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  • 特許-光学系の結像品質を検出する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】光学系の結像品質を検出する方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 11/02 20060101AFI20221018BHJP
   G02B 7/00 20210101ALI20221018BHJP
【FI】
G01M11/02 A
G02B7/00 A
G02B7/00 D
【請求項の数】 3
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018105752
(22)【出願日】2018-06-01
(65)【公開番号】P2019049524
(43)【公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-05-28
(31)【優先権主張番号】17174143.2
(32)【優先日】2017-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518193696
【氏名又は名称】トライオプティクス ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Trioptics GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】オイゲン ドゥミトレスク
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ランゲハンネンバーグ
(72)【発明者】
【氏名】イリス エーリッヒセン
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー バイ
(72)【発明者】
【氏名】ジーモン ツィリアン
(72)【発明者】
【氏名】アイコ ループレヒト
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-078330(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014001151(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0187222(US,A1)
【文献】特開2004-028613(JP,A)
【文献】特開平06-258181(JP,A)
【文献】特開2007-093339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 11/00 - G01M 11/08
G02B 7/00
G02B 7/18 - G02B 7/40
G03B 3/00 - G03B 3/12
G03B 13/30 - G03B 13/36
G03B 21/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
置(2)を用いて少なくとも1つのレンズ(6)またはレンズ群を備える光学系(4)の結像品質を検出する方法であって、
前記装置(2)が、
前記光学系(4)の撮像視野内の複数のフィールド点における変調伝達関数を測定するMTF測定装置(10)であって、オフアクシスMTF測定を行うように構成されるMTF測定装置(10a、10b)と、
前記光学系(4)の中心調整した状態を測定するための、オンアクシスに配置されるセンタリング測定装置(18)であって、前記光学系(4)の少なくとも1つの光学面の曲率中心を反射において測定するように構成されたオートコリメータ(20)を備えるセンタリング測定装置(18)と、を備え、
前記センタリング測定装置(18)により前記光学系(4)の中心調整した状態が決定され、
前記中心調整した状態についてのデータに基づいて前記光学系(4)が中心調整され、次いで
前記MTF測定装置(10)により、前記光学系(4)の視野内の複数のフィールド点において、前記光学系(4)の変調伝達関数が測定され
センタリング・プロセスの後に、
(i)前記光学系(4)の変調伝達関数が、前記MTF測定装置(10)を用いて決定され、
(ii)次いで光学素子の位置が変えられ、次いで前記光学系(4)の変調伝達関数が、前記MTF測定装置(10)を用いて再び決定され、
前記(i)のステップおよび前記(ii)のステップは、前記変調伝達関数が、極大値を呈するまで、反復して繰り返される、方法。
【請求項2】
第1のステップにおいて、前記光学系(4)の第1の光学素子(36)の第1の中心調整した状態が、前記センタリング測定装置(18)を用いて測定され、前記第1の光学素子(36)は、前記第1の中心調整した状態についてのデータに基づいて中心調整され、次いで前記光学系(4)の第2の光学素子(40)の第2の中心調整した状態が、前記センタリング測定装置(18)を用いて測定され、次いで前記第1の中心調整した状態についての前記データおよび/または前記第2の中心調整した状態についてのデータに基づいて、前記第1および第2の光学素子(36、40)は、互いに対して中心調整され、
さらに前記第2の光学素子(40)は、前記第1の光学素子(36)の前記中心調整した状態の検出後に前記光学系(4)に追加される、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記光学系(4)の画像平面(B)の傾きが、前記光学系(4)の複数のフィールド点において前記MTF測定装置(10)を用いて確認された前記変調伝達関数のデータに基づいて決定され、
前記光学系(4)は、前記画像平面(B)が、センタリング軸(A)に少なくとも略垂直に配向するように、前記光学系(4)の前記画像平面(B)の前記傾きについてのデータに基づいて位置合わせされ、
前記光学系(4)の少なくとも1つの中心調整した状態が、次いで前記センタリング測定装置(18)を用いて再び測定され、前記光学系(4)は、前記光学系(4)の少なくとも1つの中心調整した状態についてのデータに基づいて中心調整される、請求項またはに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのレンズまたはレンズ群を有する光学系の結像品質を検出する装置に関する。さらに、本発明は、そのような装置を用いて、少なくとも1つのレンズまたはレンズ群を備える光学系の結像品質を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高品質マルチレンズ光学系の生産において、個々のレンズは、互いに対して非常に精密に位置合わせされなければならない。またカメラ・モジュールの生産においても、光学素子を互いに対してかつ画像センサに関して正しく位置合わせし、中心調整することが必要である(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
光学系においてレンズを正しく位置合わせするために、測定によって光学面の位置を確立することが必要である。この文脈において、光学面の曲率中心の位置は、重要なパラメータである。理想的な状況では、マルチレンズ系において、個々の光学面の曲率中心は、レンズを収容しているレンズ・マウントの対称軸と一致する共通の基準軸上に精密に位置する。しかしながら、現実の光学系では、この状態は、生産および据え付けのばらつきに起因して達成されないこともある。曲率中心は、基準軸の周辺で統計的に分布している。曲率中心と基準軸との間の距離が大きすぎると、光学系の光学的特性が低下するので望ましくない。
【0004】
特許文献2から、マルチレンズ光学系の光学面の曲率中心の位置を測定する方法が知られている。光角測定デバイスを用いて、光学面の面法線と回転軸との間の角度、またはオフセットが、1つの測定点で検出される。次いで、角度測定デバイスをこの回転軸の周りで回転させ、角度測定を繰り返す。
しかしながら、光学系のセンタリングは、光学系の品質を特徴付ける1つの特徴にすぎない。特に、大量生産のためには、それを用いてレンズまたはレンズ群のセンタリングを検査または検出することができ、光学系の結像性能をさらに特徴付けることができる光学系が望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2016/0334600号明細書
【文献】独国特許出願公開第102014001151号明細書
【文献】欧州特許出願公開第3037800号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、光学系の結像品質を検出する装置、ならびに従来技術に関して強化される光学系の結像品質を検出する方法を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本目的は、少なくとも1つのレンズまたはレンズ群を有する光学系の結像品質を検出する装置によって解決される。本装置は、光学系の視野内の複数のフィールド点における変調伝達関数を測定するMTF測定装置であって、複数のオフアクシスMTF測定を行うように構成されるMTF測定装置と、オンアクシスに配置される光学系の中心調整した状態を測定するセンタリング測定装置とを用いてさらに展開される。
【0008】
レンズ群は、例えば対物レンズなどの光学系を一緒に形成する複数の個々のレンズである。同様に、レンズ群は、色収差補正レンズなどの複数のレンズから構成されるレンズとすることができる。
【0009】
有利には、光学系の結像性能ならびにセンタリングの両方は、1つまたは複数の、さらには同時に行われるMTF測定によって、特に同時に本発明による装置を用いて測定されることとしてもよい。特に、センタリング測定装置の測定結果に基づく大まかな調整に基づいて結像性能を最適化するために、その後の微調整を行うことを可能にする。さらに、MTF測定装置およびセンタリング測定装置の組み合わせは、光学系の複数のパラメータが、迅速かつ効率的に検出できるので、大量生産に特に適している。
【0010】
光学系の視野内の複数のフィールド点におけるMTF測定は、例えばMTF分析の文脈において空間的に広がったテスト・パターンを評価することによって実行される。
【0011】
一実施形態によると、本装置は、有利には、少なくとも1つのレンズまたはレンズ群を能動的に中心調整するセンタリング装置によってさらに展開される。
【0012】
本明細書の文脈において「オフアクシス」とは、関連ユニットが、光学系の視野内に位置するが、光学系の対称軸またはセンタリング軸上に配置されない場合の関連ユニットの配置であると理解される。「オンアクシス」は、関連ユニットが、光学系の視野内に、かつ少なくとも近似的に対称軸またはセンタリング軸上に配置される場合の配置であると理解される。
【0013】
MTF測定装置およびセンタリング測定装置は、例えば共通のドーム上に配置される。
【0014】
MTF測定は、オフアクシスに配置されたMTF測定装置の助けにより、光学系の視野内の様々なフィールド点において実行することができる。MTF測定装置は、容易にオフアクシスに配置することができる。しかし、センタリング測定装置は、オンアクシスに配置されると有利である。オフアクシスに配置されるMTF測定装置およびオンアクシスに配置されているセンタリング測定装置の組み合わせによって、特に小型の装置を提供することができる。
【0015】
光学系の結像品質を検出する装置は、さらに有利には、センタリング測定装置がオートコリメータを備え、反射において光学系の少なくとも1つの光学面の曲率中心を測定するように構成されるという点においてさらに展開される。
【0016】
光学系のレンズなどの少なくとも1つの光学素子の光学面の曲率中心の位置を使用することによって、光学系の中心調整した状態が推測可能である。この点におけるさらなる詳細は、例えば同じ出願人による特許文献2において見出すことができる。
【0017】
そのような装置は、例えば下記の特徴a)からf)の1つまたは複数によってさらに展開される。
【0018】
a)本装置はまた、回転可能なシートも備え、このシートを用いて光学系は、センタリング軸の周りを回転可能である。
【0019】
b)オートコリメータは、回転可能に設計されている。例えば、オートコリメータは、全体としてその対称軸の周りで回転可能にホルダ内に設置される。
【0020】
用途により、必要に応じて、光学系を回転可能に収容するか、またはオートコリメータを回転可能に設計することもまた、有利でありえる。
【0021】
c)オートコリメータは、焦点をシフトさせることができる焦点調節光学系を含む。
【0022】
回転軸の代わりに、焦点調節がそれに沿って達成される代替基準として、光学軸を使用することもできる。この場合、範囲は検出器上で評価されないが、代わりに絶対位置が比較される。焦点調節は、例えば線形軸に沿って移動することによって実現することができる。
【0023】
d)オートコリメータは、焦点調節光学系を備え、この焦点調節光学系、またはその各部は、そのセンタリング軸の周りで回転可能である。
【0024】
オートコリメータ全体としての回転と比較して、オートコリメータの焦点調節光学系の回転は単純化される。
【0025】
e)オートコリメータと光学系との間のビーム経路内に、反転反射プリズム、特にドーブ・プリズムが配置され、このプリズムは、センタリング軸の周りを回転可能である。
【0026】
オートコリメータ全体としての回転の代わりに、またはそれに加えて、もしくはオートコリメータの焦点調節光学系の回転のために、反転反射プリズムを設けることができる。用途に応じて、必要とされる手段の最適な組み合わせをとることができる。
【0027】
f)オートコリメータは、光学系の複数の光学面の曲率中心を同時に測定するように構成される。
【0028】
結像光学系の2つ以上の光学面の複数の曲率中心を同時に検出することによって、特に迅速な測定を行うことができる。この点におけるさらなる技術的詳細は、例えば同じ出願人による特許文献3に記載されている。
【0029】
前述の特徴a)からf)はそれぞれ、それ自体によって個別に実現可能である。特徴a)からf)に記載された技術的手段を、互いに組み合わせることも可能である。
【0030】
前述の実施形態はすべて、反射で行われる測定によるそのセンタリングに関する光学系の特徴付けに関連している。
【0031】
さらに有利な実施形態によれば、本装置は、透過時にセンタリング測定装置を実行するように構成されている。
【0032】
例えば、本装置は、画像センサが、光学系の画像平面内に配置され、画像センサを読み出すように構成される処理ユニットが備えられ、MTF測定装置が、それぞれにテスト・パターンが存在する少なくとも1つのグラチクルを備え、光学系が、この少なくとも1つのテスト・パターンを画像センサ上に結像し、処理ユニットが、変調伝達関数を決定するために光学系の画像センサからの関連する画像データを評価するように構成されるという点においてさらに展開される。
【0033】
例えば、画像センサは、光学系の一部である。光学系はまた、例えばカメラ・モジュールがある。
【0034】
そのような装置は、カメラ・モジュールの大量のテストに特に適している。有利には、光学的品質を特徴付けるためのMTF測定と、センタリング測定の両方が、例えば同時に実行されてもよい。任意選択的に、センタリング測定の測定値に基づいて、光学系の画像品質を改善/最適化するために光学系の追加の調整/センタリングが行われてもよい。
【0035】
別の有利な実施形態によると、本装置は、テスト・パターンが上にあるグラチクルが、光学系の画像平面内に配置されるようにさらに展開される。光学系は、テスト・パターンを結像する。MTF測定装置は、光学系の変調伝達関数を測定するためにテスト・パターンの画像を評価するように構成される。
【0036】
有利には、テスト・パターンは、MTF測定とセンタリング測定の両方に使用される。これにより、装置の設計が簡略化する。
【0037】
光学系の結像品質を検出する装置は、例えば、グラチクルが、光学系の画像平面内に点光源を構成するピンホール開口を備えるという点においてもさらに展開される。この目的を達成するために、例えば対応する照明が、グラチクルまたはピンホール開口の後ろに提供される。この目的を達成するために、ピンホール開口は、所望の点光源を生成するために、光学系が焦点を合わせるための例えば凹部を有する。均等照明がグラチクルの平面内に所望の点光源を提供するように、ピンホール開口をそれに応じて小さく選択することも可能である。センタリング測定装置は、光学系から点光源の画像の波面を検出するように構成される波面センサを備える。
【0038】
波面センサは、例えばシャック-ハルトマン型センサである。
【0039】
別の実施形態によると、センタリング測定装置は、画像センサを備え、光学系は、テスト・パターンを画像センサ上に直接結像し、センタリング測定装置は、テスト・パターンの画像の位置を使用して光学系のセンタリング状態、特に光学面の曲率中心を評価するように構成される。
【0040】
特に、画像センサに、長焦点レンズ(望遠レンズ)を設け、センタリング測定を行うことが可能である。この場合、対物レンズの長焦点距離は、センタリング測定のためのレバーとしての役割を果たし、光学系を、無限に収束させることができる。
【0041】
この実施形態は特に、センタリング軸の周りで光学系を回転させるように構成される、回転可能な追加のシートが、備えられるという点においてさらに展開される。
【0042】
グラチクルが、MTF測定のためのテスト・パターンと、センタリング測定のための点光源を提供する実施形態では、特にグラチクル上のテスト・パターンおよびグラチクル内のピンホール開口は、必要に応じて、逐次的に切り替え可能であるように設計される異なる光源を用いて照射される。これは、例えば干渉のない波面の測定を可能にする。
【0043】
別の実施形態によると、画像センサまたはグラチクルは、光学系の光学軸に沿って移動可能に設置される。例えば、検出器を光学軸に沿って移動せることによって、センタリング測定のためのレバーを増減することができる。検出器上に焦点スポットを生成することもまた、可能である。
【0044】
別の実施形態によると、本装置は、センタリング測定装置が、第1のステップにおいて、光学系の第1の光学素子の第1の中心調整した状態、特に第1の光学面の第1の曲率中心を測定し、必要に応じて、この第1の中心調整した状態についてのデータに基づいて第1の光学素子を能動的に中心調整するように構成され、センタリング測定装置がさらに、次いで光学系の第2の光学素子の第2の中心調整した状態、特に第2の光学面の第2の曲率中心を測定し、次いで第1の中心調整した状態についてのデータおよび/または第2の中心調整した状態についてのデータに基づいて、第1および第2の光学素子を互いに対して能動的に中心調整するように構成され、さらに特に第2の光学素子の機械送りをさらに備え、第1の光学素子の中心調整した状態の検出後に、機械送りにより第2の光学素子が、光学系に追加可能であるという点においてさらに展開される。
【0045】
そのような装置は、マルチレンズ光学系のセンタリングを自動的に行うのに特に適している。
【0046】
本目的はその上、前述の実施形態の1つまたは複数による装置を用いて、少なくとも1つのレンズまたはレンズ群を備える光学系の結像品質を検出する方法によって達成される。
装置は、光学系の撮像視野内の複数のフィールド点における変調伝達関数を測定するMTF測定装置であって、オフアクシスMTF測定を行うように構成されるMTF測定装置と、光学系の中心調整した状態を測定するための、オンアクシスに配置されるセンタリング測定装置であって、光学系の少なくとも1つの光学面の曲率中心を反射において測定するように構成されたオートコリメータを備えるセンタリング測定装置と、を備える。
本方法は、
- センタリング測定装置により光学系の中心調整した状態が決定され、
- 中心調整した状態についてのデータに基づいて光学系が中心調整され、次いで
- MTF測定装置により、光学系の視野内の複数のフィールド点において光学系の変調伝達関数が測定され
センタリング・プロセスの後に、(i)光学系の変調伝達関数が、MTF測定装置を用いて決定され、(ii)次いで光学素子の位置が変えられ、次いで光学系の変調伝達関数が、MTF測定装置を用いて再び決定され、(i)のステップおよび(ii)のステップが、変調伝達関数が、極大値を呈するまで、反復して繰り返されるという点においてさらに展開される。
【0047】
そのような方法により、センタリング測定の結果に基づいて光学系の光学的結像品質を改善する/最適化することが可能である。MTF測定のその後の実効は、例えば品質保証の文脈において、光学系の光学的結像品質を定量化することを可能にする。
【0048】
なお、光学系の結像品質を検出する装置に関しては、既に説明したのと同様の利点が本方法に当てはまるので、繰り返しは省略される。
【0049】
有利な実施形態によると、本方法は、第1のステップにおいて、光学系の第1の光学素子の第1の中心調整した状態、特に第1の光学面の第1の曲率中心が、センタリング測定装置を用いて測定され、必要に応じて、第1の光学素子が、この第1の中心調整した状態についてのデータに基づいて中心調整され、次いで光学系の第2の光学素子の第2の中心調整した状態、特に第2の光学面の第2の曲率中心が、センタリング測定装置を用いて測定され、次いで第1の中心調整した状態についてのデータおよび/または第2の中心調整した状態についてのデータに基づいて、第1および第2の光学素子が、互いに対して中心調整されるという点においてさらに展開される。
【0050】
必要に応じて、第2の光学素子は、第1の光学素子の中心調整した状態の検出後に光学系に追加される。
【0051】
従って、センタリングは必ずしも測定系のセンタリング軸に対して実行されるとは限らず、むしろレンズが互いに中心調整されるように実行される。
【0052】
中心調整した状態は、例えば光学系の少なくとも1つの光学素子の光学面の少なくとも1つの曲率中心を確認することによって検出される。この場合、センタリング軸からの曲率中心のずれは、センタリングの品質を定量化する。
【0053】
この方法により、センタリングに関して生産プロセス中に光学系が検査され、最適化されるので、例えば非常に高い品質の光学系を生産することができる。
【0054】
本方法の有利なさらなる展開によると、光学系の画像平面の傾きは、光学系の複数のフィールド点においてMTF測定装置を用いて確認される変調伝達関数についてのデータに基づいて決定され、光学系は、画像平面が、センタリング軸に少なくとも略垂直に配向するように、光学系の画像平面の傾きについてのデータに基づいて位置合わせされ、光学系の少なくとも1つの光学面の少なくとも1つの曲率中心は、次いで再びセンタリング測定装置を用いて測定され、光学系は、このデータに基づいて中心調整される。
【0055】
言い換えれば、反復法では、MTF測定を用いて画像平面の傾きを決定する。光学系を傾けて直進像面を得た後、センタリング・プロセスが、繰り返される。
【0056】
別の有利な実施形態によると、本方法は、(i)光学系の変調伝達関数が、MTF測定装置を用いて決定され、(ii)次いで光学素子の位置が、わずかに、特に確率的に変えられ、次いで光学系の変調伝達関数が、MTF測定装置を用いて再び決定され、ステップ(i)および(ii)が、変調伝達関数が極大値を呈するまで反復して繰り返されるという点において展開される。
【0057】
言い換えれば、光学系のレンズ位置は、最良のMTF結果が得られる位置を見出すために、わずかに変更される。
【0058】
本発明のさらなる特徴は、請求項および含まれる図面と一緒に本発明による実施形態の記述から明らかになるであろう。本発明による実施形態は、個々の特徴またはいくつかの特徴の組み合わせをかなえることができる。
【0059】
本発明は、本発明の一般的アイデアを制限することなく、図面を参照して例となる実施形態に基づいて以下に述べられ、その場合我々は、本文においてより詳細には説明されない本発明によるすべての詳細に関して図面に明確に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1】簡略化された概略側面図における光学系の結像品質を検出する装置を示す図である。
図2】画像センサを備える光学系の結像品質を検出する別の装置を示す図である。
図3a】レンズ群のレンズのセンタリングが、行われる、レンズ群を備える光学系の結像品質を検出する方法の個々の例となる方法ステップの表現を示す図である。
図3b】レンズ群のレンズのセンタリングが、行われる、レンズ群を備える光学系の結像品質を検出する方法の個々の例となる方法ステップの表現を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図面において、同じまたは同様の種類の要素および/または部分は、再導入が省略されるように、同じ参照番号を提供される。
【0062】
図1は、光学系4の結像品質を検出する装置2の模式的に簡略化された側面図を示す。例えば、装置2は、複数の光学系4をそれらの結像品質に関してテストしかつ/または最適化するように構成されているが、明確化のため、この光学系のうちのわずかな参照符号しか示されていない。光学系4は、例えば単一の光学素子、すなわちレンズ6をさらに備える。図1に示される装置2は、例えば光学系4の大量のテストのためにのみ提供される。この目的のために、カメラ対物レンズなどの光学系4は、矢印で示されるように、平面上で移動可能なキャリア8上に設置される。これにより、個々の光学系4は、迅速に連続して検査することができる。
【0063】
装置2は、例えばオフアクシスに配置された2つの測定装置10aおよび10bを備えるMTF測定装置10を備える。MTF測定装置10は、光学系4の視野内の複数のフィールド点における変調伝達関数を検出するように構成される。光学系4の視野内の異なるフィールド点における変調伝達関数の測定は、個々のMTF測定装置10a、10bのオフアクシス配置によりすでに可能である。さらに、拡大されたテスト・パターンは、描写される十字の配置などのテスト・パターン12として使用される。これはまた、変調伝達関数が光学系4の視野内の複数の異なるフィールド点において検出されるという事実にもつながる。テスト・パターン12は、グラチクル14上に位置し、テスト・パターン12は例えば、グラチクル14の中にエッチングされる。グラチクル14は、ランプなどの光源16を用いて照射されてもよい。グラチクル14は、光学系4の画像平面B内に配置される。従って、参照符号24を用いて識別される距離は、光学系4の背面焦点距離である。MTF測定装置10は、複数のオフアクシスMTF測定を行うように構成される。
【0064】
装置2はまた、例えばオンアクシスに配置されるセンタリング測定装置18も備える。これは、センタリング測定装置18が、光学系4の所望のセンタリング軸に対応する軸A上に少なくともほぼ配置されることを意味する。例えば、より良い視覚化のために高度に誇張された、個々の光学系4の異なる中心調整した状態が描写されている。明らかに、それらの光学軸は、所望のセンタリング軸Aとまだ一致していない。センタリング測定装置18は、光学系4の中心調整した状態を測定するためのものである。
【0065】
装置2の助けを借りて、光学系4の結像品質を特徴付けるための変調伝達関数と光学系4の中心調整した状態とを有利に識別することができる。光学系4の結像品質は、2つの測定方法および例えば好ましくは同時にまたは連続して検出される測定量によって特徴付けられてもよい。このために、図1に示されるような装置2は、光学系4の大量のテストに特に適している。
【0066】
しばしばそのような大量のテストを受ける光学系4は、例えばカメラ・モジュールであり、それに対応して、光学系4は、例えばカメラ・モジュールである。
【0067】
2つのMTF測定装置10a、10bおよびセンタリング測定装置18は、例えば、図1に図示されない共通のドーム上に配置される。この配置により、特に、小型の装置2が提供される。
【0068】
図1は、グラチクル14が、光学系4の画像平面B内に配置された光学系4の結像品質を検出する装置2を示す。テスト・パターン12は、このグラチクル14上に存在する。テスト・パターン12は、例として描写される十字から成る。さらに、グラチクル14は、ピンホール開口30を備える。グラチクル14は、光源16により照射されるので、ピンホール開口30は画像平面B内に点光源を形成する。光学系4は、点光源を例えば無限遠に結像し、その場合生じる波面は、シャック-ハルトマン型センサなどの波面センサ32によって検出される。波面センサは、ピンホール開口30によって画像平面B内に形成される点光源の光学系4による結像の波面を検出するのに役立つ。
【0069】
あるいは、特にセンタリング測定装置18は、画像センサ(図示せず)を含み、光学系4は、テスト・パターン12をこの画像センサ上に直接結像する。これに関連して、例えば、装置2は、光学系4をセンタリング軸Aの周りで回転させるように構成されるさらなる回転可能なシートを備える。
【0070】
さらに、別の例となる実施形態によると、画像センサおよび/またはグラチクル14は、光学系4の光学軸Aに沿って移動可能に設置される。この目的のために、適切な可動ホルダが提供される。
【0071】
図1に示される光学系4の結像品質を検出する装置2は、透過光において機能する。同様に、センタリング測定装置18は、反射において機能するように構成される。光学系4の中心調整した状態を特徴付けるために、例えば、光学系4の光学面の曲率中心が測定される。例えば、レンズ6の、センタリング測定装置18に面している側の曲率中心が決定される。センタリング軸Aからのこの曲率中心のずれは、光学系4の中心調整した状態についての値を示す。
【0072】
そのような装置2を用いると、例えば全センタリング測定装置18は、センタリング軸Aの周りで回転可能である。このため、センタリング測定装置18は、回転可能なシート内に設置される。同様に、そのようなセンタリング測定装置18は、オートコリメータ20を備え、このオートコリメータ20は、回転可能に設計される。オートコリメータ20は、例えば全体としてセンタリング軸Aの周りに回転可能である。さらに、オートコリメータ20は、焦点調節光学系22を備え、この焦点調節光学系22またはその各部は、所望のセンタリング軸A周りに回転可能である。
【0073】
図2は、例えばレンズ6を備える光学系4の結像品質を検出する別のそのような装置2を示す。光学系4は、画像センサ26を備え、例えば、光学系4は、カメラ・モジュールである。画像センサ26は、光学系4の画像平面B内に配置される。装置2はさらに、画像センサ26を読み出すように構成される、コンピュータなどの処理ユニット28を備える。例えば2つのMTF測定装置10aおよび10bから成るMTF測定装置10は、少なくとも1つのグラチクル14を備える。MTF測定装置10aは、グラチクル14aを備え、MTF測定装置10bは、別のグラチクル14bを備え、その上にテスト・パターン12がそれぞれ存在する。グラチクル14a、14b上のテスト・パターン12は、それぞれ適切な光源16a、16bによって照射され、レンズ6によって光学系4の画像センサ26上に結像される。処理ユニット28は、画像センサ26によって検出されるグラチクル14a、14bからの画像の画像データからレンズ6の視野内の異なるフィールド点におけるレンズ6の変調伝達関数を計算するように構成される。
【0074】
さらに、図2に示されるビーム経路内において、オートコリメータ20と光学系4との間には、ドーブ・プリズムなどの反転反射プリズムが配置される。このプリズムは、例えばセンタリング軸Aの周りに回転することができる。また、例えば、オートコリメータ20は、光学系4の複数の光学面の複数の曲率中心を同時に決定するように構成される。これは、複数のレンズ6などの複数の光学素子から作られる光学系4にとって関係する。そのような装置2では、例えば、複数のオートコリメータが、隣同士に配置され、その場合それらのビーム経路は、対応するビーム分割器によって互いと結合される。
【0075】
前述の例となる実施形態の1つまたは複数による装置2はその上、光学系4の結像品質を検出する方法において使用される。そのような方法を用いると、光学系4のセンタリング状態は、センタリング測定装置18により決定される。次いで、光学系4のセンタリング状態についてのデータに基づいて、光学系4は、中心調整される。例えば、光学系4のレンズ6などの少なくとも1つの光学素子の少なくとも1つの光学面の曲率中心の位置についてのデータが、決定される。センタリング軸Aからの曲率中心のずれに基づいて、光学系4の中心調整した状態が推測される。次いで、MTF測定装置10により、光学系4の視野内の複数のフィールド点において光学系4の変調伝達関数が実行される。
【0076】
図3aおよび図3bは、例えばそのような方法の2つの個々の方法ステップを示す。光学系4は、例えば第1の光学素子36および第2の光学素子40を備える。光学素子36、40は、例えば第1のレンズ6aおよび第2のレンズ6bである。第1の光学素子36は、第1の光学面34を備え、第2の光学素子40は、第2の光学面42を備える。例えば、2つのレンズ6a、6bの互いに対するセンタリングは、描写される図を参照して説明されることになる。
【0077】
第1のステップにおいて、第1の光学素子36の第1のセンタリング状態が、センタリング測定装置18により検出される。これは、例えば第1の光学面34の第1の曲率中心の位置によって特徴付けられる。第1の光学素子36の光学軸38の位置は、例えばこの曲率中心の位置から推測することができる。センタリング軸Aからの光学軸38のずれなどの、このデータに基づいて、第1の光学素子36のセンタリングが、二重矢印を用いて図3aに示されるように行われる。したがって、センタリング軸Aに関するセンタリングが実行される。
【0078】
次いで、センタリング測定装置18により、第2の光学素子40の第2のセンタリング状態が確認される。この場合もやはり、第2の光学素子40の中心調整した状態は、例えば第2の光学面42の曲率中心の位置に基づいて推測することができる。センタリング軸Aからのこの第2の曲率中心のずれを参照して、第1および第2の光学素子36、40が、図3bに示される二重矢印によって互いに対して中心調整される。
【0079】
別の例となる実施形態によると、光学系4の画像平面Bの傾きが、光学系4の複数のフィールド点においてMTF測定装置10によって確認された変調伝達関数のデータに基づいて推測される。光学系4の画像平面Bの傾きについてのデータに基づいて、光学系4のレンズ6a、6bなどの光学系4の光学素子は、画像平面Bが、センタリング軸Aに少なくとも近似的に垂直に向きを合わせられるように位置合わせされる。次いで、例えば、少なくとも1つの光学素子の少なくとも1つの中心調整した状態が、再びセンタリング測定装置18によって測定され、光学系4は、このデータに基づいて中心調整される。
【0080】
別の例となる実施形態によると、光学系4の変調伝達関数は、第1のステップにおけるセンタリング・プロセスの後にMTF測定装置10によって決定される。次いで第2のステップにおいて、レンズ6a、6bの位置などの光学素子の位置が、わずかに、特に確率的に変化する。次いで光学系4の変調伝達関数が、MTF測定装置10によって再び決定される。第1のステップおよび第2のステップは、変調伝達関数が、極大値を呈するまで反復して繰り返されるので、光学系4の光学的結像性能が最適化される。
【0081】
他の特徴と組み合わせて開示される、図面だけから取られる特徴および個々の特徴を含む、すべての名付けられた特徴は、単独でかつ組み合わせて本発明にとって不可欠であると考えられる。本発明による実施形態は、個々の特徴またはいくつかの特徴の組み合わせを通じてかなえられてもよい。本発明の文脈において、「特に」または「好ましくは」を用いて指定される特徴は、オプションの特徴と理解されるべきである。
【符号の説明】
【0082】
2 装置
4 光学系
6 レンズ
8 キャリア
10、10a、10b MTF測定装置
12 テスト・パターン
14、14a、14b グラチクル
16、16a、16b 光源
18 センタリング測定装置
20 オートコリメータ
22 焦点調節光学系
24 画像距離
26 画像センサ
28 処理ユニット
30 ピンホール開口
32 波面センサ
34 第1の光学面
36 第1の光学素子
38 第1の光学軸
40 第2の光学素子
42 第2の光学面
A センタリング軸
B 画像平面
図1
図2
図3a
図3b