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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】踊り場付き階段
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/022 20060101AFI20221018BHJP
   E04F 11/025 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
E04F11/022
E04F11/025
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018169654
(22)【出願日】2018-09-11
(65)【公開番号】P2020041335
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-08-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】坪井 健一
(72)【発明者】
【氏名】岡田 耕造
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 智史
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-197616(JP,A)
【文献】特開平01-287359(JP,A)
【文献】特開昭62-260955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/00-11/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
階段部分が踊り場を介して折り返すように構成された踊り場付き階段において、
前記踊り場の一方の桁に、前記踊り場から下方に延長するように設けられる下側階段部分の桁と、前記踊り場から上方に延長するように設けられる上側階段部分の桁と、前記踊り場の一方の桁の下方に設けられた支柱とが連結され
前記支柱は1本のみ設けられ、当該支柱の上端が前記踊り場の一方の桁の延長方向の中央部に連結され、
前記支柱の上端部と前記踊り場の一方の桁の延長方向の中央部とが連結部材を介して連結されるとともに、当該連結部材が建物の躯体に連結されたことを特徴とする踊り場付き階段。
【請求項2】
前記踊り場は、床材と、当該床材を支持する支持枠とを備え、
前記支持枠は、前記一方の桁と、当該の一方の桁と間隔を隔てて対向するように設けられた他方の桁と、前記一方の桁の一端側と前記他方の桁の一端側と繋ぐ一端側梁と、前記一方の桁の他端側と前記他方の桁の他端側と繋ぐ他端側梁と、前記一方の桁の中央側と前記他方の桁の中央側と繋ぐ中央側補強部とを備えて構成されたことを特徴とする請求項1に記載の踊り場付き階段。
【請求項3】
階段部分の桁が、平板と、この平板に部材を取付けるためのねじ止め部とを備え、
前記ねじ止め部は、前記平板の板面に取付けられた取付部と、前記平板の板面と所定間隔を隔てて対向する板面を有して前記平板の板厚よりも薄厚の薄板平板部と、当該薄板平板部に形成されたブラインドナット取付用貫通孔と、当該ブラインドナット取付用貫通孔に取付けられたブラインドナットとを備え、
ねじが、前記部材に形成されたねじ貫通孔を貫通してかつ前記ブラインドナットに螺着されることによって、前記部材が前記薄板平板部に取付けられたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の踊り場付き階段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、階段部分が踊り場を介して折り返す構成の踊り場付き階段に関する。
【背景技術】
【0002】
階段部分が踊り場を介して折り返すように構成された踊り場付き階段が知られている(特許文献1参照)。
当該踊り場付き階段は、踊り場の支持枠が、一方の桁と、当該の一方の桁と間隔を隔てて平行に対向するように設けられた他方の桁と、前記一方の桁と前記他方の桁との間においてこれら桁と平行となるように配置された補強桁と、これら各桁の一端同士を繋ぐ一端側梁とを備え、各桁の他端が壁パネルの縦材及び継ぎ材に連結された構成となっている。
そして、踊り場の支持枠の一方の桁に、踊り場から下方に延長するように設けられる下側階段部分のササラ桁と呼ばれる桁と、踊り場から上方に延長するように設けられる上側階段部分のササラ桁と呼ばれる桁とが、ボルト止めにより連結され、さらに、踊り場の支持枠の他方の桁に、当該他方の桁の下方に設けられて当該他方の桁を支持する複数の支柱が連結された構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-26159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の踊り場付き階段では、踊り場の支持枠の他方の桁(階段部分のササラ桁が連結されていない側の桁、即ち、階段部分から遠い側の桁)の下方に複数の支柱が設けられた構造であるので、当該支柱が邪魔となって当該踊り場下の領域を有効に活用できないという課題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解消すべく、踊り場下の領域を有効に活用できるように構成された踊り場付き階段を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る踊り場付き階段は、階段部分が踊り場を介して折り返すように構成された踊り場付き階段において、前記踊り場の一方の桁に、前記踊り場から下方に延長するように設けられる下側階段部分の桁と、前記踊り場から上方に延長するように設けられる上側階段部分の桁と、前記踊り場の一方の桁の下方に設けられた支柱とが連結され、前記支柱は1本のみ設けられ、当該支柱の上端が前記踊り場の一方の桁の延長方向の中央部に連結され、前記支柱の上端部と前記踊り場の一方の桁の延長方向の中央部とが連結部材を介して連結されるとともに、当該連結部材が建物の躯体に連結されたことを特徴とする。
本発明に係る踊り場付き階段は、以上のように構成されたことにより、踊り場下の領域を有効に活用できるように構成された踊り場付き階段となるとともに、一方の桁を有した踊り場の支持枠とササラ桁と支柱とが一体化された踊り場付き階段の骨組構造が建物の躯体に連結されることにより、安定な踊り場付き階段の骨組構造を構築できる
また、前記踊り場は、床材と、当該床材を支持する支持枠とを備え、前記支持枠は、前記一方の桁と、当該の一方の桁と間隔を隔てて対向するように設けられた他方の桁と、前記一方の桁の一端側と前記他方の桁の一端側と繋ぐ一端側梁と、前記一方の桁の他端側と前記他方の桁の他端側と繋ぐ他端側梁と、前記一方の桁の中央側と前記他方の桁の中央側と繋ぐ中央側補強部とを備えて構成されたことを特徴とするので、踊り場の強度を上げることができ、揺れ防止効果の高い踊り場を構築できるようになる。
また、階段部分の桁が、平板と、この平板に部材を取付けるためのねじ止め部とを備え、前記ねじ止め部は、前記平板の板面に取付けられた取付部と、前記平板の板面と所定間隔を隔てて対向する板面を有して前記平板の板厚よりも薄厚の薄板平板部と、当該薄板平板部に形成されたブラインドナット取付用貫通孔と、当該ブラインドナット取付用貫通孔に取付けられたブラインドナットとを備え、ねじが、前記部材に形成されたねじ貫通孔を貫通してかつ前記ブラインドナットに螺着されることによって、前記部材が前記薄板平板部に取付けられたことを特徴とするので、桁の薄板化が図れるとともに、この桁へのねじ止め部を簡単に製作できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】踊り場付き階段の外観図であり、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図(実施形態1)。
図2】踊り場付き階段の鉄骨骨格(フレーム)構造を示す平面図(実施形態1)。
図3】踊り場付き階段の鉄骨骨格構造を示す斜視図(実施形態1)。
図4】踊り場付き階段の鉄骨骨格構造を示す分解斜視図(実施形態1)。
図5】ササラ桁への部材取付構造を示し、(a)は正面図、(b)は断面図(実施形態2)。
図6】(a)は階段部分と躯体との接続構造を示す断面図(実施形態3)、(b)は準耐火仕様構造の階段廊下部分の側面図(実施形態4)、(c)はリブ付き鉄板の平面図(実施形態4)、(d)はリブ付き鉄板の側面図(実施形態4)。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態1
図1に示すように、実施形態1に係る踊り場付き階段は、階段部分1が踊り場2を介して折り返すように構成された鉄骨骨組(フレーム)構造の踊り場付き階段である。
即ち、階段部分1が下階と上階との間を繋ぐ下側階段部分1Aと上側階段部分1Bとを備え、踊り場2が下側階段部分1Aと上側階段部分1Bとの間に設けられている。
つまり、下側階段部分1Aが下階から斜め上方向に延長して踊り場2に到達した後、踊り場2から折り返して上側階段部分1Bが下側階段部分1Aの傾斜方向とは反対方向である斜め上方向に延長して上階に到達するように構成された踊り場付き階段である。
【0009】
実施形態1に係る踊り場付き階段における鉄骨骨組構造では、図4に示すように、階段部分1のササラ桁11と呼ばれる桁と、踊り場2の支持枠20と、支柱3とが個別に製作され、これら個別に製作された階段部分1のササラ桁11と、踊り場2の支持枠20と、支柱3とが、互いにボルトB及びナットNによる機械的接合によって連結されている。
つまり、実施形態1に係る踊り場付き階段における鉄骨骨組構造は、図2図3に示すように、階段部分1の骨組を構成する左右一対のササラ桁11,11と、踊り場2の骨組を構成する支持枠20と、支柱3とを備える。
そして、踊り場2の支持枠20の一方の桁21に、踊り場2から斜め下方に延長するように設けられる下側階段部分1Aの左右一対のササラ桁11,11と、踊り場2から斜め上方に延長するように設けられる上側階段部分1Bの左右一対のササラ桁11,11と、支柱3とが、ボルトB及びナットNによる機械的接合によって連結されている。換言すれば、図1(b),(d)に示すように、踊り場2の他方の桁22(階段部分1のササラ桁11が連結されていない側の桁)の下方に支柱3を設けないようにしたことにより、踊り場2の下の領域Xを有効活用できるように構成されている。
【0010】
図1(a)に示すように、階段部分1は、左右一対のササラ桁11,11と、左右一対のササラ桁11,11間に設けられた段部構成部品12と、ササラ桁11より立ち上がるように設けられた手摺13とを備えて構成される。
【0011】
図3図4に示すように、ササラ桁11は、長尺な鋼材、例えば、ウェブ(長尺基板)と、当該ウェブの短手方向の両端より同方向に直角に延長して板面同士が平行に対向するフランジとを備えた断面コ字形状のチャンネルと呼ばれる溝形鋼により構成される。
【0012】
図1(a)に示すように、段部構成部品12は、例えば、板面が水平面となるように設置される複数の踏板15,15…と、板面が垂直面となるように設置される複数の蹴込板16,16…とで構成される。
各踏板15,15…の左右の両端側が、踏板連結部材17(図2参照)、図外のボルト及ナット等の固定手段により、左右のササラ桁11,11に連結されている。
そして、例えば上下の踏板15,15に蹴込板16が取付けられ、1つの踏板15と1つの蹴込板16との組で1段が形成される。尚、下側階段部分1Aの上端側に位置する蹴込板16、上側階段部分1Bの下端側に位置する蹴込板16は、後述する支持枠20の一方の桁21にボルトB及びナットNにより取付けられた連結部材18(図2参照)を介して一方の桁21に図外のボルト及びナット等で連結される。
このように構成された踏板15と蹴込板16との組が、傾斜方向に沿って多数段連続するように設けられて階段部分1の段部が構成される。
【0013】
図1(a)に示すように、踊り場2は、支持枠20と、当該支持枠20の上に複数の床材31が並ぶように設置されて構成された床30と、支持枠20の周縁より立ち上がるように設けられた手摺40とを備えて構成される。
【0014】
図2乃至図4に示すように、踊り場2の支持枠20は、一方の桁21と、当該の一方の桁21と間隔を隔てて平行に対向するように設けられた他方の桁22と、一方の桁21の延長方向の一端側と他方の桁22の延長方向の一端側と繋ぐ一端側梁23と、一方の桁21の延長方向の他端側と他方の桁22の延長方向の他端側と繋ぐ他端側梁24と、一方の桁21の延長方向の中央と他方の桁22の延長方向の中央側と繋ぐ中央側補強部25と、床材支持構造部26と、ブレース補強構造部27とを備える。
即ち、踊り場2の支持枠20は、一方の桁21と他方の桁22と一端側梁23と他端側梁24とで構成された長方形枠と、当該長方形枠内に構築された中央側補強部25と床材支持構造部26とブレース補強構造部27とを備えた構成である。

【0015】
支持枠20における一方の桁21、他方の桁22、一端側梁23、他端側梁24は、長尺な鋼材、例えば、上述した溝形鋼により構成される。
【0016】
図3に示すように、一方の桁21及び他方の桁22は、例えば溝形鋼のウェブと上下のフランジとで囲まれた形成された凹部同士が向かい合うように所定の間隔を隔てて平行に配置される。
一端側梁23及び他端側梁24は、例えば溝形鋼のウェブと上下のフランジとで囲まれて形成された凹部同士が向かい合わないように所定の間隔を隔てて平行に配置される。
【0017】
図2乃至図4に示すように、一方の桁21の延長方向の一端には連結片33が溶接等により取付けられ、当該連結片33と一端側梁23の一端側のウェブとがボルトB及びナットNで連結されることにより、一方の桁21の一端と一端側梁23の一端とが連結される。尚、図3図4では、ボルトB及びナットNの図示を省略してある。
また、一方の桁21の延長方向の他端には連結片34が溶接等により取付けられ、当該連結片34と他端側梁24の一端側のウェブとがボルトB及びナットNで連結されることにより、一方の桁21の他端と他端側梁24の一端とが連結される。
また、他方の桁22の延長方向の一端には連結片35が溶接等により取付けられ、当該連結片35と一端側梁23の他端側のウェブとがボルトB及びナットNで連結されることにより、他方の桁22の一端と一端側梁23の他端とが連結される。
また、他方の桁22の延長方向の他端には連結片36が溶接等により取付けられ、当該連結片36と他端側梁24の他端側のウェブとがボルトB及びナットNで連結されることにより、他方の桁22の他端と他端側梁24の他端とが連結される。
【0018】
図2乃至図4に示すように、一方の桁21及び他方の桁22の凹部の底面となるウェブの面には、後述する補強材50の端部、根太55の端部、ブレース60の端部を連結するためのガセットプレート51,52,56,57:58,59等の連結プレートが溶接等により取付けられている。
【0019】
図2及び図3に示すように、中央側補強部25は、一端側梁23と他端側梁24との間の中央側位置において、これら一端側梁23及び他端側梁24と平行に設置されて、一端部が一方の桁21の延長方向の中央側に設けられたガセットプレート51にボルトB及びナットNで連結されて、他端部が他方の桁22の延長方向の中央側に設けられたガセットプレート52にボルトB及びナットNで連結された複数の補強材50,50…により構成される。
【0020】
中央側補強部25を構成する補強材50は、長尺な鋼材、例えば、断面C字形状のシーチャンネルと呼ばれるリップ溝形鋼により構成され、長尺方向の一端が一方の桁21に連結され、長尺方向の他端が他方の桁22に連結される。
【0021】
中央側補強部25は、例えば、一方の桁21及び他方の桁22に連結された2本の補強材50,50により構成される。即ち、互いのウェブが僅かな間隔を隔てて対向して、かつ、一方の桁21の延長方向の中央側と他方の桁22の延長方向の中央側とを繋ぐように連結された2本の補強材50,50により構成される。
例えば、2本の補強材50,50の一端側のウェブが一方の桁21の延長方向に中央側に設けられたガセットプレート51を挟み込むように配置されて、これら補強材50,50のウェブ及びガセットプレート51がボルトB及びナットNで連結される。
同様に、2本の補強材50,50の他端側のウェブが他方の桁22の延長方向に中央側に設けられたガセットプレート52を挟み込むように配置されて、これら補強材50,50のウェブ及びガセットプレート52がボルトB及びナットNで連結される。
以上のように、2本の補強材50,50が、ガセットプレート51,52を介して一方の桁21の延長方向の中央側及び他方の桁22の延長方向に中央側に固定されることで、中央側補強部25が構成される。
【0022】
床材支持構造部26は、一端側梁23と中央側補強部25との間に設置された複数の根太55,55…により構成された下側階段部分側の床材支持構造部28と、他端側梁24と中央側補強部25との間に設置された複数の根太55,55…により構成された上側階段部分側の床材支持構造部29とを備えて構成される。
【0023】
床材支持構造部26を形成する根太55は、長尺な鋼材、例えば、上述したリップ溝形鋼により構成され、長尺方向の一端が一方の桁21に連結され、長尺方向の他端が他方の桁22に連結される。
【0024】
下側階段部分側の床材支持構造部28は、例えば、中央側補強部25に近い位置において中央側補強部25と平行に並ぶように設けられた根太55と、一端側梁23に近い位置において一端側梁23と平行に並ぶように設けられた根太55とで構成される。
同様に、上側階段部分側の床材支持構造部29は、例えば、中央側補強部25に近い位置において中央側補強部25と平行に並ぶように設けられた根太55と、他端側梁24に近い位置において他端側梁24と平行に並ぶように設けられた根太55とで構成される。
【0025】
各根太55,55…の一端は、一方の桁21に設けられたガセットプレート56にボルトB及びナットNにより連結され、各根太55,55…の他端は、他方の桁22に設けられたガセットプレート57にボルトB及びナットNにより連結されている。
そして、支持枠20の上に複数の床材31が並ぶように設置されて、複数の床材31と根太5とが図外の連結部材によって連結されたことにより、支持枠20の上に床30が構成される。
【0026】
ブレース補強構造部27は、下側階段部分側のブレース補強構造部27Aと、上側階段部分側のブレース補強構造部27Bとを備える。
下側階段部分側のブレース補強構造部27Aは、下側階段部分側の床材支持構造部28を構成する一対の根太55,55と一方の桁21と他方の桁22とで囲まれた四角枠の対角線上に配置されて、例えば、一端が一方の桁21のガセットプレート58に連結されて他端が他方の桁22のガセットプレート59に連結されたブレース60により構成される。
同様に、上側階段部分側のブレース補強構造部27Bは、上側階段部分側の床材支持構造部29を構成する一対の根太55,55と一方の桁21と他方の桁22とで囲まれた四角枠の対角線上に配置されて、例えば、一端が一方の桁21の中央側のガセットプレート58に連結されて他端が他方の桁22のガセットプレート59に連結されたブレース60により構成される。
【0027】
ブレース補強構造部27を形成するブレース60は、長尺な鋼材、例えば、断面L字形状のアングルと呼ばれる山形鋼により構成され、長尺方向の一端が一方の桁21に連結され、長尺方向の他端が他方の桁22に連結される。
当該ブレース補強構造部27を備えたので、支持枠の変形を防止でき、支持枠の強度を上げることができる。
【0028】
支柱3は、例えば、角型鋼管により形成され、上端部が踊り場2の支持枠20の一方の桁21の延長方向の中央部に連結部材70(図4参照)を介して連結され、下端が例えばコンクリート基礎を介して地盤に固定される。
【0029】
図4に示すように、連結部材70は、断面L字状に形成されたL型連結部材71と、支柱3の上端に水平面72aを形成するために当該支柱3の上端部に溶接された平板72とを備えて構成される。
まず、一方の桁21の延長方向の中央部と対向する躯体80にL型連結部材71の垂直板部71aをアンカーボルト等の固定具73(図2参照)で固定しておく。そして、躯体80に固定されたL型連結部材71の水平板部71bを一方の桁21の下フランジの下面と支柱3の上端の水平面72aとの間に挟んだ状態で、これら支柱3の上端に溶接された平板72とL型連結部材71の水平板部71bと一方の桁21の下フランジとが図外のボルト及びナットで連結されることにより、一方の桁21及び支柱3が、連結部材70を介して躯体80に連結された構成となっている。
このように、支柱3の上端部と踊り場2の支持枠20の一方の桁21の延長方向の中央部とが連結部材70を介して連結されるとともに、当該連結部材70が建物の躯体80に連結されたので、一方の桁21を有した踊り場2の支持枠20とササラ桁11と支柱3とが一体化された踊り場付き階段の鉄骨骨組構造が建物の躯体80に連結された構成となり、安定な踊り場付き階段の鉄骨骨組構造を構築できる。
【0030】
図4に示すように、下側階段部分1Aの上り進行方向左側に位置する左のササラ桁11の上端には、一端側梁23の一端側に連結される連結部61が溶接等により取付けられる。そして、図3に示すように、当該連結部61と一端側梁23の一端側とが図外のボルト及びナットで連結されることにより、左のササラ桁11と一端側梁23とが連結される。
同様に、下側階段部分1Aの上り進行方向右側に位置する右のササラ桁11の上端には、一方の桁21の延長方向の中央側に連結される連結部62が溶接等により取付けられる。そして、当該連結部62と一方の桁21の延長方向の中央側とが図外のボルト及びナットで連結されることにより、右のササラ桁11と一方の桁21とが連結される。
同様に、上側階段部分1Bの上り進行方向左側に位置する左のササラ桁11の下端には、他端側梁24の一端側に連結される連結部63が溶接等により取付けられる。そして、当該連結部63と他端側梁24の一端側とが図外のボルト及びナットで連結されることにより、左のササラ桁11と他端側梁24とが連結される。
同様に、上側階段部分1Bの上り進行方向右側に位置する右のササラ桁11の下端には、一方の桁21の延長方向の中央側に連結される連結部64が溶接等により取付けられる。そして、当該連結部64と一方の桁21の延長方向の中央側とが図外のボルト及びナットで連結されることにより、右のササラ桁11と一方の桁21とが連結される。
【0031】
また、図2に示すように、例えば、手摺13の支柱13aとササラ桁11とが連結部材13bを用いてボルトB及びナットNにより連結され、手摺40の他方の桁22の両端側に位置される支柱41と他方の桁22とが連結部材42を用いてボルトB及びナットNにより連結される。また、図2に示すように、例えば、手摺40の支柱41のうち、躯体80側に位置する支柱41が連結部材44及びアンカーボルト45等によって躯体80に固定されている。尚、図2において、13cは手摺13の下弦材、43は手摺40の下弦材である。
【0032】
尚、上述したボルト及びナットにより連結される各部材には、それぞれ、ボルトを貫通させる図外のボルト貫通孔が形成されており、連結される各部材に形成された各ボルト貫通孔にボルトを貫通させた後にボルトの先端側からナットを締結することにより、各部材が連結される。
【0033】
以上説明したように、実施形態1に係る踊り場付き階段によれば、踊り場2の支持枠20の一方の桁21に、下側階段部分1Aの左右一対のササラ桁11,11と、上側階段部分1Bの左右一対のササラ桁11,11と、支柱3とが、ボルトB及びナットNによる機械的接合によって連結されて、これらが一体となった鉄骨骨組構造が構成される。
したがって、踊り場2の支持枠20と階段部分1のササラ桁11と支柱3とが一体となった鉄骨骨組構造を、ボルトB及びナットNによる機械的接合によって簡単に構築できるようになる。
また、図1(b),(d)に示すように、踊り場2の支持枠20の桁21,22のうち、建物の躯体80からより遠く離れた位置にある他方の桁22の下方に支柱を設けないようにするとともに、図2に示すように、建物の躯体80に近い位置にあって躯体80に隣接する一方の桁21の延長方向の中央側の下方に、躯体80に沿って延長する支柱3を設けたので、支柱3が躯体80に沿って設けられていることにより、支柱3が踊り場2の下の領域Xにおいて邪魔にならないように位置させることができ、踊り場2の下の領域Xを有効に活用できるようになる。
さらに、踊り場2の支持枠20は、一方の桁21の延長方向の中央側及び他方の桁22の延長方向の中央側に連結された中央側補強部25を備えるので、支持枠20の強度が増し、踊り場2の床部30の揺れを低減できるようになる。即ち、踊り場2の強度を上げることができ、揺れ防止効果の高い踊り場2を構築できるようになる。また、支持枠20の強度を上げることができることから、支持枠20の一方の桁21の延長方向の中央部の下方に設けた1本の支柱3のみで支持枠20を支えることが可能となる。
また、踊り場2の支持枠20を、一方の桁21と他方の桁22と一端側梁23と他端側梁24とで構成された長方形枠と、当該長方形枠内に構築された中央側補強部25と床材支持構造部26とブレース補強構造部27とを備えた構成としたので、支持枠20の強度をより大きくでき、支持枠20の一方の桁21の延長方向の中央部の下方に設けた1本の支柱3のみで支持枠20を支えることが可能となる。
【0034】
尚、図1に示す踊り場付き階段は、階段部分1が、下階としての例えば地上Eから踊り場2に繋がる下側階段部分1Aと、踊り場2から上階としての例えば2階廊下Fに繋がる上側階段部分1Bとを備え、下側階段部分1Aの左右のササラ桁11,11、及び、上側階段部分1Bの右側(階段上り方向の右側)のササラ桁11が建物の躯体80に沿って設けられ、踊り場2が建物の躯体80より突出するように設けられた構造である。
即ち、踊り場2が建物の躯体80より突出して、踊り場2の下の領域Xが地面となっている。このため、踊り場2の突出端側に位置される他方の桁22の下に柱を設けた場合、当該柱が邪魔になって、踊り場2の下の領域Xである敷地を有効に活用できなくなる。そこで、建物の躯体80側に位置される一方の桁21の中央部の下方にのみ1本だけ支柱3を設け、建物の躯体80から離れた場所に位置される他方の桁22の下に柱を設けないようにしたので、踊り場2の下の領域Xである敷地を有効に活用できるようになる。
【0035】
図1に示すように、下側階段部分1Aの左右のササラ桁11,11、及び、上側階段部分1Bの右側のササラ桁11が建物の躯体80に沿って設けられている構造の場合、下側階段部分1Aの左右のササラ桁11,11、及び、上側階段部分1Bの右側のササラ桁11には、手摺13が取付けられておらず、上側階段部分1Bの左側のササラ桁11にのみ手摺13が取付けられている(図1(a)参照)。
尚、階段部分1が、建物の外側に設置される場合等においては、全てのササラ桁11に手摺13が取付けられる場合もある。
【0036】
尚、図1において、符号13Fは、2階廊下Fの手摺を示し、当該手摺13Fは、例えば壁体により形成されている。
また、手摺13、手摺40の外側を壁で覆うような構成としてもよい。
【0037】
また、実施形態1においては、下側階段部分1Aの左右のササラ桁11,11、及び、上側階段部分1Bの右側(階段上り方向の右側)のササラ桁11が建物の躯体80に沿って設けられている構造であり、支柱3に沿った位置に躯体80が存在するので、一体となるように連結されたササラ桁11と支持枠20と支柱3との鉄骨骨組構造体が、連結部材70を介して躯体80に固定された構成としたが、一体となるように連結されたササラ桁11と支持枠20と支柱3との鉄骨骨組構造体が、躯体80に固定されていない構成としてもよい。
【0038】
また、建物の躯体80側に位置される一方の桁21の延長方向の一端側の下方に図外の支柱を設けて、当該支柱の上端と一方の桁21の延長方向の一端側とを連結するとともに、当該支柱の下端を地面に固定した構成としてもよい。
即ち、踊り場2の一方の桁21に複数本の支柱を連結し、複数本の支柱で支持枠20を支持する構成としてもよい。
【0039】
実施形態2
ササラ桁11に手摺の取付部材等の部品を取付けるための部品取付用ボルトのねじ孔を形成する場合、通常、ササラ桁に下穴を形成した後にタップ加工してねじ孔を形成する。しかしながら、板厚が厚いササラ桁に対するタップ加工作業は大変である。
そこで、実施形態2では、図5に示すように、ササラ桁に対するタップ加工作業を不要とするために、ササラ桁本体11aに溶接などで取付けられたねじ止め部75を備えたササラ桁11Aとした。
ねじ止め部75は、金属平板により構成されたササラ桁本体11aの板面11fに溶接により取付けられた取付部76と、ササラ桁本体11aの板面と所定間隔を隔てて平行に対向する板面を有してササラ桁本体11aの板厚よりも薄厚の薄板平板部77と、この薄板平板部77に形成されたブラインドナット取付用貫通孔78と、ブラインドナット取付用貫通孔78に取付けられたブラインドナット79とを備える。
ササラ桁本体11aは、ブラインドナット取付用貫通孔78と対向する位置に、ブラインドナット79の先端側、及び、当該ブラインドナット79に締結されたねじB1の先端側を挿入するための貫通孔11bを備える。
従って、ブラインドナット取付用貫通孔78に形成されたブラインドナット79のねじ孔と部品Sに形成された貫通孔とを一致させた状態で、ねじB1が部品Sの貫通孔を貫通してブラインドナット79のねじ孔に螺着されることにより、部品Sが薄板平板部77にねじ止めされ、部品Sがササラ桁11Aに取付けられることになる。
実施形態2によれば、ササラ桁11Aの薄板化が図れるとともに、このササラ桁11Aへのねじ止め部を簡単に製作できる。
【0040】
実施形態3
従来、階段と建物の躯体80とを接続する接続部分においては、例えば、左のササラ桁の上端部と右のササラ桁の上端部との間に跨るように左右のササラ桁の上端部に取付けられた平板状の接続部材を、鉄骨等の躯体80にコーチねじ81等の固定具を用いて取付けるようにしていた。この場合、接続部材の上端と躯体との間に僅かな隙間が生じ、この僅かな隙間にはシーリング剤を定着させることができなかった。従って、この僅かな隙間から雨水等が侵入してしまう問題が生じていた。
そこで、実施形態3では、図6(a)に示すように、接続部材82の上端側と躯体80との間にシーリング剤83を定着させるための凹部84を形成するために、上端側が左右方向に連続する段差部85に形成された構成の接続部材82を用いるようにした。
即ち、接続部材82は、躯体80に取付けられる左右上下方向に長い平板基部82aと、平板基部82aの上端より平板基部82aの板面と交差する方向に延長する横板部82bと、横板部82bの延長端より平板基部82aから離れる方向に延長する縦板部82cとを備える。
そして、縦板部82cと横板部82bと躯体80とで囲まれたシーリング剤充填用の凹部84が形成されるように、コーチねじ81等の固定具を用いて平板基部82aを躯体80に取付けることによって、躯体80に取付けられた接続部材82の上端側に、シーリング剤充填用の凹部84が形成される。
そして、シーリング剤充填用の凹部84内にシーリング剤83を充填することで、シーリング剤充填用の凹部84内にシーリング剤83が定着し、接続部材82の上端と躯体80との間から水等が侵入してしまうことを防止できるようになる。
【0041】
実施形態4
図6(b)乃至図6(d)に示すように、階段より延長して建物の外側に設けられる廊下の準耐火構造において、根太88の上に設置された廊下の床部材89の裏側である軒天又は上裏等と呼ばれる部分に、鉄板等の耐火パネルを敷設する構造の場合に、当該耐火パネルとして、リブ付きの耐火パネル、例えば、リブ91が形成されたリブ付き鉄板90を用いた。
このようなリブ付き鉄板90を用いることによって、板厚が薄く軽量でかつ高強度の耐火パネルを実現でき、かつ、耐火パネルの軽量化が図れることによって、階段と連続する準耐火構造の廊下を構築する際に、耐火パネルを敷設する作業の容易化が図れる。
【0042】
尚、実施形態では、鉄骨骨組構造の踊り場付き階段を例示したが、本発明の構造は、鉄骨骨組構造以外の、例えば木骨組構造の踊り場付き階段にも適用可能である。
【0043】
また、実施形態では、踊り場2の支持枠20の一方の桁21に、ササラ桁11,11と支柱3とが、ボルトB及びナットNによる機械的接合によって連結された構成を例示したが、本発明は、踊り場2の支持枠20の一方の桁21に、ササラ桁11,11と支柱3とが溶接により連結された構成としてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 階段部分、1A 下側階段部分、1B 上側階段部分、2 踊り場、3 支柱、
11,11A ササラ桁(階段部分の桁)、11a ササラ桁本体(平板)、
20 支持枠、21 一方の桁、22 他方の桁、23 一端側梁、24 他端側梁、
25 中央側補強部、70 連結部材、75 ねじ止め部、76 取付部、
77 薄板平板部、78 ブラインドナット取付用貫通孔、79 ブラインドナット、
S 部品。
図1
図2
図3
図4
図5
図6