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特許7160593温度異常検出システム及び温度異常検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】温度異常検出システム及び温度異常検出方法
(51)【国際特許分類】
   B61K 9/00 20060101AFI20221018BHJP
   G01K 7/00 20060101ALI20221018BHJP
   G01K 1/14 20210101ALI20221018BHJP
【FI】
B61K9/00
G01K7/00 321J
G01K7/00 311
G01K1/14 L
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018149389
(22)【出願日】2018-08-08
(65)【公開番号】P2020023282
(43)【公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】糸山 雅史
(72)【発明者】
【氏名】成田 武司
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 尚孝
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-079915(JP,A)
【文献】特開2000-146770(JP,A)
【文献】特開2017-149290(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0101792(US,A1)
【文献】特開平10-062271(JP,A)
【文献】特開2000-038133(JP,A)
【文献】特開2016-224042(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 1/00-99/00
B61K 9/00- 9/12
G01J 5/00- 5/90
G01K 1/00-19/00
F16C 41/00-41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両が順に走行する地上の複数の地点において、各地点を通過する鉄道車両の床下機器の温度を測定する複数の測定部と、
前記複数の測定部が測定した温度のうち、第1温度T1と、前記第1温度T1の測定地点よりも後に前記鉄道車両が通過した地点の第2温度T2と、前記第2温度T2の測定地点よりも後に前記鉄道車両が通過した地点の第3温度T3とに基づいて、温度異常を判定する処理部と、
を備え、
前記処理部は、予め定められた複数の閾値A0,A1,A2,A3,A4,A5,A6,A7,A8を用い、下記条件(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)のいずれかが満たされる場合に、温度異常があると判定すると共に、前記複数の測定部から最新の測定温度を取得すると、直前の前記第2温度T2を新たな前記第1温度T1、直前の前記第3温度T3を新たな前記第2温度T2、前記最新の測定温度を新たな前記第3温度T3として温度異常を再判定する、温度異常検出システム。
(A)T1>A0 又は T2>A0 又は T3>A0
(B)T1>A1 かつ (T2-T1>A4 又は T2-T1<0) かつ T2>A2 かつ T3>A3
(C)T1>A1 かつ T2-T1>A4 かつ T3>A3
(D)T1>A1 かつ T2-T1>A4 かつ (T3-T2>A5 又は T3-T1>A6)
(E)T1>A1 かつ T2-T1<0 かつ (T3-T2>A7 又は T3-T1>A8)
(なお、A1<A0、A2<A0、A3<A0である。)
【請求項2】
請求項1に記載の温度異常検出システムであって、
前記第1温度T1、前記第2温度T2及び前記第3温度T3は、それぞれ、前記鉄道車両の走行条件と、温度を測定した前記床下機器の前記鉄道車両における位置とを考慮して補正された温度である、温度異常検出システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の温度異常検出システムであって、
複数の閾値A4,A5,A6,A7,A8は、それぞれ、前記複数の測定部によって測定された前記床下機器の温度に応じて選択される、温度異常検出システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の温度異常検出システムであって、
前記処理部は、前記再判定において、新たな前記第3温度T3が前記閾値A3より大きい場合に温度異常があると判定する、温度異常検出システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の温度異常検出システムであって、
複数の閾値A4,A5,A6,A7,A8のうち少なくとも1つは、前記第1温度T1、前記第2温度T2又は前記第3温度T3の関数である、温度異常検出システム。
【請求項6】
鉄道車両が順に走行する地上の複数の地点における鉄道車両の床下機器の温度のうち、第1温度T1と、前記第1温度T1の測定地点よりも後に前記鉄道車両が通過した地点の第2温度T2と、前記第2温度T2の測定地点よりも後に前記鉄道車両が通過した地点の第3温度T3と、予め定められた複数の閾値A0,A1,A2,A3,A4,A5,A6,A7,A8とを用い、下記条件(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)のいずれかが満たされる場合に、温度異常があると判定すると共に、最新の測定温度を取得すると、直前の前記第2温度T2を新たな前記第1温度T1、直前の前記第3温度T3を新たな前記第2温度T2、前記最新の測定温度を新たな前記第3温度T3として温度異常を再判定する、温度異常検出方法。
(A)T1>A0 又は T2>A0 又は T3>A0
(B)T1>A1 かつ (T2-T1>A4 又は T2-T1<0) かつ T2>A2 かつ T3>A3
(C)T1>A1 かつ T2-T1>A4 かつ T3>A3
(D)T1>A1 かつ T2-T1>A4 かつ (T3-T2>A5 又は T3-T1>A6)
(E)T1>A1 かつ T2-T1<0 かつ (T3-T2>A7 又は T3-T1>A8)
(なお、A1<A0、A2<A0、A3<A0である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、温度異常検出システム及び温度異常検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両の床下機器(つまり、台車に取り付けられた歯車や継手等の軸系の部品)の温度異常を検知するためのシステムが公知である(特許文献1参照)。このように床下機器の温度異常を検知することで、鉄道車両の台車の異常を走行中に間接的に検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-224042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
床下機器の温度異常の判定において、温度が閾値を越えた場合に異常と判定する方式では、閾値が高すぎると異常の検知が遅れるおそれがある。一方、閾値が低すぎると誤検知が多発するおそれがある。
【0005】
また、温度が測定される機器によって、異常発生時の故障モードによる温度変化、温度測定の精度等が異なるため、1つの地点での測定温度のみに基づく異常判定では、判定精度が不十分となる場合がある。
【0006】
本開示の一局面は、床下機器の温度異常を精度よく検知できる温度異常検出システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、鉄道車両が順に走行する地上の複数の地点において、各地点を通過する鉄道車両の床下機器の温度を測定する複数の測定部と、複数の測定部が測定した温度のうち、第1温度T1と、第1温度T1の測定地点よりも後に鉄道車両が通過した地点の第2温度T2と、第2温度T2の測定地点よりも後に鉄道車両が通過した地点の第3温度T3とに基づいて、温度異常を判定する処理部と、を備える温度異常検出システムである。処理部は、予め定められた複数の閾値A0,A1,A2,A3,A4,A5,A6,A7,A8を用い、下記条件(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)のいずれかが満たされる場合に、温度異常があると判定する。
(A)T1>A0 又は T2>A0 又は T3>A0
(B)T1>A1 かつ (T2-T1>A4 又は T2-T1<0) かつ T2>A2 かつ T3>A3
(C)T1>A1 かつ T2-T1>A4 かつ T3>A3
(D)T1>A1 かつ T2-T1>A4 かつ (T3-T2>A5 又は T3-T1>A6)
(E)T1>A1 かつ T2-T1<0 かつ (T3-T2>A7 又は T3-T1>A8)
(なお、A1<A0、A2<A0、A3<A0である。)
【0008】
このような構成によれば、従来の閾値判定(A)に加えて、条件(B)、(C)、(D)及び(E)を用いて異常判定を行うので、誤検知を抑制しつつ、比較的速やかに温度異
常を検知できる。つまり、床下機器の温度異常を精度よく検知できる。
【0009】
つまり、条件(B)によれば、異常判定の絶対閾値であるA0よりも小さい閾値A1,A2,A3を用いることで、各地点の温度が絶対閾値を越えなくても一定以上の温度が継続した場合に異常と判定できる。
【0010】
また、条件(C)によれば、第1地点で一定以上の温度が認められ、第1地点から第2地点までの温度変化量が一定量を越え、かつ第3地点においても一定以上の温度が認められた場合に異常と判定できる。
【0011】
さらに、条件(D)によれば、第1地点で一定以上の温度が認められ、第1地点から第2地点までの温度変化量が一定量を越え、かつ、第2地点から第3地点までの温度変化量、又は第1地点から第3地点までの温度変化量が一定量を越えた場合に異常と、判定できる。
【0012】
また、条件(E)によれば、第1地点で一定以上の温度が認められ、第1地点から第2地点の間で温度が低下し、かつ、第2地点から第3地点までの温度変化量、又は第1地点から第3地点までの温度変化量が一定量を越えた場合に異常と判定できる。
【0013】
本開示の一態様では、第1温度T1、第2温度T2及び第3温度T3は、それぞれ、鉄道車両の走行条件と、温度を測定した床下機器の鉄道車両における位置とを考慮して補正された温度であってもよい。このような構成によれば、床下機器の位置や鉄道車両の走行条件(例えば走行継続距離、気候等)による温度の変動を補正できるので、温度異常の検知精度をより高められる。
【0014】
本開示の一態様では、複数の閾値A4,A5,A6,A7,A8は、それぞれ、複数の測定部によって測定された床下機器の温度に応じて選択されてもよい。このような構成によれば、より的確に温度異常の判定ができる。つまり、床下機器の初期温度が低い状態では床下機器の温度変化も小さくなるので、床下機器の測定温度に基づいて温度変化における閾値A4,A5,A6,A7,A8の値を決定することで、温度異常の検知精度を高めることができる。
【0015】
本開示の一態様では、処理部は、複数の測定部から最新の測定温度を入手すると、直前の第2温度T2を新たな第1温度T1、直前の第3温度T3を新たな第2温度T2、最新の測定温度を新たな第3温度T3として温度異常を再判定してもよい。このような構成によれば、走行中の鉄道車両に対し、床下機器の異常を監視し続けることができる。
【0016】
本開示の一態様では、処理部は、再判定において、新たな第3温度T3が閾値A3より大きい場合に温度異常があると判定してもよい。このような構成によれば、温度異常の検知精度をさらに高めることができる。
【0017】
本開示の別の態様は、鉄道車両が順に走行する地上の複数の地点における鉄道車両の床下機器の温度のうち、第1温度T1と、第1温度T1の測定地点よりも後に鉄道車両が通過した地点の第2温度T2と、第2温度T2の測定地点よりも後に鉄道車両が通過した地点の第3温度T3と、予め定められた複数の閾値A0,A1,A2,A3,A4,A5,A6,A7,A8とを用い、下記条件(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)のいずれかが満たされる場合に、温度異常があると判定する、温度異常検出方法である。
(A)T1>A0 又は T2>A0 又は T3>A0
(B)T1>A1 かつ (T2-T1>A4 又は T2-T1<0) かつ T2>A2 かつ T3>A3
(C)T1>A1 かつ T2-T1>A4 かつ T3>A3
(D)T1>A1 かつ T2-T1>A4 かつ (T3-T2>A5 又は T3-T1>A6)
(E)T1>A1 かつ T2-T1<0 かつ (T3-T2>A7 又は T3-T1>A8)
(なお、A1<A0、A2<A0、A3<A0である。)
【0018】
このような構成によれば、床下機器の温度異常を精度よく検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、実施形態における温度異常検出システムの構成を概略的に示すブロック図である。
図2図2は、図1の温度異常検出システムにおける測定部の模式図である。
図3図3Aは、複数の測定地点における測定温度の変化の一例を示すグラフであり、図3Bは、図3Aとは異なる複数の測定地点における測定温度の変化の一例を示すグラフであり、図3Cは、図3A及び図3Bとは異なる複数の測定地点における測定温度の変化の一例を示すグラフである。
図4図4は、図1の処理部が実行する補正処理を概略的に示すフロー図である。
図5図5は、図1の処理部が実行する判定処理を概略的に示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す温度異常検出システム1は、例えば、台車の異常検知を目的として、鉄道車両の床下機器の温度異常を検出するシステムである。温度異常検出システム1は、複数の測定部2A,2B,2C,2D,2Eと、処理部3と、複数の表示部4A,4B,4Cとを備える。
【0021】
<測定部>
複数の測定部2A,2B,2C,2D,2Eは、鉄道車両が順に走行する地上の複数の測定地点ごとに配置され、各地点を通過する鉄道車両の温度を測定する。複数の測定地点は、鉄道車両の走行方向に沿って並んでいる。
【0022】
図2に示すように、鉄道車両の床下には、主電動機11と、車軸12及び2つの車輪13A,13Bを含む軸系の機器とが配置されている。車輪13A,13Bの外側には軸箱14A,14Bがそれぞれ配置されている。また、主電動機11の駆動力は、継手15及び歯車箱16を介して車軸12に伝達される。
【0023】
軸箱14A,14Bは、それぞれ、車軸12の軸受、潤滑装置等を収容した箱である。歯車箱16は、歯車を収容した箱である。継手15は、主電動機11の駆動力を歯車に中継する。
【0024】
軸箱14A,14B、継手15及び歯車箱16は、台車(図示省略)に取り付けられている。台車に歪等の異常が発生すると、車軸12や主電動機11の回転軸が傾くため、軸受、継手、歯車等に異常摩耗が発生する。そこで、軸箱14A,14B、継手15、歯車箱16等の軸系の床下機器の温度を監視することで、台車の異常を間接的に監視できる。
【0025】
本実施形態では、測定部2A,2B,2C,2D,2Eは、それぞれ、2つの第1温度計21A,21Bと、第2温度計22とを有する。第1温度計21A,21B及び第2温
度計22としては、それぞれ、赤外線放射温度計が使用できる。
【0026】
2つの第1温度計21A,21Bは、それぞれ、2つの軸箱14A,14Bの温度を測定する。2つの第1温度計21A,21Bは、車軸12を挟むように配置され、2つの軸箱14A,14Bを枕木方向(つまり、鉄道車両の走行方向と垂直な方向)の外側から測定する。
【0027】
第2温度計22は、継手15及び歯車箱16の温度を測定する。第2温度計22は、レールR及び枕木Sよりも下方に配置され、複数の枕木Sの間にて継手15及び歯車箱16を下方から測定する。
【0028】
測定部2A,2B,2C,2D,2Eは、既存のレールRに対する設置を容易にする観点から、橋梁に設置されることが好ましい。ただし、橋梁以外の場所においてレールR及び枕木Sの下方に空間を設け、この空間に第2温度計22を配置してもよい。
【0029】
本実施形態では、5つの測定部2A,2B,2C,2D,2Eが、鉄道車両の走行方向に離間した5つの地点P1,P2,P3,P4,P5(図3A参照)に1つずつ配置されている。これら複数の地点の間隔は、必ずしも同じでなくてもよい。各地点間の距離が異なる場合は、後述する処理部3で用いる複数の閾値の少なくとも一部を距離に合わせて適宜補正することで、検知精度を向上できる。
【0030】
なお、鉄道車両は決められたレール上を走行するため、車両ではなく地上側に測定部を設けることで、車両側に測定部を搭載する必要が無い。また、地上に設けられた1つの測定部によって複数の車両を測定できるので、システムの導入コストが抑えられる。
【0031】
各測定部は、1つの車両ごとに少なくとも1つの床下機器の温度が測定できればよく、必ずしも車両ごとに2つ以上の床下機器の温度を測定しなくてもよい。ただし、検知精度を向上させる観点から、各車両に配置された複数の床下機器の温度を測定するとよい。
【0032】
複数の測定部2A,2B,2C,2D,2Eが測定した温度は、LTE(Long Term Evolution)等の無線通信回線を用いて、測定部2A,2B,2C,2D,2Eから離れて設置された処理部3に送信される。
【0033】
<処理部>
処理部3は、複数の測定部2A,2B,2C,2D,2Eが測定した温度のうち、第1温度T1と、第1温度T1の測定地点よりも後に鉄道車両が通過した地点の第2温度T2と、第2温度T2の測定地点よりも後に鉄道車両が通過した地点の第3温度T3とに基づいて、温度異常を判定する。
【0034】
処理部3としては、例えば、演算を行うCPUと、データを記憶するストレージとを備え、複数の測定部2A,2B,2C,2D,2Eと同じネットワークに接続されたサーバが用いられる。
【0035】
床下機器の測定温度は、鉄道車両の走行継続時間、走行パターン、走行時の気候、温度等の走行条件によってバラつきが生じる。例えば、走行時の季節によって最大60℃程度の測定温度の変動が生じる。
【0036】
また、床下機器の測定温度は、測定対象の床下機器の鉄道車両における取付け位置によってもバラつきが生じる。例えば、先頭車両に設けられた床下機器は、他の車両に設けられた床下機器よりも温度が低くなる傾向がある。
【0037】
そのため、鉄道車両の走行条件や測定対象の床下機器の位置によって、温度異常の誤検知が発生する可能性や、逆に温度異常が検知されない可能性がある。そこで、処理部3は、複数の測定部2A,2B,2C,2D,2Eが測定した温度に対し、鉄道車両の走行条件と、温度を測定した床下機器の鉄道車両における位置とを考慮して補正した値を第1温度T1、第2温度T2及び第3温度T3とする。
【0038】
具体的には、例えば、大量のフィールドデータに基づいて、鉄道車両の走行条件及び床下機器の位置に対する測定温度の相関関係を公知の回帰分析によって求める。この相関関係に基づいた係数、関数等を用いて、測定温度の代表値(例えば中央値)を補正することで、補正された第1温度T1、第2温度T2又は第3温度T3が得られる。なお、測定温度のバラつきが小さい床下機器を測定対象とする場合、上記補正は行われなくてもよい。
【0039】
また、本実施形態のように複数の床下機器(つまり、軸箱14A,14B、継手15及び歯車箱16)に対して温度を測定する場合は、床下機器ごとに、第1温度T1、第2温度T2及び第3温度T3を取得することで、複数の床下機器の温度を監視することができる。
【0040】
鉄道車両が地点P3と地点P4との間を走行中の場合、図3Aに示すように、第1温度T1は、地点P1での測定温度、第2温度T2は、地点P2での測定温度、第3温度T3は、地点P3での測定温度とされる。
【0041】
図3Aでは、黒丸が異常のないときの測定パターンの例、白丸が異常のあるときの測定パターンの例を示している。また、図3A,3B,3Cの横軸は走行距離D、縦軸は温度Tである。
【0042】
処理部3は、温度異常の判定後、複数の測定部2A,2B,2C,2D,2Eのいずれか1つから最新の測定温度を取得すると、直前の第2温度T2を新たな第1温度T1、直前の第3温度T3を新たな第2温度T2、最新の測定温度を新たな第3温度T3として温度異常を再判定する。
【0043】
例えば、図3Aにおいて、第1温度T1が地点P1での測定温度、第2温度T2が地点P2での測定温度、第3温度T3が地点P3での測定温度である状態にて処理部3が判定を行った後、鉄道車両が第4地点P4を通過し、第4地点P4の測定温度が測定されると、第1温度T1は地点P2での測定温度、第2温度T2は地点P3での測定温度、第3温度T3は地点P4での測定温度に更新される。処理部3は、この更新後の第1温度T1、第2温度T2及び第3温度T3に基づいて温度異常を再判定する。
【0044】
なお、鉄道車両が同じレール上を往復走行する場合は、同じ地点で測定した温度が第1温度T1、第2温度T2及び第3温度T3に含まれ得る。例えば、第5地点P5を通過した鉄道車両が同じレールを折り返す場合は、第1温度T1を第4地点P4での1回目の測定温度、第2温度T2を第5地点P5での測定温度、第3温度T3を第4地点P4での2回目の測定温度として判定が行われる。
【0045】
処理部3は、予め定められた複数の閾値A0,A1,A2,A3,A4,A5,A6,A7,A8を用い、下記条件(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)のいずれかが満たされる場合に、温度異常があると判定する。
(A)T1>A0 又は T2>A0 又は T3>A0
(B)T1>A1 かつ (T2-T1>A4 又は T2-T1<0) かつ T2>A2 かつ T3>A3
(C)T1>A1 かつ T2-T1>A4 かつ T3>A3
(D)T1>A1 かつ T2-T1>A4 かつ (T3-T2>A5 又は T3-T1>A6)
(E)T1>A1 かつ T2-T1<0 かつ (T3-T2>A7 又は T3-T1>A8)
(なお、A1<A0、A2<A0、A3<A0である。)
【0046】
条件(A)は、第1温度T1、第2温度T2及び第3温度T3の少なくとも1つが予め定められた一定の温度(つまり絶対閾値A0)を超える場合に、異常と判定するためのものである。絶対閾値A0は、例えば1K以上100K以下である。
【0047】
なお、第1温度T1を取得した時点で、第1温度T1が絶対閾値A0を超える場合は、第2温度T2及び第3温度T3の取得を待たずに異常を判定することができる。また、第2温度T2を取得した時点で、第2温度T2が絶対閾値A0を超える場合は、第3温度T3の取得を待たずに異常を判定することができる。
【0048】
条件(B)は、例えば、図3Bに示すように、第1地点P1で測定された第1温度T1が第1閾値A1を超え、第2地点P2で測定された第2温度T2と第1温度T1との差が第4閾値A4を超え、第2温度T2が絶対閾値A0よりも低い第2閾値A2を超え、さらに第3地点P3で測定された第3温度T3も絶対閾値A0よりも低い第3閾値A3を超える場合に、異常と判定するためのものである。
【0049】
ここで、第1閾値A1は、異常判定を行うか否か判定するための指標値である。したがって、第1閾値A1は、第2閾値A2及び第3閾値A3よりも十分に小さく、例えば絶対閾値A0の1%以上99%以下である。第2閾値A2及び第3閾値A3は、例えば絶対閾値A0の1%以上99%以下である。なお、第2閾値A2及び第3閾値A3は同じ値であっても異なる値であってもよい。また、第4閾値A4は、正の値であり、例えば1K以上100K以下である。
【0050】
条件(B)によれば、処理部3は、3つの地点での温度が絶対閾値A0を超えない場合でも、絶対閾値A0に近い温度が少なくとも2つの地点で継続した場合を異常と判定することができる。そのため、図3Bのように地点間の温度の変化が微小な場合にも異常が検知できる。
【0051】
なお、条件(B)によれば、第2温度T2と第1温度T1との差が第4閾値A4を超える替わりに、第2温度T2と第1温度T1との差が負であり、残りの上記複数の条件を満たす場合、つまり、第1温度T1が第1閾値A1よりも大きい一定値以上と想定される場合も異常と判定することができる。つまり、条件(B)は、第1温度T1、第2温度T2及び第3温度T3が全て一定値以上であるような場合を異常と判定することができる。
【0052】
条件(C)は、例えば、図3Aに示すように、第2地点P2で測定された第1温度T1が第1閾値A1を超え、第3地点P3で測定された第2温度T2と第1温度T1との差が第4閾値A4を超え、さらに第4地点P4で測定された第3温度T3が第3閾値A3を超える場合に、異常と判定するためのものである。
【0053】
条件(C)によれば、処理部3は、温度が絶対閾値A0を超えない場合でも、2つの地点の間で一定量の温度上昇が認められ、その後絶対閾値A0に近い温度に到達した場合を異常と判定することができる。
【0054】
条件(D)は、例えば、図3Cに示すように、第3地点P3で測定された第1温度T1
が第1閾値A1を超え、さらに第4地点P4で測定された第2温度T2と第1温度T1との差が第4閾値A4を超え、かつ、第5地点P5で測定された第3温度T3と第2温度T2との差が第5閾値A5を超える場合に、異常と判定するためのものである。第5閾値A5は、正の値であり、例えば1K以上100K以下である。
【0055】
また、条件(D)は、第1温度T1が指標値である第1閾値A1を超え、さらに第2温度T2と第1温度T1との差が第4閾値A4を超え、かつ、第3温度T3と第1温度T1との差が第6閾値A6を超える場合も含んでいる。第6閾値A6は、正の値であり、例えば1K以上100K以下である。
【0056】
条件(E)は、例えば、図3Cに示すように、第2地点P2で測定された第1温度T1が第1閾値A1を超え、さらに第3地点P3で測定された第2温度T2と第1温度T1との差が負であり、かつ、第4地点P4で測定された第3温度T3と第2温度T2との差が第7閾値A7を超える場合に、異常と判定するためのものである。第7閾値A7は、第5閾値A5よりも大きい値である。第7閾値A7は、例えば1K以上100K以下である。
【0057】
また、条件(E)は、第1温度T1が指標値である第1閾値A1を超え、さらに第2温度T2と第1温度T1との差が負であり、かつ、第3温度T3と第1温度T1との差が第8閾値A8を超える場合も含んでいる。第8閾値A8は、第6閾値A6よりも大きい値である。第8閾値A8は、例えば1K以上100K以下である。
【0058】
したがって、条件(D)及び(E)によれば、処理部3は、温度が絶対閾値A0を超えない場合でも、第3温度T3の第2温度T2に対する上昇量が一定量以上の場合、又は第3温度T3の第1温度T1に対する上昇量が一定量以上の場合も異常と判定することができる。
【0059】
さらに、処理部は、再判定の際に、新たな(つまり更新した)第3温度T3が第3閾値A3より大きい場合に温度異常があると判定してもよい。これにより、温度異常の検知精度をさらに高めることができる。
【0060】
上記条件で用いられる第4閾値A4、第5閾値A5、第6閾値A6、第7閾値A7及び第8閾値A8は、それぞれ、複数の測定部2A,2B,2C,2D,2Eによって測定された床下機器の温度に応じて選択される。
【0061】
例えば、第4閾値A4、第5閾値A5、第6閾値A6、第7閾値A7及び第8閾値A8は、それぞれ、任意の地点において測定された床下機器の基準温度に応じて値が選択される関数又はテーブルとすることができる。基準温度は、第1温度T1、第2温度T2及び第3温度T3のいずれか、又はこれ以外の測定温度とすることができる。
【0062】
床下機器の温度が低い場合は、温度の上昇値も小さくなる。そのため、第4閾値A4、第5閾値A5、第6閾値A6、第7閾値A7及び第8閾値A8は、基準温度に合わせて線形的に小さくなる関数であるとよい。つまり、各閾値は、基準温度の一次関数であるとよい。
【0063】
また、基準温度の範囲ごとに第4閾値A4、第5閾値A5、第6閾値A6、第7閾値A7及び第8閾値A8を決めてもよい。例えば、基準温度が一定値以上の場合は閾値を一定の値とし、基準温度が一定値未満の場合には閾値を無限大としてもよい。
【0064】
第4閾値A4、第5閾値A5、第6閾値A6、第7閾値A7及び第8閾値A8の関数又はテーブルは、一定量の測定データが蓄積されるタイミングで適宜更新されてもよい。
【0065】
処理部3は、異常と判定した際は、表示部4A,4B,4Cに異常を表示させる。なお、処理部3は、異常判定用の閾値とは別の警告用の閾値を有してもよい。処理部3は、第1温度T1等の値が警告用の閾を越えた場合に、表示部4A,4B,4Cに警告を表示させてもよい。
【0066】
<表示部>
複数の表示部4A,4B,4Cは、それぞれ、処理部3の判定結果を表示する。複数の表示部4A,4B,4Cは、それぞれ異なる監視地点に配置され、ネットワークを通じて処理部3と接続されている。なお、温度異常検出システム1は、1つの表示部のみを備えてもよい。
【0067】
[1-2.処理]
以下では、図4のフロー図を参照しつつ、処理部3が実行する補正処理の一例について説明する。
【0068】
処理部3は、まず、温度測定の対象機器が軸箱か否か判定する(ステップS10)。対象機器が軸箱の場合(S10:YES)、処理部3は、車両ごとに複数の対象機器(つまり軸箱)の測定温度の中央値(以下、「第1中央値」という。)Mcoを求める(ステップS20)。
【0069】
次に、処理部3は、複数の車両の軸系ごとに対象機器の測定温度の第1中央値Mcoからの乖離値DMcoを計算する(ステップS30)。その後、処理部3は、各車両の乖離値DMcoを軸位でグループ化したデータの中央値(以下、「第2中央値」という。)DMciを求める(ステップS40)。
【0070】
なお、ステップS40では、先頭からの順番が奇数番目の車両と、偶数番目の車両とに分けて各軸位の第2中央値DMciを求める。また、先頭車両では、進行方向後方の台車における乖離値DMcoの中央値から前方の台車における乖離値DMcoの中央値を引いたものを第2中央値DMciとする。
【0071】
最後に、処理部3は、第1温度T1、第2温度T2又は第3温度T3を下記式(1)により求める(ステップS50)。式(1)中、TnはT1、T2又はT3、T0は対象機器の測定温度、C1は第2中央値DMciと第1中央値Mcoとの関係から求めた回帰直線の傾き、C2はこの回帰直線の切片である。
Tn=T0-Mco-(Dmci×C1+C2) ・・・(1)
【0072】
一方、対象機器が軸箱以外の不要な機器の場合(S10:NO)、処理部3は、鉄道車両の編成全体での対象機器の測定温度の中央値(以下、「第3中央値」という。)OMcoを求める(ステップS60)。その後、処理部3は、上記ステップS50にて、第1温度T1、第2温度T2又は第3温度T3を下記式(2)により求める。
Tn=T0-OMco-C2 ・・・(2)
【0073】
次に、図5のフロー図を参照しつつ、処理部3が実行する判定処理について説明する。
処理部3は、まず、条件(A)が満たされるか(つまり、T1>A0又はT2>A0又はT3>A0であるか)を判定する(ステップS110)。条件(A)が満たされる場合(S110:YES)、処理部3は、温度異常があると判定する(ステップS170)。
【0074】
一方、条件(A)が満たされない場合、処理部3は、T1>A1であるか判定する(ステップS120)。T1がA1以下の場合(S120:NO)、条件(B)、(C)、(
D)及び(E)がいずれも満たされないので、処理部3は、温度異常はないと判定して処理を終了する。
【0075】
ステップS120においてT1>A1の場合(S120:YES)、処理部3は、続いて、(T2-T1>A4又はT2-T1<0)かつT2>A2かつT3>A3であるか判定する(ステップS130)。(T2-T1>A4又はT2-T1<0)かつT2>A2かつT3>A3である場合(S130:YES)、条件(B)が満たされるので、処理部3は、温度異常があると判定する(ステップS170)。
【0076】
一方、ステップS130において、T2-T1が0以上A4以下、T2がA2以下、又はT3がA3以下の場合(S130:NO)、処理部3は、T2-T1>A4かつT3>A3であるか判定する(ステップS140)。T2-T1>A4かつT3>A3である場合(S140:YES)、条件(C)が満たされるので、処理部3は、温度異常があると判定する(ステップS170)。
【0077】
一方、ステップS140においてT2-T1がA4以下、又はT3がA3以下の場合(S140:NO)、処理部3は、T2-T1>A4かつ(T3-T2>A5又はT3-T1>A6)であるか判定する(ステップS150)。T2-T1>A4かつ(T3-T2>A5又はT3-T1>A6)である場合(S150:YES)、条件(D)が満たされるので、処理部3は、温度異常があると判定する(ステップS170)。
【0078】
一方、ステップS150においてT2-T1がA4以下であるか、又はT3-T2がA5以下かつT3-T1がA6以下の場合(S150:NO)、処理部3は、T2-T1<0かつ(T3-T2>A7又はT3-T1>A8)であるか判定する(ステップS160)。T2-T1<0かつ(T3-T2>A又はT3-T1>A8)である場合(S160:YES)、条件(E)が満たされるので、処理部3は、温度異常があると判定する(ステップS170)。
【0079】
一方、ステップS160においてT2-T1が0以上であるか、又はT3-T2がA以下かつT3-T1がA以下の場合(S160:NO)、条件(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)がいずれも満たされず、処理部3は、温度異常はないと判定して処理を終了する。
【0080】
なお、ステップS130からステップS160は、判定順序を入れ替えることができる。例えば、ステップS120においてYESと判定された後、ステップS150の判定をステップS130及びステップS140よりも先に行ってもよい。
【0081】
[1-3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)従来の閾値判定(A)に加えて、条件(B)、(C)、(D)及び(E)を用いて異常判定を行うので、誤検知を抑制しつつ、比較的速やかに温度異常を検知できる。つまり、床下機器の温度異常を精度よく検知できる。
【0082】
(1b)第1温度T1、第2温度T2及び第3温度T3として、それぞれ、鉄道車両の走行条件と、温度を測定した床下機器の鉄道車両における位置とを考慮して補正された温度を用いるので、床下機器の位置や鉄道車両の走行条件(例えば走行継続距離、気候等)による温度の変動を補正できる。そのため、温度異常の検知精度をより高められる。
【0083】
(1c)閾値A4,A5,A6,A7,A8が、それぞれ複数の測定部2A,2B,2C,2D,2Eによって測定された床下機器の温度に応じて選択されるので、より的確に温度異常の判定ができる。
【0084】
(1d)処理部3は、測定部2A,2B,2C,2D,2Eから最新の測定温度を取得すると、第1温度T1、第2温度T2及び第3温度T3を更新して温度異常を再判定するので、走行中の鉄道車両に対し、床下機器の異常を監視し続けることができる。
【0085】
[2.第2実施形態]
[2-1.構成]
本開示の温度異常検出方法は、図1の温度異常検出システム1を用いて、鉄道車両の床下機器の温度異常を検出する方法である。
【0086】
当該温度異常検出方法は、検出対象の鉄道車両に対し、鉄道車両が順に走行する地上の複数の地点における鉄道車両の床下機器の温度測定と、条件(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)が満たされるかの演算とを繰り返す。
【0087】
なお、当該温度異常検出方法は、図1の温度異常検出システム1を用いる代わりに、手動で条件(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)が満たされるか判断し、温度異常を判定してもよい。
【0088】
[2-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(2a)条件(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)を用いることで、床下機器の温度異常を精度よく検知できる。
【0089】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0090】
(3a)上記実施形態の温度異常検出システム1において、閾値A4,A5,A6,A7,A8は、必ずしも床下機器の温度に応じて選択される必要はなく、予め決められた一定値であってもよい。
【0091】
(3b)上記実施形態の温度異常検出システム1において、処理部3は、第1温度T1、第2温度T2及び第3温度T3に加えて、第3温度T3の測定地点よりも後に鉄道車両が通過した少なくとも1つの地点の測定温度をさらに用いて、温度異常の判定を行ってもよい。
【0092】
(3c)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0093】
1…温度異常検出システム、2A-2E…測定部、3…処理部、
4A,4B,4C…表示部、11…主電動機、12…車軸、13A,13B…車輪、
14A,14B…軸箱、15…継手、16…歯車箱、21A,21B…第1温度計、
22…第2温度計。
図1
図2
図3
図4
図5