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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】車載装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/00 20060101AFI20221018BHJP
   G06K 13/06 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
G06K7/00 030
G06K7/00 056
G06K13/06 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018091286
(22)【出願日】2018-05-10
(65)【公開番号】P2019197397
(43)【公開日】2019-11-14
【審査請求日】2021-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】390001812
【氏名又は名称】株式会社デンソーエレクトロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】前田 和則
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 弘晃
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 嘉宏
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-126700(JP,A)
【文献】特開平10-293821(JP,A)
【文献】特開昭57-020870(JP,A)
【文献】米国特許第04605896(US,A)
【文献】特開2009-059031(JP,A)
【文献】特開2002-298098(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/00
G06K 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面(2F)及び第2面(2B)のうち前記第1面に露出形成された接点部(21)を有するカード(2)を、カードスロット(11)から収容するように構成されたケース(12)と、
前記カードが前記カードスロットに挿入される方向である挿入方向において前記カードスロットとは反対側に位置するように前記ケースの内部に設けられ、前記カードが前記ケースに収容された状態において前記接点部と接触することで前記カードと電気的に接続される複数の端子(15)と、
前記挿入方向において前記カードスロット側に位置するように前記ケースの内部に設けられ、前記カードが前記カードスロットから収容される過程において前記接点部と接触するクリーニング部(18)と、
前記カードスロットにおいて、前記挿入方向と直交する方向の両端側にそれぞれ設けられ、前記カードが前記ケースに収容される過程において、前記挿入方向と直交した方向における前記第2面の両端部それぞれと当接する、一対の突起(12C)と、
を備える、車載装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の車載装置であって、
前記クリーニング部は、複数の凸部(181)を有し、前記凸部において前記接点部と接触する、車載装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車載装置であって、
前記端子はそれぞれ、前記凸部のいずれかに対して前記挿入方向と平行な同一線上に位置している、車載装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車載装置であって、
前記カードが前記ケースに収容された状態での前記カードの前記第1面に沿った方向かつ前記挿入方向と直交した方向において、前記凸部それぞれにおける前記接点部と接触する面である接触面の幅は、前記挿入方向と平行な同一線上に位置している前記端子それぞれの幅以上である、車載装置。
【請求項5】
請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載の車載装置であって、
前記凸部は、3つであって、それぞれ三角形の各頂点上に位置している、車載装置。
【請求項6】
請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載の車載装置であって、
前記凸部は、前記凸部の形状のベースとなる複数の凸状の部分であるベース部(18A)と、前記ベース部を覆うワイピングクロス(18B)と、を有する、車載装置。
【請求項7】
請求項6に記載の車載装置であって、
前記ベース部を有する部材である第1の部材(16)と、
複数の孔を有し、前記凸部のそれぞれが前記孔のそれぞれを貫通するように前記第1の部材と組み付けられる第2の部材(17)と、
を更に有し、
前記ワイピングクロスの端部は、前記第1の部材と前記第2の部材との間で前記第1の部材及び前記第2の部材に挟持されている、車載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ETC及びETC2.0を利用するための車載装置が知られている。車載装置には、車両のユーザーが所有するカード(以下、「カード」。)がカードスロットから挿入され、カードに記録された情報を車載装置が読み込むことで、ETC及びETC2.0を利用することが可能となる。なお、ETC及びETC2.0は登録商標である。
【0003】
ここで、カードには、カードが車載装置に収容された状態において車載装置の端子と接触することで当該端子と電気的に接続される接点部が、カードのおもて面に露出形成されている。このため、ユーザーがカードを使用する際に接点部に触ったりすることで、接点部に皮脂などの汚れ等が付着し得る。接点部が汚れた状態でカードが車載装置に挿入されてしまうと、接点部と車載装置の端子との間との電気的な接続に支障が生じ、接触信頼性が確保できない問題があった。
【0004】
そこで、特許文献1には、車載装置の内部でカードの接点部をクリーニングするクリーニング部が設けられた構成が開示されている。クリーニング部は、カードがカードスロットに挿入される方向である挿入方向において車載装置の端子の隣かつ当該端子よりもカードスロット側に設けられ、カードがカードスロットから収容される過程において接点部と接触することにより接点部をクリーニングする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-59031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の車載装置では、クリーニング部は端子の隣に位置しており、更にクリーニング部がカードの接点部と接触する分、カードにはクリーニング部によって押圧される力が働く。その結果、当該力は、カードが車載装置に収容された状態において、接点部と端子との接触を引き離す力となってしまい、接点部と端子との接触信頼性が不安定となりやすい。
【0007】
本開示の一局面は、カードの接点部と車載装置の端子との接触信頼性を確保しやすい車載装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、車載装置(1)であって、ケース(12)と、複数の端子(15)と、クリーニング部(18)と、を備える。ケースは、第1面(2F)及び第2面(2B)のうち第1面に露出形成された接点部(21)を有するカード(2)を、カードスロット(11)から収容するように構成される。端子は、カードがカードスロットに挿入される方向である挿入方向においてカードスロットとは反対側に位置するようにケースの内部に設けられている。端子は、カードがケースに収容された状態において接点部と接触することでカードと電気的に接続される。クリーニング部は、挿入方向においてカードスロット側に位置するようにケースの内部に設けられ、カードがカードスロットから収容される過程において接点部と接触する。
【0009】
このような構成によれば、クリーニング部は挿入方向において端子とは反対側に位置するため、クリーニング部がカードを押圧する力は、接点部と端子との接触を引き離す力となりにくい。その結果、カードの接点部と車載装置の端子との接触信頼性を確保しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態における車両に搭載された車載装置を示す図である。
図2】本実施形態の車載装置にカードが挿入される図である。
図3】本実施形態のカードを示す図である。
図4】本実施形態の車載装置の分解斜視図である。
図5図2のV-V断面図である。
図6図5のVI-VI断面図である。
図7】本実施形態における端子の説明のための概略図である。
図8】本実施形態のキー部材とレンズ部材とが組み付けられた状態を示す図である。
図9図8のIX-IX断面図である。
図10】本実施形態のワイピングクロスを示す図である。
図11】本実施形態のワイピングクロスとキー部材との位置関係を示す図である。
図12図11のXII-XII断面図である。
図13】本実施形態の車載装置の正面図である。
図14】本実施形態のカードコネクタの平面図である。
図15】本実施形態のカードコネクタの概略下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。また、下記の実施形態の説明で用いる符号を特許請求の範囲にも適宜使用しているが、これは本開示の理解を容易にする目的で使用しており、特許請求の範囲の解釈を限定する意図ではない。
【0012】
[1.構成]
図1に示す車載装置1は、ETC及びETC2.0を利用するための装置である。車載装置1は、車両100の車室内に搭載されている。車載装置1を利用するにあたっては、図2に示すように、まず、車載装置1が有するカードスロット11から車両100のユーザーが所有するICカード2(以下、「カード2」。)が挿入される。そして、カード2に記録された情報を車載装置1が読み込むことで、ETC及びETC2.0を利用することが可能となる。なお、本実施形態では便宜上、カードスロット11が設けられた面を車載装置1の正面とする。また、図2に示された方向Hを車載装置1の上下方向として説明する。
【0013】
図3に示すカード2は、おもて面2F及びうら面2Bのうちおもて面2Fに露出形成された接点部21を有する。接点部21は、カード2が車載装置1に収容された状態において、後述する車載装置1が備える複数の端子15と接触することで端子15と電気的に接続される。具体的には、接点部21のうち、端子C1~C3及び端子C5~C7のそれぞれが複数の端子15と接触する。
【0014】
図1図4及び図5に示すように、車載装置1は、ケース12、カードコネクタ13、サーキットアッシー14、複数の端子15、ハウジング151、キー部材16、レンズ部材17、クリーニング部18及びイジェクトボタン19を備える。
【0015】
ケース12は、カード2をカードスロット11から収容する部材である。ケース12は、アッパーケース12A及びロアケース12Bを有する。アッパーケース12A及びロアケース12Bはそれぞれ、底面が概略矩形状のケースである。アッパーケース12A及びロアケース12Bは、互いに重ね合わさるように組付けられることにより、車載装置1全体のケース12として機能する。車載装置1の正面に配置されるアッパーケース12Aの前壁には、カードスロット11が形成されている。また、アッパーケース12Aには、カードスロット11からの埃等の浸入を防ぐ防塵シートCが設けられている。以下、カード2がケース12に収容された状態を収容状態と呼ぶ。
【0016】
カードコネクタ13は、ケース12の内部において、カード2を収容保持する部材である。カードコネクタ13は、収容状態におけるカード2の位置をロックするロック機構並びにイジェクトボタン19が操作されることによりカード2を車載装置1の外部へ排出する排出機構等を有する。
【0017】
サーキットアッシー14は、プリント配線によって電気的に接続されたスピーカーなどの複数の電子部品が実装されたアセンブリ部品である。サーキットアッシー14は、複数の端子15を介してカード2の情報を読み出すとともに、図示しないアンテナを介して道路に設置されたETC通信用の路上装置と通信を行う。サーキットアッシー14は、複数のねじSによりカードコネクタ13と固定されている。
【0018】
端子15は、収容状態において、カード2の接点部21と電気的に接続される端子である。図5に示すように、複数の端子15は、挿入方向Dにおいて、カードスロット11とは反対側に位置するようにケース12の内部に設けられている。挿入方向Dは、カード2がカードスロット11に挿入される方向及びカードスロット11から抜取される方向である。また、カードスロット11の反対側は、ケース12の奥側、すなわち挿入方向Dに沿った車載装置1の中央から背面までの範囲のことを指し、カードスロット11側は、挿入方向Dに沿った車載装置1の中央から正面側までの範囲のことを指す。さらに、カードスロット11とは反対側に位置するようにケース12の内部に設けられているとは、端子15それぞれの少なくとも接点部21と接触する部分が、挿入方向Dにおいてカードスロット11の反対側の範囲に収まって位置していることをいう。図6に示すように、本実施形態における端子15の数は6つであって、挿入方向Dに沿って2つずつ、挿入方向Dと垂直な方向に沿って3列に並んで設けられている。なお、図6において断面を表す斜線は省略されている。
【0019】
図7に示すように、端子15はそれぞれ、一端がサーキットアッシー14の下面部に固定されており、固定された当該一端を基点として他端が車載装置1の上下方向に弾性変形可能に設けられている。また、端子15はそれぞれ、接点部21と接触する部分を除き、ハウジング151に収容されている。
【0020】
キー部材16は、車載装置1が発する警告音などの音量を調節するためのボタン並びにETC及びETC2.0の利用履歴を確認するボタンを有する部材である。キー部材16は、ケース12の内部において、カードスロット11の隣に設けられている。なお、キー部材16は、後述するクリーニング部18のベース部18Aを下面に有する。
【0021】
レンズ部材17は、車載装置1の状態を示すインジケータとしてのLEDをカバーするレンズ、及びカードスロット11の近傍に配置されるLEDをカバーするレンズを有する部材である。図8に示すように、レンズ部材17は、キー部材16の下部に組み付けられている。レンズ部材17は、後述する凸部181が貫通する複数、この例では3つ、の孔17Hを有する。
【0022】
クリーニング部18は、カード2がカードスロット11から収容される過程である収容過程において、ケース12の奥側に移動するカード2の接点部21と接触することにより、接点部21に付着した汚れ等をクリーニングする部分である。図5に示すように、クリーニング部18は、挿入方向Dにおいてカードスロット11側に位置するようにケース12の内部に設けられている。なお、カードスロット11側に位置するようにケース12の内部に設けられているとは、クリーニング部18の全体が、挿入方向Dにおいてカードスロット11側の範囲に収まって位置していることをいう。本実施形態のクリーニング部18は、ケース12におけるカードスロット11よりも奥側かつカードスロット11の隣に、換言すれば挿入方向Dにおいてケース12におけるカードスロット11側の端部に、設けられている。
【0023】
クリーニング部18は、複数、この例では3つ、の凸部181を有する。凸部181は、接点部21と接触する部分である。具体的には、凸部181は、レンズ部材17における下面から下方向に延びるように突出した概略円柱状の部分である。図6に示すように、3つの凸部181のそれぞれは車載装置1の下面の方向から見てそれぞれ三角形の各頂点上に位置している。また、凸部181のそれぞれは、端子15のそれぞれが凸部181のいずれかに対して挿入方向Dと平行な同一線上になる位置に設けられている。さらに、図6に示すように、幅方向Wにおいて、凸部181それぞれにおける接点部21と接触する面である接触面の幅18Wは、挿入方向Dと平行な同一線上に位置している端子15の幅15Wよりも大きい。なお、幅方向Wは、収容状態におけるカード2のおもて面2F又はうら面2Bに沿った方向かつ挿入方向Dと直交した方向であって、図6でいう左右方向である。
【0024】
図9に示すように、3つの凸部181は、ベース部18Aと、ワイピングクロス18Bと、を有する。ベース部18Aは、3つの凸部181の形状のベースとなる3つの凸状の部分である。ベース部18Aは、図9に示すように、キー部材16と一体に形成されている。ワイピングクロス18Bは、接点部21に付着した汚れ等を除去するクロスである。具体的には、ワイピングクロス18Bは、主にベース部18Aを覆うようにベース部18Aに巻き付けられ、収容過程においてケース12の奥側に移動するカード2の接点部21と直接接触しワイピングすることにより、接点部21に付着した汚れ等を除去する。ワイピングクロス18Bは、例えば織布など、編込密度が高く、度重なる摺動にも耐え得る所定の厚さを有するクロスである。図10に示すように、ベース部18Aに巻き付ける前のワイピングクロス18Bは、三葉形状であって、その中央には両面テープTが設けられている。
【0025】
ここで、ワイピングクロス18Bの巻付方法について説明する。まず、図11及び図12に示すように、ワイピングクロス18Bをキー部材16におけるベース部18Aにあたる部分の上に位置させ、両面テープTを、ベース部18Aにおける3つの凸状の部分の中心にあたる部分の面に貼付ける。次に、ワイピングクロス18Bを凸状の部分それぞれになじませるように巻き付ける。次に、レンズ部材17を、孔17Hそれぞれを凸状の部分それぞれが貫通するように通しつつ、キー部材16に組み付ける。これにより、キー部材16とレンズ部材17との組付け後におけるワイピングクロス18Bの端部は、図9に示すように、キー部材16とレンズ部材17との間で、キー部材16及びレンズ部材17に押さえつけられる、換言すれば、挟持される。
【0026】
イジェクトボタン19は、カードコネクタ13からカード2を車載装置1の外部へ排出するために車両100のユーザーが操作するボタンである。
図13に示すように、車載装置1は、ケース12の内部に設けられた複数、本実施形態では2つ、の突起12Cを更に備える。突起12Cはそれぞれ、カードスロット11の下側に、アッパーケース12Aと一体に設けられている。具体的には、突起12Cは、車載装置1の正面から見てカードスロット11の左右かつ下側に、アッパーケース12Aの一部として1つずつ形成されている。突起12Cはそれぞれ、収容過程において、挿入方向Dと直交した方向におけるカード2のうら面2Bの両端部それぞれと当接する。突起12Cそれぞれの高さは、車載装置1の上下方向における凸部181と突起12Cとの隙間が、カード2の厚み以下となる値に設定されている。これにより、カード2がカードスロット11から挿入及び抜取される度に、カード2のうら面2Bの幅方向Wにおける両端部は突起12Cに支持され、カード2のおもて面2Fの幅方向Wにおける中央部はクリーニング部18に押圧される。すなわち、車載装置1は、カードスロット11付近において、カード2を車載装置1の正面から見て緩やかなU字状に撓ませながら、接点部21に付着した汚れ等をクリーニング部18のワイピングクロス18Bでワイピングすることにより除去する。
【0027】
ここで、カードコネクタ13は、図14に示す金属製のコネクタばね131及び図15に示す板ばね132を有する。コネクタばね131及び板ばね132は、カードコネクタ13の排出機構のためのばねである。具体的には、コネクタばね131は、イジェクトボタン19が操作される際に、イジェクトボタン19の動きと連動してカード2を車載装置1の外部へ排出する、換言すれば押し出すためのばねである。コネクタばね131は、カードコネクタ13の上面において挿入方向Dと平行に設けられたらせん状のスプリングばねである。
【0028】
板ばね132は、コネクタばね131によってカード2が車載装置1の外部へ排出される際にカード2の側面を押圧することによって、挿入方向Dにおける車載装置1の外部へカード2が排出される量を調整するためのばねである。板ばね132は、一端がカードコネクタ13に固定されており、固定された当該一端を基点として他端が幅方向Wに弾性変形可能に設けられている。図15に示すカード2が挿入されていない状態における板ばね132は、カード2の側面と幅方向Wにおける長さLの分だけ干渉する位置に設けられている。本実施形態における板ばね132がカード2の側面を押圧する強さは、凸部181がカード2のおもて面2Fを押圧する分、クリーニング部18が設けられていない構成における板ばねがカード2の側面を押圧する強さよりも小さく設定されている。
【0029】
[2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)6つの端子15は、カードスロット11とは反対側に位置するように、ケース12の内部に設けられている。一方、クリーニング部18は、挿入方向Dにおいてカードスロット11側、より詳しくはカードスロット11の隣、に位置するように、ケース12の内部に設けられている。すなわち、クリーニング部18は、挿入方向Dにおいて6つの端子15とは反対側に位置している。
【0030】
このような構成によれば、収容状態において、クリーニング部18がカード2を押圧する力は、接点部21と6つの端子15との接触を引き離す力となりにくい。その結果、カード2の接点部21と車載装置の6つの端子15との接触信頼性を確保しやすくすることができる。
【0031】
(1b)クリーニング部18は、3つの概略円柱状の凸部181を有し、凸部181それぞれにおいて接点部21と接触する。このような構成によれば、幅方向Wにおいて接点部21の全体と接触する1つの凸部を有する構成と比較して、凸部181それぞれを接点部21と安定して接触させることができる。すなわち、例えば、接点部21の面全体をワイピングするクリーニング部の構成では、当該クリーニング部がカード2を押圧する力が安定せず、接点部21の汚れを除去しきれないことが懸念される。逆に、上述した押圧する力、すなわち当該クリーニング部がカード2に与える接触荷重を大きくした場合、車載装置1へのカード2の挿入に必要な力を過剰に増加させてしまうことや、ETC2.0及びETCの規格上の当該接触荷重の許容値を超えてしまうことが懸念される。これに対し、本実施形態のクリーニング部18によれば、3つの凸部181のそれぞれが安定して接点部21と接触しつつ接点部21をワイピングする。その結果、本実施形態のクリーニング部18によれば、車載装置1へのカード2の挿入に必要な力を過剰に増加させることなく、接点部21に付着した汚れを除去することができる。
【0032】
(1c)6つの端子15は、それぞれ、3つの凸部181のいずれかに対して挿入方向Dと平行な同一線上に位置している。このような構成によれば、接点部21における6つの端子15と接触する部分である端子接触部の汚れを、クリーニング部18によって効率良くワイピングすることができる。
【0033】
(1d)凸部181それぞれにおける幅18Wは、挿入方向Dと平行な同一線上に位置している端子15の幅15Wよりも大きい。このような構成によれば、凸部181はそれぞれ、接点部21の端子接触部を端子15の幅よりも幅広にワイピングする。その結果、端子接触部におけるクリーニング部18によってワイピングされない部分を極力減らすことができる。
【0034】
(1e)凸部181は、3つであって、それぞれ三角形の各頂点上に位置している。換言すれば、ベース部18Aにおける3つの凸状の部分は、それぞれが互いに間隔をもって位置している。このような構成によれば、1枚のワイピングクロス18Bをベース部18Aにおける3つの凸状の部分それぞれに組み付けやすくすることができる。
【0035】
(1f)ワイピングクロス18Bは、収容過程においてケース12の奥側に移動するカード2の接点部21と直接接触することにより、接点部21に付着した汚れ等を除去する。また、ワイピングクロス18Bは、編込密度が高く、度重なる摺動にも耐え得る所定の厚さを有するクロスである。このような構成によれば、ワイピングクロス18Bを有さず例えば樹脂や金属などが接点部21と接触する構成と比較して、接点部21のダメージを低減することができる。また、ワイピングクロス18Bは、金属や樹脂と比較して親水性が高いため、例えばハンドクリームやファンデーションなどの接点部21に付着した汚れを除去しやすくすることができる。
【0036】
(1g)ベース部18Aに巻き付ける前のワイピングクロス18Bは、3つの円を1つに合わせた形状である三つ葉形状である。このようなワイピングクロス18Bの構成によれば、四角形状や三角形状など一般的な形状を有するワイピングクロスと比較して、ベース部18Aに巻付ける作業性を向上させることができる。
【0037】
(1h)ワイピングクロス18Bの端部は、キー部材16とレンズ部材17との間で、キー部材16及びレンズ部材17に挟持される。このような構成によれば、ワイピングクロス18Bが接点部21に接触しながら摺動した際に生じ得るワイピングクロス18Bのずれ、ワイピングクロス18Bの端部からのほつれ及び破れを生じにくくすることができる。
【0038】
(1i)突起12Cは、車載装置1の正面から見てカードスロット11の左右に離れて1つずつ形成されている。このような構成によれば、カードスロット11付近において、カード2の全体が、車載装置1の正面から見て緩やかなU字状に撓みながら、換言すれば大きい曲率半径を有した状態で変形し、車載装置1へ挿入される。このような構成によれば、カード2の中央部のみがクリーニング部18によって変形する構成と比較して、カード2への負荷を減少させることができる。
【0039】
(1j)3つの凸部181の形状のベースとなるベース部18Aは、キー部材16と一体に形成されている。このような構成によれば、独立して凸部を設ける構成と比較して、車載装置1における部品点数の増加を抑制できる。
【0040】
(1k)板ばね132がカード2の側面を押圧する強さは、凸部181がカード2のおもて面2Fを押圧する分、クリーニング部18が設けられていない構成における板ばねがカード2の側面を押圧する強さよりも小さく設定されている。このような構成によれば、カード2を車載装置1へ挿入する際の挿入力の増加を抑制することができ、さらに、車載装置1の外部へカード2が排出される量の減少を生じにくくすることができる。その結果、クリーニング部18を設けたことによるカード2の車載装置1への挿入及び抜取の作業性の低下を生じにくくすることができる。なお、カード2が排出される量の減少を生じにくくするために、板ばね132のばね定数を小さくする代わりにコネクタばね131のばね定数等を大きく設定した場合、カード2を車載装置1へ挿入する際の挿入力が増加してしまう。これに対し、本実施形態の車載装置1によれば、板ばね132によるカード2の側面を押圧する強さが調整されているため、カード2を車載装置1へ挿入する際の挿入力を増加しにくくすることができる。
【0041】
なお、本実施形態では、おもて面2Fが第1面に相当し、うら面2Bが第2面に相当する。また、キー部材16が第1の部材に相当し、レンズ部材17が第2の部材に相当する。
【0042】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0043】
(2a)上記実施形態では、3つの概略円柱状の凸部181を例示した。しかしながら、凸部の構成はこれに限定されるものではない。例えば、凸部は、四角柱状や三角柱状など他の形状であってもよい。また例えば、凸部の数は、2つであったり4つ以上であったりしてもよく、また単数でもよい。
【0044】
(2b)上記実施形態では、挿入方向Dと平行な同一線上に位置している端子15の幅15Wよりも大きい幅を有する凸部181の接触面の幅18Wを例示した。しかしながら、凸部の接触面の幅は、これに限定されるものではなく、例えば挿入方向Dと平行な同一線上に位置している端子の幅と同じであってもよい。
【0045】
(2c)上記実施形態では、3つの凸部181のそれぞれが車載装置1の下面の方向から見てそれぞれ三角形の各頂点上に位置している構成を例示したが、各凸部の位置はこれに限定されるものではない。例えば、凸部はそれぞれが幅方向Wに沿って直線上に並ぶように位置していてもよい。
【0046】
(2d)上記実施形態では、ベース部18A及びワイピングクロス18Bを有する凸部181を例示した。しかしながら、凸部の構成はこれに限定されるものではなく、例えば、凸部はワイピングクロスを有していなくてもよい。
【0047】
(2e)上記実施形態では、ワイピングクロス18Bがキー部材16とレンズ部材17とに挟持されることにより固定される構成を例示したが、ワイピングクロスは挟持以外の方法でキー部材に固定されていてもよい。
【0048】
(2f)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0049】
1…車載装置、2…カード、2B…うら面、2F…おもて面、11…カードスロット、12…ケース、12C…突起、15…端子、16…キー部材、17…レンズ部材、18…クリーニング部、18A…ベース部、18B…ワイピングクロス、21…接点部、181…凸部。
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