(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】湿気に対して保護されたハイブリッド電子デバイス及び湿気に対してハイブリッド電子デバイスを保護する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20221018BHJP
C23C 16/40 20060101ALI20221018BHJP
H01L 23/29 20060101ALI20221018BHJP
H01L 23/31 20060101ALI20221018BHJP
H01L 25/065 20060101ALI20221018BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20221018BHJP
H01L 25/18 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
H01L21/60 311Q
C23C16/40
H01L23/30 B
H01L25/08 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017013825
(22)【出願日】2017-01-30
【審査請求日】2019-10-15
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-05
(32)【優先日】2016-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(73)【特許権者】
【識別番号】511148123
【氏名又は名称】タレス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ・マリオン
(72)【発明者】
【氏名】トニー・メンドロン
【合議体】
【審判長】河本 充雄
【審判官】鈴木 聡一郎
【審判官】松永 稔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0137062(US,A1)
【文献】特開2008-042104(JP,A)
【文献】特開2008-113045(JP,A)
【文献】特開2011-086705(JP,A)
【文献】特開2013-143559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H01L 23/29
H01L 23/31
H01L 25/065
H01L 25/07
H01L 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ二つの対向する表面を有する第一電子部品及び第二電子部品(10a、10b)を備えるデバイスを湿気に対して保護する方法であって、前記表面が:
-10マイクロメートル未満のゼロではない距離で分離され;
-100mm
2超の領域を有し;
-物質がない空間によって互いに離間された電気的相互接続要素(16)の組立てによって接続され、
前記電気的相互接続要素(16)が実現されてから、少なくとも前記相互接続要素を覆う無機材料の層(34)を形成するためにデバイス上に薄い原子層の堆積物を適用するステップを備え、前記無機材料の層は10
-3g/m
2/日以下の水蒸気透過性を有し、
前記無機材料は、Al
2
O
3
、TiO
2
、ZrO
2
、Al
2
O
3
/TiO
2
、又はAl
2
O
3
/ZrO
2
の式の化合物を含む群から選択され、
-薄い原子層の堆積物の適用が、チャンバー内に構造物を配置するステップと、無機材料の層の形成のために前記チャンバー内へと反応ガスを注入するステップとを備え、
-反応ガスの注入はチャンバー内でポンピングすることなく実行される、方法。
【請求項2】
前記無機材料の層は10ナノメートルから100ナノメートルの範囲の厚さを有する、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
二つの部品の対向する表面を分離する物質がない空間を完全に充填する充填材料を堆積するステップを備え、前記充填材料の堆積が、相互接続要素上での無機材料の層の堆積後に実行される、請求項1
又は2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二つの組み立てられた部品間の接続の信頼性の向上に関する。
【0002】
本発明はより詳細には、二つの部品間の垂直相互接続を形成する、所謂「フリップチップ」技術に係る二つの電子部品の組立てにおける用途を見出す。従って本発明は、所謂「チップオンチップ」、「チップオンウェハ」、及び「ウェハオンウェハ」の組立てにおける特定の用途を見出す。
【0003】
本発明は、非常に小さなピッチを有する金属パターン用の、特に、例えば多量の接続を備える大きな異種検出アレイ、コールドハイブリダイズされた温度感受性検出アレイ、または機械的応力に敏感な検出アレイも等の非常に寸法が大きく、非常に小さなピッチを有する撮像装置の製造用の相互接続を必要とするデバイスに有利に当てはまる。本発明は、異なる材料からなる回路の積層体を備え、従って熱応力に敏感な、所謂「3D」構造にも有利に当てはまる。本発明は、少数の光子、特に単一の光子を検出可能な高感度検出器に特に当てはまる。
【0004】
本発明は部品のコールドハイブリダイゼーションにも当てはまる。
【背景技術】
【0005】
所謂「フリップチップ」技術による、例えば熱圧着による二つの電子部品の組立ては、通常、所定の接続パターンに従って第一電子部品の表面上と、第二部品の表面上に導電性ソルダーボールを形成するステップを備える。第一部品はそれから、それらの各ソルダーボールを整列させるように第二部品上に配置され、その後、組立体は押圧され、加熱される。ボールは接触するように配置され、それから変形し、溶解して、一般的に薄切りの形態である電子部品の主平面に垂直な電気的相互接続を形成する。
【0006】
1マイクロメートルから10マイクロメートルの範囲の距離で分離され、100mm2超の相互に対向する領域を有する(例えば、互いに対向する10ミリメートルの辺の長さを有する二つの正方形の表面)二つの電子部品を備えるデバイスが、従って一般的に得られる。通常、相互接続の表面密度は1010/m2~1012/m2の範囲内である。
【0007】
このタイプの組立ての問題は、ハイブリダイゼーションによって得られた垂直相互接続は熱応力に敏感であり、そしてこれは第一及び第二部品が異なる材料からなるので尚更である。本当に、部品はほとんどの場合異なる熱膨張係数を有し、そのために温度変化の効果の下で、相互接続は、それらを脆化させ、それらを破壊するせん断へと提出される。
【0008】
ハイブリッドされた組立体の熱機械的信頼性を高め、環境に対する相互接続の保護を提供するために、「アンダーフィル(underfill)」として知られる樹脂層で二つの部品を分離する空間を充填することが一般に提供され、この空間を充填する行為は「アンダーフィリング(underfilling)」として知られている。従ってこのせん断力は二つのハイブリダイズされた部品を分離する層全体にわたって分配され、もはや相互接続上だけではなく、従って後者は効果的に保護される。それから「封止されたフリップチップ」が言及される。例えば、「Underfill material selection for flip chip technology」、Diana C.Chiang著、論文(修士)、マサチューセッツ工科大学、材料科学及び工学専攻、1998年の文書が参照され得る。
【0009】
ソルダーボールでハイブリダイズされた二つの部品を分離する容積を充填するための二つの技術が知られている:第一は「高速フロー」として知られており、第二は「フローなし」として知られている。そのような技術は、例えば、「Characterization of a No-Flow Underfill Encapsulant During the Solder Reflow Process」、C.P.Wong著、電子部品及び技術カンファレンスのプロシーディング、1998年、1253-1259頁の文書中に記述されている。
【0010】
「フリップチップ」組立てに続く「高速フロー」技術によるアンダーフィルがここで
図1~4との関係で記述される。
【0011】
第一ステップ(
図1)で、その表面の一つ14a上にソルダーボール12aが提供された第一電子部品10aが、その表面の一つ14b上にソルダーボール12bがやはり提供された第二電子部品10bと整列される。それから金属形成ボール12a、12bの融点以上の温度に組立体の温度を更に上げることによって、描写された矢印によって示されたように第二部品に圧力が印加される。それからボール12a、12bは熱圧着によって互いに結合して相互接続16を形成する(
図2)。次のステップの間(
図3)に、通常、相互接続16を洗浄するための脱酸素フローの適用に続いて、電気絶縁性液状樹脂18が第一部品10aの表面14a上にディスペンサ20によって堆積される。それから樹脂18は平行表面14a、14bの対向領域を分離する容積20へと毛細管現象によって移動し、この容積20を完全に充填して終了し、従って電気的相互接続16を取り囲む(
図4)。それから、通常、熱処理の適用または「硬化(curing)」によって樹脂18は固化される。それからハイブリダイズされたデバイスを外部の要素(示されていない)に接続する最後のステップが、例えば、この目的のために第一部品10a上に提供された接続領域22をワイヤ24と接続することによって実行される(
図5)(所謂「ワイヤボンディング」接続)。
【0012】
知られている通り、樹脂は、例えばエポキシ接着剤等の主成分としての接着剤と、樹脂の粘度を調整可能にし、樹脂の熱処理中に気化する溶媒との混合物である。この混合物は、硬化剤、特に重合剤、例えば触媒、光開始剤若しくは熱開始剤、及び/又は樹脂と接触する部品の表面上の樹脂の結合性及び濡れ性を高める表面材、例えばシラン、及び/又は通常「フィラー」と呼ばれる、樹脂の熱膨張係数を調整するための粒子を含んでもよい。
【0013】
「封止されたフリップチップ」技術によって提示された第一の問題は、充填樹脂中のポリマーの存在である。現在、ポリマーは本質的に「タイトでない」、つまりポリマーは湿気に対する長期のバリアを形成することができない。更に、デバイスが著しい熱暴走に提出されたときに、湿気に対する能力は大きく低下する。より詳細には、吸着された湿気の存在下で相互接続16の腐食を観測することができる。実際に、相互接続は一般的に金属材料(はんだ、金属間化合物、結合金属、はんだ拡散バリア金属等)の複雑な積層体から形成され、それによってそのような構造は湿気の存在下で加速した腐食に有利に働く化学ポテンシャルを有する。
【0014】
更に、湿気は、湿気が吸収された後の封止樹脂の膨潤を暗示し、それは部品を分離する傾向にある機械的応力を誘発し、結果として早期に相互接続16を破壊する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【文献】「Underfill material selection for flip chip technology」、Diana C.Chiang著、論文(修士)、マサチューセッツ工科大学、材料科学及び工学専攻、1998年
【文献】「Characterization of a No-Flow Underfill Encapsulant During the Solder Reflow Process」、C.P.Wong著、電子部品及び技術カンファレンスのプロシーディング、1998年、1253-1259頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、従来の封止材料単独では気候ストレスに良好な耐性を提供しない。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、特に「フリップチップ」タイプのハイブリダイゼーションの文脈において、互いの上に配置された二つの部品を接続する相互接続の湿気に対する高まった耐性を提供することを目的とする。
【0018】
この目的のために、本発明はそれぞれ二つの対向する表面を有する第一及び第二電子部品を備えるデバイスを湿気に対して保護する方法であって、前記表面は:
-10マイクロメートル未満のゼロでない距離で分離され、
-100mm2超の領域を有し、
-物質がない空間によって互いに離間した電気的相互接続要素の組立てによって接続される、方法を目的とする。
【0019】
本発明によると、本方法は、少なくとも前記相互接続要素を覆う無機材料の一層を形成するためにデバイス上へと薄い原子層の堆積物を適用するステップを備え、無機材料の層は10-3g/m2/日以下の水蒸気透過率を有する。
【0020】
無機材料は、本発明の意味において、イオン結合または共有結合を有する無機材料又はセラミック材料を意味し、特に、その機械抵抗及び耐熱性を特徴とし(例えば耐火材料)、水蒸気バリアとしてのその優れた品質を特徴とする無機材料を意味する。電気的相互接続を防水処理するのに用いられる無機材料の中で、誘電体酸化物及び/又は窒化物、特にTiO2、ZrO2、SiOx、SiNx、SiOxNy、ZnSe、ZnO、Sb2O3の式を有するもの、アルミニウム酸化物(例えばAl2O3)、並びに透明導電酸化物(または「TCO」、例えば、インジウム-スズ酸化物(「ITO」)、又はアルミニウム亜鉛酸化物(「AZO」)に言及することができる。
【0021】
換言すれば、本発明は、例えば「フリップチップ」技術によって組み立てられた二つの部品の相互接続を防水処理するステップを備え、そのような防水処理は、ハイブリダイゼーション後ではあるが樹脂による封止の前に行われる。従って相互接続の表面は無機材料、従って、水中で腐食できず、且つ効率的な水バリアを形成する材料で覆われる。更に、防水処理材料は金属に強い付着力を有する。最終的に、相互接続は腐食されないので、従って相互接続は湿気によって誘発された樹脂膨潤に対してより良好な耐性を有する。
【0022】
従来の気相堆積技術(例えば、PVD、CVD、またALDも)は、非常に大きなアスペクト比を持つ容積内に配置された相互接続を封止するのに適合されていないことが更に考慮される。実際に、相互接続は非常に高い表面密度を有するので、ハイブリダイズされたデバイスの端、即ち二つの部品の間の容積への蒸気の入口からデバイスの中央に収容された相互接続の「直接」のパスは存在しない。特に、これらの相互接続のそれぞれについて、それを気相からマスクする大量の相互接続が存在する。加えて、アンダーフィルは二つの部品の間を前進するために毛細管現象を用いて、常に液相で実施されることに注意されたい。特に、従来技術では、そのような技術は数十マイクロメートルの材料の厚さを堆積することができ、従って、二つのハイブリダイズされた部品間の通常の距離(1μmから10μm)よりもずっと大きな厚さであるにもかかわらず、アンダーフィルのために気相堆積技術を用いることが提供されていない。これは特に、大量の相互接続によって横断されている二つの部品間の容積は毛細管現象によってのみアクセス可能であると考えられていることを意味し、気相堆積は反対に気相のために空洞の壁への直接パスを提供する、物質がない空洞を堆積又は充填するために使用される。
【0023】
ここで、本発明は、相互接続の表面密度が1010/m2超であり、103以上のアスペクト比(この値は例えば10ミリメートルの辺の長さを有し、10マイクロメートル離間された正方形である対向する表面に対応する)を有する容積中に収容された相互接続上に無機材料の一層を堆積することに成功した。
【0024】
特定の実施形態によると、無機材料の層は10ナノメートルから100ナノメートルの範囲の厚さを有し、特にアルミナ(Al2O3)からなる無機材料についてである。10ナノメートルの厚さによって相互接続の良好な防水処理が可能である。100ナノメートルを超えると、防水処理の観点で重大な利益は得られないことを更に観察することができる。
【0025】
ある実施形態によると、
-薄い原子層の堆積物の適用は、チャンバー内に構造物を配置するステップと、無機材料の層の形成のための反応ガスを前記チャンバー内へと注入するステップとを備え、
-反応ガスの注入はチャンバー内でポンピングすることなく実行される。
【0026】
換言すると、堆積中、チャンバーは、従来のALDの場合のようにALDで使用される前駆体の連続的なフローによって横断されない。実際に、この従来のポンピング動作モードでは、種(species)は、部品と相互接続との間の容積によってつくられた凸凹内へと全領域に拡散する時間がないかもしれない。そのような凸凹によって妨げられたガスフローが更に存在するかもしれず(例えば渦の生成)、不均一な堆積層または被覆されていない部分さえも生じてしまう。ポンピングを停止することによって、ガスのかく乱を起こすことなく種は拡散する時間を有する。
【0027】
ある実施形態によると、本方法は二つの部品の対向する表面を分離する物質がない空間を完全に充填する充填材料を堆積するステップを備え、充填材料の堆積は相互接続要素上に無機材料の層を堆積した後で実行される。
【0028】
本発明は、それぞれ二つの対向する表面を有する第一電子部品及び第二電子部品を備えるデバイスであって、前記表面が
-10マイクロメートル未満のゼロでない距離によって分離されており、
-100mm2超の領域を有し、
-1セットの異なる電気的相互接続要素によって接続されている、デバイスも目的としている。
【0029】
本発明によると、デバイスは前記相互接続要素を少なくとも覆う無機材料の層を備え、無機材料の層は10-3g/m2/日以下の水蒸気透過性を有する。
【0030】
そのようなデバイスはこれらの相互接続の腐食に対して信頼性がずっと高く、従って寿命が延びる。
【0031】
ある実施形態によると、無機材料はSiOx、SiNx、SiOxNy、ZnSe、ZnO、Sb2O3の式を有する化合物、アルミニウム酸化物、並びに透明導電酸化物(TCO)を含む群から選択される。
【0032】
ある実施形態によると、無機材料の層は10~100ナノメートルの範囲の厚さを有する。
【0033】
ある実施形態によると、デバイスは二つの部品の対向する表面を分離する空間を完全に充填する充填材料を備える。
【0034】
本発明は添付図面と関連してほんの一例として提供される以下の記述を読むことで、よりよく理解されるだろう。ここで同じ参照番号は同じ又は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】上で議論されたような従来技術に係る「フリップチップ」技術でハイブリダイズされたデバイスを製造する方法を描写する簡略化された断面図である。
【
図2】上で議論されたような従来技術に係る「フリップチップ」技術でハイブリダイズされたデバイスを製造する方法を描写する簡略化された断面図である。
【
図3】上で議論されたような従来技術に係る「フリップチップ」技術でハイブリダイズされたデバイスを製造する方法を描写する簡略化された断面図である。
【
図4】上で議論されたような従来技術に係る「フリップチップ」技術でハイブリダイズされたデバイスを製造する方法を描写する簡略化された断面図である。
【
図5】上で議論されたような従来技術に係る「フリップチップ」技術でハイブリダイズされたデバイスを製造する方法を描写する簡略化された断面図である。
【
図6】電気的相互接続を防水処理するステップを備える、本発明に係る「フリップチップ」技術でハイブリダイズされたデバイスを製造する方法を描写する簡略化された断面図である。
【
図7】電気的相互接続を防水処理するステップを備える、本発明に係る「フリップチップ」技術でハイブリダイズされたデバイスを製造する方法を描写する簡略化された断面図である。
【
図8】電気的相互接続を防水処理するステップを備える、本発明に係る「フリップチップ」技術でハイブリダイズされたデバイスを製造する方法を描写する簡略化された断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図6~8を参照すると、電気的相互接続16を備える二つのハイブリダイズされた電子部品10a、10bを備えるデバイス30を製造する方法は、例えば
図1及び2との関係で記述されたような従来技術と同様に開始する。このデバイスは、例えば1マイクロメートルから10マイクロメートルの範囲の距離によって分離され、100mm
2よりも広い相互に対向する領域(例えば互いに対向する10ミリメートルの辺の長さを有する二つの正方形の表面)を有し、10
10/m
2~10
12/m
2の範囲の相互接続の表面密度を有する、二つの電子部品を備える。
【0037】
ハイブリダイゼーションが終わると、封止材料18を適用する前に、無機層で電気的相互接続16を防水処理するステップが「ALD」を用いて実行される。
【0038】
知られている通り、ALDは超薄層を得るために、チャンバーまたは「反応チャンバー」内に配置された表面を異なる化学前駆体に連続的に曝すステップを備える原子層堆積技術である。原子層の堆積は通常4ステップで生じる:
a)チャンバー内に第一ガス前駆体を注入して、化学吸着種と他の物理吸着種とからなる単層の形成を表面上で起こさせるステップ;
b)未反応の任意の種と、生じ得る反応副産物とを除去するために、例えば超高純度窒素を伴う一掃によって反応チャンバーをパージするステップ;
c)チャンバー内に第二ガス前駆体を注入して、表面上に所望の材料の層の形成を起こさせるステップ;
d)未反応の種と生じ得る反応副産物とを除去するためにチャンバーをパージするステップ。従来、チャンバーのポンピングは、前駆体の注入中にチャンバー内でそのフローを起こすために実行される。
【0039】
有利に、デバイス30はチャンバー内、特に支持32上に配置され、ガスのかく乱を起こすことなく部品10a、10b間の容積20中を全体的に拡散する前駆体中にデバイスが包まれるように、ポンピングなしで前駆体の注入が実施される。従って、デバイス30の全ての露出された表面にわたってと、従って相互接続16上に堆積された層34が得られる(
図6)。
【0040】
ALDによって堆積された無機材料の層は有利には電気絶縁層であり、特にTiO2、ZrO2、SiOx、SiNx、SiOxNy、ZnSe、ZnO、Sb2O3の式の材料、アルミニウム酸化物(例えばAl2O3)、及び透明導電酸化物(または「TCO」、例えばインジウムスズ酸化物(「ITO」)またはアルミニウム亜鉛酸化物(「AZO」))の層であり、特に10ナノメートルから100ナノメートルの範囲の厚さを有する。このように10-3g/m2/日以下の水蒸気透過性を有する層が得られる。
【0041】
有利には、Al2O3、TiO2、またはZrO2の層が堆積される。これらの材料は、その防水性に加えて、現在充填用に用いられている樹脂と良好な濡れ性を有し、これによって毛細管現象による樹脂の前進を助ける。
【0042】
第一変形例において、層34は単一材料からなる。
【0043】
第二変形例において、層34はナノラミネートと呼ばれる異なる無機材料の多層であり、異なる透過性を組み合わせること、または異なる材料の層を堆積することによって層内のガス拡散パス妨げることを可能にする。有利に、層34はAl2O3/TiO2の二層またはAl2O3/ZrO2の二層である。二層は特に相互接続と接触している層(例えばAl2O3)を湿度に安定な材料で不動態化することを可能にする。
【0044】
防水層34の絶縁特性によって、デバイスの接続領域22は電気接続に、特にワイヤボンディングによってアクセス可能ではない。従ってこの方法は、有利には
図7の矢印によって描写されたようなデバイスの主平面に垂直な方向で等方性エッチングを実施することによる、接続領域22の少なくとも一つの露出を伴って続行する。そのような等方性エッチングの結果、第二部品10bの上面の防水層の部分と、第二部品10bに対向しない第一部品10aの防水層34の部分とを除去し、従って、接続領域22を覆う層34の部分を除去する。等方性エッチングは例えばイオン加工(一方向イオンによる衝突)、等方性プラズマエッチング等である。必要な場合、例えば等方性エッチング中にデバイス30を傾斜させることによって、相互接続16に到達するまでエッチングするのを防ぎつつ、デバイスの側縁36もまた露出される。
【0045】
相互接続16が防水加工されると、本製造方法は、従来通り、例えば
図3~5との関係で記述された、部品間の容積20の樹脂18による充填と領域22の接続とを伴って続行する。このように、防水層34で封止されたその相互接続を有し、樹脂18で充填された電子部品10a、10b間のその容積20を有する、ハイブリダイズされたデバイスが得られる(
図8)。
【0046】
数値例として、本防水処理方法は、金の層で被覆され、それぞれピクセルアレイのインジウムボールへと挿入されたマイクロチューブが提供されたCMOS制御アレイ上でハイブリダイズされた、10マイクロメートルピッチの1746×1000ピクセルのアレイ(そして従って同数の相互接続)を備えるプロジェクタのディスプレイで試験され、従って相互接続はボールへと挿入されたマイクロチューブから形成された。アクティブアレイの寸法は17.46mm×10mmであり、ピクセルアレイは5マイクロメートルの距離だけ制御アレイから離間された。そのようなハイブリダイゼーションは例えば文書WO2009/115686及びUS2011/0094789に記述されている。本発明によって、各相互接続上にALDで25ナノメートルのAl2O3層が堆積され、本方法は最後に、例えば米国のEpoxy Technology社の「Epotek 353ND」等の樹脂を用いて、毛細管現象によってアンダーフィルする。
【0047】
上記に照らして、本発明は任意のタイプの「フリップチップ」ハイブリダイゼーション(ボールの熱圧着、雌要素への雄要素の挿入、比較的低延性のボールへの中実要素または中空要素の挿入、室温又は室温でない温度での挿入等)に当てはまることが理解されるべきである。
【0048】
同様に、本発明は、相互接続が電気的であってもなくても、デバイスが「フリップチップ」ハイブリダイゼーションによって得られてもそうでなくても、相互接続によって接続された二つの対向する部品を備える任意のデバイスに当てはまる。
【0049】
同様に、最後のアンダーフィルステップが記述されたものの、本発明はそのような封止が提供されないデバイスも含む。
【符号の説明】
【0050】
10 電子部品
12 ボール
14 表面
16 電気的相互接続
18 樹脂
22 接続領域
24 ワイヤ
30 デバイス