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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1339 20060101AFI20221018BHJP
   B32B 3/14 20060101ALI20221018BHJP
   B32B 37/06 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
G02F1/1339 500
B32B3/14
B32B37/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018118731
(22)【出願日】2018-06-22
(65)【公開番号】P2019008291
(43)【公開日】2019-01-17
【審査請求日】2021-03-22
(31)【優先権主張番号】P 2017124132
(32)【優先日】2017-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 沙織
(72)【発明者】
【氏名】山田 恭幸
【審査官】岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-306413(JP,A)
【文献】特開2009-277652(JP,A)
【文献】特開2008-076782(JP,A)
【文献】特開平05-061051(JP,A)
【文献】特開2014-143188(JP,A)
【文献】特開2004-342553(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0171799(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106054468(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1339
B32B 3/14
B32B 5/16
H01H 37/46
H01H 37/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体、第1のスペーサ及び第2のスペーサを含むスペーサ組成物と、第1の部材とを用いる積層体の製造方法であって、
前記第1の部材上に、前記スペーサ組成物を配置し、スペーサ組成物層を形成する第1の配置工程と、
前記第1の部材上で前記第2のスペーサにおける高さの変化率の、前記第1の部材上で前記第1のスペーサにおける高さの変化率に対する比が2以上になるように、前記第1のスペーサ及び前記第2のスペーサを変形させて、積層体を得る処理工程とを備え
前記媒体が、溶媒を含み、
前記処理工程が、前記溶媒を除去する溶媒除去工程である、積層体の製造方法。
【請求項2】
前記処理工程が、加熱により前記溶媒を除去する溶媒除去工程である、請求項1に記載の積層体の製造方法。
【請求項3】
前記第2のスペーサの材料が、樹脂材料又は有機無機ハイブリッド材料である、請求項1又は2に記載の積層体の製造方法。
【請求項4】
前記第2のスペーサの形状が、球状又は柱状である、請求項1~のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
【請求項5】
前記スペーサ組成物層上に、第2の部材を配置する第2の配置工程を備える、請求項1~のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
【請求項6】
フレキシブルパネルの用途に用いられる積層体を得る、請求項1~のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペーサを含むスペーサ組成物に関する。また、本発明は、上記スペーサ組成物を用いる積層体の製造方法に関する。また、本発明は、上記スペーサ組成物を用いた接続構造体及び表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な電子デバイスにおいて、電極間を電気的に接続する材料や、部材間の間隔(ギャップ)を制御するスペーサとして、樹脂粒子が用いられている。
【0003】
電極間を電気的に接続する材料として、異方性導電ペースト及び異方性導電フィルム等の異方性導電材料が広く知られている。上記異方性導電材料では、バインダー中に導電性粒子が分散されている。また、上記導電性粒子として、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面上に配置された導電部とを有する導電性粒子が用いられることがある。
【0004】
上記異方性導電材料は、フレキシブルプリント基板(FPC)、ガラス基板、ガラスエポキシ基板及び半導体チップ等の様々な接続対象部材の電極間を電気的に接続し、異方性導電接続構造体を得るために用いられている。
【0005】
また、液晶表示素子は、2枚のガラス基板間に液晶が配置されて構成されている。該液晶表示素子では、2枚のガラス基板の間隔(ギャップ)を均一かつ一定に保つために、ギャップ制御材としてスペーサが用いられている。該スペーサとして、樹脂粒子が一般に用いられている。
【0006】
上記導電性粒子の一例として、下記の特許文献1には、基材粒子の表面にニッケル層が形成されている導電性粒子が開示されている。上記ニッケル層のニッケル含有率は96重量%以上である。上記導電性粒子の水に対する表面接触角は90°以上である。上記導電性粒子の体積抵抗率は0.0030Ω・cm以下である。
【0007】
また、上記スペーサに用いられる樹脂粒子の一例として、下記の特許文献2には、樹脂で構成されている樹脂粒子が開示されている。上記樹脂の室温における初期の30%圧縮時のヒステリシスロスは35%以下である。上記樹脂の動的粘弾性測定によって得られる-20℃から100℃への測定温度変化による複素粘度の変化比率(-20℃での複素粘度値/100℃での複素粘度値)は10以下である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2010-103080号公報
【文献】特開2015-101602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
例えば、近年、種々の電子デバイスの開発が進行しており、上記のような異方性導電接続構造体及び液晶表示素子以外にも、様々な分野において、樹脂粒子の使用が検討されている。
【0010】
例えば、曲面パネルや、自由に折り曲げることができるフレキシブルパネル等において、樹脂粒子を用いることが考えられる。曲面パネル及びフレキシブルパネルでは、柔軟性が要求される。このため、曲面パネル及びフレキシブルパネル等において、フレキシブル部材として、従来のガラス基板の代わりに、ポリイミド基板等のプラスチック基板を用いることが検討されている。
【0011】
曲面パネル及びフレキシブルパネル等では、2つの部材の表面に位置する電極間を電気的に接続している接続部が、導電性粒子を含む組成物により形成されたり、2つの部材を接着している接着層がスペーサを含む組成物により形成されたりしている。上記接続部及び上記接着層において、電極(部材)上及び部材上での接続部及び接着層の高さを高精度に制御することが必要である。一方で、柔軟性が高いフレキシブル部材上において、接続部及び接着層の高さを高精度に制御することは困難である。
【0012】
本発明者らは、電極上及び部材上の接続部及び接着層の高さを高精度に制御するという課題に対して、スペーサ粒子を含むスペーサ組成物の新たな構成を見出した。
【0013】
本発明の目的は、部材上にて、スペーサ組成物により形成されるスペーサ部分の高さを高精度に制御することができるスペーサ組成物を提供することである。また、本発明の目的は、上記スペーサ組成物を用いる積層体の製造方法を提供することである。さらに、本発明の目的は、上記スペーサ組成物を用いた接続構造体及び表示素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の広い局面によれば、媒体、第1のスペーサ及び第2のスペーサを含むスペーサ組成物と、第1の部材とを用いる積層体の製造方法であって、前記第1の部材上に、前記スペーサ組成物を配置し、スペーサ組成物層を形成する第1の配置工程と、前記第1の部材上で前記第2のスペーサにおける高さの変化率の、前記第1の部材上で前記第1のスペーサにおける高さの変化率に対する比が2以上になるように、前記第1のスペーサ及び前記第2のスペーサを変形させて、積層体を得る処理工程とを備える、積層体の製造方法が提供される。
【0015】
本発明に係る積層体の製造方法のある特定の局面では、前記処理工程が、加熱工程である。
【0016】
本発明に係る積層体の製造方法のある特定の局面では、前記媒体が、溶媒を含み、前記処理工程が、前記溶媒を除去する溶媒除去工程である。
【0017】
本発明に係る積層体の製造方法のある特定の局面では、前記第2のスペーサの材料が、樹脂材料又は有機無機ハイブリッド材料である。
【0018】
本発明に係る積層体の製造方法のある特定の局面では、前記第2のスペーサの形状が、球状又は柱状である。
【0019】
本発明に係る積層体の製造方法のある特定の局面では、前記スペーサ組成物層上に、第2の部材を配置する第2の配置工程を備える。
【0020】
本発明に係る積層体の製造方法のある特定の局面では、フレキシブルパネルの用途に用いられる積層体を得ることが好ましい。
【0021】
本発明の広い局面によれば、媒体と、第1のスペーサと、第2のスペーサとを含むスペーサ組成物であり、少なくとも1つの加熱条件で前記スペーサ組成物を加熱したときに、加熱前後の前記第2のスペーサにおける高さの変化率の、加熱前後の前記第1のスペーサにおける高さの変化率に対する比が、2以上になるように、前記第1のスペーサ及び前記第2のスペーサが変形可能である性質を有する、スペーサ組成物が提供される。
【0022】
本発明の広い局面によれば、媒体と、第1のスペーサと、第2のスペーサとを含むスペーサ組成物であり、前記媒体が、溶媒を含み、前記スペーサ組成物の前記溶媒を除去したときに、溶媒除去前後の前記第2のスペーサにおける高さの変化率の、溶媒除去前後の前記第1のスペーサにおける高さの変化率に対する比が、2以上になるように、前記第1のスペーサ及び前記第2のスペーサが変形可能である性質を有する、スペーサ組成物が提供される。
【0023】
本発明の広い局面によれば、接続対象部材である第1の部材と、接続対象部材である第2の部材と、前記第1の部材と前記第2の部材との間に配置された接続部とを備え、前記接続部が、スペーサ組成物層を含み、前記スペーサ組成物層の材料が、上述したスペーサ組成物であり、前記第1の部材が第1の電極を表面に有し、前記第2の部材が第2の電極を表面に有し、前記第1の電極と前記第2の電極とが、前記接続部を介して対向しており、少なくとも1つの加熱条件で加熱したときに、前記第1の電極及び前記第2の電極が電気的に接続している状態と、前記第1の電極及び前記第2の電極が電気的に接続していない状態との状態変化が可能である性質を有する、接続構造体が提供される。
【0024】
本発明の広い局面によれば、表示素子用部材である第1の部材と、表示素子用部材である第2の部材と、前記第1の部材と前記第2の部材との間に配置された表示部とを備え、前記表示部が、スペーサ組成物層を含み、前記スペーサ組成物層の材料が、上述したスペーサ組成物である、表示素子が提供される。
【0025】
本発明に係る表示素子のある特定の局面では、前記第1の部材又は前記第2の部材が、樹脂フィルムである。
【0026】
本発明に係る表示素子のある特定の局面では、前記表示素子が、液晶表示素子である。
【0027】
本発明に係る表示素子のある特定の局面では、前記表示素子が、フレキシブルパネルである。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る積層体の製造方法は、媒体、第1のスペーサ及び第2のスペーサを含むスペーサ組成物と、第1の部材とを用いる積層体の製造方法である。本発明に係る積層体の製造方法は、上記第1の部材上に、上記スペーサ組成物を配置し、スペーサ組成物層を形成する第1の配置工程を備える。本発明に係る積層体の製造方法は、上記第1の部材上で上記第2のスペーサにおける高さの変化率の、上記第1の部材上で上記第1のスペーサにおける高さの変化率に対する比が2以上になるように、上記第1のスペーサ及び上記第2のスペーサを変形させて、積層体を得る処理工程を備える。本発明に係る積層体の製造方法では、上記の構成が備えられているので、部材上にて、スペーサ組成物により形成されるスペーサ部分の高さを高精度に制御することができる。
【0029】
本発明に係るスペーサ組成物は、媒体と、第1のスペーサと、第2のスペーサとを含むスペーサ組成物である。本発明に係るスペーサ組成物は、少なくとも1つの加熱条件で上記スペーサ組成物を加熱したときに、加熱前後の上記第2のスペーサにおける高さの変化率の、加熱前後の上記第1のスペーサにおける高さの変化率に対する比が、2以上になるように、上記第1のスペーサ及び上記第2のスペーサが変形可能である性質を有する。本発明に係るスペーサ組成物では、上記の構成が備えられているので、部材上にて、スペーサ組成物により形成されるスペーサ部分の高さを高精度に制御することができる。
【0030】
本発明に係るスペーサ組成物は、媒体と、第1のスペーサと、第2のスペーサとを含むスペーサ組成物である。本発明に係るスペーサ組成物では、上記媒体が、溶媒を含む。本発明に係るスペーサ組成物は、上記スペーサ組成物の上記溶媒を除去したときに、溶媒除去前後の上記第2のスペーサにおける高さの変化率の、溶媒除去前後の上記第1のスペーサにおける高さの変化率に対する比が2以上になるように、上記第1のスペーサ及び上記第2のスペーサが変形可能である性質を有する。本発明に係るスペーサ組成物では、上記の構成が備えられているので、部材上にて、スペーサ組成物により形成されるスペーサ部分の高さを高精度に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、本発明に係る積層体の製造方法により得られる積層体の一例を示す断面図である。
図2図2(a)~(c)は、本発明に係る積層体の製造方法の各工程の一例を説明するための断面図である。
図3図3(a),(b)は、本発明に係るスペーサ組成物を用いた接続構造体の一例を示す断面図である。
図4図4(a)~(c)は、本発明に係るスペーサ組成物を用いて、表示素子のシール部を形成する方法の一例を説明するための断面図である。
図5図5は、本発明に係るスペーサ組成物を用いた表示素子の一例を示す断面図である。
図6図6は、本発明に係るスペーサ組成物を用いた表示素子の他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0033】
本発明に係る積層体の製造方法は、媒体、第1のスペーサ及び第2のスペーサを含むスペーサ組成物と、第1の部材とを用いる。本発明に係る積層体の製造方法は、上記第1の部材上に、上記スペーサ組成物を配置し、スペーサ組成物層を形成する第1の配置工程を備える。本発明に係る積層体の製造方法は、上記第1の部材上で上記第2のスペーサにおける高さの変化率の、上記第1の部材上で上記第1のスペーサにおける高さの変化率に対する比が2以上になるように、上記第1のスペーサ及び上記第2のスペーサを変形させて、積層体を得る処理工程を備える。
【0034】
本発明に係る積層体の製造方法では、上記の構成が備えられているので、部材上にて、スペーサ組成物により形成されるスペーサ部分の高さを高精度に制御することができる。このため、スペーサ組成物により形成される接続部又は接着部の厚みも高精度に制御することができる。
【0035】
また、本発明に係るスペーサ組成物は、媒体と、第1のスペーサと、第2のスペーサとを含むスペーサ組成物である。
【0036】
本発明に係るスペーサ組成物は、少なくとも1つの加熱条件で上記スペーサ組成物を加熱したときに、加熱前後の上記第2のスペーサにおける高さの変化率の、加熱前後の上記第1のスペーサにおける高さの変化率に対する比が、2以上になるように、上記第1のスペーサ及び上記第2のスペーサが変形可能である性質を有する。本発明に係るスペーサ組成物では、上記媒体が、溶媒を含む。本発明に係るスペーサ組成物は、上記スペーサ組成物の上記溶媒を除去したときに、溶媒除去前後の上記第2のスペーサにおける高さの変化率の、溶媒除去前後の上記第1のスペーサにおける高さの変化率に対する比が、2以上になるように、上記第1のスペーサ及び上記第2のスペーサが変形可能である性質を有する。
【0037】
本発明に係るスペーサ組成物では、上記の構成が備えられているので、部材上にて、スペーサ組成物により形成されるスペーサ部分の高さを高精度に制御することができる。このため、スペーサ組成物により形成される接続部又は接着部の厚みも高精度に制御することができる。
【0038】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。なお、以下の図面において、大きさ、厚み、及び形状等は、図示の便宜上、実際の大きさ、厚み、及び形状等と異なる場合がある。
【0039】
図1は、本発明に係る積層体の製造方法により得られる積層体の一例を示す断面図である。
【0040】
図1に示すように、本発明に係る積層体の製造方法により得られる積層体1は、第1の部材2と、スペーサ組成物層3とを備える。
【0041】
第1の部材2は、一方の表面(第1の表面)2aと、他方の表面(第2の表面)2bとを有する。スペーサ組成物層3は、一方の表面(第1の表面)3aと、他方の表面(第2の表面)3bとを有する。
【0042】
積層体1では、第1の部材2の一方の表面(第1の表面)2a側に、スペーサ組成物層3が配置されている。スペーサ組成物層3の他方の表面(第2の表面)3b側に、第1の部材2が配置されている。上記スペーサ組成物層は、上記第1の部材の一方の表面(第1の表面)の全体に配置されていてもよく、上記第1の部材の一方の表面(第1の表面)の一部に配置されていてもよい。
【0043】
スペーサ組成物層3は、第1のスペーサ11と、第2のスペーサ12と、媒体13とを含む。スペーサ組成物層3の厚みは、第1のスペーサ11の高さ及び第2のスペーサ12の高さにより制御されている。
【0044】
第1の部材2は、一方の表面(第1の表面)2a側に、複数の電極を有していてもよい。第1のスペーサ11は、導電性粒子であってもよく、ギャップ制御用スペーサであってもよい。積層体1は、スペーサ組成物層3の一方の表面(第1の表面)3a側に、第2の部材が配置されていてもよい。
【0045】
次に、本発明に係る積層体の製造方法の一例を説明する。図2(a)~(c)は、本発明に係る積層体の製造方法の各工程の一例を説明するための断面図である。
【0046】
まず、図2(a)に示すように、第1の部材2を用意する。第1の部材2は、電子部品用部材であることが好ましい。第1の部材2は、接続対象部材であってもよく、表示素子用部材であってもよい。第1の部材2が接続対象部材である場合には、第1の部材2は、一方の表面(第1の表面)2a側に、複数の電極を有していてもよい。
【0047】
図2(b)に示すように、第1の部材2の一方の表面(第1の表面)2a側に、第1のスペーサ11と、第2のスペーサ12と、媒体13とを含むスペーサ組成物を配置し、スペーサ組成物層3を形成する(第1の配置工程)。
【0048】
上記第1の配置工程では、スペーサ組成物層3の厚みは、第2のスペーサ12の高さにより制御されている。上記第1の配置工程における上記スペーサ組成物層の厚みは、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上であり、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下である。上記第1の配置工程における上記スペーサ組成物層の厚みが、上記下限以上及び上記上限以下であると、スペーサ組成物層をより一層精度良く形成することができ、部材上にてスペーサ組成物により形成されるスペーサ部分の高さをより一層高精度に制御することができる。
【0049】
本実施形態では、第1のスペーサ11及び第2のスペーサ12の形状は、球状である。上記第1のスペーサ及び上記第2のスペーサの形状は、球状であってもよく、柱状であってもよい。上記第1のスペーサの形状と上記第2のスペーサの形状とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。上記第1のスペーサの高さと上記第2のスペーサの高さとは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0050】
スペーサ組成物層をより一層精度良く形成する観点、及び部材上にてスペーサ組成物により形成されるスペーサ部分の高さをより一層高精度に制御する観点からは、上記第1のスペーサ及び上記第2のスペーサの材料は、樹脂材料又は有機無機ハイブリッド材料であることが好ましい。
【0051】
スペーサ組成物層3を形成する方法としては、インクジェット方式によって上記スペーサ組成物を配置する方法、スクリーン印刷によって上記スペーサ組成物を配置する方法、及びディスペンサーによって上記スペーサ組成物を配置する方法等が挙げられる。スペーサ組成物層3を効率的かつより一層精度良く形成する観点からは、スペーサ組成物層3を形成する方法は、ディスペンサーによって上記スペーサ組成物を配置する方法であることが好ましい。
【0052】
次に、図2(c)に示すように、第1の部材2上で第2のスペーサ12における高さの変化率(第2の変化率)の、第1の部材2上で第1のスペーサ11における高さの変化率(第1の変化率)に対する比が2以上になるように、第1のスペーサ11及び第2のスペーサ12を変形させる(処理工程)。このようにして、本発明に係る積層体1を得ることができる。スペーサ組成物層をより一層精度良く形成する観点、及び部材上にてスペーサ組成物により形成されるスペーサ部分の高さをより一層高精度に制御する観点からは、上記処理工程後における上記スペーサ組成物層の厚みは、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。
【0053】
上記積層体は、上記スペーサ組成物層の上記第1の部材側とは反対の表面上に、第2の部材が配置されていてもよい。上記積層体は、上記処理工程の後に、上記スペーサ組成物層上に、第2の部材を配置する第2の配置工程を備えていてもよい。上記積層体は、フレキシブルパネルの用途に用いられることが好ましい。フレキシブルパネルである上記積層体は、湾曲された状態で用いられてもよい。
【0054】
上記第1の部材上での上記第1のスペーサにおける高さの変化率(第1の変化率)[(上記処理工程前後の上記第1のスペーサにおける高さの変化量/上記処理工程前の上記第1のスペーサにおける高さ)×100]は、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。上記第1の変化率が、上記上限以下であると、スペーサ組成物層をより一層精度良く形成することができ、部材上にてスペーサ組成物により形成されるスペーサ部分の高さをより一層高精度に制御することができる。上記第1の変化率の下限は特に限定されない。上記第1の変化率は、0%であってもよい。
【0055】
上記第1の部材上での上記第2のスペーサにおける高さの変化率(第2の変化率)[(上記処理工程前後の上記第2のスペーサにおける高さの変化量/上記処理工程前の上記第2のスペーサにおける高さ)×100]は、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上であり、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下である。上記第2の変化率が、上記下限以上及び上記上限以下であると、スペーサ組成物層をより一層精度良く形成することができ、部材上にてスペーサ組成物により形成されるスペーサ部分の高さをより一層高精度に制御することができる。
【0056】
本発明に係る積層体の製造方法では、上記第1の部材上で上記第2のスペーサにおける高さの変化率(第2の変化率)の、上記第1の部材上で上記第1のスペーサにおける高さの変化率(第1の変化率)に対する比が2以上になるように、上記第1のスペーサ及び上記第2のスペーサを変形させて、積層体を得る処理工程とを備える。スペーサ組成物層をより一層精度良く形成する観点、及び部材上にてスペーサ組成物により形成されるスペーサ部分の高さをより一層高精度に制御する観点からは、上記処理工程では、上記第2の変化率の、上記第1の変化率に対する比が3以上になるように、上記第1のスペーサ及び上記第2のスペーサを変形させることが好ましい。
【0057】
上記処理工程は特に限定されない。上記処理工程は、上記第1のスペーサ及び上記第2のスペーサが上述した関係を満足できる処理工程であればよい。スペーサ組成物層をより一層精度良く形成する観点、及び部材上にてスペーサ組成物により形成されるスペーサ部分の高さをより一層高精度に制御する観点からは、上記処理工程は、加熱工程であることが好ましい。上記加熱工程において、加熱工程の加熱温度は、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上であり、好ましくは200℃以下、より好ましくは150℃以下である。上記加熱工程において、加熱工程の加熱時間は、好ましくは1分間以上、より好ましくは3分間以上であり、好ましくは150分間以下、より好ましくは120分間以下である。
【0058】
上記媒体は、溶媒を含んでいてもよく、溶媒を含んでいなくてもよい。上記媒体が溶媒を含んでいる場合には、上記処理工程は、上記溶媒を除去する溶媒除去工程であることが好ましい。
【0059】
上記溶媒としては、水及び有機溶剤等が挙げられる。溶媒の除去性をより一層高める観点からは、上記溶媒は、有機溶剤であることが好ましい。上記有機溶剤としては、エタノール等のアルコール化合物;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン化合物;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素化合物;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル化合物;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、炭酸プロピレン等のエステル化合物;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素化合物;並びに石油エーテル、ナフサ等の石油系溶剤等が挙げられる。
【0060】
上記溶媒除去工程は、上記溶媒を除去することができる工程であれば特に限定されない。上記溶媒除去工程では、例えば、上記溶媒を除去するために加熱処理及び減圧処理等を実施してもよい。
【0061】
以下、スペーサ組成物の詳細を説明する。
【0062】
(スペーサ組成物)
上記スペーサ組成物は、媒体と、第1のスペーサと、第2のスペーサとを含む。上記スペーサ組成物は、上述した積層体の製造方法に用いられる。上記スペーサ組成物は、上述した積層体を得るために用いられる。
【0063】
上記スペーサ組成物において、少なくとも1つの加熱条件で上記スペーサ組成物を加熱したときに、加熱前後の上記第1のスペーサにおける高さの変化率を第1の変化率(a)とし、加熱前後の上記第2のスペーサにおける高さの変化率を第2の変化率(a)とする。
【0064】
上記スペーサ組成物は、少なくとも1つの加熱条件で上記スペーサ組成物を加熱したときに、上記第2の変化率(a)の、上記第1の変化率(a)に対する比が、2以上になるように、上記第1のスペーサ及び上記第2のスペーサが変形可能である性質を有する。
【0065】
部材上にてスペーサ組成物により形成されるスペーサ部分の高さをより一層高精度に制御する観点からは、上記第1の変化率(a)[(加熱前後の上記第1のスペーサにおける高さの変化量/加熱前の上記第1のスペーサにおける高さ)×100]は、好ましくは1.3%以下、より好ましくは1%以下である。上記第1の変化率(a)の下限は特に限定されない。上記第1の変化率(a)は、0%であってもよい。
【0066】
部材上にてスペーサ組成物により形成されるスペーサ部分の高さをより一層高精度に制御する観点からは、上記第2の変化率(a)[(加熱前後の上記第2のスペーサにおける高さの変化量/加熱前の上記第2のスペーサにおける高さ)×100]は、好ましくは1.4%以上、より好ましくは2%以上である。上記第2の変化率(a)の上限は特に限定されない。上記第2の変化率(a)は、10%であってもよい。
【0067】
部材上にてスペーサ組成物により形成されるスペーサ部分の高さをより一層高精度に制御する観点からは、上記スペーサ組成物は、上記第2の変化率(a)の、上記第1の変化率(a)に対する比が3以上になるように、上記第1のスペーサ及び上記第2のスペーサが変形可能である性質を有することが好ましい。
【0068】
部材上にてスペーサ組成物により形成されるスペーサ部分の高さをより一層高精度に制御する観点からは、上記加熱条件における加熱温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上であり、好ましくは200℃以下、より好ましくは150℃以下である。部材上にてスペーサ組成物により形成されるスペーサ部分の高さをより一層高精度に制御する観点からは、上記加熱条件における加熱時間は、好ましくは1分間以上、より好ましくは3分間以上であり、好ましくは200分間以下、より好ましくは120分間以下である。
【0069】
上記スペーサ組成物に含まれる上記媒体は、溶媒を含んでいてもよく、溶媒を含んでいなくてもよい。上記溶媒としては、上述した溶媒が挙げられる。
【0070】
上記媒体が溶媒を含んでいる場合には、上記スペーサ組成物の上記溶媒を除去したときに、溶媒除去前後の上記第2のスペーサにおける高さの変化率(第2の変化率(b))の、溶媒除去前後の上記第1のスペーサにおける高さの変化率(第1の変化率(b))に対する比が、2以上である。
【0071】
部材上にてスペーサ組成物により形成されるスペーサ部分の高さをより一層高精度に制御する観点からは、上記第1の変化率(b)[(溶媒除去前後の上記第1のスペーサにおける高さの変化量/溶媒除去前の上記第1のスペーサにおける高さ)×100]は、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。上記第1の変化率(b)の下限は特に限定されない。上記第1の変化率(b)は、0%であってもよい。
【0072】
上記第2の変化率(b)[(溶媒除去前後の上記第2のスペーサにおける高さの変化量/溶媒除去前の上記第2のスペーサにおける高さ)×100]は、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上であり、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下である。上記第2の変化率(b)が、上記下限以上及び上記上限以下であると、部材上にてスペーサ組成物により形成されるスペーサ部分の高さをより一層高精度に制御することができる。
【0073】
部材上にてスペーサ組成物により形成されるスペーサ部分の高さをより一層高精度に制御する観点からは、上記第2の変化率(b)の、上記第1の変化率(b)に対する比は、好ましくは3以上である。上記比(上記第2の変化率(b)の、上記第1の変化率(b)に対する比)の上限は特に限定されない。上記比は100以下であってもよい。
【0074】
部材上にてスペーサ組成物により形成されるスペーサ部分の高さをより一層高精度に制御する観点からは、スペーサ組成物100重量%中、上記第1のスペーサの含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上であり、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下である。
【0075】
部材上にてスペーサ組成物により形成されるスペーサ部分の高さをより一層高精度に制御する観点からは、スペーサ組成物100重量%中、上記第2のスペーサの含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上であり、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下である。
【0076】
部材上にてスペーサ組成物により形成されるスペーサ部分の高さをより一層高精度に制御する観点からは、スペーサ組成物100重量%中、上記第1のスペーサと上記第2のスペーサとの合計の含有量は、好ましくは0.2重量%以上、より好ましくは2重量%以上であり、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。
【0077】
部材上にてスペーサ組成物により形成されるスペーサ部分の高さをより一層高精度に制御する観点からは、スペーサ組成物100重量%中、上記媒体の含有量は、好ましくは40重量%以上、より好ましくは50重量%以上であり、好ましくは99重量%以下、より好ましくは90重量%以下である。
【0078】
部材上にてスペーサ組成物により形成されるスペーサ部分の高さをより一層高精度に制御する観点からは、スペーサ組成物100重量%中、上記溶媒の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上であり、好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。
【0079】
(第1のスペーサ)
上記第1のスペーサは特に限定されない。上記第1のスペーサは、電極間を電気的に接続するために用いられる導電性粒子であってもよく、2つの部材間の間隔(ギャップ)を高精度に制御するために用いられるギャップ制御用スペーサであってもよい。上記第1のスペーサは、表示素子用スペーサであってもよい。上記第1のスペーサは、表示素子用周辺シール剤に用いられてもよく、表示素子のシール部を形成するために用いられてもよい。
【0080】
上記第1のスペーサが導電性粒子である場合には、上記第1のスペーサは、基材粒子と、該基材粒子の表面上に配置された導電部とを備えることが好ましい。
【0081】
基材粒子:
上記基材粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。上記基材粒子は、金属粒子を除く基材粒子であることが好ましく、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることがより好ましい。上記基材粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを備えるコアシェル粒子であってもよい。
【0082】
上記基材粒子は、樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることがさらに好ましく、樹脂粒子であってもよく、有機無機ハイブリッド粒子であってもよい。これらの好ましい基材粒子の使用により、電極間の電気的な接続により一層適した導電性粒子が得られる。
【0083】
上記導電性粒子を用いて電極間を接続する際には、上記導電性粒子を電極間に配置した後、圧着することにより上記導電性粒子を圧縮させる。基材粒子が樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であると、上記圧着の際に上記導電性粒子が変形しやすく、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなる。このため、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
【0084】
上記樹脂粒子の材料として、種々の樹脂が好適に用いられる。上記樹脂粒子の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリアルキレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、及び、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させて得られる重合体等が挙げられる。
【0085】
導電材料に適した任意の圧縮時の物性を有する樹脂粒子を設計及び合成することができ、かつ基材粒子の硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、上記樹脂粒子の材料は、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
【0086】
上記樹脂粒子を、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を重合させて得る場合には、上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
【0087】
上記非架橋性の単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート化合物;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート化合物;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル化合物;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、クロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
【0088】
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。
【0089】
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子を得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、並びに非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
【0090】
上記基材粒子が金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合に、上記基材粒子の材料である無機物としては、シリカ、アルミナ、チタン酸バリウム、ジルコニア及びカーボンブラック等が挙げられる。上記無機物は金属ではないことが好ましい。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシリル基を2つ以上持つケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
【0091】
上記有機無機ハイブリッド粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを有するコアシェル型の有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。上記コアが有機コアであることが好ましい。上記シェルが無機シェルであることが好ましい。電極間の接続抵抗をより一層効果的に低くする観点からは、上記基材粒子は、有機コアと上記有機コアの表面上に配置された無機シェルとを有する有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。
【0092】
上記有機コアの材料としては、上述した樹脂粒子の材料等が挙げられる。
【0093】
上記無機シェルの材料としては、上述した基材粒子の材料として挙げた無機物が挙げられる。上記無機シェルの材料は、シリカであることが好ましい。上記無機シェルは、上記コアの表面上で、金属アルコキシドをゾルゲル法によりシェル状物とした後、該シェル状物を焼成させることにより形成されていることが好ましい。上記金属アルコキシドはシランアルコキシドであることが好ましい。上記無機シェルはシランアルコキシドにより形成されていることが好ましい。
【0094】
上記基材粒子が金属粒子である場合に、該金属粒子の材料である金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。但し、上記基材粒子は金属粒子ではないことが好ましい。
【0095】
上記基材粒子の粒子径は、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、さらに好ましくは2.5μmを超え、特に好ましくは3μm以上であり、好ましくは1000μm以下、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは40μm以下、特に好ましくは5μm以下である。上記基材粒子の粒子径が上記下限以上であると、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなるため、電極間の導通信頼性がより一層高くなり、導電性粒子を介して接続された電極間の接続抵抗をより一層効果的に低くすることができる。さらに基材粒子の表面に導電部を形成する際に凝集し難くなり、凝集した導電性粒子が形成され難くなる。上記基材粒子の粒子径が、上記上限以下であると、導電性粒子が十分に圧縮されやすく、導電性粒子を介して接続された電極間の接続抵抗をより一層効果的に低くすることができる。また、電極間の間隔が小さくなり、かつ導電部の厚みを厚くしても、小さい導電性粒子が得られる。
【0096】
上記基材粒子の粒子径は、基材粒子が真球状である場合には、直径を示し、基材粒子が真球状ではない場合には、最大径を示す。
【0097】
上記基材粒子の粒子径は、数平均粒子径を示す。上記基材粒子の粒子径は粒度分布測定装置等を用いて求められる。基材粒子の粒子径は、任意の基材粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求めることが好ましい。
【0098】
導電部:
上記導電部の材料である金属は特に限定されない。上記金属としては、例えば、金、銀、パラジウム、銅、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、タリウム、ゲルマニウム、カドミウム、ケイ素及びこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)及びはんだ等が挙げられる。電極間の接続抵抗がより一層低くなるので、錫を含む合金、ニッケル、パラジウム、銅又は金が好ましく、ニッケル又はパラジウムが好ましい。
【0099】
また、導通信頼性を効果的に高めることができるので、上記導電部及び上記導電部の外表面部分はニッケルを含むことが好ましい。ニッケルを含む導電部100重量%中のニッケルの含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは50重量%以上、より一層好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。上記ニッケルを含む導電部100重量%中のニッケルの含有量は、97重量%以上であってもよく、97.5重量%以上であってもよく、98重量%以上であってもよい。
【0100】
なお、導電部の表面には、酸化により水酸基が存在することが多い。一般的に、ニッケルにより形成された導電部の表面には、酸化により水酸基が存在する。このような水酸基を有する導電部の表面(導電性粒子の表面)に、化学結合を介して、絶縁性物質を配置することができる。
【0101】
上記導電部は、1つの層により形成されていてもよい。上記導電部は、複数の層により形成されていてもよい。すなわち、導電部は、2層以上の積層構造を有していてもよい。導電部が複数の層により形成されている場合には、最外層は、金層、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は錫と銀とを含む合金層であることが好ましく、金層であることがより好ましい。最外層がこれらの好ましい導電部である場合には、電極間の接続抵抗をより一層効果的に低くすることができる。また、最外層が金層である場合には、耐腐食性をより一層効果的に高めることができる。
【0102】
上記基材粒子の表面に上記導電部を形成する方法は特に限定されない。上記導電部を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的蒸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを基材粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。導電部の形成が簡便であるので、無電解めっきによる方法が好ましい。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。
【0103】
上記導電部の厚みは、好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.3μm以下である。上記導電部の厚みが、上記下限以上及び上記上限以下であると、十分な導電性が得られ、かつ導電性粒子が硬くなりすぎずに、電極間の接続の際に導電性粒子が十分に変形する。
【0104】
上記導電部が複数の層により形成されている場合に、最外層の導電部の厚みは、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.1μm以下である。上記最外層の導電部の厚みが、上記下限以上及び上記上限以下であると、最外層の導電部による被覆が均一になり、耐腐食性が十分に高くなり、かつ電極間の接続抵抗が十分に低くなる。
【0105】
上記導電部の厚みは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、導電性粒子の断面を観察することにより測定できる。
【0106】
上記第1のスペーサがギャップ制御用スペーサ又は表示素子用スペーサである場合には、上記第1のスペーサは、上述した基材粒子であることが好ましく、上述した樹脂粒子又は上述した有機無機ハイブリッド粒子であることがより好ましく、上述した樹脂粒子であることが特に好ましい。
【0107】
上記第1のスペーサは、球状又は柱状であることが好ましい。上記第1のスペーサは、球状であってもよく、柱状であってもよい。上記第1のスペーサは、球状粒子であってもよく、柱状粒子であってもよい。上記球状は、真球状に限定されず、略球状も含まれ、例えば、アスペクト比(長径/短径)が1.5以下である形状も含まれる。上記柱状としては、円柱状及び多角柱状等が挙げられる。
【0108】
上記第1のスペーサの高さ(加熱前の上記第1のスペーサにおける高さ及び溶媒除去前の上記第1のスペーサにおける高さ)は、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。上記第1のスペーサの高さ(加熱前の上記第1のスペーサにおける高さ及び溶媒除去前の上記第1のスペーサにおける高さ)が、上記下限以上及び上記上限以下であると、部材上にてスペーサ組成物により形成されるスペーサ部分の高さをより一層高精度に制御することができる。
【0109】
(第2のスペーサ)
部材上にてスペーサ組成物により形成されるスペーサ部分の高さをより一層高精度に制御する観点からは、上記第2のスペーサの材料は、樹脂材料又は有機無機ハイブリッド材料であることが好ましい。部材上にてスペーサ組成物により形成されるスペーサ部分の高さをより一層高精度に制御する観点からは、上記第2のスペーサは、樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。上記樹脂粒子は、上記樹脂材料により形成されていることが好ましく、上記有機無機ハイブリッド粒子は、上記有機無機ハイブリッド材料により形成されていることが好ましい。
【0110】
部材上にてスペーサ組成物により形成されるスペーサ部分の高さをより一層高精度に制御する観点からは、上記有機無機ハイブリッド粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを有するコアシェル型の有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。上記コアが有機コアであることが好ましい。上記シェルが無機シェルであることが好ましい。部材上にてスペーサ組成物により形成されるスペーサ部分の高さをより一層高精度に制御する観点からは、上記第2のスペーサは、有機コアと上記有機コアの表面上に配置された無機シェルとを有する有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。
【0111】
上記樹脂材料としては、上述した樹脂粒子の材料等が挙げられる。
【0112】
上記有機コアの材料としては、上述した樹脂粒子の材料等が挙げられる。
【0113】
上記無機シェルの材料としては、上述した基材粒子の材料として挙げた無機物が挙げられる。上記無機シェルの材料は、シリカであることが好ましい。上記無機シェルは、上記コアの表面上で、金属アルコキシドをゾルゲル法によりシェル状物とした後、該シェル状物を焼成させることにより形成されていることが好ましい。上記金属アルコキシドはシランアルコキシドであることが好ましい。上記無機シェルはシランアルコキシドにより形成されていることが好ましい。
【0114】
上記第2のスペーサは、球状又は柱状であることが好ましい。上記第2のスペーサは、球状であってもよく、柱状であってもよい。上記第2のスペーサは、球状粒子であってもよく、柱状粒子であってもよい。上記球状は、真球状に限定されず、略球状も含まれ、例えば、アスペクト比(長径/短径)が1.5以下である形状も含まれる。上記柱状としては、円柱状及び多角柱状等が挙げられる。
【0115】
上記第2のスペーサの高さ(加熱前の上記第2のスペーサにおける高さ及び溶媒除去前の上記第2のスペーサにおける高さ)は、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上であり、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下である。上記第2のスペーサの高さ(加熱前の上記第2のスペーサにおける高さ及び溶媒除去前の上記第2のスペーサにおける高さ)が、上記下限以上及び上記上限以下であると、部材上にてスペーサ組成物により形成されるスペーサ部分の高さをより一層高精度に制御することができる。
【0116】
(媒体)
上記媒体は特に限定されない。上記媒体は、溶媒を含んでいてもよい。上記媒体は、溶媒を含んでいなくてもよい。上記媒体は、溶媒以外のバインダー樹脂を含んでいてもよい。上記溶媒としては、上述した溶媒が挙げられる。
【0117】
上記第1のスペーサ及び上記第2のスペーサは、上記媒体中に分散されていることが好ましく、上記媒体中に分散されてスペーサ組成物として用いられることが好ましい。
【0118】
上記バインダー樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂として、公知の絶縁性の樹脂が用いられる。上記バインダー樹脂は、熱可塑性成分(熱可塑性化合物)又は硬化性成分を含むことが好ましく、硬化性成分を含むことがより好ましい。上記硬化性成分としては、光硬化性成分及び熱硬化性成分が挙げられる。上記光硬化性成分は、光硬化性化合物及び光重合開始剤を含むことが好ましい。上記熱硬化性成分は、熱硬化性化合物及び熱硬化剤を含むことが好ましい。
【0119】
上記バインダー樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0120】
上記ビニル樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記硬化性樹脂は、硬化剤と併用されてもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、例えば、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、例えば、スチレン-ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル-スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
【0121】
(接続構造体)
上記スペーサ組成物を用いて、接続対象部材を接続することにより、接続構造体を得ることができる。
【0122】
本発明に係る接続構造体は、接続対象部材である第1の部材と、接続対象部材である第2の部材と、上記第1の部材と上記第2の部材との間に配置された接続部とを備える。本発明に係る接続構造体では、上記接続部は、スペーサ組成物層を含み、上記スペーサ組成物層の材料は、上述したスペーサ組成物である。本発明に係る接続構造体では、上記スペーサ組成物層は、上述したスペーサ組成物により形成されている。本発明に係る接続構造体では、上記第1の部材が第1の電極を表面に有し、上記第2の部材が第2の電極を表面に有し、上記第1の電極と上記第2の電極とが、上記接続部を介して対向している。本発明に係る接続構造体では、上記第1のスペーサは、導電性粒子であることが好ましい。
【0123】
本発明に係る接続構造体では、特定のスペーサ組成物を用いているので、少なくとも1つの加熱条件で加熱したときに、上記第1の電極及び上記第2の電極が電気的に接続している状態と、上記第1の電極及び上記第2の電極が電気的に接続していない状態との状態変化が可能である性質を有する。上記接続構造体は、スイッチ素子であることが好ましい。上記スイッチ素子は、電気的接続状態をオンオフ可能な素子である。より具体的には、例えば、上記スイッチ素子は、特定の条件(加熱等)で、電気的に接続している状態と電気的に接続していない状態との状態変化を可能とする電子部品である。
【0124】
部材上にてスペーサ組成物により形成されるスペーサ部分の高さをより一層高精度に制御する観点からは、上記接続部の厚みは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。
【0125】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施態様を説明する。
【0126】
図3(a),(b)は、本発明に係るスペーサ組成物を用いた接続構造体の一例を示す断面図である。
【0127】
図3(a)に示す接続構造体21aは、接続対象部材である第1の部材22と、接続対象部材である第2の部材24と、接続対象部材である第1の部材22と接続対象部材である第2の部材24との間に配置された接続部23とを備える。接続部23は、上記スペーサ組成物層を含み、上記スペーサ組成物層の材料は、上述したスペーサ組成物である。接続部23は、上述したスペーサ組成物により形成されている。
【0128】
接続部23は、第1のスペーサ11と、第2のスペーサ12と、媒体13とを含む。本実施形態では、第1のスペーサ11は、導電性粒子である。
【0129】
接続対象部材である第1の部材22は、表面(上面)に複数の第1の電極22aを有する。接続対象部材である第2の部材24は、表面(下面)に複数の第2の電極24aを有する。第1の電極22aと第2の電極24aとが、導電性粒子である第1のスペーサ11により電気的に接続されている。従って、接続対象部材である第1の部材22と接続対象部材である第2の部材24とが、導電性粒子である第1のスペーサ11により電気的に接続されている。なお、第1の電極22aと第2の電極24aとが、第1のスペーサ11により電気的に接続されていればよく、第1の電極22aと第2の電極24aとの間に存在する第1のスペーサ11の個数は特に限定されない。
【0130】
接続構造体21aでは、第1の電極22aと第2の電極24aとの間に、導電性粒子である第1のスペーサ11が配置されている。接続構造体21aでは、接続対象部材である第1の部材22と接続対象部材である第2の部材24との間に、第2のスペーサ12が配置されている。接続構造体21aでは、導電性粒子である第1のスペーサ11は、第1の電極22aと第2の電極24aとの双方に接触している。接続構造体21aでは、第1の電極22a及び第2の電極24aが電気的に接続している状態である。
【0131】
図3(a)に示す接続構造体21aを、少なくとも1つの加熱条件で加熱することで、図3(b)に示す接続構造体21bを得ることができる。接続構造体21bは、接続対象部材である第1の部材22と接続対象部材である第2の部材24との間に配置されている第2のスペーサ12を、加熱により膨張させることで得ることができる。
【0132】
接続構造体21bでは、第1の電極22aと第2の電極24aとが、導電性粒子である第1のスペーサ11により電気的に接続されていない。従って、接続対象部材である第1の部材22と接続対象部材である第2の部材24とが、導電性粒子である第1のスペーサ11により電気的に接続されていない。接続構造体21bでは、導電性粒子である第1のスペーサ11は、第1の電極22aとは接触しているものの、第2の電極24aとは接触していない。接続構造体21bでは、第1の電極22a及び第2の電極24aが電気的に接続していない状態である。
【0133】
図3(b)に示す接続構造体21bにおいて、接続対象部材である第1の部材22と接続対象部材である第2の部材24との間に配置されている第2のスペーサ12を収縮させることで、接続構造体21aを得ることができる。
【0134】
本実施形態においては、図3(a)に示す接続構造体21aの状態と、図3(b)に示す接続構造体21bの状態とは、可逆的に変化可能である。媒体13は、第2のスペーサ12の膨張及び収縮を阻害しなければ、特に限定されない。
【0135】
このように、本発明に係る接続構造体では、加熱の有無によって、電気的に接続している状態と、電気的に接続していない状態との状態変化が可能である性質を有する。本発明に係る接続構造体では、上記スペーサ組成物を用いることで、加熱の有無により上記第1の部材と上記第2の部材との間の高さを高精度に制御することができるので、電気的に接続している状態と電気的に接続していない状態との状態変化が可能となる。
【0136】
上記加熱条件で加熱する方法としては、接続構造体全体を加熱する方法や、接続構造体の接続部のみを局所的に加熱する方法が挙げられる。
【0137】
局所的に加熱する方法に用いる器具としては、ホットプレート、熱風を付与するヒートガン、はんだゴテ、及び赤外線ヒーター等が挙げられる。
【0138】
また、ホットプレートにて局所的に加熱する際、接続部直下は、熱伝導性の高い金属にて、その他の加熱することが好ましくない個所は、フッ素樹脂等の熱伝導性の低い材質にて、ホットプレート上面を形成することが好ましい。
【0139】
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例としては、上記第1の部材上に上記スペーサ組成物を配置し、積層体を得た後、該積層体と上記第2の部材とを加熱及び加圧する方法等が挙げられる。上記熱圧着の圧力は9.8×10Pa~4.9×10Pa程度である。上記熱圧着の加熱の温度は、70℃~230℃程度である。上記熱圧着の加熱の温度は、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上であり、好ましくは200℃以下、より好ましくは150℃以下である。上記熱圧着の圧力及び温度が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の導通信頼性をより一層高めることができる。
【0140】
接続対象部材である上記第1の部材及び接続対象部材である上記第2の部材は特に限定されない。上記第1の部材及び上記第2の部材としては、具体的には、半導体チップ、半導体パッケージ、LEDチップ、LEDパッケージ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びに樹脂フィルム、プリント基板、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル、リジッドフレキシブル基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板等の電子部品等が挙げられる。上記第1の部材及び上記第2の部材は、電子部品であることが好ましい。
【0141】
上記第1の部材及び上記第2の部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極、銀電極、SUS電極、及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記第1の部材及び上記第2の部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極、銀電極又は銅電極であることが好ましい。上記第1の部材及び上記第2の部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極、銀電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
【0142】
(表示素子)
上記スペーサ組成物を用いることで、表示素子用部材間の高さが高精度に制御された表示素子を得ることができる。
【0143】
本発明に係る表示素子は、表示素子用部材である第1の部材と、表示素子用部材である第2の部材と、上記第1の部材と上記第2の部材との間に配置された表示部とを備える。本発明に係る表示素子では、上記表示部は、スペーサ組成物層を含み、上記スペーサ組成物層の材料は、上述したスペーサ組成物である。本発明に係る表示素子では、上記スペーサ組成物層は、上述したスペーサ組成物により形成されている。
【0144】
上記表示素子は、上記第1の部材と上記第2の部材とが対向した状態で、上記第1の部材と上記第2の部材との外周をシールしているシール部を備えていてもよい。上記表示部は、上記シール部を備えていてもよい。上記シール部は、上記スペーサ組成物層を含むことが好ましい。上記シール部は、上記スペーサ組成物により形成されていることが好ましい。
【0145】
上記第1の部材又は上記第2の部材は、樹脂フィルムであることが好ましい。上記表示素子は、液晶表示素子であることが好ましく、フレキシブルパネルであることが好ましい。上記フレキシブルパネルは、布や紙のように丸めたり、自由に折り曲げたりすることができる表示素子である。
【0146】
上記スペーサ組成物は、表示素子用周辺シール剤に用いることが好ましい。表示素子は、表示素子用部材である第1の部材と、表示素子用部材である第2の部材と、上記第1の部材と上記第2の部材とが対向した状態で、上記第1の部材と上記第2の部材との外周をシールしているシール部と、上記シール部の内側で、上記第1の部材と上記第2の部材との間に配置されている液晶とを備える。この表示素子では、液晶滴下工法が適用される。
【0147】
次に、上記スペーサ組成物を用いて、上記表示素子における上記シール部を形成する方法の一例を説明する。図4(a)~(c)は、本発明に係るスペーサ組成物を用いて、表示素子のシール部を形成する方法の一例を説明するための断面図である。
【0148】
まず、図4(a)に示すように、表示素子用部材である第1の部材32を用意する。第1の部材32は、一方の表面(第1の表面)32aと他方の表面(第2の表面)32bとを有する。第1の部材32は、樹脂フィルムであることが好ましい。
【0149】
図4(b)に示すように、第1の部材32の一方の表面(第1の表面)32a側に、第1のスペーサ11と、第2のスペーサ12と、媒体13とを含むスペーサ組成物を配置し、スペーサ組成物層33を形成する。スペーサ組成物層33は、一方の表面(第1の表面)33aと他方の表面(第2の表面)33bとを有する。本実施形態では、第1のスペーサ11は、ギャップ制御用スペーサであることが好ましい。本実施形態では、媒体13は溶媒を含むことが好ましく、溶媒を含むPMMAゲルであることが好ましい。上記溶媒は特に限定されず、PMMAゲルと相溶できる溶媒であればよい。上記溶媒としては、THF等が挙げられる。
【0150】
スペーサ組成物層33の厚みは、第2のスペーサ12の高さにより制御されている。
【0151】
スペーサ組成物層33を形成する方法としては、インクジェット方式によって上記スペーサ組成物を配置する方法、スクリーン印刷によって上記スペーサ組成物を配置する方法、及びディスペンサーによって上記スペーサ組成物を配置する方法等が挙げられる。スペーサ組成物層を効率的かつより一層精度良く形成する観点からは、スペーサ組成物層33を形成する方法は、スクリーン印刷によって上記スペーサ組成物を配置する方法であることが好ましい。
【0152】
次に、図4(c)に示すように、媒体13に含まれる溶媒を除去する。上記溶媒を除去する方法は特に限定されない。上記溶媒を除去する方法としては、加熱により溶媒を除去する加熱処理であってもよく、減圧により溶媒を除去する減圧処理であってもよい。
【0153】
媒体13に含まれる溶媒が除去されると、スペーサ組成物層33の厚みは薄くなる。スペーサ組成物層33の厚みが薄くなるとともに、第2のスペーサ12は収縮し、第2のスペーサ12の高さも低くなる。第2のスペーサ12は、第1のスペーサ11の高さまで収縮する。溶媒が除去されたスペーサ組成物層33の厚みは、第1のスペーサ11の高さにより制御されている。このようにして、本発明に係るスペーサ組成物を用いて、表示素子のシール部を形成することができる。
【0154】
第2のスペーサ12が、スペーサ組成物層33とともに収縮することで、スペーサ組成物層33の一方の表面(第1の表面)33aを均一な表面に制御することができる。第2のスペーサ12を用いることで、スペーサ組成物層33の一方の表面(第1の表面)33aを凹凸の無い、平滑な表面とすることができる。スペーサ組成物層33の一方の表面(第1の表面)33aが平滑であると、スペーサ組成物層33の一方の表面(第1の表面)33a側に表示素子用部材である第2の部材を配置したときに、スペーサ組成物層33と第2の部材との間の空隙の発生を効果的に防止できる。結果として、表示素子の表示品質の低下を効果的に防止できる。
【0155】
さらに、上記スペーサ組成物層には、ギャップ制御用スペーサである上記第1のスペーサが含まれているので、上記第1の部材と上記第2の部材との間隔(ギャップ)を高精度に制御することができる。本発明に係るスペーサ組成物を用いることで、上記第1の部材と上記第2の部材との間の高さを高精度に制御することができるので、表示素子の表示品質の低下をより一層効果的に防止できる。
【0156】
図5は、本発明に係るスペーサ組成物を用いた表示素子の一例を示す断面図である。
【0157】
図5に示す液晶表示素子81は、一対の透明ガラス基板82を有する。透明ガラス基板82は、対向する面に絶縁膜(図示せず)を有する。絶縁膜の材料としては、例えば、SiO等が挙げられる。透明ガラス基板82における絶縁膜上に透明電極83が形成されている。透明電極83の材料としては、ITO等が挙げられる。透明電極83は、例えば、フォトリソグラフィーによりパターニングして形成可能である。透明ガラス基板82の表面上の透明電極83上に、配向膜84が形成されている。配向膜84の材料としては、ポリイミド等が挙げられる。
【0158】
一対の透明ガラス基板82間には、液晶85が封入されている。一対の透明ガラス基板82間には、複数の第1のスペーサ87及び第2のスペーサ88が配置されている。第1,第2のスペーサ87,88は、加熱処理又は溶媒除去処理などによって、スペーサの高さが変化した後の状態である。第1,第2のスペーサ87,88の双方により、一対の透明ガラス基板82の間隔が規制されている。一対の透明ガラス基板82の縁部間には、シール剤86が配置されている。シール剤86は、スペーサ粒子として、粒子89を含む。シール剤86によって、シール部が形成されており、液晶85の外部への流出が防がれている。
【0159】
図6は、本発明に係るスペーサ組成物を用いた表示素子の他の例を示す断面図である。
【0160】
図6に示す液晶表示素子81Aは、一対の透明ガラス基板82Aを有する。透明ガラス基板82Aは、対向する面に絶縁膜(図示せず)を有する。透明ガラス基板82Aにおける絶縁膜上に透明電極83Aが形成されている。透明ガラス基板82Aの表面上の透明電極83A上に、配向膜84Aが形成されている。
【0161】
一対の透明ガラス基板82A間には、液晶85Aが封入されている。一対の透明ガラス基板82A間には、複数のスペーサとして、粒子90Aが配置されている。粒子90Aにより、一対の透明ガラス基板82Aの間隔が規制されている。一対の透明ガラス基板82Aの縁部間には、シール剤86Aが配置されている。シール剤86Aは、第1のスペーサ91A及び第2のスペーサ92Aを含む。第1,第2のスペーサ91A,92Aは、加熱処理又は溶媒除去処理などによって、スペーサの高さが変化した後の状態である。第1,第2のスペーサ91A,92Aの双方により、シール剤86Aの厚みが高精度に規制されている。シール剤86Aによって、シール部が形成されており、液晶85Aの外部への流出が防がれている。
【0162】
上記表示素子において1mmあたりの表示素子用スペーサの配置密度は、好ましくは10個/mm以上であり、好ましくは1000個/mm以下である。上記配置密度が10個/mm以上であると、セルギャップがより一層均一になる。上記配置密度が1000個/mm以下であると、表示素子のコントラストがより一層良好になる。
【0163】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0164】
媒体:
(1)住友化学社製「ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)樹脂スミペックスMGSS」
(2)ペルノックス社製「ペルノックスME-105/ペルキュアXH-1859-2」
【0165】
第1のスペーサ:
(1)ユニチカ社製「高精度ユニビーズSPM-25」
(2)積水化学工業社製「ミクロパールSP-225」
(3)積水化学工業社製「ミクロパールSP-225」の表面にシリカをコーティングしたコアシェル粒子1(シリカの厚み1μm)
(4)積水化学工業社製「ミクロパールSP-225」の表面に金めっき層を形成した導電性粒子1(金めっき層の厚み0.2μm)
(5)ユニチカ社製「高精度ユニビーズSPM-25」の表面に金めっき層を形成した導電性粒子2(金めっき層の厚み0.2μm)
【0166】
第2のスペーサ:
(1)積水化学工業社製「ミクロパールEZ4P」
(2)積水化学工業社製「ミクロパールSP」
(3)積水化学工業社製「ミクロパールSLC」
(4)積水化学工業社製「ミクロパールEZ4P」の表面にシリカをコーティングしたコアシェル粒子2(シリカの厚み1μm)
【0167】
(実施例1~2,6~9及び比較例1)
(1)スペーサ組成物の作製
下記の表1に示す成分を配合して、スペーサ組成物を得た。表1において、「○」は配合した成分を示す。
【0168】
(2)表示素子の作製
一対の透明ガラス板(縦50mm、横50mm、厚さ0.4mm)の一面に、CVD法によりSiO膜を蒸着した後、SiO膜の表面全体にスパッタリングによりITO膜を形成した。得られたITO膜付きガラス基板に、スピンコート法によりポリイミド配向膜組成物(日産化学社製「SE3510」)を塗工し、280℃で90分間焼成することによりポリイミド配向膜を形成した。配向膜にラビング処理を施した後、一方の基板(第2の部材)の配向膜側に、表示素子用スペーサを1mmあたり100個となるように湿式散布した。
【0169】
他方の基板(第1の部材)の周辺に、上記スペーサ組成物を配置し、積層体を作製した。上記媒体に含まれる溶媒を除去し、上記第2のスペーサを変形させて、上記スペーサ組成物によりシール部を形成した。その後、表示素子用スペーサを散布した基板と、シール部を形成した基板とをラビング方向が90°になるように対向配置させて貼り合わせることで、空セル(液晶の入っていない表示素子)を得た。得られた空セルに、カイラル剤入りのSTN型液晶(DIC社製)を注入し、次に注入口を封止剤で塞いだ後、120℃で30分間熱処理してSTN型液晶表示素子を得た。
【0170】
(実施例3~5,10及び比較例2)
(1)スペーサ組成物の作製
下記の表1に示す成分を配合して、スペーサ組成物を得た。表1において、「○」は配合した成分を示す。
【0171】
(2)接続構造体の作製
L/Sが20μm/20μmのAl-Ti4%電極パターン(Al-Ti4%電極厚み1μm)を上面に有するポリイミド基板(フレキシブルプリント基板、第1の部材)を用意した。また、L/Sが20μm/20μmの金電極パターン(金電極厚み20μm)を下面に有する半導体チップ(第2の部材)を用意した。
【0172】
上記ポリイミド基板の上面に、上記スペーサ組成物を厚さ30μmとなるように塗工し、スペーサ組成物層を形成した。次に、スペーサ組成物層の上面に上記半導体チップを、電極同士が対向するように積層し、接続構造体を得た。
【0173】
(評価)
実施例1~2,6~9及び比較例1については、以下の(1)~(3)の評価を実施した。実施例3~5,10及び比較例2については、以下の(1)、(4)、(5)の評価を実施した。
【0174】
(1)第1のスペーサにおける高さの変化率及び第2のスペーサにおける高さの変化率
得られた積層体に関して、走査型電子顕微鏡(日立製作所社製「S-4300SEN」)を用いて、媒体に含まれる溶媒を除去する前後において、第1のスペーサの高さ及び第2のスペーサの高さを測定した。測定結果から、第1のスペーサにおける高さの変化率及び第2のスペーサにおける高さの変化率を算出した。また、第2のスペーサにおける高さの変化率の、第1のスペーサにおける高さの変化率に対する比[(第2のスペーサにおける高さの変化率)/(第1のスペーサにおける高さの変化率)]を算出した。
【0175】
また、得られた接続構造体に関して、走査型電子顕微鏡(日立製作所社製「S-4300SEN」)を用いて、100℃で120分間加熱する前後において、第1のスペーサの高さ及び第2のスペーサの高さを測定した。測定結果から、第1のスペーサにおける高さの変化率及び第2のスペーサにおける高さの変化率を算出した。また、第2のスペーサにおける高さの変化率の、第1のスペーサにおける高さの変化率に対する比[(第2のスペーサにおける高さの変化率)/(第1のスペーサにおける高さの変化率)]を算出した。
【0176】
(2)表示素子のギャップ制御
得られた空セル(液晶の入っていない表示素子)の断面を、走査型電子顕微鏡(日立製作所社製「S-4300SEN」)を用いて観察することで、表示素子の部材間のギャップが高精度に制御されているか否かを確認した。表示素子のギャップ制御を以下の基準で判定した。
【0177】
[表示素子のギャップ制御の判定基準]
○:部材間に空隙がなく、高精度にギャップが制御されている
△:部材間に僅かに空隙が見られるものの、高精度にギャップが制御されている
×:部材間に空隙が見られ、高精度にギャップが制御されていない
【0178】
(3)表示品質
得られたSTN型液晶表示素子に所定の電圧を印加して、シール部に起因する色むら等の表示不良の有無を電子顕微鏡で観察した。表示品質を下記の基準で判定した。
【0179】
[表示品質の判定基準]
○○:シール部に起因する色むら等の表示不良は全く認められず、優れた表示品質である
○:シール部に起因する色むら等の表示不良がわずかに認められる
△:シール部に起因する色むら等の表示不良が若干認められる
×:シール部に起因する色むら等の表示不良が著しく認められる
【0180】
(4)導通性
得られた接続構造体(n=15個)において、上下の電極間の1接続箇所当たりの接続抵抗をそれぞれ、4端子法により、測定した。接続抵抗の平均値を算出した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。導通性を下記の基準で判定した。
【0181】
[導通性の判定基準]
○○:接続抵抗の平均値が50mΩ以下
○:接続抵抗の平均値が50mΩを超え70mΩ以下
△:接続抵抗の平均値が70mΩを超え100mΩ以下
×:接続抵抗の平均値が100mΩを超える、又は接続不良が生じている
【0182】
(5)絶縁性
(4)の導通性の評価に用いた接続構造体を、200℃で180分間加熱した。加熱直後の接続構造体の上下の電極間に、5Vを印加し、接続抵抗を測定した。接続抵抗の平均値を算出した。絶縁性を下記の基準で判定した。
【0183】
[絶縁性の判定基準]
○○:接続抵抗の平均値が10Ω以上
○:接続抵抗の平均値が10Ω以上10Ω未満
△:接続抵抗の平均値が10Ω以上10Ω未満
×:接続抵抗の平均値が10Ω未満
【0184】
結果を下記の表1に示す。
【0185】
【表1】
【符号の説明】
【0186】
1…積層体
2…第1の部材
2a…一方の表面(第1の表面)
2b…他方の表面(第2の表面)
3…スペーサ組成物層
3a…一方の表面(第1の表面)
3b…他方の表面(第2の表面)
11…第1のスペーサ
12…第2のスペーサ
13…媒体
21a…接続構造体
21b…接続構造体
22…第1の部材
22a…第1の電極
23…接続部
24…第2の部材
24a…第2の電極
32…第1の部材
32a…一方の表面(第1の表面)
32b…他方の表面(第2の表面)
33…スペーサ組成物層
33a…一方の表面(第1の表面)
33b…他方の表面(第2の表面)
81,81A…液晶表示素子
82,82A…透明ガラス基板
83,83A…透明電極
84,84A…配向膜
85,85A…液晶
86,86A…シール剤
87…第1のスペーサ
88…第2のスペーサ
89…粒子
90A…粒子
91A…第1のスペーサ
92A…第2のスペーサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6