(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】衣類乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 58/02 20060101AFI20221018BHJP
【FI】
D06F58/02 K
(21)【出願番号】P 2017153299
(22)【出願日】2017-08-08
【審査請求日】2020-05-11
【審判番号】
【審判請求日】2021-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391044797
【氏名又は名称】株式会社コーワ
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】椎橋 貞人
(72)【発明者】
【氏名】河野 哲之
(72)【発明者】
【氏名】西脇 智
(72)【発明者】
【氏名】堀田 涼子
(72)【発明者】
【氏名】横山 広
(72)【発明者】
【氏名】小辻 貴行
【合議体】
【審判長】佐々木 芳枝
【審判官】熊谷 健治
【審判官】長馬 望
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-68765(JP,A)
【文献】特開2018-175595(JP,A)
【文献】実開昭60-179296(JP,U)
【文献】特開2013-85873(JP,A)
【文献】特開2011-115439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F39/00-39/10
D06F58/02-58/08
D06F58/20-58/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体内に設けられ衣類が収容される収容槽と、
前記本体内に設けられ前記収容槽に対し乾燥風を循環供給させる乾燥風循環ダクトと、
前記本体の上面部の取出口から出し入れ可能に設けられ該本体への装着状態で前記乾燥風循環ダクトの途中部に配置されて乾燥風に含まれるリントを捕獲するフィルタユニットとを備える衣類乾燥機であって、
前記フィルタユニットは、
前記乾燥風循環ダクトに接続する乾燥風の入口部及び出口部を有するケースと、
前記ケースの上面に設けられ該フィルタユニットの前記本体への装着状態で前記取出口を塞ぐフィルタパネルと、
前記ケースのフィルタ部材取付壁に設けられリントを捕獲するフィルタ部材と、
前記ケース内に移動可能に設けられ移動により前記フィルタ部材に堆積していたリントを掻き取る清掃部材と、
前記清掃部材を移動させて掻き取り動作を行わせるものであって、ユーザにより操作されるモータ駆動式でない操作部材とを備えると共に、
前記操作部材は、前記フィルタパネルよりも下方であって、上下方向に見て前記取出口の内側に配置されて
おり、
前記フィルタユニットには、前記ケースの入口部に、フィルタカバーが開閉可能に設けられると共に、前記フィルタカバーの外面周囲部には、該フィルタユニットの前記本体への装着状態で該本体側のダクト周囲壁部に密着して前記乾燥風循環ダクトの気密状態を保持する風路用パッキンが設けられ、
前記操作部材が操作されると、前記清掃部材の移動と連動して前記フィルタカバーが開放されると共に、該フィルタカバーが開放状態から閉塞されると、前記清掃部材及び操作部材が元の位置に戻るように構成されていると共に、
前記フィルタカバーの不完全な閉塞状態にあっても、前記フィルタユニットが、前記本体に装着されることに伴い、前記ダクト周囲壁部が該フィルタカバーを相対的に押圧して、閉塞状態とさせるように構成されている衣類乾燥機。
【請求項2】
前記フィルタユニットには、前記取出口との間を気密にシールするための上部用パッキンが設けられており、
前記操作部材は、前記上部用パッキンよりも下方であって、上下方向に見て該上部用パッキンの内側に配置されている請求項1記載の衣類乾燥機。
【請求項3】
前記フィルタユニットのケースには、前記操作部材の配置側の側面に位置して、ユーザが前記操作部材を操作する際に、該操作部材を押圧する指とは別の指を掛けるための指掛け凹部が設けられている請求項1又は2記載の衣類乾燥機。
【請求項4】
前記指掛け凹部は、前記操作部材の押圧部分よりも下側で、且つ、前記リントを排出する排出口となる前記入口部側に位置して設けられている請求項3記載の衣類乾燥機。
【請求項5】
前記ダクト周囲壁部には、突起部が設けられ、
前記フィルタカバーの不完全な閉塞状態にあって、前記フィルタユニットが前記本体に装着された際に、前記突起部が該フィルタカバーを相対的に押圧して、閉塞状態とさせるように構成されている請求項
1から4のいずれか一項に記載の衣類乾燥機。
【請求項6】
前記フィルタカバーには、凸形状のリブが設けられ、
前記フィルタカバーの不完全な閉塞状態にあって、前記フィルタユニットが前記本体に装着された際に、前記リブが前記ダクト周囲壁部を相対的に押圧して、該フィルタカバーを閉塞状態とさせるように構成されている請求項
1から4のいずれか一項に記載の衣類乾燥機。
【請求項7】
前記フィルタユニットが前記本体の中央よりも右側に配置されている場合には、前記操作部材は、前記ケースの左側面に設けられ、
前記フィルタユニットが前記本体の中央よりも左側に配置されている場合には、前記操作部材は、前記ケースの右側面に設けられている請求項1から
6のいずれか一項に記載の衣類乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衣類乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類が収容された収容室内に温風を供給して乾燥させる衣類乾燥機においては、衣類から出るリントと称される糸くずが機外に放散したり、熱交換器部分に進入したりすることを防止するために、風路中にリントを捕獲するフィルタを設けることが行われる。この場合、フィルタが目詰まりして風量が低下することを防止するために、一般に、ユーザが、ブラシや布などを用いて定期的にフィルタの清掃作業を行って、堆積したリントを取除くようにしている。また、従来の衣類乾燥機においては、リント捕獲用のフィルタの清掃を自動で行うリント除去装置を設けることも考えられていた(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来では、ユーザにとって、フィルタの清掃作業に手間が掛かるものであったり、モータ駆動式のリント除去装置を設けるため、構成が複雑で高価となったりしていた。
そこで、比較的簡単な構成としながらも、リントを捕獲するフィルタ部材の清掃を容易に行うことができる衣類乾燥機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態の洗濯機は、本体内に設けられ衣類が収容される収容槽と、前記本体内に設けられ前記収容槽に対し乾燥風を循環供給させる乾燥風循環ダクトと、前記本体の上面部の取出口から出し入れ可能に設けられ該本体への装着状態で前記乾燥風循環ダクトの途中部に配置されて乾燥風に含まれるリントを捕獲するフィルタユニットとを備える衣類乾燥機であって、前記フィルタユニットは、前記乾燥風循環ダクトに接続する乾燥風の入口部及び出口部を有するケースと、前記ケースの上面に設けられ該フィルタユニットの前記本体への装着状態で前記取出口を塞ぐフィルタパネルと、前記ケースのフィルタ部材取付壁に設けられリントを捕獲するフィルタ部材と、前記ケース内に移動可能に設けられ移動により前記フィルタ部材に堆積していたリントを掻き取る清掃部材と、前記清掃部材を移動させて掻き取り動作を行わせるものであって、ユーザにより操作されるモータ駆動式でない操作部材とを備えると共に、前記操作部材は、前記フィルタパネルよりも下方であって、上下方向に見て前記取出口の内側に配置されており、前記フィルタユニットには、前記ケースの入口部に、フィルタカバーが開閉可能に設けられると共に、前記フィルタカバーの外面周囲部には、該フィルタユニットの前記本体への装着状態で該本体側のダクト周囲壁部に密着して前記乾燥風循環ダクトの気密状態を保持する風路用パッキンが設けられ、前記操作部材が操作されると、前記清掃部材の移動と連動して前記フィルタカバーが開放されると共に、該フィルタカバーが開放状態から閉塞されると、前記清掃部材及び操作部材が元の位置に戻るように構成されていると共に、前記フィルタカバーの不完全な閉塞状態にあっても、前記フィルタユニットが、前記本体に装着されることに伴い、前記ダクト周囲壁部が該フィルタカバーを相対的に押圧して、閉塞状態とさせるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態を示すもので、洗濯乾燥機の外観を示す正面図
【
図4】フィルタユニットを取出した状態の上部ダクト部分の縦断右側面図
【
図7】フィルタユニットのフィルタカバーを閉じた状態の正面図
【
図8】フィルタユニットのフィルタカバーを開いて清掃部材が最下位置にある状態の正面図
【
図9】フィルタユニットのフィルタカバーを除いて示す斜視図
【
図12】移動機構収容部の外壁を取除いて操作部材の通常位置を示す側面図とその位置に対応する清掃部材の待機位置を示す縦断側面図とを上下に並べて示す図
【
図13】移動機構収容部の外壁を取除いて操作部材の移動途中の位置を示す側面図とその位置に対応する清掃部材の最下位置を示す縦断側面図とを上下に並べて示す図
【
図14】移動機構収容部の外壁を取除いて操作部材の押込み位置を示す側面図とその位置に対応する清掃部材の跳上げ位置を示す縦断側面図とを上下に並べて示す図
【
図16】清掃部材のブレードの左右位置における厚み寸法の変動の様子を示す横断面図(
図8のB-B線に沿う断面図)
【
図17】第2の実施形態を示すもので、ブレードの左右位置における厚み寸法の変動の様子を示す横断面図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、洗濯機能及び乾燥機能を有するドラム式の洗濯乾燥機に適用した第1の実施形態について、
図1から
図16を参照しながら説明する。
図1、
図2は、本実施形態に係る衣類乾燥機としてのドラム式の洗濯乾燥機の外観を示している。洗濯乾燥機の本体(外箱)1は、ほぼ矩形箱状をなし、底部に台板2が設けられている。本体1の前面部には、ほぼ中央部に位置して、衣類が出し入れされる円形状の出入口3が設けられていると共に、その出入口3を開閉するため扉4が開閉可能に取付けられている。本体1の上面部の前部には、操作パネル5が設けられている。また、本体1の上部の左端側に位置して洗剤投入ケース6が設けられている。
【0008】
図示は省略するが、本体1内には、周知のように、次のような機構が設けられている。即ち、本体1内には、前面が開口したほぼ円筒状をなし前記出入口3に連通する水槽が設けられると共に、その水槽内に、衣類が収容される収容槽としてのドラムが設けられる。水槽は、台板2上に弾性支持機構を介して弾性的に支持されている。前記ドラムは、前記水槽よりもやや径小な円筒状をなし、その背面側中心部が、モータ等からなる駆動機構に接続されて回転駆動されるようになっている。また、本体1内には、水槽の上方に位置して該水槽内へ給水するための給水機構が設けられている。水槽の後部の底部には排水口が設けられていて、この排水口に、排水弁を介して排水管が接続されている。
【0009】
前記水槽には、前部の上面右寄り部位に空気の排出口が設けられていると共に、背面部の左寄り部位に空気の供給口が設けられている。そして、全体としての詳しい図示はしないが、本体1内の前記水槽の外部には、前記ドラム内に乾燥用の温風を循環供給するための乾燥風循環ダクトが設けられている。この乾燥風循環の入口が水槽の前記排出口に接続され、出口が水槽の前記供給口に接続されている。前記乾燥風循環ダクトは、前記水槽の排出口から上方に延びた後、後方に折曲がり、本体1内の上部の右側辺部を後方に向けて延びている。
【0010】
このとき、
図3、
図4に示すように、乾燥風循環ダクトのうち本体1内の上部の右側辺部を後方に延びる部分を上部ダクト8と称する。
図3に示すように、この上部ダクト8部分に、フィルタユニット7が設けられる。上部ダクト8は、断面矩形状をなし、フィルタユニット7の配置部分の上壁部に矩形開口部8aが形成されている。フィルタユニット7の構成については後述する。乾燥風循環ダクトは、フィルタユニット7部分、つまり上部ダクト8部分から更に後方に延びた後、水槽の背面側を下方に折曲がって延び、U字状に折返されて前記水槽の供給口に接続されている。
【0011】
この乾燥風循環ダクトの途中部の上部ダクト8よりも下流部に、除湿部及び温風供給装置が設けられる。前記除湿部は、例えば熱交換即ち水冷除湿により乾燥風に含まれる湿気を結露させて除湿を行うように構成されている。前記温風供給装置は、ファン装置及びヒータを備えて構成されている。尚、除湿部及び温風供給装置としては、ヒートポンプを用いるようにしても良い。
【0012】
これにて、乾燥運転時に温風供給装置が駆動されると、水槽内の空気即ち乾燥風が、排出口から乾燥風循環ダクト内に吸込まれ、
図3に矢印Aで示すように、上部ダクト8のフィルタユニット7を通って後方に流れ、除湿部で除湿された後、ヒータで加熱され、温風となって供給口から水槽内に供給されるといった循環を行う。このとき、乾燥風がフィルタユニット7を通る際に、乾燥風に含まれていたリントが捕獲される。
【0013】
さて、フィルタユニット7及びその周辺の構成について、
図3~
図16も参照して述べる。ここで、
図3、
図4に示すように、前記本体1の上面部には、前記上部ダクト8の矩形開口部8aの上方に連通するように、該矩形開口部8aよりも一回り大きい矩形状の取出口9が形成されている。その取出口9と矩形開口部8aとの間は、段差部9aを介して繋がった形態とされている。前記フィルタユニット7は、大きく分けて、上部ダクト8内に配置されるケース10と、このケース10の上面に設けられ前記取出口9を塞ぐように配置されるフィルタパネル11とを備えて構成される。フィルタユニット7は、本体1に対し、取出口9の上方から着脱可能言い換えれば出し入れ可能に装着される。
【0014】
図3、
図4に示すように、前記上部ダクト8内には、バックアップフィルタ部12が設けられている。このバックアップフィルタ部12は、格子状に構成されたプラスチック製の枠状部13と、その枠状部13の開口部を塞ぐように設けられた例えば不織布からなるフィルタ部材14とから構成される。枠状部13は、前記矩形開口部8aの下方に位置して上部ダクト8内の底部近くに浮上って配置される矩形板状の底面部と、その底面部の後辺から上方に立上がり前記矩形開口部8aの後辺部につながる矩形板状の背面部とを一体に有した側面ほぼL字状の板状、つまり格子枠状に構成されている。これにて、上部ダクト8内には、該上部ダクト8の左右の側壁とバックアップフィルタ部12とにより、取出口9の下方部にフィルタユニット7のケース10が収容される空間が形成される。
【0015】
図5~
図9等にも示すように、前記フィルタユニット7のケース10は、プラスチックからなり、左右の側壁部及び上壁部を有し、底壁部及び後壁部が、側面から見てほぼ円弧状に連なるようなフィルタ部材取付壁10aとされ、前面が開口した、正面から見てやや横長な矩形状をなすような箱状に構成されている。ケース10の上壁部は、一部分、この場合前部寄り部分が横長に開口している。ケース10の上面に重なるように、前記フィルタパネル11が設けられている。
図6、
図9、
図12~
図14にも示すように、前記フィルタ部材取付壁10aは、縦横に複数本のリブを有してリブ間に複数の矩形の開口部を有した格子枠状に構成されている。フィルタ部材取付壁10aの複数の開口部を裏面側から塞ぐように、例えば不織布から構成されたフィルタ部材15が設けられている。
【0016】
図3に示すように、フィルタユニット7の本体1への装着状態では、このケース10の前面開口部が、上部ダクト8の開口部に連なるように配置され、この前面開口部が乾燥風の入口部16となる。また、ケース10のフィルタ部材取付壁10aが、バックアップフィルタ部12の内側の上部手前側に配置され、フィルタ部材取付壁10aの開口部が乾燥風の出口部となる。フィルタユニット7のケース10内を乾燥風の通過する際に、乾燥風に含まれるリントが、フィルタ部材15により捕獲される。尚、乾燥風に含まれていたリントの一部がフィルタ部材15に捕獲されずに通過した場合でも、そのリントはバックアップフィルタ部12のフィルタ部材14にて捕獲される。
【0017】
ケース10の前面の入口部16には、
図7、
図8等に示すように、プラスチック製のフィルタカバー17が設けられる。このフィルタカバー17は、矩形枠状をなすと共に、その内部に十字状に桟17aを一体に有する形態をなし、その前面の外面周囲部には、
図10、
図11にも示すように、矩形枠状をなす風路用パッキン18が、プラスチック製のパッキン押え19によって取付けられている。
図3に示すように、フィルタユニット7の本体1への装着状態では、フィルタカバー17の風路用パッキン18が、上部ダクト8のダクト周囲壁部20に密着することにより、上部ダクト8の気密状態が保持される。
【0018】
このフィルタカバー17は、その下辺部にてヒンジ部17b(
図8等参照)を介してケース10に回動可能に支持されている。これにて、フィルタカバー17は、ケース10の前面の入口部16周囲に当接する閉塞状態(
図7、
図12参照)と、入口部16を開放させる開放状態(
図8、
図14参照)との間で、開閉可能に設けられている。
【0019】
詳しく図示はしないが、フィルタカバー17の閉塞状態で、フィルタカバー17に設けられた係合部が、ケース10側に設けられた被係合部と係合状態となり、それらの間の摩擦力によりフィルタカバー17の閉塞状態が保持されるようになっている。ユーザがフィルタカバー17の上部を手前側に引っ張れば、その係合は容易に解除される。更に、詳しくは後述するが、
図6、
図8等に示すように、ケース10の左側壁部には、左右方向に薄型の移動機構収容部21が一体的に設けられている。この移動機構収容部21は、ケース10の内面を構成する左側壁部の外側に、外板部21aを備えて構成されている。
【0020】
前記フィルタパネル11は、
図3、
図9等に示すように、プラスチックから薄型矩形箱状に構成されると共に、周壁部全体が前記取出口9の段差部9aに対応した段差状に構成された薄型矩形箱状をなし、ケース10の上面に取付けられている。このとき、
図2にも示すように、フィルタパネル11の上面には、やや横長な矩形状をなす手掛け用の穴部11aが形成されていると共に、その穴部11aを閉塞するフラップ22が開閉可能に設けられている。また、
図3などに示すように、フィルタパネル11の下端部の周縁部には、上部ダクト8の矩形開口部8aとの間を密に閉塞するための上部用パッキン23が設けられている。
【0021】
これにて、通常時即ち洗濯乾燥機の使用時には、
図3に示すように、フィルタパネル11が段差部9a内に嵌め込まれてフィルタユニット7が本体1に装着されることにより、ケース10が上部ダクト8内のバックアップフィルタ部12の上方に収容されている。このとき、上部用パッキン23や風路用パッキン18により、上部ダクト8の気密状態が保持される。これにより、乾燥風循環ダクトの上部ダクト8を矢印A方向に流れる乾燥風が、ケース10の入口部16からフィルタ部材15を通り、リントがフィルタ部材15の表面にて捕獲される。
【0022】
さて、本実施形態では、前記フィルタユニット7には、前記フィルタ部材15の清掃を行うための清掃部材24、ユーザにより操作される操作部材25、操作部材25の操作により清掃部材24を移動させる移動機構29が設けられる。そのうち清掃部材24は、前記ケース10内に位置して設けられ、回動によって、前記フィルタ部材取付壁10aに沿って移動し、フィルタ部材15の表面に堆積していたリントを掻き取るように構成されている。具体的には、清掃部材24は、
図8、
図12~
図15に示すように、矩形枠状をなす支持体26と、この支持体26の下辺部に取付けられたゴム製のブレード27とを備えている。
【0023】
前記支持体26は、
図8に示すように、プラスチックから矩形板状に構成され、中央部に矩形の開口部26aを有している。前記ブレード27は、
図8、
図14、
図15等に示すように、図で左右方向に長い矩形薄板状をなす板状部と、その板状部の先端辺部(
図8等で下辺部)に設けられ断面が丸みを帯びた掻き取り部27aとを一体に有して構成される。板状部の上辺部が前記支持体26の下辺部に固着されている。
【0024】
清掃部材24は、前記支持体26の上辺部の左端部が、ケース10の左の内側の壁のうち前部寄りの上部に配置された回動軸28(
図10参照)に連結されていると共に、前記支持体26の上辺部の右端部が、ケース10の右側壁部に回動可能に支持されている。前記回動軸28は、ケース10の内側の壁部を貫通して、先端が移動機構収容部21内に位置され、移動機構29を構成する駆動ギア30(
図12~
図14参照)に連結されている。このとき、清掃部材24の縦方向の長さ寸法及び前記回動軸28の位置は、ブレード27の先端の掻き取り部27aが前記フィルタ部材取付壁10aのフィルタ部材15に沿ってその表面をなぞるように(
図15に軌跡Lを示す)、フィルタ部材15の湾曲、つまり曲率半径に対応している。
【0025】
これにて、清掃部材24は、
図12に示すような、ケース10内の天井部つまりフィルタパネル11の下面部に配置される待機位置、
図13に示すような、ケース10内の入口部16付近まで回動された最下位置、
図14に示すような、その最下位置を通り越して前方に跳上げ位置、の間で回動可能とされる。後述する移動機構29により、清掃部材24が待機位置から最下位置を通り、跳上げ位置まで移動この場合回動されることにより、ブレード27の掻き取り部27aがフィルタ部材15の表面に沿って矢印C方向に移動し、リントの掻き取り動作が実行される。
図8は、清掃部材24の最下位置における正面から見た様子を示しており、開口部26aによって入口部16側と出口部側とが連通している。
【0026】
このとき、
図14、
図15に示すように、ケース10のフィルタ部材取付壁10aは、入口部16に近い位置即ち下部の前端部でほぼ水平方向に延びており、清掃部材24の先端部のブレード27の掻き取り部27aの回動軌跡Lから外れるようになっている。そのため、
図9に示すように、フィルタ部材取付壁10aの前端部は、開口部が形成されておらず、その上面は、フィルタ部材15が存在しない平滑面10bとなっている。また、本実施形態では、
図16に示すように、前記ブレード27の板状部の厚み寸法tが、左右方向に位置により相違するように構成され、回転軸28が存在する側である左側が比較的薄く、右側に行くほど次第に厚くなっていくように変動する。
【0027】
尚、本実施形態では、
図10、
図11、
図15等に示すように、前記フィルタパネル11の下面部には、前記ケース10の上壁部の開口を通してケース10内に嵌り込み、前記清掃部材24の上端部の回動軸28部分の入口部側つまり前側に配置される突出壁38が、左右方向に延びて一体に設けられている。更に本実施形態では、前記ケース10と前記フィルタパネル11との間の接合部分に、風漏れ防止用の内部パッキン39が設けられている。
【0028】
前記操作部材25は、
図12~
図14等に示すように、左右方向に薄く前後方向に長いレバー状をなし、前記移動機構収容部21内に配置されている。この操作部材25は、前後方向に延びる長孔31を有しており、その長孔31内に、移動機構収容部21内に設けられた前後2個のピン32、32が配置される。これにより、操作部材25は、移動機構収容部21内を前後方向に移動可能に支持され、且つその移動範囲が規制されている。また、操作部材25の後側の端部が、ユーザにより押圧操作される押圧部25aとされ、前側の端部が、湾曲した凹状をなす押出し部25bとされる。
【0029】
そして、この操作部材25の上縁部には、前後方向に山谷を交互に有する歯部33が形成されている。この歯部33が、前記駆動ギア30の歯部に噛み合っている。このように構成された移動機構29により、操作部材25が前後方向に移動されると、駆動ギア30が回転され、回転軸28を介して清掃部材24が回動されるようになっている。この場合、
図12に示すように、操作部材25が最も奥側の位置にあるときに、清掃部材24が待機位置に位置している。その状態から、操作部材25が前方(矢印D方向)に向けて押圧操作されると、
図13に示される中間的な状態で、清掃部材24が最下位置に移動する。更に、
図14に示されるように、操作部材25が最も前方に位置された押込み位置では、清掃部材24が跳上げ位置に位置される。
【0030】
前記移動機構収容部21の外板部21aには、
図5、
図6、
図9に示すように、操作部材25の先端側の押圧部25a部分を露出させるようにU字状の切欠部21bが設けられている。また、
図5、
図8、
図9にも示すように、前記移動機構収容部21は、ケース10の前面部つまり入口部16側に、操作部材25の押出し部25bが出し入れされる縦に細長い前面開口21cが形成されている。
図7に示すように、前記フィルタカバー17の閉塞状態では、前記前面開口21cは、該フィルタカバー17の左辺部によって塞がれるようになっている。
【0031】
そして、フィルタカバー17には、押出し部25bつまり前面開口21cに対応した位置に、側面から見て舌片状をなす突片部34が、後方に突出するように一体に設けられている。これにて、
図12に示すように、フィルタカバー17の閉塞状態では、突片部34が押出し部25bに当接して後方に押すことにより、操作部材25が最も奥側に位置される。この操作部材25の位置を通常位置という。操作部材25の通常位置では、清掃部材24は待機位置に位置している。
【0032】
この状態から、操作部材25が前方(矢印D方向)に移動されると、
図13、
図14に示すように、前記清掃部材24は矢印C方向に回動され、最下位置を通って跳上げ位置に至る。この移動と連動して、押出し部25bが突片部34を前方に押圧することにより、フィルタカバー17が前方に開放される。
図14に示す操作部材25の位置を押込み位置という。これに対し、フィルタカバー17が開放状態から閉塞されると、突片部34が押出し部25bを後方に押して、操作部材25が押込み位置から後方に移動し、通常位置に移動され、清掃部材24は矢印Cとは反対方向に回動して待機位置に戻される。
【0033】
また、
図5、
図9に示すように、フィルタユニット7のケース10の左側面部の外板部21aには、前側の下部に位置して指掛け凹部35が設けられている。この指掛け凹部35は、前記操作部材25の配置側の側面に位置して、ユーザが該操作部材25を操作する際に、該操作部材25を押圧する指、例えば親指とは別の指、例えば人差し指や中指を掛けるためのものとされている。
【0034】
以上のように構成されたフィルタユニット7は、本体1の取出口9から出し入れ可能に装着される。このとき、フィルタユニット7に設けられる操作部材25は、通常位置において、フィルタパネル11よりも下方であって、上下方向に見て前記取出口9の内側に配置されている。本実施形態では、操作部材25は、前記上部用パッキン23よりも下方であって、上下方向に見て該上部用パッキン23の内側に配置されている。後述するフィルタ部材15の清掃時においては、フィルタユニット7は、洗濯乾燥機の停止状態で、取出口9を通して本体1から上方に取出される。
【0035】
更に本実施形態では、フィルタユニット7を取り出した際に、前記フィルタカバー17の不完全な閉塞状態即ちいわゆる半ロック状態にあっても、前記フィルタユニット7を、本体1に装着することに伴い、前記ダクト周囲壁部20が該フィルタカバー17を相対的に押圧して、閉塞状態とさせるように構成されている。より具体的には、
図11に示すように、ダクト周囲壁部20には、後方に凸となる突起部36が一体に設けられており、フィルタユニット7が本体1に装着された際に、前記突起部36がフィルタカバー17のパッキン押え19部分を相対的に押圧して、閉塞状態とさせるように構成されている。
【0036】
次に、上記構成の洗濯乾燥機における、主としてフィルタ部材15の清掃動作について述べる。洗濯乾燥機において、衣類の乾燥、或いは洗濯及び乾燥を行う場合に、ユーザは、ドラム内に衣類を収容し、操作パネル5にて所望のコース設定等を行った上で、運転をスタートさせる。すると、制御装置は、除湿部及び温風供給装置を動作させると共に、ドラムを例えば間欠的に回転させることにより、乾燥運転を実行する。これにて、上記したように、水槽内の空気が、排出口から乾燥風循環ダクト内に吸込まれ、
図3に矢印Aで示すように、上部ダクト8のフィルタユニット7を通る。尚、このような洗濯乾燥機の運転時には、フィルタユニット7の操作部材25は通常位置に位置され、清掃部材24は待機位置に位置されている。
【0037】
この乾燥運転時においては、水槽内から乾燥風循環ダクト内に吸込まれた空気に、衣類から出たリントが含まれるが、そのリントはフィルタユニット7を通る際にフィルタ部材15により捕獲される。その後、空気はバックアップフィルタ部12を通り、上部ダクト8から更に乾燥風循環ダクトを流れ、除湿部で除湿された後、ヒータで加熱され、温風となって供給口から水槽内に供給されるといった循環を行う。これにて、水槽つまりドラム内の衣類の乾燥が行われる。ここで、フィルタ部材15に捕獲されたリントが、それらフィルタ部材15の表面に堆積していくと、目詰まりして風量が低下する虞がある。そこで、フィルタ部材15にリントがある程度堆積した場合には、ユーザは、洗濯乾燥機の運転停止状態で、フィルタ部材15の清掃作業を、次のようにして実行する。
【0038】
即ち、まず、ユーザは、フィルタパネル11の上面のフラップ22を押し込むようにしながら穴部11aに手を掛け、フィルタユニット7を取出口9から上方に取出す。尚、フィルタユニット7は、本体1の右側に位置しているため、右手を穴部11aに掛けて取出すケースの方が、左手の場合よりも多くなると考えられる。次いで、ユーザは、フィルタユニット7をゴミ箱の上方など位置させ、フィルタユニット7を傾けるようにして入口部16を下に向ける。そして、
図12に示すような通常位置にある操作部材25の押圧部25aを押し込み操作する。
【0039】
すると、
図13、
図14に示すように、操作部材25が押込み位置に向けて矢印D方向に移動し、清掃部材24が待機位置から矢印C方向に回動し、最下位置を通って跳上げ位置に移動するようになる。これと共に、操作部材25の押出し部25bが、突片部34を前方に押圧することにより、フィルタカバー17が前方に開放されようになる。このとき、ユーザは、例えば空いている左手の人差し指や中指を、左側面の指掛け凹部35に掛け、親指で、操作部材25を押し込み操作することができる。
【0040】
上記した清掃動作により、清掃部材24のブレード37が、側面から見てフィルタ部材15の表面に沿って円弧を描くように移動し、フィルタ部材15の上面に堆積していたリントを掻き取るようになる。掻き取られたリントは、入口部16から下方に落下し、ゴミ箱に捨てられる。この場合、ブレード37で掻き取られたリントは、フィルタ部材取付壁10aの平滑面10bの上面を滑るようにしながら入口部16から排出される。これにて、フィルタ部材15の表面に堆積していたリントが除去されてリント捕獲機能が回復され、乾燥風循環ダクトにおける大きな風量を確保することができる。
【0041】
この後、ユーザは、開放状態にあるフィルタカバー17を手で閉塞させる。これにより、フィルタカバー17の突片部34が、押出し部25bを押圧して操作部材25を後方(矢印Dとは反対方向)に移動させ、操作部材25が通常位置に戻される。これに伴い、清掃部材24が、矢印Cとは反対方向に戻り回動し、待機位置に戻される。そして、ユーザは、清掃が終わったフィルタユニット7を、取出口9に対して上方から嵌め込むようにして、本体1に装着する。このとき、フィルタカバー17の不完全な閉塞状態、つまりいわゆる半ロック状態となっていることが考えらえるが、フィルタユニット7の嵌め込み時に、ダクト周囲壁部20の突起部36が、フィルタカバー17のパッキン押え19部分を相対的に押圧して、フィルタカバー17が閉塞状態とされるようになっている。
【0042】
このように本実施形態によれば、次のような作用・効果を得ることができる。即ち、フィルタユニット7に、清掃部材24、操作部材25、移動機構29等を設け、ユーザが、フィルタユニット7を本体1から取外した状態で、操作部材25を操作することにより、フィルタ部材15の清掃動作が行われるように構成した。従って、清掃作業性に優れ、リントを捕獲するフィルタ部材15の清掃を容易に行うことができる。また、フィルタユニット7に、清掃部材24や操作部材25を設けるという比較的簡単な構成で済ませることが可能となる。
【0043】
このとき、操作部材25は、フィルタパネル11よりも下方であって、上下方向に見て取出口9の内側に配置されている。これにて、通常時つまりフィルタユニット7の本体1への装着状態では、操作部材25は、フィルタパネル11により隠れて外観に現れることがないので、見た目を良くすることができる。これと共に、フィルタユニット7の本体1への装着状態でユーザが操作部材25を操作するといった誤操作を防止することができる。操作部材25が上下方向に見て取出口9の外側に飛び出していないので、フィルタユニット7の本体1に対する装着、取り外し時に、操作部材25が本体1側つまり取出口9部分に引っ掛かったりすることもなく、スムーズに着脱の作業を行うことができる。
【0044】
特に本実施形態では、フィルタユニット7には、取出口9との間を気密にシールするための枠状の上部用パッキン23が設けられており、操作部材25は、上部用パッキン23よりも下方であって、上下方向に見て該上部用パッキン23の内側に配置されている。これにより、上部用パッキン23により、フィルタユニット7と取出口9との間を気密にシールすることができ、乾燥風の漏れなどを防止することができる。フィルタユニット7の着脱の作業をスムーズに行うことができることは勿論、操作部材25に関して、見た目を良くすることができると共に、ユーザの誤操作を防止することができる。
【0045】
本実施形態では、操作部材25が押込み位置へ向けて操作されると、清掃部材24の移動と連動してフィルタカバー17がいわば自動で開放されるように構成されているので、ユーザの手間を省いて、入口部16からリントを排出可能な状態とすることができる。また、フィルタカバー17を閉塞状態に変位させれば、いわば自動で、清掃部材24及び操作部材25を元の位置に戻すことができる。従って、ユーザの手間を省いて、使い勝手の良いものとすることができる。
【0046】
しかも、フィルタカバー17の閉塞が完全でないいわゆる半ロック状態であったとしても、フィルタユニット7が本体1に装着されることに伴い、フィルタカバー17が閉塞状態とされるようになる。従って、ユーザは、フィルタカバー17が完全に閉塞したかどうかを気にすることなく本体1に装着する操作を行うことができ、使いやすいものとすることができる。フィルタカバー17に設けられた風路用パッキン18により、乾燥風循環ダクトの気密状態が良好に保持されることは勿論である。このとき、ダクト周囲壁部20に一体に設けられた突起部36が、フィルタカバー17を相対的に押圧して、閉塞状態とさせるように構成したので、簡単な構成でありながら、確実にフィルタカバー17を閉塞状態とすることができる。
【0047】
そして、本実施形態では、フィルタユニット7のケース10に、操作部材25を押圧する指とは別の指を掛けるための指掛け凹部35を設けるようにした。これにより、ユーザが、指掛け凹部35に指を掛け、その部分を支点として別の指で操作部材25を押圧することができ、その際に押圧する指に力を入れやすく、スムーズに操作部材25の操作を行うことができる。指掛け凹部35を、操作部材25の押圧部25aよりも下側で、且つ、入口部16側に位置して設けたので、押圧部25aと指掛け凹部35との位置関係が、ユーザにとって操作しやすく且つ力を入れやすい配置になり、より効果的となる。
【0048】
また本実施形態では、フィルタユニット7が本体1の中央よりも右側に配置されていると共に、操作部材25をフィルタユニット7のケース10の左側面に設けたので、フィルタユニット7をユーザが右手で取った場合には、操作部材25が左手で操作しやすい位置にくる。従って、ユーザは、フィルタユニット7を取出した状態で、左右の手で持ち替えるといったことをせずに、清掃の操作をスムーズに行うことができる。
【0049】
尚、本実施形態では、上記に加えて、以下のような作用・効果も得ることができる。即ち、清掃部材24の支持体26を矩形枠状に構成し、清掃部材24が前方の最下位置等に位置された状態でも、入口部16側から出口部側に連通する開口部26aを設けるようにした。このとき、清掃部材24は、ケース10内に配置されるため、ケース10内のうち清掃部材24の奥等のいわば死角となる部分に、リントを含む汚れがたまる等の虞がある。ところが、ユーザが、例えば清掃部材24を最下位置に位置させた状態で、ブラシ等の清掃具を、清掃部材24の開口部26aを通して、ケース10内の奥に差し込んで清掃する等、ケース10の清掃性に優れたものとすることができる。
【0050】
開口部26aを、清掃部材24の中央部に位置して設けたので、清掃部材24の端部に開口部が設けられている場合と比べて、上記清掃具を広い範囲に届かせることができるようになり、清掃性をより高いものとすることができる。形状的に清掃部材24の剛性を確保することができることは勿論である。
【0051】
本実施形態では、清掃部材24は、回動軸を中心に回動するように構成すると共に、フィルタパネル11には、回動軸部分の入口部側に配置される突出壁38を設けるようにした。これにより、清掃部材24の回動による効率的な清掃作業を行うことが可能となると共に、前方に突出壁38が配置されていることにより、回動軸部分にリントや埃等が侵入し、堆積することを抑制することができる。ケース10とフィルタパネル11との間の接合部分に、風漏れ防止用の内部パッキン39を設けるようにしたので、その接合部分に、リントが堆積したり、乾燥風が漏れたりすることを防止する効果により優れたものとなる。
【0052】
また本実施形態では、ケース10に設けられ移動機構29を有する移動機構収容部21の入口部16側に、前面開口21cが設けられていると共に、フィルタカバー17の閉塞状態では、移動機構収容部21の前面開口21cが該フィルタカバー17により塞がれるように構成した。これにより、通常の運転中であるフィルタカバー17の閉塞状態では、前面開口21cがフィルタカバー17により塞がれ、移動機構収容部21内にリントや埃等が侵入することを防止することができる。
【0053】
本実施形態では、ケース10のフィルタ部材取付壁10aのうち、清掃部材24のブレード27による掻き取り範囲である回動軌跡Lから外れた部分は、フィルタ部材15が存在しない平滑面10bとされている。これにより、フィルタ部材15は、清掃部材24による掻き取り範囲に存在するので、フィルタ部材15に堆積したリントを確実に清掃することが可能となる。そして、フィルタ部材取付壁10aのうち、掻き取り範囲から外れた部分が平滑面10bとされることにより、その平滑面10b部分を通して溜まったリントを容易に排出することも可能となる。
【0054】
更に本実施形態では、清掃部材24のブレード27の肉厚を、駆動側つまり回動軸28側で比較的薄く、駆動側から離れるに従って次第に厚くなるように構成した。ここで、清掃部材24のブレード27のうち、駆動側では力の伝達が大きいので、掻き取りの能力も大きくなり、駆動側から離れるに従って、力が伝達されにくくなり、掻き取りの能力が次第に小さくなる傾向にある。ブレード27の肉厚を、駆動側で薄く、駆動側から離れた側が厚くなるように構成することにより、ブレード27の幅方向全体に渡って、ほぼ均等な力でフィルタ部材15の表面のリントの掻き取りを行うことが可能となり、清掃が不均等になることを未然に防止することができる。
【0055】
図17は、第2の実施形態を示すものであり、清掃部材24に設けられるブレード41の断面構成を示している。この第2の実施形態においても、ブレード41の板状部の肉厚が、駆動側で薄く、駆動側から離れた側が厚くなるのであるが、この場合、肉厚が図で右に行くほど複数段階で大きくなるように構成されている。これによっても、ブレード41の幅方向全体に渡って、ほぼ均等な力でフィルタ部材15の表面のリントの掻き取りを行うことが可能となる。
【0056】
尚、上記した各実施形態に限定されるものではなく、図示は省略するが、例えば以下のような拡張、変更も可能である。上記第1の実施形態では、フィルタカバー17の閉塞が完全でないいわゆる半ロック状態であった場合でも、フィルタユニット7が本体1に装着されることに伴い、フィルタカバー17を閉塞状態とするための構成として、ダクト周囲壁部20に突起部36を設け、フィルタカバー17を相対的に押圧する構成としたが、フィルタカバー17側に、前方に凸となる凸形状のリブを設け、フィルタユニット7の本体1への装着時に、そのリブがダクト周囲壁部20を相対的に押圧して、フィルタカバー17を閉塞状態とさせるように構成しても良い。これによっても、簡単な構成で、確実にフィルタカバー17を閉塞状態とすることができる。
【0057】
また、上記実施形態では、フィルタユニット7が本体1の中央よりも右側に配置される構成としたが、フィルタユニット7が本体1の中央よりも左側に配置される構成としても良い。このとき、操作部材25を、ケース10の右側面に設けることが望ましい。フィルタユニット7をユーザが左手で取った場合には、右手で操作しやすい位置であるケース10の右側面に操作部材25を設けることにより、ユーザは、フィルタユニット7を取出した状態で、左右の手で持ち替えるといったことをせずに、清掃の操作をスムーズに行うことができる。
【0058】
上記各実施形態では、ブレード27の先端の掻き取り部27aを、フィルタ部材取付壁10aの幅方向全体に延びるフラットな形状としたが、フィルタ部材取付壁10aの縦方向のリブに対応する部分を切欠いた形態にすることができる。言い換えれば、フィルタ部材15の幅方向に見て露出した、つまりリブの存在しない各領域に対応して、幅方向に複数の単位ブレードを並べて配置する構成とすることができる。フィルタ部材取付壁10aのリブにより、リントが分断されて掻き出されやすくなる。フィルタ部材15の各領域に対し、夫々1つの単位ブレードがあれば、リントの掻き取りは可能となる。
【0059】
また上記のようにリブ間に対応した複数の単位ブレードを並べて設ける場合、各単位ブレードの幅寸法を、リブ間に位置するフィルタ部材15の一領域の幅寸法に対し、小さく構成することができる。これにより、各単位ブレードの摺動抵抗を下げ、操作部材の操作力を小さく抑えることができる。フィルタ部材15の幅方向の複数の領域においては、中央部でブレードの摺動抵抗が大きくなり、両端部側で摺動抵抗が小さくなる事情がある。そのため、各単位ブレードの構成として、フィルタ部材15の中央部側で、摺動抵抗を下げる形状、例えば弾性を下げる、長さを短くする、厚みを大きくする、幅を小さくする等の形状とすることができる。両端部側では、それとは逆に摺動抵抗を大きくする形状とすることができる。
【0060】
上記実施形態では、清掃部材24の支持体26の開口部26aを支持体26の中央部に設けるようにしたが、支持体を例えば正面「エ」字状に設け、清掃部材の左右両側に開口部を設ける構成としても良い。このように、開口部を設ける位置や形状などは適宜変更することができる。また、上記した清掃部材24にあっては、ゴム製のブレード27、41を備える構成としたが、ブレードに代えて、ブラシ状のもの、スポンジ状のもの、繊維を束ねたモップ状のものなどであっても良い。清掃部材を、回動ではなく直線的に往復スライド移動させることにより、平面的に配置されたフィルタ部材を清掃するように構成しても良い。
【0061】
フィルタカバー12又は移動機構収容部21には、フィルタカバー21の閉塞状態で、移動機構収容部21の前面開口21cの周囲をシールする移動機構収容部用のパッキンを設けるようにしても良い。これによれば、移動機構収容部21内へのリントや埃等の侵入を、より確実に防止することができる。更に、フィルタ部材15の目詰り状態を判定する目詰り判定手段を設け、目詰り判定手段によりフィルタ部材15の目詰りが大きくなったと判定されたときに、ユーザに報知して、フィルタ部材15の清掃を行うことを促す構成としても良い。
【0062】
その他、洗濯乾燥機としては、ドラム式のものに限らず、水槽および回転槽の軸線が上下方向に指向する、いわゆる縦軸型のものでも良い。また、衣類乾燥機としては、洗濯機能を備えていない構成のものであっても良い。また、除湿手段としてヒートポンプ(冷凍サイクル)を備えるものであっても良いし、除湿手段を備えない温風供給装置としても良い。乾燥風循環ダクトの構成としても様々な変更が可能である。上記各実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
図面中、1は外箱、7はフィルタユニット、8は上部ダクト、9は取出口、10はケース、10aはフィルタ部材取付板、10bは平滑面、11はフィルタパネル、15はフィルタ部材、16は入口部、17はフィルタカバー、18は風路用パッキン、20はダクト周囲壁部、21は移動機構収容部、21cは前面開口、23は上部用パッキン、24は清掃部材、25は操作部材、25aは押圧部、25bは押出し部、26は支持体、26aは開口部、27、41はブレード、27aは掻き取り部、28は回動軸、29は移動機構、34は突片部、35は指掛け凹部、36は突起部、38は突出壁、39は内部パッキンを示す。