049】
そのために、本願では扇風機を提案する。本願で提案する扇風機は、二つの電気モータでそれぞれ独立して二つの羽根を逆方向に回転するように制御し、二つの羽根の傾斜方向も逆なので、二つの羽根が逆方向に回転する場合、それらの送風方向も同じになる。
【0050】
具体的に、本願の実施例では、図1乃至図3を参照し、この扇風機は支柱100、第一電気モータ200、第一羽根201、第二電気モータ300、第二羽根301と電気制御ボードを含み、前記第一電気モータ200と前記第二電気モータ300は何れも前記支柱100に取り付けられて且つ同軸上に設置されている。前記第一電気モータ200と前記第二電気モータ300はそれぞれ第一回転軸202と第二回転軸302を有する。前記第一羽根201は前記第一回転軸202に取り付けられ、前記第二羽根301は前記第二回転軸302に取り付けられ、前記第一羽根201のねじれ方向は前記第二羽根301のねじれ方向とは逆であり、前記電気制御ボードは前記第一電気モータ200と前記第二電気モータ300を電気的に接続して、且つ前記第一電気モータ200と前記第二電気モータ300の反対回転を制御する。前記電気制御ボードは前記第一電気モータ200の回転速度ω1と前記第二電気モータ300の回転速度ω2との比([数式14])を調節するための回転速度比調節モジュールを含む。
【0051】
【数14】
【0052】
第一電気モータ200は第一回転軸202の回転を駆動することで、第一羽根201の回転を駆動し、同様に、第二電気モータ300は第二回転軸302の回転を駆動することで、第二羽根301の回転を駆動する。第一電気モータ200と第二電気モータ300はそれぞれ電気制御ボードに電気的に接続されて、前記電気制御ボードは第一電気モータ200と第二電気モータ300の回転方向と回転速度をそれぞれ独立して制御し、第一電気モータ200と第二電気モータ300の回転方向を逆に保つ。
【0053】
ダブル電気モータの反対回転による同方向送風により、空気に軸方向に重なった駆動作用、及び径方向で互いに相殺する駆動作用を与えて、気流の軸方向運動時の擾乱を減少させ、気流を安定して前へ運動させることができる。二つの羽根の回転速度の差が大きくない場合、シングル羽根による送風に比べて、気流の集中効果が著しく、より遠い距離まで送り届けることが可能である。二つの羽根の回転速度の違いは扇風機の送風効果の違いにつながり、第一羽根201と第二羽根301との回転速度比が扇風機の送風量及び有効送風距離に与える影響について、後の部分で具体的に説明する。
【0054】
前記電気制御ボードは回転速度比調節モジュール、調速モジュールと方向転換調節モジュールとを含み、前記回転速度比調節モジュールは前記第一電気モータ200と前記第二電気モータ300の回転速度の比を調節及び固定するためのものであり、前記調速モジュールは前記第一電気モータ200と前記第二電気モータ300の回転速度を同期して調節するためのものであり、前記方向転換調節モジュールは前記第一電気モータ200と前記第二電気モータ300の回転方向を切り換えるためのものである。
【0055】
方向転換調節モジュールは二種類の調節モードがあり、その一つは正転モードであり、もう一つは反転モードであり、正転モードにおいて、扇風機は正方向に送風し、反転モードにおいて、扇風機は逆方向に送風し、方向転換調節モジュールは調節スイッチと保護スイッチを含み、保護スイッチは扇風機の運転時に方向転換調節モジュールを切断して、扇風機の運転時に方向転換調節スイッチを作動させて第一電気モータ200と第二電気モータ300を運転時に反転させて損害を与えるのを避けるためのものであり、方向転換調節スイッチは扇風機の作動停止時に第一電気モータ200と第二電気モータ300の給電モードを切り換えることで、扇風機の正方向或いは逆方向送風を制御するためのものである。保護スイッチは常閉スイッチであり、扇風機の作動時に、保護スイッチが開いて、方向転換調節モジュールの給電を中断し、扇風機の電源が入って且つ作動していない時、保護スイッチが閉じており、方向転換調節モジュールは正常に作動できる。
【0056】
二つの電気モータで二つの羽根の回転をそれぞれ駆動して共同で送風を完成する。二つの羽根が同じである場合、その送風モードは二つの電気モータの回転速度の比で決まる。扇風機が第一羽根201側に送風する場合を例にとり、第一電気モータ200の回転速度はω1で、第二電気モータ300の回転速度はω2であり、第一電気モータ200と第二電気モータ300の総出力パワーを一定に保って、第一電気モータ200と第二電気モータ300との回転速度比を調節して、総送風量と有効送風距離についてテストを行った結果、以下の[表3]のようになる。
【0057】
【表3】
【0058】
上記実験データからわかるように、第一電気モータ200と第二電気モータ300との回転速度比が[数式15]である場合、送風量も有効送風距離も比較的大きく、ω1/ω2>1.3である場合、送風量の低下速度が小さくなり、且つ有効送風距離の低下速度も小さくなり、ω1/ω2の値が0.7から0.9の間にある場合、有効送風距離と送風量には何れも非常に大きな減衰が現れるが、ω1/ω2<0.7である場合、送風量と有効送風距離の減衰は著しく小さくなる。
【0059】
【数15】
【0060】
ω1/ω2の比の値の範囲を拡大させて、扇風機の送風モードをさらに調べると、一部のデータは以下の[表4]のようになる。
【0061】
【表4】
【0062】
上記テストによりわかるように、ω1/ω2>2.1である場合、送風量はほとんど当該比の値の増大とともに減少しなくなる。同じパワーのシングル電気モータ扇風機の送風量と有効送風距離はそれぞれ690m3/hと4mであり、このパワーにおいて、ダブル羽根による送風量と有効送風距離はいずれもシングル羽根の場合に近づいている。つまり、第一電気モータ200と第二電気モータ300との回転速度比が2.1より大きくなってから、ダブル羽根の反対回転による送風量と有効送風距離がシングル羽根の場合より明らかに優れることはなくなる。
【0063】
一つ前のグループの実験データと組み合わせて、比較的大きな送風量と有効送風距離の確保が求められている場合、ω1/ω2の値は2.1より大きくなってはならず、且つ0.7より小さくなってはいけない。ω1/ω2の値について、0.7と2.1の二つの値に基づいてさらに細分化し、再びテストを行った結果、データは以下の[表5]のようになる。
【0064】
【表5】
【0065】
上記データからわかるように、ω1/ω2の値を0.8から2.0の間にする場合、送風量が比較的大きく、且つ有効送風距離が比較的遠くなる。一方、本実施例における第一電気モータ200と第二電気モータ300の回転方向は逆にできる。つまり、第二電気モータ300側から送風できるので、比較的大きい送風量と比較的遠い有効送風距離を得るために、第一電気モータ200と第二電気モータ300の回転速度比の値の選択可能な範囲は[0.5,2]である。
【0066】
第一電気モータ200と第二電気モータ300の回転速度の差が比較的大きい場合、有効送風距離が比較的近く、送風の発散角が比較的大きくなり、つまり、軟風モードになる。上記のいくつかのグループの実験データに基づいて、なお第一電気モータ200側から送風する場合を例として第一電気モータ200と第二電気モータ300との回転速度の差が比較的大きい場合の送風モードについて具体的に調べる。以上のデータから明らかになるように、ω1/ω2>2.0である場合、送風モードが通常の扇風機に近い。よって、重点としては、ω1/ω2<0.6の場合について調べる。軟風モードの主なパラメータは送風量、有効送風距離及び発散角である。0.1の間隔で、ω1/ω2が0.1から0.7になる場合の送風パラメータを調べた結果、具体的なデータは以下の[表6]のようになる。
【0067】
【表6】
【0068】
送風気流には明らかな境界がなく、軟風モードの送風パラメータの正確性への要求は高くないので、送風羽根から1m離れた場所で、気流流速が2m/s以上である縁部区域を境界として区画して、且つ概数を取り、上記の発散角データを得た。
【0069】
上記データからわかるように、ω1/ω2の値が0.1から0.5の間にある場合、送風の発散角は60°より大きく、一定の軟風効果を有し、且つ、ω1/ω2の値が0.1から0.3の間にある場合、軟風効果が最も良くなる。軟風モードは通常、狭い寝室内でお年寄りや乳児、幼児に送風する場面で利用され、扇風機とお年寄りや乳児、幼児との距離が比較的近いが、比較的大きい送風面積を必要とするので、気流の比較的大きい発散角が求められる。
【0070】
一般的な扇風機には通常、三つの段階が前もってセットされており、本願の扇風機にも段階を前もってセットできる。具体的に、本実施例における電気制御ボードは段階調節モジュールを含み、前記段階調節モジュールは段階を編集できるエディタとメモリを含み、前記段階調節モジュールはさらに複数のプリセット段階選択ボタンと少なくとも一つのカスタマイズ段階選択ボタンを含む。本願の扇風機は異なる送風モードを実現できるので、プリセット段階には、通常の風速を制御する段階以外に、さらに送風モードの段階を含む。例えば、プリセット段階には軟風モード段階と直風モード段階が含まれ、軟風モードではω1/ω2=0.45に前もってセットし、直風モードではω1/ω2=0.95に前もってセットし、異なる風速の段階に合わせて、軟風モードにおける多段階送風と直風モードにおける多段階送風を実現でき、プリセット段階にはさらに、ω1/ω2=0.8に対応する通常モードの段階を前もってセットでき、比較的大きい有効送風距離を保つ前提で、気流が一定の発散角を持ち、風感が比較的適当である。それに、使用者は段階エディタを利用してカスタマイズ段階を設定できる。編集できる内容は総出力パワーと回転速度比を含み、編集が完成後、メモリに保存し、カスタマイズ段階選択ボタンと関連付けて、カスタマイズ送風モードの直接呼出選択を実現する。例えば、空間が非常に狭い寝室内では、ω1/ω2=0.1に設定すると、さらにはワンタッチで適当な送風モードに調節できる。
【0071】
扇風機のブレードは平面ブレードと弧形面ブレードを含む。平面ブレードを採用する場合、方向転換調節モジュールで電気モータの回転方向を変えて、送風方向が反対になり、第一羽根201と第二羽根301の回転速度比ω1/ω2の送風効果に対する影響に、前記内容は適用できなくなることは、説明しておく必要がある。倒置して第二羽根301と第一羽根201の回転速度比ω2/ω1に入れ替える必要がある。弧形面ブレードを採用する場合、方向転換調節モジュールで電気モータの回転方向を変えて、送風方向が反対になるが、送風効果は平面ブレードを採用する場合とは多少違う。正面へ送風する場合の送風能力がある程度向上するが、背面へ送風する場合の送風能力がある程度低下し、他の面において上記内容と一致する。
【0072】
本願の技術案では、互いに反対に回転する電気モータにより、空気を駆動して軸方向に送風するようにブレードのねじれ方向が反対の第一羽根201と第二羽根301を駆動して、且つ電気制御ボードにより第一電気モータ200と第二電気モータ300の回転速度の比を一定の値の範囲内にあるように制御することで、扇風機の送風モードを調節する。例えば第一羽根201と第二羽根301の回転速度比ω1/ω2を[0.9,1.0]の範囲内に制御する場合、気流の電気モータの軸方向に垂直な運動量を互いに相殺させることで気流をより集中させて、送風量をより大きくして、送風距離をより遠くできる。これにより、一定の送風距離需要を満たす前提で、第一電気モータ200と第二電気モータ300の回転速度を下げて、さらには扇風機の運転時の騒音を低減できる。一方、電気制御ボードにより第一羽根201と第二羽根301の回転速度比ω1/ω2を0.5以内に制御する場合、送風気流をより迅速に分散させて、乳児、幼児とお年寄りの軟風モードに対する送風需要を満たせる。それに、電気制御ボードの回転速度比調節モジュールにより第一電気モータ200と第二電気モータ300の回転速度比を調節して、扇風機に気流が迅速に分散する軟風送風機能から次第に気流が集中する遠距離送風機能まで持たせることが可能である。段階を編集できるエディタとメモリにより、使用者によく使われる送風モードを編集や保存して、且つそれをカスタマイズ段階としてカスタマイズ段階ボタンと関連付けて、設置が完了後、使用が必要になる度に繰り返して設定することなく、ワンタッチで選択できる。
【0073】
扇風機は、その二つの電気モータの回転速度比が送風効果に影響する以外に、前記第一羽根201のブレード数n1、前記第二羽根301のブレード数n2、前記第一羽根201のねじれ角θ1、前記第二羽根301のねじれ角θ2の数値及び相互関係も送風効果に多少影響する。比較的多い影響要因が共同して扇風機の送風能力に影響し且つ具体的に計算することが困難な場合、如何にしてこれらの影響要因の関係を組み合わせれば最適な設計を実現できるかは、理論と実験上の困難に直面する。
【0074】
そのために、前記第一羽根201のブレード数と第二羽根301のブレード数との比と前記第一羽根201のねじれ角と第二羽根301のねじれ角との比の積を第一羽根201と第二羽根301との間の第一差異係数として定義する。前記第一羽根201のブレード面積と前記第一羽根201のブレード長さとの比と前記第二羽根301のブレード面積と前記第二羽根301のブレード長さとの比の積を第二差異係数として定義する。第一差異係数は[数式16]になり、第二差異係数は[数式17]になる。
【0075】
【数16】
【0076】
【数17】
【0077】
第一差異係数は、第一羽根201と第二羽根301のブレード形状、面積、長さ、幅など他の条件が決まった場合、その自身の送風能力の比の値を反映するものであり、第二差異係数は、第一羽根201と第二羽根301のブレード数、ブレードねじれ角とブレード幅などの条件が決まった場合、その自身の送風能力の比の値を反映するものである。
【0078】
総出力パワーが固定して且つブレードの他の条件が何れも同じ場合、k1値が異なる扇風機に対して送風能力のグループテストを行った結果、以下の[表7]のようになる。
【0079】
【表7】
【0080】
上記データからわかるように、[数式18]の場合、扇風機の送風量と送風距離は何れも比較的良い範囲にあり、且つ送風量と送風距離の最良区間は[数式19]である。この場合、第一電気モータ200と第二電気モータ300の回転速度比を調節し、[数式20]にした場合、扇風機の送風能力と有効送風距離は何れも最良になる。
【0081】
【数18】
【0082】
【数19】
【0083】
【数20】
【0084】
それに、[数式21]の場合、送風量と有効送風距離との比の値が比較的大きく、気流の拡散角度が相対的に大きいことがわかる。この場合、軟風モードの第一電気モータ200と第二電気モータ300との回転速度比の数値範囲に合わせて、軟風モードの軟風効果を向上できる。即ち、[数式21]の場合に第一電気モータ200と第二電気モータ300の回転速度比を調節して、[数式22]にした場合、扇風機の軟風効果がより良くなる。
【0085】
【数21】
【0086】
【数22】
【0087】
総出力パワーが固定して且つブレードの他の条件が何れも同じ場合、k2値が異なる扇風機に対して送風能力のグループテストを行った結果、以下の[表8]のようになる。
【0088】
【表8】
【0089】
データからわかるように、扇風機の送風量と送風距離が比較的良い場合のk2の数値範囲は[数式23]であり、且つ[数式24]の場合より良くなる。
【0090】
【数23】
【0091】
【数24】
【0092】
この場合、第一電気モータ200と第二電気モータ300の回転速度比と組み合わせてわかるように、[数式25]且つ[数式24]の場合、扇風機の送風能力と有効送風距離がより良くなる。
【0093】
【数25】
【0094】
それなりに、[数式26]且つ[数式27]の場合、扇風機の軟風効果及び軟風モードにおける送風能力が比較的良くなる。
【0095】
【数26】
【0096】
【数27】
【0097】
それに、第一羽根201の長さ、第二羽根301の長さと第一羽根201と第二羽根301間の距離との間の関係も扇風機の送風能力に影響する。
【0098】
第一羽根201と第二羽根301の反対回転により生じたペア気流の共同作用は本願の扇風機の送風能力に寄与する。一方、第一羽根201と第二羽根301の間隔が大きすぎるか或いは第一羽根201のブレード長さと第二羽根301のブレード長さの差が比較的大きい場合、二つの羽根の反対回転とペア気流の共同作用の効果は弱くなる。したがって、第一羽根201のブレード長さと第二羽根301のブレード長さの比をある一つの区間内に設定して、そして第一羽根201のブレード長さと第一羽根201と第二羽根301との間の距離との比をある一つの区間内に設定する必要がある。
【0099】
それに対して、他の影響要因を固定し、単一変数の対照テストを行い、第一羽根201のブレード長さと第二羽根301のブレード長さとの比の送風量と送風距離に対する影響について、データは以下の[表9]のようになる。
【0100】
【表9】
【0101】
第一羽根201のブレード長さと第一羽根201と第二羽根301との間の距離の比の送風量と送風距離に対する影響について、データは以下の[表10]のようになる。
【0102】
【表10】
【0103】
以上のデータからわかるように、l1/l2の比較的良い数値区間は[0.8,1.3]であり、l1/Lの比較的良い数値区間は[1.5,3]であり、そしてl1/l2の最良数値区間は[0.9,1.1]であり、l1/Lの最良数値区間は[2,2.5]である。
【0104】
反対回転扇風機の送風能力に影響する要因は非常に多く、且つ各要因間には一定の関係があるので、反対回転扇風機の最良送風時の具体的な設定を確定するのが困難である。本願では、一連の独創の対照テストを通して、各影響要因間の比較的良い比の値を得て、且つ反対回転扇風機の送風能力に影響する第一羽根201と第二羽根301の各要因の比例及び数値範囲を画定することで、反対回転扇風機の送風能力を最良にする。
【0105】
上記実施例はダブル羽根を採用する扇風機の具体的な実施例であり、扇風機の送風距離をさらに上げるために、本願では、ダブル羽根をもとに、さらにもう一つの実施例を提案する。
【0106】
図4を参照し、本実施例の扇風機はさらに第三羽根400を含む。ダブル羽根反対回転送風をもとに第三羽根400を追加することで、さらなる整流調節を行って、最大送風距離を大きくできる。具体的に、前記第三羽根400は前記第一回転軸202に取り付けられ、前記第三羽根400は前記第一羽根201の前記第二羽根301と反対するもう一側に設置されて、且つ前記第三羽根400のブレード長さは前記第一羽根201のブレード長さより小さい。
【0107】
羽根は気流の流速と流向を変え、2セットの羽根を採用する場合、気流に対して二次調整を行い、そして2セットの羽根に対して特定の設定及び調整を行うことで、送風効果に対して人為的な調節を行う目的を達成できるので、本願では上記の2セット羽根の扇風機の実施例を提案する。気流が流れる時、周囲の空気に阻まれるので、気流の境界には、比較的大きい不安定性がある。気流は等価化して気流束中心区と気流束境界区に区分でき、比較すると、気流束中心区の流速が送風距離に与える影響がより大きく、気流束境界区が送風の角度に与える影響が比較的大きい。よって、本願では、上記のダブル羽根をもとに整流羽根を追加する実施例を提案する。
【0108】
第三羽根400は整流羽根であり、整流羽根は主として気流束中心区の区域比例と流速を調整するためのものであり、総パワーが変わらない状態で、気流束中心区と境界区の範囲と比例を調節することで、より遠い送風距離を獲得する。
【0109】
これを踏まえて、扇風機の運転時の安定性を向上させるためにそして整流羽根の整流能力をさらに向上させるために、本願ではもう一つの実施例を提案する。本実施例では、扇風機はさらに第四羽根500を含み、前記第四羽根500は前記第二回転軸302に取り付けられて且つ前記第一羽根201と前記第二羽根301の間に設置されている。同様に、前記第四羽根500のブレード長さは前記第二羽根301のブレード長さより小さい。整流羽根としては、第三羽根400或いは第四羽根500の中の一方だけを採用してもよく、同時に第三羽根400と第四羽根500を設置してもよいことは、説明しておく必要がある。
【0110】
整流羽根を第一羽根201と第二羽根301と組み合わせることで、気流の調整可能性をより強くできる一方、整流羽根の気流に対する追加の駆動作用及びその追加の駆動作用が風束中心区域に集中することにより、扇風機により生じられる気流束の中心区と境界区の区域比例及び流速比例を調整して、より遠い送風距離を得ることが可能となる。
【0111】
以上に述べたことは本願の好ましい実施例に過ぎず、それによって本願の特許の範囲を制限するわけではない。本願の発明構想の下で、本願の明細書及び添付図面の内容を利用してなされた等価構造変換、或いは他の関連する技術分野への直接/間接的な応用は、何れも本願の特許の保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0112】
100 支柱
200 第一電気モータ
201 第一羽根
202 第一回転軸
300 第二電気モータ
301 第二羽根
302 第二回転軸
400 第三羽根
500 第四羽根
図1
図2
図3
図4