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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】アンカーボルト支持装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/00 20060101AFI20221018BHJP
【FI】
E02D27/00 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018145623
(22)【出願日】2018-08-02
(65)【公開番号】P2020020191
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】591142149
【氏名又は名称】松澤 庄次
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松澤 庄次
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-307496(JP,A)
【文献】特開2004-169546(JP,A)
【文献】特開2016-160680(JP,A)
【文献】特開2001-279682(JP,A)
【文献】特開2005-002592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンカーボルトを所定の位置に配置するため、杭頭が突出した表面に立設され、前記アンカーボルトを支持するアンカーボルト支持装置であって、
前記表面に立設された嵩上げ部と、
前記嵩上げ部に連結されて、前記杭頭を跨ぐように配置されたベース部と、
前記ベース部から上方に延出して、前記アンカーボルトを支持する支柱部とを有し、
前記ベース部は平板状の帯部を含む長尺材からなる複数のベース部材を有し、前記ベース部材は水平方向に延在し、前記帯部の主面は、その延在方向及び鉛直方向に平行であり、
前記嵩上げ部は、前記表面に立設された嵩上げ部材と、一端側において前記嵩上げ部材に固定され、他端側において前記ベース部材の一端側をその延在方向に延長するように該ベース部材に固定された延長アングル材とを有し、
前記延長アングル材は、延長の対象である前記ベース部材の前記一端側の下縁に当接する平板状の水平部と、前記水平部に対して直角に配置され、該ベース部材の該一端側における前記帯部の前記主面に重なるように締結された平板状の鉛直部とを有し、
前記嵩上げ部材及び前記延長アングル材の前記鉛直部は、互いにボルト及びナットによって締結され、前記嵩上げ部材は、前記鉛直方向に長径を有して前記ボルトを挿通させる長孔を有することを特徴とするアンカーボルト支持装置。
【請求項2】
前記ベース部は枠形状をなし、
前記嵩上げ部は前記枠形状の隅部毎に配置され、
前記延長アングル材の各々は、前記ベース部材における前記枠形状に沿った周方向の同じ側の端部を延長するように配置されたことを特徴とする請求項1に記載のアンカーボルト支持装置。
【請求項3】
前記支柱部を構成する支柱アングル材が、前記枠形状の前記隅部の内側に配置され、
前記支柱アングル材、前記ベース部材及び前記延長アングル材は、ボルト及びナットによって共締めされることを特徴とする請求項2に記載のアンカーボルト支持装置。
【請求項4】
少なくとも一部の前記ベース部材は、スペーサーを介して前記支柱部に連結し、
前記スペーサーは、中央壁部と、前記中央壁部に対して直角をなすように前記中央壁部の両端から互いに同じ長さだけ延出する1対の側壁部とを有し、
前記中央壁部と前記1対の側壁部の延出端との一方が前記支柱部に当接し、前記中央壁部と前記1対の側壁部の前記延出端との他方が前記ベース部材に当接することを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のアンカーボルト支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンカーボルトを配置するため、アンカーボルトを支持して基礎コンクリートに埋設されるアンカーボルト支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アンカーボルト支持装置は、建物の基礎コンクリート内にアンカーボルトを配置するための装置である。アンカーボルトは、その上端側のねじ部が基礎コンクリートから突出するように配置される。アンカーボルト支持装置は、基礎コンクリートの打設前に、アンカーボルトを支持した状態で、基礎地盤上に打設された捨てコンクリート等の表面に固定され、その後、基礎コンクリートの打設によって基礎コンクリート内に埋設される。
【0003】
図4及び図5は、特許文献1に記載されたアンカーボルト支持装置101を示す。アンカーボルト支持装置101は、捨てコンクリート102の表面102aに立設され、表面102aからは杭頭103が突出している。アンカーボルト支持装置101は、表面102aに立設された嵩上げ部104と、嵩上げ部104に連結されて杭頭103を跨ぐように配置されたベース部105と、ベース部105から上方に延出してアンカーボルト106を支持する支柱部107とを有する。なお、アンカーボルト支持装置101を杭頭103が突出していない箇所に配置する場合は、鋼材量を減らして材料コストを下げるため、嵩上げ部104を設けず、ベース部105を捨てコンクリート102の表面102aに固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-307496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のアンカーボルト支持装置101の嵩上げ部104は、捨てコンクリート102の表面102aに固定される側面視でL字上の第1鋼材108と、第1鋼材108に連結して杭頭103を避けるように1片が水平方向に延びる側面視でL字上の第2鋼材109と、第2鋼材109をベース部105に連結する側面視でL字上の第3鋼材110とを有する。このように、嵩上げ部104は、3つの鋼材108,109,110を組み合わせることにより形成されるため、その取り付け作業が煩雑であった。
【0006】
このような問題を鑑み、本発明は、杭頭を避けるための嵩上げ部を容易に取り付けることのできるアンカーボルト支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の少なくともいくつかの実施形態は、アンカーボルト(1)を所定の位置に配置するため、杭頭(4)が突出した表面(2a)に立設され、前記アンカーボルトを支持するアンカーボルト支持装置(1)であって、前記表面に立設された嵩上げ部(6)と、前記嵩上げ部に連結されて、前記杭頭を跨ぐように配置されたベース部(7)と、前記ベース部から上方に延出して、前記アンカーボルトを支持する支柱部(9)とを有し、前記ベース部は、平板状の帯部を含む長尺材からなる複数のベース部材(10)を有し、前記ベース部材は水平方向に延在し、前記帯部の主面は、その延在方向及び鉛直方向に平行であり、前記嵩上げ部は、前記表面に立設された嵩上げ部材(23)と、一端側において前記嵩上げ部材に固定され、他端側において前記ベース部材の一端側をその延在方向に延長するように該ベース部材に固定された延長アングル材(24)とを有し、前記延長アングル材は、前記ベース部材の前記一端側の下縁に当接する平板状の水平部(29)と、前記水平部に対して直角に配置され、該ベース部材の該一端側における前記帯部の前記主面に重なるように締結された平板状の鉛直部(30)とを有することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、少ない部材数で嵩上げ部を構成でき、ベース部材に締結された延長アングル材が、水平部においてベース部材に当接することにより係止されるため、両者を締結するボルトを軸に回動することが規制される。そのため、延長アングル材を1対のボルト及びナットによりベース部材に安定して取り付けることができ、作業が簡易である。また、杭頭が表面から突出していない箇所に使用する場合は、嵩上げ部を取り付けずに使用できるため、鋼材の使用量を減らし、材料コストを削減できる。また、延長アングル材をベース部材に対して摺動させることで、延長分の長さの調整を容易に行える。
【0009】
本発明の少なくともいくつかの実施形態は、上記構成において、前記ベース部は枠形状をなし、前記嵩上げ部は前記枠形状の隅部毎に配置され、前記延長アングル材の各々は、前記ベース部材における前記枠形状に沿った周方向の同じ側の端部を延長するように配置されたことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、枠形状の各隅部に配置される延長アングル材の形状を共通にすることができる。
【0011】
本発明の少なくともいくつかの実施形態は、上記構成において、前記支柱部を構成する支柱アングル材が、前記枠形状の前記隅部の内側に配置され、前記支柱アングル材、前記ベース部材及び前記延長アングル材は、ボルト及びナットによって共締めされることを特徴とする。
【0012】
ベース部材と延長アングル材とを締結するボルト及びナットを、支柱アングル材及びベース部材を締結するボルト及びナットとは別のものにすると、支柱アングル材及びベース部材を締結するボルト及び/又はナットがベース部材の表面から突出するため、延長アングル材をベース部材に面接触させることができない。この構成によれば、延長アングル材は、ベース部材に面接触するため安定する。
【0013】
本発明の少なくともいくつかの実施形態は、上記構成のいずれかにおいて、前記嵩上げ部材及び前記延長アングル材は、互いにボルト(13)及びナット(14)によって締結され、前記嵩上げ部材は、鉛直方向に長径を有して前記ボルトを挿通させる長孔(23a)を有することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、アンカーボルト支持装置が載置される表面の不陸よる影響を長孔に対するボルトの位置により吸収することができる。
【0015】
本発明の少なくともいくつかの実施形態は、上記構成のいずれかにおいて、少なくとも一部の前記ベース部材は、スペーサー(15)を介して前記支柱部に連結し、前記スペーサーは、中央壁部(16)と、前記中央壁部に対して直角をなすように前記中央壁部の両端から互いに同じ長さだけ延出する1対の側壁部(17)とを有し、前記中央壁部と前記1対の側壁部の延出端との一方が前記支柱部に当接し、前記中央壁部と前記1対の側壁部の延出端との他方が前記ベース部材に当接することを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、スペーサーの取り付けという簡易な作業で、杭頭筋を避けるようにベース部材を配置することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、杭頭を避けるための嵩上げ部を容易に取り付けることのできるアンカーボルト支持装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係るアンカーボルト支持装置の正面図
図2図1におけるII-II断面図
図3】実施形態に係るアンカーボルト支持装置の嵩上げ部の斜視図
図4】従来技術に係るアンカーボルト支持装置の正面図
図5】従来技術に係るアンカーボルト支持装置の横断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1及び図2は、実施形態に係るアンカーボルト支持装置1の正面図及び横断面図である。建物の基礎は、地盤に杭を打設し、地盤表面に捨てコンクリート2を打設し、捨てコンクリート2上に基礎コンクリート3を打設することにより構築される。捨てコンクリート2の表面2aからは杭頭4が突出している。アンカーボルト5は、下側において建物の基礎コンクリート3に埋設され、上端側のねじ部5aにおいて基礎コンクリート3の上面から突出している。このようにアンカーボルト5を配置するためにアンカーボルト支持装置1が使用される。アンカーボルト支持装置1は、捨てコンクリート2の打設後、アンカーボルト5を支持した状態で所定の位置に固定され、基礎コンクリート3の打設によって基礎コンクリート3内に埋設される。
【0020】
杭頭4が突出した箇所に配置されるアンカーボルト支持装置1は、捨てコンクリート2の表面2aに立設された複数の嵩上げ部6と、嵩上げ部6に連結されて、杭頭4を跨ぐように配置されたベース部7と、ベース部7から上方に延出して、高さ調節機構8を介してアンカーボルト5を支持する支柱部9とを有する。
【0021】
ベース部7は、水平方向に延在する長尺材からなる4本のベース部材10を有する。互いに隣接するベース部材10は、互いの端部近傍で直角をなすように配置され、全体として矩形の枠形状をなす(以下、図2の紙面の下側に配置されたものを第1ベース部材10aと記し、第1ベース部材10aから時計回りに順に、第2ベース部材10b、第3ベース部材10c及び第4ベース部材10dと記し、これらを総称する場合や、区別する必要がない場合は、単にベース部材10と記す)。支柱部9は、枠形上のベース部7の隅部の内側にそれぞれ配置されて鉛直方向に延在する4本の支柱アングル材11を有する(以下、図2の紙面において、第1~第4ベース部材の時計回りの終端側に隣接するものをそれぞれ第1~第4支柱アングル材11a~11dと記し、これらを総称する場合や、区別する必要がない場合は、単に支柱アングル材11と記す)。
【0022】
各々のベース部材10は、帯状をなし、その延在方向及び鉛直方向に平行な主面を有する鋼製の平板からなる。ベース部材10としてアングル材等の他の長尺材を使用してもよいが、ベース部材10は、帯状の平板(帯部)のみから構成することが好ましい。帯部のみからベース部材10を構成すると、アングル材等を使用する場合に比べて、その延在方向に直交する水平方向への厚みが小さく、杭頭4の上面から突出する杭頭筋12を避けやすく、また、鋼材量を減らすことができる。支柱アングル材11は、等辺山形鋼又は不等辺山形鋼からなる。第2~第4ベース部材10b~10dは、それぞれ、両端部において、ボルト13及びナット14によって、対応する支柱アングル材11に当接するように固定される。
【0023】
第1ベース部材10aを第1及び第4支柱アングル材11a,11dに当接するように固定すると、第1ベース部材10aが杭頭筋12を避けられないため、第1ベース部材10aは、両端部において、鋼製のスペーサー15を介して第1及び第4支柱アングル材11a,11dに固定される。
【0024】
スペーサー15は、平板状の中央壁部16と、中央壁部16に対して直角をなすように中央壁部16の両端から互いに同じ長さだけ延出する平板状の1対の側壁部17,17とを有する。1対の側壁部17,17の遊端面は、中央壁部16の主面と平行である。各々のスペーサー15は、中央壁部16の主面において第1又は第4支柱アングル材11a,11dに当接し、1対の側壁部17,17の遊端面において第1ベース部材10aの主面の端部に当接する。これにより、第1ベース部材10aは、第2及び第4ベース部材10b,10dの延在方向に対して直角をなすように延在し、かつ、その主面が鉛直方向に平行に配置される。なお、中央壁部16の主面を第1ベース部材10aの主面の端部に当接させ、1対の側壁部17,17の遊端面を第1又は第4支柱アングル材11a,11dに当接させてもよい。第1ベース部材10a、スペーサー15、及び第1又は第4支柱アングル材11a,11dは、軸部が1対の側壁部17,17間を通るボルト13及びナット14によって共締めされる。
【0025】
なお、スペーサー15がなくとも第1ベース部材10aが杭頭筋12を避けられる場合は、第1ベース部材10aにスペーサー15を用いなくともよい。また、第2~第4ベース部材10b~10dを対応する支柱アングル材11に当接するように固定すると杭頭筋12を避けられない場合は、第2~第4ベース部材10b~10dは、スペーサー15を介して対応する支柱アングル材11に固定される。各ベース部材10が支柱アングル材11に固定されることにより、ベース部材10及び支柱アングル材11の相対的な位置が固定される。支柱アングル材11を安定させるため、互いに隣接する支柱アングル材11,11間に水平方向に延在する帯形状の鋼板からなる補強部材18を配置し、支柱アングル材11,11のそれぞれの上下方向の中間部に補強部材18の対応する端部を固定することが好ましい。
【0026】
高さ調節機構8は、鉛直方向に延在して下端側で支柱アングル材11の上端側の隅部の内面に当接する全ねじボルト19と、全ねじボルト19を支柱アングル材11に固定するための屈曲ボルト20及びナット14と、全ねじボルト19に螺合して支柱アングル材11の上端に載置される高さ調整用ナット21とを有する。アンカーボルト5は全ねじボルト19に支持されている。屈曲ボルト20の両端部をナット14で支柱アングル材11に締結することにより、全ねじボルト19は、屈曲ボルト20及び支柱アングル材11に挟持される。屈曲ボルト20及びナット14による締結を弱めることにより、全ねじボルト19を支柱アングル材11に対して上下に摺動でき、高さ調整用ナット21を回転させることにより、アンカーボルト5の高さの調整を容易に行える。また、高さ調整用ナット21は、支柱アングル材11の上端に係止されているため、高さ調整後のアンカーボルト5を仮保持でき、その高さを維持した状態で屈曲ボルト20及びナット14による締結を行い易くする。また、アンカーボルト5の上端側には、テンプレート22が装着されている。
【0027】
杭頭4が突出していない箇所では、ベース部7が捨てコンクリート2の表面2aに載置されて固定されるが、杭頭4が突出している箇所では、嵩上げ部6をベース部7に取り付け、嵩上げ部6が捨てコンクリート2の表面2aに載置されて固定される。
【0028】
図3は、嵩上げ部6近傍の拡大斜視図である。図1図3に示すように、嵩上げ部6は、捨てコンクリート2の表面2aに立設された嵩上げ部材23と、一端側において嵩上げ部材23の上端側に固定され、他端側においてベース部7に固定された延長アングル材24とを有する。嵩上げ部6は、枠形状のベース部7の隅部に取り付けられる。
【0029】
嵩上げ部材23は、捨てコンクリート2の表面2aに載置されて固定される平板状の底壁部25と、底壁部25の端部から上方に延出する平板状の立壁部26とを有し、縦断面視でL字状をなす部材である。嵩上げ部材23には、L字状の側端に沿ってリブ27が設けられていることが好ましい。底壁部25は、アンカー部材28によって、捨てコンクリート2に固定される。立壁部26の上下方向長さは、杭頭4の突出長よりも長い。嵩上げ部材23と延長アングル材24とは互いにボルト13及びナット14によって締結されるが、捨てコンクリート2の表面2aの不陸による影響を吸収するため、嵩上げ部材23の立壁部26におけるボルト13が挿通される孔は、鉛直方向に長径を有する長孔23aであることが好ましい。
【0030】
延長アングル材24は、対応するベース部材10(図3では第4ベース部材10d)の一端側を延長するようにそのベース部材10に取り付けられる。延長アングル材24は、平板状の水平部29と、水平部29に対して上方に向かって直角に配置された平板状の鉛直部30とを有する、等辺山形鋼又は不等辺山形鋼からなる。水平部29は、そのベース部材10の一端側の下縁に当接する。さらに、水平部29は、そのベース部材10の一端側に直角をなすように隣接する他のベース部材10(図3では第1ベース部材10a)の端部の下縁、又はスペーサー15の下縁に当接することが好ましい。鉛直部30は、そのベース部材10の主面に重なるように配置される。延長アングル材24は、ボルト13及びナット14により、鉛直部30の一端側において嵩上げ部材23の立壁部26に締結され、他端側においてベース部材10及び支柱アングル材11に共締めされる。共締めにより、鉛直部30の主面をベース部材10の主面に面接触させることができ、延長アングル材24が安定する。延長アングル材24のベース部材10に対する延長長さを調整できるようにするため、鉛直部30にはボルト13を挿通可能な孔を延在方向に沿って複数設け、又は延在方向に長径を有する長孔を設けることが好ましい(図示せず)。嵩上げ部材23及び延長アングル材24における、このような孔の配置等の形状が共通になるように、延長アングル材24は、ベース部7の枠形状に沿った周方向の、ベース部材10の同じ側の端部(図示する例では時計回りの終点側)を延長するように配置されることが好ましい。第1ベース部材10aを延長するように配置される延長アングル材24は、ボルト13及びナット14により、ベース部材10、支柱アングル材11及びスペーサー15に共締めされる。1対のボルト13及びナット14によって、延長アングル材24をベース部材10に締結しても、水平部29が、延長されるベース部材10の端部の下縁に当接して係止されるため、ボルト13の軸回りに延長アングル材24が回動することが防止される。そのため、1対のボルト13及びナット14による固定で、延長アングル材24をベース部材10に対して安定させることができる。
【0031】
嵩上げ部6を構成する主要部材が、嵩上げ部材23及び延長アングル材24の2つであり、延長アングル材24は、1対のボルト13及びナット14によりベース部材10に安定して固定することができるため、嵩上げ部6をベース部7に容易に取り付けることができる。必要に応じて嵩上げ部6を取り付け、又は取り外すことができるため、鋼材の使用量を減らし、材料コストを削減できる。
【0032】
杭頭筋12を避けるために、スペーサー15をベース部材10と支柱アングル材11との間に挿入する場合でも、ベース部材10をスペーサー15に当接させるだけで、ベース部材10の配置及び向きが適切になるため、建設現場におけるスペーサー15の取り付け及びベース部材10の再取り付けが容易である。
【0033】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、ベース部を矩形以外の枠形状や、枠形状以外の形状としてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1:アンカーボルト
2:捨てコンクリート
2a:表面
4:杭頭
5:アンカーボルト
6:嵩上げ部
7:ベース部
9:支柱部
10:ベース部材
11:支柱アングル材
12:杭頭筋
15:スペーサー
16:中央壁部
17:側壁部
23:嵩上げ部材
23a:長孔
24:延長アングル材
29:水平部
30:鉛直部
図1
図2
図3
図4
図5